4588 M-オンコリスバイオ 2020-11-06 15:00:00
2020年12月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結) [pdf]

                 2020年12月期        第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
                                                           2020年11月6日
上 場 会 社 名   オンコリスバイオファーマ株式会社             上場取引所                         東
コ ー ド 番 号   4588               URL http://www.oncolys.com
代   表   者 (役職名) 代表取締役社長     (氏名) 浦田 泰生
問合せ先責任者 (役職名) 取締役管理担当       (氏名) 吉村 圭司              (TEL) 03(5472)1578
四半期報告書提出予定日      2020年11月6日 配当支払開始予定日               ―
四半期決算補足説明資料作成の有無        :無
四半期決算説明会開催の有無           :無
 
                                                                                     (百万円未満切捨て)
1.2020年12月期第3四半期の業績(2020年1月1日~2020年9月30日)
(1)経営成績(累計)                            (%表示は、対前年同四半期増減率)
                        売上高                      営業利益            経常利益                    四半期純利益
                        百万円          %           百万円        %     百万円            %           百万円   %
    2020年12月期第3四半期       207    △67.5         △1,167 ―          △1,185          ―        △1,545    ―
    2019年12月期第3四半期       640     440.5          △586 ―           △587           ―         △590     ―
 
                                             潜在株式調整後
                        1株当たり
                                               1株当たり
                       四半期純利益
                                              四半期純利益
                                 円   銭                  円   銭
    2020年12月期第3四半期             △107.64                      ―
    2019年12月期第3四半期              △42.73                      ―
 

 
(2)財政状態
                        総資産                      純資産            自己資本比率
                                  百万円                   百万円                      %
 2020年12月期第3四半期          2,962                          2,329                    78.4
 2019年12月期               4,380                          3,454                    78.7
(参考) 自己資本 2020年12月期第3四半期      2,322百万円                   2019年12月期           3,446百万円
 

 

 

2.配当の状況
                                                 年間配当金

                     第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                       期末              合計
                        円   銭            円   銭          円   銭        円   銭           円   銭
  2019年12月期        ―     0.00                               ―        0.00            0.00
  2020年12月期        ―     0.00                               ―
  2020年12月期(予想)                                                      0.00            0.00
(注) 直近に公表されている配当予想からの修正の有無 : 無
 
 

 

3.2020年12月期の業績予想(2020年1月1日~2020年12月31日)
    現時点では業績に与える未確定な要素が多いことから、業績予想につきましては適正かつ合理的な数値の算出が困難
    な状況と考えており、公表しておりません。
※       注記事項
(1)四半期財務諸表の作成に特有の会計処理の適用                     :無
 

 

(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
  ① 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更                       :無
     ②    ①以外の会計方針の変更                        :無
     ③    会計上の見積りの変更                         :無
     ④    修正再表示                              :無
 

 

(3)発行済株式数(普通株式)
  ① 期末発行済株式数(自己株式を含む)          2020年12月期3Q   14,471,300株    2019年12月期     14,331,300株

    ②     期末自己株式数              2020年12月期3Q        11,631株   2019年12月期        15,000株

    ③     期中平均株式数(四半期累計)       2020年12月期3Q   14,356,563株    2019年12月期3Q   13,820,591株
 

 

    ※    四半期決算短信は公認会計士又は監査法人の四半期レビューの対象外です
    ※    業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
        (将来に関する記述等についてのご注意)
        本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判
        断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績
        等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。業績予想の前提となる条件及び業績予想のご利用にあたっ
        ての注意事項については、添付資料P.3「1.当四半期決算に関する定性的情報(3)業績予想などの将来予測情
        報に関する説明」をご覧ください。
                                オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                    2020年12月期 第3四半期決算短信


○添付資料の目次



    1.当四半期決算に関する定性的情報 ………………………………………………………………………… 2

    (1)経営成績に関する説明 …………………………………………………………………………………… 2

    (2)財政状態に関する説明 …………………………………………………………………………………… 2

    (3)業績予想などの将来予測情報に関する説明 …………………………………………………………… 3

    2.四半期財務諸表及び主な注記 ……………………………………………………………………………… 4

    (1)四半期貸借対照表 ………………………………………………………………………………………… 4

    (2)四半期損益計算書 ………………………………………………………………………………………… 6

       第3四半期累計期間 ……………………………………………………………………………………… 6

    (3)四半期財務諸表に関する注記事項 ……………………………………………………………………… 7

      (継続企業の前提に関する注記) ………………………………………………………………………… 7

      (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) ………………………………………………… 7

      (セグメント情報等) ……………………………………………………………………………………… 8

    3.補足情報 ……………………………………………………………………………………………………… 9

    (1)研究開発活動 ……………………………………………………………………………………………… 9
 




                        ― 1 ―
                                                      オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                                          2020年12月期 第3四半期決算短信


