4588 M-オンコリスバイオ 2021-02-12 15:00:00
2020年12月期 決算短信〔日本基準〕(非連結) [pdf]

                               2020年12月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)
                                                             2021年2月12日
上 場 会 社 名   オンコリスバイオファーマ株式会社              上場取引所                         東
コ ー ド 番 号   4588                URL http://www.oncolys.com
代   表   者 (役職名) 代表取締役社長       (氏名) 浦田 泰生
問合せ先責任者 (役職名) 取締役管理担当         (氏名) 吉村 圭司             (TEL) 03(5472)1578
定時株主総会開催予定日      2021年3月25日  配当支払開始予定日               -
有価証券報告書提出予定日 2021年3月26日
決算補足説明資料作成の有無       : 無
決算説明会開催の有無
 
                    : 有 ( アナリスト向け )
                                                                                                 (百万円未満切捨て)
1.2020年12月期の業績(2020年1月1日~2020年12月31日)
(1)経営成績                                                                                  (%表示は対前期増減率)
                       売上高                    営業利益                     経常利益                       当期純利益
                       百万円           %         百万円            %         百万円         %              百万円           %
    2020年12月期            314     △75.9        △1,674          -        △1,723       -             △2,095         -
    2019年12月期          1,303      673.5        △511           -         △539        -              △912          -
 
                                     潜在株式調整後
                 1株当たり                                    自己資本                  総資産                 売上高
                                      1株当たり
                 当期純利益                                   当期純利益率                経常利益率               営業利益率
                                      当期純利益
                          円      銭             円    銭                  %                     %                   %
  2020年12月期              △145.58                -              △77.0               △48.0                         -
  2019年12月期               △65.55                -              △28.7               △13.6                         -
(参考) 持分法投資損益          2020年12月期              -百万円         2019年12月期              -百万円
 

 
(2)財政状態
                       総資産                     純資産                 自己資本比率                    1株当たり純資産
                                 百万円                     百万円                        %                       円    銭
  2020年12月期                   2,796                      2,003                      71.4                   136.43
  2019年12月期                   4,380                      3,454                      78.7                   240.71
(参考) 自己資本             2020年12月期     1,995百万円               2019年12月期            3,446百万円
 

 
(3)キャッシュ・フローの状況
                 営業活動による                     投資活動による               財務活動による                   現金及び現金同等物
                キャッシュ・フロー                   キャッシュ・フロー             キャッシュ・フロー                     期末残高
                                 百万円                     百万円                     百万円                        百万円
    2020年12月期                  △1,465                    △37                       242                      1,822
 
    2019年12月期                   △238                      △4                     1,123                      3,097
 

 
2.配当の状況
                                            年間配当金                              配当金総額                       純資産
                                                                                             配当性向
                第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                    期末         合計           (合計)                       配当率
                   円 銭    円 銭    円 銭                      円   銭        円   銭      百万円                %               %
2019年12月期                -           0.00          -      0.00          0.00         -               -               -
2020年12月期                -           0.00          -      0.00          0.00         -               -               -
2021年12月期(予想)            -           0.00          -      0.00          0.00                         -
 
 
3.2021年12月期の業績予想(2020年1月1日~2021年12月31日)
 


                                                                                (%表示は、対前期増減率)
                                                                                   1株当たり当期純
                 売上高                 営業利益               経常利益               当期純利益
                                                                                      利益
                百万円          %       百万円        %       百万円        %       百万円           %                 円 銭

                350 111.4 △2,000   △2,000   △2,000   △136.59
      通期         ~     ~      ~  ―     ~  ―     ~  ―      ~
 
                700 222.9 △1,650   △1,650   △1,650   △112.69
    (注)2021年12月期の業績予想については、特定の数値による予想が困難であるため、レンジ形式による開示
       としております。
※ 注記事項
(1)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
  ① 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更                    : 無
     ②    ①以外の会計方針の変更                     : 無
     ③    会計上の見積りの変更                      : 無
     ④    修正再表示                           : 無
 



(2)発行済株式数(普通株式)
  ① 期末発行済株式数(自己株式を含む)         2020年12月期   14,641,900 株   2019年12月期   14,331,300 株

    ②     期末自己株式数             2020年12月期      14,462 株    2019年12月期      15,000 株

    ③     期中平均株式数             2020年12月期   14,391,621 株   2019年12月期   13,917,336 株
 

 
 
    ※    決算短信は公認会計士又は監査法人の監査の対象外です
    ※    業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
        (将来に関する記述等についてのご注意)
         本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、本資料の日付時点において入手可能な情報による
        判断及び仮定を前提にしており、実際の業績は様々な要因により異なる場合があります。業績予想の前提となる条
        件及び業績予想のご利用にあたっての注意事項等については、添付資料P.4「1.経営成績等の概況(4)今後の
        見通し」をご覧ください。
     
                                   オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                            2020年12月期 決算短信


○添付資料の目次
 
    1.経営成績等の概況 …………………………………………………………………………………… 2
     (1)当期の経営成績の概況 ………………………………………………………………………… 2
     (2)当期の財政状態の概況 ………………………………………………………………………… 3
     (3)当期のキャッシュ・フローの概況 …………………………………………………………… 3
     (4)今後の見通し …………………………………………………………………………………… 4
     (5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 ………………………………………… 4
    2.経営方針 ……………………………………………………………………………………………… 5
     (1)会社の経営の基本方針 ………………………………………………………………………… 5
     (2)目標とする経営指標 …………………………………………………………………………… 5
     (3)中長期的な会社の経営戦略 …………………………………………………………………… 5
     (4)会社の対処すべき課題 ………………………………………………………………………… 6
    3.会計基準の選択に関する基本的な考え方 ………………………………………………………… 7
    4.財務諸表及び主な注記 ……………………………………………………………………………… 8
     (1)貸借対照表 ……………………………………………………………………………………… 8
     (2)損益計算書 ……………………………………………………………………………………… 10
     (3)製造原価明細書 ………………………………………………………………………………… 11
     (4)株主資本等変動計算書 ………………………………………………………………………… 12
     (5)キャッシュ・フロー計算書 …………………………………………………………………… 14
     (6)財務諸表に関する注記事項 …………………………………………………………………… 15
      (継続企業の前提に関する注記) ………………………………………………………………… 15
      (重要な会計方針) ………………………………………………………………………………… 15
      (持分法損益等) …………………………………………………………………………………… 16
      (セグメント情報等) ……………………………………………………………………………… 17
      (1株当たり情報) ………………………………………………………………………………… 21
      (重要な後発事象) ………………………………………………………………………………… 22
    5.補足情報 ……………………………………………………………………………………………… 24
     (1)研究開発活動 …………………………………………………………………………………… 24




                           ― 1 ―
                                                     オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                                              2020年12月期 決算短信


1.経営成績等の概況
(1)当期の経営成績の概況
   当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響により国内外の経済活動が
  抑制され、急速に悪化しました。緊急事態宣言の解除後は、各種政策を背景に企業業績の向上や雇用・所得環境の
  改善がみられ、総じて緩やかな回復基調で推移しておりましたが、第二波、第三波の影響によって感染者数が増加
  しており、今後の世界経済の先行きは予断を許さない状況が続いております。
   医薬品の研究開発の現場では、新型コロナウイルス感染症の患者様に対する治療優先のため、新薬の臨床試験の
  遅れが生じており、新薬開発に大きな影響が出ています。


