4588 M-オンコリスバイオ 2021-05-07 15:00:00
2021年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結) [pdf]

              2021年12月期               第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
                                                          2021年5月7日
上 場 会 社 名   オンコリスバイオファーマ株式会社            上場取引所                         東
コ ー ド 番 号   4588              URL http://www.oncolys.com
代   表   者 (役職名) 代表取締役社長    (氏名) 浦田 泰生
問合せ先責任者 (役職名) 取締役経理担当      (氏名) 吉村 圭司              (TEL) 03(5472)1578
四半期報告書提出予定日      2021年5月7日 配当支払開始予定日               ―
四半期決算補足説明資料作成の有無       :無
四半期決算説明会開催の有無          :無
 
                                                                                         (百万円未満切捨て)
1.2021年12月期第1四半期の業績(2021年1月1日~2021年3月31日)
(1)経営成績(累計)                            (%表示は、対前年同四半期増減率)
                    売上高                        営業利益                  経常利益                   四半期純利益
                    百万円               %           百万円        %       百万円            %           百万円        %
2021年12月期第1四半期          62       △10.9          △349         ―       △349           ―        △350          ―
2020年12月期第1四半期          70        45.2          △287         ―       △285           ―        △286          ―
 

                                           潜在株式調整後
                   1株当たり
                                             1株当たり
                  四半期純利益
                                            四半期純利益
                                  円   銭                  円   銭
2021年12月期第1四半期               △22.36                          ―
2020年12月期第1四半期               △19.96                          ―
 


 
(2)財政状態
                     総資産                          純資産               自己資本比率
                                  百万円                    百万円                        %
2021年12月期第1四半期         5,463                             4,768                     87.1
2020年12月期              2,796                             2,003                     71.4
 (参考) 自己資本 2021年12月期第1四半期                     4,761百万円           2020年12月期          1,995百万円
 


 


 

2.配当の状況
                                                   年間配当金

                 第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                               期末              合計
                        円    銭            円   銭          円   銭           円   銭          円   銭
  2020年12月期        ―     0.00                                ―           0.00            0.00
  2021年12月期        ―
  2021年12月期(予想)          0.00                                ―           0.00            0.00
(注) 直近に公表されている配当予想からの修正の有無 : 無
 


 

3.2021年12月期の業績予想(2021年1月1日~2021年12月31日)

                                                                                (%表示は、対前期増減率)
                                                                                      1株当たり
                   売上高                    営業利益            経常利益               当期純利益
                                                                                      当期純利益
                  百万円            %    百万円           %    百万円         %       百万円        %                円 銭
               350 111.4 △2,000   △2,000                              △2,000                          △136.59
      通期        ~     ~      ~  ―     ~                             ―     ~             ―                  ~
               700 222.9 △1,650   △1,650                              △1,650                          △112.69
(注)直近に公表されている業績予想からの修正の有無 : 無
 
※       注記事項
(1)四半期財務諸表の作成に特有の会計処理の適用                     :無
 


 

(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
     ①    会計基準等の改正に伴う会計方針の変更                 :無
     ②    ①以外の会計方針の変更                        :無
     ③    会計上の見積りの変更                         :無
     ④    修正再表示                              :無
 

 

(3)発行済株式数(普通株式)
    ①     期末発行済株式数(自己株式を含む)    2021年12月期1Q   17,328,600株    2020年12月期     14,641,900株

    ②     期末自己株式数              2021年12月期1Q        19,462株   2020年12月期        14,462株

    ③     期中平均株式数(四半期累計)       2021年12月期1Q   15,677,731株    2020年12月期1Q   14,330,099株
 

 

    ※    四半期決算短信は公認会計士又は監査法人の四半期レビューの対象外です
    ※    業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
        (将来に関する記述等についてのご注意)
        本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判
        断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績
        等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。業績予想の前提となる条件及び業績予想のご利用にあたっ
        ての注意事項等については、添付資料P.2「1.当四半期決算に関する定性的情報(3)業績予想などの将来予測
        情報に関する説明」をご覧ください。
     
