4582 J-シンバイオ製薬 2019-11-08 15:30:00
2019年12月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結) [pdf]

                 2019年12月期           第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
                                                           2019年11月8日
上 場 会 社 名   シンバイオ製薬株式会社                  上場取引所                      東
コ ー ド 番 号   4582               URL https://www.symbiopharma.com/
代   表   者 (役職名) 代表取締役社長兼CEO     (氏名) 吉田 文紀
問合せ先責任者 (役職名) 取締役経営管理本部長兼CFO (氏名) 村田 賢治 (TEL) 03-5472-1125
四半期報告書提出予定日      2019年11月11日 配当支払開始予定日           -
四半期決算補足説明資料作成の有無        :無
四半期決算説明会開催の有無           :無
 
                                                                                              (百万円未満切捨て)
1.2019年12月期第3四半期の業績(2019年1月1日~2019年9月30日)
(1)経営成績(累計)                            (%表示は、対前年同四半期増減率)
                            売上高                      営業利益                   経常利益                      四半期純利益
                            百万円          %           百万円           %        百万円           %             百万円      %
    2019年12月期第3四半期         2,008    △33.8        △3,536  -              △3,641            -           △3,640     -
    2018年12月期第3四半期         3,032     25.5        △1,907  -              △1,937            -           △1,940     -
 
                                                 潜在株式調整後
                            1株当たり
                                                   1株当たり
                           四半期純利益
                                                  四半期純利益
                                     円   銭                     円    銭
  2019年12月期第3四半期       △161.33      -
  2018年12月期第3四半期       △125.23      -
 
  (注1)当社は、2019年7月1日付で普通株式4株につき1株の割合で株式併合を行っております。前事業年度の期
          首に当該株式併合が行われたと仮定して、「1株当たり四半期純利益」を算定しております。
  (注2)潜在株式調整後1株当たり四半期純利益は、潜在株式は存在するものの1株当たり四半期純損失であるため
           記載しておりません。
(2)財政状態
                            総資産                          純資産            自己資本比率
                                     百万円                        百万円                       %
 2019年12月期第3四半期            5,665                               3,869                   57.7
 2018年12月期                 6,239                               4,901                   70.1
(参考) 自己資本     2019年12月期第3四半期     3,269百万円                         2018年12月期           4,371百万円
 
 
 

2.配当の状況
                                                     年間配当金

                     第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                               期末            合計
                            円   銭            円   銭         円    銭           円   銭             円   銭
  2018年12月期        -     0.00                                   -            0.00             0.00
  2019年12月期        -     0.00                                   -
  2019年12月期(予想)                                                              0.00             0.00
(注) 直近に公表されている配当予想からの修正の有無 : 無
 
 
 

3.2019年12月期の業績予想(2019年1月1日~2019年12月31日)

                                                                                  (%表示は、対前期増減率)
                                                                                        1株当たり
                     売上高             営業利益                  経常利益                 当期純利益
                                                                                        当期純利益
                     百万円    %         百万円            %         百万円      %           百万円           %            円 銭
     通期       3,092 △19.4 △3,780 - △3,856 - △3,859 - △167.67
(注) 直近に公表されている業績予想からの修正の有無 : 無
 
   当社は、2019年7月1日付で普通株式4株につき1株の割合で株式併合を行っております。2019年12月期の業績予
  想における1株当たり当期純利益については、当該株式併合の影響を考慮しております。詳細については、「業績予
  想の適切な利用に関する説明、その他特記事項」をご覧ください。
※       注記事項
(1)四半期財務諸表の作成に特有の会計処理の適用                  :無
 

 

(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
  ① 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更                    :無
     ②   ①以外の会計方針の変更                      :無
     ③   会計上の見積りの変更                       :無
     ④   修正再表示                            :無
 

 

(3)発行済株式数(普通株式)
  ① 期末発行済株式数(自己株式を含む)       2019年12月期3Q   24,362,681株   2018年12月期     20,599,731株

     ②   期末自己株式数            2019年12月期3Q      11,143株    2018年12月期            18株

     ③   期中平均株式数(四半期累計)     2019年12月期3Q   22,565,488株   2018年12月期3Q   15,498,539株
 
    (注)当社は、2019年7月1日付で普通株式4株につき1株の割合で株式併合を行っております。前事業年度の期首
       に当該株式併合が行われたと仮定して、「期末発行済株式数」、「期末自己株式数」及び「期中平均株式数」
       を算定しております。
 