   このような状況下、当社は「未来のがん治療にパワーを与え、その実績でがん治療の歴史に私たちの足跡を残し
  てゆくこと」をビジョンとし、経営の効率化及び積極的な研究・開発・ライセンス活動を展開いたしました。また、
  医薬品事業の研究開発活動を加速させることを目的として、2020年4月に当社100%子会社OPA Therapeutics Inc.
  (以下「OPA社」)を設立しました。OPA社は米国カリフォルニア州を事業拠点とし、主として各パイプラインの非
  臨床試験並びにウイルス製造に関する業務を担当します。なお、OPA社の社長には、腫瘍溶解ウイルスの研究開発に
  30年以上の経験を持つFrank Tufaro博士(元DNAtrix Inc. 代表取締役社長)が就任しました。


   医 薬 品 事 業 で は、 が ん の ウ イ ル ス 療 法 テ ロ メ ラ イ シ ン (OBP-301) や 核 酸 系 逆 転 写 酵 素 阻 害 剤 OBP-601
  (Censavudine)、新型コロナウイルス感染症治療薬を中心に研究・開発・ライセンス活動を推進させました。ま
  た、検査事業では、テロメスキャンを中心に研究・開発を推進させました。
   当社活動の詳細に関しては、「5.補足情報 (1)研究開発活動」をご確認ください。


   以上の結果、当事業年度は、売上高314,179千円(前期は売上高1,303,844千円)、営業損失1,674,652千円(前期
  は営業損失511,463千円)を計上しました。また、営業外収益として受取利息565千円等を計上し、営業外費用とし
  て支払利息4,170千円、譲渡制限付株式報酬償却13,899千円、新株予約権発行費9,641千円、株式交付費4,152千円、
  為替差損17,556千円等を計上しました結果、経常損失1,723,537千円(前期は経常損失539,177千円)になりまし
  た。
   2018年2月に転換社債を引き受けたUnleash Immuno Oncolytics, Inc.(米国、以下「アンリーシュ社」)は、目
  的としている新規ウイルスの遺伝子構築やその特性解析は進んではいるものの、資金調達も含めた事業計画は転換
  社債引受時から遅延しています。これらの状況を勘案した結果、当社が引き受けたアンリーシュ社の転換社債を取
  得日為替レートで換算した321,000千円を投資有価証券評価損とし、本転換社債にかかる未収利息を2020年第3四半
  期末(2020年9月30日)時点の為替レートで換算した35,681千円を貸倒損失として総額367,821千円を、また減損損
  失11,140千円を特別損失として計上いたしました。その結果、当期純損失2,095,087千円(前期は当期純損失
  912,346千円)を計上しました。当社はアンリーシュ社との連携をさらに強化し、投資時の目的であった「全身投与
  可能なウイルスを当社パイプラインに加えて、アデノウイルスのプラットフォームを拡充させること」を目指し、
  共同開発を続けてゆきます。


   セグメントの業績は、次のとおりです。


  ①   医薬品事業
   医薬品事業では、Transposon Therapeutics, Inc.(米国      以下「Transposon社」)とのOBP-601の新規ライセン
  ス契約の締結に伴う契約一時金収入、Medigen Biotechnology Corp.(台湾            以下「メディジェン社」)からのテロ
  メライシンに関する開発協力金収入や岡山大学からの次世代テロメライシンOBP-702に関する業務請負収入等が発生
  しました。この結果、売上高313,569千円(前期は売上高1,292,363千円)、営業損失713,361千円(前期は営業利益
  373,069千円)となりました。




                                         ― 2 ―
                                              オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                                       2020年12月期 決算短信


    
  ②   検査事業
   検査事業では、肺がんの患者様のCTCによる治療の予後予測を検討する順天堂大学との臨床研究を進展させまし
  た。この結果、売上高610千円(前期は売上高11,481千円)、営業損失73,346千円(前期は営業損失151,655千円)と
  なりました。


(2)当期の財政状態の概況
  ①   資産、負債及び純資産の状況
      当事業年度末における資産は、現預金の減少等により2,796,413千円(前期比36.2%減)となりました。負債は、
   未払金の減少等により793,087千円(前期比14.4%減)となりました。純資産は、新株発行による増資や当期純損
   失等により2,003,325千円(前期比42.0%減)となりました。


  ②   キャッシュ・フローの状況
      当事業年度末における現金及び現金同等物は、1,822,850千円(前期比41.2%減)となりました。当事業年度に
   おける各キャッシュ・フローは次のとおりです。


 (営業活動によるキャッシュ・フロー)
   営業活動によるキャッシュ・フローは1,465,199千円の支出(前期は238,228千円の支出)となりました。これは
  主として、税引前当期純損失2,091,359千円、株式報酬費用376,608千円の計上、投資有価証券評価損321,000千円の
  計上、売上債権の減少98,710千円、未払金の減少60,895千円等によるものです。


 (投資活動によるキャッシュ・フロー)
   投資活動によるキャッシュ・フローは37,577千円の支出(前期は4,442千円の支出)となりました。これは、主に
 長期貸付金による支出21,762千円、関係会社出資金の払込による支出10,763千円等によるものです。


 (財務活動によるキャッシュ・フロー)
   財務活動によるキャッシュ・フローは242,261千円の収入(前期は1,123,312千円の収入)となりました。これは
  主に株式の発行による収入245,505千円等によるものです。




(3)当期のキャッシュ・フローの概況

                        2018年              2019年           2020年
                        12月期               12月期            12月期
      自己資本比率(%)                  84.3               78.7            71.4
      時価ベースの
                                402.3              628.5           786.2
      自己資本比率(%)
      キャッシュ・フロー対
                                   ―                  ―               ―
      有利子負債比率 (注4)
      インタレスト・
                                   ―                  ―               ―
      カバレッジ・レシオ (注4)
   自己資本比率:自己資本/総資産
   時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
   キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債比率/キャッシュ・フロー
    インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
 (注1)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式を除く)により算出しています。
 (注2)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しています。
 (注3)有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としています。
 (注4)営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載していません。




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                                      オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
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(4)今後の見通し
   2021年12月期の当社通期業績見通しは、売上高350百万円~700百万円、営業損失、経常損失及び当期純損失はい
  ずれも1,650百万円~2,000百万円を予想しています。
   なお、想定為替レートは、1米ドル=105円、1ユーロ=125円を前提としています。


   当社は2019年4月の中外製薬とのテロメライシンのライセンス契約や、2020年6月のTransposon社とのOBP-601の
  ライセンス契約など新規ライセンス契約を締結してきました。当社は、引き続きテロメライシンの中国圏に対する
  ライセンス活動を中心に、大手製薬会社との新たな契約締結に向けたビジネス活動を積極的に推進し、企業価値の
  向上に努めていきます。
   また、研究開発活動においては、テロメライシンや新型コロナウイルス感染症治療薬及びOBP-702などを中心に、
  国内外で各種パイプラインの臨床試験、非臨床試験、治験薬製造や上市に向けた製法開発などを積極的に推進して
  いきます。
   これらの各種研究開発に必要な資金は、2020年12月10日に発表しました「新株式及び第18回新株予約権(行使価
  額修正条項付)の第三者割当による発行並びにファシリティ契約(行使停止指定条項付)の締結に関するお知ら
  せ」にて調達する資金や事業収入により得られた資金を充当していく計画です。


   しかしながら、全世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、ビジネス活動や研究開発活動の適正かつ合理
  的な見通しは不明な点があります。そのため、当社はレンジ形式の業績予想の公表が適正と考えました。なお、当
  社は年次での業績管理を行っているため、第2四半期(累計)での業績予想の記載を省略しています。