                                オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                    2021年12月期 第1四半期決算短信


○添付資料の目次



    1.当四半期決算に関する定性的情報 ………………………………………………………………………… 2

    (1)経営成績に関する説明 …………………………………………………………………………………… 2

    (2)財政状態に関する説明 …………………………………………………………………………………… 2

    (3)業績予想などの将来予測情報に関する説明 …………………………………………………………… 2

    2.四半期財務諸表及び主な注記 ……………………………………………………………………………… 4

    (1)四半期貸借対照表 ………………………………………………………………………………………… 4

    (2)四半期損益計算書 ………………………………………………………………………………………… 6

       第1四半期累計期間 ……………………………………………………………………………………… 6

    (3)四半期財務諸表に関する注記事項 ……………………………………………………………………… 7

      (継続企業の前提に関する注記) ………………………………………………………………………… 7

      (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) ………………………………………………… 7

      (セグメント情報等) ……………………………………………………………………………………… 7

    3.補足情報 ……………………………………………………………………………………………………… 8

    (1)研究開発活動 ……………………………………………………………………………………………… 8
 




                         -1-
                                       オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                           2021年12月期 第1四半期決算短信


1.当四半期決算に関する定性的情報
(1)経営成績に関する説明
   当第1四半期(2021年1月1日~2021年3月31日)における日本経済は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、
  政府による東京都を含む11都府県に緊急事態宣言が発令、再発令され、依然として経済活動に大きな影響を与え
  ています。日経平均株価が約30年ぶりに3万円の大台を超しましたが、新型コロナウイルス感染症の収束の見込
  みがたたず、今後も先行き不透明な状態の継続が見込まれます。


   このような状況下、当社は経営の効率化を図り、積極的に創薬事業における研究・開発・ライセンス活動を展
  開いたしました。当社活動の詳細に関しては、「3.補足情報        (1)   研究開発活動」をご確認ください。
   なお、当社は従来「医薬品事業」、「検査事業」の2つを報告セグメントとしておりましたが、当社売上高の
  99%以上が医薬品事業により構成されており、今後も継続が見込まれることから、当第1四半期会計期間より業
  績管理の方法を変更し、「創薬事業」の単一セグメントへ変更いたしました。このためセグメント別の記載を省
  略しております。


   当第1四半期の創薬事業において、がんのウイルス療法テロメライシンは、ライセンス先である中外製薬株式
  会社(以下「中外製薬」)によって、日本国内での食道がんへの開発に続き、肝細胞がんを対象とした臨床試験
  においても第1例目の投与が開始されました。また、中外製薬によって、食道がんを対象とした化学放射線療法
  併用の臨床試験の患者様の募集も既に国内で開始されています。一方、当社においては、米国での食道がんを対
  象とした化学放射線療法併用の臨床試験や、頭頸部がんを対象とした臨床試験の患者様の募集を開始しており、
  2021年上半期に第1例目の投与開始を見込んでいます。さらに、新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2011にお
  いては、治験薬原薬のGMP製造を岩城製薬株式会社へ委託することを決定し、2022年の治験申請を目指した活動を
  推進しています。また、がん検査薬テロメスキャンにおいては、順天堂大学との臨床研究を推進させました。


   以上の結果、当第1四半期の業績は、売上高62,603千円(前年同四半期は売上高70,274千円)、営業損失349,453
  千円(前年同四半期は営業損失287,690千円)となりました。また、営業外収益として、受取利息131千円、為替差益
  25,702千円等を、営業外費用として支払利息932千円、譲渡制限付株式報酬償却14,220千円、株式交付費10,905千
  円等を計上した結果、経常損失349,626千円(前年同四半期は経常損失285,059千円)、四半期純損失350,567千円(前
  年同四半期は四半期純損失286,022千円)となりました。


