5901 洋缶HD 2021-06-14 16:30:00
第108回定時株主総会議案に関する補足事項 [pdf]

                                                        2021 年 6 月 14 日
 各    位
                                  会社名     東洋製罐グループホールディングス株式会社
                                  代表者名    取締役社長            大塚 一男
                                       (コード:5901 東証第一部)
                                  問合せ先    総務部長             浅田 真一郎
                                       (TEL. 03-4514-2001)



                  第 108 回定時株主総会議案に関する補足事項



  当社は、2021 年 6 月 25 日に開催予定の第 108 回定時株主総会(以下、       「本定時株主総会」といい
ます。   )の第 7 号議案および第 8 号議案について、議決権行使助言会社である Institutional Shareholder
Services Inc.(以下、「ISS 社」といいます。)より、「賛成」を推奨する旨の英文レポートが発行され
ている事実を確認いたしました。          また、 9 号議案について、
                            第          Glass Lewis & Co., LLC(以下、
                                                                「GL 社」
といいます。より、賛成」 )  「     を推奨する旨の英文レポートが発行されている事実を確認いたしました。
第 7 号議案、 8 号議案および第 9 号議案に関する当社取締役会の意見の内容は、
             第                                              本定時株主総会の
招集ご通知に記載のとおりでありますが、当社取締役会としては、これらの議案に「反対」しており
ますので、ISS 社および GL 社のレポートを踏まえ、下記のとおり関連する事項を補足してご説明い
たします。株主の皆様には、下記をご確認のうえ、当該議案へのご理解を賜りますよう、よろしくお
願い申し上げます。


                                  記


1.第 7 号議案 定款一部変更(相談役・顧問等の廃止)の件(株主提案)に対する当社見解
  ISS 社より株主提案である第 7 号議案に対して「賛成」推奨がなされておりますが、当社取締役
 会は、かかる議案に「反対」しております。
  ISS 社は、他社の事例を用いて相談役・顧問等が会社の経営に悪影響を及ぼすとし、また元経営
 陣が引き続き相談役・顧問等に就くことで他社一般における社外取締役候補者の確保に支障を与
 えるとしています。しかし、いずれも当社に妥当するものではなく、当社において相談役・顧問等
 の制度がコーポレート・ガバナンス上支障になっている旨を指摘したものとはいえません。
  当社は、業界において知名度が高く豊富な知見を有する者を、当社の相談役、顧問等とすること
 により、当社の社会的評価の向上や業界団体等の対外的な活動などに役立てております。一方で、
 この相談役、顧問等の制度を安易に用いるのではなく、各人の豊富な経験・見識・人脈などを活用
 する必要がある場合に限り利用することとし、その運用の適切性を確保してきております。
  まず、当社においては、現在、相談役および顧問は一人もおりません。これは、当社において、
 相談役・顧問等の制度を真に必要な場合に限り利用することとして、    適切に運用を行っている証で
 す。そのような背景には、当社の取締役会の 3 分の 1 超が独立社外取締役で構成されており、かか
 る取締役会において、相談役・顧問等の制度の運用を適切に監督していることが指摘できます。
  一方で、当社の名誉会長については、業界団体等における知名度が高く、代替性のない豊富なネ
 ットワークや見識等を有しているため、    当社としては、名誉会長の業界団体等における対外的な活
 動が当社の社会的評価の向上につながり、    当社の利益に資すると判断しております。当然のことな
 がら、名誉会長において、経営の意思決定に関する会議には一切出席しておらず、当社における経


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 営の意思決定に介入し、悪影響を及ぼすようなことは一切ございません。
  また、ISS 社は、元経営幹部と当社の関係性についての透明性の確保を本議案の賛成推奨の理由
 として挙げています。しかし、当社は、相談役・顧問等を定款に定めて位置付けることで広く株主
 に開示をした上で、コーポレート・ガバナンス報告書においても開示を行っているほか、独立社外
 取締役が 3 分の 1 超を占める取締役会においてその運用を監督しており、十分な透明性を確保し
 ているものと考えております。
  当社といたしましては、   株主の皆様からの当社の相談役・顧問等の制度への信頼性の更なる向上
 に資する取組みについては、   今後も引き続き検討してまいりたいと考えておりますが、本議案のと
 おり定款変更をすることによってこれが実現されるものではありません。
  以上のとおりですので、当社取締役会は第 7 号議案に反対いたします。



