2019 年 9 月 9 日 各 位 会 社 名 日産自動車株式会社 代表者名 代表執行役社長兼最高経営責任者 西川廣人 (コード番号 7201 東証第 1 部) 問合せ先 IR 部 常務執行役員 田川丈二 (TEL 045-523-5523) 元会長らによる不正行為に関する社内調査報告について 当社は、「元会長らによる不正行為に関する社内調査報告について」を公表いたしました。詳細は、添付 のニュースリリースをご覧ください。 以 上 2019 年 9 月9日 元会長らによる不正行為に関する社内調査報告について 日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:西川 廣人)は本日、取締役会を開 催し、監査委員会より元会長らの不正行為に関する社内調査の報告を受けました。尚、本日 報告した調査結果は、昨年10月より外部法律事務所と連携して行ってきたものです。 本報告書では、元会長らによる不正行為を認定しました。なお、社内調査の報告書について は、個人情報をはじめ、機密性の高い情報を含む社内資料であり、今後検討していく司法手 続きへの影響を考慮し、別紙の通り、概要のみを公表します。 当社は、本社内調査結果を踏まえ、今後、元会長らの責任を明確にすべく、損害賠償請求の ための提訴を含めた必要な対応をとってまいります。 以上 別紙 1.社内調査で認定された主な不正行為 社内調査を通じ、監査委員会が認定した不正行為は以下のとおりである。 A) カルロス ゴーン元代表取締役会長の取締役報酬開示義務違反 カルロス ゴーン元会長(以下「ゴーン」という。)及びグレッグ ケリー元代表取 締役(以下「ケリー」という。)は、2009 年度から 2017 年度まで合計約 90 億 7,800 万円につき、これを取締役退任後に受領することとして取締役報酬ではない かのように装うことで隠蔽し、有価証券報告書における取締役報酬として開示する 義務に違反した。また、株価連動型インセンティブ受領権(SAR)の行使可能数が 確定し、権利の公正価額合計約 22 億 7,100 万円を取締役報酬として開示すべきだ ったにもかかわらず、あたかも確定しなかったかのように書類を操作して隠蔽し、 開示義務に違反した。 (なお、2019 年 5 月 14 日付け訂正報告書により、過去の取締役報酬開示を訂正 し、開示すべきであった金額を開示している。また、過去にゴーンに付与し、存続 していた SAR については、不正行為の発覚を受け、すべてキャンセルすることを取 締役会において決定している。) B) 役員退職慰労金打切り支給としてゴーンに支給される可能性のある金額の不正操 作 2007 年開催の定時株主総会で承認され、退任時に支給される可能性のある役員退 職慰労金打切り支給額が、本来の金額より約 24 億円多かったかのように装う工作 をするなどした。 (なお、ゴーンの役員退職慰労金打切り支給については、不正行為の発覚を受け、 支給しないことを取締役会において決定している。) C) ケリーの取締役報酬開示義務違反 ケリーは、2012 年度から 2016 年度にわたり、毎年 1 億円以上の取締役報酬を得て いたにもかかわらず、報酬の一部につき受領時期の繰延べや取締役就任直前への繰 上げ(取締役就任後に、取締役就任前の 2011 年度に付与された SAR の数が実際よ り多かったように偽装する工作を含む)、海外関連会社を通じて受領した報酬の非 開示などにより、年 1 億円未満の取締役報酬しか得ていないかのように偽装して、 その取締役報酬を開示する義務に違反した。 (なお、本件についても、2019 年 5 月 14 日付け訂正報告書により、過去の取締役 報酬開示を訂正し、開示すべきであった金額を開示している。) D) ゴーンの会社資産の私的流用等 ゴーンは、以下を含む様々な方法で当社の資産を私的に流用した。 将来性のある技術に投資するとの名目で子会社 Zi-A Capital 社を設立さ せ、同社の投資資金のうち約 2,700 万米ドルを、ブラジル(リオデジャネ イロ)及びレバノン(ベイルート)所在のゴーン元会長個人のための住宅 の購入に流用したほか、会社資金で秘密裏に購入又は賃借した住宅を私的 に利用した。 2003 年から 10 年以上にわたり、実体のないコンサルティング契約に基づ くコンサルタント報酬名目で実姉に合計 75 万米ドルを超える金銭を支払っ た。 コーポレートジェットを自身及び家族の私的用途に使用した。 会社の資金を家族の旅費支払いや、個人的な贈答品支払いなどに宛てた。 業務上の必要性がないにもかかわらず自身の出身国の大学への 200 万米ド ルを超える寄付を会社資金で行わせた。 2008 年、ゴーンは個人的に締結した為替スワップ契約のもと約 18 億 5,000 万円の含み損を抱え、事実と異なる取引内容を取締役会に説明したうえ為 替スワップ契約を当社に承継させて、かかる含み損を当社に承継させた (金融当局の指摘を受け、2009 年、当該為替スワップ契約は秘密裏にゴー ンの関連企業に再承継された)。 2018 年 4 月以降、三菱自動車株式会社との間で設立した合弁会社から、給 与・契約金名目での取締役会決議を欠く支払い合計 780 万ユーロを受領し た。 E) 販売代理店に対する奨励金支払いに関する不適切な行為 ゴーンは、国外の知人から私的な資金援助を得ていることを当社取締役会及び関係 部署に秘したまま、当社子会社から当該知人の経営する企業に対し、自身とその直 属の特定少数の部下が承認すれば金銭支出が可能となる予備費予算(CEO リザー ブ)を使用して、特別ビジネスプロジェクト費用などの名目で合計 1470 万米ドル の支払いを行わせた。