4582 J-シンバイオ製薬 2020-05-12 15:30:00
2020年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結) [pdf]

              2020年12月期              第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
                                                           2020年5月12日
上 場 会 社 名   シンバイオ製薬株式会社                  上場取引所                         東
コ ー ド 番 号   4582               URL https://www.symbiopharma.com/
代   表   者 (役職名) 代表取締役社長兼CEO (氏名) 吉田 文紀
問合せ先責任者 (役職名) 執行役員兼CFO      (氏名) 福島 隆章              (TEL) 03-5472-1125
四半期報告書提出予定日      2020年5月13日 配当支払開始予定日               ―
四半期決算補足説明資料作成の有無       :無
四半期決算説明会開催の有無          :無
 
                                                                                        (百万円未満切捨て)
1.2020年12月期第1四半期の業績(2020年1月1日~2020年3月31日)
(1)経営成績(累計)                            (%表示は、対前年同四半期増減率)
                     売上高                      営業利益                  経常利益                   四半期純利益
                    百万円              %           百万円        %       百万円            %           百万円        %
2020年12月期第1四半期        551       △65.8          △961         -       △991           -        △992          -
2019年12月期第1四半期      1,611        81.4          △595         -       △616           -        △616          -
 

                                          潜在株式調整後
                    1株当たり
                                            1株当たり
                   四半期純利益
                                           四半期純利益
                                 円   銭                  円   銭
 2020年12月期第1四半期      △35.84       -
 2019年12月期第1四半期      △29.92       -
 
(注1)当社は、2019年7月1日付で普通株式4株につき1株の割合で株式併合を行っております。前事業年度の期首
       に当該株式併合が行われたと仮定して、「1株当たり当期純利益」を算定しております。
(注2)潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載し
 
       ておりません。
(2)財政状態
                     総資産                         純資産               自己資本比率
                                 百万円                    百万円                        %
2020年12月期第1四半期         5,142                            4,472                     75.5
2019年12月期              5,273                            4,400                     71.7
 (参考) 自己資本 2020年12月期第1四半期                    3,880百万円           2019年12月期          3,779百万円
 
 
 

2.配当の状況
                                                  年間配当金

                 第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                              期末              合計
                        円   銭            円   銭          円   銭           円   銭          円   銭
  2019年12月期        -     0.00                               -           0.00            0.00
  2020年12月期        -
  2020年12月期(予想)          0.00                               -           0.00            0.00
(注) 直近に公表されている配当予想からの修正の有無 : 無
 
 

3.2020年12月期の業績予想(2020年1月1日~2020年12月31日)

                                                                               (%表示は、対前期増減率)
                                                                                     1株当たり
                   売上高                   営業利益            経常利益               当期純利益
                                                                                     当期純利益
                  百万円           %    百万円           %    百万円         %       百万円        %                円 銭
      通期      3,404 20.0 △5,090 - △5,134                           - △4,803            -             △158.98
(注)直近に公表されている業績予想からの修正の有無 : 無
 
※       注記事項
(1)四半期財務諸表の作成に特有の会計処理の適用                     :無
 


 

(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
     ①    会計基準等の改正に伴う会計方針の変更                 :無
     ②    ①以外の会計方針の変更                        :無
     ③    会計上の見積りの変更                         :無
     ④    修正再表示                              :無
 

 

(3)発行済株式数(普通株式)
    ①     期末発行済株式数(自己株式を含む)    2020年12月期1Q   28,465,381株    2019年12月期     26,437,681株

    ②     期末自己株式数              2020年12月期1Q        21,593株   2019年12月期        22,593株

    ③     期中平均株式数(四半期累計)       2020年12月期1Q   27,683,335株    2019年12月期1Q   20,619,157株
 
(注)当社は、2019年7月1日付で普通株式4株につき1株の割合で株式併合を行っております。前事業年度の期首に
   当該株式併合が行われたと仮定して、「期末発行済株式数」、「期末自己株式数」及び「期中平均株式数」を算
   定しております。
 

