4588 M-オンコリスバイオ 2021-11-05 15:00:00
2021年12月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結) [pdf]

                 2021年12月期            第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
                                                           2021年11月5日
上 場 会 社 名   オンコリスバイオファーマ株式会社             上場取引所                         東
コ ー ド 番 号   4588               URL http://www.oncolys.com
代   表   者 (役職名) 代表取締役社長     (氏名) 浦田 泰生
問合せ先責任者 (役職名) 取締役           (氏名) 吉村 圭司              (TEL) 03(5472)1578
四半期報告書提出予定日      2021年11月5日 配当支払開始予定日               ―
四半期決算補足説明資料作成の有無        :無
四半期決算説明会開催の有無           :無
 
                                                                                            (百万円未満切捨て)
1.2021年12月期第3四半期の業績(2021年1月1日~2021年9月30日)
(1)経営成績(累計)                            (%表示は、対前年同四半期増減率)
                            売上高                       営業利益            経常利益                      四半期純利益
                            百万円           %           百万円        %     百万円              %           百万円     %
    2021年12月期第3四半期           318      53.3           △963 ―           △976           ―           △979      ―
    2020年12月期第3四半期           207     △67.5         △1,167 ―          △1,185          ―          △1,545     ―
 
                                                  潜在株式調整後
                            1株当たり
                                                    1株当たり
                           四半期純利益
                                                   四半期純利益
                                      円   銭                  円   銭
    2021年12月期第3四半期                  △58.42                       ―
    2020年12月期第3四半期                 △107.64                       ―
 

 
(2)財政状態
                            総資産                       純資産            自己資本比率
                                      百万円                     百万円                       %
 2021年12月期第3四半期          4,883                               4,152                    84.9
 2020年12月期               2,796                               2,003                    71.4
(参考) 自己資本 2021年12月期第3四半期      4,144百万円                        2020年12月期           1,995百万円
 

 

 

2.配当の状況
                                                      年間配当金
                     第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                            期末              合計
                            円    銭            円   銭          円   銭        円   銭             円   銭
  2020年12月期        ―     0.00                                    ―        0.00              0.00
  2021年12月期        ―     0.00                                    ―
  2021年12月期(予想)                                                           0.00              0.00
(注) 直近に公表されている配当予想からの修正の有無 : 無
 

 

3.2021年12月期の業績予想(2021年1月1日~2021年12月31日)

                                                                                (%表示は、対前期増減率)
                                                                                      1株当たり
                     売上高              営業利益                   経常利益             当期純利益
                                                                                      当期純利益
                     百万円     %            百万円         %       百万円    %            百万円           %         円 銭
              350 111.4 △2,000                              △2,000            △2,000                  △136.59
     通期        ~     ~      ~  ―                                ~    ―            ~             ―          ~
              700 222.9 △1,650                              △1,650            △1,650                  △112.69
(注) 直近に公表されている業績予想からの修正の有無 : 無
 
※       注記事項
(1)四半期財務諸表の作成に特有の会計処理の適用                     :無
 

 

(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
  ① 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更                       :無
     ②    ①以外の会計方針の変更                        :無
     ③    会計上の見積りの変更                         :無
     ④    修正再表示                              :無
 

 

(3)発行済株式数(普通株式)
  ① 期末発行済株式数(自己株式を含む)          2021年12月期3Q   17,341,100株    2020年12月期     14,641,900株

    ②     期末自己株式数              2021年12月期3Q        36,462株   2020年12月期        14,462株

    ③     期中平均株式数(四半期累計)       2021年12月期3Q   16,770,384株    2020年12月期3Q   14,356,563株
 

 

    ※    四半期決算短信は公認会計士又は監査法人の四半期レビューの対象外です
    ※    業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
        (将来に関する記述等についてのご注意)
        本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判
        断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績
        等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。業績予想の前提となる条件及び業績予想のご利用にあたっ
        ての注意事項等については、添付資料P.3「1.当四半期決算に関する定性的情報(3)業績予想などの将来予測
        情報に関する説明」をご覧ください。
                                 オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                     2021年12月期 第3四半期決算短信


○添付資料の目次



    1.当四半期決算に関する定性的情報 ………………………………………………………………………… 2

    (1)経営成績に関する説明 …………………………………………………………………………………… 2

    (2)財政状態に関する説明 …………………………………………………………………………………… 3

    (3)業績予想などの将来予測情報に関する説明 …………………………………………………………… 3

    2.四半期財務諸表及び主な注記 ……………………………………………………………………………… 4

    (1)四半期貸借対照表 ………………………………………………………………………………………… 4

    (2)四半期損益計算書 ………………………………………………………………………………………… 6

       第3四半期累計期間 ……………………………………………………………………………………… 6

    (3)四半期財務諸表に関する注記事項 ……………………………………………………………………… 7

      (継続企業の前提に関する注記) ………………………………………………………………………… 7

      (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) ………………………………………………… 7

      (セグメント情報等) ……………………………………………………………………………………… 7

      (重要な後発事象) ………………………………………………………………………………………… 8

    3.補足情報 ……………………………………………………………………………………………………… 10

    (1)研究開発活動 ……………………………………………………………………………………………… 10
 




                        ― 1 ―
                                          オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                              2021年12月期 第3四半期決算短信


