7362 M-T.S.I 2021-03-19 08:00:00
事業計画及び成長可能性に関する事項について [pdf]

                                    2021 年3月 19 日
各 位
                  会 社 名 株 式 会 社 T . S . I
                  代 表 者 名 代表取締役社長    北山     忠雄
                        (コード番号:7362 東証マザーズ)
                  問 合 せ 先 取締役管理部長    三宅     裕介
                              (TEL. 075-393-7177)



         事業計画及び成長可能性に関する事項について


■ビジネスモデル
(1)事業の内容


当社グループにおける事業系統図は、下記のとおりです。




①企業グループのビジネスモデルや取り扱っている製商品・サービスの内容、及びそれら
の特徴


(介護事業)
ⅰ.サービス付き高齢者向け住宅
 高齢者が暮らすための介護サービスは「施設系」と「住宅系」に大別されます。「施設
系」の契約は利用権方式、
           「住宅系」の契約は賃貸借方式をとっており、サービス付き高


                    1
齢者向け住宅は「住宅系」にあたります。
 サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者住まい法の第5条において「状況把握サービ
ス」「生活相談サービス」を行うことが必須とされておりますが、その上に付加するサー
ビスについては各事業者の任意となっております。
 サービス付き高齢者向け住宅は、医療体制がしっかりしており、重度の方を対象とする
「医療特化型」
      、介護体制がしっかりしており、自立~重度の方までを対象とする「介護
特化型」、入居時費用等が高額であり、高所得者層を対象とする「高級志向型」、自立度が
高い方向けに最低限のサービスのみ提供する「高齢者一般向け」等の様々な形態がみられ
ますが、当社は「介護特化型」にて事業を運営しております。当社は、後述するように、
基本的にサービス付き高齢者向け住宅の1階事務所部分に訪問介護事業所、居宅介護支援
事業所を併設させた形で、24 時間施設に人員を配置し、看取りまで対応を行うなど、要介
護2~3程度の介護が必要な方を主たる顧客層と想定した運営を行っております。
 利用者は、当社が運営するサービス付き高齢者向け住宅「アンジェス」に賃貸借契約を
締結して入居します。サービス付き高齢者向け住宅は、様々なサービスを提供することが
可能ですが、当社は現在、住まいの提供、生活支援サービス、食事の提供に加え、訪問介
護事業、居宅介護支援事業によるサービス提供をしております。
 生活支援サービスでは、安否確認(毎日、主に食事時を利用した食堂での見守りなど)
及び機能訓練も意識したレクリエーションを毎日実施しております。希望者や必要な方に
は、生活支援サービスのオプション対応として、有償での介護の提供も行っております。
 当社では、サービス付き高齢者向け住宅を建築されるオーナーから委託を受けて、サー
ビス付き高齢者向け住宅の運営及び入居者に対するサービスの提供を行っております。
 当社の運営するサービス付き高齢者向け住宅の主な入居者は、要介護1以上の要介護認
定を受けている高齢者です。高齢者住まい法で定められている、サービス付き高齢者向け
住宅を運営する上での最低要件は「状況把握サービス(安否確認)「生活相談サービス」
                              」
の提供であり、居室部分の設備(浴室やキッチンの設置の有無)や介護サービス体制、料
金設定等は事業者に委ねられておりますが、当社は特養入所待機者層をメイン顧客層とし
ているため、全体的に介護向けの設備とし、人員配置やサービス内容を整備しておりま
す。また、介護保険の訪問介護だけを利用して在宅で生活を送ろうとした場合、介護保険
の区分支給限度基準額を超えた部分は利用者の 10 割(全額)負担となり、生活費が高額
となりますが(※)
        、当社の運営するサービス付き高齢者向け住宅では、利用者が介護保
険でまかないきれない部分について生活支援サービスのオプション(有償)を利用するこ
とで、介護保険で 10 割(全額)負担となる場合に比べて、同一サービスを低価格で受け
ることができるようにしております。
 事業者の運営効率を考慮し、サービス付き高齢者向け住宅に通所介護事業所(デイサー
ビス)を併設するケースもみられますが、当社は訪問介護事業所及び居宅介護支援事業所
を併設しております。これは、利用者との一対一の関わりの頻度を高くし、家族介護の代


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わりとするための体制です。入居者とスタッフ、または入居者同士の関わりを多くするた
めに毎日レクリエーションも実施しております。高齢者の方が強く感じやすい、孤独・不
安を少しでも取り除くことができるよう、人との関わりを多く持てる安心した生活の場を
提供しております。
 在宅での看取りとは原則、医療処置や延命措置を行わないため、本人、家族、訪問診療
医がその点について合意することが必要になります。3者の、積極的延命措置はしない旨
の共有のもと、各拠点の提携先の訪問診療医が痛みや苦しみを和らげるケアを、外部の訪
問看護が状況把握や経過観察を行い、「アンジェス」のスタッフが最期の日々の生活をサ
ポートすることで「アンジェス」での在宅の看取りは成り立っております。


(※)
在宅で介護保険を利用する場合、利用者の自己負担割合は1割(本人の収入によって自己
負担割合は1~3割の間で変動)となりますが、各々の認定された要介護状態により、利
用できる介護保険サービスの量が異なります。2019 年 10 月の改定内容では、要介護1の
利用者の区分支給限度基準額(1割負担で利用できる範囲)は 16,765 単位、要介護3の
利用者の区分支給限度基準額は 27,048 単位であるなど要介護度に応じて設定されており
ます。訪問介護の代表的なサービスである「入浴介助(身体介護 60 分)」の場合、60 分で
395 単位に諸々の加算を加え、大津市の場合は1単位=10.70 円であることから、自己負
担が1割負担の場合は約 508 円となりますが、介護保険の限度額(区分支給限度基準額)
を超過して 10 割(全額)負担での利用となると、約 5,071 円の負担となります。これが
積み重なると、金銭的な負担が大きくなり、
                   「アンジェス」での生活の継続が難しくな
り、特養など施設への転居を本格的に検討しなければならなくなりますが、当社は、介護
保険とサービス付き高齢者向け住宅の生活支援サービスのオプション(有償)を併用する
プランを提供できることから、必要な介護と費用負担面を考慮しながら生活プランを設計
することが可能となっております。


ⅱ.訪問介護/介護予防・日常生活支援
 訪問介護とは、65 歳以上の第1号被保険者(第2号被保険者にあっては特定疾病等で認
定を受けた 40 歳~64 歳の方)で、要介護認定を受けた利用者に対して、介護福祉士(ケ
アワーカー)や訪問介護員(ホームヘルパー)が、自宅へ訪問し、食事・排泄・入浴など
直接身体に触れる身体介助や掃除・洗濯などの家事面における生活援助を行うサービスで
す。介護支援専門員(以下、「ケアマネージャー」という。)が作成するケアプランに則
り、食事・排泄・入浴の支援や、血圧測定、緊急時の通院補助等、日常生活の支援を実施
しております。
 当社の訪問介護事業所「ケアステーションあんじぇす」では、主として「アンジェス」
の入居者に向けて訪問介護を提供しています。また、「ケアステーションあんじぇす」の


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スタッフは、サービス付き高齢者向け住宅のスタッフも兼務しております。時間帯によっ
てはサービス付き高齢者向け住宅の仕事も行っており、日常的に、食事の様子、夜間の様
子など 24 時間を通じた入居者の生活の支援・見守りを行っております。これらの理由か
ら、訪問介護においても利用者の些細な変化に気づきやすく、体調不良時などに早期に家
族や医療従事者へ情報提供ができる体制が整っていること、利用者との信頼関係を深く築
きやすいことで、利用者がより安心できる看取りの場を提供できること等が特徴となって
おります。