1.当四半期決算に関する定性的情報
 (1)経営成績に関する説明
     当第3四半期(2020年1月1日~2020年9月30日)における日本経済は、政府主導において新型コロナウイルスに
    より停滞した経済活動を刺激する施策が打たれていますが、依然として感染拡大への警戒が高く、先行き不透明な
    状況が継続しています。また、世界経済においても、新型コロナウイルスの感染拡大や米中経済摩擦などにより、
    実体経済の縮小が生じる見込みです。


     このような状況下、当社は経営の効率化を図り、積極的な研究・開発・ライセンス活動を展開いたしました。ま
    た、医薬品事業の研究開発活動を加速させることを目的として、2020年4月に当社100%子会社OPA Therapeutics
    Inc.(以下、「OPA社」という)を設立しました。OPA社は米国カリフォルニア州を事業拠点とし、主として各パイ
    プラインの非臨床試験並びにウイルス製造に関する業務を担当します。なお、OPA社の社長には、腫瘍溶解ウイル
    スの研究開発に30年以上の経験を持つFrank Tufaro博士(元DNAtrix Inc. 代表取締役社長)が就任しました。


     医 薬 品 事 業 で は、 が ん の ウ イ ル ス 療 法 テ ロ メ ラ イ シ ン (OBP-301) や 核 酸 系 逆 転 写 酵 素 阻 害 剤 OBP-601
    (Censavudine)、新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2001を中心に研究・開発・ライセンス活動を推進させま
    した。また、検査事業では、テロメスキャン(OBP-401)を中心に研究・開発を推進させました。当社活動の詳細に
    関しては、「3.補足情報(1)研究開発活動」をご確認ください。


     以上の結果、当第3四半期の業績は、売上高207,611千円(前年同四半期は売上高640,111千円)、営業損失
    1,167,504千円(前年同四半期は営業損失586,988千円)となりました。営業外収益として、受取利息485千円を、営
    業外費用として支払利息3,133千円、譲渡制限付株式報酬償却6,342千円、為替差損9,412千円等を計上した結果、
    経常損失1,185,938千円(前年同四半期は経常損失587,805千円)、また、2018年2月に転換社債を引き受けた、
    Unleash Immuno Oncolytics, Inc.(米国、以下「アンリーシュ社」)は目的としていた新規ウイルスの遺伝子構
    築は逐次進んではいるものの、資金調達も含めた事業計画は転換社債引受時から遅延していること等を理由とし
    て、特別損失として、当社が引き受けたアンリーシュ社転換社債321,000千円を投資有価証券評価損として計上い
    たしました。また、転換社債にかかる未収利息35,681千円を貸倒損失として計上いたしました。その結果、四半期
    純損失1,545,408千円(前年同四半期は四半期純損失590,619千円)となりました。


    セグメントの業績は、次のとおりであります。
    ①   医薬品事業
        医薬品事業では、Transposon Therapeutics, Inc.(以下「Transposon社」)とのOBP-601の新規ライセンス契
     約の締結に伴う契約一時金収入、Medigen Biotechnology Corp.(台湾            以下「メディジェン社」)からのテロ
     メライシンに関する開発協力金収入や岡山大学からの次世代テロメライシンOBP-702に関する業務請負収入等が
     発生しました。この結果、売上高207,206千円(前年同四半期は売上高635,629千円)、営業損失496,471千円(前
     年同四半期は営業利益74,010千円)となりました。


    ②   検査事業
        検査事業では、肺がんの患者様のCTCによる治療の予後予測を検討する順天堂大学との臨床研究を進展させま
     した。この結果、売上高405千円(前年同四半期は売上高4,481千円)、営業損失34,274千円(前年同四半期は営
     業損失147,079千円)となりました。