    ※    四半期決算短信は公認会計士又は監査法人の四半期レビューの対象外です
    ※    業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
     1.本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的である
       と判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。業
       績予想の前提となる条件及び業績予想のご利用にあたっての注意事項等については、添付資料6ページ「1.
       当四半期決算に関する定性的情報(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明」をご覧ください。
     2.当社は、2019年3月28日開催の第14期定時株主総会において、株式併合について承認可決され、2019年7月1
       日を効力発生日として、普通株式4株につき1株の割合をもって株式併合を行っております。なお、株式併合
       考慮前に換算した2019年12月期の業績予想は以下のとおりとなります。
        2019年12月期の業績予想 1株当たり当期純利益(通期) △41円91銭
                     シンバイオ製薬株式会社(4582) 2019年12月期 第3四半期決算短信




○添付資料の目次



    1.当四半期決算に関する定性的情報 ……………………………………………………………………… 2

     (1)経営成績に関する説明 ……………………………………………………………………………… 2

     (2)財政状態に関する説明 ……………………………………………………………………………… 6

     (3)業績予想などの将来予測情報に関する説明 ……………………………………………………… 6

    2.四半期財務諸表及び主な注記 …………………………………………………………………………… 7

     (1)四半期貸借対照表 …………………………………………………………………………………… 7

     (2)四半期損益計算書 …………………………………………………………………………………… 9

        第3四半期累計期間 ………………………………………………………………………………… 9

     (3)四半期財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………… 10

       (継続企業の前提に関する注記) …………………………………………………………………… 10

       (四半期損益計算書関係) …………………………………………………………………………… 10

       (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) …………………………………………… 10

       (重要な後発事象) …………………………………………………………………………………… 10
 




                        ― 1 ―
                           シンバイオ製薬株式会社(4582) 2019年12月期 第3四半期決算短信


1.当四半期決算に関する定性的情報
(1)経営成績に関する説明
   当第3四半期累計期間における当社事業の進捗状況は以下のとおりです。


   ① 新規開発候補品の導入
    当社は2019年9月30日にキメリックス・インク社(本社:米国ノースカロライナ州、以下「キメリックス
   社」という)との間で抗ウイルス薬ブリンシドフォビル(SyB V-1901、以下「BCV」という)(注1)に関しての独占
   的グローバルライセンス契約を締結しました。当社は天然痘疾患を除くすべての疾患を対象としたBCVの世界全
   域における開発・販売に加えて製造を含む独占的権利をキメリックス社から取得したことにより、高品質の医
   薬品供給のための一貫体制を備えたグローバル市場を対象として事業展開をするスペシャリティファーマへの
   転換を進めてまいります。
    開発については最初の疾患ターゲットとして、「空白の治療領域」となっている医療ニーズの高い造血幹細
   胞移植後及び腎臓移植後のウイルス性出血性膀胱炎(vHC)(注2)とHHV-6脳炎(注3)について本剤を必要とする患者さ
   んに一日も早く提供できるよう国内での迅速な製品化を図ると同時に、臓器移植の市場規模が大きい欧米市場
   及び中国市場を含めたアジア地域での事業展開を睨み、対象疾患の地域特性を生かしたパートナーシップも視
   野に入れて検討中です。2016年5月に設立した100%出資の米国子会社 SymBio Pharma USA, Inc.(本社:米国
   カリフォルニア州メンローパーク)の戦略的活用も含めて事業価値最大化の可能性を追求してまいります。
   (詳細は、2019年10月1日付「高活性の新規抗ウイルス薬「ブリンシドフォビル」に関するグローバルライセ
   ンス契約締結のお知らせ~シンバイオは抗マルチウイルス薬として開発しグローバル事業展開へ~」をご覧下
   さい。)
    当社は常時複数のライセンス案件を検討しており、新薬開発候補品のライセンス権利取得に向けた探索評価
   の継続的な実施を通じてパイプラインの拡充を行うことにより、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業
   として長期的な事業価値の創造を目指しております。


