4588 M-オンコリスバイオ 2020-05-08 15:00:00
2020年12月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結) [pdf]

                 2020年12月期         第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
                                                          2020年5月8日
上 場 会 社 名   オンコリスバイオファーマ株式会社            上場取引所                         東
コ ー ド 番 号   4588              URL http://www.oncolys.com
代   表   者 (役職名) 代表取締役社長    (氏名) 浦田 泰生
問合せ先責任者 (役職名) 取締役管理担当      (氏名) 吉村 圭司              (TEL) 03(5472)1578
四半期報告書提出予定日      2020年5月8日 配当支払開始予定日               ―
四半期決算補足説明資料作成の有無       :無
四半期決算説明会開催の有無          :無
 
                                                                                     (百万円未満切捨て)
1.2020年12月期第1四半期の業績(2020年1月1日~2020年3月31日)
(1)経営成績(累計)                            (%表示は、対前年同四半期増減率)
                        売上高                        営業利益              経常利益                四半期純利益
                        百万円            %           百万円         %     百万円         %           百万円    %
    2020年12月期第1四半期          70     45.2            △287        ―     △285        ―           △286   ―
    2019年12月期第1四半期          48     42.8            △364        ―     △359        ―           △360   ―
 

                                               潜在株式調整後
                        1株当たり
                                                 1株当たり
                       四半期純利益
                                                四半期純利益
                                   円   銭                  円    銭
    2020年12月期第1四半期               △19.96                        ―
    2019年12月期第1四半期               △26.91                        ―
 


 
(2)財政状態
                         総資産                       純資産              自己資本比率
                                   百万円                        百万円                %
    2020年12月期第1四半期          3,885                       3,166                   81.3
    2019年12月期               4,380                       3,454                   78.7
     (参考) 自己資本 2020年12月期第1四半期                  3,158百万円     2019年12月期           3,446百万円
 


 


 

2.配当の状況
                                                   年間配当金

                     第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                           期末          合計
                        円   銭              円   銭          円   銭      円     銭         円   銭
  2019年12月期        ―     0.00                                 ―          0.00        0.00
  2020年12月期        ―
  2020年12月期(予想)          0.00                                 ―          0.00        0.00
(注) 直近に公表されている配当予想からの修正の有無 : 無
 
 


 

3.2020年12月期の業績予想(2020年1月1日~2020年12月31日)
    現時点では業績に与える未確定な要素が多いことから、業績予想につきましては適正かつ合理的な数値の算出が困難
    な状況と考えており、公表しておりません。
※       注記事項
(1)四半期財務諸表の作成に特有の会計処理の適用                     :無
 


 

(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
     ①    会計基準等の改正に伴う会計方針の変更                 :無
     ②    ①以外の会計方針の変更                        :無
     ③    会計上の見積りの変更                         :無
     ④    修正再表示                              :無
 

 

(3)発行済株式数(普通株式)
    ①     期末発行済株式数(自己株式を含む)    2020年12月期1Q   14,334,300株   2019年12月期     14,331,300株

    ②     期末自己株式数              2020年12月期1Q      17,031株    2019年12月期        15,000株

    ③     期中平均株式数(四半期累計)       2020年12月期1Q   14,330,099株   2019年12月期1Q   13,385,821株
 

 

    ※    四半期決算短信は公認会計士又は監査法人の四半期レビューの対象外です


    ※    業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
         (将来に関する記述等についてのご注意)
        本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判
        断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績
        等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。業績予想の前提となる条件及び業績予想のご利用にあたっ
        ての注意事項等については、添付資料P.3「1.当四半期決算に関する定性的情報(3)業績予想などの将来予測
        情報に関する説明」をご覧ください。

     
                                オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                    2020年12月期 第1四半期決算短信