(5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当
   当社は研究開発型ベンチャー企業として、先行投資的な事業資金等を支出してまいりました事により、これまで
  利益配当を実施していません。しかしながら、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識し、経営基盤の
  一層の強化と積極的な事業展開に備えた内部留保の充実を勘案しながら、各期の経営成績を考慮に入れて配当政策
  を決定します。この様な基本方針に従い、当期及び次期の配当については、実施しない予定です。




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                                    オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
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2.経営方針
(1)会社の経営の基本方針
   当社は創薬バイオベンチャー企業として研究開発先行型の事業を展開しており、独自性の高いアデノウイルス遺
  伝子改変技術を活用した新規がん治療薬、新規がん検査薬の開発と事業化を推進しています。
   がんのウイルス療法テロメライシン、次世代テロメライシンOBP-702、がんの早期発見または再発予測を行うテロ
  メスキャンを揃え、がんの発見から治療までを網羅するパイプラインを構築しています。今後も、当社の遺伝子改
  変アデノウイルスプラットフォームを拡大し、がん治療の新たな医療現場のニーズに貢献できるよう、更なる新規
  パイプラインの創製にも取り組んでゆく方針です。
   「オンコリスなしでは医療現場が、ひいては患者様が困る」そういう存在感ある創薬を展開することを基本方針
  とし、いち早く医療現場の課題解決に貢献してゆきたいと考えています。


(2)目標とする経営指標
   当社は研究開発型の創薬バイオベンチャー企業であり、利益が本格的に拡大するのは、現在開発しているパイプ
  ラインが上市され、ライセンス契約締結先からロイヤリティ収入を得る時期になる予定です。したがって、現段階
  においては、ライセンス先からの契約一時金やマイルストーンによる収入を拡大させるためのパイプライン充実化
  と共に検査事業の収入による財務リスクの低減を図りながら、早期の安定黒字化を経営指標として目指していま
  す。


(3)中長期的な会社の経営戦略
   当社は基本戦略として、前臨床から臨床試験への効率的な進捗を実現するために、アウトソーシングを活用した
  ファブレス経営モデルを構築しています。最小人員での運営を実現すると共に、統括的なプロジェクトマネジメン
  トに特化した人財を重点的に確保・育成しています。今後も引き続き、積極的な人財確保・育成に努め、医薬品事
  業・検査事業へ人財を投下していきます。


   医薬品事業は、迅速な開発ステージアップを実現することにより製品価値の評価指標となる有効性の証明(Proof
  of Concept : POC)を行い、大手製薬企業・バイオ企業にライセンス許諾することで、提携先から契約金や上市後
  のロイヤリティ収入を得る収益モデルを標榜しています。また、医療現場のニーズが高い難病や希少疾病の治療薬
  を中心に、新規パイプラインの導入を行っていきます。


   検査事業では、現在はライセンス収入や検査ウイルス販売を軸にした収益モデルですが、将来は医療現場のニー
  ズを充足した検体の大量処理を実現させることで、検査キットをライセンス先及び検査会社や医療機関に提供する
  収益モデルを目指しています。


   今後も、迅速な開発ステージアップを行い、複数の収益モデルを具体化することで、経常的な収益基盤の構築に
  努めてまいります。




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(4)会社の対処すべき課題
   当社は、組織戦略において下記を重要な課題として取り組んでおります。
    
  a.経営理念の浸透
    当社のビジョンは、未来のがん治療にパワーを与え、その実績ががん治療の歴史に私たちの足跡を残してゆく
   ことです。
    私たちが求めて止まないのは、医療の“イノベーション”です。そのために、普段からの医学研鑽を惜しみま
   せん。少人数で大きな仕事を成し遂げてこそ、アドベンチャーと言えるでしょう。大企業にできないことこそ、
   私たちが成し遂げるべき目標です。いくら儲かるからではなく、どれだけの人を救えるかに価値観をもち、その
   結果としての利益を追求してゆきたいと考えます。経営者と社員だけではなく、株主様ともこの意識を共有して
   ゆきます。常に透明な経営を心がけ、定期的な情報公開を行ってゆきます。社会貢献を目指す社会人として、常
   にコンプライアンスの遵守を心がけます。
    経営理念を役職員に浸透させ、経営理念に基づいた経営戦略の遂行を柔軟且つ活気を持って執り行う組織を構
   築することが、重要な経営課題です。そのために、経営理念を具現化するための行動規範を策定し、役職員に行
   動規範の遵守を指導するとともに、経営トップが役職員に経営理念を語る機会を積極的に設定しています。その
   上で、研究開発部門と事業開発部門が一元的に情報を共有することを第一義に組織を構築しています。また、社
   内リソースを管理する管理部門は、常にステークホルダーを意識し、コンプライアンス遵守を徹底します。さら
   に、内部監査部門は、経営理念及び行動規範の浸透状況をはじめとするモニタリング機能を充実させていきま
   す。


  b.人財の確保と成長
    役職員個々の自発的な成長こそが当社の成長を支える必須要素です。その実現のために人財の採用・育成を積
   極的に推進します。社内外ネットワークを活用し、確かな技術・能力・成長意欲のある人財の採用を行い、併せ
   てOJTや各種研修プログラムによる人財育成を行うことで、陣容の充実を図ります。また、業績評価や株式報酬制
   度を充実させ、業務のスピード及び質を最大化することに努めます。


  c.研究開発体制の強化
    当社の研究開発は、医薬品及び検査薬候補の探索・創製から前臨床試験及び初期臨床試験までを対象とし、前
   臨床から臨床段階への橋渡し(TR:Translational Research)が主業務です。従って、研究開発計画の企画立案
   並びにその進捗管理を主たる業務とするプロジェクトリーダーを担える人財の確保並びに育成が重要な課題で
   す。そのため、当社100%子会社Oncolys USA Inc.(以下「OUS」)の臨床開発部門との連携の充実化に努め、研
   究機関との共同研究開発を通じて先進技術の取り込みや技術レベルの向上を図るとともに、経営理念を共有でき
   るアウトソーシング先を積極的に活用し、ローコスト且つハイレベルな研究開発体制の構築を行います。


  d.事業開発部門の強化
    当社は、がん治療薬領域においてウイルス製剤を用いており、この業界においては非常に特殊な製品の事業化
   を目指しています。従って、この領域に明るい事業開発担当者を確保・育成し、世界の製薬企業とのネットワー
   クをより強固なものとし、さらにOUSとの連携を強化することで、当社のキャッシュ・フロー獲得に貢献する事業
   開発体制を構築します。


  e.アウトソーシング戦略
    アウトソーシングを主体とする当社のビジネスにおいて、その効率化は重要な課題であります。必要且つ十分
   な研究開発及び製造力の確保に向け、外部委託会社であるCRO(Contract Research Organization)及びCMO
   (Contract Manufacturing Organization)との関係を強化するために、定期訪問等による綿密なコンタクト体制
   をとるべく全組織に啓蒙しています。また、常に最良のアウトソーシング体制を確保するべく、各々の業務領域
   において特定の1社依存にならぬよう、セカンドコントラクターの探索及び関係構築も行います。




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3.会計基準の選択に関する基本的な考え方
 当社は連結財務諸表を作成していないため、国際会計基準に基づく財務諸表を作成するための体制整備の負担等を
考慮し、日本基準に基づき財務諸表を作成しております。




