9501 東電力HD 2019-04-23 18:00:00
特別事業計画の変更の認定について [pdf]

                                                    平成31年4月23日


各 位


                    会 社 名 東京電力ホールディングス株式会社
                    代表者名 代 表 執 行 役 社 長 小 早 川 智 明
                                (コード番号:9501 東証第1部)
                    問合せ先 総 務 ・ 法 務 室 株 式 ク ゙ ル ー フ ゚ マ ネ ー シ ゙ ャ ー 山 上 聡
                                (TEL.03-6373-1111)




            特別事業計画の変更の認定について




 当社は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法第 46 条第 1 項の規定に基づき、原子
力損害賠償・廃炉等支援機構と共同で、主務大臣(内閣府機構担当室及び経済産業
省資源エネルギー庁)に対し、平成 30 年 4 月 24 日に認定を受けた特別事業計画の
変更の認定を本年 3 月 20 日に申請しておりましたが、本日、同計画について認定を
いただきました。


 当社といたしましては、原子力事故の被害に遭われた方々の立場に寄り添った賠
償を最後のお一人まで貫徹してまいります。


                                                                以 上


添付資料:特別事業計画の変更の概要
参   考:新々・総合特別事業計画(抄)
                                            添付資料


                 特別事業計画の変更の概要


1.今回の変更の考え方
 ○ 原子力損害賠償に万全を期すため、
                  「要賠償額の見通し」に係る項目を中心に変更。
 ○ 上記に加え、所要の変更も実施。




2.主な変更内容
  出荷制限指示等による損害、風評被害等の見積額の算定期間の延長に加え、除染等
 費用の一部について、応諾実績の増加や、関連事業の進展により、一定の予見可能性が
 生じてきたこと等から、要賠償額は 5,776 億円増加し、10 兆 9,672 億円となった旨を
 記載。


<要賠償額増加の内訳>
 ○ 出荷制限指示等による損害、風評被害等の見積額の算定期間の延長による増加等
   …約 1,598 億円
 ○ 除染等費用の一部について、応諾実績の増加や、関連事業の進展により、一定の
   予見可能性が生じてきたことによる増加等
   …約 4,178 億円


                                             以 上
                                       参   考




     新々・総合特別事業計画(抄)

             (第三次計画)




当資料では、2018 年 4 月に認定を受けた新々・総合特別事業計画から
変更があった項目のみを記載し、変更箇所を赤字とした。




         2017 年 5 月 18 日(認定)
         2017 年 7 月 26 日(変更認定)
         2018 年 4 月 24 日 ( 変 更 認 定 )
         2019 年 4 月 23 日(変更認定)
         原子力損害賠償・廃炉等支援機構
         東京電力ホールディングス株式会社
                               <目次>
   目次中の赤字は変更があった項目
1.新々・総合特別事業計画(第三次計画)の全体像 .................... 2

(1)策定に当たって(背景) ......................................... 2

(2)東電のこれまでの取組と評価 ..................................... 3

(3)新々・総特の枠組み、経営の基本方針............................. 3

2.事業戦略 ....................................................... 10

Ⅰ)福島事業 ........................................................ 10

(1)賠償 .......................................................... 10

(2)復興 .......................................................... 13

(3)廃炉 .......................................................... 15

Ⅱ)経済事業 ........................................................ 26

(1)燃料・火力事業(東京電力フュエル&パワー) ................... 26

(2)送配電事業(東京電力パワーグリッド).......................... 29

(3)小売事業(東京電力エナジーパートナー)........................ 33

(4)原子力事業 .................................................... 36

(5)再生可能エネルギー事業等 ...................................... 40

(6)コーポレート機能 .............................................. 42

3.資産及び収支の状況に係る評価 ................................... 46

(1)収支の見通し .................................................. 46

(2)資産と収支の状況に係る評価 .................................... 52

4.経営責任の明確化のための方策・関係者に対する協力要請 ........... 53

(1)経営責任の明確化のための方策.................................. 53

(2)金融機関及び株主への協力要請.................................. 53

5.資金援助の内容 ................................................. 55

(1)東京電力ホールディングスに対する資金援助の内容及び額 ......... 55

(2)交付を希望する国債の額その他資金援助に要する費用の財源 ....... 56

6.機構の財務状況 ................................................. 57


                                -1-
1.新々・総合特別事業計画1(第三次計画2)の全体像

(1)策定に当たって(背景)