  (注1) ブリンシドフォビル(BCV)は、シドフォビル(CDV、欧米では既承認・販売の抗ウイルス薬、本邦は未承
      認)に脂肪鎖(ヘキサデシルオキシプロピル:HDP)が結合した構造となっており、速やかに脂質二重膜へ
      取り込まれ効率よく細胞内へ移行した後、細胞内ホスフォリパーゼによる代謝によって脂肪鎖が切り離さ
      れ、生成された活性化体(CDV-PP:CDV diphosphate)が細胞内で長時間保持される結果、抗ウイルス活性が
      飛躍的に向上した化合物です。また、HDP結合により、OAT-1トランスポーターによる腎尿細管上皮細胞への
      蓄積が生じないことに加え、CDVが血中に遊離するレベルは低いため、CDVの根本的問題であった腎毒性を回
      避できます。


  (注2) ウイルス性出血性膀胱炎(vHC):造血幹細胞移植後に頻発するウイルス感染症の中でも、出血性膀胱炎を
      きたすアデノウイルス感染症は、一般に難治性であり、頻尿、腹痛、排尿痛など患者を苛む症状も激しく、
      重症化すると播種性の感染症を来して致死性となります。また、アデノウイルスが腎臓に移行して腎不全を
      もたらし致死となる例も報告されています。特に国内での比率が高い非血縁者ドナーおよび臍帯血移植にお
      いて発症しやすく、免疫システムの再構築に要する時間的問題もあいまって、きわめて難治性となることが
      多く、シドフォビル(CDV)など現在治療に用いられている薬剤は未承認あるいは適応外です。


  (注3) HHV-6脳炎:HHV-6(Human herpesvirus 6)は6番目に発見されたヒトヘルペスウイルス。同種造血幹細胞移
      植においてHHV-6の再活性化が30-70%の患者に生じ、HHV-6脳炎の原因となります。ほとんどのHHV-6脳炎は
      2-6週目に発症し、最も頻度が高いのは移植後3週目です。記憶障害、意識障害、痙攣が三大症状であり、
      典型例では記憶障害から意識障害、痙攣と段階的に症状が進行するが、痙攣の発症頻度は30-70%と報告され
      ています。進行が早い例では神経症状は時間単位で悪化し繰り返す痙攣や呼吸抑制のため人工呼吸器管理を
      必要となる症例も少なくありません。 HHV-6脳炎発症例に対しては早期の治療開始は極めて重要で、短時間
      で急速に患者の状態が悪化することが多いです。2018年2月に日本造血細胞移植学会が編集し発行した造血
      細胞移植ガイドラインでは、第1選択薬はホスカルネット(FOS)またはガンシクロビル(GCV)、第2選択
      薬はシドフォビル(CDV)です。CDVが第2選択薬とされているのは強い腎毒性と薬剤の脳脊髄液(CSF)中
      への移行不良のためとされます。しかしこれらin vitroで効果が確認された薬剤の、HHV-6脳炎発症例に対
      する臨床効果を確認する試験は現在まで実施されておりません。




                               ― 2 ―
                            シンバイオ製薬株式会社(4582) 2019年12月期 第3四半期決算短信


 ② 国内事業
 [自社販売体制の準備について]
      当社は、販売委託先であるエーザイ株式会社との事業提携契約が2020年12月に満了となることから、2018年
 10月にトレアキシン®の国内販売について自社による販売体制構築の準備を開始しました。2021年度の黒字化
 (収益化)とその後の収益の持続的拡大は当社にとっては最重要経営課題であり、自社販売体制への移行によ
 り今後の事業展開を盤石なものとすることを計画しています。
      当第3四半期においても、自社販売体制における営業組織の中核と位置づけているトレアキシンマネージャ
 ーの必要な増員と研修を計画通りに実施しており、7月1日より現地密着型全国営業組織へのシフトを推進す
 べく、各トレアキシンマネージャーが配属された担当地域に根ざした情報提供活動を開始しました。当社が目
 指すのは、より高度の専門性と豊富な経験に基づき高い生産性に裏付けられたハイパフォーマンスの営業組織
 の構築であり、並行して、物流・流通・情報システムといったインフラの整備についても順調に準備を進めて
 おります。