    ※    四半期決算短信は公認会計士又は監査法人の四半期レビューの対象外です
    ※    業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
        本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判
        断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。業績予想の
        前提となる条件及び業績予想のご利用にあたっての注意事項等については、添付資料5ページ「1.当四半期決算
        に関する定性的情報(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明」をご覧ください。
     
                     シンバイオ製薬株式会社(4582) 2020年12月期 第1四半期決算短信




○添付資料の目次



    1.当四半期決算に関する定性的情報 ……………………………………………………………………… 2

     (1)経営成績に関する説明 ……………………………………………………………………………… 2

     (2)財政状態に関する説明 ……………………………………………………………………………… 5

     (3)業績予想などの将来予測情報に関する説明 ……………………………………………………… 5

    2.四半期財務諸表及び主な注記 …………………………………………………………………………… 6

     (1)四半期貸借対照表 …………………………………………………………………………………… 6

     (2)四半期損益計算書 …………………………………………………………………………………… 8

        第1四半期累計期間 ………………………………………………………………………………… 8

     (3)四半期財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………… 9

       (継続企業の前提に関する注記) …………………………………………………………………… 9

       (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) …………………………………………… 9

       (重要な後発事象) …………………………………………………………………………………… 10
 




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                            シンバイオ製薬株式会社(4582) 2020年12月期 第1四半期決算短信


1.当四半期決算に関する定性的情報
(1)経営成績に関する説明
   当第1四半期累計期間における当社事業の進捗状況は以下のとおりです。


 ① 国内事業
  [自社販売体制の構築について]
    当社は、販売委託先であるエーザイ株式会社(以下「エーザイ」という)との事業提携契約が2020年12月に
   満了となることから、2021年1月よりトレアキシン®の国内販売について自社による販売体制へ移行すること
   で、2021年度の収益化とその後の収益の持続的拡大を達成し、今後の事業展開を盤石なものとします。
    当第1四半期においては、自社販売体制における全国営業組織の中核と位置づけているトレアキシンマネー
   ジャー及びリージョナルセールスマネージャーの追加採用と研修を引き続き着実に実行し、2020年度上半期中
   の全国営業組織の構築完了に向けた総仕上げの段階へと大きく前進しました。また、前期より引き続き、東西
   物流センターを軸とする流通及び物流機能の整備に加えてERP等情報システムを含めた社内インフラの整備につ
   いても着々と準備が進んでおり、当社が目指すより高度の専門性と豊富な経験に裏付けられた高い生産性をも
   つハイパフォーマンスの営業組織の構築は順調に進捗しております。

  [製品の不良品問題について]
    当社は現在、トレアキシン®の凍結乾燥注射剤をアステラス製薬株式会社の連結子会社であるアステラスドイ
   ッチランド社(以下「アステラスドイツ」という)から輸入しております。国内販売向けに2019年度に輸入し
   た一部のバッチに異物の混入及び外観不良の問題が起こり、その割合が両社間で締結した供給契約で定めた基
   準を著しく超えていたことを受けて、今後同様の品質問題を繰り返さないようアステラスドイツに対して厳重
   に抗議するとともに、供給元としての責務を果たすようCAPA(是正措置、予防措置)の設置を含めて強く
   要請してまいりました。しかしながら当第1四半期においても、アステラスドイツからの輸入した複数のバッ
   チにおいて高い不良品率と不安定な納期は継続しており改善が見られません。そのために供給問題は継続して
   いるため、当第1四半期のトレアキシン®の在庫レベルは前年同期と比べて依然として低い状態であり、その結
   果、当第1四半期の売上高は前年同期を下回りました。第2四半期累計期間においても高い不良品率と不安定
   な納期が継続し、トレアキシン®の販売委託先であるエーザイへの出荷売上高が前年同期を下回ることが見込ま
   れますが、トレアキシン®の在庫レベルを可及的速やかに回復すべく、不良品率の低下と供給の安定化に向けた
   協議と要求事項に対する進捗管理を継続いたします。