     東日本大震災、福島第一原子力発電所事故(以下、  「福島原子力事故」という。  )
    から 6 年、
          「新・総合特別事業計画」
                     (以下、
                        「新・総特」という。  )の策定から 3 年
    が経過した。今回原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下、  「機構」という。 )及び
                                        3
    東京電力ホールディングス株式会社(以下、「東電 HD」という。)は、東電 経営の根
    幹である総合特別事業計画を全面的に改訂し、 「新々・総合特別事業計画(第三次計
    画)(以下、
      」   「新々・総特」という。)を策定することとした。

     福島原子力事故への対応こそが東電の原点であり、福島への責任を果たすために
    東電が存続を許されたということは今後も不変である。東電は、この使命を肝に銘
    じ、福島を始め被災者の方々が安心し、社会の理解を得られるよう万全を期すとと
    もに、廃炉も含めた事故の責任を全うしなければならない。また、今後は特に、廃
    炉事業の完遂と、これまで国が実質的に立て替えてきた多額の賠償等の費用の償還
    原資を東電がどう捻出するかが焦点となる。東電は、今般策定する新々・総特に基
    づき、非連続の経営改革をやり遂げることで企業価値を向上し、これにより、国民
    負担の抑制と国民還元を実現しなければならない。

     他方において、新・総特策定後、東電を巡る環境は大きく変わった。

     第一に、  福島原子力事故関連の必要資金規模の拡大である。      新・総特においては、
    被災者賠償 5.4 兆円、廃炉 2 兆円、除染 2.5 兆円、中間貯蔵 1.1 兆円を合わせて総
    額 11 兆円の資金規模を想定した。また、これらの資金を捻出するため、経営合理
    化、ホールディングカンパニー制導入、包括的アライアンス等の施策を掲げ、これ
    らは一定程度進捗してきた。しかし、国の「東京電力改革・1F 問題委員会」        (以下、
    「東電委」という。  )においては、福島原子力事故に関連した必要資金規模は、被災
    者賠償 8 兆円、廃炉 8 兆円、除染・中間貯蔵 6 兆円の合計約 22 兆円へと倍増する
    と試算されている。もとより現在でも、これらの資金は東電のみが負担しているの

1
  新々・総特は、2018 年 4 月等に原子力損害賠償・廃炉等支援機構法第 46 条第 1 項に基づく変更認定
  を受けた。その後、2019 年 3 月に損害賠償に万全を期すため、同法第 41 条第 2 項第 2 号(要賠償額
  の見通し及び損害賠償の迅速かつ適切な実施のための方策)等に係る内容の変更について主務大臣
  への認定を申請。今回の申請では内容変更しない事項については、経営環境の変化等を踏まえて精
  査する必要があるため、当面は現行の記載内容に沿った取組を進めることとし、適切な時期に改め
  て所要の変更について検討するものとする。
2
   これまで認定された特別事業計画について、総合特別事業計画(2012 年 5 月 9 日認定)を第一次計
  画(以下、「旧総特」という。)、新・総合特別事業計画(2014 年 1 月 15 日認定)を第二次計画と
  整理し、今般策定する新々・総合特別事業計画は第三次計画とする。
3
   東電 HD、東京電力フュエル&パワー株式会社(以下、「東電 FP」という。)、東京電力パワーグリ
  ッド株式会社(以下、「東電 PG」という。)及び東京電力エナジーパートナー株式会社(以下、
  「東電 EP」という。)の 4 社を総称して東電と表記する。


                          -2-
    ではなく、一般負担金というかたちを通じて電気の需要家が負担し、また、国の予
    算措置というかたちで税金により賄われていることを銘記する必要がある。しかし
    ながら、その必要資金規模の主たる部分を東電が確保しなければならないこともま
    た明白であり、東電委においてもその額は約 16 兆円と試算されている。

     第二に、国内電力市場を巡る事業環境も大きく変貌した。電力自由化により首都
    圏では特に競争が激化し、既に約 11%4のお客さまが東電 EP から新電力へ契約を切
    り替えている。特に、昨年度から自由化された低圧分野での切り替えのペースは、
    自由化先進国と比較しても決して遅くない。また、電力需要は構造的に減少が見込
    まれると同時に、高経年化設備への対応やデジタライゼーションの進展、再生可能
    エネルギーの拡大等が同時進行しており、事業経営としては、電気事業収益が減少
    見込みである一方、投資・費用が増大していく見込みである。一方で、世界的な視
    野で電力産業をみれば、アジア等海外では電力需要の増加が見込まれるとともに、
    温暖化対策への機運も高まっている。