 [抗がん剤 SyB L-0501(凍結乾燥注射剤) / SyB L-1701(RTD製剤) / SyB L-1702(RI製剤) / SyB C-0501
(経口剤)(一般名:ベンダムスチン塩酸塩、製品名:トレアキシン®)]
      トレアキシン®については、未治療(初回治療)の低悪性度非ホジキンリンパ腫(低悪性度NHL)及びマント
 ル細胞リンパ腫(MCL)(2016年12月に製造販売承認を取得)、再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫(注
  (低悪性度NHL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)(2010年10月に製造販売承認を取得)、慢性リンパ性白血
 4)



 病(CLL)(2016年8月に製造販売承認を取得)を適応症として、業務提携先のエーザイを通じ、国内販売を行
 っています。これらの適応症拡大を受けて、既に医療現場においては未治療(初回治療)領域でトレアキシン®
 が従来の標準療法であるR-CHOPに取って代わることで市場浸透が堅調に進んでいる中で、2018年7月に日本血
 液学会が発行した造血器腫瘍診療ガイドラインにトレアキシン®とリツキシマブの併用療法(BR療法)が新たに
 収載され、既承認のすべての適応症において、標準的治療の選択肢として推奨されることになりました。これ
 により名実ともに悪性リンパ腫における標準療法としてトレアキシン®が位置づけられ、当社の調査では市場占
 有率は未治療領域において55%を超える水準まで伸びてきております。
      本剤については、既に承認を取得した上記の3つの適応症に加え、4つ目の適応症である再発・難治性のび
 まん性大細胞型B細胞リンパ腫(r/r DLBCL)の第Ⅲ相臨床試験を実施しております。本適応症の追加について
 は、優れた標準療法がないことから医療現場の切実なニーズがあり患者団体並びに関係学会からも審査当局に
 対してBR療法を使えるようにして欲しいという強い要望書が出ておりました。当社は新たな治療の選択肢を提
 供すべく、2017年8月に第Ⅲ相臨床試験を開始し、2018年1月の最初の患者登録以来着実に症例集積を推し進
 め、2019年4月に症例登録を完了、2019年9月にはすべての被験者の観察期間が完了(LPLV: Last Patient
 Last Visit)し、主要評価項目である奏効率において期待奏効率を上回る良好な結果が得られております。今
 後、2020年第2四半期中に予定している承認申請へ向けて引き続き準備を進めてまいります。
      2017年9月にイーグル・ファーマシューティカルズ社(本社:米国ニュージャージー州)との間で日本にお
 ける独占的ライセンス契約を締結したトレアキシン®液剤(RTD製剤及びRI製剤(注5))に関して、RTD製剤について
 は医薬品医療機器総合機構との相談を経て、2019年9月に承認申請を行い、2021年第1四半期を発売予定時期
 と想定して現在鋭意準備中です。RI製剤は2018年11月に安全性の確認を主目的とした治験を開始し、2019年4
 月の最初の患者登録以来順調に症例集積が進捗しており、2019年10月末時点で26症例の登録が完了しておりま
 す。当治験終了後に早期に承認申請を行った上で2022年上半期の発売を目指しています。本製剤は、投与時間
 が大幅に短縮されることにより、患者さんと医療従事者の負担を大幅に低減することで大きな付加価値を提供
 するとともに、液剤ライセンスによる特許保護を通じてトレアキシン®の製品寿命を2031年まで延長することが
 可能となり、今後さらなる開発戦略を含めて事業価値の最大化を図ってまいります。
      また、2018年7月には製造販売承認事項に係わる一部変更の承認を取得したことにより、低悪性度NHLの代表
 的な組織型であるCD20陽性の濾胞性リンパ腫(FL)に対して、リツキシマブのみならず新規の抗CD20抗体製剤
 との併用が可能となり、新たな治療選択肢として2018年8月に販売開始されたオビヌツズマブ(注6)との併用療法
 が患者さんに提供されております。また、2019年3月に腫瘍特異性T細胞輸注療法(注7)の前処置に関する一部変更
 の承認を取得したことにより、2019年5月に薬価収載された国内初のキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法(注8)
 「キムリア®点滴静注」(注9)の前処置としてトレアキシン®の使用が可能となりました。この再生医療等製品の前
 処置としての使用方法の広がりによって悪性リンパ腫における標準療法としてのトレアキシン®の位置づけがよ
 り強固なものとなりつつあります。



