4588 M-オンコリスバイオ 2019-11-01 15:00:00
2019年12月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結) [pdf]

                 2019年12月期        第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
                                                           2019年11月1日
上 場 会 社 名   オンコリスバイオファーマ株式会社             上場取引所                         東
コ ー ド 番 号   4588               URL http://www.oncolys.com
代   表   者 (役職名) 代表取締役社長     (氏名) 浦田 泰生
問合せ先責任者 (役職名) 取締役管理担当       (氏名) 吉村 圭司              (TEL) 03(5472)1578
四半期報告書提出予定日      2019年11月5日 配当支払開始予定日               ―
四半期決算補足説明資料作成の有無        :無
四半期決算説明会開催の有無           :無
 
                                                                                      (百万円未満切捨て)
1.2019年12月期第3四半期の業績(2019年1月1日~2019年9月30日)
(1)経営成績(累計)                            (%表示は、対前年同四半期増減率)
                         売上高                      営業利益             経常利益                   四半期純利益
                        百万円           %           百万円        %     百万円            %           百万円    %
  2019年12月期第3四半期         640     440.5           △586 ―            △587          ―            △590   ―
 
  2018年12月期第3四半期         118     308.0           △915 ―            △899          ―            △901   ―
                                              潜在株式調整後
                        1株当たり
                                                1株当たり
                       四半期純利益
                                               四半期純利益
                                  円   銭                  円   銭
    2019年12月期第3四半期              △42.73                       ―
    2018年12月期第3四半期              △79.31                       ―
 



(2)財政状態
                         総資産                      純資産             自己資本比率
                                  百万円                       百万円                   %
 2019年12月期第3四半期          4,309                           3,663                    84.8
 2018年12月期               3,430                           2,901                    84.3
(参考) 自己資本 2019年12月期第3四半期     3,654百万円                    2018年12月期            2,890百万円
 

 

 

2.配当の状況
                                                  年間配当金

                     第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                         期末             合計
                        円   銭             円   銭         円    銭     円     銭            円   銭
  2018年12月期        ―     0.00                               ―          0.00           0.00
  2019年12月期        ―     0.00                               ―
  2019年12月期(予想)                                                        0.00           0.00
(注) 直近に公表されている配当予想からの修正の有無 : 無
 
 

 

3.2019年12月期の業績予想(2019年1月1日~2019年12月31日)
    現時点では業績に与える未確定な要素が多いことから、業績予想につきましては適正かつ合理的な数値の算出が困難
    な状況と考えており、公表しておりません。
 
※       注記事項
(1)四半期財務諸表の作成に特有の会計処理の適用                     :無
 

 

(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
  ① 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更                       :無
     ②    ①以外の会計方針の変更                        :無
     ③    会計上の見積りの変更                         :無
     ④    修正再表示                              :無
 

 

(3)発行済株式数(普通株式)
  ① 期末発行済株式数(自己株式を含む)          2019年12月期3Q   14,206,100株   2018年12月期     13,346,000株

    ②     期末自己株式数              2019年12月期3Q          ―株     2018年12月期            ―株

    ③     期中平均株式数(四半期累計)       2019年12月期3Q   13,820,591株   2018年12月期3Q   11,372,784株
 

 

    ※    四半期決算短信は公認会計士又は監査法人の四半期レビューの対象外です


    ※    業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
        (将来に関する記述等についてのご注意)
        本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると
        判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業
        績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。業績予想の前提となる条件及び業績予想のご利用にあた
        っての注意事項については、添付資料P.2「1.当四半期決算に関する定性的情報(3)業績予想などの将来予測
        情報に関する説明」をご覧ください。
         
                                オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                    2019年12月期 第3四半期決算短信


○添付資料の目次



    1.当四半期決算に関する定性的情報 ………………………………………………………………………… 2

    (1)経営成績に関する説明 …………………………………………………………………………………… 2

    (2)財政状態に関する説明 …………………………………………………………………………………… 2

    (3)業績予想などの将来予測情報に関する説明 …………………………………………………………… 2

    2.四半期財務諸表及び主な注記 ……………………………………………………………………………… 3

    (1)四半期貸借対照表 ………………………………………………………………………………………… 3

    (2)四半期損益計算書 ………………………………………………………………………………………… 5

       第3四半期累計期間 ……………………………………………………………………………………… 5

    (3)四半期財務諸表に関する注記事項 ……………………………………………………………………… 6

      (継続企業の前提に関する注記) ………………………………………………………………………… 6

      (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) ………………………………………………… 6

      (セグメント情報等) ……………………………………………………………………………………… 7

    3.補足情報 ……………………………………………………………………………………………………… 8

    (1)研究開発活動 ……………………………………………………………………………………………… 8
 




                        ― 1 ―
                                            オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                                2019年12月期 第3四半期決算短信