ⅲ.居宅介護支援
 居宅介護支援とは、在宅で介護を希望する利用者向けの介護サービスのひとつです。ケ
アマネージャーが、要介護・要支援認定された要介護者や要支援者、その家族の生活環境
の状況を確認し、利用者やその家族に対して、介護や支援の内容について確認し、それに
基づきケアプランを作成します。当社の居宅介護支援事業所「ケアプランセンターえんじ
ゅ」では、
    「アンジェス」の入居者以外の外部の利用者を担当するケースもあるものの、
主として「アンジェス」の入居者の担当をしております。
 当社のケアマネージャーは、
             「アンジェス」の生活環境や「アンジェス」の生活時間帯
を参考とすることで、多くの利用者に安心・安全にサービスを提供できるプラン設計を目
指しております。利用者は、当社サービス利用前に担当していたケアマネージャーに引き
続き担当を依頼することも可能であるため、一部の利用者は外部のケアマネージャーが担
当しております。当社のケアマネージャーは、「アンジェス」の入居者の状態を日々知る
ことができ、それらを参考としてケアプランの作成をすることが可能です。また、当社の
ケアマネージャーは、「アンジェス」が提供可能なサービスに関する知識もあり、利用者
の介護面と金銭面を考慮したプランを作成できることから、長く安心して生活できるプラ
ンを迅速に提案することが可能となっております。


(不動産事業)
 不動産事業は、サービス付き高齢者向け住宅「アンジェス」の設計・建築を行っており
ます。不動産事業では、株式会社北山住宅販売がオーナーと建築請負契約を締結し、サー
ビス付き高齢者向け住宅の設計から建築までを行っております。同一モデルのサービス付
き高齢者向け住宅を手掛けてきたノウハウの蓄積により、設計期間の短縮化・効率化と介
護向けの建物としての質の向上を図っております。株式会社北山住宅販売では、当社で運
営するサービス付き高齢者向け住宅だけでなく、外部運営業者が運営するサービス付き高
齢者向け住宅の建築請負も行っております。また、株式会社北山住宅販売は、2020 年 12
月末時点において「アンジェス」を6棟保有しております。基本的に当社グループでの保
有棟数は限定しており、外部オーナーが施主となり保有するスキームとして事業を行って
おります。


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②事業ごとの全社業績における寄与度
 当社は介護事業(当社)と、不動産事業(株式会社北山住宅販売)の2つを報告セグメ
ントとしております。
 2020 年 12 月期におけるセグメントごとの売上高、営業利益の寄与度は、下記のとおり
です。
 なお、将来的な寄与度の変化については、介護事業は拠点数が増えていく見込みです
が、不動産事業は規模拡大をせず、毎年2~3棟の建築請負の受注を計画していることか
ら、介護事業の寄与度が高まっていくことを見込んでおります。
                                       (単位:千円)
                    売上高               営業利益
                        割合                 割合
介護事業          2,436,170    83.1%   125,977    88.3%
  家賃収入          540,074    22.2%
  生活支援費収入       549,805    22.6%
  介護保険収入      1,346,290    55.3%
不動産事業           494,757    16.9%    16,756    11.7%

③主要な製商品の販売にあたって、今後、当局の承認が必要な場合には、必要となる許認
可等の内容や取得に係るプロセス


 当社が「アンジェス」拠点を開設し標準モデルで事業を開始するにあたっては、高齢者
の居住の安定確保に関する法律に基づき、サービス付き高齢者向け住宅の登録を、介護保
険法に基づき、訪問介護事業所、居宅介護支援事業所の指定申請を行う必要があります。
サービス付き高齢者向け住宅は、登録にあたって行政との事前協議、審査を経て、登録通
知が発行されます。
 訪問介護事業所、居宅介護支援事業所は、新規指定申請を実施し、指定を受けることが
必要です。
 どちらも、当社は本書提出日現在 24 拠点の開設を行っており、認可を得るための十分
なノウハウを蓄積しております。


(2)事業の収益構造
①企業グループの収益・キャッシュフローの獲得の方法やそれに要する主な費用の内容・
構成等


ⅰ.介護事業
 介護事業の収入は、サービス付き高齢者向け住宅収入と介護保険収入に大別されます。


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 サービス付き高齢者向け住宅収入は、家賃収入と生活支援費収入(生活支援サービス
費、生活支援サービスオプション、食費)に大別され、それぞれ介護事業における売上の
うち約 22.2%と約 22.6%であり、介護保険収入は約 55.3%です。介護事業の収入構造
は、下図をご参照ください。




 ※月額平均売上 344,500 円は、利用者1人あたり売上を家賃 44,000 円、共益費 25,000
円、生活支援サービス費 20,000 円、食費 45,000 円訪問介護サービス費 200,000 円、居宅
介護支援サービス費 10,000 円とした場合の当社の標準的なモデル数値であります。


 介護事業に要する主な費用は、各拠点で勤務する従業員の労務費、地代家賃が多くを占
めております。2020 年 12 月期における労務費については 1,226,546 千円(全社業績の売
上原価に占める割合は 49.7%)
                、地代家賃については 385,625 千円(全社業績の売上原価
に占める割合は 15.6%)となっております。


ⅱ.不動産事業
 不動産事業の収入は、賃貸収入、サービス付き高齢者向け住宅の設計や建築請負に対す
る完成工事高が計上されます。
 賃貸収入については、株式会社北山住宅販売保有の「アンジェス」6棟(2020 年 12 月
末時点)及び本社ビルの賃貸部分等からの収入があります。
 建築請負に係る完成工事高は、過去実績から年平均で2~3棟の受注です。建築案件
は、大半は当社が運営に入ることとなりますが、一部、外部の事業者から建築を依頼され


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建築を受注するケースもあります。
 設計は 2020 年より新事業として開始されました。2020 年には外部から2件受注してい
ます。
 不動産事業に要する主な費用は、建築原価であり、その他、賃貸原価、本社費用が発生
します。2020 年 12 月期における建築原価は 385,955 千円(全社業績の売上原価に占める
割合は 15.7%)となっております。


②契約等において、事業の収益構造に重要な影響を与える条件が定められている場合に
は、当該契約等の内容
 該当事項はありません。


ⅲ.将来的な収益構造の変化について
 不動産事業では、外部オーナーからの建築請負による収益を上げることを基本としてい
ましたが、上場資金を得て建築後に自社で保有を行う物件が増えた場合、賃貸収入は計上
されるものの、当該期に建築請負の収益が計上されないこととなります。
 また、当社の不動産事業は、サービス付き高齢者向け住宅(標準モデル 29 室)の建築
請負を2~3棟/年となっております。現時点でこのキャパシティを拡大させる予定はな
く、自社保有施設の増加による賃貸収入の増加に留まります。一方、介護事業では、運営
拠点は増加傾向にあり、当社グループの収益に占める介護事業の割合は今後高まっていく
見込みです。


■市場環境
(1)市場規模
①企業グループがターゲットとする具体的な市場の内容(顧客の種別、地域など)、規模
及び市場の成長性について


 当社グループが所属する国内の介護業界におきましては、高齢化がさらに進み、介護サ
ービスの需要は高まっているもののサービスを担う人材の十分な確保が難しく、2020 年上
半期の介護事業所の倒産件数は過去最高を更新するなど、人材確保が介護事業者の大きな
経営課題になっております。これら介護人材の不足に対しては、国の施策として 2019 年
10 月の消費税増税に合わせ「介護職員等特定処遇改善加算」が創設され、介護スタッフへ
のさらなる処遇の改善が図られております。当社も管理者を中心に還元の強化や賞与回数
4回を維持し、人材確保と定着のための環境を整備することに努めております。
 65 歳以上の高齢者人口は 2020 年時点(9月 15 日時点推計)で 3,617 万人、75 歳以上
の後期高齢者人口は 2025 年には 2,180 万人となる見込みですが、65 歳以上の高齢者のみ
の単独世帯、いわゆる独居老人の世帯数は 736 万9千世帯、要介護者と同居している全世


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帯のうち、要介護者と介護者の双方が 65 歳以上の世帯、いわゆる老老介護世帯の割合は
59.7%となっております(出典:「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで
-」(総務省統計局)令和2年9月 20 日、
                     「令和2年版高齢社会白書」
                                 (内閣府)「2019 年
                                      、
国民生活基礎調査の概況」
           (厚生労働省)。また、要介護(要支援)認定者数は、2018 年
                  )
には 658 万人、そして介護が原因で職を離れる介護離職が 2017 年には年間9万人出てい
るなど、介護需要はますます高まる見込みです(出典:
                        「平成 30 年度 介護保険事業状況
報告」
  (厚生労働省)。そのような中でも、2018 年の施設・住宅供給数は 172 万人分と現
        )
時点でも不足感がある中で、今後、さらに需給ギャップが広がった場合、多くの独居高齢
者が出てくることが予見されます(出典:「介護サービス基盤と高齢者向け住まい」(厚生
労働省老健局)令和元年 10 月 28 日)。
 また、在宅の独居高齢者で要介護状態の方は、特別養護老人ホームに申し込む方もおられ
ますが、こちらも厚生労働省より特養入所待ち29.2万人と発表(厚生労働省プレスリリース
「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」令和元年12月25日(水)
                                )されているよう
に、整備が追いついていない状況にあります。
 上記のような環境が予想される中、当社は、「愛ある日々のお手伝い」を理念とし、高齢
者が終末期まで暮らせる住居と介護を提供してまいります。