1.当四半期決算に関する定性的情報
(1)経営成績に関する説明
   当第3四半期累計期間(2021年1月1日~2021年9月30日)における我が国経済は、インド型「デルタ株」の出現
  等による新型コロナウイルス感染症の再拡大を受け、複数の都道府県で緊急事態宣言及び蔓延防止等重点措置が実
  施される等、依然として先行きは不透明な状況が継続しました。一方、感染拡大の防止策が講じられワクチン接種
  が促進される環境の中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、新規感染者数の減少傾向や生産面で持ち直し
  の動きがみられています。


   このような状況下、当社は経営の効率化を図り、積極的に創薬事業における研究・開発・ライセンス活動を展開
  いたしました。当社活動の詳細に関しては、「3.補足情報       (1)   研究開発活動」をご確認ください。
   なお、当社は従来「医薬品事業」、「検査事業」の2つを報告セグメントとしておりましたが、当社売上高の99
  %以上が医薬品事業により構成されており、今後も継続が見込まれることから、第1四半期会計期間より業績管理
  の方法を変更し、「創薬事業」の単一セグメントへ変更いたしました。このためセグメント別の記載を省略してお
  ります。


   当第3四半期の創薬事業における、がんのウイルス療法テロメライシンの開発に関して、2019年4月にライセ
  ンス契約(以下「本契約」)を締結した中外製薬株式会社(以下「中外製薬」)によって、日本国内での食道が
  んを対象とした放射線併用の臨床試験及び肝細胞がんを対象とした臨床試験が推進されました。しかしながら、
  これまで中外製薬において進められてきた「化学放射線療法併用による食道がんPhase1臨床試験」の患者募集及
  び「抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び化学放射線療法併用による頭頸部がんPhase1臨床試験」の計画について、
  当社が担当し外部委託していたテロメライシンの治験薬の製造遅延や新型コロナウイルス感染症患者増加による
  症例登録への影響などの理由から、中外製薬が治験中止を判断しました。
   さらに、2021年10月19日公表の「テロメライシンのライセンス契約の解消に関するお知らせ」に記載のとおり、
  当社及び中外製薬は、「両社の協業によって開発を進めることがテロメライシンの製品価値最大化に繋がらな
  い」と判断し、当社の今後の事業戦略を総合的に勘案した結果、本契約を解消することに合意しました。同時に、
  この判断は、テロメライシンの有効性・安全性の問題によるものではないことを両社間で確認しています。
   なお、本契約は最長2022年10月まで有効ですが、正式解約日は、今後中外製薬と協議の上決定いたします。従
  って、中外製薬が日本国内で実施している臨床試験は、臨床試験を担当する中外製薬によって本契約期間中実施
  される予定であり、テロメライシンの製造開発に関する費用負担は、引き続き中外製薬と協議を行い決定してい
  きます。
   また、テロメライシンの製造に関して、これまで委託してきましたLonza Houston, Inc.(米国)に加えて、ウ
  イルスベクターの製造経験が豊富なHenogen SA(ベルギー)を第二委託先として決定しました。これによりテロ
  メライシンの上市に向けた製造体制の充実と製造拠点の分散によるリスク低減を図って参ります。
   当社は、今後独自でテロメライシンの日本国内の承認申請を目指す方針です。これに向けて、薬事や臨床開発
  体制を整備し、2024年の承認申請を目指して参ります。テロメライシンの上市後の販売および流通に関しては、
  今後パートナリングを進める方針です。また、日本以外の地域に関しては、米国で実施中のテロメライシンの臨
  床試験を推進させると共に、新たなライセンス契約の締結を目指す方針です。


   新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2011においては、細胞培養系の実験で新たにインド型及び南アフリカ型
  変異コロナウイルスへの効果が確認されました。この結果、世界保健機関(WHO)が懸念すべき変異株(VOC:
  Variants of Concern)として指定するイギリス型「アルファ株」、ブラジル型「ガンマ株」、インド型「デルタ
  株」及び南アフリカ型「ベータ株」の全てのVOCに対する効果が確認されました。この結果に加え,OBP-2011は、
  重症急性呼吸器症候群(SARS)及び中東型呼吸器症候群(MERS)ウイルスに対しても同程度の効果を示しており、
  幅広いコロナウイルスの増殖抑制効果を持つことも確認されました。また、ラットやイヌを用いた薬物動態試験
  で経口吸収性も確認されました。
   また、治験薬製剤のGMP製造をスペラファーマ株式会社に委託しました。既に前臨床試験に関する共同研究契約
  を締結している株式会社新日本科学及び治験薬原薬のGMP製造を委託しているスペラネクサス株式会社(旧:岩城
  製薬株式会社)と共に、2022年上半期の治験申請を達成できるように開発を推進しています。