 
 (2)財政状態に関する説明
        資産、負債及び純資産の状況
        当第3四半期会計期間末における資産は、現金及び預金の減少等により2,962,434千円(前事業年度末比32.4%
    減)となりました。負債は、未払金の支払等により632,544千円(前事業年度末比31.7%減)となりました。純資産
    は、四半期純損失の発生等の理由により2,329,890千円(前事業年度末比32.5%減)となりました。




                                          ― 2 ―
                                 オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                     2020年12月期 第3四半期決算短信




(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明
   当社は未だ安定した収入基盤が小さく、ライセンス契約締結相手先のイベント達成により発生する開発マイル
  ストーン収入によって、当社の業績は大きく変動します。
   したがって、現時点では業績に与える未確定な要素が多いことから、業績予想につきましては適正かつ合理的
  な数値の算出が困難な状況と考えており、予想を公表していません。




                         ― 3 ―
                                オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                    2020年12月期 第3四半期決算短信


2.四半期財務諸表及び主な注記
(1)四半期貸借対照表
                                                      (単位:千円)
                            前事業年度              当第3四半期会計期間
                         (2019年12月31日)          (2020年9月30日)
資産の部
 流動資産
   現金及び預金                         3,342,585             2,095,513
   売掛金                              169,308               116,394
   製品                                 8,504                 8,434
   仕掛品                                3,898                    ―
   貯蔵品                                2,515                 1,921
   前払金                               47,737                46,704
   前払費用                             202,709               348,964
   関係会社短期貸付金                         10,954                    ―
   未収入金                              37,069                   145
   未収消費税等                                ―                 60,339
   その他                                1,146                 6,463
   流動資産合計                         3,826,429             2,684,882
 固定資産
   有形固定資産
     建物                               2,794                 2,794
      減価償却累計額                       △2,794                △2,794
      建物(純額)                             ―                     ―
     工具、器具及び備品                       73,673                76,229
      減価償却累計額                      △61,849               △64,983
      工具、器具及び備品(純額)                  11,823                11,246
     有形固定資産合計                        11,823                11,246
   無形固定資産
     ソフトウエア                              850                  700
     無形固定資産合計                            850                  700
   投資その他の資産
     投資有価証券                         329,333                   458
     関係会社株式                         101,153               111,916
     出資金                                100                   100
     関係会社長期貸付金                           ―                 31,734
     敷金及び保証金                         27,532                29,193
     長期前払費用                          82,816                92,184
     その他                                 19                    19
     投資その他の資産合計                     540,953               265,605
   固定資産合計                           553,626               277,551
 資産合計                             4,380,056             2,962,434




                      ― 4 ―
                            オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                2020年12月期 第3四半期決算短信


                                                 (単位:千円)
                        前事業年度             当第3四半期会計期間
                     (2019年12月31日)         (2020年9月30日)
負債の部
 流動負債
   短期借入金                        127,776              150,008
   リース債務                          3,147                2,353
   未払金                          253,275               56,625
   未払費用                          12,338               11,357
   未払法人税等                        43,859               11,730
   未払消費税等                        75,828                   ―
   預り金                            7,576                5,603
   流動負債合計                       523,801              237,679
 固定負債
   長期借入金                        388,880              383,316
   リース債務                          8,419                6,779
   退職給付引当金                        4,906                4,770
   固定負債合計                       402,205              394,865
 負債合計                           926,007              632,544
純資産の部
 株主資本
   資本金                        7,121,273            7,324,914
   資本剰余金
     資本準備金                    7,113,773            7,317,302
     その他資本剰余金                     9,650               31,760
     資本剰余金合計                  7,123,423            7,349,062
   利益剰余金
     その他利益剰余金
      繰越利益剰余金               △10,806,209          △12,351,617
     利益剰余金合計                △10,806,209          △12,351,617
   自己株式                              ―                  △41
   株主資本合計                     3,438,488            2,322,318
 評価・換算差額等
   その他有価証券評価差額金                   7,620                △254
   評価・換算差額等合計                     7,620                △254
 新株予約権                            7,940                7,826
 純資産合計                        3,454,048            2,329,890
負債純資産合計                       4,380,056            2,962,434




                  ― 5 ―
                         オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                             2020年12月期 第3四半期決算短信