                          8
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(2)競合環境
企業グループの主要な製商品・サービスごとに、競合の状況(競合の内容(顧客・地域の
重複、代替性など)
        、自社のポジショニング、シェア等)を記載


 当社グループ主要なセグメントは介護事業です。当社の所属する高齢者向け住宅業界
は、大きく施設系・住宅系に大別され、その中で様々な種別の施設や住宅があります。当
社にとって、それぞれ高齢者の方の住まいという点では競合とも言えますが、高齢者向け
住宅市場としては、まだ供給が需要に追いついていないと言え、競合同士でシェアを競う
よりも、市場自体が急速に拡大を続けている状況です。
 高齢者向け住宅のサービス種類としては、以下の図表のとおり、介護保険法で制約があ
る場合があるなど、それぞれの形態では入居者の受け入れに制限がある中、サービス付き
高齢者向け住宅は受け入れの幅が広いことに特徴があります。
 当社のサービス付き高齢者向け住宅における市場シェアとしては、当社がサービス付き
高齢者向け住宅1棟目を出した滋賀県では、2020 年 12 月期末時点で約8%の定員数シェ
アとなっており、一定のシェアを得ております。
                     (当社運営7棟 202 室/2020 年 12 月 31
日確認時点の滋賀県全体は 95 棟 2,615 室(サービス付き高齢者向け住宅情報提供システ
ムより))
 2021 年 12 月期には滋賀県で更に2棟のオープンを計画しており、シェアは上がる見込


                        10
みです。
 また、全国的に高齢者向けの住まいは不足していると言われておりますが、当社が今後
最大のターゲットとして進出を狙っている関東エリアにおいても、需要に供給が追いつか
ない状況があります。
 政府は、2025 年の高齢者人口あたり4%の高齢者向け住宅を整備するという目標を掲げ
ておりますが、2025 年時点で、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県で各7万戸、3.6 万
戸、3.3 万戸、3.8 万戸の高齢者向け住宅の供給が不足している、という試算があるなど
(「第3回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会資料(2020/1/29)(国土交通省主
                                      」
催)、絶対数が不足しており、それは人口の多い関東エリアでは顕著になってきていま
  )
す。




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■競争力の源泉
(1)経営資源・競争優位性
①成長ドライバーとなる技術・知的財産、ビジネスモデル、ノウハウ、ブランド、人材
(経営陣)等の状況及びそれらの競争優位性について




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 当社は京都府、滋賀県を中心に岡山県、静岡県、兵庫県、愛知県、神奈川県にサービス
付き高齢者向け住宅「アンジェス」を展開し、基本的に「アンジェス」に併設する形で、
訪問介護事業所「ケアステーションあんじぇす」
                     、居宅介護支援事業所「ケアプランセン
ターえんじゅ」を開設しております。
 当社のサービス、事業展開の主な特徴は、以下のとおりであります。


 ① 当社グループでのワンストップでのサービス提供
 当社は、連結子会社に株式会社北山住宅販売を保有しております。株式会社北山住宅販
売はサービス付き高齢者向け住宅に特化した設計・建築を行っており、特に 29 室モデル
についてのノウハウを蓄積しております。外部のオーナーからの建築請負だけでなく、株
式会社北山住宅販売が土地を調達し、自社で設計・施工し、
                          「アンジェス」のオーナーと
なる場合もあります。現在、株式会社北山住宅販売はオーナーとして「アンジェス」を6
棟保有しております。
 基本的な事業スキームとしては、土地オーナーが施主となり、株式会社北山住宅販売が
建築請負契約を結び、建物完成後には当社又は一括借上業者が一括借り上げを行い、当社
は賃貸テナントとして介護事業運営を行っております。
 開設先を外部建築会社に委ねると、適切な開設先を確保できないリスクや、建築コスト
が高くなるリスク等があることから、当社グループではこのような形態をとっておりま
す。


 上記のとおり、当社グループの事業はグループ内に、サービス付き高齢者向け住宅の設
計・建築に特化した株式会社北山住宅販売を保有していることが、最大の特徴でありま
す。その他、利用者、オーナー、当社グループそれぞれの立場における特徴は、下記に記
載のとおりです。
 a.利用者
 株式会社北山住宅販売には、29 室の同モデルの設計・建築ノウハウが蓄積されており、
これらは1棟新たに増えるごとに、介護導線、食堂の配置、居室内の設備の配置等の改善
という形で、利用者へ還元されております。
 「アンジェス」は、要介護2~3程度の特養入所待機者層をメイン利用者と想定し運営
を行っております。特養入所待機者層は、基本的に料金面でも制約のある中、株式会社北
山住宅販売が建築した場合、運営開始から蓄積したノウハウを活かし建築請負金額を抑え
ることが可能です。建物価格を抑えることで利用者が支払う家賃も低く抑えることができ
るため、利用者にとっては生活費の総額を抑え、介護支援などの必要な部分に資金を回す
ことができ、介護度が上がっても長く「アンジェス」で生活を送ることが可能となりま
す。「アンジェス」は、厚生年金受給者を対象とした価格帯を設定することで、最期まで
生活できる場を提供しております。


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 b.オーナー
 株式会社北山住宅販売が建築する「アンジェス」シリーズは、木造寄宿舎扱いの建物で
あり相続税評価が低く見積もられることから、オーナーにとっては相続税対策に適してお
ります。建築の責任を担う株式会社北山住宅販売と同一グループである当社から一括で 25
年間の借上げを受けられることもオーナーの安心感につながっております。また、現在、
建築費の1割の補助金(スマートウェルネス住宅等推進事業:国土交通省)を受けること
ができますが、株式会社北山住宅販売が補助金申請代行を行うため、オーナーの負担はあ
りません。
 c.当社グループ
 株式会社北山住宅販売では、サービス付き高齢者向け住宅建築に特化したノウハウを蓄
積しており、同一規格も多いことから建築原価のコストダウンに繋がっております。ま
た、サービス付き高齢者向け住宅の新規開設には、行政へのサービス付き高齢者向け住宅
の登録や補助金申請など、建築会社と介護会社が情報連携しながら行政対応を進める必要
がある中で、二社間でこれまでにも多くの「アンジェス」を新規開設させてきたことか
ら、連携してスムーズに案件を進めていくことが可能です。


 ② 看取りから自宅復帰まで対応するサービス付き高齢者向け住宅
 サービス付き高齢者向け住宅の全国平均看取り率は 22.4%に対し、当社の「アンジェ
ス」シリーズの 2019 年 12 月期における看取り率は 33.7%となっております(出典:サー
ビス付き高齢者向け住宅に関する懇談会(国土交通省)第3回配布資料「高齢期の居住の
場とサービス付き高齢者向け住宅の現状に関する調査報告」令和2年1月 29 日。なお、
当社の看取り率については同調査報告に記載の計算方法(※1)により算出)。超高齢社
会で独居高齢者が増え続ける我が国において、約5割強の方が「自宅で最期を迎えたい」
と望んでいるにもかかわらず、自宅の環境と家族の受け入れ準備が整わず、結局7割近く
が病院にて亡くなっているというデータもあります(出典:平成 24 年度 高齢者の健康
に関する意識調査(内閣府)、平成 29 年人口動態調査(厚生労働省)。そのような中、当
                                  )
社は利用者の第2の自宅として、最期まで生活できるような料金に設定しており、多くの
利用者に看取りの場を提供しております。当社では、訪問診療の医師、訪問看護と連携す
ることも可能です。当社では、まずは利用者に生活の場として「アンジェス」に住んでも
らう中で、最終的に本人や家族に看取りの場として選んでもらえるよう長い目で見た関係
性を作っております。
 また 365 日実施しているレクリエーション等により利用者の ADL(※2)が向上し、自
宅復帰率(※3)は9%(2017 年 12 月期から 2019 年 12 月期の3期平均値実績)となっ
ており、「アンジェス」での看取りと自宅に復帰することの両面から「自宅で最期を迎え
たい」高齢者のニーズに応えております。
(※1)