1.当四半期決算に関する定性的情報
 (1)経営成績に関する説明
     当第3四半期累計期間(2019年1月1日~2019年9月30日)におけるわが国経済は、米中貿易摩擦は激化の一途を
    たどり海外経済も減速傾向にあるなど、原油価格の乱高下や急速な円高などの外部要因もあり、株価や為替の不安
    定な動向など景気の先行き不透明な状況が続いております。
     このような状況下、当社は経営の効率化を図り、積極的な研究・開発・ライセンス活動を展開いたしました。当
    社活動の詳細に関しては、「3.補足情報(1)研究開発活動」をご確認ください。


     以上の結果、当第3四半期累計期間の業績は、売上高640,111千円(前年同四半期は売上高118,422千円)、営業損
    失586,988千円(前年同四半期は営業損失915,408千円)となりました。また、営業外収益として、受取利息17,648千
    円等を、営業外費用として譲渡制限付株式報酬償却10,005千円、為替差損5,860千円等を計上した結果、経常損失
    587,805千円(前年同四半期は経常損失899,150千円)を計上した結果、四半期純損失590,619千円(前年同四半期は四
    半期純損失901,951千円)となりました。


     セグメントの業績は、次のとおりであります。
    ①医薬品事業
     医薬品事業におきましては、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)に関する中外製薬株式会社(以下
    「中外製薬」)からの契約一時金収入やMedigen Biotechnology Corp.(台湾   以下「メディジェン社」)からの
    開発協力金収入などを計上した結果、売上高635,629千円(前年同四半期は113,988千円)、営業利益74,010千円(前
    年同四半期は営業損失340,123千円)となりました。
      
    ②検査事業
     検査事業におきましては、血中浮遊がん細胞(CTC)検査薬テロメスキャンの販売が生じた結果、売上高4,481千円
    (前年同四半期は売上高4,434千円)、営業損失147,079千円(前年同四半期は営業損失126,824千円)となりました。
 
 (2)財政状態に関する説明
      資産、負債及び純資産の状況
      当第3四半期会計期間末における資産は、現金及び預金の増加等により4,309,304千円(前事業年度末比25.6%
    増)となりました。負債は、借入の実行等により645,939千円(前事業年度末比22.1%増)となりました。純資産は、
    増資や四半期純損失の発生等の理由により3,663,365千円(前事業年度末比26.3%増)となりました。


 (3)業績予想などの将来予測情報に関する説明
      当社は未だ安定した収入基盤が小さく、ライセンス契約締結相手先のイベント達成により発生する開発マイル
    ストーン収入によって、当社の業績は大きく変動します。
      したがって、現時点では業績に与える未確定な要素が多いことから、業績予想につきましては適正かつ合理的
    な数値の算出が困難な状況と考えており、予想を公表していません。




                                   ― 2 ―
                                オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                    2019年12月期 第3四半期決算短信


2.四半期財務諸表及び主な注記
(1)四半期貸借対照表
                                                     (単位:千円)
                            前事業年度             当第3四半期会計期間
                         (2018年12月31日)         (2019年9月30日)
資産の部
 流動資産
   現金及び預金                         2,463,138            3,021,761
   売掛金                               50,063               19,104
   製品                                 9,121                8,621
   仕掛品                                   ―                 1,536
   貯蔵品                                1,941                1,557
   前払金                                4,084               34,652
   前払費用                              29,438              220,731
   未収入金                              27,843               31,569
   未収消費税等                            31,755                   ―
   立替金                                  660               25,866
   その他                                   66                   52
   流動資産合計                         2,618,115            3,365,454
 固定資産
   有形固定資産
     建物                               2,794                2,794
      減価償却累計額                       △2,794               △2,794
      建物(純額)                             ―                    ―
     工具、器具及び備品                       68,772               63,023
      減価償却累計額                      △66,516              △60,610
      工具、器具及び備品(純額)                   2,256                2,413
     有形固定資産合計                         2,256                2,413
   無形固定資産
     ソフトウエア                              ―                   900
     無形固定資産合計                            ―                   900
   投資その他の資産
     投資有価証券                         668,201              648,938
     関係会社株式                         101,153              101,153
     出資金                                100                  100
     関係会社長期貸付金                       11,102               10,793
     敷金及び保証金                         28,299               27,760
     長期前払費用                             865              139,683
     その他                                 19               12,107
     投資その他の資産合計                     809,740              940,536
   固定資産合計                           811,997              943,849
 資産合計                             3,430,112            4,309,304