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                                オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
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4.財務諸表及び主な注記
(1)貸借対照表
                                                      (単位:千円)
                            前事業年度                 当事業年度
                         (2019年12月31日)         (2020年12月31日)
資産の部
 流動資産
   現金及び預金                         3,342,585             2,067,927
   売掛金                              169,308                70,598
   製品                                 8,504                 8,434
   仕掛品                                3,898                    ―
   貯蔵品                                2,515                 2,038
   前払金                               47,737                43,354
   前払費用                             202,709               241,379
   関係会社短期貸付金                         10,954                    ―
   未収入金                              37,069                 1,544
   未収消費税等                                ―                 95,445
   立替金                                   ―                 14,935
   その他                                1,146                    16
   流動資産合計                         3,826,429             2,545,676
 固定資産
   有形固定資産
     建物                               2,794                 2,794
      減価償却累計額                       △2,794                △2,794
      建物(純額)                             ―                     ―
     工具、器具及び備品                       73,673                87,525
      減価償却累計額                      △61,849               △66,207
      工具、器具及び備品(純額)                  11,823                21,317
     有形固定資産合計                        11,823                21,317
   無形固定資産
     ソフトウエア                              850                   650
     無形固定資産合計                            850                   650
   投資その他の資産
     投資有価証券                         329,333                   458
     関係会社株式                         101,153               111,916
     出資金                                100                   100
     関係会社長期貸付金                           ―                 31,050
     敷金及び保証金                         27,532                21,229
     長期前払費用                          82,816                63,996
     その他                                 19                    19
     投資その他の資産合計                     540,953               228,769
   固定資産合計                           553,626               250,736
 資産合計                             4,380,056             2,796,413




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                                     2020年12月期 決算短信


                                                 (単位:千円)
                        前事業年度                当事業年度
                     (2019年12月31日)        (2020年12月31日)
負債の部
 流動負債
   短期借入金                        127,776              150,008
   リース債務                          3,147                2,144
   未払金                          253,275              206,610
   未払費用                          12,338               15,333
   未払法人税等                        43,859               33,486
   未払消費税等                        75,828                   ―
   預り金                            7,576                7,661
   流動負債合計                       523,801              415,244
 固定負債
   長期借入金                        388,880              366,648
   リース債務                          8,419                6,275
   退職給付引当金                        4,906                4,920
   固定負債合計                       402,205              377,843
 負債合計                           926,007              793,087
純資産の部
 株主資本
   資本金                        7,121,273            7,436,537
   資本剰余金
     資本準備金                    7,113,773            7,428,925
     その他資本剰余金                     9,650               31,740
     資本剰余金合計                  7,123,423            7,460,666
   利益剰余金
     その他利益剰余金
      繰越利益剰余金               △10,806,209          △12,901,296
     利益剰余金合計                △10,806,209          △12,901,296
   自己株式                              ―                  △76
   株主資本合計                     3,438,488            1,995,830
 評価・換算差額等
   その他有価証券評価差額金                   7,620                △254
   評価・換算差額等合計                     7,620                △254
 新株予約権                            7,940                7,750
 純資産合計                        3,454,048            2,003,325
負債純資産合計                       4,380,056            2,796,413




                  ― 9 ―
                         オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                  2020年12月期 決算短信


(2)損益計算書
                                                 (単位:千円)
                     前事業年度                  当事業年度
                  (自 2019年1月1日           (自 2020年1月1日
                  至 2019年12月31日)         至 2020年12月31日)
売上高                        1,303,844                314,179
売上原価
 役務原価                         112,891                72,205
 製品期首たな卸高                       9,121                 8,504
 当期製品製造原価                          ―                  5,860
 合計                             9,121                14,365
 他勘定振替高                           606                    70
 製品期末たな卸高                       8,504                 8,434
 製品売上原価                             9                 5,860
売上総利益                       1,190,943               236,113
販売費及び一般管理費                  1,702,406             1,910,766
営業損失(△)                     △511,463             △1,674,652
営業外収益
 受取利息                          20,235                   565
 受取配当金                              4                     3
 その他                              217                    ―
 営業外収益合計                       20,457                   568
営業外費用
 支払利息                          3,947                  4,170
 譲渡制限付株式報酬償却                  42,108                 13,899
 新株予約権発行費                         ―                   9,641
 株式交付費                            ―                   4,152
 為替差損                          2,115                 17,556
 その他                              ―                      32
 営業外費用合計                      48,171                 49,453
経常損失(△)                     △539,177             △1,723,537
特別損失
 貸倒損失                          9,818                 35,681
 減損損失                             ―                  11,140
 投資有価証券評価損                   359,597                321,000
 特別損失合計                      369,415                367,821
税引前当期純損失(△)                 △908,593             △2,091,359
法人税、住民税及び事業税                   3,752                  3,727
法人税等合計                         3,752                  3,727
当期純損失(△)                    △912,346             △2,095,087




               ― 10 ―
                                          オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                                   2020年12月期 決算短信


(3)製造原価明細書

                           前事業年度                       当事業年度
                      (自   2019年1月1日              (自   2020年1月1日
                      至    2019年12月31日)           至    2020年12月31日)
                注記                    構成比                         構成比
          区分         金額(千円)                     金額(千円)
                番号                     (%)                         (%)

Ⅰ   材料費                       1,680                       1,426

Ⅱ   労務費                         979                         246

Ⅲ   経費                        1,238                         289

    当期総製造費用                   3,898                       1,962

    期首仕掛品たな卸高                    ―                        3,898

    他勘定受入高                       ―                           ―

          合計                     ―                        5,860

    期末仕掛品たな卸高                 3,898                          ―

    他勘定振替高                       ―                           ―
                                 ―
    当期製品製造原価                                              5,860
 原価計算の方法
  原価計算の方法は、製品別個別原価計算によっております。




                            ― 11 ―
                                                              オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                                                       2020年12月期 決算短信


(4)株主資本等変動計算書
   前事業年度(自   2019年1月1日         至      2019年12月31日)
                                                                                          (単位:千円)
                                                       株主資本

                                      資本剰余金                         利益剰余金
                                                              その他利益
              資本金                     その他資本剰 資本剰余金             剰余金         利益剰余金        自己株式 株主資本合計
                          資本準備金
                                        余金    合計              繰越利益           合計
                                                               剰余金
当期首残高         6,402,658   6,395,158          ―    6,395,158   △9,893,863   △9,893,863     ―   2,903,953

当期変動額

 新株の発行          718,615     718,615                 718,615                                   1,437,231

 自己株式処分差益                                 9,650       9,650                        ―              9,650

 当期純損失(△)                                                      △912,346     △912,346          △912,346

 自己株式の取得                                                                                  ―          ―
 株主資本以外の項目
 の当期変動額(純
 額)
当期変動額合計         718,615     718,615       9,650     728,265    △912,346     △912,346      ―     534,535

当期末残高         7,121,273   7,113,773       9,650   7,123,423 △10,806,209 △10,806,209       ―   3,438,488



                評価・換算差額等


             その他有価証券 評価・換算差額          新株予約権       純資産合計
              評価差額金        等合計



当期首残高          △13,108     △13,108       10,309   2,901,153

当期変動額

 新株の発行                                            1,437,231

 自己株式処分差益                                             9,650

 当期純損失(△)                                         △912,346

 自己株式の取得
 株主資本以外の項目
 の当期変動額(純        20,728     20,728      △2,369       18,359
 額)
当期変動額合計          20,728     20,728      △2,369      552,895

当期末残高             7,620       7,620       7,940   3,454,048




                                              ― 12 ―
                                                               オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                                                        2020年12月期 決算短信


   当事業年度(自   2020年1月1日         至      2020年12月31日)
                                                                                           (単位:千円)
                                                        株主資本