                         14
看取り率は、「高齢期の居住の場とサービス付き高齢者向け住宅の現状に関する調査報
告」に記載のとおり、居室・一時介護室・健康管理室での看取り(人)を死亡による契約
終了+病院・介護療養型医療施設等への転居(人)で徐した数値、と同じ考え方で算出し
ております。
(※2)
ADL とは、
      「Activities of Daily Living」の略で、
                                     「日常生活動作」のことであり、起床
から着替え、移動、食事、トイレ、入浴など日常的に発生する動作を指します。
(※3)
自宅復帰率は、総退去者数を自宅復帰者数で割って算出しております。


 ③ 各拠点に役割が異なる3つの事業部を配置
 当社の拠点では、施設管理部、訪問介護部、居宅介護支援部の3事業部の各担当者を配
置し、各々が専任でそれぞれの目標とする経営指標(KPI)をもち、3事業部が相互に連
携しております。
 当社では、施設管理部には、経営者の視点と、利用者の家族の立場に立った視点を持つ
ことを求めております。拠点経営を担う部門で、営業による入居者の確保、稼働率の維持
と円滑な拠点運営に責任を持ちます。訪問介護部には、利用者の立場に立った介護を提供
することを求めております。訪問介護部は、介護サービスの質に責任を持ち、スタッフ教
育や日々のサービス提供を担っております。居宅介護支援部には、専門職としてのケアマ
ネージャーの視点に立ち、ケアプランの作成業務を通じて、介護使用率を調整し、入居者
の生活の質の向上を図ることを求めております。これら3事業部が当社における同じ理念
のもとに各々の業務を連携しながら実施していくことで、利用者へのサービス提供と経営
の安定化を図っております。


 ④ 自社営業部隊の配置
 当社は、施設管理部という自社の営業部隊を保有しております。これにより、当社では
利用者の獲得に際し、紹介会社等を使うことがなく、紹介手数料等の1利用者あたりの獲
得コストがかからない運用となっております。また、自社営業部隊が直接営業を行い、地
域で信頼を獲得していくことにより、中長期的な視点を見据えた事業運営を行っておりま
す。
 当社の営業担当者は、ケアマネージャーや病院のソーシャルワーカーへの定期訪問によ
り、入居者の生活情報をフィードバックする等の情報提供を行っております。要介護の高
齢者が住宅・施設に入居する場合、どのようなブランド名の住宅・施設か、よりも、どの
ような施設長・スタッフに介護されるかが、入居検討者の大きな関心事となっており、人
と人による関わりが重視される傾向にあります。当社では、自社の営業担当者を原則1事
業所1名置き(同一地区の事業所は1名が兼務することもある)
                            、直接、紹介元のケアマ


                          15
ネージャー、病院のソーシャルワーカーと関係性を築くことで、その後も繰り返し入居者
を紹介してもらえる可能性があります。
 当社は開設後1年未満の平均稼働率が、2016 年度は 75.4%、2017 年度は 81.0%(それ
ぞれの年度平均値を当社にて算出)と、全国平均入居率を 2016 年度は約 18 ポイント、
2017 年度は約 12 ポイント上回っております(出典:サービス付き高齢者向け住宅に関す
る懇談会(国土交通省)第2回配布資料「サービス付き高齢者向け住宅に関する現状」平
成 31 年3月8日)。
 さらに、開設後1年以上経過した全拠点の平均稼働率は 97.1%(2020 年 12 月末時点)
と、早期立ち上げに加え、満室に近い状態を維持しております。


      第9期連結会計年度末                        第 10 期連結会計年度末                     第 11 期連結会計年度末

      (2018 年 12 月 31 日)                (2019 年 12 月 31 日)                (2020 年 12 月 31 日)

              稼働率(%)                             稼働率(%)                            稼働率(%)
 定員数                               定員数                               定員数
                     うち開設                               うち開設                             うち開設
(名)                               (名)                               (名)
                     1年以上                              1年以上                              1年以上

      561     91.1         96.0         630     90.5         97.3         746     92.1         97.1

 ※「稼働率」を次のとおり定義しております。
 稼働率=(期末時点賃貸借契約数÷期末時点総提供可能居室数)


 また当社は、次項で記載している「ドミナント戦略」により、複数の拠点を含む1エリ
アに対して1名の外回り担当者の配置でも商圏全体をカバーできる体制とすることで、営
業効率の向上を図っております。


 ⑤ ドミナント戦略
 当社は、新たな都道府県にて事業進出後、その周辺に複数拠点を開設するドミナント戦
略をとっており、当該戦略により、以下の点が可能になると考えております。
 a.入居者確保
 近隣に複数の拠点があることで、複数拠点をカバーして営業活動を行うこともでき、効
率的に入居者を確保することが可能です。また、1つの拠点が満室でも近隣拠点を紹介す
ることが可能となります。
 b.人材確保
 現在、介護業界において、人材確保は大きな課題となっておりますが、当社は、ドミナ
ント展開を行うことで、エリアで拠点間で人員の融通を行うことが可能となることで、課
題に対処しております。
 ドミナント展開を行うと、拠点を新規開設する際に、近隣の既存拠点から昇格人事によ
り当社の事業運営のノウハウを持った管理者を立てることが可能となります。その結果、

                                         16
初期の教育期間を短縮できることに加え、当社の理念・価値観にあった人材を管理者とし
て登用していくことができます。また、急なスタッフ不足の際に、近隣拠点間又はエリア
全体として介護スタッフの補充体制を取ることができ、スタッフ不足による利用者へのサ
ービス中止という収益機会の逸失を防ぎます。


 ⑥ キャリアプランによる人材育成
 当社では、体系的なキャリアプランと部門横断的な異動の実現によってスタッフの能力
に応じて育成・配置を行っております。大型の拠点ではなく 29 室の「アンジェス」を多
店舗展開する当社の開設スタイルは、多くの人材に管理者ポジションを与えることを可能
としており、従業員がキャリアプランを描きやすい事業運営を行っております。当社に
は、訪問介護部、居宅介護支援部で専門性を高めてスペシャリストを目指す「スペシャリ
ストライン」と、施設管理部で、拠点経営者、エリアマネージャーと、経営を担っていく
「経営者ライン」の2つのキャリアプランがあります。部門をまたいでの異動も多々あ
り、現在のエリアマネージャーのうち約 50%、施設管理部の管理職のうち約 42%が、訪
問介護部から経営者ラインである施設管理部へ異動し活躍しており、人材発掘や、人材育
成による内部昇格体制を構築しております。


 ⑦ 自社運営による直接的なブランド力の維持・強化
 当社は、介護業界で業務を運営していくうえでは、コンプライアンスと教育が経営の根
幹であると考えており、1棟の事故で全「アンジェス」ブランドが傷つくリスクもあるこ
とから、介護のクオリティを担保するため、自社運営であることを重視しております。当
社では、自社で雇用したスタッフに対して、入社時の理念研修と毎年行う理念研修、マネ
ジメント研修を実施することで、当社の運営方針についてスタッフへ浸透を図っておりま
す。


 ⑧ 厚生年金受給額を考慮した料金設定
 令和2年度の厚生年金の平均受給額 220,724 円(厚生労働省が規定する、モデル世帯の
年金受給額)に対して、
          「アンジェス」シリーズの毎月の生活費は1人 89,000 円(食費の
月額 45,000 円を除いた金額)(※)~と、ほぼ年金の範囲内で無理のない生活を送ること
ができることを目指しております。またこれは、大都市圏のサービス付き高齢者向け住宅
の平均月額生活費である約 124,000 円(食費を除いた金額)を下回る価格帯に位置してお
ります(出典:サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会(国土交通省)第2回配布資
料「サービス付き高齢者向け住宅に関する現状」平成 31 年3月8日)
                                 。
(※)
サービス付き高齢者向け住宅では上記月額利用料の他に、訪問介護を利用した場合は訪問
介護サービス利用に係る自己負担分の費用が発生します。また、利用者によっては、生活