                      ― 3 ―
                            オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                2019年12月期 第3四半期決算短信


                                                 (単位:千円)
                        前事業年度             当第3四半期会計期間
                     (2018年12月31日)         (2019年9月30日)
負債の部
 流動負債
   短期借入金                         83,336              133,332
   リース債務                          5,795                1,688
   未払金                           71,012               38,838
   未払費用                          11,845               10,595
   未払法人税等                        35,933               25,462
   未払消費税等                            ―                26,135
   預り金                            4,402                4,722
   流動負債合計                       212,324              240,774
 固定負債
   長期借入金                        311,104              399,992
   リース債務                          1,345                  368
   退職給付引当金                        4,185                4,803
   固定負債合計                       316,634              405,164
 負債合計                           528,959              645,939
純資産の部
 株主資本
   資本金                        6,402,658            7,089,598
   資本剰余金
     資本準備金                    6,395,158            7,082,098
     資本剰余金合計                  6,395,158            7,082,098
   利益剰余金
     その他利益剰余金
      繰越利益剰余金                △9,893,863          △10,484,482
     利益剰余金合計                 △9,893,863          △10,484,482
   株主資本合計                     2,903,953            3,687,215
 評価・換算差額等
   その他有価証券評価差額金                △13,108              △32,371
   評価・換算差額等合計                  △13,108              △32,371
 新株予約権                           10,309                8,522
 純資産合計                        2,901,153            3,663,365
負債純資産合計                       3,430,112            4,309,304




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                         オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                             2019年12月期 第3四半期決算短信


(2)四半期損益計算書
 (第3四半期累計期間)
                                                (単位:千円)
                 前第3四半期累計期間            当第3四半期累計期間
                  (自 2018年1月1日          (自 2019年1月1日
                  至 2018年9月30日)         至 2019年9月30日)
売上高                         118,422                 640,111
売上原価                         89,431                  59,111
売上総利益                        28,990                 580,999
販売費及び一般管理費                  944,399               1,167,988
営業損失(△)                    △915,408               △586,988
営業外収益
 受取利息                         15,442                 17,648
 受取配当金                             4                      4
 為替差益                          2,941                     ―
 その他                              30                    217
 営業外収益合計                      18,418                 17,869
営業外費用
 支払利息                         2,159                   2,821
 譲渡制限付株式報酬償却                     ―                   10,005
 為替差損                            ―                    5,860
 営業外費用合計                      2,159                  18,686
経常損失(△)                    △899,150                △587,805
税引前四半期純損失(△)               △899,150                △587,805
法人税、住民税及び事業税                  2,801                   2,813
法人税等合計                        2,801                   2,813
四半期純損失(△)                  △901,951                △590,619




               ― 5 ―
                                      オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                          2019年12月期 第3四半期決算短信


(3)四半期財務諸表に関する注記事項
 (継続企業の前提に関する注記)
  該当事項はありません。


 (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)
  当社は2019年1月9日から8月8日の間に、新株予約権の行使による払込みを受け、当第3四半期累計期間にお
 いて資本金及び資本準備金がそれぞれ72,973千円増加しております。また、2019年4月24日に中外製薬から第三者
 割当増資の払い込みを受け、資本金及び資本準備金がそれぞれ399,981千円増加しております。さらに、2019年5月
 24日開催の取締役会決議に基づき、譲渡制限付株式報酬として新株式を2019年6月14日に発行し、資本金及び資本
 準備金がそれぞれ213,985千円増加しております。
  この結果、当第3四半期会計期間末において資本金が7,089,598千円、資本準備金が7,082,098千円となっており
 ます。




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                                              オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                                  2019年12月期 第3四半期決算短信


    (セグメント情報等)
      【セグメント情報】
Ⅰ   前第3四半期累計期間(自   2018年1月1日 至    2018年9月30日)
 1.報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報
                                                                      (単位:千円)
                                 報告セグメント                               四半期損益
                                                           調整額
                                                                      計算書計上額
                                                           (注)1
                    医薬品事業         検査事業           計                      (注)2

売上高

 外部顧客への売上高             113,988        4,434      118,422          -      118,422
    セグメント間の内部売上高
                            -            -            -           -           -
    又は振替高
         計             113,988        4,434      118,422          -      118,422

セグメント損失(△)            △340,123     △126,824     △466,948   △448,460     △915,408
 (注) 1. セグメント損失(△)の調整額△448,460千円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であり、主に
        報告セグメントに帰属しない管理部門に係る経費であります。
     2. セグメント損失(△)は、四半期損益計算書の営業損失(△)と調整を行っております。


