4593 M-ヘリオス 2021-08-06 08:30:00
体性幹細胞再生医薬品HLCM051の日本における急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を対象とする治験(ONE-BRIDGE試験)の評価項目の結果(速報)について [pdf]
2021 年8月6日
各 位
会 社 名 株 式 会 社 ヘ リ オ ス
代 表 者 名 代 表 執 行 役 社 長 CEO 鍵 本 忠 尚
(コード番号:4593 東証マザーズ)
問 合 せ 先 執 行 役 C F O リチャード・キンケイド
( T E L : 0 3 - 5 9 6 2 - 9 4 4 0 )
体性幹細胞再生医薬品 HLCM051 の日本における急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を
対象とする治験(ONE-BRIDGE 試験)の評価項目の結果(速報)について
当社は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS: Acute Respiratory Distress Syndrome)※1 を対象疾患とし
た体性幹細胞再生医薬品である HLCM051※2 の治験(治験名称:ONE-BRIDGE 試験。以下、本治
験と言います。)を実施しておりましたが、この度、評価項目のデータを解析(速報)し、有効
性並びに安全性について良好な結果が示されましたのでお知らせいたします。
当社は、引き続き本治験のデータの解析を続けるとともに、規制当局との相談を続けながら、
製造販売承認申請に向けた準備を進めてまいります。
評価項目の結果(速報)
Cohort 1
HLCM051 投与群 標準治療群
主要評価項目
VFD(投与後 28 日間のうち人工 20 日 11 日
呼吸器を装着しなかった日数)
副次評価項目
死亡率(投与後 90 日) 26.3% 42.9%
・組み入れ症例数 30 例(HLCM051 投与: 20 例、標準治療: 10 例)
Cohort 2
HLCM051 投与
主要評価項目
安全性 安全性に問題は認められず
副次評価項目
VFD 25 日
死亡率(投与後 90 日) 0%
・組み入れ症例数5例
注)上記データは現時点での結果をもとにした速報値であり、解析対象患者の経過観察期間(180
日)後、最終データとして確定します。
今回の評価項目の結果を受け、治験調整医師の一人である、済生会熊本病院呼吸器内科部長の
一門和哉先生は次のように述べています。 「新型コロナウイルス(COVID-19)感染症のパンデミッ
ク以降、 肺炎 ARDS は世界的な医療の課題になっています。様々な ARDS の原因の中で、 COVID-
19 にみられるように、肺炎が最多の原因です。また、これまでに ARDS の死亡率や人工呼吸器
装着日数を低下させた薬物治療はありません。今回の臨床治験は上記のようになりました。さら
に今回の対象は、肺炎 ARDS の中でも、従来治療では死亡率 60%と予測されるような重症例を
組み入れ基準に設定していますので、今回の結果は、この予後不良病態への今後の治療オプショ
ンとして期待されるものです。同様に、COVID-19 重症症例にも少数例ながら、安全に使用でき
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ることも確認されました。本治験薬が承認され、さらに市販後調査の中での有効性・安全性が確
認されることは、ARDS 患者さんにとって福音になると考えます」
また、当社の代表執行役社長 CEO の鍵本忠尚は次のように述べています。ARDS に関しては、
「
これまで死亡率を改善する様な治療法が無い中、肺炎由来の ARDS に関して本来であれば亡く
なるはずの患者さんの約 39%の命を救うことができるという良好な結果を得られました。これ
は、米国で行われた二重盲検試験と同様に良好な結果です。 (2019 年1月 24 日の当社発表をご
参照ください。)また、新型コロナウイルス(COVID-19)に起因する ARDS に関しては、5名と
少数ではありますが、死亡例を一例も出すことなく、また薬剤投与後に5名全員が 28 日以内に