○添付資料の目次



    1.当四半期決算に関する定性的情報 ………………………………………………………………………… 2

    (1)経営成績に関する説明 …………………………………………………………………………………… 2

    (2)財政状態に関する説明 …………………………………………………………………………………… 2

    (3)業績予想などの将来予測情報に関する説明 …………………………………………………………… 3

    2.四半期財務諸表及び主な注記 ……………………………………………………………………………… 4

    (1)四半期貸借対照表 ………………………………………………………………………………………… 4

    (2)四半期損益計算書 ………………………………………………………………………………………… 6

       第1四半期累計期間 ……………………………………………………………………………………… 6

    (3)四半期財務諸表に関する注記事項 ……………………………………………………………………… 7

      (継続企業の前提に関する注記) ………………………………………………………………………… 7

      (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) ………………………………………………… 7

      (セグメント情報等) ……………………………………………………………………………………… 8

    3.補足情報 ……………………………………………………………………………………………………… 9

    (1)研究開発活動 ……………………………………………………………………………………………… 9
 




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                                                       オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                                           2020年12月期 第1四半期決算短信


1.当四半期決算に関する定性的情報
(1)経営成績に関する説明
   当第1四半期(2020年1月1日~2020年3月31日)における日本経済は、新型コロナウイルスによる医療崩壊を避
  けるために不要不急の外出自粛要請が各地方公共団体の首長から出されるなど、深刻な消費縮小が懸念されていま
  す。金融市場でもリーマンショックを超える混乱が生じ、日本経済・世界経済ともに先行き不透明な状態です。ま
  た、各製薬メーカーが、新型コロナウイルスに対する治療薬やワクチンの開発を進めていますが、実用化にはまだ
  時間がかかる見通しです。


   このような状況下、当社は経営の効率化を図り、積極的な研究・開発・ライセンス活動を展開いたしました。ま
  た、医薬品事業の研究開発活動を加速させることを目的として、2020年4月に当社100%子会社OPA Therapeutics
  Inc.(以下、「OPA」という)を設立しました。OPAは米国カリフォルニア州を事業拠点とし、非臨床試験の遂行を
  担当します。なお、OPA社長には、腫瘍溶解ウイルスの研究開発に20年以上の経験を持つFrank Tufaro博士(元
  DNAtrix Inc. 代表取締役社長)が就任しました。


   医薬品事業では、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)を中心に研究・開発・ライセンス活動を推進さ
  せました。また、検査事業では、テロメスキャン(OBP-401)を中心に研究・開発を推進させました。当社活動の詳
  細に関しては、「3.補足情報(1)研究開発活動」をご確認ください。


   以上の結果、当第1四半期の業績は、売上高70,274千円(前年同四半期は売上高48,383千円)、営業損失287,690
  千円(前年同四半期は営業損失364,582千円)となりました。また、営業外収益として、受取利息5,107千円を、営業
  外費用として支払利息776千円、為替差損1,669千円等を計上した結果、経常損失285,059千円(前年同四半期は経常
  損失359,220千円)、四半期純損失286,022千円(前年同四半期は四半期純損失360,185千円)となりました。


   セグメントの業績は、次のとおりであります。
   ①   医薬品事業
       医 薬 品 事 業 で は、 岡 山 大 学 か ら の 次 世 代 テ ロ メ ラ イ シ ン OBP-702 に 関 す る 業 務 請 負 収 入 や Medigen
    Biotechnology Corp.(台湾   以下「メディジェン社」)からのテロメライシンに関する開発協力金収入が発
    生しました。この結果、売上高70,274千円(前年同四半期は売上高48,383千円)、営業損失99,646千円(前年
    同四半期は営業損失120,369千円)となりました。
       今後は、OBP-702の臨床試験に向けたGMP製造や非臨床試験を進めるとともに、海外で進行中のテロメライシ
    ン(OBP-301)の医師主導治験も推進してゆきます。
    
   ②   検査事業
     検査事業では、肺がん患者の血液中の循環がん細胞(CTC: Circulating Tumor Cell)による治療予後予測
    を検討する順天堂大学との臨床研究を開始させるとともに、AIシステムによるCTC検査自動化に向けた準備を
    進めておりますが、売上高は発生しませんでした。この結果、売上高なし(前年同四半期の売上高は発生な
    し)、営業損失13,034千円(前年同四半期は営業損失96,384千円)となりました。