(2)東電のこれまでの取組と評価

    <略>

2.事業戦略
Ⅰ)福島事業
(1)賠償

    ① 損害賠償の迅速かつ適切な実施のための基本的考え方

    <略>

    ② 原子力損害の状況と要賠償額の見通し

     東電は、中間指針に示された損害項目に対応して賠償に取り組んでおり、2018
    年 4 月に変更認定を受けた新々・総特において、要賠償額の見通しを 10 兆 3,895
    億 8,300 万円に見直した。しかしながら、出荷制限指示等による損害、風評被害
    等の見積額の算定期間の延長に加え、除染等費用の一部について、応諾実績の増
    加や、関連事業の進展により、一定の予見可能性が生じてきたこと等を踏まえて
    見直した結果、要賠償額の見通しは 10 兆 9,672 億 3,800 万円となった。

     なお、実際の賠償支払の実績を踏まえて賠償額を算定することが必要な項目等
    について、時間の経過とともに要賠償額が更に増加せざるを得ないような場合に
    は、今後とも、賠償の支払に支障が生じることのないよう、所要の資金援助を求


4
    販売電力量ベース。


                       -3-
めていく。

【項目別賠償額】
                                      要賠償額             賠償合意実績 ※1
                                    (今回変更計画)         (2019年2月末現在)
 Ⅰ.個人の方に係る項目                             20,706億円          19,804億円
   検査費用等                                   3,421億円          2,711億円
   精神的損害                                  10,977億円         10,823億円
   自主的避難等                                  3,626億円          3,626億円
   就労不能損害                                  2,680億円          2,643億円
 Ⅱ.法人・個人事業主の方に係る項目                       30,514億円          29,067億円
   営業損害、出荷制限指示等による損害及び風評被害                23,498億円         22,831億円
   一括賠償(営業損害、風評被害等)                        3,171億円          2,417億円
   間接損害等その他                                3,844億円          3,818億円
 Ⅲ.共通・その他                                21,550億円          18,113億円
   財物価値の喪失又は減少等                           14,997億円         13,819億円
   住居確保損害                                  6,303億円          4,043億円
   福島県民健康管理基金                               250億円            250億円
 Ⅰ~Ⅲ.被災者賠償 小計                            72,772億円          66,985億円
         ※2
 Ⅳ.除染等                                   36,900億円          20,315億円
                合計                       109,672億円         87,301億円
 ※1 振込手続き中の方も含まれるため、これまでのお支払金額とは一致しない。
 ※2 閣議決定及び放射性物質汚染対処特措法に基づくもの。




                           -4-
 【賠償支払額及び要賠償額の推移】




(2)復興

<略>

(3)廃炉

<略>

Ⅱ)経済事業
<略>


3.資産及び収支の状況に係る評価

<略>

4.経営責任の明確化のための方策・関係者に対する協力要請
(1)経営責任の明確化のための方策

<略>

(2)金融機関及び株主への協力要請

                -5-
    ① 金融機関への協力要請

     これまで、旧総特及び新・総特における協力要請を踏まえ、取引金融機関は、追
    加与信実行、与信の維持、
               「責任と競争」の両立に資する成長資金の供与並びにホー
    ルディングカンパニー制への移行及び JERA の設立等の了承により、東電の「責任
    と競争」の両立に向けた取組に貢献している。

     他方で、賠償・廃炉費用の負担に係る状況は大きく変化しており、今般の国によ
    る廃炉等積立金制度の創設等の制度措置の実施、東電 HD による廃炉資金捻出に向
    けた一層の経営改革等を踏まえ、全ての取引金融機関に対して、新々・総特の目的
    の達成に向けた協力として、以下の事項について、機構及び東電 HD との協議の結
    果に応じて、適切な対応を行うことを要請する。

    ⅰ)旧総特での協力要請の記載の通り、全ての取引金融機関が、引き続き借換え等
      により与信を維持すること5 。

    ⅱ)主要取引金融機関が、公募社債の発行状況等を踏まえ、機構及び東電 HD との協
      議の結果に従い、追加与信の実行及び短期の融資枠の設定を行うこと 5。