                                      資本剰余金                          利益剰余金
                                                               その他利益
              資本金                     その他資本剰 資本剰余金               剰余金        利益剰余金        自己株式 株主資本合計
                          資本準備金
                                        余金    合計                繰越利益          合計
                                                                 剰余金
当期首残高         7,121,273   7,113,773       9,650    7,123,423 △10,806,209 △10,806,209       ―     3,438,488

当期変動額

 新株の発行          315,263     315,151                  315,151                                       630,415

 自己株式処分差益                                22,090       22,090                        ―               22,090

 当期純損失(△)                                                      △2,095,087   △2,095,087          △2,095,087

 自己株式の取得                                                                                  △76         △76
 株主資本以外の項目
 の当期変動額(純
 額)
当期変動額合計         315,263     315,151      22,090      337,242   △2,095,087   △2,095,087    △76 △1,442,658

当期末残高         7,436,537   7,428,925      31,740    7,460,666 △12,901,296 △12,901,296      △76    1,995,830



                評価・換算差額等


             その他有価証券 評価・換算差額          新株予約権       純資産合計
              評価差額金        等合計



当期首残高             7,620       7,620       7,940    3,454,048

当期変動額

 新株の発行                                               630,415

 自己株式処分差益                                             22,090

 当期純損失(△)                                         △2,095,087

 自己株式の取得                                                △76
 株主資本以外の項目
 の当期変動額(純       △7,874      △7,874        △190       △8,064
 額)
当期変動額合計         △7,874      △7,874        △190 △1,450,722
当期末残高             △254        △254        7,750    2,003,325




                                              ― 13 ―
                                オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                         2020年12月期 決算短信


(5)キャッシュ・フロー計算書
                                                       (単位:千円)
                            前事業年度                 当事業年度
                         (自 2019年1月1日          (自 2020年1月1日
                         至 2019年12月31日)        至 2020年12月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー
 税引前当期純損失(△)                      △908,593            △2,091,359
 減価償却費                                3,109                4,890
 貸倒損失                                 9,818               35,681
 減損損失                                    ―                11,140
 投資有価証券評価損益(△は益)                    359,597              321,000
 譲渡制限付株式報酬償却                             ―                13,899
 株式報酬費用                             125,928              376,608
 退職給付引当金の増減額(△は減少)                      721                   13
 受取利息及び受取配当金                       △20,239                 △568
 支払利息                                 3,947                4,170
 為替差損益(△は益)                           1,349               16,844
 売上債権の増減額(△は増加)                   △119,244                98,710
 たな卸資産の増減額(△は増加)                    △3,855                 4,444
 前払費用の増減額(△は増加)                      56,471              △3,738
 未収入金の増減額(△は増加)                         320              △1,398
 未収消費税等の増減額(△は増加)                        ―              △95,445
 未払消費税等の増減額(△は減少)                    75,828             △75,828
 前払金の増減額(△は増加)                     △43,652                 4,382
 未払金の増減額(△は減少)                      182,144             △60,895
 その他                                 44,828             △20,483
 小計                               △231,521            △1,457,932
 利息及び配当金の受取額                            875                  781
 利息の支払額                             △3,829               △4,321
 法人税等の支払額                           △3,752               △3,727
 営業活動によるキャッシュ・フロー                 △238,228            △1,465,199
投資活動によるキャッシュ・フロー
 定期預金の預入による支出                          △6                   △6
 有形固定資産の取得による支出                     △3,290               △2,700
 無形固定資産の取得による支出                     △1,000                   ―
 関係会社出資金の払込による支出                        ―               △10,763
 長期貸付けによる支出                             ―               △21,762
 敷金及び保証金の差入による支出                     △146                △2,346
 投資活動によるキャッシュ・フロー                   △4,442              △37,577
財務活動によるキャッシュ・フロー
 長期借入れによる収入                         200,000              100,000
 長期借入金の返済による支出                     △77,784             △100,000
 リース債務の返済による支出                      △5,795               △3,147
 株式の発行による収入                       1,006,892              245,505
 自己株式の取得による支出                            ―                  △95
 財務活動によるキャッシュ・フロー                 1,123,312              242,261
現金及び現金同等物に係る換算差額                    △1,201              △14,147
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)                 879,440           △1,274,664
現金及び現金同等物の期首残高                    2,218,074            3,097,514
現金及び現金同等物の期末残高                    3,097,514            1,822,850




                      ― 14 ―
                                    オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                             2020年12月期 決算短信


(6)財務諸表に関する注記事項
 (継続企業の前提に関する注記)
  該当事項はありません。


 (重要な会計方針)
1.有価証券の評価基準及び評価方法
 (1) 子会社株式及び関連会社株式
   移動平均法による原価法
 (2) その他有価証券
   時価のあるもの
    決算日の市場価格等に基づく時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法により
   算定)
   時価のないもの
    移動平均法による原価法


2.たな卸資産の評価基準及び評価方法
  製品
   個別法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法により算定)
  仕掛品
   個別法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法により算定)
  貯蔵品
   個別法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法により算定)


3.固定資産の減価償却の方法
 (1) 有形固定資産(リース資産を除く)
   建物および2016年4月1日以後に取得した付属設備ならびに構築物については定額法、その他について
  は定率法
   なお、主な耐用年数は以下の通りであります。
    建物          3~15年
    工具、器具及び備品   3~8年


 (2) 無形固定資産(リース資産を除く)
   定額法
    なお、自社利用のソフトウェアについては社内における利用可能期間(5年)に基づく定額法


 (3) リース資産
   リース期間を耐用年数とし、残存価額を零とする定額法


4.外貨建の資産及び負債の本邦通貨への換算基準
  外貨建金銭債権債務は、期末日の直物為替相場により円貨に換算し、換算差額は損益として処理しております。




                           ― 15 ―
                                   オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                            2020年12月期 決算短信




5.引当金の計上基準
 (1) 貸倒引当金
   債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権につ
  いては個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。


 (2) 退職給付引当金
   従業員の退職給付に備えるため、退職給付引当金及び退職給付費用の計算に、退職給付に係る期末自己都合要支
  給額を退職給付債務とする方法を用いた簡便法を適用しております。


6.キャッシュ・フロー計算書における資金の範囲
  手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わ
 ない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資からなっております。


7.その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項
  消費税等の会計処理
   消費税等の会計処理は、税抜方式を採用しております。


 (持分法損益等)
  当社が有している関連会社は、利益基準および利益剰余金基準からみて重要性の乏しい関連会社であるため、記載
 を省略しております。




                          ― 16 ―
                                              オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                                       2020年12月期 決算短信


 (セグメント情報等)
  a.セグメント情報
 1.報告セグメントの概要
  当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の
 配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
  当社は、取り扱う製品・サービスの観点から事業を区分し、各事業部門が包括的な戦略を立案し、事業活動を展開
 しております。
  したがって、当社は、事業別のセグメントから構成されており、「医薬品事業」、「検査事業」の2つを報告セグ
 メントとしております。
  「医薬品事業」は、医薬品の研究・開発・製造・販売等であります。「検査事業」は、検査薬・機器の研究・開
 発・製造・販売ならびに検査サービスの提供等であります。


 2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法
   報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「重要な会計方針」における記載と概ね同一であります。
   報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。


 3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報
   前事業年度(自    2019年1月1日 至   2019年12月31日)
                                                                      (単位:千円)
                                 報告セグメント
                                                          調整額          財務諸表
                                                          (注)1        計上額(注)2
                    医薬品事業         検査事業         計

売上高

 外部顧客への売上高           1,292,363       11,481   1,303,844          ―      1,303,844
 セグメント間の内部売上高
                            ―            ―           ―           ―            ―
 又は振替高
         計           1,292,363       11,481   1,303,844          ―      1,303,844
セグメント利益又はセグメン
                       373,069     △151,655     221,414   △732,877      △511,463
ト損失(△)
セグメント資産                420,313        9,933     430,246   3,949,810     4,380,056