(2)財政状態に関する説明
   資産、負債及び純資産の状況
   当第1四半期会計期間末における資産は、テロメライシンの商業的製法開発や次世代テロメライシンOBP-702及
  びOBP-2011の研究開発費等を目的とした新株予約権の発行及び行使による資金調達や、神戸信用金庫からの長期
  借入金の借入れなど、現金及び預金の増加等により5,463,183千円(前事業年度末比95.4%増)となりました。負債
  は、未払金の支払等により694,343千円(前事業年度末比12.5%減)となりました。純資産は、新株発行による増資
  や四半期純損失等により4,768,839千円(前事業年度末比138.0%増)となりました。


(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明
  2021年12月期の当社通期業績見通しは、売上高350百万円~700百万円、営業損失、経常損失及び当期純損失はい
 ずれも1,650百万円~2,000百万円を予想しています。
  なお、想定為替レートは、1米ドル=105円、1ユーロ=125円を前提としています。


  当社は2019年4月の中外製薬とのテロメライシンのライセンス契約や、2020年6月のTransposon社とのOBP-601の
 ライセンス契約など新規ライセンス契約を締結してきました。当社は、引き続きテロメライシンの中国圏に対する
 ライセンス活動を中心に、大手製薬会社との新たな契約締結に向けたビジネス活動を積極的に推進し、企業価値の
 向上に努めていきます。
  また、研究開発活動においては、テロメライシンや新型コロナウイルス感染症治療薬及びOBP-702などを中心に、
 国内外で各種パイプラインの臨床試験、非臨床試験、治験薬製造や上市に向けた製法開発などを積極的に推進して



                              -2-
                                 オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                     2021年12月期 第1四半期決算短信


いきます。
 これらの各種研究開発に必要な資金は、2020年12月10日に発表しました「新株式及び第18回新株予約権(行使価
額修正条項付)の第三者割当による発行並びにファシリティ契約(行使停止指定条項付)の締結に関するお知ら
せ」にて調達する資金や事業収入により得られた資金を充当していく計画です。


 しかしながら、全世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、ビジネス活動や研究開発活動の適正かつ合理
的な見通しは不明な点があります。そのため、当社はレンジ形式の業績予想の公表が適正と考えました。なお、当
社は年次での業績管理を行っているため、第2四半期(累計)での業績予想の記載を省略しています。




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                                オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                    2021年12月期 第1四半期決算短信


2.四半期財務諸表及び主な注記
(1)四半期貸借対照表
                                                     (単位:千円)
                           前事業年度              当第1四半期会計期間
                        (2020年12月31日)          (2021年3月31日)
資産の部
 流動資産
   現金及び預金                        2,067,927             4,979,253
   売掛金                              70,598                64,313
   製品                                8,434                 8,434
   貯蔵品                               2,038                 4,361
   前払金                              43,354                43,492
   前払費用                            241,379               129,995
   未収入金                              1,544                   993
   未収消費税等                           95,445                 6,453
   立替金                              14,935                 1,702
   その他                                  16                    30
   流動資産合計                        2,545,676             5,239,030
 固定資産
   有形固定資産
     建物                              2,794                 2,794
      減価償却累計額                      △2,794                △2,794
      建物(純額)                            ―                     ―
     工具、器具及び備品                      87,525                83,328
      減価償却累計額                     △66,207               △62,671
      工具、器具及び備品(純額)                 21,317                20,657
      有形固定資産合計                      21,317                20,657
   無形固定資産
     ソフトウエア                             650                  600
     無形固定資産合計                           650                  600
   投資その他の資産
     投資有価証券                            458                    ―
     関係会社株式                        111,916               111,916
     出資金                               100                   100
     関係会社長期貸付金                      31,050                33,213
     敷金及び保証金                        21,229                21,229
     長期前払費用                         63,996                36,418
     その他                                19                    19
     投資その他の資産合計                    228,769               202,895
   固定資産合計                          250,736               224,152
 資産合計                            2,796,413             5,463,183