(2)財政状態に関する説明
   資産、負債及び純資産の状況
   当第1四半期会計期間末における資産は、現預金の減少等により3,885,211千円(前期比11.3%減)となりまし
  た。
   負債は、未払金の減少等により719,070千円(前期比22.3%減)となりました。純資産は、四半期純損失等によ
  り3,166,140千円(前期比8.3%減)となりました。また、単元未満株主からの買取請求により取得した自己株式41
  千円は、純資産の部に計上しています。




                                          -2-
                               オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                   2020年12月期 第1四半期決算短信




(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明
   当社は、テロメライシンの開発推進を軸に、更なる企業価値の向上のために国内外で各種パイプラインの臨床
  試験、非臨床試験、治験薬製造を積極的に推進し、現在国内外の大手製薬会社との間で、ライセンス契約締結に
  向けた活動を強化しています。一方、未だ安定した当社収入基盤は小さく、新規ライセンス契約の締結による契
  約一時金収入や、ライセンス契約締結相手先のイベント達成により発生する開発マイルストーン収入によって、
  当社の業績は大きく変動します。
   したがって、現時点では業績に与える未確定な要素が多いことから、業績予想につきましては適正かつ合理的
  な数値の算出が困難な状況と考えており、予想を公表していません。




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                                オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
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2.四半期財務諸表及び主な注記
(1)四半期貸借対照表
                                                     (単位:千円)
                           前事業年度              当第1四半期会計期間
                        (2019年12月31日)          (2020年3月31日)
資産の部
 流動資産
   現金及び預金                        3,342,585             2,974,125
   売掛金                             169,308                75,274
   製品                                8,504                 8,434
   仕掛品                               3,898                     -
   貯蔵品                               2,515                 1,605
   前払金                              47,737                39,532
   前払費用                            202,709               201,231
   未収入金                             37,069                41,766
   関係会社短期貸付金                        10,954                10,881
   未収消費税等                               ―                  4,432
   その他                               1,146                 1,858
   流動資産合計                        3,826,429             3,359,143
 固定資産
   有形固定資産
     建物                              2,794                 2,794
      減価償却累計額                      △2,794                △2,794
      建物(純額)                            ―                     ―
     工具、器具及び備品                      73,673                74,898
      減価償却累計額                     △61,849               △62,764
      工具、器具及び備品(純額)                 11,823                12,134
      有形固定資産合計                      11,823                12,134
   無形固定資産
     ソフトウエア                             850                  800
     無形固定資産合計                           850                  800
   投資その他の資産
     投資有価証券                        329,333               326,888
     関係会社株式                        101,153               101,153
     出資金                               100                   100
     関係会社長期貸付金                          ―                 21,762
     敷金及び保証金                        27,532                27,303
     長期前払費用                         82,816                35,907
     その他                                19                    19
     投資その他の資産合計                    540,953               513,133
   固定資産合計                          553,626               526,068
 資産合計                            4,380,056             3,885,211




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                            オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                2020年12月期 第1四半期決算短信


                                                (単位:千円)
                       前事業年度             当第1四半期会計期間
                    (2019年12月31日)         (2020年3月31日)
負債の部
 流動負債
   短期借入金                       127,776              150,008
   リース債務                         3,147                2,832
   未払金                         253,275               87,051
   未払費用                         12,338                9,007
   未払法人税等                       43,859               19,485
   未払消費税等                       75,828                   ―
   預り金                           7,576                4,510
   流動負債合計                      523,801              272,895
 固定負債
   長期借入金                       388,880              433,320
   リース債務                         8,419                7,777
   退職給付引当金                       4,906                5,078
   固定負債合計                      402,205              446,175
 負債合計                          926,007              719,070
純資産の部
 株主資本
   資本金                       7,121,273            7,121,573
   資本剰余金
     資本準備金                   7,113,773            7,114,073
     その他資本剰余金                    9,650                9,650
     資本剰余金合計                 7,123,423            7,123,723
   利益剰余金
     その他利益剰余金
      繰越利益剰余金              △10,806,209          △11,092,231
     利益剰余金合計               △10,806,209          △11,092,231
   自己株式                             ―                  △41
   株主資本合計                    3,438,488            3,153,024
 評価・換算差額等
   その他有価証券評価差額金                  7,620                5,175
   評価・換算差額等合計                    7,620                5,175
 新株予約権                           7,940                7,940
 純資産合計                       3,454,048            3,166,140
負債純資産合計                      4,380,056            3,885,211