                            ― 2 ―
                                                     オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                                         2021年12月期 第3四半期決算短信




   以上の結果、当第3四半期の業績は、売上高318,317千円(前年同四半期は売上高207,611千円)、営業損失
  963,649千円(前年同四半期は営業損失1,167,504千円)となりました。また、営業外収益として、受取利息382千
  円、為替差益28,541千円等を、営業外費用として支払利息3,191千円、譲渡制限付株式報酬償却28,116千円、株式
  交付費11,007千円等を計上した結果、経常損失976,891千円(前年同四半期は経常損失1,185,938千円)、四半期純
  損失979,679千円(前年同四半期は四半期純損失1,545,408千円)となりました。


(2)財政状態に関する説明
   当第3四半期における資産は、新株発行による増資等による現預金の増加1,871,998千円、前払金の増加
  411,576千円等により4,883,402千円(前事業年度末比74.6%増)となりました。また、負債は、未払金の減少等
  により731,174千円(前事業年度末比7.8%減)となりました。純資産は、新株発行による増資や四半期純損失等
  により4,152,227千円(前事業年度末比107.3%増)となりました。


(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明
   2021年12月期の当社通期業績見通しは、売上高350百万円~700百万円、営業損失、経常損失及び当期純損失は
  いずれも1,650百万円~2,000百万円を予想しています。
   なお、想定為替レートは、1米ドル=110円、1ユーロ=134円を前提としています。


   当 社 は 2019 年 4 月 の 中 外 製 薬 と の テ ロ メ ラ イ シ ン の ラ イ セ ン ス 契 約 や、2020 年 6 月 の Transposon
  Therapeutics, Inc.(以下「Transposon社」)とのOBP-601のライセンス契約など新規ライセンス契約を締結して
  きました。当社は、引き続きテロメライシンの中国圏に対するライセンス活動を中心に、大手製薬会社との新た
  な契約締結に向けたビジネス活動を積極的に推進し、企業価値の向上に努めていきます。
   また、研究開発活動においては、テロメライシンや新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2011及びOBP-702など
  を中心に、国内外で各種パイプラインの臨床試験、非臨床試験、治験薬製造や上市に向けた製法開発などを積極
  的に推進していきます。


   これらの各種研究開発に必要な資金は、2020年12月10日に発表しました「新株式及び第18回新株予約権(行使
  価額修正条項付)の第三者割当による発行並びにファシリティ契約(行使停止指定条項付)の締結に関するお知
  らせ」にて調達した資金や事業収入により得られた資金を充当していく計画です。
   しかしながら、全世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、ビジネス活動や研究開発活動の適正かつ合
  理的な見通しは不明な点があります。そのため、当社はレンジ形式の業績予想の公表が適正と考えました。




                                       ― 3 ―
                                 オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                     2021年12月期 第3四半期決算短信


2.四半期財務諸表及び主な注記
(1)四半期貸借対照表
                                                      (単位:千円)
                            前事業年度              当第3四半期会計期間
                         (2020年12月31日)          (2021年9月30日)
資産の部
 流動資産
   現金及び預金                         2,067,927             3,939,926
   売掛金                               70,598               127,212
   製品                                 8,434                 8,434
   貯蔵品                                2,038                 1,591
   前払金                               43,354               454,931
   前払費用                             241,379               139,688
   未収入金                               1,544                   129
   未収消費税等                            95,445                20,307
   立替金                               14,935                 2,132
   その他                                   16                    13
   流動資産合計                         2,545,676             4,694,369
 固定資産
   有形固定資産
     建物                               2,794                 2,794
      減価償却累計額                       △2,794                △2,794
      建物(純額)                             ―                     ―
     工具、器具及び備品                       87,525                85,712
      減価償却累計額                      △66,207               △64,904
      工具、器具及び備品(純額)                  21,317                20,808
     有形固定資産合計                        21,317                20,808
   無形固定資産
     ソフトウエア                              650                  500
     無形固定資産合計                            650                  500
   投資その他の資産
     投資有価証券                             458                    ―
     関係会社株式                         111,916               111,916
     出資金                                100                   100
     関係会社長期貸付金                       31,050                33,585
     敷金及び保証金                         21,229                21,220
     長期前払費用                          63,996                   884
     その他                                 19                    19
     投資その他の資産合計                     228,769               167,725
   固定資産合計                           250,736               189,033
 資産合計                             2,796,413             4,883,402