                      -4-
                            オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                2021年12月期 第1四半期決算短信


                                                (単位:千円)
                       前事業年度             当第1四半期会計期間
                    (2020年12月31日)         (2021年3月31日)
負債の部
 流動負債
   短期借入金                       150,008              183,344
   リース債務                         2,144                2,007
   未払金                         206,610               54,819
   未払費用                         15,333               12,229
   未払法人税等                       33,486               24,391
   預り金                           7,661                6,702
   流動負債合計                      415,244              283,494
 固定負債
   長期借入金                       366,648              399,976
   リース債務                         6,275                5,769
   退職給付引当金                       4,920                5,103
   固定負債合計                      377,843              410,848
 負債合計                          793,087              694,343
純資産の部
 株主資本
   資本金                       7,436,537            8,994,485
   資本剰余金
     資本準備金                   7,428,925            8,986,873
     その他資本剰余金                   31,740               31,740
     資本剰余金合計                 7,460,666            9,018,614
   利益剰余金
     その他利益剰余金
      繰越利益剰余金              △12,901,296          △13,251,864
     利益剰余金合計               △12,901,296          △13,251,864
   自己株式                           △76                  △76
   株主資本合計                    1,995,830            4,761,159
 評価・換算差額等
   その他有価証券評価差額金                  △254                    ―
   評価・換算差額等合計                    △254                    ―
 新株予約権                           7,750                7,680
 純資産合計                       2,003,325            4,768,839
負債純資産合計                      2,796,413            5,463,183




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                         オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                             2021年12月期 第1四半期決算短信


(2)四半期損益計算書
  第1四半期累計期間
                                              (単位:千円)
               前第1四半期累計期間            当第1四半期累計期間
                (自 2020年1月1日          (自 2021年1月1日
                至 2020年3月31日)         至 2021年3月31日)
売上高                        70,274                 62,603
売上原価                       19,506                 35,427
売上総利益                      50,768                 27,175
販売費及び一般管理費                338,458                376,629
営業損失(△)                  △287,690               △349,453
営業外収益
 受取利息                        5,107                    131
 為替差益                           ―                  25,702
 その他                            ―                     682
 営業外収益合計                     5,107                 26,516
営業外費用
 支払利息                          776                   932
 譲渡制限付株式報酬償却                    ―                 14,220
 新株予約権発行費                       ―                    413
 株式交付費                          ―                 10,905
 為替差損                        1,669                    ―
 その他                            30                   217
 営業外費用合計                     2,476                26,689
経常損失(△)                   △285,059              △349,626
税引前四半期純損失(△)              △285,059              △349,626
法人税、住民税及び事業税                   962                   941
法人税等合計                         962                   941
四半期純損失(△)                 △286,022              △350,567




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                                           オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                               2021年12月期 第1四半期決算短信


(3)四半期財務諸表に関する注記事項
    (継続企業の前提に関する注記)
    該当事項はありません。


    (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)
    当社は2021年1月5日から3月24日の間に、新株予約権の行使による払込みを受けました。この結果、当第1四
 半期累計期間において資本金及び資本準備金がそれぞれ1,557,948千円増加し、当第1四半期会計期間末において資
 本金が8,994,485千円、資本準備金が8,986,873千円となっております。


    (セグメント情報等)
    【セグメント情報】
Ⅰ   前第1四半期累計期間(自   2020年1月1日 至   2020年3月31日)
    「当第1四半期累計期間(報告セグメントの変更等に関する事項)」に記載の通りであります。


Ⅱ   当第1四半期累計期間(自   2021年1月1日 至   2021年3月31日)
    当社は、創薬事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。


    (報告セグメントの変更等に関する事項)
    当社は従来「医薬品事業」、「検査事業」の2つを報告セグメントとしておりましたが、当社売上高の99%以上
 が医薬品事業により構成されており、今後も継続が見込まれることから、当第1四半期会計期間より業績管理の方
 法を変更し、「創薬事業」の単一セグメントへ変更いたしました。
    この変更により、当社は単一セグメントになることから、前第1四半期累計期間及び当第1四半期累計期間のセ
 グメント情報の記載を省略しております。