                                 ― 3 ―
                          シンバイオ製薬株式会社(4582) 2019年12月期 第3四半期決算短信


  さらに、経営基盤の強化のためにトレアキシン®を当社事業のより強固な土台とすべく、固形がんや自己免疫
 疾患の領域で更なるトレアキシン®の可能性を探求しています。そのような取り組みの中で、2018年1月に進行
 性固形がんを対象としてトレアキシン®経口剤の推奨投与量・投与スケジュール及び忍容性・安全性の検討を行
 い、がん腫を絞り込むことを目的として、第Ⅰ相臨床試験を開始し、2018年5月の最初の患者登録後、症例集
 積を進めています。また、トレアキシン®の経口投与による免疫系への作用を評価すべく、自己免疫疾患の中で
 も極めてニーズが高い全身性エリテマトーデス(SLE)に対する治療効果の確認を目的として、同じく2018年5
 月に慶應義塾大学との間で共同研究契約を締結し前臨床試験を実施しました。 現在、試験成績をまとめてお
 り、その成績を評価した上で、臨床試験の実施も含め今後の方針を決定する予定です。


(注4) 非ホジキンリンパ腫とは、白血球の中のリンパ球ががん化した悪性腫瘍である悪性リンパ腫のうち、ホジ
    キンリンパ腫以外の総称です。日本人の悪性リンパ腫では、大半を非ホジキンリンパ腫が占めています。

(注5) RTD製剤及びRI製剤は、従来の凍結乾燥注射剤(FD)とは異なり既に液化された製剤です。RTD製剤(Ready
    To Dilute)は調剤作業を大幅に低減し、さらに急速静注であるRI製剤(Rapid Infusion)により点滴時間
    を従来の60分間から10分間に短縮することにより、FD製剤に比べ患者さんの負担を大幅に軽減し、さらには
    医療従事者に大きな付加価値を提供することが可能になります。

(注6) オビヌツズマブ(ガザイバ®:販売元 中外製薬株式会社):非ホジキンリンパ腫の治療薬として国内外の
    治療ガイドラインで推奨されているリツキシマブと同様、幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタン
    パク質であるCD20に結合する、糖鎖改変型タイプII抗CD20モノクローナル抗体で、標的となるB細胞を直接、
    および体内の免疫系とともに攻撃し、破壊するようデザインされています。

(注7) 腫瘍特異性T細胞輸注療法とは、がん患者さん自身の腫瘍特異的T細胞(がん細胞を特異的に認識するT細
    胞)に、体外で人工的にがん特異性を付与し、細胞を増幅した後に患者さんに投与する療法です。

(注8) キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法は、腫瘍特異性T細胞輸注療法の中でも、腫瘍細胞上の膜抗原を認
    識する抗体の抗原結合部位とT細胞受容体の細胞内ドメインを組み合わせたキメラ抗原受容体(chimeric
    antigen receptor; CAR)をコードする遺伝子をT細胞に導入して増幅・輸注する療法です。CARの標的として
    B細胞上に発現するCD19を用いた臨床試験では、B細胞性腫瘍患者にCD19指向性CAR導入T細胞が投与され、著
    明な臨床効果が得られています。


(注9) キムリア®点滴静注(一般名 チサゲンレクルユーセル:販売元 ノバルティスファーマ株式会社):国内
    で初めて承認されたキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法で、再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リ
    ンパ芽球性白血病(B-ALL)および再発又は難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
    を適応症として2019年3月に製造販売承認を取得し、2019年5月に薬価収載されました。


 [抗がん剤 SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:Rigosertib Sodium<リゴセルチブナト
 リウム>)]
  リゴセルチブ注射剤については、導入元であるオンコノバ・セラピューティクス社(本社:米国ペンシルベ
 ニア州、以下「オンコノバ社」という)が実施している国際共同第Ⅲ相臨床試験の日本における臨床開発を当
 社が担当しており、国内では2015年12月に試験が開始され、2019年10月末時点で48症例が登録されています。
 本試験は、現在の標準治療である低メチル化剤による治療において効果が得られない、治療後に再発した、ま
 たは低メチル化剤に不耐容性を示した高リスク骨髄異形成症候群(高リスクMDS)を対象とし、全世界から20ヶ
 国以上が参加して実施中です。オンコノバ社の2019年10月の発表によれば、全世界における目標の360症例に対
 して症例集積が90%に近付きつつあり、トップライン(主要評価項目)の結果を2020年度上半期に報告すると
 しております。この試験の成績を基に、欧米と同時期に日本での承認申請を行うことを計画しています。




