9913 J-日邦産業 2021-03-08 19:20:00
フリージア・マクロス株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明(反対)のお知らせ [pdf]
2021 年3月8日
各 位
会 社 名 日 邦 産 業 株 式 会 社
代表者名 代 表 取 締 役 社 長 岩佐 恭知
(東証 JASDAQ/名証第二部・コード 9913)
問合せ先 取締役コーポレート本部長 三上 仙智
(TEL.052−218−3161)
フリージア・マクロス株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する
意見表明(反対)のお知らせ
当社は、フリージア・マクロス株式会社(以下「公開買付者」といいます。
)による当社
の普通株式(以下「当社株式」といいます。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」
といいます。)に関して、2021 年2月9日付「フリージア・マクロス株式会社による当社株
式に対する公開買付けに関する意見表明(留保)のお知らせ」
(以下「2021 年2月9日付留
保プレスリリース」といいます。)にて、本公開買付けに対する意見の表明を留保する旨を
決議した旨を公表しておりましたが、本日、当社取締役会において取締役全員の一致により、
本公開買付けに対して反対の意見を表明することを決議いたしましたので、お知らせいた
します。
株主の皆様におかれましては、本公開買付けに応募されないよう強くお願い申し上げま
す。また、本公開買付けに既に応募された株主の皆様におかれましては、直ちに本公開買付
けに係る契約の解除を行っていただきますよう強くお願い申し上げます。
なお、上記に加えて、当社は、本日公表した「買収防衛策に基づく新株予約権の無償割
当て及び新株予約権の無償割当てに係る基準日設定に関するお知らせ」にてお知らせしま
したとおり、本日開催の当社取締役会において取締役全員の一致により、
「当社株式等の大
規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」
(以下「本買収防衛プラン」といいます。)
(注)
に基づく新株予約権の無償割当てを行うことについても決議しております。
(注)本買収防衛プランは、当社株式の大規模買付け等(下記「6.会社の支配に関す
る基本方針に係る対応方針」の「(ア) 新株予約権の無償割当ての決定に至った
経緯及び理由」において定義されます。以下同じです。 に該当する行為によって、
)
当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なわないようにするため、
大規模買付け等に該当する行為を行おうとする者が遵守すべきルール等を定める
ものです。本買収防衛プランは、2020 年6月 24 日開催の当社の第 69 期定時株主
総会において、株主の皆様の賛成多数の承認を得て継続しております。本買収防
1
衛プランにおいては、本買収防衛プランに基づき設置された独立委員会(以下「当
社独立委員会」といいます。)は、買付者等(下記「6.会社の支配に関する基本
方針に係る対応方針」の「(ア) 新株予約権の無償割当ての決定に至った経緯及
び理由」において定義されます。以下同じです。)が本買収防衛プランに規定する
手続につきその重要な点において違反した場合で、当社取締役会がその是正を書
面により当該買付者等に対して要求した後5営業日(初日不算入)以内に当該違
反が是正されない場合には、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上のた
めに対抗措置を発動させないことが必要であることが明白であることその他特段
の事情がある場合を除き、原則として、当社取締役会に対して、対抗措置の発動
を勧告することとされております。当社取締役会は、2021 年2月 10 日、公開買付
者に対し、本買収防衛プランに規定する手続の違反の是正を書面により要求いた
しましたが、5営業日後である同月 18 日までに当該違反は是正されませんでした。
当社独立委員会は、本公開買付けが本買収防衛プランに規定する手続につきその
重要な点において違反していることに加えて、当社の企業価値・株主共同の利益
の確保・向上のために対抗措置を発動させないことが必要であることが明白であ
ることその他特段の事情も認められないと判断し、本日、当社取締役会に対して、
本買収防衛プランに基づく対抗措置(差別的行使条件及び取得条項等が付された
新株予約権の無償割当て。以下「本対抗措置」といいます。)の発動を勧告いたし
ました。当社取締役会は、当社独立委員会による当該勧告を踏まえて、当社の企
業価値・株主共同の利益の確保・向上という観点から慎重に審議の上、本日、本対
抗措置として新株予約権の無償割当てを行うことを決議いたしました。詳細は、
当社が本日公表した「買収防衛策に基づく新株予約権の無償割当て及び新株予約
権の無償割当てに係る基準日設定に関するお知らせ」をご参照ください。
1.公開買付者の概要
(1) 名称 フリージア・マクロス株式会社
(2) 所在地 東京都千代田区神田東松下町 17 番地
(3) 代表者の役職・氏名 代表取締役社長 奥山 一寸法師
(4) 事業内容 1 製造供給事業
2 住宅関連事業
3 投資・流通サービス事業
(5) 設立年月日 1947 年 10 月 30 日
(6) 資本金 20 億 7,776 万 6,000 円(2020 年9月 30 日現在)
(7) 大株主及び持株比率 フリージアホールディングス株式会社 57.78%
(2020 年9月 30 日現在) 夢みつけ隊株式会社 2.63%
2
フリージア・アロケートコンサルティン 1.13%
グ株式会社
ダイトーエムイー株式会社 0.88%
楽天証券株式会社 0.68%
佐々木 ベジ 0.66%
松井証券株式会社 0.65%
刀根 康浩 0.64%
株式会社ケーシー 0.60%
秋田ハウス株式会社 0.51%
(8) 当社と公開買付者の関係
資本関係 公開買付者は、当社の発行済株式の 19.73%にあたる
株式を所有しています。
人的関係 当社と公開買付者との間には、記載すべき人的関係は
ありません。また、当社の関係者と公開買付者の関係
者及び関係会社の間には、特筆すべき人的関係はあり
ません。
取引関係 当社と公開買付者との間には、記載すべき取引関係は
ありません。また、当社の関係者と公開買付者の関係
者及び関係会社の間には、特筆すべき取引関係はあり
ません。
関係当事者への該当状況 公開買付者は、当社の関連当事者には該当しません。
また、公開買付者の関係者及び関係会社は、当社の関
連当事者には該当しません。
(注)公開買付者に関する記載は、公開買付者が 2021 年1月 28 日に提出した公開買付届
出書(以下「本公開買付届出書」といいます。、2021 年2月 15 日に提出した公開買
)
付届出書の訂正届出書(以下、本公開買付届出書と合わせて「本公開買付届出書等」
といいます。、並びに公開買付者が 2020 年6月 29 日に提出した第 77 期有価証券報
)
告書及び 2020 年 11 月 13 日に提出した第 78 期第2四半期報告書の記載に基づくも
のです。
2.買付け等の価格
普通株式1株につき、930 円
3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由
(1)意見の内容
3
本日、当社は、公開買付者により 2021 年1月 28 日に開始された当社株式に対する本
公開買付けについて、 「
下記 (2)意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、
反対の意見を表明することを決議いたしました。
株主の皆様におかれましては、本公開買付けに応募されないよう強くお願い申し上げ
ます。また、本公開買付けに既に応募された株主の皆様におかれましては、直ちに本公開
買付けに係る契約の解除を行っていただきますよう強くお願い申し上げます。
(2)意見の根拠及び理由
当社は、本公開買付けが開始されて以降、本公開買付けの内容を慎重に評価及び検討し
てまいりました。当社は、以下の理由から、本日、当社取締役会において、取締役全員の
一致により、本公開買付けに対して反対の意見を表明することを決議いたしました。
① 意見の根拠
本公開買付けは、当社に対して、事前に何らの通知や連絡もなく、また、事前協議の機
会もないまま、一方的に開始されたものです。本公開買付けの突然の公表を受け、当社は、
本公開買付けに対する当社の意見を表明するため、直ちに、本公開買付届出書の内容その
他の関連情報を精査の上、本公開買付けの内容の評価及び検討を慎重に進めてまいりま
した。なお、上記評価及び検討に際して、公開買付者が本買収防衛プラン上の大規模買付
け等に該当する行為を行っていることから、当社は、2021年2月6日、当社取締役会の恣
意的判断を排除し、当社取締役会の判断及び対応の客観性、合理性を確保する観点より、
当社独立委員会に対して、2021年2月6日付諮問事項(下記「(5)公正性を担保するた
めの措置及び利益相反を回避するための措置等」の「(ア) 当社独立委員会への諮問」に