                  -5-
                         オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                             2020年12月期 第1四半期決算短信


(2)四半期損益計算書
  第1四半期累計期間
                                              (単位:千円)
               前第1四半期累計期間            当第1四半期累計期間
                (自 2019年1月1日          (自 2020年1月1日
                至 2019年3月31日)         至 2020年3月31日)
売上高                        48,383                 70,274
売上原価                       41,535                 19,506
売上総利益                       6,847                 50,768
販売費及び一般管理費                371,430                338,458
営業損失(△)                  △364,582               △287,690
営業外収益
 受取利息                        6,000                 5,107
 その他                            50                    ―
 営業外収益合計                     6,050                 5,107
営業外費用
 支払利息                          589                   776
 為替差損                           98                 1,669
 その他                            ―                     30
 営業外費用合計                       688                 2,476
経常損失(△)                   △359,220              △285,059
税引前四半期純損失(△)              △359,220              △285,059
法人税、住民税及び事業税                   965                   962
法人税等合計                         965                   962
四半期純損失(△)                 △360,185              △286,022




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                               オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                   2020年12月期 第1四半期決算短信


(3)四半期財務諸表に関する注記事項
  (継続企業の前提に関する注記)
  該当事項はありません。


  (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)
   該当事項はありません。




                         -7-
                                                オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                                    2020年12月期 第1四半期決算短信


    (セグメント情報等)
      【セグメント情報】
Ⅰ   前第1四半期累計期間(自   2019年1月1日 至    2019年3月31日)
 1.報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報
                                                                      (単位:千円)
                                 報告セグメント                               四半期損益
                                                           調整額
                                                                      計算書計上額
                                                           (注)1
                    医薬品事業         検査事業           計                      (注)2

売上高

 外部顧客への売上高              48,383            ―       48,383          ―       48,383
    セグメント間の内部売上高
                            ―             ―           ―           ―           ―
    又は振替高
         計              48,383            ―       48,383          ―       48,383

セグメント損失(△)            △120,369     △96,384      △216,754   △147,828     △364,582
 (注) 1. セグメント損失(△)の調整額△147,828千円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であり、主に
        報告セグメントに帰属しない管理部門に係る経費であります。
     2. セグメント損失(△)は、四半期損益計算書の営業損失(△)と調整を行っております。


 2.報告セグメントごとの固定資産の減損損失又はのれん等に関する情報
     該当事項はありません。


Ⅱ   当第1四半期累計期間(自   2020年1月1日 至    2020年3月31日)
 1.報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報
                                                                      (単位:千円)
                                 報告セグメント                               四半期損益
                                                           調整額
                                                                      計算書計上額
                                                           (注)1
                    医薬品事業         検査事業           計                      (注)2

売上高

 外部顧客への売上高              70,274            ―       70,274          ―       70,274
    セグメント間の内部売上高
                            ―             ―           ―           ―           ―
    又は振替高
         計              70,274            ―       70,274          ―       70,274

セグメント損失(△)            △99,646      △13,034      △112,681   △175,009     △287,690
 (注) 1. セグメント損失(△)の調整額△175,009千円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であり、主に
        報告セグメントに帰属しない管理部門に係る経費であります。
     2. セグメント損失(△)は、四半期損益計算書の営業損失(△)と調整を行っております。