  [抗がん剤 SyB L-0501(凍結乾燥注射剤) / SyB L-1701(RTD製剤) / SyB L-1702(RI製剤)(一般名:ベンダ
 ムスチン塩酸塩、製品名:トレアキシン®)]
    未治療(初回治療)の低悪性度非ホジキンリンパ腫(低悪性度NHL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)
   (2016年12月に製造販売承認を取得)、再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫(注1)(低悪性度NHL)及びマ
   ントル細胞リンパ腫(MCL)(2010年10月に製造販売承認を取得)、慢性リンパ性白血病(CLL)(2016年8月
   に製造販売承認を取得)を適応症として悪性リンパ腫領域においては幅広く使われております。2018年7月に
   日本血液学会が発行した造血器腫瘍診療ガイドラインにトレアキシン®とリツキシマブの併用療法(BR療法)が
   新たに収載され、既承認のすべての適応症において、標準的治療の選択肢として推奨されることになりまし
   た。これにより名実ともに悪性リンパ腫における標準療法としてトレアキシン®が位置づけられました。
    また、低悪性度NHLの代表的な組織型であるCD20陽性の濾胞性リンパ腫(FL)に対して、リツキシマブのみな
   らず新規の抗CD20抗体製剤との併用に係わる一部変更の承認取得(2018年7月)により、オビヌツズマブ (注2)
   (2018年8月販売開始)との併用療法が治療選択肢として提供されていることに加え、腫瘍特異性T細胞輸注療
   法(注3)の前処置に関する一部変更の承認取得(2019年3月)により、国内初のキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)
   療法(注4)「キムリア®点滴静注」(注5) (2019年5月薬価収載)の前処置としてトレアキシン®の使用が可能となって
   おります。再生医療等製品の前処置としての使用方法の広がりによって悪性リンパ腫における標準療法として
   のトレアキシン®の位置づけはより強固なものとなりました。
    既に承認を取得した適応症に続く4つ目の適応症である再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫
   (r/r DLBCL)のBR療法による第Ⅲ相臨床試験については、2019年11月に試験成績の主要評価項目である奏効率
   において期待奏効率を上回る良好な結果が得られたことを発表し、2020年5月に製造販売承認事項に係わる一
   部変更承認申請を行いました。本適応症の追加については、優れた標準療法がないことから医療現場の切実な
   ニーズがあり、患者団体並びに関係学会からも審査当局に対してBR療法を使えるようにして欲しいという強い
   要望書が出ておりました。承認後、速やかに多くの患者さんの治療選択肢として浸透することを期待しており
   ます。
    2017年9月にイーグル・ファーマシューティカルズ社(本社:米国ニュージャージー州)との間でトレアキ
   シン®液剤(RTD製剤及びRI製剤(注6))に関して日本における独占的ライセンス契約を締結しております。RTD製剤


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                          シンバイオ製薬株式会社(4582) 2020年12月期 第1四半期決算短信


 については医薬品医療機器総合機構との相談を経て、既に2019年9月に承認申請を完了し、2021年第1四半期
 に発売を予定しております。RI製剤につきましては2018年11月に安全性の確認を主目的とした治験を開始し、
 2020年3月に症例の登録が完了しました。当治験終了後に早期に承認申請を行った上で2022年下半期の承認を
 予定しています。本製剤は、投与時間が、従来の凍結乾燥注射剤及びRTD製剤の60分に対して投与時間が10分間
 と大幅に短縮されるため患者さんと医療従事者の負担を大幅に低減することが可能となることから大きな付加
 価値を提供することができます。更には、液剤の製剤ライセンスによる複数の特許保護を通じてトレアキシン®
 の製品寿命を2031年まで延長し、当社事業の成長基盤をより強固なものとすることが可能となります。

(注1) 非ホジキンリンパ腫とは、白血球の中のリンパ球ががん化した悪性腫瘍である悪性リンパ腫のうち、ホジ
    キンリンパ腫以外の総称です。日本人の悪性リンパ腫では、大半を非ホジキンリンパ腫が占めています。