(2)四半期損益計算書
 (第3四半期累計期間)
                                                 (単位:千円)
                 前第3四半期累計期間             当第3四半期累計期間
                  (自 2019年1月1日           (自 2020年1月1日
                  至 2019年9月30日)          至 2020年9月30日)
売上高                          640,111                 207,611
売上原価                          59,111                  74,309
売上総利益                        580,999                 133,302
販売費及び一般管理費                 1,167,988               1,300,807
営業損失(△)                    △586,988               △1,167,504
営業外収益
 受取利息                          17,648                    485
 受取配当金                              4                     ―
 その他                              217                     ―
 営業外収益合計                       17,869                    485
営業外費用
 支払利息                          2,821                   3,133
 譲渡制限付株式報酬償却                  10,005                   6,342
 為替差損                          5,860                   9,412
 その他                              ―                       30
 営業外費用合計                      18,686                  18,918
経常損失(△)                     △587,805              △1,185,938
特別損失
 投資有価証券評価損                        ―                  321,000
 貸倒損失                             ―                   35,681
 特別損失合計                           ―                  356,681
税引前四半期純損失(△)                △587,805              △1,542,619
法人税、住民税及び事業税                   2,813                   2,789
法人税等合計                         2,813                   2,789
四半期純損失(△)                   △590,619              △1,545,408




               ― 6 ―
                                   オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                       2020年12月期 第3四半期決算短信


(3)四半期財務諸表に関する注記事項
 (継続企業の前提に関する注記)
  該当事項はありません。


 (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)
  当社は2020年3月11日から7月3日の間に、新株予約権の行使による払込みを受け、当第3四半期累計期間にお
 いて資本金及び資本準備金がそれぞれ11,225千円増加しております。また、2020年6月25日開催の取締役会決議に
 基づき、譲渡制限付株式報酬として新株式を2020年7月14日に発行し、資本金が192,416千円、資本準備金が
 192,304千円増加しております。
  この結果、当第3四半期会計期間末において資本金が7,324,914千円、資本準備金が7,317,302千円となっており
 ます。




                           ― 7 ―
                                              オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                                  2020年12月期 第3四半期決算短信


    (セグメント情報等)
      【セグメント情報】
Ⅰ   前第3四半期累計期間(自   2019年1月1日 至    2019年9月30日)
 1.報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報
                                                                      (単位:千円)
                                 報告セグメント                               四半期損益
                                                           調整額
                                                                      計算書計上額
                                                           (注)1
                    医薬品事業         検査事業           計                      (注)2

売上高

 外部顧客への売上高             635,629        4,481      640,111          ―       640,111
    セグメント間の内部売上高
                            ―            ―            ―           ―            ―
    又は振替高
         計             635,629        4,481      640,111          ―       640,111

セグメント利益又は損失(△)          74,010     △147,079     △73,068    △513,919     △586,988
 (注) 1. セグメント利益又は損失(△)の調整額△513,919千円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であ
        り、主に報告セグメントに帰属しない管理部門に係る経費であります。
     2. セグメント利益又は損失(△)は、四半期損益計算書の営業損失(△)と調整を行っております。


 2.報告セグメントごとの固定資産の減損損失又はのれん等に関する情報
     該当事項はありません。


Ⅱ   当第3四半期累計期間(自   2020年1月1日 至    2020年9月30日)
 1.報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報
                                                                      (単位:千円)
                                 報告セグメント                               四半期損益
                                                           調整額
                                                                      計算書計上額
                                                           (注)1
                    医薬品事業         検査事業           計                      (注)2

売上高

 外部顧客への売上高             207,206          405      207,611          ―       207,611
    セグメント間の内部売上高
                            ―            ―            ―           ―            ―
    又は振替高
         計             207,206          405      207,611          ―       207,611

セグメント損失(△)            △496,471     △34,274      △530,745   △636,759    △1,167,504
 (注) 1. セグメント損失(△)の調整額△636,759千円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であり、主に
        報告セグメントに帰属しない管理部門に係る経費であります。
     2. セグメント損失(△)は、四半期損益計算書の営業損失(△)と調整を行っております。


 2.報告セグメントごとの固定資産の減損損失又はのれん等に関する情報
     該当事項はありません。




                                   ― 8 ―
                                          オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                              2020年12月期 第3四半期決算短信