                                 -7-
                                           オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                               2021年12月期 第1四半期決算短信


3.補足情報
(1)研究開発活動
    当社の当第1四半期累計期間における創薬事業の研究開発費は、106,628千円となりました。なお、当第1四半
  期累計期間における創薬事業の研究開発活動の状況は以下の通りです。


  1)   研究開発体制について
     2021年3月31日現在、研究開発部門は15名在籍しており、これは総従業員数の40.5%に当たります。


  2)   研究開発並びにビジネス活動について
     当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。


    (1)がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)(国際一般名称:suratadenoturev)に関する活動
        当社は、2019年4月に中外製薬とテロメライシンに関する日本・台湾の独占的ライセンス権並びに日本・
       台湾・中国・香港・マカオを除く全世界における独占的オプション権を付与するライセンス契約を締結しま
       した。中外製薬が独占的オプション権を行使した場合、当社が中外製薬から受領するライセンス契約の総額
       は500億円以上となる可能性があり、既に、中外製薬から本契約の契約一時金及び第1回マイルストーンを受
       領しています。なお、2021年4月22日現在、中外製薬はテロメライシンの承認申請を2024年に予定していま
       す。
        また、テロメライシンの中国・香港・マカオでの研究・開発・製造・販売権に関するライセンス契約の解
       消について、2020年6月にハンルイ社と合意しました。当社は、全世界の食道がん患者様の大半を占める中
       国地域を含むテロメライシンの新規ライセンス契約締結に向けた活動を積極的に継続しています。


        テロメライシンの食道がんへの開発に対して、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定を2020年
       6月に米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)から受けました。本指定により、テロメラ
       イシンの開発におけるFDAからの助言相談が可能になることに加え、補助金の支給や臨床研究費用の税額控除
       の優遇処置を受けられます。さらに、米国においてテロメライシン承認後の7年間は先発権保護が与えられ、
       その期間中は市場独占権が得られます。2019年4月に指定を受けた先駆け審査制度と合わせて、テロメライ
       シンを食道がんの治療薬として開発していく方針です。
        さらに、2021年2月には、世界保健機関(WHO:World Health Organization)によって、テロメライシン
       の国際一般名称が「suratadenoturev」に決定されました。世界保健機関(WHO)による医薬品の国際一般名
       称の決定は、新薬の承認申請を進める上で重要な手続きであり、新薬として承認後は世界共通名称として使
       用されます。


        2021年3月31日現在、ライセンス先の中外製薬は、i)放射線併用による食道がんPhase2臨床試験、ii)化
       学放射線療法併用による食道がんPhase1臨床試験、iii)抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシ
       ズマブ併用による肝細胞がんPhase1臨床試験、iv)抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び化学放射線療法併用によ
       る頭頸部がんPhase1臨床試験を国内で進めています。
        また、当社は、v)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治
       験、vi)化学放射線療法併用による食道がんPhase1医師主導治験、vii)放射線及び抗PD-1抗体ペムブロリズ
       マブ併用による頭頸部がんPhase2医師主導治験を米国で実施し、viii)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用に
       よる固形がんPhase1医師主導治験を国内で進めており、計8つの臨床試験が同時に進行しています。


       <中外製薬によるテロメライシンの開発状況>
        上記i)の「放射線併用による食道がんPhase2臨床試験」は、ライセンス先の中外製薬によって2020年3月
       に第1例目の投与が日本国内で開始されました。目標症例数は37例であり、外科手術による根治的な切除や
       根治的化学放射線療法が困難な食道がん患者様を対象に進められています。


        上記ii)の「化学放射線療法併用による食道がんPhase1臨床試験」は、ライセンス先の中外製薬によって、



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                                    オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                        2021年12月期 第1四半期決算短信