(注2) オビヌツズマブ(ガザイバ®:販売元 中外製薬株式会社):非ホジキンリンパ腫の治療薬として国内外の
    治療ガイドラインで推奨されているリツキシマブと同様、幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタン
    パク質であるCD20に結合する、糖鎖改変型タイプⅡ抗CD20モノクローナル抗体で、標的となるB細胞を直接、
    および体内の免疫系とともに攻撃し、破壊するようデザインされています。

(注3) 腫瘍特異性T細胞輸注療法とは、がん患者さん自身の腫瘍特異的T細胞(がん細胞を特異的に認識するT細
    胞)に、体外で人工的にがん特異性を付与し、細胞を増幅した後に患者さんに投与する療法です。

(注4) キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法は、腫瘍特異性T細胞輸注療法の中でも、腫瘍細胞上の膜抗原を認
    識する抗体の抗原結合部位とT細胞受容体の細胞内ドメインを組み合わせたキメラ抗原受容体(chimeric
    antigen receptor; CAR)をコードする遺伝子をT細胞に導入して増幅・輸注する療法です。CARの標的として
    B細胞上に発現するCD19を用いた臨床試験では、B細胞性腫瘍患者にCD19指向性CAR導入T細胞が投与され、著
    明な臨床効果が得られています。

(注5) キムリア®点滴静注(一般名 チサゲンレクルユーセル:販売元 ノバルティスファーマ株式会社):国内
    で初めて承認されたキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法で、再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リ
    ンパ芽球性白血病(B-ALL)および再発又は難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
    を適応症として2019年3月に製造販売承認を取得し、2019年5月に薬価収載されました。

(注6) RTD製剤及びRI製剤は、従来の凍結乾燥注射剤(FD)とは異なり既に液化された製剤です。RTD製剤(Ready
    To Dilute)は調剤作業を大幅に低減し、さらに急速静注であるRI製剤(Rapid Infusion)により点滴時間
    を従来の60分間から10分間に短縮することにより、FD製剤に比べ患者さんの負担を大幅に軽減し、さらには
    医療従事者に大きな付加価値を提供することが可能になります。

 [抗がん剤 SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:Rigosertib Sodium<リゴセルチブナトリ
ウム>)]
   リゴセルチブ注射剤については、導入元であるオンコノバ・セラピューティクス社(本社:米国ペンシルベ
 ニア州、以下「オンコノバ社」という)が実施している国際共同第Ⅲ相臨床試験の日本における臨床開発を当
 社が担当しており、国内では2015年12月に試験が開始され、2020年4月末時点で50症例が登録されています。
 本試験は、現在の標準治療である低メチル化剤による治療において効果が得られない、治療後に再発した、ま
 たは低メチル化剤に不耐容性を示した高リスク骨髄異形成症候群(高リスクMDS)を対象とし、全世界から20ヶ
 国以上が参加して実施しており、2020年3月に全世界における目標360症例の登録が完了したことをオンコノバ
 社は発表しました。同発表によれば2020年下半期に主要評価項目の結果が明らかになり、その後、年内に学会
 で試験結果を発表する予定となっております。この試験の成績を基に、欧米と同時期に日本での承認申請を行
 うことを計画しています。
   リゴセルチブ経口剤については、オンコノバ社が米国において初回治療の高リスクMDSを目標効能とする第
 Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(アザシチジン(注7)併用)を完了し、リゴセルチブ経口剤とアザシチジンを併用した際の有効
 性および安全性が示唆されています。当社はリゴセルチブ経口剤の日本人での忍容性及び安全性を確認するた
 めに2017年6月に国内第Ⅰ相臨床試験を開始し、2019年6月に症例登録を完了しました。同試験終了後、オン
 コノバ社が検討している初回治療の高リスクMDSを対象としたアザシチジンとの併用による国際共同試験に参加
 する予定です。本国際共同試験については2019年12月の第61回米国血液学会議(ASH: The American Society
 of Hematology)で発表されたデータを基に未治療高リスクMDSを対象とした第Ⅱ/Ⅲ相アダプティブ臨床試験
 (Phase 2/3 adaptive trial)のデザインを検討中であることをオンコノバ社は2019年12月に発表しておりま
 す。




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                          シンバイオ製薬株式会社(4582) 2020年12月期 第1四半期決算短信