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                             オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
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                                                 (単位:千円)
                        前事業年度             当第3四半期会計期間
                     (2020年12月31日)         (2021年9月30日)
負債の部
 流動負債
   短期借入金                        150,008              149,992
   リース債務                          2,144                2,659
   未払金                          206,610               56,658
   未払費用                          15,333               18,096
   未払法人税等                        33,486               34,424
   預り金                            7,661               90,075
   流動負債合計                       415,244              351,906
 固定負債
   長期借入金                        366,648              366,656
   リース債務                          6,275                7,047
   退職給付引当金                        4,920                5,565
   固定負債合計                       377,843              379,268
 負債合計                           793,087              731,174
純資産の部
 株主資本
   資本金                        7,436,537            9,000,735
   資本剰余金
     資本準備金                    7,428,925            8,993,123
     その他資本剰余金                    31,740               31,740
     資本剰余金合計                  7,460,666            9,024,864
   利益剰余金
     その他利益剰余金
      繰越利益剰余金               △12,901,296          △13,880,976
     利益剰余金合計                △12,901,296          △13,880,976
   自己株式                            △76                  △76
   株主資本合計                     1,995,830            4,144,547
 評価・換算差額等
   その他有価証券評価差額金                   △254                    ―
   評価・換算差額等合計                     △254                    ―
 新株予約権                            7,750                7,680
 純資産合計                        2,003,325            4,152,227
負債純資産合計                       2,796,413            4,883,402




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                           オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                               2021年12月期 第3四半期決算短信


(2)四半期損益計算書
 (第3四半期累計期間)
                                                (単位:千円)
                 前第3四半期累計期間            当第3四半期累計期間
                  (自 2020年1月1日          (自 2021年1月1日
                  至 2020年9月30日)         至 2021年9月30日)
売上高                          207,611                318,317
売上原価                          74,309                148,936
売上総利益                        133,302                169,380
販売費及び一般管理費                 1,300,807              1,133,029
営業損失(△)                   △1,167,504              △963,649
営業外収益
 受取利息                            485                    382
 為替差益                             ―                  28,541
 その他                              ―                     779
 営業外収益合計                         485                 29,703
営業外費用
 支払利息                          3,133                  3,191
 譲渡制限付株式報酬償却                   6,342                 28,116
 新株予約権発行費                         ―                     413
 株式交付費                            ―                  11,007
 為替差損                          9,412                     ―
 その他                              30                    217
 営業外費用合計                      18,918                 42,945
経常損失(△)                   △1,185,938               △976,891
特別損失
 投資有価証券評価損                   321,000                     ―
 貸倒損失                         35,681                     ―
 特別損失合計                      356,681                     ―
税引前四半期純損失(△)              △1,542,619               △976,891
法人税、住民税及び事業税                   2,789                  2,787
法人税等合計                         2,789                  2,787
四半期純損失(△)                 △1,545,408               △979,679




               ― 6 ―
                                                オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                                    2021年12月期 第3四半期決算短信


 (3)四半期財務諸表に関する注記事項
    (継続企業の前提に関する注記)
     該当事項はありません。


    (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)
     当社は2021年1月5日から7月16日の間に、新株予約権の行使による払込みを受けました。この結果、当第3四
    半期累計期間において資本金及び資本準備金がそれぞれ1,564,198千円増加し、当第3四半期会計期間末において資
    本金が9,000,735千円、資本準備金が8,993,123千円となっております。


    (セグメント情報等)
    【セグメント情報】
Ⅰ   前第3四半期累計期間(自    2020年1月1日 至   2020年9月30日)
    「当第3四半期累計期間(報告セグメントの変更等に関する事項)」に記載の通りであります。


Ⅱ   当第3四半期累計期間(自    2021年1月1日 至   2021年9月30日)
    当社は、創薬事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。


  (報告セグメントの変更等に関する事項)
     当社は従来「医薬品事業」、「検査事業」の2つを報告セグメントとしておりましたが、当社売上高の99%以上
    が医薬品事業により構成されており、今後も継続が見込まれることから、第1四半期会計期間より業績管理の方法
    を変更し、「創薬事業」の単一セグメントへ変更いたしました。
     この変更により、当社は単一セグメントになることから、前第3四半期累計期間及び当第3四半期累計期間のセ
    グメント情報の記載を省略しております。




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                                                            オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                                                2021年12月期 第3四半期決算短信


    (重要な後発事象)
(譲渡制限付株式報酬としての新株式の発行)
 当社は2021年9月17日開催の取締役会において、譲渡制限付株式報酬としての新株式の発行(以下「本新株発行」と
いいます。)を行うことについて決議し、2021年10月4日に払込手続きが完了いたしました。


1.発行の概要
(1)     払込期日                            2021年10月4日
(2)     発行する株式の種類及び数                    当社普通株式        64,100株
(3)     発行価額                            1株につき1,210円
(4)     発行総額                            77,561,000円
(5)     資本組入額                           1株につき605円
(6)     資本組入額の総額                        38,780,500円
(7)     募集又は割当方法                        特定譲渡制限付株式を割り当てる方法
(8)     出資の履行方法                         金銭報酬債権の現物出資による
                                        当社の取締役(※) 4名            25,000株
(9)     株式の割当ての対象者及びその                  当社の使用人     23名          31,100株
        人数並びに割り当てる株式の数                  当社子会社の使用人 4名             8,000株
                                        ※社外取締役を除く。
(10)    譲渡制限期間                          2021年10月4日から2023年11月30日
                                        本新株発行については、金融商品取引法による有価
(11)    その他
                                        証券通知書を提出しております。