その他の項目

 減価償却費                      ―           303         303       2,806        3,109
   有形固定資産及び
                          ―      10,237 10,237  3,290  13,527
   無形固定資産の増加額
  (注) 1.セグメント利益又はセグメント損失(△)の調整額△732,877千円は、各報告セグメントに配分していない全
        社費用であり、主に報告セグメントに帰属しない当社の管理部門に係る経費であります。
      2.セグメント資産の調整額3,949,810千円は、各報告セグメントに配分していない全社資産であり、主に報告
        セグメントに帰属しない現金及び預金等であります。
      3.セグメント利益又はセグメント損失(△)は、損益計算書の営業損失と調整を行っております。




                                    ― 17 ―
                                            オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                                     2020年12月期 決算短信


   当事業年度(自   2020年1月1日 至   2020年12月31日)
                                                                     (単位:千円)
                               報告セグメント
                                                         調整額          財務諸表
                                                         (注)1        計上額(注)2
                   医薬品事業        検査事業         計

売上高

 外部顧客への売上高           313,569          610    314,179            ―        314,179
 セグメント間の内部売上高
                           ―           ―            ―           ―             ―
 又は振替高
         計           313,569          610    314,179            ―        314,179

セグメント損失(△)          △713,361     △73,346    △786,708     △887,944     △1,674,652

セグメント資産               91,438       21,967    113,405     2,683,008     2,796,413

その他の項目

 減価償却費                     ―        2,347        2,347       2,543         4,890
   有形固定資産及び
                          ―      14,381 14,381  2,700  17,081
   無形固定資産の増加額
  (注) 1.セグメント損失(△)の調整額△887,944千円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であり、主に
        報告セグメントに帰属しない当社の管理部門に係る経費であります。
      2.セグメント資産の調整額2,683,008千円は、各報告セグメントに配分していない全社資産であり、主に報告
        セグメントに帰属しない現金及び預金等であります。
      3.セグメント損失(△)は、損益計算書の営業損失と調整を行っております。




                                  ― 18 ―
                                               オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                                        2020年12月期 決算短信


 b.関連情報
前事業年度(自 2019年1月1日 至     2019年12月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
   製品及びサービスの区分が報告セグメント区分と同一であるため、記載を省略しております。


2.地域ごとの情報
 (1) 売上高
                                                                   (単位:千円)
       日本               米国                 その他アジア                  合計

            1,175,753          4,481                   123,609          1,303,844
(注)   売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。


 (2) 有形固定資産
      本邦以外に所在している有形固定資産がないため該当事項はありません。


3.主要な顧客ごとの情報
                                                                   (単位:千円)
      顧客の名称又は氏名                   売上高                        関連するセグメント名

            イ社                             1,175,753   医薬品事業

            ロ社                               116,609   医薬品事業
(注)   当社顧客との各種契約においては秘密保持条項が存在するため、社名の公表は控えさせて頂きます。




                                  ― 19 ―
                                                         オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                                                  2020年12月期 決算短信


 当事業年度(自 2020年1月1日 至             2020年12月31日)
 1.製品及びサービスごとの情報
     製品及びサービスの区分が報告セグメント区分と同一であるため、記載を省略しております。


 2.地域ごとの情報
    (1) 売上高
                                                                               (単位:千円)
         日本                      米国                 その他アジア                     合計

               138,907                 84,440                    90,831              314,179
 (注)   売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。


    (2) 有形固定資産
       本邦以外に所在している有形固定資産がないため該当事項はありません。


 3.主要な顧客ごとの情報
                                                                               (単位:千円)
       顧客の名称又は氏名                           売上高                        関連するセグメント名

              ハ社                                        90,831   医薬品事業

              ニ社                                        88,297   医薬品事業
 (注)   当社顧客との各種契約においては秘密保持条項が存在するため、社名の公表は控えさせて頂きます。


    c.報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報
    前事業年度(自 2019年1月1日 至           2019年12月31日)
     該当事項はありません。


    当事業年度(自 2020年1月1日 至           2020年12月31日)
                                                                               (単位:千円)
                         医薬品事業           検査事業                    全社             合計

       減損損失                       ―                 ―                 11,140         11,140

    (注)「全社」の金額は、セグメントに帰属しない全社資産に係る減損損失であります。


    d.報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報
     該当事項はありません。


    e.報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報
     該当事項はありません。




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                                         オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                                  2020年12月期 決算短信


(1株当たり情報)

                           前事業年度                           当事業年度
                        (自 2019年1月1日                  (自   2020年1月1日
                        至 2019年12月31日)                至    2020年12月31日)

1株当たり純資産額                             240.71円                          136.43円

1株当たり当期純損失金額(△)                       △65.55円                        △145.58円
(注) 1.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失
      金額であるため記載しておりません。
    2.1株当たり当期純損失金額の算定上の基礎は、以下の通りであります。

                                      前事業年度                     当事業年度
                                 (自   2019年1月1日            (自   2020年1月1日
                                 至    2019年12月31日)          至   2020年12月31日)

1株当たり当期純損失金額

 当期純損失(△)(千円)                                △912,346               △2,095,087

 普通株主に帰属しない金額(千円)                                   ―                        ―

 普通株式に係る当期純損失(△)(千円)                         △912,346               △2,095,087

 期中平均株式数(株)                                 13,917,336               14,391,621




                            ― 21 ―
                                             オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                                      2020年12月期 決算短信


 (重要な後発事象)
1.   第三者割当による第18回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行
      当社は、2020年12月10日開催の取締役会決議に基づき、2021年1月4日に第三者割当による第18回新株予約
     権(行使価額修正条項付)を発行いたしました。


      第三者割当による第18回新株予約権(行使価額修正条項付)の概要
割当日                     2021年1月4日
発行新株予約権数                26,814個
目的たる株式の種類及び数            新株予約権1個当たり当社普通株式100株
発行価額                    本新株予約権1個当たり金1,600円(総額42,902,400円)

                         潜在株式数:2,681,400株
                        上限行使価額はありません。
当該発行による潜在株式数
                        下限行使価額は915円ですが、下限行使価額においても、潜在株式数は、
                        2,681,400株です。

資金調達の額                  4,120,037,400円(差引手取概算額)(注)

                         当初行使価額1,525円
                        行使価額は、本新株予約権の各行使請求の効力発生日に、当該効力発生日
行使価額及び行使価額の修正条件         の前取引日の株式会社東京証券取引所における当社普通株式の普通取引の
                        終値の92%に相当する金額に修正されますが、かかる価額が下限行使価額
                        を下回る場合には、下限行使価額を修正後の行使価額とします。

                        本新株予約権の行使により普通株式を発行する場合の増加する資本金の額
                        は、会社計算規則第17条の定めるところに従って算定された資本金等増加
新株予約権の行使により株式を発行する
                        限度額に0.5を乗じた金額とし、計算の結果1円未満の端数が生じる場合
場合の増加する資本金及び資本準備金
                        はその端数を切り上げた額とします。増加する資本準備金の額は、資本金
                        等増加限度額より増加する資本金の額を減じた額とします。
募集又は割当方法                第三者割当の方法によります。
割当先                     SMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」といいます。)
行使可能期間                  2021年1月5日から2023年1月31日