 2.報告セグメントごとの固定資産の減損損失又はのれん等に関する情報
     該当事項はありません。
      




                                    -8-
                                         オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                             2020年12月期 第1四半期決算短信


3.補足情報
(1)研究開発活動
 当社の当第1四半期累計期間における研究開発費は、医薬品事業131,142千円、検査事業6,039千円、両セグメント
共通18,870千円、合計156,053千円となりました。
  なお、当第1四半期累計期間における研究開発活動の状況は以下の通りです。


1)   研究開発体制について
     2020年3月31日現在、研究開発部門は13名在籍しており、これは総従業員数の43.3%に当たります。
 
2)   研究開発並びにビジネス活動について
     当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。


  ①   医薬品事業
     1)がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)に関する活動
       当社は、2019年4月に中外製薬株式会社(以下「中外製薬」)とテロメライシンに関する日本及び台湾の独
      占的ライセンス契約及びオプション契約を締結しました。中外製薬が独占的オプション権を行使した場合、当
      社が中外製薬から受領するライセンス契約の総額は500億円以上であり、既に、中外製薬から本契約の契約一時
      金及び第1回マイルストーンを受領しています。
       現在、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)は、i)放射線併用食道がんPhase2臨床試験、ii)抗
      PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の固形がんPhase1医師主導治験、iii)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の胃が
      ん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験、iv)肝細胞がんPhase1企業治験の4つの臨床試験が同時に進行し
      ています。


       上記i)の「放射線併用食道がんPhase2臨床試験」は、ライセンス先である中外製薬によって2020年3月に第
      1例目の投与が国内で開始されました。目標症例数は37例であり、外科手術による切除や根治的化学放射線療
      法が困難な食道がん患者様を対象に進められています。なお、中外製薬の開示資料によると、2020年4月23日
      現在、テロメライシンを2022年に申請する予定です。


       上記ii)の抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用して食道がんを中心に開発を進めている「各種固形がん抗PD-1
      抗体併用Phase1医師主導治験」は2017年12月に投与が開始され、食道原発巣にテロメライシンを投与する
      Phase1a臨床試験の投与が完了し、肝転移部位に投与するPhase1b臨床試験に移行されています。食道原発巣
      に投与するPhase1a臨床試験の結果、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用における安全性が
      示され、9例中3例で全身での部分寛解(PR)が得られたと報告されました。現在進行しているPhase1b臨床
      試験では、目標症例数13例に対して9例の組入れが完了しています。2020年末までには中間データの取り纏め
      を行い、企業治験への移行の可能性を踏まえ検討してゆきます。


       上記iii)の米国コーネル大学での「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の胃がん・胃食道接合部がんPhase2医
      師主導治験」においては、2019年5月に第1例目の投与が開始されました。最大37例に投与が行われる予定で
      あり、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した際の有効性及び安全性の評価を行います。
      2020年中に10例程度での中間成績による検討を目指してゆきたいと考えています。


       上記iv)の肝細胞がんPhase1企業治験においては、国立釜山大学(韓国)と国立台湾大学(台湾)を治験施
      設として、2020年4月に最終症例への投与が完了しました。今後、データを纏め、2020年末までに今後の方針
      を固めてゆきたいと考えています。


       また、米国で放射線化学療法を併用した食道がんPhase1医師主導治験や抗PD-1抗体と放射線療法を併用した
      頭頸部がんPhase2医師主導治験を開始するための準備が進められています。更に、乳がんを対象とした非臨床
      試験が実施されています。



                                -9-
                                          オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                              2020年12月期 第1四半期決算短信




  当社が中国・香港・マカオでのテロメライシンの研究・開発・製造・販売権を付与した江蘇恒瑞医薬股份有
 限公司(中国    以下「ハンルイ社」)は、テロメライシンのGMP製造を確立し、2019年10月にPre-INDを実施す
 るなど中国政府(NMPA: National Medical Products Administration)への治験申請に向けた準備を行ってい
 ます。