おいて定義されます。以下同じです。)を諮問しております。
しかしながら、当社は、当社の株主の皆様に、本公開買付けに応募するか否かを適切に
ご判断していただく前提となる意見を形成及び表明するためには、本公開買付届出書に
記載された内容を含め、入手することができた情報のみでは不十分であると考えたこと
から、2021年2月9日開催の当社取締役会において、①本公開買付けが当社の企業価値の
向上及び株主の皆様の共同の利益を確保するために資するものであるかという点につい
て更なる評価及び検討を行うべく、また、②本買収防衛プラン上の大規模買付け等に対し
て本対抗措置の発動を行うべきかどうかを検討するべく、金融商品取引法(以下「法」と
いいます。 に基づく意見表明報告書における公開買付者に対する質問の制度を用いて、
)
公開買付者に対して質問を提示するとともに、同日時点においては、当社の本公開買付け
に対する意見の表明を留保する旨の意見表明報告書(以下「本意見表明報告書」といいま
す。)を提出しておりました(当該質問の内容は、2021年2月9日付留保プレスリリース
の「7 公開買付者に対する質問」及び別紙をご参照ください。)。
4
公開買付者は、当社からの質問を受け、2021年2月18日に、対質問回答報告書(以下「本
対質問回答報告書」といいます。)を関東財務局長に提出いたしました。当社は、本対質
問回答報告書、並びに当社が収集した公開買付者及び本公開買付けに関する情報を基に、
本公開買付けの内容を詳細に評価及び検討いたしました。
なお、当社は、本公開買付けに係る当社の意見を表明するにあたり、公開買付者及び当
社から独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国
法共同事業及び弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所(以下、総称して「アン
ダーソン・毛利・友常法律事務所」といいます。
)を選任し、その法的助言を受けており
ます。詳細は下記「(5)公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措
置等」の「(イ) 独立したリーガル・アドバイザーの選任」をご参照ください。
また、2021年2月6日付諮問事項の諮問を受けた当社独立委員会は、2021年2月8日、
2月16日、2月25日、3月2日及び本日の合計5回開催されました。当社独立委員会の各
開催日におけるそれぞれの審議の概要は下表のとおりです。なお、当社独立委員会の委員
は、各会合の間においても電子メール等を通じて、当社からの情報共有を受け、また、2021
年2月6日付諮問事項についての協議及び検討を行っております。
<当社独立委員会の審議の概要>
日時 概要
2021年2月8日 本公開買付届出書の内容に関する審議
当社が本公開買付けに対して留保の意見を表明し、公
開買付者に対して質問を提出することに関する審議・
勧告
2021年2月16日 本公開買付届出書等の内容に関する審議
本買収防衛プラン上の大規模買付け等に対する本対
抗措置の内容の検討及び評価
2021年2月25日 本公開買付届出書等の内容に関する審議
本対質問回答報告書の内容の検討及び評価
本買収防衛プラン上の大規模買付け等に対する本対
抗措置の内容(取締役会決議をもって本対抗措置を発
動することの是非及び発動にあたって前提となる条
件及び手続等を含む。)の検討及び評価
2021年3月2日 同上
2021年3月8日(本日) 本公開買付届出書等の内容に関する審議
5
本対質問回答報告書及び公開買付者回答(追加質問)
(以下に定義されます。)の内容の検討及び評価
本買収防衛プラン上の大規模買付け等に対する本対
抗措置の内容(取締役会決議をもって本対抗措置を発
動することの是非及び発動にあたって前提となる条
件及び手続等を含む。)の検討及び評価
なお、2021年2月25日付「フリージア・マクロス株式会社に対する当社の独立委員会か
らの追加質問の送付に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、当社独立委員会は、
第2回独立委員会(2021年2月16日開催)と第3回独立委員会(2021年2月25日開催)の
間において、本対質問回答報告書における公開買付者からの回答の一部について追加質
問を行う必要があると判断したため、2021年2月25日、当社独立委員会名義で公開買付者
に対して当社独立委員会作成の書簡(追加質問)を送付しております(当社独立委員会は
追加質問に対する回答期限を当初は3月3日(必着)としていましたが、公開買付者から
の要望があったことを踏まえて、その後、回答期限を3月5日(必着)としております。。
)
その後、公開買付者から2021年3月4日付で上記追加質問についての回答(「追加質問
事項に対する回答」と題する書面。以下「公開買付者回答(追加質問)」といいます。)
がなされ、当社独立委員会は、同日以降、公開買付者からの回答の検討を開始し、電子メ
ール等を通じて議論を行っております。
さらに、当社独立委員会は、2021年2月6日付諮問事項のうち、特に「本買収防衛プラ
ンに規定する本対抗措置の発動の是非(本対抗措置発動の停止、並びに本買収防衛プラン
の廃止及び変更の是非を含む。 並びに取締役会決議をもって当該措置を発動することの
)
是非及び発動にあたって前提となる条件及び手続等について勧告又は意見の提出を行う
こと」の検討を行うために、当社が取得した会社法の分野における複数の学者による見解
を示した意見書(本買収防衛プランに従って取締役会決議をもって本対抗措置を発動す
ることについて法的に問題がない旨の見解を示したもの)も併せて精査しております。
以上の調査、検討及び評価の過程を経て、当社独立委員会は、本日、当社取締役会に対
し、当社独立委員会の委員全員一致の意見として、公開買付者が本買収防衛プランに規定
する手続を遵守しておらず、また対抗措置を発動させないことが必要であることが明白
とはいえず、その他特段の事情も見当たらないので、当社独立委員会としては、本買収防
衛プランの規定に基づき、取締役会に対して、本対抗措置の発動を勧告するとの内容の答
申書(以下「本答申書」といいます。 を提出いたしました
) (本答申書の概要は、 「
下記 (5)
公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等」 「(ア) 当社独立
の
委員会への諮問」をご参照ください。)。
6
この勧告を受けて、本日開催の当社取締役会において、当社の企業価値・株主共同の利
益の確保・向上という観点から慎重に審議の上、取締役全員の一致により、本公開買付け
に対して反対の意見を表明すること、及び本買収防衛プランに基づく新株予約権の無償
割当てを行うこととすることを内容とする決議を行いました。
② 意見の理由
当社は、本公開買付けが開始されて以降、本公開買付けの内容を慎重に評価及び検討し
てまいりました。しかし、以下の理由から、2021年3月8日、当社取締役会において、取
締役全員の一致により、本公開買付けに反対する旨を決議しました。
(ア) 本公開買付け及び公開買付者との資本業務提携の構築は、顧客・仕入先・金融
機関との関係悪化を招く可能性があり、当社の企業価値を毀損し、ひいては株
主共同の利益を害するおそれが高いこと
(イ) 公開買付者が提案する事業上のシナジーは軽微であり、むしろマイナス面の方
が大きいこと
(ウ) 本公開買付けは、株主の皆様の意思を軽視するものとであると共に、少数株主
の皆様の利益を軽視していること
(エ) 公開買付者と当社との間では、業務提携のパートナーとしての信頼関係は到底
構築できないこと
上記の各項目に関する具体的な内容は、以下のとおりです。
(ア)本公開買付け及び公開買付者との資本業務提携の構築は、顧客・仕入先・金融機関
との関係悪化を招く可能性があり、当社の企業価値を毀損し、ひいては株主共同の
利益を害するおそれが高いこと
当社は、その創業理念たる経営理念として、「我社は、互いの善意と信頼とによって
結ばれた運命共同体であり、常に新しい価値を創造し、広くこれを販売することによっ
て、会社の繁栄と社員の幸福増進の一致を計り、社会の恩恵に報いることを使命とする」
ことを掲げております。当社は、このような経営理念の下、当社のお客様、仕入先様、
金融機関様その他の当社を支えて頂いているお取引先様、株主の皆様、地域社会、そし
て従業員とその家族をステークホルダーと捉え、それら全てのステークホルダーの皆
様との対話を重視し、各ステークホルダーの皆様との長期的・友好的な関係を構築する
ことに努めてまいりました。
当社は、公開買付者からの業務提携の提案に対しても、誠実に対話を続けてまいりま
した。すなわち、2019年11月14日の公開買付者との面談において、公開買付者及びその
7
グループ会社のホームページ等の情報から当社の商流等を考慮した上で公開買付者及
びそのグループ会社との間の業務提携の素案を示し、また、2020年2月18日の公開買付
者との面談において、当社から担当部長を紹介するなど、真摯に検討してまいりました。
しかしながら、その後の面談においては、公開買付者から当社に対する要望は専ら資本
政策に関する要望のみであり、公開買付者から当該業務提携に関する具体的なご提案