                                           具体的な使途           金額(千円)
                          ①がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)
                                                              1,970,037
                           の上市に向けた製法開発などの研究開発費
                          ②次世代テロメライシンOBP-702の非臨床試験、
                           治験薬のGMP製造、初期の臨床試験などの研究             1,350,000
資金使途                       開発費
                          ③新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2001の非
                           臨床試験、治験薬のGMP製造、初期の臨床試験な              800,000
                           どの研究開発費
                                             合計               4,120,037



                        当社は、SMBC日興証券との間で、金融商品取引法に基づく届出の効力発生
                        後に、本新株予約権の買取に関する契約(以下「本新株予約権買取契約」
その他                     といいます。)を締結しました。本新株予約権買取契約において、SMBC日
                        興証券は、当社の事前の同意がない限り、本新株予約権を当社以外の第三
                        者に譲渡することができない旨が定められております。
(注) 資金調達の額は、本新株予約権の払込金額の総額及び本新株予約権の行使に際して出資される財産の価額の合計
額を合算した金額から、本新株予約権に係る発行諸費用の概算額を差し引いた金額です。なお、本新株予約権の行使に
際して出資される財産の価額の合計額は、当初行使価額で全ての本新株予約権が行使されたと仮定した場合の金額であ
ります。そのため、本新株予約権の行使価額が修正又は調整された場合には、資金調達の額は増加又は減少いたしま
す。また、本新株予約権の行使可能期間内に行使が行われない場合又は当社が取得した本新株予約権を消却した場合に
は、資金調達の額は減少いたします。




                                  ― 22 ―
                                       オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
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2.   新株予約権の権利行使
 2021年1月1日以降、2021年1月31日までの間に、第18回新株予約権(行使価額修正条項付)の権利行使による新株
発行により、資本金及び資本準備金がそれぞれ361,811千円増加し、資本金が7,798,348千円、資本準備金が7,790,736千
円となっております。




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                                     オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
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5.補足情報
(1)研究開発活動
 当社の当事業年度における研究開発費は、医薬品事業844,805千円、検査事業57,688千円、両セグメント共通84,747
千円、合計987,242千円となりました。
 なお、当事業年度における研究開発活動の状況は以下の通りです。


(1) 研究開発体制について
  2020年12月31日現在、研究開発部門は13名在籍しており、これは総従業員数の36.1%に当たります。


(2) 研究開発並びにビジネス活動について
  当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。
  ①   医薬品事業
    1)がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)に関する活動
       当社は、2019年4月に中外製薬とテロメライシンに関する日本・台湾の独占的ライセンス契約並びに日
      本・台湾・中国・香港・マカオを除く全世界におけるオプション契約を締結しました。中外製薬が独占的オ
      プション権を行使した場合、当社が中外製薬から受領するライセンス契約の総額は500億円以上であり、既
      に、中外製薬から本契約の契約一時金及び第1回マイルストーンを受領しています。
       2020年6月には、テロメライシンの食道がんへの開発に対してオーファンドラッグ(希少疾患治療薬)の
      指定を米国食品医薬品局から受けました。本指定により、テロメライシンの開発におけるFDAからの助言相談
      が可能になることに加え、補助金の支給や臨床研究費用の税額控除の優遇処置を受けられます。さらに、米
      国においてテロメライシン承認後の7年間は先発権保護が与えられ、その期間中は市場独占権が得られま
      す。2019年4月に指定を受けた先駆け審査制度と合わせて、テロメライシンを食道がんの治療薬として開発
      していく方針です。


       2021年2月12日現在、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)は、ライセンス先の中外製薬によっ
      て、i)放射線併用による食道がんPhase2臨床試験、ii)化学放射線療法併用による食道がんPhase1臨床試
      験、iii)抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシズマブ併用による肝細胞がんPhase1臨床試験、
      iv)抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び化学放射線療法併用による頭頸部がんPhase1臨床試験が国内で進められ
      ています。
       また、当社は、v)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治
      験、vi)化学放射線療法併用による食道がんPhase1医師主導治験、vii)放射線及び抗PD-1抗体ペムブロリズ
      マブ併用による頭頸部がんPhase2医師主導治験を米国で実施し、viii)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用に
      よる固形がんPhase1医師主導治験を国内で進めており、計8つの臨床試験が同時に進行しています。


      中外製薬によるテロメライシンの開発状況
       上記i)の「放射線併用による食道がんPhase2臨床試験」は、ライセンス先の中外製薬によって2020年3月
      に第1例目の投与が日本国内で開始されました。目標症例数は37例であり、外科手術による根治的な切除や
      根治的化学放射線療法が困難な食道がん患者様を対象に進められています。なお、中外製薬の開示資料によ
      ると、2021年2月4日現在、テロメライシンを2023年以降に申請する予定です。


       上記ii)の「化学放射線療法併用による食道がんPhase1臨床試験」は、ライセンス先の中外製薬によって、
      局所進行性の食道がん患者様を対象に臨床試験開始に向けた準備が進められ、現在患者様の募集が開始され
      ています。本試験は、安全性、忍容性を評価し、副次的に有効性を評価することを目的としています。


       上記iii)の「抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシズマブ併用による肝細胞がんPhase1臨床
      試験」は、中外製薬によって投与が進行中の安全性、忍容性及び副次的に有効性の評価を目的とした臨床試
      験です。また、本試験は、テロメライシンと抗PD-L1抗体アテゾリズマブを初めて併用する臨床試験であり、
      2021年1月に第1例目の投与が開始されています。なお、肝細胞がん患者様へテロメライシンを単独投与し



                            ― 24 ―
                                オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                         2020年12月期 決算短信


た際の安全性は、当社が韓国・台湾で実施したPhase1臨床試験において検討済みです。


 上記iv)の「抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び化学放射線療法併用による頭頸部がんPhase1臨床試験」は、
中外製薬によって新たに計画されており、頭頸部がんの患者様に対して、テロメライシンと抗PD-L1抗体アテ
ゾリズマブ、化学放射線療法が併用される臨床試験です。


当社によるテロメライシンの開発状況
 上記v)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験」は、
米国コーネル大学において、2019年5月に第1例目の投与が開始されました。ステージ4の患者様を対象に、
テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した際の有効性及び安全性の評価を行います。既に中
間検討会が2020年12月末に米国において実施され、今後組入れ対象を食道がんに拡大することを検討してい
ます。


 上記vi)の「化学放射線療法併用による食道がんPhase1医師主導治験」は、新型コロナウイルス感染拡大
の影響により遅延しておりますが、米国の主要ながん研究グループであるNRGオンコロジーが中心となり投与
開始に向けた準備が完了しました。また、前述の通り、テロメライシンは米国においてオーファンドラッグ
の指定を受けており、同指定の下、本治験は実施されます。


 上記vii)の「放射線及び抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による頭頸部がんPhase2医師主導治験」は、米
国コーネル大学を中心に投与開始の準備を進めています。頭頸部がんは、QOLを著しく低下させることがある
難治性の腫瘍であり、局所における有効な治療法は、外科的手術以外に放射線治療が主な治療法です。本治
験では、これまでに得られているテロメライシンと放射線療法の併用による局所作用としての相乗効果に加
え、抗PD-1抗体を併用することによる全身性の臨床効果を検討します。


 上記viii)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による固形がんPhase1医師主導治験」は、国立がん研究
センター東病院を中心に2017年12月に投与が開始されました。食道原発巣に投与したPhase1a臨床試験の結
果は、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用における安全性が示されました。現在進行して
いるPhase1b臨床試験では、目標症例数13例に対して10例の組入れが完了しています。2020年末に行う予定
であった中間データの取り纏めは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により遅延しており、2021年上半期
を目標に実施する見通しです。


