5019 出光興産 2021-05-11 15:00:00
中期経営計画見直し(2020_2022年度)の公表について [pdf]

                                                 2021 年 5 月 11 日
各     位
                                   会 社 名 出 光 興 産 株 式 会 社
                                   代 表 者 名 代表取締役社長 木 藤 俊一
                                   (コード番号:5019         東証第1部)
                                   問 合 せ 先 財 務 部 I R 室 長 関 根 宗宏
                                   (TEL : 03 - 3213 - 9307)




            中期経営計画(2020~2022 年度)見直しの公表について

     当社は、2019 年 11 月に中期経営計画を発表しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって経営
環境は大きく変化しました。加えて日本政府の 2050 年カーボンニュートラル宣言により脱炭素化の動き
が加速しています。中長期戦略の再構築と打ち手のスピードアップを図るため、2019 年 11 月に公表した
中期経営計画を見直しましたので、概要を下記の通りお知らせ致します。


                              記


1.   長期事業環境想定
     見直しに当たって、改めて長期事業環境の想定を行いました。変数が多く極めて不透明な将来見通し
の中でも、世界的な脱炭素化及び高齢化のトレンドは確実に進展することを確認しました。なお、2050 年
までの長期エネルギー事業環境シナリオについては、2019 年公表の中期経営計画ではシナリオ3『虹』を
前提としておりましたが、アジア太平洋地域の石油需要が早期にピークアウトを迎えかつ減少していく、
シナリオ4『碧天』の可能性が高まったと認識しております。


2.   当社のパーパス再確認と 2030 年ビジョン
     先行きの経営環境が不透明であれば、より一層、当社のパーパス(存在意義)に立ち返って進むべき方
向を考えていく必要があります。当社の歩みを振り返ると、終始一貫「仕事を通じて人が育ち、無限の可
能性を示して社会に貢献する」という価値観を大切にしてまいりました。これを「真に働く」という企業
理念として成文化し、従業員一人ひとりの拠り所として、将来の変革に挑戦してまいります。
     当社は、以下の 2030 年ビジョンを定め大きく 3 つの責任を、事業活動を通じて果たしてまいります。
     2030年ビジョン
          責任ある変革者
     (1)地球と暮らしを守る責任
       カーボンニュートラル・循環型社会へのエネルギー・マテリアルトランジション
     (2)地域のつながりを支える責任
       高齢化社会を見据えた次世代モビリティ&コミュニティ
     (3)技術の力で社会実装する責任
       これらの課題解決を可能にする先進マテリアル


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3.   2030 年に向けた基本方針と経営目標
(1)基本方針
     中長期的な経営環境が極めて不透明な中で、いかなる環境変化にも柔軟に対応できるレジリエントな
 企業を目指すために、3 つの方針を掲げます。
 ア、ROIC 経営の実践
     資本効率をより重視した経営に取り組みます。このために ROIC 経営の考えを、ポートフォリオマネ
     ジメント及びパフォーマンスマネジメントに活用します。
 イ、ビジネスプラットフォームの進化
     (ア)DX の加速
     社内業務改革のみならず、お客様への価値提供あるいはエコシステムの構築に努めます。
     (イ)ガバナンスの高度化
     取締役会のメンバーを少数且つ経営課題に即した構成にすること、指名報酬の検討プロセスは社外役
     員を中心とすること、などに取組みます。
 ウ、Open・Flat・Agile な企業風土醸成
     多様な価値観を持った従業員一人ひとりが、最大限多彩な力を発揮するとともに、共創による化学反
     応を引き起こすことのできる企業風土づくりを目指して、
                              「理念・ビジョンの浸透」、
                                          「組織改革」、
                                                「働
     き方改革」を進めます。
     以上の基本方針を踏まえた事業戦略は次の通りになります。




(2)将来に向けたポートフォリオ転換
     基本方針に掲げた 3 つの方針に取り組むことで、2030 年ビジョンを実現し、以下を目指します。
     ア、エネルギー・マテリアルトランジションにより、化石燃料・基礎化学品事業は、次世代燃料・
     マテリアル・サーキュラービジネスへシフト
     イ、超小型 EV やライフサポートなどは、次世代モビリティ&コミュニティとして成長
     ウ、高機能材事業の更なる拡大
(3)2050 年カーボンニュートラルへの挑戦
     当社は、Scope1+2 の CO2 を可能な限り削減し、ネガティブエミッションの取り組みを進めながら、2050
 年のカーボンニュートラルの達成を目指します。これを成長機会と捉え、脱炭素化に資する事業を拡大

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 するとともに、お客様のニーズを的確に把握しながらバリューチェーン全体での CO2 排出量削減にも取
 り組み、SDGsNo.7「エネルギーをみんなに、クリーンに」という難題へ正面から挑戦してまいります。
(4)2030 年度経営目標
      在庫影響を除いた営業+持分利益は 2,500 億円とし、ポートフォリオマネジメントとパフォーマン
     スマネジメントを通じて ROIC を 7%に引き上げることで、企業価値の向上を目指します。
      また 2050 年カーボンニュートラルの中間目標として、2017 年対比で CO2 の 400 万 t 削減を目指し
     てまいります。
                   2020 年度実績         2030 年度          2020 年度比
     営業利益+持分        928 億円※①         2,500 億円        +1,572 億円

       ROIC           3%                 7%                +4%
 GHG 削減目標※②③
                      ―※④            ▲400 万 t              ―
    (Scope1+2)
※①:在庫影響除き

※②:2017 年度対比     ※③:グループ製油所を含む    ※④:2020 年度実績は算定中



4.   中期経営計画(2020~2022 年度)の概要
(1)経営目標
     2020~2022 年度の 3 か年累計(ROE は 2022 年度)目標は以下の通りです。




 ※2022 年度の主要前提:原油 60$/BBL、ナフサ 560$/t、石炭 75$/t、為替 105 円/$



(2)セグメント別営業利益+持分利益(在庫評価影響除き)
      燃料油セグメントにおける統合シナジーの拡大、ニソン製油所の収益改善に加えて、資源価格や基礎
 化学品市況の改善等を織込み、2022 年度には 1,750 億円の営業利益(持分利益含む)を目指します。




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(3)キャッシュバランス
     固定費削減や、投資案件の厳選、積極的な資産売却によって、フリーキャッシュフロー2,300 億円確
 保します。フリーキャッシュフローは、株主還元、戦略投資、財務体質強化に配分します。




(4)投資計画
     投資計画は 3 年間累計で 5,700 億円を見込み、戦略及び M&A 財源については、ポートフォリオ転換に
 向けた投資に配分してまいります。




5.   株主還元
     当社は株主還元を重要な経営課題の一つと認識し、株主還元方針を以下の通りとします。
     (1)2020~2022 年度 3 か年累計の在庫影響除き当期純利益に対し、総還元性向 50%以上の株主還元
      を実施します。
     (2)1 株当たり 120 円の安定配当とします。
                                                        以上
添付資料:中期経営計画の見直し(2020~2022 年度)
見通しに関する注意事項

 本資料に記載されている当社の業績見通し、戦略、経営方針などのうち、歴史的事実でないものは、将来に関する見通しであ
り、これらは、現在入手可能な情報から得られた当社経営陣の判断に基づいて作成しております。
 実際の業績に影響を与え得る要素には、経済情勢、原油価格、石油製品の需要動向、市況、為替レートおよび金利など、潜在的
リスクや不確実性があるものを含んでおります。
 従いまして、実際の業績は、これらの重要な要素の変動により、業績見通しとは大きく異なる結果となり得ることを、ご承知お
きください。


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