(注7) アザシチジン(ビダーザ®:販売元 日本新薬株式会社):2011年にMDSに対する第Ⅲ相臨床試験において、
    初めて生存期間の延長が認められたことから承認された低メチル化剤(注射用)で、現在、造血幹細胞移植
    が難しいMDS患者に対する第一選択薬として使用されています。MDSは一種の前白血病であり、その病態には
    DNAの過剰なメチル化による癌抑制遺伝子の発現の低下が大きく関係していると考えられています。アザシ
    チジンなどの低メチル化剤はDNAのメチル化を阻害する作用により癌抑制遺伝子の発現を回復させ白血病へ
    の進行を抑えると考えられています。

 [抗ウイルス薬   SyB V-1901(一般名:Brincidofovir<ブリンシドフォビル>)]
   当社は2019年9月30日にキメリックス・インク社(本社:米国ノースカロライナ州、以下「キメリックス
 社」という)との間で抗ウイルス薬ブリンシドフォビルの注射剤及び経口剤(SyB V-1901、以下各々「BCV
 IV」及び「BCV Oral」という)(注8)に関しての独占的グローバルライセンス契約を締結しました。当社は天然痘
 疾患を除くすべての疾患を対象としたBCVの世界全域における開発・販売に加えて製造を含む独占的権利をキメ
 リックス社から取得したことにより、高品質の医薬品供給のための一貫体制を備えたグローバルスペシャリテ
 ィファーマへの転換を進めてまいります。
   本剤は既にキメリックス社による欧米における臨床試験においてBCV Oralが高活性の抗ウイルス効果を示し、
 また広域のスペクトラムを有することが確認されており、これらの知見を基にグローバルの臨床開発を進めて
 まいります。
   開発については、国内ではBCV IVにより「空白の治療領域」となっている医療ニーズの高い造血幹細胞移植
 後のウイルス性出血性膀胱炎(vHC)(注9)を最初の疾患ターゲットとし、本剤を必要とする患者さんに一日も早く
 提供できるよう、世界に先駆けてまず国内で臨床開発を進め承認を取得する計画です。また同時に、BCV IVに
 よる欧米を含めた国際共同臨床試験を実施しグローバル展開を図ってまいります。 BCV IVは造血幹細胞移植の
 みならず臓器移植含め移植領域全般にわたり広く使われることが考えられ、腎臓移植後のウイルス感染症に対
 する臨床開発も計画しております。日本市場に比べ臓器移植の市場規模が大きい欧米市場及び中国市場を含め
 たアジア地域での事業展開を睨み、対象疾患の地域特性を生かしたパートナーシップも視野に入れておりま
 す。 BCV IV及びBCV Oralの2製剤の今後のグローバル開発については、現在、海外の各専門領域の有力な研究
 者の方々と検討しております。

(注8) ブリンシドフォビル(BCV)は、シドフォビル(CDV、欧米では既承認・販売の抗ウイルス薬、本邦は未承
    認)に脂肪鎖(ヘキサデシルオキシプロピル:HDP)が結合した構造となっており、速やかに脂質二重膜へ
    取り込まれ効率よく細胞内へ移行した後、細胞内ホスフォリパーゼによる代謝によって脂肪鎖が切り離さ
    れ、生成された活性化体(CDV-PP:CDV diphosphate)が細胞内で長時間保持される結果、抗ウイルス活性が
    飛躍的に向上した化合物です。また、HDP結合により、OAT-1トランスポーターによる腎尿細管上皮細胞への
    蓄積が生じないことに加え、CDVが血中に遊離するレベルは低いため、CDVの根本的問題であった腎毒性を回
    避できます。

(注9) ウイルス性出血性膀胱炎(vHC):造血幹細胞移植後に頻発するウイルス感染症の中でも、BKウイルスおよ
    びアデノウイルスによる出血性膀胱炎は、頻尿、腹痛、排尿痛などが患者を苛み、国内での比率が高い非血
    縁者ドナーおよび臍帯血移植において発症しやすく、免疫システムの再構築に要する時間的問題もあいまっ
    て治療に難渋するケースが少なくありません。重症化すると播種性の感染症を来して致死性となる例や腎不
    全をもたらして致死となる例も報告されています。シドフォビル(CDV)など現在治療に用いられている薬
    剤は未承認あるいは適応外です。