2.発行の目的及び理由
 当社は、本年度、当社及び当社子会社(以下、「当社グループ」という。)の役社員が株価変動のメリットとリスク
を株主の皆様と共有し、株価上昇及び企業価値向上への貢献意欲を従来以上に高めることを目的として、譲渡制限付株
式を交付する株式報酬制度(以下、「本制度」という。)を導入しております。
 2021年9月17日開催の当社取締役会により、割当予定先である当社の取締役(社外取締役を除く。)については、当
社第17回定時株主総会から2022年3月開催予定の当社第18回定時株主総会までの期間に係る譲渡制限付株式報酬として、
また、割当予定先である当社の使用人及び当社子会社の使用人については、2021年10月4日から2023年11月30日までの
期間に係る譲渡制限付株式報酬として、割当予定先である当社の取締役(社外取締役を除く。)4名、当社の使用人23
名及び当社子会社の使用人4名(以下、総称して「割当対象者」という。)に対し、金銭報酬債権合計77,561,000円を
支給し、割当対象者が当該金銭報酬債権の全部を現物出資の方法によって給付することにより、特定譲渡制限付株式と
して当社普通株式64,100株を割り当てることを決議いたしました。
 なお、割当対象者が株価変動のメリットとデメリットを株主の皆様と共有し、株価上昇及び企業価値向上への貢献意
欲を従来以上に高めるという本制度の導入目的の実現を目指すため、譲渡制限期間を2.1年間としております。




(重要な契約の解除)
  2021 年 10 月 19 日 公 表 の 通 り、 当 社 は、2019 年 4 月 に 締 結 し た が ん の ウ イ ル ス 療 法 テ ロ メ ラ イ シ ン (OBP-301:
suratadenoturevのライセンス契約(以下、「本契約」)に関して、中外製薬株式会社(以下、「中外製薬」)と、本契
約を解消することに合意しました。


(1)本契約解消の理由
     当社は2019年4月に中外製薬と本契約を締結し、テロメライシンの日本・台湾の独占的ライセンス及び欧米
    等のオプション権を付与しました。当社は、現在までに中外製薬から契約一時金、第1回マイルストーン収入
    を受領しています。
     一方、当社が担当し外部委託していたテロメライシンの治験薬供給や製法開発に予想外に 時間を要したた
    め、中外製薬は承認申請時期を2022年から2024年に変更しました。また、中外製薬は、当初日本国内で4つの



                                             ― 8 ―
                                              オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                                  2021年12月期 第3四半期決算短信


    臨床試験を実施する計画でしたが、「食道がん対象の化学放射線療法併用Phase1試験」及び「頭頸部がん対
    象のアテゾリズマブ及び化学放射線療法併用Phase1試験」を中止する判断を行いました。同判断の時点では、
    中外製薬はテロメライシンの開発を継続する計画でした。
      現在、中外製薬は「食道がん対象の放射線併用Phase2試験」及び「肝細胞がん対象のアテゾリズマブ及びベ
    バシズマブ併用Phase1試験」の2つの臨床試験に、テロメライシン関連のリソースを集約させ、臨床試験を進
    めています。
      今般、当社及び中外製薬は、「両社の協業によって開発を進めることがテロメライシンの製品価値最大化に
    繋がらない」と判断し、当社の今後の事業戦略を総合的に勘案した結果、本契約を解消することに合意しまし
    た。同時に、この判断は、テロメライシンの有効性・安全性の問題によるものではないことを両社間で確認
    しています。


(2)本契約の相手会社の名称
      中外製薬株式会社


(3)契約解消の時期
      本契約は最長2022年10月まで有効です。正式解約日は、今後中外製薬と協議の上決定いたします 。


(4)契約の内容
      テロメライシンについて、日本・台湾における開発・製造・販売に関する再許諾権付き独占的ライセンスを
    付与すると共に、日本・台湾・中国・香港・マカオを除く全世界における開発・製造・販売に関する独占的
    オプション権を付与するライセンス契約


(5)契約の解消が業績に与える影響
      2021年12月期業績への影響はありません。本契約の解消により、テロメライシンに関するすべての権利は当
    社に返還されます。また、今後、両社間において本契約に基づくマイルストンの支払及び受領は発生しませ
    ん。




(重要な自己株式の取得)
 2021年10月19日のテロメライシンのライセンス契約の解消に係る事象に伴い、常勤取締役及び執行役員から譲渡制限
付株式報酬の自主返上の申し入れを受けました。これに伴い、当社は自己株式を無償取得いたしました。


 1.   取得する株式の種類及び数       当社普通株式     31,000株
 2.   取得の時期              2021年10月29日




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                                            オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
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3.補足情報
(1)研究開発活動
    当社の当第3四半期累計期間における創薬事業の研究開発費は、491,365千円となりました。なお、当第3四半
  期累計期間における創薬事業の研究開発活動の状況は以下の通りです。


  1)   研究開発体制について
     2021年9月30日現在、研究開発部門は13名在籍しており、これは総従業員数の37.1%に当たります。


  2)   研究開発並びにビジネス活動について
       当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。