2.第 8 号議案 自己株式取得の件(株主提案)に対する当社見解
  ISS 社より株主提案である第 8 号議案に対して「賛成」推奨がなされておりますが、当社取締役
 会は、かかる議案に「反対」しております。
  当社は、株主還元を経営の最重要課題の一つと認識しており、2021 年 5 月 14 日には、    「中期経
 営計画 2025」(以下、 「新中期経営計画」といいます。)を公表し、2021 年度から 2025 年度の間、
 総還元性向 80%を目安として、配当金については連結配当性向 50%以上を目安としかつ 1 株当た
 り 46 円を下限として引き上げるとともに、機動的に自己株式取得を実施していく方針としており
 ます(なお、資産売却等による特別損益は、原則として、総還元性向および連結配当性向を算定す
 る上では考慮いたしません。。   )
  上記の方針は、昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大による世界経済情勢の先行きが不
 透明である状況下において一定程度の手元流動資金を確保しつつ、新中期経営計画に定めた投資
 を実施していくことが可能となるよう取締役会で定めたものです。     当社は、   包装容器領域を基盤と
 して、エンジニアリング・充填・物流領域におけるバリューチェーンの拡大と、鋼板関連事業・機
 能材料関連事業における光学用・電池向け部材等での成長を図るとともに、        新規事業領域において
 社会課題解決の新しい仕組みを創出していく必要があると考えております。        その考えのもと、   下記
 のとおり総額 3,300 億円規模の投資を実施することを方針としておりますが、    これらはいずれも当
 社の中長期的な企業価値の維持・向上のために必要な投資です。

                                       目安額
                  目的                                備考
                                      (億円)
            主な投資目的
             ■環境負荷低減・環境価値拡大のための投資
             ■包装容器製造の枠を超えたバリューチェーン
 新たな成長分野・     全体でのシステム構築
                                        1,600
 領域の拡大       ■「食と健康」「快適な生活」「環境・資源・エ
                   ・       ・
              ネルギー」領域を中心とするビジネスパート
              ナーやスタートアップ企業との共創による事
              業創出と育成
                                                設備更新において、環境負
 既存事業領域
            注力すべき既存事業領域における基盤強化         1,500   荷低減や省人化 省力化を
                                                       ・
 の持続的成長
                                                伴う形で極力行う
 経営基盤強化    IoT・DX の推進、新技術開発、人材開発など     200
 合計                                  3,300
 ※上記は計画時の目安であり、進捗状況・事業機会タイミング等の要因により、内訳を随時見直し、投資判断実施



  他方で、本議案は、当社の事業リスクへの対応力や成長のための資金ニーズよりも、短期的な多
 額の株主還元を優先させようとするものといえます。ISS 社は、最大 240 億円の自己株式取得は当


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 社の経営に大きな影響を与えるものではないとの意見を示しております。       しかしながら、  提案株主
 は 3 年間で 1,000 億規模の自己株式取得を行うべきであると述べ、その第一歩として本議案のとお
 り 1 年間で 240 億円の自己株式取得を提案しております。仮に 1 年間に 240 億円の資金の確保が
 できたとしても、3 年間で 1,000 億円もの資金を確保しそれを自己株式取得に充てることは、当社
 の現状に照らすと緊急時に対応できる借入余力を維持するため、現時点では借入れによる資金調
 達も極力回避すべきであることなどから困難であります。      新中期経営計画に掲げた方針の下、   株主
 還元、  成長投資および将来のリスクへの備えの三つを適切なバランスに進めていくことこそが、       中
 長期的な当社の企業価値向上に資するといえます。
  第 8 号議案は、    中長期的な観点から当社の企業価値を毀損しかねないことから、   当社取締役会は
 反対いたします。



3.第 9 号議案 定款一部変更(気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)を踏まえた経営戦略
  を記載した計画の開示)の件(株主提案)に対する当社見解
  GL 社より株主提案である第 9 号議案に対して「賛成」推奨がなされておりますが、当社取締役
 会は、かかる議案に「反対」しております。
  当社グループでは、従来より、環境関連の取組みについては積極的に取り組んでおり、その取組
 みについては、国際基準である「GRI サステナビリティ・レポーティング・スタンダード」を参考
 に当社ホームページにおいて開示をしているほか、国際基準である ISO 26000(社会的責任に関す
 る手引き)を参考に毎年 CSR レポートとして開示を行うなど、積極的に環境関連の情報開示に努
 めてまいりました。
  そして、2021 年 5 月には、Eco Action Plan 2030 の目標についての改定を行い、環境ビジョンに
 おける長期目標としてカーボンニュートラルの実現を目指すことといたしました。
  加えて、当社は、環境関連の取組みについての情報開示を更に推進するべく、2021 年 6 月 14 日
 付で公表のとおり、2021 年 7 月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)          」の提言に対
 して賛同を表明することを予定しております。
  GL 社は、そのレポートの中で、当社が TCFD の提言に沿って毎年報告を行うことを定款に定め
 ること自体は当社に過度な負担を課すものではなく特段問題ない旨の意見を示しています。
  しかしながら、現在、IFRS 財団においても、気候変動を含むサステナビリティに関する統一的
 な開示の枠組みを策定する作業に入っているものの、環境関連の取組みに対する情報開示として
 どのような形が適切であるかについては、今後の動向も踏まえて不断かつ慎重に検討していく必
 要があります。賛同を表明することを予定していることからも明らかのとおり、当社として TCFD
 の意義について十分に理解し、積極的な立場をとっておりますが、本議案のとおり、依拠する開示
 の枠組みを TCFD に限定して定款で定めるとなると、今後の更なる望ましい取組みの実施に際し
 て支障が生ずるおそれがあり、相当とはいえません。
  したがって、当社取締役会は第 9 号議案に反対いたします。

                                                          以上




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