[自己疼痛管理用医薬品 SyB P-1501]
  当社が2015年10月にザ・メディシンズ・カンパニー社(本社:米国ニュージャージー州、以下「MDCO」とい
 う)から導入したSyB P-1501(米国での商品名IONSYS)については、2017年10月11日に、MDCOによるライセン
 ス契約の不履行に起因して生じた損害の賠償として82百万米ドル(約90億円)の支払いを求める仲裁を国際商
 業会議所の規定に基づき申し立て、同社が欧米市場で本製品の事業活動の中止・撤退を決定したことに伴い、
 ライセンス契約に基づく義務の履行について十分な保証を当社に対して提供できなかったことはライセンス契
 約の重大な違反である旨仲裁で主張しています。また、2017年11月30日に同社によるライセンス契約の違反が
 約定期間内に治癒されなかったことを受けて、ライセンス契約を解除し、本製品の開発は2018年2月9日に中
 止しました。MDCOとの仲裁手続は現在も継続中です。なお、2020年1月6日にノバルティスAG社(本社:スイ
 ス)がMDCOの買収を完了したことを発表しております。仲裁判断は2020年上半期を予定しております。

② 海外事業
  SyB L-0501については、韓国、台湾、シンガポールにおいても販売されており、当社の製品売上は計画通り
 に推移しました。




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 ③ 新規開発候補品の導入
    当社は2019年9月に導入した抗ウイルス薬ブリンシドフォビルの開発計画の策定と推進に当面は注力するも
   のの、従来からの取り組みである常時複数のライセンス案件の検討と新薬開発候補品のライセンス権利取得に
   向けた探索評価の継続的な実施を通じて、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業として長期的な事業価
   値の創造を目指してまいります。

 ④ 経営成績
    以上の結果、当第1四半期累計期間の売上高は、トレアキシン®の製品販売等により、551,369千円となり、
   売上高全体で前年同期比65.8%減少となりました。
    一方、販売費及び一般管理費は、トレアキシン®の注射剤及びリゴセルチブの注射剤、経口剤の臨床試験費用
   が発生したこと等により、研究開発費として438,113千円(前年同期比7.1%減)を、自社販売体制の構築のた
   めの事前投資を含め、その他の販売費及び一般管理費として651,497千円(前年同期比11.1%減)を計上したこ
   とから、合計で1,089,611千円(前年同期比9.6%減)となりました。
    これらの結果、当第1四半期累計期間の営業損失は961,910千円(前年同期は営業損失595,948千円)となり
   ました。また、為替差損15,983千円、株式交付費12,786千円を主とする営業外費用29,517千円を計上したこと
   等により、経常損失は991,220千円(前年同期は経常損失616,009千円)、四半期純損失は992,170千円(前年同
   期は四半期純損失616,959千円)となりました。
    なお、当社の事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、
   セグメント別の記載を省略しています。

(2)財政状態に関する説明
    当第1四半期会計期間末における総資産は、商品及び製品が146,099千円、前払費用が37,696千円、ソフトウ
   エア仮勘定が28,569千円、敷金及び保証金が11,157千円増加した一方、売掛金が247,732千円、未収消費税等が
   178,975千円、現金及び預金が34,705千円減少したこと等により、前事業年度末に比べ131,160千円減少し、
   5,142,794千円となりました。
    負債の部については、買掛金が98,281千円、未払金が61,961千円、未払法人税等が46,441千円減少したこと
   等により、前事業年度末に比べ203,874千円減少し、669,964千円となりました。
    純資産の部については、四半期純損失の計上により利益剰余金が992,170千円、新株予約権が28,909千円減少
   した一方、資本剰余金が547,490千円、資本金が545,326千円増加したこと等により、前事業年度末に比べ
   72,713千円増加し、4,472,829千円となりました。
    この結果、自己資本比率は75.5%と前事業年度末に比べ3.8ポイント増加しました。


