4593 M-ヘリオス 2019-06-21 15:00:00
事業現況と短期・中長期成長戦略に関する説明 [pdf]

                                                   2019 年6月 21 日
各   位
                  会  社  名 株    式    会    社    ヘ    リ     オ    ス
                  代 表 者 名 代 表 執 行 役 社 長 CEO       鍵 本 忠 尚
                          (コード番号:4593 東証マザーズ)
                  問 合 せ 先 執行役 CMO 管理領域管掌 澤 田 昌 典
                          ( T E L :   0 3 - 5 7 7 7 - 8 3 0 8 )



             事業現況と短期・中長期成長戦略に関する説明

 当社は6月 13 日付で当社の iPSC 再生医薬品分野におけるパイプライン HLCR011 の開発に関
し、共同開発パートナーである大日本住友製薬株式会社     (以下、
                                 「大日本住友製薬」  といいます。  )
との共同開発体制を変更し、  短期的には体性幹細胞医薬品分野で実施中の2つの治験に集中する
ことをお知らせいたしました。また、同日、ファンド設立の検討を開始したこともお知らせいた
しました。
 そこで改めて、現在の当社の状況及び今後の目指す姿(短期・中長期目標)について、再整理
しご説明いたします。

【短期目標】
  日本の再生医療等製品に対する条件・期限付き承認制度等を活用することで、早期に治験開始
が可能な製品を導入し、製品化することで製薬企業としての基盤を整える、という方針に従い、
Athersys, Inc.(以下、「アサシス社」といいます。)との提携により HLCM051 を用いた脳梗塞急
性期に対する臨床試験を開始、        続いて急性呼吸窮迫症候群 (ARDS)に対する臨床試験を開始し、
短期的な目標に向かって進捗しております。
  一方で当社のようなベンチャー企業にとって2つの治験を同時に実施することは大きな挑戦
でもあります。そのため自社のみで3つ目の治験を実施するのではなく、共同開発パートナーの
サポートにより製品化に向けて進みたい、と考え、iPS 細胞由来網膜色素上皮細胞による治療法
開発に関しては、今後治験を大日本住友製薬に主体となって進めていただくこととなりました。

 ここで、実施中の2つの治験のこれまでの進捗状況及び今後の見込みについても下記のとおり
ご説明いたします。

<脳梗塞急性期に対する第Ⅱ/Ⅲ相試験(TREASURE 試験)>
2016 年8月 :治験届を提出
2017 年 11 月:被験者組み入れ開始
2019 年5月 :すべての治験実施施設(40 施設強)へ治験製品の設置を完了

 当初より、治験実施施設は段階的に拡大していく想定ではありましたが、提携先での治験製品
の製造、その後の供給における課題等により、全ての治験実施施設へ治験製品の設置ができるま
でに時間を要しました。また、急性期という疾患の特性上、患者さんの組み入れに際しての治験
施設での負担もあり、スムーズな立ち上がりには一定の時間が必要である、ということもわかっ
てまいりました。このような状況を総合すると、合計 220 例の被験者組み入れには、当初想定よ
りも数か月から半年程度の時間がかかる可能性が高まっています。
 一方、治験期間が長期にわたることは各所での負荷も高まるため、できる限り早期に治験を完
了すべく、関係各所とも相談の上、新たな対策を進める予定です。




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<ARDS に対する第Ⅱ相試験(ONE-BRIDGE 試験)>
2018 年 10 月:治験届を提出
2019 年4月 :被験者組み入れ開始

 同じ製品を用いた治験となるだけに、脳梗塞急性期での経験を活かし、現在鋭意治験実施施設
を拡大中です。年間発症数が 1 万人前後、そのうち治験対象となる肺炎由来の ARDS 患者は 1/3
程度と見込まれることから、30 症例の組み入れ予定に対し、25 施設以上での治験実施予定と、
広範囲での治験実施を考えており、早期の被験者組み入れ完了を目指しています。

【中長期目標】
 短期目標の達成により得られる収益や製薬企業としての基盤によって、当社は以下のような幹
細胞プラットフォームを確立し、さらに革新的な治療法を生み出すことを中長期的に目指してい
ます。また新たな製品群の開発に関しては、自社開発だけではなく提携等の柔軟な開発体制も検
討します。

a) 遺伝子編集技術×iPS 細胞及び新規移植法の開発
  遺伝子編集技術を用いて、   患者の免疫細胞に認識されない iPS 細胞を作製する事で拒絶反応を
回避し、次世代技術プラットフォームの中心に据えることを目指しています。さらにこの次世代
iPS 細胞を臓器原基技術に応用する等、新規移植法と組み合わせることにより、有効性と安全性
を高めた再生医療製品を開発し、現在有効な治療法のない疾患への治療法の開発を目指します。

b) 遺伝子編集技術×がん免疫細胞の開発
  iPS 細胞に遺伝子編集を加え、機能を高めた免疫細胞を作製し、がん免疫療法への活用を目指
します。iPS 細胞を用いることで、通常の免疫細胞よりも格段に殺傷能力を高めた免疫細胞を大
量かつ安定的に作製できるであろうことから、   次世代のがん免疫医療とすべく自社研究開発を進
めています。

c) 効率的な製造方法の開発
  上記のような新規細胞技術を用いた治療法の実用化には、自動培養装置、3D 培養技術、安価
な培地作製等の製造法の改善も必須ですが、 自社のみで技術開発を目指すことは効率的ではあり
ません。将来有効性が期待されるものの、移植法や製造法の開発にコストと時間が必要となるプ
ロジェクトについては、自社での開発にこだわらず、柔軟に効果的な体制構築を目指します。

d) ベンチャーキャピタル設立により期待する効果
  当社の中長期目標達成にむけて、ファンドを通じた国内外のバイオ領域への成長資金の提供と
投資回収によるリターンのみならず、当社パイプラインに貢献する技術の促進、質の高い情報収
集、有望なベンチャー企業との関係構築の機会を得る可能性、自社技術のカーブアウトの可能性
等の複合的な効果を期待しています。 ファンド専任チームが重要な先端技術への投資活動を先導
することで、当社は目標達成に向けて集中することが可能となります。



 このように改めてご説明いたしましたが、その内容においては 2018 年3月、アサシス社との
提携関係拡大の際に表明しましたものと原則的には変更はありません。大きな戦略のなかで、状
況に応じて様々な決断を行い、 『生きる』を増やす。爆発的に。
              「               」という当社ミッションの実現
にむかってまいります。

                                               以上




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