                      17
支援サービスの有料オプションサービスを利用される場合もあります。


 ⑨ 介護保険に依存しない売上バランス
 当社の介護事業における売上(※)は、2020 年 12 月期において、サービス付き高齢者
向け住宅による家賃収入が 22.2%、生活支援関連収入が 22.6%、介護保険関連収入が
55.3%と、相対的に介護保険収入の割合は高いものの、介護保険収入とその他収入の割合
が約半分と均等な収入バランスとなっております。
                      「第2 事業の状況 2 事業等のリ
スク」の「
    (2)介護保険法の改正について」にも記載のとおり、介護保険法改正は当社
においてリスクであることから収入の分散化を推し進めております。


(※)
当社の介護事業における売上は、サービス付き高齢者向け住宅による家賃収入として家賃
と共益費を、生活支援費関連収入として生活支援サービス費、生活支援サービスオプショ
ン、食費を、介護保険収入として訪問介護収入、居宅介護支援収入、福祉用具貸与収入を
計上しております。
これらのうち、入居者・利用者からの介護保険(訪問介護)収入の介護保険自己負担1~
3割分の他に、各都道府県の国民健康保険団体連合会からの居宅介護支援売上の 10 割分
と、訪問介護売上7~9割分によって成り立っております。介護保険収入は、単位×地域
単価で計算されます。単位は、全国一律であり厚生労働省が定めます。地域単価とは、人
件費の地域差を調整するために設けられた地域ごとの単価であり、1単位 10 円を基本と
し、7つに区分されております。当社が事業を展開する地域では、10 円、10.21 円、
10.42 円、10.7 円、10.84 円の5区分が該当します。




                           18
■事業計画
(1)成長戦略
①企業グループのビジネスモデル、市場環境、競争力の源泉を踏まえた経営方針・成長戦
略について




                   19
 当社グループにおいては、中期事業計画の対象期間を3年間と定めております。介護報
酬改定が3年に1度であることや、当社は社会インフラを提供するストック型のビジネス
であり、新規開設して軌道に乗った拠点が急激に事業環境が悪化する可能性も低いと言
え、1棟オープンするには約1年の準備が必要であることなどを鑑みて、3年で設定して
おります。


 当社が現在位置する介護業界、とりわけ高齢者向け住宅の供給という市場は、圧倒的に
供給が不足しています。当社が提供するサービスの質を維持しつつ、毎期着実に高齢者向
け住宅の供給戸数を増大させていくことが重要な経営方針です。


 当社は、子会社の北山住宅販売で建築を行い、当社が介護運営を行う一気通貫のスキー
ムで運営棟数を増やしてまいりました。特に当社グループは、居室数が 29 戸の中小規模
型の建築・運営に強く、この戸数は大手では建築も運営も行うには小さすぎて、地元の工
務店や介護事業者では大きいという、他社が手を出しにくい規模に特化して展開を進めて
まいりました。今後もこのスキームを基本形態とし、ドミナント戦略で進出エリアには複
数運営を行い、上場後は全国へ展開していきます。
 2013 年3月に当社1棟目のサービス付き高齢者向け住宅の運営を始めて以降、現在は7
府県 24 棟の運営を行っておりますが、上場後は当社の信用力も増すと考えられ、京都滋
賀エリアの当社がホームと考える地域以外でも当社での一括借り上げにて運営棟数を増や
すことが見込め、上場によりブランド力がつくことで新たな地域に進出していっても信用
力が増し、職員確保や利用者確保において有利に働き、新規拠点の立ち上がりペースが早
まる効果を期待しております。上場後は、当社から株式会社北山住宅販売へ資金を貸し付
けて、当社が出店したいエリアで土地を購入し、自社建築を行って運営棟数を増やしてい
く増収戦略も考えております。
 具体的には、2021.12 期においては、滋賀県長浜市で、株式会社北山住宅販売が土地・
建物を保有し新規開設する計画があります。
                   (投資総額 191,000 千円予定)また、浜松市
中区で、定期借地契約で当社が土地を借り、当社が建物を保有する計画があります。
                                     (投
資総額 175,100 千円予定)その他、新規上場による増資資金を使って、岐阜県で株式会社
北山住宅販売で土地・建物を保有する計画(投資総額 183,000 千円予定で、2022.12 期新
規開設予定)、及び関東エリアにおいて株式会社北山住宅販売で土地・建物を保有する計
画(投資総額 300,000 千円予定で、2022.12 期の新規開設を目標として現在土地取得に向
けて進めている)があります。
 これらの当社グループによる新規施設の取得の他に、オーナーによる建築案件として、
2021.12 期は、滋賀県大津市で「アンジェス瀬田」を、愛知県みよし市で「アンジェスみ
よし」をオープンする計画です。


                        20
 また、運営戸数を増やすための増収戦略として、運営効率のよい大型拠点の運営も始め
ています。その1棟目として、アンジェス加古川を大型拠点(69 室)の実験拠点とし、大
型拠点でも運営ができるノウハウを蓄え、必要に応じて大型拠点も出店でき運営が可能で
ある体制を築くためのノウハウ蓄積を開始しております。


 また、供給戸数を増やすことと同様に、人材確保も重要な課題であり、当社は無資格者
を介護スタッフとして教育、育成を行い、資格を取得させて就業させております。今後
も、充実させていく予定です。
 新規上場で得た資金を使って、自社グループによる土地の取得と物件保有、信用力の向
上による新規開設棟数の維持・増加を目指し、人材確保等を通じ、持続的な成長を図って
いきます。


 当社は 2016 年には年間5棟を新規開設しましたが、その後は、キャッシュフローの兼
ね合いや内部管理体制の強化のために新規開設ペースをやや抑えてきました(2017 年2
棟、2018 年3棟、2019 年1棟、2020 年4棟)
                            。
 新規上場後は自社による新エリアへの主体的な新規開設や、新規開発部隊により他社建
築物件での運営も積極的に受けることで運営棟数を増やし、2020 年末時点では 24 棟 746
室、連結売上高約 29 億円であったところ、2023 年には 38 棟約 1200 室、連結売上高約 46
億円を目指します。
 また、今後の展望として、2~3年後までは新規で年5棟 150 室を目標として「ドミナ
ント出店による既存エリアの深耕」
               「進出エリアへの新規出店」を進めてまいります。


②当該経営方針・成長戦略を実現するための具体的な施策の内容について
 このような状況のもと、顧客への更なる介護サービスの充実とそれによる当社に対する
認知の拡大を目指し、あわせて事業の拡大を果たすため、以下の取組みを進めてまいりま
す。


 ⅰ.出店エリア拡大とドミナント展開
 新たなエリアに進出後、近隣に複数拠点を開設する形での拠点展開を続け、職員確保・
入居者確保・日常オペレーションの面で更なる相乗効果を狙います。
 具体的には、今後は、関東圏への展開と、関西圏の拡充により運営棟数を増やしていき
ます。
 2020 年 11 月に神奈川県相模原市に進出し、関東圏進出の足がかりを得ました。神奈川
県を中心に、次は、東京都への進出を狙います。従来は、新規案件の発掘は建築会社から
当社に介護運営会社として入ってもらえないかと声がかかるなど、提案を受ける形でした


                          21
が、新規上場後は、子会社北山住宅販売が土地を購入してその土地にアンジェスを建築
し、新しいエリアに進出していくことでエリアを拡大していく計画です。また、地元関西
でも、京都、滋賀、大阪、兵庫などでは不動産会社からの土地情報や、建築会社からの介
護運営会社として入らないかの提案を受ける等、新規拠点開設のための提案を受ける機会
が多く、関西エリアについても、引き続き拡充させていきます。
 また、年間オープン棟数を増やすために、従来以上に他社建築会社が建築した物件も運
営を受け、運営棟数を増やしていきます。新規開拓部門を新設し、どのエリアに出てもア
ンジェスブランドで一定のサービスレベルを維持し、早期に稼働率を高められる体制をと
っていきます。


 ⅱ.人材確保の強化による人材不足の解消
 2019 年4月から新卒採用を開始しました。無資格者を採用し、資格取得支援を行ってお
ります。求人手段の多様化により、引き続き有資格者の確保を図っていきます。