     (1)がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)(国際一般名称:suratadenoturev)に関する活動
         当社は、2019年4月に中外製薬と、がんのウイルス療法テロメライシンに関する日本・台湾の独占的ラ
        イセンス権並びに日本・台湾・中国・香港・マカオを除く全世界における独占的オプション権を付与する
        ライセンス契約(以下「本契約」)を締結し、これまでに中外製薬から契約一時金及び第1回マイルスト
        ーンを受領しています。
         一方、当社が担当し外部委託していたテロメライシンの治験薬供給や製法開発に予想外に時間を要した
        ため、中外製薬は承認申請時期を2022年から2024年に変更しました。また、中外製薬は、当初日本国内で
        4つの臨床試験を実施する計画でしたが、「食道がん対象の化学放射線療法併用Phase1試験」及び「頭頸
        部がん対象のアテゾリズマブ及び化学放射線療法併用Phase1試験」を中止する判断を行いました。同判断
        の時点では、中外製薬はテロメライシンの開発を継続する計画でした。
         現在、中外製薬は「食道がん対象の放射線併用Phase2試験」及び「肝細胞がん対象のアテゾリズマブ及
        びベバシズマブ併用Phase1試験」の2つの臨床試験を進めています。


         2021年10月19日公表の通り、当社及び中外製薬は、「両社の協業によって開発を進めることがテロメラ
        イシンの製品価値最大化に繋がらない」と判断し、当社の今後の事業戦略を総合的に勘案した結果、本契
        約を解消することに合意しました。同時に、この判断は、テロメライシンの有効性・安全性の問題による
        ものではないことを両社間で確認しています。なお、本契約は最長2022年10月まで有効ですが、正式解約
        日は、今後中外製薬と協議の上決定いたします。従って、中外製薬が日本国内で実施している臨床試験は、
        臨床試験を担当する中外製薬によって本契約期間中実施される予定であり、テロメライシンの製造開発に
        関する費用負担は、引き続き中外製薬と協議を行い決定してゆきます。


        テロメライシンに関する今後の方針
         当社は、今後独自でテロメライシンの日本国内の承認申請を目指す方針です。これに向け、薬事や臨床
        開発体制を整備し、2024年の承認申請を目指して参ります。テロメライシンの上市後の販売および流通に
        関しては、今後パートナリングを進める方針です。また、日本以外の地域に関しては、米国で実施中のテ
        ロメライシンの臨床試験を推進させると共に、新たなライセンス契約の締結を目指す方針です。


         また、米国におけるテロメライシンの食道がんへの開発に対して、オーファンドラッグ(希少疾病用医
        薬品)の指定を2020年6月に米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)から受けました。
        本指定により、テロメライシンの開発におけるFDAからの助言相談が可能になることに加え、補助金の支給
        や臨床研究費用の税額控除の優遇処置を受けられます。さらに、米国においてテロメライシン承認後の7
        年間は先発権保護が与えられ、その期間中は市場独占権が得られます。2019年4月に指定を受けた先駆け
        審査制度と合わせて、テロメライシンを食道がんの治療薬として開発していく方針です。
         2021年2月には、世界保健機関(WHO:World Health Organization)によって、テロメライシンの国際
        一般名称が「suratadenoturev」に決定されました。世界保健機関(WHO)による医薬品の国際一般名称の
        決定は、新薬の承認申請を進める上で重要な手続きであり、新薬として承認後は世界共通名称として使用
        されます。



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                                   オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
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2021年10月22日現在、テロメライシンは以下の6つの臨床試験が国内外で進められています。
 i) 放射線併用による食道がんPhase2臨床試験
 ii) 抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシズマブ併用による肝細胞がんPhase1臨床試験
 iii) 抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験
 iv) 化学放射線療法併用による食道がんPhase1医師主導治験
 v ) 放射線及び抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による頭頸部がんPhase2医師主導治験
 vi) 抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による固形がんPhase1医師主導治験


 上記i)の「放射線併用による食道がんPhase2臨床試験」は、中外製薬によって2020年3月に第1例目の
投与が日本国内で開始されました。目標症例数は37例であり、外科手術による根治的な切除や根治的化学
放射線療法が困難な食道がん患者を対象に進められています。
 なお、当社は、中外製薬との本契約解消に合意しましたが、本契約は最長2022年10月まで有効です。正
式解約日は、今後中外製薬と協議の上決定いたしますが、本契約期間中は中外製薬が実施する予定です。


 上記ii)の「抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシズマブ併用による肝細胞がんPhase1臨床
試験」は、中外製薬によるテロメライシンと抗PD-L1抗体アテゾリズマブを初めて併用する臨床試験とし
て、2021年1月に第1例目の投与が開始されています。本試験の目標症例数は20例であり、安全性を主要
な評価項目とし、副次的に有効性を評価することを目的としています。
 なお、当社は、中外製薬との本契約解消に合意しましたが、本契約は最長2022年10月まで有効です。正
式解約日は、今後中外製薬と協議の上決定いたしますが、本契約期間中は中外製薬が実施する予定です。