3.補足情報
(1)研究開発活動
 当社の当第3四半期累計期間における研究開発費は、医薬品事業563,601千円、検査事業22,855千円、両セグメント
共通60,572千円、合計647,030千円となりました。
  なお、当第3四半期累計期間における研究開発活動の状況は以下の通りです。


1)   研究開発体制について
     2020年9月30日現在、研究開発部門は14名在籍しており、これは総従業員数の38.9%に当たります。


2)   研究開発並びにビジネス活動について
     当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。


  ①   医薬品事業
     1) がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)に関する活動
       当社は、2019年4月に中外製薬株式会社(以下「中外製薬」)とテロメライシンに関する日本・台湾の独占
      的ライセンス契約及び日本・台湾・中国・香港・マカオを除く全世界におけるオプション契約を締結しまし
      た。中外製薬が独占的オプション権を行使した場合、当社が中外製薬から受領するライセンス契約の総額は500
      億円以上であり、既に、中外製薬から本契約の契約一時金及び第1回マイルストーンを受領しています。
       また、2020年6月には、テロメライシンの食道がんへの開発に対してオーファンドラッグ(希少疾患治療
      薬)の指定を米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)から受けました。本指定により、テロ
      メライシンの開発におけるFDAからの助言相談が可能になることに加え、補助金の支給や臨床研究費用の税額控
      除の優遇処置を受けられます。さらに、米国においてテロメライシン承認後の7年間は先発権保護が与えられ、
      その期間中は市場独占権が得られます。2019年4月に指定を受けた先駆け審査指定制度と合わせて、テロメラ
      イシンを食道がんへの治療薬として開発してゆく方針です。


       2020年9月30日現在、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)は、i)放射線併用食道がんPhase2臨
      床試験、ii)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の固形がんPhase1医師主導治験、iii)抗PD-1抗体ペムブロリズ
      マブ併用の胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験、iv)肝細胞がんPhase1企業治験、v)放射線化学療
      法を併用した米国での食道がんPhase1医師主導治験、vi)放射線と抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した米
      国での頭頸部がんPhase2医師主導治験などの臨床試験が同時に進行しています。さらに、国内における「放射
      線化学療法を併用した食道がんPhase1臨床試験」に関しては、中外製薬が臨床試験開始に向け準備を進められ
      ています。また、今後の肝細胞がんに対する開発は、引き続き、中外製薬と協議の上、決定する方針です。


       上記i)の「放射線併用食道がんPhase2臨床試験」は、ライセンス先である中外製薬によって2020年3月に第
      1例目の投与が日本国内で開始されました。目標症例数は37例であり、外科手術による切除や根治的化学放射
      線療法が困難な食道がん患者様を対象に進められています。なお、中外製薬の開示資料によると、2020年10月
      22日現在、テロメライシンを2022年に申請する予定です。


       上記ii)の抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用して食道がんを中心に開発を進めている「各種固形がん抗PD-1
      抗体併用Phase1医師主導治験」は、2017年12月に投与が開始されました。食道原発巣に投与したPhase1a臨床
      試験の結果は、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用における安全性が示され、9例中3例で
      全身での部分寛解(PR)が得られたと報告されました。現在進行しているPhase1b臨床試験では、目標症例数
      13例に対して10例の組入れが完了しています。今後、2020年末を目標に中間データの取り纏めを行い、企業治
      験への移行の可能性を踏まえ検討してゆきます。




                                 ― 9 ―
                                      オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                          2020年12月期 第3四半期決算短信




  上記iii)の米国コーネル大学での「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の胃がん・胃食道接合部がんPhase2医
 師主導治験」は、2019年5月に第1例目の投与が開始されました。最大37例に投与が行われる予定であり、テ
 ロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した際の有効性及び安全性の評価を行います。2020年中に
 10例程度での中間成績による検討を目指してゆきたいと考えています。


  上記iv)の「肝細胞がんPhase1企業治験」は、国立釜山大学(韓国)と国立台湾大学(台湾)を治験施設と
 して、2020年4月に最終症例への投与が終了しました。この結果、効果安全性評価委員会により肝細胞がんへ
 のテロメライシン投与に対する安全性の評価が完了し、Phase1企業治験が完了しました。
  2020年末までにデータを纏めると共に、今後の肝細胞がんに対する開発に関しては、テロメライシンのライ
 センス先である中外製薬と協議の上、決定する方針です。