(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明
    2020年12月期の業績予想については、現時点で変更はありません。




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2.四半期財務諸表及び主な注記
(1)四半期貸借対照表
                                                       (単位:千円)
                              前事業年度             当第1四半期会計期間
                           (2019年12月31日)         (2020年3月31日)
資産の部
 流動資産
   現金及び預金                           3,910,830            3,876,124
   売掛金                                549,275              301,543
   商品及び製品                                  -               146,099
   前払費用                                94,002              131,698
   立替金                                 41,791               40,404
   未収消費税等                             275,324               96,349
   その他                                 16,267              123,258
   流動資産合計                           4,887,491            4,715,477
 固定資産
   有形固定資産
     建物(純額)                            34,734               33,887
     工具、器具及び備品(純額)                     19,242               19,904
     建設仮勘定                             21,513               21,513
     有形固定資産合計                          75,491               75,305
   無形固定資産
     ソフトウエア                            94,974               96,285
     ソフトウエア仮勘定                        145,551              174,120
     無形固定資産合計                         240,525              270,406
   投資その他の資産
     子会社株式                                  0                    0
     敷金及び保証金                           70,446               81,603
     投資その他の資産合計                        70,446               81,604
   固定資産合計                             386,463              427,316
 資産合計                               5,273,955            5,142,794
負債の部
 流動負債
   買掛金                                120,913               22,631
   未払金                                639,482              577,521
   未払法人税等                              87,756               41,315
   その他                                 24,066               26,742
   流動負債合計                             872,219              668,212
 固定負債
   退職給付引当金                              1,619                1,752
   固定負債合計                               1,619                1,752
 負債合計                                 873,838              669,964




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                                              (単位:千円)
                     前事業年度             当第1四半期会計期間
                  (2019年12月31日)         (2020年3月31日)
純資産の部
 株主資本
   資本金                    14,870,639           15,415,965
   資本剰余金                  14,843,137           15,390,628
   利益剰余金                 △25,919,496          △26,911,667
   自己株式                     △15,077              △14,099
   株主資本合計                  3,779,202            3,880,826
 新株予約権                       620,913              592,003
 純資産合計                     4,400,116            4,472,829
負債純資産合計                    5,273,955            5,142,794




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(2)四半期損益計算書
 (第1四半期累計期間)
                                                   (単位:千円)
                    前第1四半期累計期間            当第1四半期累計期間
                     (自 2019年1月1日          (自 2020年1月1日
                     至 2019年3月31日)         至 2020年3月31日)
売上高                           1,611,458                551,369
売上原価                          1,002,568                423,669
売上総利益                           608,890                127,700
販売費及び一般管理費                    1,204,838              1,089,611
営業損失(△)                       △595,948               △961,910
営業外収益
 受取利息                                67                     87
 還付加算金                               76                    120
 営業外収益合計                            144                    207
営業外費用
 支払手数料                            2,640                     -
 株式交付費                              757                 12,786
 為替差損                            16,807                 15,983
 その他                                 -                     747
 営業外費用合計                         20,205                 29,517
経常損失(△)                        △616,009               △991,220
税引前四半期純損失(△)                   △616,009               △991,220
法人税、住民税及び事業税                        950                    950
法人税等合計                              950                    950
四半期純損失(△)                      △616,959               △992,170




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(3)四半期財務諸表に関する注記事項
 (継続企業の前提に関する注記)
 該当事項はありません。


 (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)
 当社は、当第1四半期累計期間において、第33回、第36回、第37回、第38回、第47回及び第50回新株予約権の一部
について、権利行使による新株の発行を行ったことにより、資本金が545,326千円増加、資本準備金が545,326千円増
加し、自己株式の取得により自己株式が2,490千円増加しております。
 また、第33回、第36回及び第38回新株予約権の一部について、権利行使による自己株式の処分を行ったことにより、
自己株式が3,259千円減少、その他資本剰余金が2,176千円増加しております。
 さらに、単元未満株主の売渡請求による自己株式の処分を行ったことにより、自己株式が452千円減少、その他資本
剰余金が12千円減少しております。
 この結果、当第1四半期会計期間末において資本金が15,415,965千円、資本剰余金が15,390,628千円、自己株式が
14,099千円となっております。




