4582 J-シンバイオ製薬 2021-11-11 15:30:00
2021年12月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結) [pdf]
2021年12月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
2021年11月11日
上 場 会 社 名 シンバイオ製薬株式会社 上場取引所 東
コ ー ド 番 号 4582 URL https://www.symbiopharma.com/
代 表 者 (役職名) 代表取締役社長兼CEO (氏名) 吉田 文紀
問合せ先責任者 (役職名) 執行役員兼CFO兼管理本部長 (氏名) 岸田 高明 (TEL) 03-5472-1125
四半期報告書提出予定日 2021年11月12日 配当支払開始予定日 ―
四半期決算補足説明資料作成の有無 :有
四半期決算説明会開催の有無 :無
(百万円未満切捨て)
1.2021年12月期第3四半期の業績(2021年1月1日~2021年9月30日)
(1)経営成績(累計) (%表示は、対前年同四半期増減率)
売上高 営業利益 経常利益 四半期純利益
百万円 % 百万円 % 百万円 % 百万円 %
2021年12月期第3四半期 5,553 138.1 424 - 414 - 324 -
2020年12月期第3四半期 2,332 16.2 △3,142 - △3,220 - △2,694 -
潜在株式調整後
1株当たり
1株当たり
四半期純利益
四半期純利益
円 銭 円 銭
2021年12月期第3四半期 8.48 8.36
2020年12月期第3四半期 △84.59 -
(注)潜在株式調整後1株当たり四半期純利益については、2020年12月期第3四半期は、潜在株式は存在するものの1
株当たり四半期純損失であるため記載しておりません。
(2)財政状態
総資産 純資産 自己資本比率
百万円 百万円 %
2021年12月期第3四半期 6,199 5,009 72.8
2020年12月期 6,274 4,657 64.3
(参考) 自己資本 2021年12月期第3四半期 4,512百万円 2020年12月期 4,037百万円
2.配当の状況
年間配当金
第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末 期末 合計
円 銭 円 銭 円 銭 円 銭 円 銭
2020年12月期 - 0.00 - 0.00 0.00
2021年12月期 - 0.00 -
2021年12月期(予想) 0.00 0.00
(注) 直近に公表されている配当予想からの修正の有無 : 無
3.2021年12月期の業績予想(2021年1月1日~2021年12月31日)
(%表示は、対前期増減率)
1株当たり
売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
当期純利益
百万円 % 百万円 % 百万円 % 百万円 % 円 銭
通期 9,151 206.4 1,361 - 1,350 - 1,149 - 29.99
(注) 直近に公表されている業績予想からの修正の有無 : 無
※ 注記事項
(1)四半期財務諸表の作成に特有の会計処理の適用 :無
(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
① 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 :無
② ①以外の会計方針の変更 :有
③ 会計上の見積りの変更 :無
④ 修正再表示 :無
(3)発行済株式数(普通株式)
① 期末発行済株式数(自己株式を含む) 2021年12月期3Q 38,445,931株 2020年12月期 38,202,956株
② 期末自己株式数 2021年12月期3Q 80,143株 2020年12月期 30,143株
③ 期中平均株式数(四半期累計) 2021年12月期3Q 38,293,510株 2020年12月期3Q 31,850,674株
※ 四半期決算短信は公認会計士又は監査法人の四半期レビューの対象外です
※ 業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判
断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。業績予想の
前提となる条件及び業績予想のご利用にあたっての注意事項等については、添付資料5ページ「1.当四半期決算
に関する定性的情報(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明」をご覧ください。
シンバイオ製薬株式会社(4582) 2021年12月期 第3四半期決算短信
○添付資料の目次
1.当四半期決算に関する定性的情報 ………………………………………………………………………2
(1)経営成績に関する説明 ………………………………………………………………………………2
(2)財政状態に関する説明 ………………………………………………………………………………6