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                           シンバイオ製薬株式会社(4582) 2019年12月期 第3四半期決算短信


  リゴセルチブ経口剤については、オンコノバ社が米国において初回治療の高リスクMDSを目標効能とする第
 Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(アザシチジン(注10)併用)を完了し、輸血依存性の低リスク骨髄異形成症候群(低リスクMDS)
 を目標効能とする第Ⅱ相臨床試験を進めています。当社はリゴセルチブ経口剤の日本人での忍容性及び安全性
 を確認するために2017年6月に国内第Ⅰ相臨床試験を開始し、2017年10月の最初の患者登録以来着実に症例集
 積を推し進め、2019年6月に症例登録を完了しました。同試験終了後、アザシチジンとの併用の第Ⅰ相試験を
 速やかに実施し、リゴセルチブ経口剤についても欧米に遅れることなく日本での承認申請を行うべく、現在オ
 ンコノバ社が検討している初回治療の高リスクMDSを対象としたアザシチジンとの併用による国際共同試験に参
 加する予定です。本国際共同試験については2018年12月にオンコノバ社が承認審査の迅速化を目的として申請
 したSPA(特別プロトコル審査)(注11)に関するFDA(米国食品医薬品局)との協議の結果、未治療高リスクMDSを対
 象としたアザシチジン併用による臨床試験においてアザシチジン単剤との比較を目的とした第Ⅱ相臨床試験
 (Phase 2 controlled study)の実施を検討することをオンコノバ社は2019年10月に発表しております。また、
 輸血依存性の低リスク骨髄異形成症候群(低リスクMDS)を目標効能とした開発については、オンコノバ社の開
 発状況を見据えながら日本からの参加を検討してまいります。


(注10) アザシチジン(ビダーザ®:販売元 日本新薬株式会社):2011年にMDSに対する第Ⅲ相臨床試験において、
    初めて生存期間の延長が認められたことから承認された低メチル化剤(注射用)で、現在、造血幹細胞移植
    が難しいMDS患者に対する第一選択薬として使用されています。MDSは一種の前白血病であり、その病態には
    DNAの過剰なメチル化による癌抑制遺伝子の発現の低下が大きく関係していると考えられています。アザシ
    チジンなどの低メチル化剤はDNAのメチル化を阻害する作用により癌抑制遺伝子の発現を回復させ白血病へ
    の進行を抑えると考えられています。


(注11) SPA(特別プロトコル審査)とは、第Ⅱ相臨床試験終了後に、第Ⅲ相臨床試験について、対象疾患、目的、
    試験デザイン、主要及び副次評価項目(エンドポイント)、解析方法などに関してFDAと事前合意し、試験
    終了後は合意内容を変更せずにそのまま承認審査での承認要件として認める制度です。この制度を利用する
    ことにより、FDA に対して承認申請後、試験結果の評価及び審査について、エンドポイントが達成されてい
    れば、承認の可能性が高まり審査のプロセスと時間が短縮されます。


 [自己疼痛管理用医薬品 SyB P-1501]
 当社が2015年10月にザ・メディシンズ・カンパニー社(本社:米国ニュージャージー州、契約の相手先は同社
完全子会社であるインクライン・セラピューティクス社)から導入したSyB P-1501については、同社の本製品の
事業の継続性について当社が懸念を抱く事象が生じたため、患者さんの利益を最優先する観点から2017年4月21
日より新規症例登録を一時的に中断しておりました。
 その後、当社は2017年10月11日に、ザ・メディシンズ・カンパニー社によるライセンス契約の不履行に起因し
て生じた損害の賠償として82百万米ドル(約90億円)の支払いを求める仲裁を国際商業会議所の規定に基づき申
し立て、同社が欧米市場で本製品の事業活動の中止・撤退を決定したことに伴い、ライセンス契約に基づく義務
の履行について十分な保証を当社に対して提供できなかったことはライセンス契約の重大な違反である旨仲裁で
主張しています。また、2017年11月30日に同社によるライセンス契約の違反が約定期間内に治癒されなかったこ
とを受けて、ライセンス契約を解除し、本製品の開発は2018年2月9日に中止しました。
 ザ・メディシンズ・カンパニー社との仲裁手続は現在も継続中です。