 局所進行性の食道がん患者様を対象に臨床試験開始に向けた準備が進められ、現在患者様の募集が開始され
 ています。本試験の目標症例数は20例であり、安全性を主要な評価項目とし、副次的に有効性を評価するこ
 とを目的としています。


  上記iii)の「抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシズマブ併用による肝細胞がんPhase1臨床
 試験」は、中外製薬によるテロメライシンと抗PD-L1抗体アテゾリズマブを初めて併用する臨床試験として、
 2021年1月に第1例目の投与が開始されています。本試験の目標症例数は20例であり、安全性を主要な評価
 項目とし、副次的に有効性を評価することを目的としています。


  上記iv)の「抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び化学放射線療法併用による頭頸部がんPhase1臨床試験」は、
 中外製薬によって、局所進行性の頭頸部がんの患者様を対象に臨床試験開始に向けた準備が進められ、現在
 患者様の募集が計画されています。本試験の目標症例数は23例であり、テロメライシンと抗PD-L1抗体アテゾ
 リズマブ、化学放射線療法併用時の安全性を主たる評価項目とし、副次的に有効性を評価することを目的と
 した臨床試験です。


 <当社によるテロメライシンの開発状況>
  上記v)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験」は、
 米国コーネル大学において、2019年5月に第1例目の投与が開始されました。最も重度のステージ4の患者
 様を対象に、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した際の有効性及び安全性の評価を行い
 ます。既に2020年12月末に評価可能な8例において米国で中間検討会が実施され、PR(Partial Response:
 部分奏効)が1例、SD(Stable Disease:安定)が1例の結果が得られました。特にPRの結果が得られてい
 る症例においては、ペムブロリズマブ単独では見られない局所反応が認められており、これはテロメライシ
 ン投与による効果である可能性が高いと示唆されています。2022年上半期までに18例における評価を行い、
 臨床試験の継続可否の判断を行う方針です。


  上記vi)の「化学放射線療法併用による食道がんPhase1医師主導治験」は、新型コロナウイルス感染拡大
 の影響により遅延しておりますが、米国の主要ながん研究グループであるNRGオンコロジーが中心となり、最
 大21例の登録を目標に、2021年上半期に第1例目への投与開始を目指しています。前述の通り、テロメライ
 シンは米国においてオーファンドラッグの指定を受けており、同指定の下、本治験は実施されます。


  上記vii)の「放射線及び抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による頭頸部がんPhase2医師主導治験」は、米
 国コーネル大学を中心に投与開始の準備が2020年に完了し、2021年上半期を目標に第1例目への投与開始を
 目指しています。本治験は、テロメライシンと放射線療法の併用による局所作用の相乗効果に加え、抗PD-1
 抗体を併用することによる全身性の臨床効果を検討します。2022年に12例における評価を行い、臨床試験の
 継続可否の判断を行う方針です。


  上記viii)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による固形がんPhase1医師主導治験」は、国立がん研究
 センター東病院を中心に2017年12月に投与が開始されました。食道原発巣に投与したPhase1a臨床試験の結
 果は、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用における安全性と、一部症例での有効性が示さ
 れました。また、現在進行しているPhase1b臨床試験では、11例の組入れが完了し患者様のフォローアップ
 が継続しています。今後、2021年を目標に中間データの取り纏めを実施する方針です。


(2) 新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2011に関する活動
  当社は、2006年に鹿児島大学と共同研究契約を締結し、ヒトレトロウイルス学共同研究センターの馬場昌
 範センター長率いる同センター・鹿児島大学キャンパスの研究グループと創薬研究を進めてきました。その
 結果、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に対してやや強い増殖抑制効果を有する
 化合物OBP-2001を特定しました。さらに、この化合物は、承認済みの新型コロナウイルス感染症治療薬レム
 デシビル(ギリアド社)と同等以上の活性を示すことが、同じ実験系での比較実験において確認されまし



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                                                    オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                                        2021年12月期 第1四半期決算短信