    ⅲ)東電 HD 及び各基幹事業会社の新たな取組を通じた企業価値の向上及び福島復
      興への貢献を図る観点から、機構及び東電 HD との協議の結果に従い、個々の
       債務の性格及び資金需要等に応じつつ、債務の履行に特段の支障がないことを
       前提に、東電 HD 及び各基幹事業会社に与信を行うこと。

    ⅳ)上記の場合において、一般担保による与信の総量が震災時における額の範囲を
      超えると見込まれる場合には、新々・総特の着実な履行等を勘案しつつ、新た
      な一般担保は付与しないこととするとともに、一般担保総量が毎年度継続的に
      減少していく運用とすること。

    ⅴ)全ての取引金融機関は、新々・総特の着実な履行等を踏まえ、債務の履行に特
      段の支障がないことを前提に、今後新規に契約される融資について、できるだ
       け早期に私募債形式によらないこととするよう、機構及び東電 HD との間で真
       摯に協議すること。特に、主要取引金融機関においては、この目的の達成のた
       め引き続き特段の配慮をすること。

    ⅵ)包括的アライアンスによるリプレース等のため JERA に引き続き資産の移転等
      を行うこと、その他の再編・統合については、具体的な内容の合理性や既存債
      務の履行に特段の支障がないと確認されることを前提に、了承すること。

    ⅶ)電力システム改革によって創出される新たな競争環境の下での事故責任の履行
      に資する持続的な成長のためのアライアンス等による新たな資金調達メカニ

5
    対象期間は、2020 年 3 月末日まで。


                            -6-
 ズムとして、中長期的に、戦略的な経営合理化や各基幹事業会社の成長戦略に
 要すると見込まれる 2 兆円規模の資金需要について、新々・総特の着実な履行
 が認められ、個別案件毎の内容や導入されるストラクチャー及び経済合理性等
 を検討し、債務履行について特段の支障がないと確認されることを前提に、必
 要な新規与信を行うこと。

② 株主への協力要請

<略>




               -7-
5.資金援助の内容
(1)東京電力ホールディングスに対する資金援助の内容及び額

      要賠償額の見通しが 10 兆 9,672 億 3,800 万円となったため、機構は東電に対し、
    当該要賠償額から原子力損害の賠償に関する法律第 7 条第 1 項に規定する賠償措置
    額として既に東電が受領している 1,889 億 2,666 万円6を控除した 10 兆 7,783 億
    1,133 万円7を損害賠償の履行に充てるための資金として交付する。

    表:これまでの要賠償額・資金援助額の推移

    資金援助の申請年月日            要賠償額               資金援助額(累計)

      2011 年 10 月 28 日          1 兆 109 億円          8,909 億円

      2011 年 12 月 27 日     1 兆 7,003 億円         1 兆 5,803 億円

      2012 年 3 月 29 日      2 兆 5,462 億円         2 兆 4,262 億円

      2012 年 12 月 27 日     3 兆 2,430 億円         3 兆 1,230 億円

      2013 年 5 月 31 日      3 兆 9,093 億円         3 兆 7,893 億円

      2013 年 12 月 27 日     4 兆 9,088 億円         4 兆 7,888 億円

      2014 年 7 月 23 日      5 兆 4,214 億円         5 兆 3,014 億円

      2015 年 3 月 26 日      6 兆 1,252 億円         5 兆 9,362 億円

      2015 年 6 月 29 日           7 兆 753 億円      6 兆 8,864 億円

      2016 年 3 月 18 日      7 兆 6,585 億円         7 兆 4,695 億円

      2016 年 12 月 27 日     8 兆 3,664 億円         8 兆 1,774 億円

      2017 年 5 月 11 日      8 兆 4,641 億円         8 兆 2,752 億円

      2017 年 6 月 28 日      9 兆 7,047 億円         9 兆 5,157 億円

      2018 年 3 月 27 日     10 兆 3,895 億円         10 兆 2,006 億円

    2019 年 3 月 19 日(今回)   10 兆 9,672 億円         10 兆 7,783 億円



6
  原子力損害賠償補償契約に関する法律第 2 条に定める原子力損害賠償補償契約に基づき、2015 年 3
  月 4 日に受領した福島第二原子力発電所事故に対する賠償に係る補償金 68,926,669,425 円を含む。
7
  万円未満の端数は切り捨てている。


                          -8-
(2)交付を希望する国債の額その他資金援助に関する費用の財源

<略>


6.機構の財務状況

<略>




                -9-