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   ③ 海外事業
    SyB L-0501については、韓国、台湾、シンガポールにおいても販売されており、当社の製品売上は計画通り
   推移しました。


   ④ 経営成績
    2019年8月7日に公表した業績予想修正の理由に記載しましたように、トレアキシン®の国内販売においてア
   ステラス製薬株式会社の連結子会社であるアステラス ドイッチランド GmbHから輸入した凍結乾燥注射剤にお
   いて異物の混入及び外観不良などが両者間で締結した供給契約で定めた品質基準を著しく超えた割合で認めら
   れたことを受けて、当社から販売委託先のエーザイ株式会社へのトレアキシン®100mg製剤の出荷時期が当初の
   予定よりも遅延しました。
    以上の結果、当第3四半期累計期間の売上高は、トレアキシン®の製品販売等により、2,008,048千円となり、
   売上高全体で前年同期比33.8%減少となりました。
    一方、販売費及び一般管理費は、新規開発候補品である抗ウイルス薬ブリンシドフォビルの導入にかかる契
   約一時金、トレアキシン®の注射剤、経口剤及びリゴセルチブの注射剤、経口剤の臨床試験費用が発生したこと
   等により、研究開発費として1,971,788千円(前年同期比52.5%増)を、その他の販売費及び一般管理費として
   2,127,462千円(前年同期比38.3%増)を計上したことから、合計で4,099,251千円(前年同期比44.8%増)と
   なりました。
    これらの結果、当第3四半期累計期間の営業損失は3,536,352千円(前年同期は営業損失1,907,504千円)と
   な り ま し た 。 ま た、 為 替 差 損 を 主 と す る 営 業 外 費 用 109,850 千 円 を 計 上 し た こ と 等 に よ り、 経 常 損 失 は
   3,641,904千円(前年同期は経常損失1,937,509千円)、四半期純損失は3,640,556千円(前年同期は四半期純損
   失1,940,842千円)となりました。
    なお、当社の事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、
   セグメント別の記載を省略しています。


(2)財政状態に関する説明
    当第3四半期会計期間末における総資産は、ソフトウエア仮勘定が115,570千円、未収消費税等が58,740千
   円、ソフトウエアが29,428千円、前払費用が22,858千円増加した一方、売掛金が365,222千円、商品及び製品が
   224,980千円、現金及び預金が196,185千円減少したこと等により、前事業年度末に比べ573,622千円減少し、
   5,665,800千円となりました。
    負債の部については、買掛金が502,256千円、未払法人税等が23,901千円減少した一方、未払金が1,000,772
   千円増加したこと等により、前事業年度末に比べ459,026千円増加し、1,796,650千円となりました。
    純資産の部については、資本剰余金が1,273,471千円、資本金が1,271,770千円、新株予約権が69,672千円増
   加した一方、四半期純損失の計上により利益剰余金が3,640,556千円減少したこと等により、前事業年度末に比
   べ1,032,649千円減少し、3,869,150千円となりました。
    この結果、自己資本比率は57.7%と前事業年度末に比べ12.4ポイント減少しました。


(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明
    2019年8月7日に修正しました2019年12月期の業績予想については、現時点で変更はありません。




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                     シンバイオ製薬株式会社(4582) 2019年12月期 第3四半期決算短信


2.四半期財務諸表及び主な注記
(1)四半期貸借対照表
                                                       (単位:千円)
                              前事業年度             当第3四半期会計期間
                           (2018年12月31日)         (2019年9月30日)
資産の部
 流動資産
   現金及び預金                           4,821,355            4,625,170
   売掛金                                411,720               46,497
   商品及び製品                             533,824              308,844
   前払費用                                83,372              106,230
   立替金                                 31,147               33,927
   未収消費税等                             124,855              183,596
   その他                                 32,214               17,810
   流動資産合計                           6,038,490            5,322,077
 固定資産
   有形固定資産
     建物(純額)                            36,771               35,582
     工具、器具及び備品(純額)                     20,180               21,047
     有形固定資産合計                          56,951               56,629
   無形固定資産
     ソフトウエア                            50,946               80,374
     ソフトウエア仮勘定                         20,430              136,001
     無形固定資産合計                          71,376              216,376
   投資その他の資産
     子会社株式                                  0                    0
     長期前払費用                             1,225                   -
     敷金及び保証金                           71,378               70,717
     投資その他の資産合計                        72,604               70,717
   固定資産合計                             200,932              343,722
 資産合計                               6,239,423            5,665,800
負債の部
 流動負債
   買掛金                                726,100              223,844
   未払金                                503,637            1,504,409
   未払法人税等                              71,249               47,347
   その他                                 35,354               19,544
   流動負債合計                           1,336,342            1,795,147
 固定負債
   退職給付引当金                              1,281                1,503
   固定負債合計                               1,281                1,503
 負債合計                               1,337,623            1,796,650