 上記iii)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験」
は、米国コーネル大学を中心に、2019年5月に第1例目の投与が開始されました。最も重症度が高いステ
ージ4の患者を対象に、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した際の有効性及び安全性
の評価を行います。既に2020年12月末に評価可能な8例において米国で中間検討会が実施され、PR
(Partial Response:部分奏効)が1例、SD(Stable Disease:安定)が1例の結果が得られました。特
にPRの結果が得られている症例においては、ペムブロリズマブ単独では見られない局所反応が認められて
おり、これはテロメライシン投与による効果である可能性が高いと示唆されています。2022年中に18例に
おける中間評価を行い、臨床試験の継続可否の判断を行う方針です。


 上記iv)の「化学放射線療法併用による食道がんPhase1医師主導治験」は、米国の主要ながん研究グル
ープであるNRGオンコロジーグループが中心となり、最大21例の登録を目標に第1例目への投与開始を目指
しています。前述の通り、テロメライシンは米国においてオーファンドラッグの指定を受けており、同指
定の下、本治験は実施されます。


 上記v)の「放射線及び抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による頭頸部がんPhase2医師主導治験」は、米
国コーネル大学を中心に、2021年5月に第1例目の投与が開始されました。本治験は、テロメライシンと
放射線療法の併用による局所作用の相乗効果に加え、抗PD-1抗体を併用することによる全身性の臨床効果
を検討します。2022年に12例における評価を行い、臨床試験の継続可否の判断を行う方針です。


 上記vi)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による固形がんPhase1医師主導治験」は、国立がん研究
センター東病院を中心に2017年12月に投与が開始されました。食道原発巣に投与したPhase1a臨床試験の
結果は、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用における安全性と、一部症例での有効性が
示されました。また、現在進行しているPhase1b臨床試験では、11例の登録を完了し、患者のフォローア
ップを継続しています。2022年1月に開催されるASCO-GIでの発表が予定され、現在データの取り纏め等が
国立がん研究センター東病院にて進められています。




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                                    オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
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(2) 新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2011に関する活動
  当社は、2006年に鹿児島大学と共同研究契約を締結し、ヒトレトロウイルス学共同研究センターの馬場
 昌範センター長率いる同センター・鹿児島大学キャンパスの研究グループと創薬研究を進めてきました。
 その結果、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に対して強い増殖抑制効果を有す
 る化合物OBP-2001を特定しました。さらに、この化合物は、承認済みの新型コロナウイルス感染症治療薬
 レムデシビル(ギリアド社)と同等以上の活性を示すことが、同じ実験系での比較実験において確認され
 ました。さらに、レムデシビルとのメカニズムの違いも示唆されました。
  当社はその後、鹿児島大学との共同研究で新たな化合物を化学合成し、その中からより活性の高い
 OBP-2011を見出しました。OBP-2011はこれまでに行われた前臨床試験の結果から、経口投与が可能である
 ことが確認されています。また、細胞培養系の実験においても、世界保健機関(WHO)が懸念すべき変異株
 (VOC: Variants of Concern)として指定するイギリス型「アルファ株」、ブラジル型「ガンマ株」、イ
 ンド型「デルタ株」及び南アフリカ型「ベータ株」の全てのVOCに対する効果が確認されました。さらに、
 2002年に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)、2012年に発生した中東型呼吸器症候群(MERS)の他の
 コロナウイルスに対しても野生型と同等の活性を示すことも確認されており、幅広いコロナウイルスの増
 殖抑制効果を持つことが確認されました。現在、世界の製薬企業が開発している経口コロナ治療薬は、ポ
 リメラーゼ阻害剤やプロテアーゼ阻害剤が多い中、当社のOBP-2011は、ウイルス増殖過程の後期であるウ
 イルス形成を阻害するヌクレオカプシド阻害剤であることを実験結果から推定しています。これは現在開
 発されている他剤とは異なる新規メカニズムであり、ウイルスの突然変異などの影響に左右されないこと
 が期待されています。
  21世紀に入り3度(SARS、MERS、COVID-19)のコロナウイルスによるパンデミックが発生しており、今後
 も世界的流行が繰り返される可能性があると予想されています。当社は、2022年の治験申請を目標に、感
 染初期の患者を対象とした臨床試験でPOCを取得し、短期間でSARS-CoV-2の陰性化が可能となる経口治療薬
 の開発を目指してゆきます。


(3)次世代テロメライシンOBP-702に関する活動
  OBP-702は、強力ながん抑制遺伝子p53による「がん遺伝子治療」とテロメライシン(OBP-301)の「腫瘍
 溶解機能」を組み合わせた2つの抗腫瘍効果を持つウイルスです。当社はOBP-702を、中外製薬に導出済み
 のテロメライシンに続く「次世代テロメライシン」として位置付けています。また、OBP-702は2017年4月
 と2020年3月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成金事業に採択され、岡山大学藤原
 教授の研究グループにより非臨床試験が進められており、これまでに複数の学会で報告されています。岡
 山大学で行われましたゲムシタビン耐性膵癌細胞株のマウスモデルを用いた実験においては、OBP-702に
 PD-L1抗体を併用することで、OBP-702又はPD-L1抗体単独投与よりも強い抗腫瘍効果が認められ、今後予定
 する臨床試験においてもPD-L1抗体との併用効果が期待されます。
  なお、当社は従来2022年にOBP-702のIND申請を行う計画でしたが、治験薬のGMP製造のバリデーションに
 おいて予想より時間を要しているため、2023年を目標に米国でのIND申請を行う方針です。