もなく、当該業務提携についての積極的な姿勢を示されなかったことから、当該業務提
携の話は具体的なものとはなりませんでした。そして、本公開買付届出書において公開
買付者は2020年4月9日の面談を最後に当社との業務提携に関する協議を打ち切った
旨記載されているとおり(本公開買付届出書6頁) 当社と公開買付者との間では、
、 2020
年4月9日の面談以降、業務提携に関する協議は行われていません。
そのような中、公開買付者は、当社に対して事前に通知や連絡は一切なく、また、事
前協議の機会もないまま、一方的に、「資本業務提携の交渉に際しての交渉力の強化を
目的」として(本公開買付届出書6頁)、本公開買付けを開始しました。このような事
前の通知・連絡も一切なく、一方的に開始された本公開買付けは、当社の「互いの善意
と信頼」を重視する経営理念に相反するものであり、当社のお取引先様からは心配の声
や懸念の声が上がっており、また、当社の経営理念に共感をいただいている株主の皆様、
従業員にも混乱が生じていることは紛れもない事実です。
特に、当社は、お客様の企画・開発・製造の各段階において、機密情報の交換をお客
様との間で行うことで、より踏み込んだ提案やお客様のニーズに合った製品の納入等
を行うことができていると考えておりますが、一方的に「資本業務提携の交渉に際して
の交渉力の強化を目的」とした本公開買付けを開始した公開買付者が、当社へ取締役の
派遣等を行うことで、機密情報が利用されるのではないかといった不安の声をお客様
から頂戴しております。当社といたしましては、そのような不安を覚えられたお客様が、
これまで当社への信頼の下、継続していただいておりました取引の打切りや減少の可
能性があることを危惧しております。加えて、当社と取引関係のある金融機関様から、
当社への新規融資の実行に関する懸念も示されており、当社は、本公開買付けが当社の
資金調達に悪影響を与える具体的な可能性があることも危惧しております。
なお、公開買付者による本対質問回答報告書において、「公開買付者からの動きに対
して、その話を聞いただけで『もう取引をやめる』と言う申し入れがあるなどとした、
対象者経営陣からの発言は不自然です。万が一、数ある取引先の中で一つ又は数社その
ような声があった場合、それは前述した公開買付者側の考えが正しく伝わっておらず、
歪曲して伝えられた可能性によるものと思います」等と述べておりますが(本対質問回
答報告書の別紙23頁。なお、以下、本対質問回答報告書の頁数を記載する場合、本対質
問回答報告書の別紙の頁数を意味します。)、複数のお取引先様から当社に寄せられた
心配の声や懸念の声は、当該お取引先様が公開買付者に関して自ら調査して確認した
8
結果によるものであり、当社から事実関係を歪曲してお取引先様にご案内するといっ
たことは行っていません。また、そのような意見が上がっていることは事実であって、
当社といたしましては、かかるお取引先様の現実の声を踏まえた判断をせざるを得ま
せん。
加えて、当社は、2020年11月6日に公表した「中期経営計画2022」の長期戦略マップ
内の戦略シナリオの実現に向けた取組みとして、新しいパートナーとの協業を進めて
おりますところ、複数の協業候補先様から、お取引先様と同様の心配の声や懸念の声が
上がっており、本公開買付けが当該協業の障害になっていることも事実であります。現
に2021年3月2日にプレスリリースしました「株式会社バルカーとの業務提携に関す
る基本合意書締結のお知らせ」
(https://www.nip.co.jp/news/20210302-1.pdf) 「5.
の
今後の見通し」及び本日プレスリリースしました「ミタチ産業株式会社との業務提携に
関する基本合意書締結のお知らせ」(https://www.nip.co.jp/news/20210308-1.pdf)
の「5.今後の見通し」のとおり、当社の経営に係る支配権の異動を伴う株主構成の変
動(議決権保有割合20%以上を保有する株主の異動を含むがこれに限られない。)が生
じた場合、当社と株式会社バルカーとの間の基本合意書及び当社とミタチ産業株式会
社との間の基本合意書が解除される可能性がありますが、これらは本公開買付けによ
る当社の経営に関する先行きの不透明性を一つの原因としております。なお、上述した
他の複数の協業候補先様からも、本公開買付けによる当社の経営に関する先行きの不
透明性に関する心配の声や懸念の声が寄せられております。
公開買付者は、事前の通知・連絡なく、本公開買付けを開始した点について、本対質
問回答報告書において、「会社は資本に対して等しく開かれた存在であり、株式を公開
し、上場させていると述べておりましたので、株式市場のルールに則り(本公開買付け
も含めますが)…買付けを行う事に致しました」等と述べていますが(本対質問回答報
告書18頁)、当社に対して事前に通知・連絡することなく、突然、本公開買付けを開始
し、利害関係者の皆様に混乱を生じさせることについてどのような評価・検討を行って
本公開買付けに踏み切ったのか、当社からの質問に対して十分かつ合理的な説明はな
されていません。
公開買付者は、突然の本公開買付けの開始により当社のステークホルダーの皆様に
混乱が生じることを容易に想定し得たにもかかわらず、かかる混乱を極小化するため
の措置を何ら講ずることなくこれを決行しました。このようにステークホルダーの皆
様への配慮ができない者が当社の大株主として当社株式の所有割合・議決権比率を高
めることで、当社の事業に対する影響力を強めることは、当社がこれまで大切に築いて
きた、当社企業価値の源泉でもある長期的・友好的な各ステークホルダーの皆様との関
係を危うくするものです。公開買付者のこのような行為は当社の経営理念に反し、また
当社の企業価値を毀損するものとして、到底認めることはできません。
9
(イ)公開買付者が提案する事業上のシナジーは軽微であり、むしろマイナス面の方が
大きいこと
当社は、2019年11月14日の公開買付者との面談において、公開買付者及びそのグルー
プ会社のホームページ等の情報から、当社の商流等を考慮した上で、公開買付者及びそ
のグループ会社との間の業務提携により発生するシナジーの素案を示しておりますが、
当社連結売上高に与える影響は軽微なものでありました。そのような状況にあっても、
当社は、2020年2月18日の公開買付者との面談において、当社から担当部長を紹介する
など、公開買付者との業務提携の可能性に関して真摯に検討してまいりました。しかし、
その後の公開買付者との面談においては、公開買付者から当社に対する要望は専ら資
本政策に関する要望のみであり、公開買付者から当該業務提携に関する具体的な提案
もなく、当該業務提携についての積極的な姿勢を示されなかったことから、当該業務提
携の話は具体的なものとはなりませんでした。
また、当社は、公開買付者が本公開買付届出書に示すシナジーの内容は、公開買付者
が主張するシナジーがどの程度の根拠があるものであるのかという点に関しても、疑
問を感じざるを得ないと考えていたところ、公開買付者から新たに公開買付者回答(追
加質問)を受領しましたので、次の①ないし⑥のとおり、公開買付者が提案するシナジ
ーに関する検証を真摯かつ誠実にいたしました。
当社といたしましては、公開買付者が提案する業務提携は、新たなシナジーを特段生
じさせるものでもなく、むしろ、公開買付者が当社の大株主となった上で形成される公
開買付者と当社との業務提携による当社へのマイナス面(継続していただいた取引の
打切りや減少の可能性)(詳細は上記(ア)をご参照ください。)の方が大きいものと危
惧しております。
当社は、下記(エ)で述べるとおり、公開買付者との間に業務提携のパートナーとし
ての信頼関係を構築することは到底できないと考えており、もはや、公開買付者が提案
する事業上のシナジーを当社が公開買付者とともに創出しようとする行為そのものが、
上記(ア)に述べた「当社の企業価値を毀損し、ひいては株主共同の利益を害するおそ
れ」を誘発する行為になるものとすら考えております。
① 射出成型技術
公開買付者は、「お客様の要望に応じた樹脂及び添加剤の配合比実験に対し
ても、タイムリーに行える体制を有しており、公開買付者との協業によって、
対象者のお客様の満足度を高めより付加価値のあるサービスが提供できるも
のと考えております」と述べています(公開買付者回答(追加質問)11頁)。
しかしながら、公開買付者が知見を有するという「押出」成形の樹脂材料は
10
汎用材料が多く、当社が得意としている「射出」成形の樹脂材料であるエンジ
ニアリングプラスチックとは明らかに樹脂のグレードが異なります。
また、公開買付者が続けて示された「リサイクルプラスチックの製造・開発
及び取引先ネットワークは、製造過程において多量の産業廃棄プラスチックの
産出を余儀なくされる対象者においては大いに役立つものと考えております」
との考え(公開買付者回答(追加質問)11頁)に関して、当社が製造している
自動車重要部品及び医療機器部品については、その安心・安全の確保のために
リサイクルプラスチックを使用することはお客様から認められておらず、これ
が製造に関して役立つことはありません。また、製造過程で発生する廃棄プラ
スチックについては、当社が契約している委託業者を通じて、適切に再生又は
再利用に努めております。