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                                              (単位:千円)
                     前事業年度             当第3四半期会計期間
                  (2018年12月31日)         (2019年9月30日)
純資産の部
 株主資本
   資本金                    12,972,579           14,244,349
   資本剰余金                  12,942,579           14,216,051
   利益剰余金                 △21,543,238          △25,183,795
   自己株式                         △17               △7,024
   株主資本合計                  4,371,902            3,269,580
 新株予約権                       529,897              599,569
 純資産合計                     4,901,799            3,869,150
負債純資産合計                    6,239,423            5,665,800




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(2)四半期損益計算書
 (第3四半期累計期間)
                                                      (単位:千円)
                    前第3四半期累計期間              当第3四半期累計期間
                     (自 2018年1月1日            (自 2019年1月1日
                     至 2018年9月30日)           至 2019年9月30日)
売上高                             3,032,365               2,008,048
売上原価                         ※  2,108,138            ※  1,445,149
売上総利益                             924,227                 562,899
販売費及び一般管理費                      2,831,731               4,099,251
営業損失(△)                        △1,907,504              △3,536,352
営業外収益
 受取利息                                 491                     201
 還付加算金                                116                      76
 保険配当金                              1,501                   1,282
 受取保険金                                 -                    2,736
 為替差益                               1,466                      -
 その他                                   54                       0
 営業外収益合計                            3,629                   4,297
営業外費用
 支払手数料                             8,302                   7,904
 株式交付費                            25,332                   9,440
 為替差損                                 -                   92,277
 その他                                  -                      227
 営業外費用合計                          33,634                 109,850
経常損失(△)                       △1,937,509              △3,641,904
特別利益
 新株予約権戻入益                           9,346                   4,197
 特別利益合計                             9,346                   4,197
特別損失
 固定資産除却損                           9,829                      -
 特別損失合計                            9,829                      -
税引前四半期純損失(△)                  △1,937,992              △3,637,706
法人税、住民税及び事業税                       2,850                   2,850
法人税等合計                             2,850                   2,850
四半期純損失(△)                     △1,940,842              △3,640,556




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                          シンバイオ製薬株式会社(4582) 2019年12月期 第3四半期決算短信


 (3)四半期財務諸表に関する注記事項
     (継続企業の前提に関する注記)
  該当事項はありません。


     (四半期損益計算書関係)
 ※    期末たな卸高は収益性の低下に伴う簿価切下後の金額であり、次のたな卸資産評価損が売上原価に含まれており
      ます。

                       前第3四半期累計期間         当第3四半期累計期間
                       (自 2018年1月1日       (自 2019年1月1日
                        至 2018年9月30日)      至 2019年9月30日)

                                 ― 千円            187,840千円
 上記は、トレアキシン®100mgの特定のバッチについて、品質不良により販売不能と判断したため、たな卸資産評価損
を計上したものです。


     (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)
  当社は、当第3四半期累計期間において、第36回、第37回、第38回及び第46回新株予約権の一部について、権利行
 使による新株の発行を行ったことにより、資本金が1,271,770千円増加、資本準備金が1,271,770千円増加し、自己株
 式の取得により自己株式が10,949千円増加しております。
  また、第33回、第36回及び第38回新株予約権の一部について、権利行使による自己株式の処分を行ったことにより、
 自己株式が3,163千円減少、その他資本剰余金が1,817千円増加しております。
  さらに、単元未満株主の売渡請求による自己株式の処分を行ったことにより、自己株式が779千円減少、その他資本
 剰余金が116千円減少しております。
  この結果、当第3四半期会計期間末において資本金が14,244,349千円、資本剰余金が14,216,051千円、自己株式が
 7,024千円となっております。


     (重要な後発事象)
     該当事項はありません。




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