 2.報告セグメントごとの固定資産の減損損失又はのれん等に関する情報
     該当事項はありません。


Ⅱ   当第3四半期累計期間(自   2019年1月1日 至    2019年9月30日)
 1.報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報
                                                                      (単位:千円)
                                 報告セグメント                               四半期損益
                                                           調整額
                                                                      計算書計上額
                                                           (注)1
                    医薬品事業         検査事業           計                      (注)2

売上高

 外部顧客への売上高             635,629        4,481      640,111          -      640,111
    セグメント間の内部売上高
                            -            -            -           -           -
    又は振替高
         計             635,629        4,481      640,111          -      640,111

セグメント利益又は損失(△)          74,010     △147,079     △73,068    △513,919     △586,988
 (注) 1. セグメント利益又は損失(△)の調整額△513,919千円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であ
        り、主に報告セグメントに帰属しない管理部門に係る経費であります。
     2. セグメント利益又は損失(△)は、四半期損益計算書の営業損失(△)と調整を行っております。


 2.報告セグメントごとの固定資産の減損損失又はのれん等に関する情報
     該当事項はありません。
      




                                   ― 7 ―
                                            オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                                2019年12月期 第3四半期決算短信


3.補足情報
(1)研究開発活動
 当社の当第3四半期累計期間における研究開発費は、医薬品事業258,193千円、検査事業122,035千円、両セグメン
ト共通28,956千円、合計409,185千円となりました。なお、当第3四半期累計期間における研究開発活動の状況は以下
の通りです。


1)   研究開発体制について
     2019年9月30日現在、研究開発部門は15名在籍しており、これは総従業員数の42.9%に当たります。
 
2)   研究開発並びにビジネス活動について
     当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。


  ①   医薬品事業
     1)がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)に関する活動
       当社はビジネス面において、2019年4月8日に中外製薬とテロメライシンに関する独占的ライセンス契約及
      び資本提携契約を締結しました。本契約により、日本・台湾における開発・製造・販売に関する再許諾権付き
      独占的ライセンスを中外製薬に付与しました。また、中国・香港・マカオを除く全世界における開発・製造・
      販売に関する独占的オプション権を中外製薬へ付与しました。本契約の契約一時金は5.5億円ですが、テロメラ
      イシンの臨床試験において一定の効果が確認され、中外製薬が独占的オプション権を行使した場合には、本ラ
      イセンス総額は500億円以上になります。さらに、テロメライシンの上市後は、売上額に応じた販売ロイヤリテ
      ィを、ライセンス契約総額とは別に受領します。本契約の締結により、テロメライシンの開発・製造・販売に
      関する独占的な権利は、オプション契約を含めると全世界で導出が完了しています。


       またビジネス活動に加え、現在、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)は、i)放射線併用食道がん
      Phase1企業治験、ii)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の固形がんPhase1医師主導治験、iii)抗PD-1抗体ペム
      ブロリズマブ併用の胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験、iv)肝細胞がんPhase1/2の4つの臨床
      試験が同時に進行しています。また、新たに米国で抗PD-1抗体と放射線療法を併用した頭頸部がんPhase2臨床
      試験を開始する準備を進めています。


       上記i)の「放射線併用食道がんPhase1企業治験」に先行して岡山大学で実施された「放射線併用医師主導臨
      床研究」は、外科手術による切除や根治的化学放射線療法が困難な食道がん患者を対象に、テロメライシンの
      放射線治療併用における安全性及び有効性の評価を既に完了し、2018年7月に神戸で開催された日本臨床腫瘍
      学会で、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学の藤原俊義教授グループによりテロメライシンを投
      与した部位での治療効果は13例中8例でCR (Complete Response:完全奏効)であり、重篤な有害事象は認めら
      れなかったと発表されました。また、2019年4月に米国アトランタで開催されたアメリカ癌学会(AACR:
      American Association for Cancer Research)でも、同内容についてプレナリーセッションで討議がなされま
      した。
       一方、上記i)の「放射線併用食道がんPhase1企業治験」は、効果安全性評価委員会により2019年9月に
      Phase1企業治験での安全性の評価が完了しました。今後、食道がんに対するPhase2臨床試験以降の国内での開
      発は中外製薬が主導で実施されます。
       また、2019年4月には、厚生労働省の定める「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されました。これに
      より、PMDAへの承認申請前相談が可能となり優先的な取り扱いを受けることができるようになりました。




                                   ― 8 ―
                                      オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                          2019年12月期 第3四半期決算短信