したがって、この点に関して公開買付者が見込むようなシナジーの発揮は、
難しいものと思われます。
② メンテナンスコスト及びライン改造費の削減
公開買付者は、メンテナンスコスト及びライン改造費の削減に関して「対象
者により効率のよいメンテナンス・技術・ノウハウ等の提供をできる余地があ
ると考えております」と述べていますが(公開買付者回答(追加質問)11頁)、
当社は、汎用設備に関しては、自社及び設備メーカーによる十分に効率的なメ
ンテナンス体制を構築しております。そのため、この点に関して公開買付者が
見込むようなシナジーの発揮は、難しいものと思われます。
③ 工場の自動化をはじめとした生産性向上
公開買付者は、「アフターメンテナンス等が可能な技術者がダイトーエムイ
ー株式会社には多数おりますので、その知見を共有すれば、対象者の国内国外
の工場においても生産性が高いFA化の推進に向けて、シナジーが発揮できる
のではないかと考えています」と述べていますが(公開買付者回答(追加質問)
12頁) 当社は、
、 自動機、全自動ラインを含むカスタム設備の製作に関しては、
主要顧客である大手自動車部品メーカーの協力会員として、当該顧客の生産技
術部門から技術・ノウハウのご提供を継続的に受けていることから、メンテナ
ンスはもとより、自動機及びカスタム設備の製作まで対応することができます。
したがって、この点に関して公開買付者が見込むようなシナジーの発揮は、
難しいものと思われます。
④ 電子デバイスに関わる事業
公開買付者は、「これらの先端技術へ向けて独自で大規模投資をするのは、
11
リスクが高すぎると考えられることから、企業規模にあった投資での対応を選
択するべきと考えています」と述べ(公開買付者回答(追加質問)12頁)、加
えて、「熱」問題を解決するための技術の例示として「レジンリッチなプリン
ト基板製造」等の技術を挙げています(公開買付者回答(追加質問)12頁)。
しかしながら、当社は、昭和電工マテリアルズ株式会社との間で特約店契約
に基づく良好な関係を長年に亘って構築しておりますので、両者の役割分担に
おいて、当社が先端技術に関する開発投資を行うことは戦略として考えておら
ず、また、当社は同社と競合する会社の技術・商材を原則として取り扱わない
方針を採っていることから、この点に関して公開買付者が見込むようなシナジ
ーの発揮は、難しいものと思われます。
⑤ RFID
公開買付者は、「富士通グループよりRFIDやICタグ等を仕入、それを使用し
てシステム(ハード・ソフト両面で)を各お客様向けに最適な設計を行った上
で、納入するビジネス展開」している公開買付者のグループ会社とされるソレ
キア株式会社と当社との協業によるシナジーについて述べていますが(公開買
付者回答(追加質問)12頁)、上記④で述べたとおり、当社は昭和電工マテリ
アルズ株式会社との良好な関係において、同社と競合する会社の技術・商材を
原則として取り扱わない方針を採っていることから、この点に関して公開買付
者が見込むようなシナジーの発揮は、難しいものと思われます。
⑥ 得意先、仕入先の拡張
公開買付者は、「ファナック㈱様、㈱豊田自動織機様、㈱東芝様などを始め
とした日本産業界の基幹をなす大手老舗のメーカー様多数と信頼関係を構築
した取引先として直接の口座を開いています。お取引先様の多くは新規には直
接口座を開設することが困難な取引先が含まれています」と述べた上(公開買
付者回答(追加質問)13頁)、当社が公開買付者の保有するこれらメーカー様
との取引口座を活用することで、スムーズな取引先の拡大やビジネスチャンス
の契機を狙えると述べていますが、当社は、設立69年の社歴の中で日本産業界
の基幹をなす多くのメーカー様とお取引をさせていただいており、これに加え
て、現時点において取引関係のないメーカー様へのアプローチの方法は、上記
(ア)で述べたとおり、ミタチ産業株式会社と業務提携に関する基本合意書を
締結し、相互製品のクロスセル等の実現に向けて協業を既に進めていることか
ら、この点に関して公開買付者が見込むようなシナジーの発揮は、難しいもの
と思われます。
12
(ウ)本公開買付けは、株主の皆様の意思を軽視するものとであると共に、少数株主の皆
様の利益を軽視していること
(a) 本公開買付けは、当社の株主の皆様から承認された本買収防衛プラン上の手続を
遵守しないまま開始されたものであり、株主の皆様の意思を軽視するものである
こと
本公開買付けは、当社に対して事前に通知や連絡は一切なく、また、事前協議の機会
もないまま、一方的に開始されたものですが、本公開買付けは2020年6月24日開催の当
社の第69期定時株主総会において株主の皆様の賛成多数の承認を得た本買収防衛プラ
ンに反する形で開始されています。公開買付者は、本買収防衛プランが当社の株主の皆
様の賛成多数の承認を得ていることを当然に認識しているはずであり、それにもかか
わらず、公開買付者は当社の定める手続を遵守しないまま本公開買付を開始したこと
は、公開買付者が当社の株主の皆様の意思を軽視し、また、当社との信頼関係を構築す
る姿勢を放棄しているといわざるを得ません。
このように本公開買付けは、当社の株主の皆様の意思を軽視している形で開始され
たものであるため、当社は公開買付者が本買収防衛プランを遵守しなかった理由を公
開買付者に質問いたしました。しかしながら、公開買付者は、本対質問回答報告書21頁
及び22頁並びに公開買付者回答(追加質問)において、本買収防衛プランへの不当な言
いがかりに言及するに終始しています(公開買付者の本買収防衛プランの効力に関す
る主張が不当な言いがかりであることについては、下記(エ)(b)をご参照ください。 。
)
(b) 本公開買付けは強圧性を有するものであり、少数株主の皆様の利益を軽視してい
ること
本公開買付けにおいては買付予定数の上限が定められており、その買付数は最大で
714,800株(所有割合:7.85%。なお、当該714,800株の買付け等を行った後に公開買付
者が所有することになる当社株式の数は2,511,500株となり、その所有割合は27.57%に
なります。)に設定されています。また、公開買付者において、本公開買付け後、買付
予定数の上限を超える株式数について、追加的に取得するか否かの方針に関しては、具
体的に決定している事項はないとのことです(本公開買付届出書12頁)。すなわち、本
公開買付後、当社株主の皆様は、限定された数の当社株式についての売却の機会を得る
一方で、応募された株式の全てについて公開買付価格による売却が保証されているも
のではありません。
一方、上記(a)で述べたとおり、本公開買付けは、株主総会において承認された本買
収防衛プラン上の手続を遵守せず開始されたという点において当社株主の皆様の意思
13
を軽視するものであり、かつ、下記(エ)で述べるとおり、公開買付者には当社のビジネ
スパートナーとしての適格性について疑問があり、公開買付者が当社の大株主となり、
実質的に当社の株主総会特別決議の単独否決権を有することとなるという事実のみで
も、当社の企業価値を毀損する可能性があるといえます。また、本公開買付け後に公開
買付者が予定している業務提携の提案は、上記(イ)で述べたとおり新たなシナジーを
特段生じさせるものでもないといえますが、公開買付者は、当該業務提携を実現させる
ために本公開買付けまで行っているのであり、本公開買付けが成立した場合には、その
特別決議の単独否決権を背景に、当社に対し当該業務提携を強いる可能性が高いとい
えます。
したがって、本公開買付けが成立した場合、当社との間で信頼関係を構築する意思が
なく、かつビジネスパートナーとしての適格性に欠ける公開買付者が大株主となるだ
けでなく、上記(イ)で述べたようなシナジーの見込めない業務提携をその株式の所有
割合を背景に強いられたり、当社の事業の理解が不十分な公開買付者が当社の事業に
影響を及ぼすことになるとすれば、当社の企業価値を毀損するリスクに晒されること
になり、当社株主の皆様は、このようなリスクを回避するために本公開買付けへの応募
を余儀なくさせられる点で、本公開買付けは強圧的なものであるといわざるを得ませ
ん。
この点、公開買付者は、本公開買付に上限を付した理由を述べていますが(本対質問
回答報告書28頁)、いずれも趣旨が不明瞭であり、合理的な説明では到底ありません。
さらに、公開買付者は、本公開買付けにより当社株式の流動性が低下することについて、
「本公開買付けに応募しても、最終的に当該上限を超える応募数が生じ、あん分比例の
方式によって一部売れ残ってしまった場合などは、中途半端な投資になるので、本公買
付け終了後、株式の売却を行う株主も想定されることから、流動性が上がる場合も多分
に予測されます」と説明しています(本対質問回答報告書25頁)。このような公開買付
者の見解は、買付予定数に上限を付した公開買付けにおいて、当社株主の皆様が、株主
全体としては応募しないことが適切であると判断しても、互いに連携できないために
市場価格に一定のプレミアムが付された公開買付価格で公開買付けに応募してしまう
という、強圧性を生じさせる背景である事実関係を肯定するものであり、強圧性が生じ
ることを問題視せず、むしろ容認しているというべきです。
以上のとおり、本公開買付けは、強圧性の懸念が大きく存在し、仮に本公開買付けへ
の応募が集まったとしても、それは本公開買付けの条件や本公開買付けにより公開買