また、国外の販売代理店の関係者からゴーン自身又はその関 係企業に対して数千万米ドルの支払いがなされていることを当社取締役会及び関係 部署に秘したまま、当社子会社から当該販売代理店に対し、CEO リザーブを使用し て、販売奨励金名目で合計 3,200 万米ドルの支払いを行わせた。 2.その他 社内調査を通じ、ゴーン、ケリーその他の役員への株価連動型インセンティブ受領権 (SAR)の行使により支払われる報酬の不正な加算について確認された事実経過は以下の とおりである。 株主総会において、株価連動型インセンティブ受領権(SAR)を取締役に付 与し、付与当時の株価と、権利行使日前日の株価の差額を報酬として支払 うことが承認されている。当社においては、同様の権利を執行役員にも付 与している。 ゴーンの SAR 行使による報酬について、2013 年及び 2017 年に、権利行使 日をそれぞれ約2週間前の日と偽装することにより、権利行使日前日より 高い株価を使って報酬額の計算がなされ、株主総会決議により承認されて いる計算式に基づく金額より合計約 1 億 4,000 万円多い支払いがなされ た。特に、2013 年は権利行使日前日の株価が付与当時の株価を下回ってお り、本来であれば SAR 行使による報酬は支払い得ないはずであった。 ケリーは、新株予約権(行使価額を会社に払い込み株式を取得する権利) を代表取締役就任前の 2008 年に付与されており、他方で SAR の付与は受け ていなかったにもかかわらず、2017 年になって、2008 年には新株予約権で はなく SAR の付与を受けていたかのように偽装し SAR を行使したかのよう な経理処理をした上、さらにゴーンと同様に、権利行使日前日より高い株 価を使って報酬額の計算を行い、その結果、不正に約 700 万円を受領し た。 ケリーらは、2013 年、西川 CEO(当時代表取締役副社長。以下「西川」と いう。)から、その役員報酬を増額することの検討を要請された際、当該要 請には応じないこととする一方で、それ以前に西川が行使し金額が確定し ていた SAR 行使による報酬につき、その権利行使日が1週間後の日であっ たかのように偽装することにより、本来の権利行使日前日より高い株価を 使って金額の再計算を行うことで、西川から要請のあった役員報酬の増額 に代えて、SAR 行使による報酬を約 4,700 万円(税引後。税引前約 9,650 万円)不正に増額して西川に支払った。 (なお、本件についても、2019 年 5 月 14 日付け訂正報告書により、過去 の取締役報酬開示を訂正し、開示すべきであった金額を開示している。) 同様に、ケリーらによる不正な加算の結果として、過去の取締役及び執行 役員による SAR 行使約 2,000 件のうち、上記のほか、元取締役2名及び 現・元執行役員4名につきそれぞれ1回、上記と類似の方法により SAR 行 使による報酬が不正な支払いがなされていたことが確認された。 有価証券報告書における開示を回避しつつゴーンが受領しようとしていた報酬は推定で 総額 200 億円以上に上り、しかもその一部はゴーンに支払い済みである。また、役員報酬 の名目以外にゴーンが日産に現に不正に支出させ、あるいは支出させようとしていた金額 は少なくとも合計 150 億円に上る。 以上のとおり、ゴーンらの一連の不正の規模は全体で約 350 億円以上という極めて巨額 のものとなる。そこで、当社は、ゴーン、ケリーに対し,これらの不正行為に関し,損害 賠償請求をはじめとする毅然とした法的措置をとる考えである。 なお、ゴーン、ケリー以外の役員の SAR 行使による支払いに不正な点があった点に関し ては、これらの役員らは、いずれも、自己の報酬が不正な手法により増額されたことを認 識しておらず、またケリーらに対してそのような指示ないし依頼をした事実もないから、 不正行為に関与したとみる余地はない。そのため、当社は、これらの役員らに対して責任 追及をすることは予定していない。 ケリーが担当役員を務めていた当時、秘書室が SAR の行使日を恣意的に操作することで 行使益を不正に増額することが可能であった点について、当社は、2019 年 6 月 27 日提出 の 2018 年度に係る内部統制報告書に記載のとおり、適正な役員報酬の会計処理及び開示 のための管理体制の強化に取り組み、同事業年度の決算の過程において運用がなされてい ることを確認しているが、ガバナンス上の問題として重く認識していることから、不正の 認識等が一切認められなかった者についても、不正な手法による増加額に関しては返納を 求めることとした。既に、取締役会は既に西川ほか元取締役1名から返納の意思を確認し ているところであり、今後、執行役員についても会社として然るべき対応を図る所存であ る。 以 上
"なお、ゴーン、ケリー以外の役員の SAR 行使による支払いに不正な点があった点に関しては、これらの役員らは、いずれも、自己の報酬が不正な手法により増額されたことを認識しておらず、またケリーらに対してそのような指示ないし依頼をした事実もないから、不正行為に関与したとみる余地はない。そのため、当社は、これらの役員らに対して責任追及をすることは予定していない。"
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