 た。さらに、レムデシビルとのメカニズムの違いも示唆されました。
  当社はその後、鹿児島大学との共同研究で新たな化合物を化学合成し、その中からより活性の高い
 OBP-2011を見出しました。この化合物はこれまでに行われた前臨床試験の結果から、経口投与が可能である
 ことが確認されており、探索的毒性試験や探索的遺伝毒性試験においても検査の異常は認められませんでし
 た。また、ブラジル型やロンドン型などのワクチン治療に抵抗性を示す可能性のある変異型コロナウイルス
 株に対しても、野生型と同等の活性を示すことが細胞培養系の実験で確認されています。
  既に欧米や日本国内においてもワクチンの接種が開始され、ワクチンによるパンデミックの抑制が試みら
 れています。しかしながら変異株に対するワクチンの効果は、いずれのワクチンも、実験室での実験や臨床
 試験だけでは不明な点も多く、世界保健機関(WHO)はより多くのデータで詳しく分析する必要があるという
 認識を示しています。また、ワクチン接種率が上がらないなど、ワクチンによる予防だけではパンデミック
 を抑えることは容易ではないと考えられています。既に21世紀に入り3度(SARS、MERS、COVID-19)のコロナ
 ウイルスによるパンデミックが発生しており、数年単位で繰り返されるパンデミックはこれからも発生する
 可能性が高いと予想されています。当社は、PCR検査陽性の患者様を対象に、SARS-CoV-2の短期間での陰性化
 を目標に経口投与が可能な治療薬の開発を目指してまいります。今後、2022年の治験申請を目標に開発を推
 進してゆきます。


(3)次世代テロメライシンOBP-702に関する活動
  OBP-702は、強力ながん抑制遺伝子p53による「がん遺伝子治療」とテロメライシン(OBP-301)の「腫瘍溶
 解機能」を組み合わせた2つの抗腫瘍効果を持つウイルスです。当社はOBP-702を、中外製薬に導出済みのテ
 ロメライシンに続く「次世代テロメライシン」として位置付けています。また、OBP-702は2017年4月と2020
 年3月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成金事業に採択され、岡山大学藤原教授の研
 究グループによりOBP-702の非臨床試験を進められており、これまでに複数の学会で非臨床試験結果を報告し
 ています。今後、当社はOBP-702のGMP製造及び前臨床試験を進め、p53遺伝子欠損・変異がんや、テロメライ
 シン(OBP-301)で不達成/不応ながんに対して、2022年に米国での開発を行う方針です。


(4)がん検査薬テロメスキャン(OBP-401)に関する活動
  テロメスキャンは、血液中の循環がん細胞(CTC:Circulating Tumor Cell)の検出の自動化に向け、CTC
 自動解析用ソフトウェアの開発委託契約を2020年に株式会社CYBO(以下「CYBO社」)と締結しました。CYBO
 社のAI技術を用いたテロメスキャン専用ソフトウェアのT-CAS(TelomeScan CTC Analysis System)を開発
 し、CTC有無及び悪性度の判定の自動化、検査処理スピードの向上、さらに判定結果の標準化を期待していま
 す。今後、CTC有無の判定だけでなく、検出したCTCの悪性度の判定等が可能な改良型のソフトウェアの開発
 を目指します。
  また、順天堂大学呼吸器内科との肺がん領域での医師主導臨床研究や、北米エリアをライセンスした米国
 Liquid Biotech USA, Inc.(以下「リキッド社」)による肺がんや婦人科がん領域などへの応用を目的に米
 国の研究機関との共同研究については、新型コロナウイルスの影響もあり当初の予定より遅延はしているも
 のの進めています。今後、AI技術を用いたT-CASのバリデーションをリキッド社で実施してゆきます。
  当社は、T-CASを用いたテロメスキャンのプラットフォーム構築を推進し、患者様の治療の選択につなげら
 れる高精度ながん検査系へと成長させてゆきたいと考えています。