  上記v)の「米国での放射線化学療法を併用した食道がんPhase1医師主導治験」は、米国の主要ながん研究グ
 ループであるNRGオンコロジーが中心となり投与開始に向けた準備を進めています。また、前述の通り、テロメ
 ライシンは米国においてオーファンドラッグの指定を受けており、同指定の下、本治験は実施されます。


  上記vi)の「放射線と抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した米国での頭頸部がんPhase2医師主導治験」は、
 米国コーネル大学を中心に投与開始の準備を進めています。頭頸部がんは、QOLを著しく低下させることがある
 難治性の腫瘍であり、局所における有効な治療法は、外科的手術以外に放射線治療が主な治療法です。本治験
 では、これまでに得られているテロメライシンと放射線療法の併用による局所作用としての相乗効果に加え、
 抗PD-1抗体を併用することによる全身性の臨床効果を検討します。


  テロメライシンは食道がんを対象に、日本国内では先駆け審査指定制度の対象品目に指定され、さらに米国
 においても食道がんを対象にオーファンドラッグの指定を受けています。2020年6月に、中国・香港・マカオ
 での研究・開発・製造・販売権に関するライセンス契約の解消をハンルイ社と合意しましたが、当社は今後、
 全世界の食道がん患者様の大半を占める中国を含むテロメライシンの新規ライセンス契約締結に向けた活動を
 積極化してゆきます。


2) 次世代テロメライシンOBP-702に関する活動
  腫瘍溶解・遺伝子治療OBP-702は、がん抑制遺伝子p53による「遺伝子治療」とテロメライシン(OBP-301)の
 「腫瘍溶解機能」を組み合わせた2つの抗腫瘍効果を持つウイルスです。当社はOBP-702を、中外製薬に導出済
 みのテロメライシンに続く「次世代テロメライシン」として位置付けています。また、OBP-702は2017年4月と
 2020年3月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成金事業に採択され、岡山大学藤原教授の
 研究グループがOBP-702の非臨床試験を進め、これまでに複数の学会で非臨床試験結果を報告しています。今
 後、当社はOBP-702のGMP製造や非臨床試験を進め、2022年までに臨床試験を開始することを目指します。




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                                                     オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                                         2020年12月期 第3四半期決算短信




3) 新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2001に関する活動
   2006年に鹿児島大学と共同研究契約を締結し、ヒトレトロウイルス学共同研究センターの馬場昌範センター
  長率いる同センター・鹿児島大学キャンパスの研究グループと創薬研究を進めてきました。その結果、新型コ
  ロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に対して強い増殖抑制効果を有する化合物群を特定しま
  した。さらに、特定された化合物は、承認済みの新型コロナウイルス感染症治療薬レムデシビル(ギリアド
  社)と同等以上の活性を示すことが、同じ実験系での比較実験において確認されました。
   当社は、鹿児島大学との共同研究で合成された化合物群の中からOBP-2001を特定し、探索毒性試験を行った
  結果、一般状態、体重、血液・血液生化学的検査などに著変は認められませんでした。また、血中半減期が約
  5時間と推測されました。
   当社はこれらの結果からOBP-2001を、SARS-CoV-2に対して特異的に増殖を阻害し経口投与が可能な製剤への
  開発を目指します。また、レムデシビルと作用点が異なっていると推測されたため、併用による治療効果の向
  上も期待されます。
   今後、OBP-2001を先行化合物とし、前臨床試験における安全性の確保と治験薬のGMP製造を完了させ、2021年
  中の臨床入りを目指します。また、先行するOBP-2001を改良した『バックアップ化合物』の探索も並行して進
  めてゆきます。