付者が当社株式の所有割合を高めることに、株主の皆様が賛同されていることを必ず
しも意味しないものといえます。このような強圧性を有する本公開買付けは、少数株主
の皆様の利益を軽視するものであり、不当なものであると考えております。
14
(エ)公開買付者と当社との間では、業務提携のパートナーとしての信頼関係は到底構
築できないこと
(a) 当社従業員が公開買付者に対して不信感を抱いていること
当社は、当社と公開買付者が信頼関係を構築する上で、公開買付者が当社従業員から
の信頼を得ることも重要であると考えておりますが、当社の多数の従業員においては、
本公開買付け及び公開買付者に対して否定的な意見を有しております。
すなわち、本公開買付けの開始を受けて、当社は当社に所属する全従業員407名に対
して、中立的な選択肢(「どちらともいえない」、「その他」の選択肢)を含んだ公正
なアンケートを実施したところ、約96%の有効回答を受け、その内約80%の従業員が本
公開買付けに反対の意思を示しており(「どちらともいえない」、「その他」が合計約
18%)、反対理由の上位には「買収提案の狙い・目的が良くわからないため、買収後の
当社の企業価値が向上するとは思えない」、「労働条件(リストラ・配置転換・給与賞
与/退職金等)の改悪を警戒するから」、「買収後の事業方針(主要な顧客・仕入先・
金融機関等との取引)の転換や制約が懸念される」といったものが掲げられています。
このように、当社の多数の従業員は本公開買付けに反対をしており、本公開買付けの開
始に関する態様(事前の通知・連絡も一切なく、一方的に公開買付けを開始したこと)
や、公開買付者の目的(「資本業務提携の交渉に際しての交渉力の強化を目的」)に対
して疑問を有しております。このような状況の下で、本公開買付けが成立し、当社に対
する公開買付者の影響が強まった場合には、当社の従業員の離職や労働意欲の低下を
招くおそれがあり、また、それにより当社の企業価値の毀損につながるおそれがありま
す。
このように、当社の多数の従業員は本公開買付け及び公開買付者に対して否定的な
意見を有しており、当社と公開買付者が業務提携のパートナーとして信頼関係を構築
できるとは到底考えられません。
(b) 公開買付者は当社の株主総会決議に対して、不当な言いがかりを付して、株主総会
決議に係る取消訴訟を提起する敵対的な姿勢を見せていること
2020年10月16日付「訴状受領に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、公開
買付者は、当社の第69期定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)の一部
の決議(第4号議案 当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)継続
の件。以下「本議案」といいます。)の取消しを求めて、2020年9月23日付で当社を被
告として名古屋地方裁判所に提訴しています(以下「本件取消訴訟」といいます。)。
そして、公開買付者は、本公開買付届出書において、本定時株主総会に際して、公開買
15
付者が、一部の当社株主から議決権行使の委任を受けた議決権行使書について、当社が
恣意的に除外させたと考えている旨記載し(本公開買付届出書2頁)、同様の主張は本
件取消訴訟においてもなされています。
当社は、2009年6月29日開催の第58期定時株主総会終結の時をもって、かつて導入し
ていた買収防衛策を廃止しておりますが、その後の情勢の変化等も勘案しつつ、旧買収
防衛策の廃止前よりも、多くの顧客の皆様の技術等に係る機密情報を保有するに至っ
たことから、改めてその必要性について検討し、本買収防衛プランの導入を決定した次
第です。公開買付者は、「公開買付者に対抗することを目的として導入されたと考えら
れ」ると本公開買付届出書に記載していますが(本公開買付届出書2頁)、本買収防衛
プラン導入についての経緯と異なるものであり、当該記載は事実に基づかない憶測に
よるものです。
なお、公開買付者は、本件取消訴訟において、本定時株主総会の際に、当社が提出期
限までに指定の新東京郵便局私書箱に提出された議決権行使書面を除外し、一部株主
による議決権を意図的に認めなかったと主張しています。しかし、当社は、本定時株主
総会において株主から提出された議決権行使書面の集計を、当社の株主名簿管理人で
ある三菱UFJ信託銀行株式会社に委託し、同社による集計結果を、本定時株主総会にお
ける議決行使書面による議決権の行使の結果として適正に反映しており、一部の議決
権行使書面を恣意的に除外した事実はなく、これらの議決権行使書面は提出期限まで
に提出されなかったものと理解しております。上場会社として株主その他の全てのス
テークホルダーの皆様に法令遵守をお約束するべき立場にある当社がそのような行為
に出るはずがなく、公開買付者の主張は事実と異なるものです。
さらに、本対質問回答報告書によれば、公開買付者は、本公開買付け開始後、本議案
の無効確認請求訴訟も提起しているとのことです(本対質問回答報告書29頁。なお、当
社は、当該訴訟の訴状についてはまだ受領しておりません。)。
このように、本防衛買収防衛プランの導入経緯や議決権行使書面の集計について、事
実に基づかない不当な言いがかりを付して、本定時株主総会決議に係る取消訴訟を提
起し、かつ本議案について無効確認訴訟を重畳的に提起するなど、敵対的な姿勢を見せ
ている公開買付者との間で、当社が業務提携のパートナーとして信頼関係を構築して
いくことができるとは到底考えられません。
(c) 公開買付者の採用する、大株主としての影響力を背景に資本業務提携を迫る方法
について大きな疑問があること
公開買付者は、「資本業務提携の交渉に際しての交渉力の強化を目的」として本公開
買付けを開始したとのことですが(本公開買付届出書6頁)、このような姿勢は、公開
16
買付者が当社の大株主としての影響力を背景に、当社のステークホルダーの皆様の利
益を犠牲にして、自らの利益を追求するのではないかとの懸念を生じさせるものです。
すなわち、公開買付者は、「当時検討した他の投資先候補企業との比較において、対
象者は投資先候補企業の中で最も適した投資先企業である」と考え(本公開買付届出書
4頁)、「2019年2月14日から2019年5月23日にかけて、市場内取引により断続的に対
象者株式を取得し、1,796,700株(所有割合:19.73%)を所有するに至りました」との
ことですが(本公開買付届出書5頁)、そもそも、当社との業務提携を希望されるので
あれば、当社株式を取得される前に、業務提携の打診をまず先に行うことが通常である
と考えられます。この点に関する当社の公開買付者に対する質問に対し、公開買付者は
「業務提携を行う際、相手方の株式の取得前の時点に打診を行うことが、上場企業の場
合においても通常であると主張されておりますが、これは甚だ疑問です」と述べていま
すが(本対質問回答報告書14頁)、そのように判断する根拠は一切示されておらず、当
社といたしましては公開買付者が通常の順番とは異なる方法で、業務提携を実現しよ
うとしているといわざるを得ません。
当社といたしましては、シナジーの認められる可能性のある業務提携のご提案であ
れば、それを検討することは当然のことであり、検討の結果、シナジーの発生が具体的
に見込まれるのであれば、業務提携に関する契約の締結を真摯に検討するべきものと
考えております(しかしながら、公開買付者と当社との間の業務提携についてシナジー
が認められないことは、上記(イ)に記載したとおりです。)。公開買付者が、先に当社
株式を取得することを先行させたのは、本公開買付届出書に記載のとおり(本公開買付
届出書6頁)、当社の大株主としての「交渉力」を獲得した上で、当該交渉力を背景と
して、自身に有利な業務提携関係を構築するという戦略であると推察されます。「大株
主となって発言権を得なければ実現されない業務提携関係(言い換えれば、大株主にな
ることで初めて実現される業務提携関係)」は、当社にとって有利なものになるとは考
えられず、当社の少数株主の皆様の利益を犠牲にした上で、公開買付者に利する関係が
構築される可能性があると懸念しております。
(d) 公開買付者の、当社のビジネスパートナーとしての適格性について疑問があるこ
と
公開買付者は、有価証券報告書の不実記載を理由として、2020年9月10日に金融庁長
官から課徴金納付命令(合計金1200万円)の支払いを命じられております。
当社は、企業の持続的な成長を実現するために取り組むべき最も重要な課題の一つ
として、「コンプライアンスの遵守」及び「内部統制システムの推進」を掲げており、
当然のことながら当社のビジネスパートナーとなられる方における法令遵守・内部統
制に対する意識や体制について、高い関心を有しております。特に、本公開買付けが当
17
社と資本業務提携を構築することを目的とするものである以上は、公開買付者の法令
遵守・内部統制に対する意識や体制を検討及び評価することは当然のことといえます。
そのため、当社といたしましては、本意見表明報告書において、上記の課徴金納付命令
の件に加えて、公開買付者又はその役職員が関与していると思われる他の件、並びに、
公開買付者グループ及びその役職員によるその他の法令違反や訴訟等の有無について、