 ⅲ.看取り周辺事業の強化
 将来への布石として、看護師の採用、各拠点への配置を進めていきます。
 <看護師配置により短期的に期待する効果>
 a.看取りの強化
 ・家族の安心を得て、看取り件数の増加
 →近隣他社との大きな差別化要因になると考えます。
 →利用者確保、従業員確保の好循環が生じると考えます。
 b.入院の減少、退院の早期化支援で居室空室の収益機会ロスが減少
 c.看護師が常駐している安心感から、入居促進にもプラス


 <看護師配置による中長期展望>
 上記の打ち手により、将来的に当社の事業を医療方面へ広げていくための布石としま
す。
 e.独立した訪問看護ステーションの設立準備
 医療処置や、理学療法士による機能訓練の実施などが可能となります。


 ⅳ.新規開拓部隊の新設
 拠点の垂直立ち上げのための新規開拓部隊の配置を検討し、オープン後の黒字化までの
期間短縮と、オペレーションの平準化を図ってまいります。


 ⅴ.医介連携の強化
 医介連携の強化策として、進出エリアの中堅医療法人と連携を行います。


                       22
 医療法人との連携により、アンジェスの想定入居者である中度の要介護状態の入居者
(平均要介護 2.5 程度)の入居促進に繋がります。
 また、最期は看取りまで見据えた連携を行うことで「看取りまで行うサ高住」としての
実績を積み上げていきます。


 Ⅵ.既存事業の強化
 既存拠点の稼働率の向上。介護保険の法改正動向をにらみながら、介護保険の加算の取
得も検討しております。既存入居者に対する支援の強化による増収も検討してまいりま
す。具体的には、既存事業である介護事業において、新規開設拠点で早期に稼働率を上げ
ていくため、新拠点の営業活動の平準化、新拠点オープンのマニュアル化を行っており、
2021 年度以降は従来よりも速い稼働率の向上を図っております。
 その他、既存入居者に対する支援の強化として、有料の食事オプションの提供、オプシ
ョンを活用した提案なども検討し、増収を図っていきます。


(2)経営指標
①経営上重視している、成長戦略の進捗を示す重要な経営指標(投資者の投資判断に影響
を及ぼすもの)について


 当社グループは、新規開設居室数、売上高経常利益率、訪問介護の利用単価、稼働率
(月末時点賃貸借契約数÷月末時点総提供可能居室数)及び人件費率を経営成績に影響を
与える重要な経営指標として捉えております。


 a.新規開設居室数
 2020 年 12 月期は4棟 116 室増床しました。今後は年間5棟又は 150 室の増床を目指し
ます。新拠点を開設し運営居室数を増やすことが当社の業績拡大に重要であることから、
新規開設居室数を重要な経営指標として捉えております。


 b.売上高経常利益率
 2020年12月期における売上高経常利益率は4.6%(前連結会計年度は4.5%)となりまし
た。2019年12月期にオープンした加古川の稼働率が向上したこと、補助金収入等も計上さ
れ、4棟の新規開設費用をカバーし、当社グループ全体として売上高経常利益率が向上し
ました。
 当社グループは、労働集約型であり、助成金等を活用した営業外収益が上がることや、
連結子会社が賃貸物件を保有しており営業外費用として利息が発生していることを踏ま
え、売上高経常利益率を重要な経営指標として捉えております。




                         23
 c.訪問介護の利用単価
 2020年12月期における訪問介護の利用単価は167,961円(前連結会計年度は158,344円)
となりました。2019年10月から介護職員特定処遇改善加算の制度が開始されたことが主な
要因であります。訪問介護の利用単価は、訪問介護の年間売上額÷年間の延べ賃貸借数で
計算しております。
 介護事業の売上の約52%が訪問介護収入であり、この売上額について、年度毎や拠点毎
の単価の推移を見ていくことが当社グループにとって重要であると考えていることから、
訪問介護の利用単価を重要な経営指標として捉えております。


 d.稼働率
 2020年12月期末におけるオープン後1年経過した拠点の平均稼働率は97.1%(前連結会
計年度末は97.3%)と、前年比で0.2ポイントと悪化しておりますが、僅かな差でありま
す。理念に基づき看取りまで行う介護運営を続け、入居者の紹介元に対して継続的にご挨
拶回りを行っており、当社の特徴である営業活動の成果を図る上で重視しております。稼
働率は、
   「賃貸借契約数÷総提供可能居室数」で算出しております。
 稼働率が売上に直結し、利益を上げるための重要なポイントであることから、稼働率を
重要な経営指標として捉えております。


 e.人件費率
 2020年12月期における人件費率は64.7%(前連結会計は64.0%)と、前年比で0.7ポイ
ント悪化しております。これは、2019年が1棟新規開設(2019年12月開設のため、2020年
も立ち上げ初期段階であった)であり、2020年は4棟新規開設であったことによる初期投
資の増加によるものです。人件費率は、労務費÷介護収入(介護保険収入+サービス付き
高齢者向け住宅事業の生活支援費売上)で算出しております。
 当社は労働集約型の事業であり、効率的に人件費が売上を生んでいることが経営上重要
であることから、人件費率を重要な経営指標として捉えております。


(3)利益計画及び前提条件
 当社の中期事業計画は、3年をサイクルとし、1 年を経過するごとに見直しを行うロー
リング方式を採用しております。中期事業計画の策定にあたっては、当社の事業展開方
針、介護保険法の改正の動向及び同業他社の状況を総合的に考慮して出店エリア等を検討
しており、新規出店数については、年 150 室の増床を基本方針としています。
 新規開設後の入居スピードについては、当社の過去実績に基づいて稼働率、平均単価を
算出しております。
 建築に関しては、過去実績より、年3~4棟の建築を前提としており、外部オーナーか
ら建築請負を受ける場合と、自社保有する場合があります。


                        24
1.(1)当社グループ全体の見通し
 当社グループは、当社と連結子会社(株式会社北山住宅販売)の2社により構成されて
おり、グループ各社毎に予算を策定後、連結予算を策定しております。
 当社は、日本の超高齢化社会において、在宅独居高齢者の孤独死、要介護者の在宅生活
の限界と特養入所待機者の解消という社会課題を解決するため、
                            「サービス付き高齢者向け
住宅事業」
    「訪問介護事業」「居宅介護支援事業」を行っております。
 なお、当社グループの事業セグメントは、高齢者住まい法に基づくサービス付き高齢者
向け住宅「アンジェス」の運営、介護保険法に基づく訪問介護、居宅介護支援等を行う「介
護事業」(当社)、及び当社が運営するサービス付き高齢者向け住宅「アンジェス」の建築
請負と賃貸事業を行う「不動産事業」
                (株式会社北山住宅販売)で構成されており、高齢者
の住まいを提供しております。
 当社グループでは、2020 年 12 月末時点において、24 拠点(滋賀県7拠点、京都府5拠
点、岡山県4拠点、静岡県4拠点、兵庫県2拠点、愛知県1拠点、神奈川1拠点)の「アン
ジェス」の運営を行っております。
               「アンジェス」の運営の基本的なスキームは、物件オー
ナーにアンジェスを保有頂き、当社が賃貸借契約を行って介護運営を担う形態です。24 棟
のうち、連結子会社北山住宅販売が保有する物件が6棟あります。
 当社グループにおいては、
            「アンジェス」の運営棟数拡大が業績の安定的な拡大に寄与し
てまいります。当社の「アンジェス」の運営棟数の拡大に加え、2021 年以降、株式会社北
山住宅販売では、満室稼働している自社保有物件の「アンジェス」を売却し、売却資金で
新たな自社保有物件を建築することで、円滑な新規拠点開設を行うことができ、グループ
としての運営棟数を増加させることに寄与していきます。
 当社グループでは、2020 年 12 月末時点で運営棟数が 24 棟となりました。運営棟数の増
加に伴い、売上高は 2,930 百万円(前期比 545 百万円増)となりましたが、第4四半期に
2棟の新規開設が重なり初期投資段階の拠点が2拠点となったことから、営業利益は 89 百
万円(前期比 22 百万円減)となりました。営業外収益として、株式会社北山住宅販売が保
有するアンジェス加古川のサービス付き高齢者向け住宅建築に係る助成金収入の計上及び
新型コロナウイルス関連の助成金収入が計上されたことから、経常利益は 134 百万円(前
期比 27 百万円増)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、98 百
万円(前期比 22 百万円増)となりました。
 また、2021 年 12 月期においては、新たに4拠点の開設を計画しており、2021 年 12 月末
時点では運営棟数 28 棟を計画しております。