4)   核酸系逆転写酵素阻害剤OBP-601(Censavudine)に関する活動
    OBP-601(Censavudine) は、2006 年 に Yale 大 学 か ら 導 入 し、2010 年 か ら 2014 年 に か け て Bristol-Myers
  Squibb Co.がHIV感染症治療薬としてPhase2臨床試験の完了まで開発を進めてきました。その後、HIV治療薬の
  マーケットが飽和状態となり、新規ライセンスの可能性が低い状況の中、感染症領域以外でのOBP-601の新規ラ
  イセンス契約締結に向けたビジネス活動を積極的に推進しました。
   その結果、神経疾患の研究を行う米国ブラウン大学の研究成果よって、OBP-601がレトロトランスポゾンの逆
  転写と複製を抑制する可能性が示唆され、2020年6月にTransposon社との間で総額3億ドル超の新規ライセン
  ス契約を締結しました。
    OBP-601 は、 脳 内 移 行 性 が 優 れ て い る こ と に 加 え、 既 に 長 期 投 与 の 臨 床 デ ー タ が 得 ら れ て い る た め、
  Transposon社が開発を進める際に安全性確認を目的とした臨床試験など、非臨床試験の大幅な短縮又は軽減が
  期待されます。
   今後、当社はTransposon社におけるOBP-601の開発進捗を継続的に確認していくと共に、これまでにない神経
  変性疾患の治療薬になることを期待しています。


5) HDAC阻害剤OBP-801に関する活動
   2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤OBP-801は、米国で
  のPhase1臨床試験で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生し、現在新規患者様の組入れを一
  時中断し、他の薬剤との併用など別プロトコルでの再スタートの可能性について検討しています。また、
  OBP-801の新規適応領域である眼科領域への適応について検討しています。




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                                          オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
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医薬品事業における主なパイプラインの状況は、以下の通りです。
 開発コード         商標又は名称            適応疾患            開発地域     開発ステージ

                                  食道がん                     Phase2
                                                  日本
                                 放射線併用                    (中外製薬)

                                 食道がん
                                (固形がん)            日本       Phase1
                               抗PD-1抗体併用


                                                           Phase1
                                                  日本
                                 食道がん                     (中外製薬)
                                 放射線
                              並びに化学療法併用
                                                  米国       Phase1
               テロメライシン
 OBP-301
             (がんのウイルス療法)
                             胃がん・胃食道接合部がん
                                                  米国       Phase2
                                抗PD-1抗体併用


                                 頭頸部がん
                                  放射線             米国       Phase2
                              並びに抗PD-1抗体併用


                                                           Phase1
                                                  日本
                                                          (中外製薬)
                                 肝細胞がん

                                                韓国・台湾      Phase1



             次世代テロメライシン
 OBP-702                         固形がん             日本       前臨床
            (腫瘍溶解・遺伝子治療)


            新型コロナウイルス感染症
 OBP-2001                    新型コロナウイルス感染症        全世界       前臨床
                 治療薬



                                神経変性疾患            米国     臨床試験準備中
               Censavudine
 OBP-601
            核酸系逆転写酵素阻害剤
                                 HIV感染症          欧米他       Phase2b




 OBP-801       HDAC阻害剤          各種固形がん            米国       Phase1




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                                    オンコリスバイオファーマ株式会社(4588)
                                        2020年12月期 第3四半期決算短信


②   検査事業
  がん検査薬テロメスキャンは、血液中の循環がん細胞(CTC:Circulating Tumor Cell)の検出の自動化に向
 け、自動細胞解析用ソフトウェアの開発委託契約を株式会社CYBO(以下「CYBO社」)と締結しました。CYBO社の
 AI技術を用いたテロメスキャン専用のソフトウェアを開発することによって、CTC有無の判定の自動化、検査処理
 スピードの向上、さらに判定結果の標準化を期待しています。
  また、順天堂大学とCTCの肺がん領域で医師主導臨床研究が進行中です。婦人科がん領域への応用では、子宮頸
 がん患者様由来のCTCからヒトパピローマウイルスの遺伝子検出を行い、より確度の高いCTC検査系を立ち上げて
 ゆきます。北米エリアの権利を許諾したLiquid Biotech USA, Inc.(米国)では、米国の大学や研究機関との共
 同研究を進めており、当社と共同でより幅広いマーケットを獲得できるよう共同体制を取ってゆきます。
  当社は引き続き、テロメスキャンの開発において、CYBO社へ開発を委託しているAI技術を用いたソフトウェア
 を早期に構築し、検査感度・精度及びスループットの向上を目指すとともに、順天堂大学をはじめとするアカデ
 ミアと研究開発を推進していく方針です。さらに、テロメスキャンを用いたCTC有無の判定だけでなく、検出した
 がん細胞の遺伝子検査などを可能にし、がん患者様の治療選択につなげられる検査系へと成長させてゆきたいと
 考えています。




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