質問をさせていただいた次第です。これらの質問は、当社独立委員会及び当社のリーガ
ル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所の確認を経て提出したも
のではありますが、当社として関心を有している事項であり、当然のことながら、当社
として質問したいと考えたからこそ質問をさせていただいたものです。しかしながら、
これに対して、本対質問回答報告書における公開買付者の回答は、質問をしたことに対
する当社に対する非難がその内容の大部分を占めており、肝心の質問事項に対しては
十分な回答ないし説明がなされておらず、当社といたしましては、公開買付者に関する
法令遵守の意識及び体制に関して疑問を有せざるを得ません。
当社といたしましては、公開買付者の法令遵守・内部統制に対する意識及び体制は不
十分であるといわざるを得ないと考えており、当社のビジネスパートナーとしての適
格性に疑問を抱いております。
(オ) 結論
以上のとおり、当社は、①本公開買付け及び公開買付者との資本業務提携の構築は、
顧客・仕入先・金融機関との関係悪化を招く可能性があり、当社の企業価値を毀損し、
ひいては株主共同の利益を害するおそれが高いこと、②公開買付者が提案する事業上
のシナジーは軽微であり、むしろマイナス面の方が大きいこと、③本公開買付けは、株
主の皆様の意思を軽視するものとであると共に、少数株主の皆様の利益を軽視してい
ること、④公開買付者と当社との間では、業務提携のパートナーとしての信頼関係は到
底構築できないことから、本公開買付けに対して反対いたします。
(3)上場廃止となる見込み及びその事由
当社株式は、本日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)
JASDAQ(スタンダード)及び株式会社名古屋証券取引所(以下「名古屋証券取引所」
といいます。)市場第二部に上場されております。
本公開買付届出書によれば、本公開買付けは、当社株式の上場廃止を企図するものでは
なく、公開買付者は買付予定数の上限を設定しているとのことです。そのため、本公開買
付け後、公開買付者が所有する当社株式の数は最大で 2,511,500 株(所有割合(注1)
:
27.57%)に留まる予定とのことです。したがって、当社株式は、本公開買付け成立後も、
18
東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場における上場が維持される見込みとの
ことです(以上、本公開買付届出書 12 頁)(注2)
。
(注1)本公開買付届出書によれば、
「所有割合」とは、当社が 2020 年 11 月 12 日に提出
した第 70 期第2四半期報告書に記載された 2020 年9月 30 日現在の発行済株式
総数(9,127,338 株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(19,133 株)
を控除した株式数(9,108,205 株)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四
捨五入しているとのことです(本公開買付届出書2頁)
。以下同じです。
(注2)本公開買付届出書には記載はございませんが、名古屋証券取引所市場第二部にお
ける上場に関しても同様であると考えられます。
(4)本公開買付け成立後の公開買付者による当社の株券等の追加取得の予定
本公開買付届出書によれば、公開買付者は、本公開買付けによって買付予定数の上限
(714,800 株(所有割合:7.85%)
)まで当社株式を取得できなかった場合には、買付予
定数の上限と本公開買付けにより買付けた当社株式の数の差の範囲で、市場内取引によ
り当社株式を追加取得する予定とのことです。なお、公開買付者は、本公開買付け後、買
付予定数の上限(714,800 株(所有割合:7.85%))を超える株式数について、追加的に取
得するか否かの方針に関しては、具体的に決定している事項はないとのことです(以上、
本公開買付届出書 12 頁)
。
(5)公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等
(ア) 当社独立委員会への諮問
当社は、公開買付者は本買収防衛プラン上の大規模買付け等に該当する行為を行っ
ていることから、本買収防衛プランに基づき、当社取締役会の恣意的判断を排除し、当
社取締役会の判断及び対応の客観性、合理性を確保する観点から、2020 年6月 24 日付
で選任され、当社の監査等委員である取締役であり社外取締役兼独立役員である林高
史氏及び池田桂子氏並びに外部の専門家である仁科秀隆氏から構成される当社独立委
員会に対して、以下の事項を諮問しておりました(以下「2021 年2月6日付諮問事項」
といいます。。なお、本買収防衛プランにおいて、当社取締役会の意思決定は、当社独
)
立委員会の勧告内容を最大限尊重することとしております。また、当社は、当社独立委
員会の各委員において、公開買付者又は当社との間に重要な利害関係が存在しないこ
とを確認しております。
<当社から当社独立委員会への諮問事項>
① 公開買付者による本買収防衛プランに規定する手続の遵守の有無及びその状況
に関する調査・検討及び評価を行うこと。
19
② 当社が公開買付者に対して提供を要請する情報の十分性等について、調査、検討
及び評価を行うこと。
③ 公開買付者が提供する情報の十分性等について、調査、検討及び評価を行うこ
と。
④ 本公開買付けが、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるもので
ないかについて、調査、検討及び評価を行うこと。
⑤ 以上の調査、検討及び評価を踏まえた上で、本対抗措置の発動の是非(本対抗措
置発動の停止、並びに本買収防衛プランの廃止及び変更の是非を含む。)並びに
取締役会決議をもって当該措置を発動することの是非及び発動にあたって前提
となる条件及び手続等について勧告又は意見の提出を行うこと。
⑥ 以上の他、当社取締役会が判断すべき事項のうち、当社取締役会が当社独立委員
会に随時諮問する事項及び当社独立委員会が当社取締役会に勧告又は意見すべ
きと考える事項について、調査、検討及び評価並びに勧告又は意見の提出を行う
こと。
当社独立委員会は、2021 年2月8日開催の第1回独立委員会より、2021 年2月6日
付諮問事項の審議を開始し、本日までの間に合計5回、合計約 10 時間半にわたって開
催され、2021 年2月6日付諮問事項についての協議及び検討を行いました(当該協議
及び検討の概要は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 意見の根拠」をご参照
ください。。なお、当社独立委員会の委員は、各会合の間においても電子メール等を通
)
じて、当社からの情報共有を受け、また、2021 年2月6日付諮問事項についての協議
及び検討を行っております。
なお、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 意見の根拠」に記載のとおり、当
社独立委員会は、第2回独立委員会(2021 年2月 16 日開催)と第3回独立委員会(2021
年2月 25 日開催)の間において、2021 年2月 25 日、当社独立委員会名義で公開買付
者に対して当社独立委員会作成の書簡(追加質問)を送付しております。
その後、公開買付者から 2021 年3月4日に公開買付者回答(追加質問)を受領後、
当社独立委員会は、同日以降、公開買付者からの回答の検討を開始し、電子メール等を
通じて議論を行っております。
以上の調査、検討及び評価の過程を経て、当社独立委員会は、本日、当社取締役会に
対し、当社独立委員会の委員全員一致の意見として、以下の答申を内容とする本答申書
を提出いたしました。本答申書の概要は以下のとおりです。
<2021 年2月6日付諮問事項に対する答申の内容>
20
A 本件では公開買付者が意向表明書の事前提出を行わなかったこと、当社による
是正要求に対しても公開買付者が何らかの対処を行わなかったこと、並びに当
社による本意見表明報告書の提出及び当社独立委員会による追加質問に対して
も結果的に公開買付者から必要な情報の提供がされるまでには至らなかったこ
とからすれば、本買収防衛プランに規定する手続を遵守していない。
B 本件で当社が公開買付者に提供を要請した情報は、本買収防衛プランにおいて
本必要情報として収集が予定されていた情報のうち、本公開買付届出書によっ
て確認できる事項以外の項目が網羅されており、当社は、公開買付者に対して、
企業価値・株主共同の利益の確保・向上の観点から合理的に必要な情報の提供を
要請したものと認められる。
C 公開買付者から提供された情報は、一定の参考になる情報は含まれているもの
の、業務面でのシナジーについては具体性を欠くところが多く(またそのことを
一部公開買付者自身も認めている。、資本面での提携の必要性については回答
)
がされていないことからすれば、公開買付者が提供した情報は、本公開買付けが
当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるものでないかについて判