 (2)業績予想の前提条件(期初計画)
 2021 年 12 月期は、新規拠点の開設による利用者数の増加を主因として、売上高 3,324 百


                         25
万円(前期比 393 百万円増)、営業利益 179 百万円(前期比 90 百万円増)
                                         、経常利益 163 百
万円(前期比 29 百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益 124 百万円(前期比 22 百万
円増)を計画しております。


 ①売上高
 直近2期間における新規開設施設数は、2019 年 12 月期に1棟 69 室(加古川)、2020 年
12 月期に4棟(西焼津、一宮奥町、嵯峨広沢、相模原)となりました。
 2021 年 12 月期も4棟新規開設予定で、新規拠点の開設による利用者増加に伴い、売上
高は 3,324 百万円(前期比 393 百万円増)を予想しております。


 介護事業の売上高は、家賃・生活支援サービス費・食費等のサービス付き高齢者向け住
宅収入、訪問介護サービス、居宅介護支援サービスによる介護保険収入で構成されており
ます。家賃・生活支援サービス費・食費は基本的には毎月定額であり、訪問介護サービス、
居宅介護支援サービスによる介護保険収入は、利用者ごとのサービス利用量や介護度によ
って異なります。当社の介護事業における売上高は「利用者数×単価(※)
                                 」で決まり、利
用者数は「提供可能居室数×稼働率」となります。
 当社においては、既存拠点(満室稼働に入った拠点)と当該年度の新規開設拠点及び満
室稼働状態になっていない拠点とでは、稼働率の前提値の置き方が異なります。
 既存拠点は満室稼働状態であり、稼働率は前年度の実績より開設後1年以上経過拠点の
全社平均は 97%(2020 年 1-10 月平均値)であることから、既存拠点の年平均稼働率は 97
~98%で設定しております。利用者単価は拠点ごとの前年度の実績平均(2020 年 1-10 月
平均値)を用いて単価を設定し、一部地域特性や予算策定時点の状況を加味して作成して
おります。
 新規拠点及び満室稼働状態になっていない拠点は、開設エリアごとに、過去の稼働実績
を元にエリアを3区分(京滋型(当社のホーム地域)、中間型(ホーム地域の近隣拠点でサ
ポート体制が十分可能と考えられるエリア。または、当社が既に進出し、満室となってい
る拠点の同一エリア、近接エリア)、その他型(前述の2つに該当しないエリア))に分け
パターン化しており、新規開設後、満室稼働状態になるまでの期間の月次入居数想定の推
移をもとに稼働率を設定しております。利用者の単価は当社の全社平均値(2020 年 1-10 月
平均値)を参考に直近の動向を加味した上で設定しております。
 以上のことから、当事業の売上として 2,904 百万円(前期比 468 百万円増)を予定して
おります。


 不動産事業を展開する株式会社北山住宅販売の収益は、賃貸収入(うち一部は連結上相
殺されます) サービス付き高齢者向け住宅の設計や建築請負に対する完成工事高が計上さ
     、
れます。2021 年 12 月期は、保有物件の1棟の売却と、建築請負工事の2件(うち1件は連


                         26
結上相殺されます)の完成で 419 百万円(前期比 75 百万円減)の売上を予定しております。
 前期比で売上が減収見通しとなっている主な要因は、2021 年 12 月期は、前期には無か
った自社保有物件1棟の不動産売却を計画している一方で、建築請負工事の件数が1件(2
件受注しているが、1件は連結上相殺される)と前期に比べ1件少ないこと、また、前期
の建築請負工事実績額には、本体工事以外に別途工事や外構工事の受注実績も含まれます
が、予算策定時点では別途工事や外構工事の受注の有無は分からないため本体工事価格し
か計上しておらず、1工事当たりの工事単価を前期実績と比べ低く設定していることであ
ります。


 (※)
 主に訪問介護、居宅介護支援、家賃、共益費、食費、生活支援サービス費、生活支援サー
ビスオプションの売上が計上されます。


 ②売上原価・売上総利益
 売上原価は、2,713 百万円(前期比 247 百万円増)を予想しております。また、売上総利
益は 611 百万円(前期比 146 百万円増)を見込んでおります。
 介護事業における売上原価は、各拠点で勤務する従業員の労務費、地代家賃が多くを占
めております。
 不動産事業においては、建築原価、賃貸原価であります。それぞれ以下の方法により算
定しております。


・介護事業の労務費について
 既存拠点では、ほぼ満室稼働状態であることから、労務費は横ばいで推移すると考えて
おり、前年実績と当社の経営指標の一つである人件費率をもとに労務費を算出しておりま
す。当社の運営の場合、利用者数は基本的にはアンジェスの拠点の居室数に近い数字にな
り、一度満室状態になると、拠点の職員の人数は基本的に変わらないこととなります。昇
給等も介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算で対応予定であります。
 新規拠点については、利用者数の増加に伴って従業員の増員を図ることから、徐々に労
務費が増加していくこととしております。なお、新規拠点の労務費の目安は、当社におけ
る利用者数の段階に対するモデル人員配置や人件費率を元に算出しております。
 労務費については、1,480 百万円(前期比 253 百万円増)を見込んでおり、新規拠点の従
業員の増加による増額を見込んでおります。


・介護事業の地代家賃について
 一括借上げ会社が一括借り上げを行う場合と、当社が一括借り上げを行う場合がありま
すが、前者のケースでは、賃貸借契約数に応じた居室ごとの固定額及び当社テナント賃料


                       27
を支払うこととなるため、各契約に定められた金額をもとに計上しております。
 当社が一括借り上げを行う場合は、オーナーとの契約条件によりますが、当初数か月は
フリーレント期間があり地代家賃は発生せず、一定期間経過後は固定賃料を支払う契約と
なることから、その条件にて計上しております。
 地代家賃については 421 百万円(前期比 66 百万円増)を見込んでおり、新規拠点の増加
による増額を見込んでおります。


・不動産事業の建築原価、賃貸原価について
 建築に対する原価については、過去の建築原価の実績から見積り各案件の建築原価を想
定し、計上しております。賃貸原価は過去の実績をもとに算出しており、主に減価償却費
です。当事業の原価として 341 百万円(前期比 121 百万円減)を見込んでおります。不動
産事業の売上減少にともない、原価も減少します。


 ③販売費及び一般管理費・営業利益
 販売費及び一般管理費は、 百万円
             431 (前期比 55 百万円増)を見込んでおります。また、
営業利益は 179 百万円(前期比 90 百万円増)を見込んでおります。
 介護事業、不動産事業とも、本社発生費用を販売費及び一般管理費としています。
 主な費用である人件費(役員報酬を含む)につきましては、管理部門の 2021 年 12 月期
の増員分(システム担当責任者1名)を織り込んだ状態で算出しております。その他は、
前年実績等を参考に算出しております。人件費については、222 百万円(前期比 13 百万円
増)を見込んでおります。また、当期より外形標準課税をベースに税金計算を算出してお
ります。


 ④営業外損益・経常利益
 営業外収益は、41 百万円(前期比 28 百万円減)を見込んでおります。内訳は主としてキ
ャリアアップ助成金の助成金収入、サービス付き高齢者住宅のスマートウェルネス住宅等
推進事業補助金を計上しております。
 営業外費用は、57 百万円(前期比 33 百万円増)を見込んでおります。主に支払利息 26
百万円と、上場関連費用として見積等に基づき 16 百万円を見込んでおります。


 ⑤特別損益・親会社株主に帰属する当期純利益
 特別利益及び特別損失の計上は見込んでおりません。
 親会社株主に帰属する当期純利益は、124 百万円(22 百万円増)を見込んでおります。
 連結納税は行っていないため、各社ごとに算出した税金費用を合算し、算出しておりま
す。




                       28
(4)進捗状況
①前回記載した事項の達成状況(成長戦略を実現するための具体的な施策の実施状況や、
経営指標や利益計画の達成状況など)や前回記載した事項からの更新内容
 今回が初開示であり、更新事項はありません。