 上記ii)の食道がんを中心とする各種固形がんに対して免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体ペムブ
ロリズマブを併用する「各種固形がん抗PD-1抗体併用Phase1医師主導治験」は2017年12月に投与が開始され、
既にPhase1aの投与が完了し、Phase1bに移行しています。本試験は、テロメライシンと抗PD-1抗体が臨床で
初めて併用されるため、その安全性を評価して、副次的に有効性を観察します。
 2019年3月に米国アトランタで開催されたAACRで本治験の中間成績が発表されました。本発表では、進行性
でステージ4の固形がん症例に投与した結果、投与を制限するような問題となる副作用は発生せず、テロメラ
イシンに起因すると考えられた主な副作用は軽度から中等度の発熱であり、二次評価としての予備的な有効性
評価では、9例中3例で全身での部分寛解(PR)が得られたと報告されました。


  上記iii)の米国コーネル大学での「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の胃がん・胃食道接合部がんPhase2
医師主導治験」においては、2019年5月に第1例目の投与が開始されました。最大37例に投与が行われる予定
で、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した際の有効性及び安全性の評価を行います。また、
本治験の実施計画は、2019年6月に米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO: American Society of
Clinical Oncology)で発表されました。


 上記iv)の肝細胞がんPhase1/2臨床試験においては、国立釜山大学(韓国)と国立台湾大学(台湾)を治験
実施施設として単回・反復投与を含めPhase1の最終段階が進行しています。


 また、米国で抗PD-1抗体と放射線療法を併用した頭頸部がんPhase2臨床試験を開始するため、プロトコル作
成など医師主導治験の開始に向けた準備を進めています。


 当社が中国・香港・マカオでのテロメライシンの研究・開発・製造・販売権を付与したハンルイ社(江蘇恒
瑞医薬股份有限公司、中国)は、テロメライシンのGMP製造を確立し、中国政府(NMPA: National Medical
Products Administration)への治験申請に向けた準備を行っています。




                              ― 9 ―
                                         オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                             2019年12月期 第3四半期決算短信


 2)その他の医薬品事業に関する活動
     2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤OBP-801は、2015年
    5月に他の治療法に抵抗性を示す進行性固形がん患者を対象としたPhase1臨床試験の投与を米国で開始しまし
    た。しかし、コホート3の段階で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生し、現在新規患者の組
    入れを一時中断し、他の薬剤との併用など別プロトコルでの再スタートの可能性について検討しています。な
    お、OBP-801の新規適応領域である眼科領域への適応については、2018年7月に京都府立医科大学眼科の研究グ
    ループと特許出願を行っており、共同研究を進めていく方針です。


     新規抗HIV剤OBP-601(センサブジン)は、現在の抗HIV薬市場の状況に鑑み開発優先順位を下げて開発パート
    ナーを模索していますが、依然としてHIVマーケットが過飽和状態であり新規ライセンスの可能性は非常に低下
    しています。今後、新規ライセンス契約の締結が不可能と判断した場合には、Yale大学へOBP-601の権利を返還
    し、当社経営資源を有効に活用するために、パイプラインの選択と集中を進めていきます。




    医薬品事業における臨床試験の状況は、以下の通りです。
開発コード            商標又は名称                適応疾患    開発地域     開発ステージ

                                    食道がん
                                                 日本       Phase1
                                   放射線併用

                                   各種固形がん
                                                 日本       Phase1
                                  抗PD-1抗体併用

                                    胃がん・
                                 胃食道接合部がん        米国       Phase2
                テロメライシン           抗PD-1抗体併用
OBP-301
              (がんのウイルス療法)
                                   頭頸部がん
                                                          Phase2
                                   抗PD-1抗体       米国
                                                         (準備中)
                                 並びに放射線併用

                                   肝細胞がん       韓国・台湾      Phase1

                                    食道がん
                                                 日本    臨床研究 (終了)
                                   放射線併用

OBP-801          HDAC阻害剤          各種固形がん         米国       Phase1

OBP-601       センサブジン(抗HIV剤)        HIV感染症       欧米他    Phase2b (終了)




②   検査事業
  がん検査薬テロメスキャンは、順天堂大学と血中循環がん細胞(CTC: Circulating Tumor Cells)の肺がん領
 域での臨床応用の検討を継続していきます。北米エリアの権利を許諾したLiquid Biotech USA, Inc.(米国)で
 は、米国の大学や研究機関との共同研究を開始するための準備を進めています。
  今後もがん細胞を検出する液体生検(Liquid Biopsy)へのテロメスキャンの活用を事業会社や大学・研究機関
 へ積極的に提案し、日本・中国・欧州での新規ライセンス契約やがん検査薬テロメスキャン販売の拡大を目指し
 ていきます。




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