断するために十分とはいえない。
D 本件では本買収防衛プランが遵守されなかったため、当社独立委員会が、本買収
防衛プランが本来想定しているような態様で本公開買付けの当社の企業価値等
への影響を検討することができないという事情が存在すること、公開買付者か
らの回答の不十分性、当社による本公開買付けに対する分析及び当社に関する
その他の事情を勘案すれば、当社独立委員会では、本公開買付けが当社の企業価
値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるか否かについて、本件の事情のもとで
断定的な判断を行うことは難しいものの、本公開買付けが当社の企業価値・株主
共同の利益の確保・向上を妨げないことが明白であるとはいえない以上、本公開
買付けは、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるおそれがある
と認めざるを得ない。
E 上記 A から D に照らせば、公開買付者が本買収防衛プランに規定する手続を遵
守しておらず、また対抗措置を発動させないことが必要であることが明白とは
いえず、その他特段の事情も見当たらないので、当社独立委員会としては、本買
収防衛プランの規定に基づき、取締役会に対して、本対抗措置の発動を勧告す
る。また本件の経緯に照らせば、取締役会決議をもって本対抗措置を発動するこ
ともやむを得ない。ただし、本公開買付けが撤回された場合及び裁判所による発
動の差止命令が確定した場合には、この限りでない。
(a) 諮問事項①(公開買付者による本買収防衛プランに規定する手続の遵守の有無及
びその状況に関する調査・検討及び評価を行うこと)について
21
(i) 諮問事項①の検討
本買収防衛プランは、対象となる大規模買付け等について、意向表明書の事前提
出等のステップを経ることが予定されている。しかし、本件では、このステップが
遵守されない状態で本公開買付けが開始されており、かつ、本答申書の作成日であ
る2021年3月8日現在においても遵守されていないことは明らかである。
(ii) 諮問事項①の結論
以上のような経緯から、公開買付者は本買収防衛プランに規定する手続を遵守
していないものと認められる。
(b) 諮問事項②(当社が公開買付者に対して提供を要請する情報の十分性等について、
調査、検討及び評価を行うこと。)について
(i) 諮問事項②の検討
本件で当社が提供を要請した情報は、少なくとも、本買収防衛プラン上、予定さ
れている項目としては網羅されており、当社としては、限られた時間の中で可能な
限り必要な情報の収集に努めたものと考えられる。このほか、本件で当社が提供を
要請した情報の中に、
「買収防衛策の導入、発動及び廃止は、企業価値、ひいては、
株主共同の利益を確保し、又は向上させる目的をもって行うべきである」という買
収防衛指針の基本的な考え方に反するようなものは見当たらない。
(ii) 諮問事項②の結論
以上からすれば、突然本公開買付けが開始されたという本件の事情の下では、当
社として時間的な制約の中で企業価値・株主共同の利益の確保・向上の観点から合
理的に必要な情報の提供を要請したものと認められる。
(c) 諮問事項③(公開買付者が提供する情報の十分性等について、調査、検討及び評価
を行うこと。)について
(i) 諮問事項③の検討
本件では公開買付者が当社との資本業務提携を企図していることからすれば、
当社からの質問の中でも、資本面での提携と業務面での提携によって、当社(公開
買付者ではない)の企業価値にどのような影響があるのかは、特に重要な質問であ
ると考えられる。
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まず業務面での提携について、本公開買付届出書において、当社の販路の拡大と
当社の仕入れコストの低下という一般的な説明に留まっており、なぜそれがシナ
ジーとなるのかは一般の株主にとって不明というほかない。というのも、それが実
現可能であるのか、また実現するとしてどの程度の効果が見込まれるのか(他の方
策よりも公開買付者との業務提携が魅力的な方策であるのか)についての分析の
材料となる情報が見当たらないからである。
なお、この点について当社独立委員会がさらに追加質問で回答を求めたところ、
公開買付者は、公開買付者回答(追加質問)で、シナジーが期待できる項目につい
て追記を行っている。もっとも、これらの追記も、従前の回答を一定程度補強し具
体化するものではあるものの、上記のような実現可能性の疑義や他の方策と比べ
ての優位性は依然として不明なままである。
このほか、本対質問回答報告書では、当社からの質問のうち一部については、関
連がない質問であるという理由で回答を省略しているほか、当社株式の取得の経
緯に関する質問に対しても、当社がかつて買収防衛策を廃止した事実を回答とし
て記載しているが、質問と回答が対応していない。
また、資本面での提携を目指す理由についても、質問に対応した回答がされてい
ない。例えば、資本面での提携効果についての参考となる質問として、公開買付者
がこれまで投資してきた上場会社に対してどのような影響を及ぼしたかについて
の質問をしたところ、公開買付者からは、資本面での提携がどのような意味を有す
るのかについて、説明がされていない。
(ii) 諮問事項③の結論
以上のように、公開買付者から提供された情報は、一定の参考になる情報は含ま
れているものの、業務面でのシナジーについては具体性を欠くところが多く、資本
面での提携の必要性については回答がされていない。
したがって、結論として、公開買付者から提供された情報は、本公開買付けが当
社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるものでないかについて判断す
るために十分なものとはいえない。
(d) 諮問事項④(本公開買付けが、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨
げるものでないかについて、調査、検討及び評価を行うこと。)について
(i) 諮問事項④の検討
時間的制約及び情報の制約等の各種制約の下で、当社独立委員会として可能な
限りの検証を行ったものの、本公開買付けが、当社の企業価値・株主共同の利益の
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確保・向上を妨げるものでないと認める根拠を見いだすことはできなかった。その
ため、当社独立委員会では、本公開買付けが当社の企業価値・株主共同の利益の確
保・向上を妨げるか否かについて、本件の事情のもとでは、断定的な判断を行うこ
とは難しいといわざるを得ない。もっとも、当社独立委員会がこのような時間的制
約及び情報の制約の中で検討を行い、上記のような結論を述べざるを得ないこと
になったのは、もともと、買収提案について検討に必要な時間を確保するために設
けられている本買収防衛プランを公開買付者が敢えて遵守せずに本公開買付けに
踏み切ったことが原因である。
そもそも、公開買付者側がいうように、本公開買付けによって当社の企業価値・
株主共同の利益の確保・向上効果があると考えるのであれば、当社独立委員会に対
しても、本買収防衛プランを遵守し、本買収防衛プランが想定する手続の中で十分
そのことを証明できるはずである。公開買付者が敢えてそのような選択をしなか
ったことによって公開買付者が本対抗措置の発動という対応を受けるのも、やむ
を得ないことといえる。
(ii) 諮問事項④の結論
以上の検討からすれば、本公開買付けが当社の企業価値・株主共同の利益の確
保・向上を妨げないことが明白であるとはいえない以上、本件の事情のもとでは、
本公開買付けは、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を妨げるおそれが
あると認めざるを得ない。
(e) 諮問事項⑤(本対抗措置の発動の是非(本対抗措置発動の停止、並びに本買収防衛
プランの廃止及び変更の是非を含む。 並びに取締役会決議をもって当該措置を発
)
動することの是非及び発動にあたって前提となる条件及び手続等について勧告又
は意見の提出を行うこと。)について
(i) 諮問事項⑤の検討
ア 本対抗措置の発動の是非
本買収防衛プランによれば、当社独立委員会は、本買収防衛プランを遵守しない
大規模買付け等について、当社が是正を勧告しても是正されない場合には、(ⅰ)
当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上のために対抗措置を発動させないこ
とが必要であることが明白であること、
(ⅱ)その他特段の事情がある場合を除き、
原則として、対抗措置の発動を勧告するものとされている。
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その上で、本件では、公開買付者が本買収防衛プランに規定する手続を遵守せず、
また、当社からの本是正要求書による是正の要求にも応じなかった事実が認めら
れる。そのため、本買収防衛プランによると、本件では、上記(ⅰ)
(ⅱ)のよう
な事情がない限り、当社独立委員会としては本対抗措置の発動を勧告すべきこと
になる。
そして、上記(d)で述べたとおり、本公開買付けに、当社の企業価値・株主共