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  (重要な後発事象)
1.第52回新株予約権(ストックオプション)の発行について
  当社は、2020年3月26日開催の取締役会決議に基づき、当社の取締役4名に対して下記の通りストックオプションと
 しての新株予約権を発行し、2020年4月24日に割り当てられました。

  新株予約権の数               4,600個
  新株予約権の目的となる株式の種類及び数 普通株式        115,000株

  新株予約権の発行価額及び発行価額の総額 発行価額
                      発行価額の総額
                                            8,100円
                                       37,260,000円
                        1株当たりの払込金額 324円
  新株予約権の払込金額            なお、新株予約権の割当てを受ける者は、金銭による払込みに代え
                        て、当社に対して有する報酬債権と新株予約権の払込債務とを相殺
                        するものとする。
  新株予約権の行使価額            1株当たりの行使価額           1円

  新株予約権の行使期間            2023年3月27日から
                        2030年3月26日まで
                        (1)新株予約権の割当を受けた者は、権利行使時において、当社又は
                           当社の関係会社の取締役又は従業員の地位を有していなければな
                           らない。ただし、当社又は当社の関係会社の取締役が任期満了に
                           より退任した場合、当社又は当社の関係会社の従業員が定年によ
  新株予約権の行使条件               り退職した場合、当社又は当社の関係会社の取締役又は従業員が
                           当社又は当社の関係会社を円満に退任又は退職したものと取締役
                           会が認めた場合はこの限りではない。
                        (2)その他の条件については、当社と取締役との間で締結する「新株
                           予約権割当契約書」に定めるところによる。
                      新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本
  新株予約権の行使により株式を発行する場 金の額は、会社計算規則第17条に従い算出される資本金等増加限度
  合の株式の発行価額のうちの資本組入額  額の2分の1の金額とし、計算の結果生じる1円未満の端数は、こ
                      れを切り上げるものとする。
  新株予約権の譲渡に関する事項        取締役会の承認を要する。


2.第53回新株予約権(ストックオプション)の発行について
  当社は、2020年3月26日開催の取締役会決議に基づき、当社の従業員119名に対して下記の通りストックオプション
 としての新株予約権を発行し、2020年4月24日に割り当てられました。

  新株予約権の数               15,000個

  新株予約権の目的となる株式の種類及び数 普通株式        375,000株

  新株予約権の発行価額及び発行価額の総額 発行価額
                      発行価額の総額
                                             8,100円
                                       121,500,000円
                        1株当たりの払込金額  324円
  新株予約権の払込金額            なお、新株予約権の割当てを受ける者は、金銭による払込みに代え
                        て、当社に対して有する報酬債権と新株予約権の払込債務とを相殺
                        するものとする。
  新株予約権の行使価額            1株当たりの行使価額           1円

  新株予約権の行使期間            2023年3月27日から
                        2030年3月26日まで
                        (1)新株予約権の割当を受けた者は、権利行使時において、当社又は
                           当社の関係会社の取締役又は従業員の地位を有していなければな
                           らない。ただし、当社又は当社の関係会社の取締役が任期満了に
                           より退任した場合、当社又は当社の関係会社の従業員が定年によ
  新株予約権の行使条件               り退職した場合、当社又は当社の関係会社の取締役又は従業員が
                           当社又は当社の関係会社を円満に退任又は退職したものと取締役
                           会が認めた場合はこの限りではない。
                        (2)その他の条件については、当社と従業員との間で締結する「新株
                           予約権割当契約書」に定めるところによる。
                      新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本
  新株予約権の行使により株式を発行する場 金の額は、会社計算規則第17条に従い算出される資本金等増加限度
  合の株式の発行価格のうちの資本組入額  額の2分の1の金額とし、計算の結果生じる1円未満の端数は、こ
                      れを切り上げるものとする。
  新株予約権の譲渡に関する事項        取締役会の承認を要する。




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