(4)がん検査薬テロメスキャン(OBP-401)に関する活動
  テロメスキャンは、血液中を循環している生きたがん細胞(CTC:Circulating Tumor Cells)の検査自
 動化プラットフォームの確立を目的に、順天堂大学と共同研究講座「低侵襲テロメスキャン次世代がん診
 断学講座」を2021年6月に開設いたしました。AI技術を活用することで検査処理の時間短縮だけでなく、
 CTCの画像解析の感度および検査精度の向上を目指します。
  また、臨床研究においては、順天堂大学呼吸器内科と肺がんを対象とした医師主導臨床研究が2020年2
 月から開始されています。北米地域のライセンス契約を締結している米国Liquid Biotech USA, Inc.にお
 いては、肺がんや婦人科がん領域などへの応用を目的に米国の研究機関と共同研究を進めています。今後、
 順天堂大学で完成したプラットフォームを導入し検査事業を推進してゆきます。




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(5)核酸系逆転写酵素阻害剤OBP-601(Censavudine)に関する活動
  2006年にYale大学から導入したOBP-601は、2010年から2014年にかけてBristol-Myers Squibb Co.(以下
 「BMS社」)が抗HIV薬のPhase2臨床試験を完了しましたが、BMS社の戦略変更を理由にライセンス契約は
 終了しました。その後、当社は、2020年6月にTransposon社との間で総額3億ドル超の新規ライセンス契
 約を締結し、同年11月にTransposon社は第1回マイルストーンを達成しています。
  また現在、Transposon社によって「進行性核上性麻痺(PSP:Progressive Supranuclear Palsy)」と
 「 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 ( ALS :Amyotrophic Lateral Sclerosis) 及 び 前 頭 側 頭 型 認 知 症 ( FTD :
 Frontotemporal Degeneration)」を対象とした2つのPhase2臨床試験が進められています。
  当社は、Transposon社によるOBP-601の開発進捗を継続的に確認していくと共に、2021年中に臨床試験で
 第1例目への投与が開始されることを期待しています。


(6)HDAC阻害剤OBP-801に関する活動
  2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤OBP-801は、米
 国でのPhase1臨床試験で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生したため、現在新規患者
 の組入れを一時中断し、他の薬剤との併用など別プロトコルでの再スタートの可能性について検討してい
 ます。また、OBP-801の新規適応領域である眼科領域への適応が試みられており、2021年6月開催の国際緑
 内障学会(World Glaucoma Congress)で、京都府立医科大学による研究結果が報告されています。




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                                                        2021年12月期 第3四半期決算短信




 主なパイプラインの開発状況は、以下の通りです。
     開発品                適応疾患                   併用療法          開発地域    開発ステージ

                                                                       Phase2
                                               放射線            日本
                                                                     (中外製薬)※
                        食道がん

                                           化学放射線療法            米国      Phase1


                                       抗PD-L1抗体アテゾリズマブ                 Phase1
                                                              日本
                                             分子標的薬                   (中外製薬)※
                        肝細胞がん
  テロメライシン
                                                                      Phase1
   (OBP-301)                                    -           韓国・台湾
                                                                      (完了)
(suratadenoturev)

                                      抗PD-1抗体ペムブロリズマブ
                        頭頸部がん                                 米国      Phase2
                                             放射線


                        胃がん・
                                      抗PD-1抗体ペムブロリズマブ         米国      Phase2
                      胃食道接合部がん


                        食道がん                                          Phase1
                                      抗PD-1抗体ペムブロリズマブ         日本
                       (固形がん)                                         (完了)


                     新型コロナウイルス
    OBP-2011                                    -             全世界     前臨床
                        感染症


     OBP-702            固形がん             抗PD-(L)1抗体を想定       米国/日本    前臨床


                    筋萎縮性側索硬化症(ALS)
                                                -             米国      Phase2
                    / 前頭側頭型認知症(FTD)

     OBP-601
  (Censavudine)     進行性核上性麻痺(PSP)               -             米国      Phase2


                                                                      Phase2b
                        HIV感染症                  -             欧米他
                                                                      (終了)


                       各種固形がん            抗PD-(L)1抗体を想定        米国      Phase1
     OBP-801
                        眼科領域                    -             日本      前臨床


 テロメスキャン
                        固形がん                    -             日本      臨床研究
  (OBP-401)

※なお、当社は、中外製薬との本契約解消に合意しましたが、本契約は最長2022年10月まで有効です。正式解約日は、
今後中外製薬と協議の上決定いたしますが、本契約期間中は中外製薬が実施する予定です。




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