同の利益の確保・向上を妨げるおそれがないとはいえない以上、上記(ⅰ)のよう
な、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上のために対抗措置を発動させる
べきでないと断定する理由はない。このほか、上記(b)及び(c)で述べた本件におけ
る当社と公開買付者との情報の授受の経緯からみても、上記(ⅱ)のような、本対
抗措置を発動させないことが必要である特段の事情も見当たらない。
以上から、当社独立委員会は、本買収防衛プランの原則どおり、取締役会に対し
て、対抗措置の発動を勧告する。
イ 公開買付者の指摘について
以上に対して公開買付者は、本公開買付届出書において、大規模買付け等におい
て本買収防衛プランが遵守された場合に、原則として対抗措置の発動を勧告しな
いものとしつつ、企業価値・株主共同の利益を著しく損なうものであると認められ
る事由があれば対抗措置の発動を勧告するものとしていることを踏まえて、公開
買付者が本買収防衛プランを遵守しなくても、こうした事由がなければ対抗措置
は発動されない(されるべきでない)と主張するようである。
しかし、本買収防衛プランについて、公開買付者の指摘するような解釈が成り立
たないことは、本買収防衛プランの規律上も明らかである。すなわち、本買収防衛
プランは、本買収防衛プランの手続が遵守されるか否かを大きな分水嶺として、当
社独立委員会の本対抗措置の発動の是非に関する勧告の原則的ルールを大きく分
けている。
ウ 取締役会決議による本対抗措置の発動の是非
本買収防衛プランでは、必要に応じて発動の可否について株主総会を招集する
こともあり得るものとされているが、本件では突然本公開買付けが開始されたこ
ともあって、株主総会開催することは事実上不可能である。
そして、このように株主の意思を改めて確認することが事実上不可能な状態に
あるのは、公開買付者側が本買収防衛プランの存在を知りながら敢えてそれを遵
守しなかったことが原因なのであるから、こうした経緯に照らせば、取締役会決議
をもって対抗措置を発動することもやむを得ない。
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また、本株主総会で本買収防衛プランが導入された事実は、本株主総会において
当社の株主が、
「本買収防衛プランが遵守されなければ、独立委員会が原則として
本対抗措置の発動を勧告する」という点を是認したことを意味するから、本件のよ
うに再度株主総会を開催する時間的余裕が(もっぱら買付者の事情により)ない場
合には、導入済みの本買収防衛プランで想定されているとおりに対抗措置を発動
するのが、株主の判断に沿う選択であるといえる。
さらに、当社が取得した会社法の分野における複数の学者による見解を示した
意見書においても、本対抗措置を取締役会限りで発動することが認められる旨の
意見が述べられている。
(ii) 諮問事項⑤の結論
以上の検討からすれば、本買収防衛プランの規定に基づき、取締役会に対して、
本対抗措置の発動を勧告する。その際、取締役会決議をもって本対抗措置を発動す
ることもやむを得ない。ただし、本公開買付けが撤回された場合及び裁判所による
発動の差止命令が確定した場合には、この限りでない。
(イ) 独立したリーガル・アドバイザーの選任
当社は、本公開買付けの評価及び検討に際して、意思決定過程における公正性・適正
性を確保するため、公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてア
ンダーソン・毛利・友常法律事務所を選任し、その法的助言を踏まえて、本公開買付け
について慎重に評価及び検討しております。また、当社は本買収防衛プランに基づく新
株予約権の無償割当てに関する意思決定過程における公正性・適正性を確保するため、
アンダーソン・毛利・友常法律事務所からの法的助言を踏まえて、慎重に検討を行って
おります。
なお、アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、公開買付者又は当社との間に重要な
利害関係を有しておりません。
4.公開買付者と自社株主・取締役等との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意
に関する事項
該当事項はありません。
5.公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容
該当事項はありません。
6.会社の支配に関する基本方針に係る対応方針
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(ア) 新株予約権の無償割当ての決定に至った経緯及び理由
当社においては、2020 年6月 24 日開催の当社の第 69 期定時株主総会において、本買
収防衛プランが株主の皆様の賛成多数の承認を得て継続されております。本買収防衛プ
ランにおいては、当社が発行者である株式等についての当社の特定の株主の株式等保有
割合(注) 20%以上となる買付けを含む本買収防衛プランにおいて
が 「大規模買付け等」
として定義された株式等の取得(以下「大規模買付け等」といいます。)を行おうとする
者(以下「買付者等」といいます。
)は、当社へ意向表明書を事前に提出することや、大
規模買付け等に対する株主及び投資家の皆様のご判断等のための情報提供を行うこと等
の一定の措置を講じることが求められております。本買収防衛プランにも記載されてお
りますとおり、これは、買付者等による情報提供、当社取締役会による検討・評価といっ
たプロセスを実施することにより、大規模買付け等の開始前に所要の情報提供や検討期
間を確保するためのものであって、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に
資さない大規模買付け等を可及的に排除するために必要かつ有効なものであると考えて
おります。
それにもかかわらず、公開買付者は本買収防衛プランの手続を一切遵守することなく、
本公開買付けを開始しております。
本買収防衛プランにおいては、当社独立委員会は、買付者等が本買収防衛プランに規定
する手続につきその重要な点において違反した場合で、当社取締役会がその是正を書面
により当該買付者等に対して要求した後5営業日(初日不算入)以内に当該違反が是正さ
れない場合には、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上のために対抗措置を発動
させないことが必要であることが明白であることその他特段の事情がある場合を除き、
原則として、当社取締役会に対して、対抗措置の発動を勧告することとされております。
当社取締役会は、2021 年2月 10 日、公開買付者に対し、本買収防衛プランに規定する
手続の違反の是正を書面により要求いたしましたが、5営業日後である同月 18 日までに
当該違反は是正されませんでした。
当社独立委員会は、本公開買付けが本買収防衛プランに規定する手続につきその重要
な点において違反していることに加えて、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上
のために対抗措置を発動させないことが必要であることが明白であることその他特段の
事情も認められないと判断し、本日、当社取締役会に対して、本対抗措置の発動を勧告い
たしました。
かかる当社独立委員会の勧告を受け、当社取締役会は、取締役全員の一致により、本対
抗措置として、新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。
)の無償割当てを決議い
たしました。
なお、当社独立委員会に対する諮問事項及びこれに対する答申の内容、並びに当社独立
委員会の検討過程については、上記「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び
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理由」の「(5)公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等」の
「(ア) 当社独立委員会への諮問」をご参照ください。
(注)法第 27 条の 23 第1項に規定される「株券等保有割合」を意味するものとしま
す。
(イ) 新株予約権の無償割当て
当社は、本答申書を受け、当社取締役会は、取締役全員の一致により、本対抗措置とし
て、本新株予約権の無償割当てを決議いたしました。詳細は、当社が公表した本日付の「買
収防衛策に基づく新株予約権の無償割当て及び新株予約権の無償割当てに係る基準日設
定に関するお知らせ」をご参照ください。
なお、当社は、会社法の分野における複数の学者による見解を示した意見書を取得して
おり、当該意見書においては、本買収防衛プランに従って取締役会決議をもって本対抗措
置を発動することについて法的に問題がない旨の意見が記載されています。
7.公開買付者に対する質問
該当事項はありません。
8.公開買付期間の延長請求
該当事項はありません。
以 上
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