(5)核酸系逆転写酵素阻害剤OBP-601(Censavudine)に関する活動
  OBP-601(Censavudine) は、2006 年 に Yale 大 学 か ら 当 社 が 導 入 後、2010 年 に Bristol-Myers Squibb Co.
 (以下「BMS社」)へ導出し、2010年から2014年にかけてBMS社がHIV感染症治療薬としてPhase2臨床試験が
 完了しましたが、2014年にBMS社は戦略変更を理由にライセンス契約を終了しました。その後、感染症領域以
 外でのOBP-601の新規ライセンス契約締結に向けたビジネス活動を積極的に推進し、神経変性疾患の研究を行
 う米国ブラウン大学の研究成果によって、OBP-601がレトロトランスポゾンの逆転写と複製を抑制する可能性
 が示唆され、2020年6月にTransposon Therapeutics, Inc.(以下「Transposon社」)との間で総額3億ドル
 超の新規ライセンス契約を締結しました。また、Transposon社は、2020年11月に第1回マイルストーンを達成
 しています。



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                                     オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                         2021年12月期 第1四半期決算短信


  OBP-601は、脳内移行性が優れていることに加え、既に長期投与の臨床データが得られているため、
 Transposon社が開発を進める際の安全性確認を目的とした臨床試験や前臨床試験の大幅な短縮又は軽減が期
 待されています。さらに、Transposon社は2020年にFDAとのPre-INDの実施を終え、治験申請(IND)に向けた
 臨床試験の実施に向けた準備が進められております。当社は、Transposon社によるOBP-601の開発進捗を継続
 的に確認していくと共に、2021年に神経変性疾患を対象とした臨床試験の開始がFDAによって承認されること
 を期待しています。


(6)HDAC阻害剤OBP-801に関する活動
  2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤OBP-801は、米国
 でのPhase1臨床試験で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生し、現在新規患者様の組入れ
 を一時中断し、他の薬剤との併用など別プロトコルでの再スタートの可能性について検討しています。また、
 OBP-801の新規適応領域である眼科領域への適応が試みられています。




                           -11-
                                              オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                                  2021年12月期 第1四半期決算短信


主なパイプラインの開発状況は、以下の通りです。
     開発品              適応疾患           併用療法            開発地域     開発ステージ

                                                               Phase2
                      食道がん            放射線             日本
                                                              (中外製薬)

                                                               Phase1
                                                      日本
                                                              (中外製薬)
                      食道がん         化学放射線療法

                                                      米国       Phase1


                                抗PD-L1抗体アテゾリズマブ                Phase1
                                                      日本
                                     分子標的薬                    (中外製薬)
                      肝細胞がん
 テロメライシン
                                                               Phase1
   (OBP-301)                     (テロメライシン単剤)        韓国・台湾
                                                               (完了)
(suratadenoturev)
                                抗PD-L1抗体アテゾリズマブ                Phase1
                                                      日本
                                   化学放射線療法                    (中外製薬)
                      頭頸部がん
                                抗PD-1抗体ペムブロリズマブ
                                                      米国       Phase2
                                       放射線


                      胃がん・
                                抗PD-1抗体ペムブロリズマブ       米国       Phase2
                    胃食道接合部がん


                      食道がん
                                抗PD-1抗体ペムブロリズマブ       日本       Phase1
                     (固形がん)

                    新型コロナウイルス
    OBP-2011                             -           全世界       前臨床
                       感染症


     OBP-702          固形がん        抗PD-(L)1抗体を想定     米国/日本      前臨床


                                                               Phase1
                     神経変性疾患              未定           米国
                                                              (準備中)
     OBP-601
  (Censavudine)
                                                               Phase2b
                      HIV感染症             -           欧米他
                                                               (終了)


     OBP-801         各種固形がん       抗PD-(L)1抗体を想定       米国       Phase1


 テロメスキャン
                      固形がん               -            日本       臨床研究
   (OBP-401)




                                  -12-