 テロメライシンは食道がんを対象に、日本国内では先駆け審査制度の対象品目に指定され、さらに米国に
おいても食道がんを対象にオーファンドラッグの指定を受けています。2020年6月に、中国・香港・マカオ
での研究・開発・製造・販売権に関するライセンス契約の解消をハンルイ社と合意しましたが、当社は、全
世界の食道がん患者様の大半を占める中国地域を含むテロメライシンの新規ライセンス契約締結に向けた活
動を積極的に進めています。




2)次世代テロメライシンOBP-702に関する活動
 OBP-702は、強力ながん抑制遺伝子p53による「遺伝子治療」とテロメライシン(OBP-301)の「腫瘍溶解機
能」を組み合わせた2つの抗腫瘍効果を持つウイルスです。当社はOBP-702を、中外製薬に導出済みのテロメ
ライシンに続く「次世代テロメライシン」として位置付けています。また、OBP-702は2017年4月と2020年3
月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成金事業に採択され、岡山大学藤原教授の研究グ
ループがOBP-702の非臨床試験を進め、これまでに複数の学会で非臨床試験結果を報告しています。今後、当
社はOBP-702のGMP製造及び前臨床試験を進め、2022年上半期に治験申請を行い、臨床試験の開始を目指しま
す。




                       ― 25 ―
                                                 オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                                          2020年12月期 決算短信


3)新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2001及びその関連化合物に関する活動
 当社は、2006年に鹿児島大学と共同研究契約を締結し、ヒトレトロウイルス学共同研究センターの馬場昌
範センター長率いる同センター・鹿児島大学キャンパスの研究グループと創薬研究を進めてきました。その
結果、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に対して強い増殖抑制効果を有する化合
物群を特定しました。さらに、特定された化合物は、承認済みの新型コロナウイルス感染症治療薬レムデシ
ビル(ギリアド社)と同等以上の活性を示すことが、同じ実験系での比較実験において確認されました。
 当社は、鹿児島大学との共同研究で合成された化合物群の中からOBP-2001を特定し、毒性試験を行った結
果、一般状態、体重、血液・血液生化学的検査などに著変は認められませんでした。
 既に欧米では複数のワクチンが承認・実用化されるなど、世界各国では早期開発が活発に行われています
が、ワクチンによる予防だけではパンデミックを抑えることは容易ではないと考えています。当社は、PCR検
査陽性の無症状の患者様から軽症までの初期段階の患者様を対象に、SARS-CoV-2の増殖を特異的に抑制し、
且つ経口投与が可能な治療薬の開発を目指します。また、既にOBP-2001の活性を大きく上回る化合物が見出
されており、最も可能性が高い化合物を2021年上半期に絞り込み、スピードを重視した開発を推進してゆき
たいと考えています。


4)核酸系逆転写酵素阻害剤OBP-601(Censavudine)に関する活動
 OBP-601(Censavudine) は、2006 年 に Yale 大 学 か ら 導 入 し、2010 年 か ら 2014 年 に か け て Bristol-Myers
Squibb Co.がHIV感染症治療薬としてPhase2臨床試験の完了まで開発を進めました。その後、HIV治療薬のマ
ーケットが飽和状態となり、新規ライセンスの可能性が低い状況の中、感染症領域以外でのOBP-601の新規ラ
イセンス契約締結に向けたビジネス活動を積極的に推進しました。
 その結果、神経疾患の研究を行う米国ブラウン大学の研究成果よって、OBP-601がレトロトランスポゾンの
逆転写と複製を抑制する可能性が示唆され、2020年6月にTransposon社との間で総額3億ドル超の新規ライ
センス契約を締結しました。また、Transposon社は、2020年11月に第1回マイルストーンを達成しています。
 OBP-601は、脳内移行性が優れていることに加え、既に長期投与の臨床データが得られているため、
Transposon社が開発を進める際に安全性確認を目的とした臨床試験など、非臨床試験の大幅な短縮又は軽減
が期待されます。
 当社は、Transposon社によるOBP-601の開発進捗を継続的に確認していくと共に、早期臨床入りが開始され
ることを期待しています。


5)HDAC阻害剤OBP-801に関する活動
 2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤OBP-801は、米国
でのPhase1臨床試験で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生し、現在新規患者様の組入れ
を一時中断し、他の薬剤との併用など別プロトコルでの再スタートの可能性について検討しています。また、
OBP-801の新規適応領域である眼科領域への適応が試みられています。




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                                          オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                                   2020年12月期 決算短信


医薬品事業における主なパイプラインの状況は、以下の通りです。
   開発品            適応疾患           併用療法             開発地域    開発ステージ

                  食道がん                                     Phase2
                                     放射線           日本
                  放射線併用                                   (中外製薬)


                                                           Phase1
                                                   日本
                                                          (中外製薬)
                  食道がん         放射線・化学療法

                                                   米国      Phase1


                            抗PD-L1抗体アテゾリズマブ                Phase1
                                                   日本
                                 分子標的薬                    (中外製薬)
                  肝細胞がん
テロメライシン                                                    Phase1
                             (テロメライシン単剤)         韓国・台湾
 (OBP-301)                                                 (完了)


                            抗PD-L1抗体アテゾリズマブ                Phase1
                                                   日本
                               放射線・化学療法                   (中外製薬)
                  頭頸部がん

                            抗PD-1抗体ペムブロリズマブ
                                                   米国      Phase2
                                     放射線

                  胃がん・
                            抗PD-1抗体ペムブロリズマブ        米国      Phase2
                胃食道接合部がん

                  食道がん
                            抗PD-1抗体ペムブロリズマブ        日本      Phase1
                 (固形がん)


   OBP-702        固形がん        抗PD-(L)1抗体を想定        日本      前臨床


                新型コロナウイルス
  OBP-2001                            -            全世界     前臨床
                   感染症


                 神経変性疾患              未定            米国    臨床試験準備中
   OBP-601
(Censavudine)                                              Phase2b
                  HIV感染症              -            欧米他
                                                           (終了)


   OBP-801       各種固形がん       抗PD-(L)1抗体を想定        米国      Phase1




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                                  オンコリスバイオファーマ株式会社 (4588)
                                           2020年12月期 決算短信




②   検査事業
  がん検査薬テロメスキャンは、血液中の循環がん細胞(CTC:Circulating Tumor Cell)の検出の自動化に
 向け、CTC自動解析用ソフトウェアの開発委託契約をCYBO社と締結しました。CYBO社のAI技術を用いたテロメ
 スキャン専用のソフトウェアを開発することによって、CTC有無の判定の自動化、検査処理スピードの向上、
 さらに判定結果の標準化を期待しています。既に、CTC自動解析用ソフトウェアのプロトタイプの一次型が完
 成しました。今後、さらなる改良を加えたソフトウェアの開発を目指します。
  また、研究開発においては、順天堂大学とCTCの肺がん領域でテロメスキャンを用いた医師主導臨床研究が
 進行しており、北米エリアのライセンス先である米国Liquid Biotech USA, Inc.(以下「リキッド社」)で
 は、肺がんや婦人科がん領域などへの応用を目的に米国の大学や研究機関との共同研究を進めております。
 今後、AIによるCTC自動解析用ソフトウェアのバリデーションをリキッド社で実施してゆきます。
  当社は引き続き、順天堂大学などをはじめとする国内外のアカデミアと研究開発を推進していく方針で
 す。さらに、テロメスキャンを用いたCTC有無の判定だけでなく、検出したCTCの悪性度の判定等が可能な改
 良型のソフトウェアを開発し、がん患者様の治療の選択につなげられる検査系へと成長させてゆきたいと考
 えています。




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