(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明 ………………………………………………………6
2.四半期財務諸表及び主な注記 ……………………………………………………………………………7
(1)四半期貸借対照表 ……………………………………………………………………………………7
(2)四半期損益計算書 ……………………………………………………………………………………9
第3四半期累計期間 …………………………………………………………………………………9
(3)四半期財務諸表に関する注記事項 …………………………………………………………………10
(継続企業の前提に関する注記) ……………………………………………………………………10
(株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) ……………………………………………10
(会計方針の変更) ……………………………………………………………………………………10
(表示方法の変更) ……………………………………………………………………………………10
(重要な後発事象) ……………………………………………………………………………………10
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シンバイオ製薬株式会社(4582) 2021年12月期 第3四半期決算短信
1.当四半期決算に関する定性的情報
(1)経営成績に関する説明
当第3四半期累計期間における当社事業の進捗状況は以下のとおりです。
① 国内事業
[自社販売体制への移行、事業拡大について]
当社は、2020年度において、エーザイ株式会社(以下「エーザイ」)との事業提携契約の満了にともない、
2020年12月には自社によるトレアキシン®(一般名:べンダムスチン)販売体制へ移行し、2021年度の最重要課
題である収益化とその後の収益の持続的拡大という今後の事業展開を盤石なものとしました。
地域のニーズをくみ上げることで地域のニーズに合致したきめ細かい提案を企画し、より高い生産性をもつ
営業組織体制を確立するため、医薬情報担当者を全国に、更には「ヘマトロジー・エキスパート」を各地域に
配置しております。また、エーザイとの事業提携契約の満了に伴い、全国流通体制を確立するため株式会社ス
ズケン及び東邦薬品株式会社との間で両者を総代理店とする医薬品売買に関する取引基本契約を締結、全国物
流体制の構築では、株式会社エス・ディ・コラボとの取引を開始し、東日本と西日本の2拠点に物流センター
を設置しております。
当第3四半期累計期間においては、2021年1月より、2020年9月に製造販売承認を取得したトレアキシン®点
滴静注液剤[RTD (Ready-To-Dilute)製剤]の販売を開始しました。
2021年3月には、再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(以下「r/r DLBCL」)を対象としたベン
ダムスチンとリツキシマブの併用療法(以下「BR療法」)、及びベンダムスチンとリツキシマブ、ポラツズマ
ブ ベドチン(遺伝子組換え)との併用療法(以下「P-BR療法」)の製造販売承認事項一部変更承認(一変承
認)を取得し、従来のトレアキシン®凍結乾燥注射剤[FD(Freeze-Dried)製剤]のBR療法に関しては直ちに使
用が可能となりました。
2021年4月には、トレアキシン®RTD製剤について、r/r DLBCLを対象としたBR療法及びP-BR療法の一変承認を
取得しました。更に2021年5月には、中外製薬株式会社(以下「中外製薬」)のポラツズマブ ベドチン(遺伝
子組換え)が薬価収載され、P-BR療法との併用においてトレアキシン®の使用が可能となりました。
[製品の安定供給について]
当社は、2021年1月よりトレアキシン®RTD製剤の製造販売を開始し、トレアキシン®RTD製剤とトレアキシン
®FD製剤の両剤形を販売しております。
トレアキシン®FD製剤はアステラス製薬株式会社の連結子会社であるアステラスドイッチランド社から、トレ
アキシン®RTD製剤はイーグル・ファーマシューティカルズ社(本社:米国ニュージャージー州、以下「イーグ
ル社」)から輸入しております。
品質保証面では、トレアキシン®FD製剤・トレアキシン®RTD製剤ともに輸入品の二次包装と品質検査を国内で
実施しており、品質的には安定しております。
供給面では、トレアキシン®FD製剤からトレアキシン®RTD製剤への切り替えを鋭意推進しておりますが、その
進捗が当社の計画より遅れており、FD製剤が欠品となる可能性があるため、FD製剤の出荷調整を2021年9月21
日から開始しました。なお、RTD製剤につきましては、安定供給が可能な在庫量を十分確保しております。
[抗がん剤SyB L-0501(FD製剤) / SyB L-1701(RTD製剤) / SyB L-1702(RI投与)(一般名:ベンダムスチ
ン塩酸塩またはベンダムスチン塩酸塩水和物、製品名:トレアキシン®)]
未治療(初回治療)の低悪性度非ホジキンリンパ腫(低悪性度NHL)(注1)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)