人工呼吸器から離脱できました。うち3名は3日以内と早期に離脱できており、この結果は医療
現場で医療資源が逼迫する中、一度の静脈点滴でこの様な結果が得られれば、大いに福音となる
可能性があると期待されます。なお、本薬剤は、ARDS で希少疾患用再生医療等製品指定(脳梗
塞急性期では先駆け指定)を受けていることから、早期承認に向け関係当局と相談しながら、承
認申請に向けた準備を進め、患者さまに一日でも早く届けることができるよう、引き続き邁進し
て参ります」
本治験は、肺炎を原因疾患とする ARDS 患者に対して HLCM051 の有効性及び安全性について
標準治療を比較対照群として非盲検下で検討する第Ⅱ相試験を行いました。 (Cohort1:本試験
の概要は、2019 年4月 22 日の当社発表をご参照ください。 )
また、本治験では別 Cohort(コホート:評価対象群) を追加し、 新型コロナウイルス(COVID-
19)肺炎由来の ARDS 患者に対する HLCM051 の安全性についても、非盲検下での検討試験を行
いました。 (Cohort2:本コホートの概要は、2020 年4月 13 日の当社発表をご参照ください。 )
本治験の Cohort1では、投与後 28 日間のうち人工呼吸器を装着しなかった日数 (Ventilator Free
days、以下 VFD と言います。)を主要評価項目としております。HLCM051 投与群と標準治療群
において、VFD では9日(中央値) 、死亡率においては約 39%の低下(HLCM051 投与群が少な
い)が示されました。
また、Cohort2におきましては、HLCM051 が投与された患者に安全性に特段の問題は認めら
れず、全員退院されています。
現在、ARDS の治療は直接的な治療法はなく、ICU での人工呼吸器を用いた呼吸管理などの対
処療法のみが実施されており、HLCM051 は、ARDS の初めての治療薬となる可能性が期待され
ます。なお、製造につきましては、株式会社ニコンの 100%子会社である株式会社ニコン・セル・
イノベーションにて実施の予定です。
本件に関して、2021 年 12 月期業績への影響につき今後開示すべき事項が発生した場合には、
速やかにお知らせいたします。
本治験の概要
Cohort1 Cohort2
患者組み入れ 2019 年4月~2021 年3月 2020 年4月~2020 年8月
被験者 肺炎を原因疾患とする COVID-19 由来肺炎を原因疾患
ARDS 患者 とする ARDS 患者
症例数 30 5
(HLCM051 投与 20 例、 標準治療 10 例に (全員に HLCM051 投与)
無作為割り付け)
目的 有効性及び安全性評価 安全性評価
主要評価項目 投与後 28 日間のうち 安全性
人工呼吸器を装着しなかった日数
(VFD: Ventilator Free Days)
副次評価項目 死亡率(28 日、60 日、90 日、180 日) 1)VFD
2
(一部抜粋) 2)死亡率
経過観察期間 投与後 180 日
※1 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
ARDS は、単一の疾患ではなく、基礎疾患や外傷等によって好中球等の免疫系が過剰に誘発さ
れ、炎症を起こすことにより肺が傷害を受け肺水腫となり、その結果、重度の呼吸不全となる症
状の総称です。 ARDS 診療ガイドラインによると、死亡率は 30~58%と予後が非常に悪い病気で
す。ARDS に対する治療として、集中治療室で人工呼吸器を用いた呼吸管理を中心とする全身管
理が行われます。
※2 HLCM051
HLCM051 は、日本国内における体性幹細胞再生医薬品の開発パイプラインです。当社は 2016
年1月に、米国のバイオベンチャー企業 Athersys, Inc.と、同社の開発する幹細胞製品 MultiStem®
を用いた脳梗塞に対する再生医療等製品の国内での開発・販売に関する独占的なライセンス契約
を締結し、本パイプラインを導入いたしました。さらに 2018 年6月に同社との提携を拡大した
ことにより、日本における急性呼吸窮迫症候群に対する開発・販売ライセンスを取得し、開発を
開始いたしました。
以上
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