2)次世代テロメライシン(OBP-702)に関する活動
  腫瘍溶解遺伝子治療OBP-702は、がん抑制遺伝子p53による「遺伝子治療」とテロメライシン(OBP-301)の
 「腫瘍溶解機能」を組み合わせた2つの抗腫瘍効果を持つウイルスです。当社はOBP-702を、中外製薬やハンル
 イ社に導出済みのテロメライシンに続く「次世代テロメライシン」として位置付けています。また、OBP-702は
 2017年4月と2020年3月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成金事業に採択され、岡山大
 学藤原教授の研究グループがOBP-702の非臨床試験を進め、これまでに複数の学会で非臨床試験結果を報告して
 います。今後、当社はOBP-702のGMP製造や非臨床試験を進め、2022年までに臨床試験を開始することを目指し
 ます。


3)その他の医薬品事業に関する活動
  2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤OBP-801は、米国で
 のPhase1臨床試験で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生し、現在新規患者様の組入れを一
 時中断し、他の薬剤との併用など別プロトコルでの再スタートの可能性について検討しています。また、
 OBP-801の新規適応領域である眼科領域への適応については、2018年7月に京都府立医科大学の眼科研究グルー
 プと特許出願を行っており、共同研究を進めています。


  新規抗HIV剤OBP-601(センサブジン)は、HIVマーケットが過飽和状態であり感染症領域での新規ライセンス
 の可能性は非常に厳しい状況となっています。現在、感染症領域以外でのOBP-601の新規ライセンス契約の締結
 に向けたビジネス活動を積極的に進めていますが、新規ライセンス契約の締結が不可能と判断した場合には、
 Yale大学へOBP-601の権利を返還し、当社経営資源を有効に活用するために、パイプラインの選択と集中を進め
 ていきます。


  抗ウイルス薬プロジェクトであるOBP-AI-004は、B型肝炎ウイルス(HBV)以外の感染症領域での用途開拓に
 向けて、鹿児島大学の抗ウイルス薬研究グループと共同研究を進めていきます。




                               -10-
                                            オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                                2020年12月期 第1四半期決算短信




 医薬品事業における臨床試験の状況は、以下の通りです。
開発コード           商標又は名称               適応疾患        開発地域     開発ステージ

                                  食道がん
                                                   日本       Phase2
                                 放射線併用

                                  食道がん
                                 (固形がん)            日本       Phase1
                                抗PD-1抗体併用

                                 食道がん
                                                            Phase1
                                  放射線              米国
                                                           (準備中)
                テロメライシン       並びに化学療法併用
    OBP-301
              (がんのウイルス療法)
                                   胃がん・
                               胃食道接合部がん            米国       Phase2
                                抗PD-1抗体併用

                                 頭頸部がん
                                                            Phase2
                                 抗PD-1抗体           米国
                                                           (準備中)
                               並びに放射線併用


                                 肝細胞がん           韓国・台湾      Phase1


    OBP-801      HDAC阻害剤        各種固形がん             米国       Phase1


    OBP-601   センサブジン(抗HIV剤)      HIV感染症           欧米他    Phase2b (終了)




②    検査事業
  がん検査薬テロメスキャンは、順天堂大学と血中循環がん細胞(CTC)の肺がん領域で医師主導臨床研究が実施
 されています。また、婦人科がん領域への応用では、子宮頸がん患者由来のCTCからヒトパピローマウイルスの遺
 伝子検出を行い、より確度の高いCTC検査系を立ち上げてゆきます。北米エリアの権利を許諾したLiquid Biotech
 USA, Inc.(米国)では、米国の大学や研究機関との共同研究を進めており、当社と共同でより幅広いマーケット
 を獲得できるよう共同体制を取ってゆきます。
  今後は、AIによるCTC自動検出システムを立ち上げ、「スループット向上」と「検査品質の標準化」の実現を目
 指します。さらに、テロメスキャンを用いたCTC有無の判定だけでなく、検出したがん細胞の遺伝子検査などを可
 能にし、がん患者の治療選択につなげられる検査系へと成長させてゆきたいと考えています。




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