②「事業計画及び成長可能性に関する事項」の開示を行うことを予定している時期
毎年1回、事業年度経過後3か月以内を目途に開示を行うことを予定しています。


■リスク情報
(1)認識するリスク
①成長の実現や事業計画の遂行に重要な影響を与える可能性があると認識する主要なリス
クとそのリスクへの対応策、また、リスクが顕在化する可能性の程度や時期、顕在化した
場合の成長の実現や事業計画の遂行に与える影響の内容について


 当社グループが認識する、主要なリスクは以下のとおりです。なお、新規上場申請のた
めの有価証券報告書(Ⅰの部)に記載したリスクのうち、当社の業績に与える影響度が大
きいと考えられるものを抜粋して記載しております。


ⅰ.人員の確保について
 当社グループが事業規模を拡大していくためには、新エリアへの進出を続けていく必要
がありますが、新エリアへ進出するためには、管理者、現場の介護スタッフを確保する必
要があります。介護業界は慢性的に人手不足といわれ、有効求人倍率も高い状況にありま
す(2020 年 11 月の介護サービスの有効求人倍率は 3.27 倍。全職業平均は 1.00 倍。出
典:「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)(厚生労働省)。そのため、当社は、介護
                     」      )
スタッフの待遇改善、全国転勤や全国の宿泊出張可能な社員の確保に取り組んでおりま
す。また、経験の浅い介護スタッフでも安心して継続して働けるように、定期的な教育・
研修の場を設けて、スタッフ定着率の向上に努め、未経験の無資格者に対しても、雇用
後、資格取得支援を行い戦力化を図っております。
 新規開設後、近隣で近い時期に複数拠点を開設するドミナント展開を行うことでオープ
ニングスタッフを中心に人員をエリア単位で充足させ、その中から次期管理者候補を発掘
し、次の開設へ繋げていくなど、ドミナント展開を行いながら人員確保におけるリスクを
コントロールしております。また、開設時期が毎年異なり、中途採用者がメインとなって
いることから、2019 年4月から新卒採用を開始し、中長期的な人材育成にも取り組んでお
ります。しかしながら、十分に介護スタッフが確保できず、人員不足によって新規拠点の


                         29
開設時期が遅れることや、開設後に入居受け入れを止める事態が発生した場合には、当社
グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
 なお、当該リスクは、エリアや拠点展開先の地域によって程度に差はありますが、基本
的には1拠点単位で発生するリスクであります。また、現時点では、求人活動及びその状
況によって、近隣拠点からの応援体制によりカバーすることが可能であり、当該リスクへ
の対応策に取り組んでおります。


ⅱ.介護保険法の改正について
 訪問介護事業、居宅介護支援事業は介護保険法に基づき事業を行っております。介護保
険法及び介護報酬は3年ごとに改定されます。前回の介護報酬改定は 2018 年4月であ
り、次回改定は 2021 年4月となっております。当社で現在取得している「介護職員処遇
改善加算(Ⅰ)「介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)
       」                」は従業員の処遇改善に直結してお
ります。今後の改正において、これら処遇改善加算が減額される方向となり、当社持ち出
しによる人件費の増加が発生した場合、また、基本報酬の大幅減額が実施される場合、新
たな減算が開始される場合、介護保険サービスの利用方法に制限がかけられる場合、新た
な規制が発生した場合や人員基準変更等で有資格者の雇用が義務付けられる場合など、法
改正の動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
 当該リスクは当社の介護事業の売上の約 55%を占める介護保険収入に関連するものであ
ることから、当社グループ全体の業績に影響を与えますが、当社では収益の分散化によっ
てリスク低減を図っております。また、当社は一定の規模に成長してきたことで、業務標
準化による効率的な運営等が行える体制を目指しており、今後も継続して取り組んでまい
ります。


ⅲ.食中毒や感染症について
 当社の運営する建物内では、日ごろから、換気・手洗い・手指消毒の励行等の感染防止
対策をとっておりますが、外部からの訪問者によって、新型コロナウイルス、インフルエ
ンザやノロウイルス等を持ち込まれてしまい「アンジェス」において利用者や従業員の間
で集団感染が発生する可能性があります。また、当社が運営するサービス付き高齢者向け
住宅においては、利用者に対し食事を提供しておりますが、厨房の整理・整頓及び食材の
安心・安全な調達・調理に取り組んでいるものの、万が一、喫食された利用者の中から食
中毒が発生した場合や、集団感染が広がった場合には、営業停止等の行政処分や顧客離れ
等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
 当該リスクは、事業への影響としては、1拠点単位の収益に影響を及ぼすものでありま
す。特に、近況においては新型コロナウイルス感染症が拡大しておりますが、万一、当社
が運営するサービス付き高齢者向け住宅でクラスターが発生した場合は、その拠点につい
ては、終息するまでの一定期間、売上が減少する可能性があり、その後の営業活動に際し


                     30
ては風評リスクが発生する可能性が生じます。
 なお、当社では、訪問介護部による感染予防のための研修、全社統一の感染予防対策を
とるなど、これら感染症対策については既に可能な限りの予防策を講じております。


ⅳ.事業のための指定等について
 当社が行っている介護事業は、主に介護保険法に基づく介護サービスが中心であり、同
法及び関連諸法令の規制を受けます。介護サービスを行うには、サービス毎に都道府県等
自治体の指定を受ける必要があります。介護事業の運営を続けていく上では、常時、運営
基準・設備基準・人員基準等の各種基準を充足しておく必要があります。また、サービス
付き高齢者向け住宅の登録・更新にも要件があります。
 これらが遵守できていないと行政に判断された場合、介護報酬の返還又は減額、新規受
け入れ停止、最も厳しい処分としては指定取消が行われる可能性があります。当社では、
内部監査での確認、各部門上長による書類の確認、定期的な研修等で法令遵守に注力して
おりますが、行政によって法や基準への判断・解釈が異なる、いわゆる「ローカルルー
ル」が存在するため、当社で実施するリスクコントロールが機能せず、運営に不備があり
何らかの指摘や指導を受けることとなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす
可能性があります。
 具体的な各サービスと根拠法令、主な指定・登録取消事由については下記の一覧をご参
照下さい。
                                             主な指定・登録
サービス名   所管官庁等         根拠法令等          有効期間
                                                  取消事由
                ・介護保険法
                                            介護保険法第77条
訪問介護    厚生労働省   都道府県、政令指定都市及び中核市     6年間
                                            (指定の取消し等)
                が事業の指定権者となります。
                ・介護保険法
                都道府県、政令指定都市及び中核市
居宅介護支           が事業の指定権者となります。              介護保険法第84条
        厚生労働省                        6年間
援               なお、居宅介護支援については、             (指定の取消し等)
                2018年4月以降の指定権者は市区町
                村になっております。
                                            介護保険法第115条
介護予防・           ・介護保険法
                                            の45の9
日常生活支   厚生労働省   市区町村が事業の指定権者になりま     6年間
                                            (指定事業者の指定
援               す。
                                            の取消し等)
サービス付           ・高齢者住まい法                    高齢者住まい法第
        国土交通省                        5年間
き高齢者向           都道府県、政令指定都市及び中核市            26条

                         31
け住宅             が登録先となります。                      (登録の取消し)


  また、不動産事業に係る許認可は以下のとおりであります。
                                                  主な免許・登
      許認可等の名称           有効期間             規制法令     録等取消条項
                                                  等
特定建設業(建築工事業許    京都府知事(特-29)第34856号      建設業法     第29条
可)              2017年5月1日~2022年4月30日
宅地建物取引業(免許)     国土交通大臣(5)第6098号         宅地建物取引 第66条
                2020年12月5日~2025年12月4日   業法
一級建築士事務所(登録)    京都府知事登録第03136号          建築士法     第26条
                2020年7月3日~2025年7月2日ま
                で
 なお、当社では、これまで行政処分を受けた事実はなく、これらのリスクコントロール
に取り組んでまいりました。当該リスクは基本的には1拠点単位で発生するリスクであ
り、事業への影響は限定的であります。


 その他のリスクについては、有価証券届出書の「事業等のリスク」をご参照ください。


                                                  以上




                       32