(2016年12月に製造販売承認を取得)、再発・難治性の低悪性度NHL及びMCL(2010年10月に製造販売承認を取
得)、慢性リンパ性白血病(CLL)(2016年8月に製造販売承認を取得)を適応症として悪性リンパ腫領域にお
いては幅広く使われております。2018年7月に日本血液学会が発行した造血器腫瘍診療ガイドラインにBR療法
が新たに収載され、既承認のすべての適応症において、標準的治療の選択肢として推奨されることになりまし
た。これにより名実ともにトレアキシン®が悪性リンパ腫における標準療法として位置づけられています。
また、低悪性度NHLの代表的な組織型であるCD20陽性の濾胞性リンパ腫(FL)に対して、リツキシマブのみな
らず新規の抗CD20抗体製剤との併用に係わる一変承認取得(2018年7月)により、オビヌツズマブ(注2)との併
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用療法が治療選択肢として提供されていることに加え、腫瘍特異性T細胞輸注療法(注3)の前処置に関する一部
承認取得(2019年3月)により、国内初のキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法(注4)「キムリア®点滴静注」
(注5)の前処置としてトレアキシン®の使用が可能となっており、再生医療等製品の前処置としての使用方法の
広がりによって悪性リンパ腫における標準療法としてのトレアキシン®の位置づけはより強固なものとなってい
ます。
既に承認を取得した適応症に続き、r/r DLBCLを対象とするBR療法による第Ⅲ相臨床試験については、2020年
5月に一変承認申請を行い、2021年3月に承認を取得しました。2021年4月には、トレアキシン®RTD製剤につ
いて、r/r DLBCLを対象としたBR療法及びP-BR療法の一変承認を取得しました。更に、ベンダムスチンとリツキ
シマブを併用投与した時の生存時間データ(全生存期間、無増悪生存期間など)を評価することは、本剤の
DLBCL治療における位置付けに重要なデータとなるため、全生存期間を主要評価項目とする追跡調査試験を実施
し、試験結果を公表準備中です。また、中外製薬が、r/r DLBCLを対象としたポラツズマブ ベドチン(遺伝子
組換え)(注6)とBR療法との併用に対して、2020年6月に製造販売承認申請を行ったことを受けて、2020年7月
に当社はトレアキシン®とポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)、リツキシマブとの併用療法に対する一変
承認申請を行い、2021年3月に承認を取得しました。2021年5月にポラツヅマブ ベドチン(遺伝子組換え)が
薬価収載され、ポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)とBR療法との併用においてトレアキシン®の使用が可
能となりました。本追加適応症については、これまで有効な治療方法がないため、救援化学療法として複数の
抗がん剤を組み合わせた多剤併用化学療法が使われておりましたが、高い有効性と安全性が期待できる新たな
治療薬の開発が切望されておりました。またBR療法につきましては、既に欧米においてr/r DLBCLの患者さんの
治療に使われており、日本においても早期に使えるよう患者団体及び関係学会から厚生労働省に対して要望書
が出ておりました。速やかに多くの患者さんの治療選択肢として浸透することを期待しております。
2017年9月にイーグル社との間で日本における独占的ライセンス契約を締結したトレアキシン®RTD製剤及び
投与時間を短縮可能とする投与[RI(Rapid Infusion)投与(注7)]については、RTD製剤は2020年9月に製造
販売承認を取得し、2021年1月より販売を開始しました。RI投与につきましては、安全性に関する臨床試験が
終了し、2021年5月に承認申請を完了しました。RTD製剤は、従来のFD製剤に比べて、手動による煩雑な溶解作
業が不要で、そのために要する時間を短縮することができ、医療従事者の負担を大幅に低減することが可能と
なります。また、RI投与は、投与時間が、従来のFD製剤及びRTD製剤の1時間に対して大幅に短縮されるため患
者さんと医療従事者の負担を大幅に低減することが可能となることから大きな付加価値を提供することができ
ます。
(注1) 非ホジキンリンパ腫とは、白血球の中のリンパ球ががん化した悪性腫瘍である悪性リンパ腫のうち、ホ
ジキンリンパ腫以外の総称です。日本人の悪性リンパ腫では、大半を非ホジキンリンパ腫が占めています。
(注2) オビヌツズマブ(ガザイバ®:販売元中外製薬):非ホジキンリンパ腫の治療薬として国内外の治療ガイ
ドラインで推奨されているリツキシマブと同様、幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタンパク質である
CD20に結合する、糖鎖改変型タイプⅡ抗CD20モノクローナル抗体で、標的となるB細胞を直接、および体内の免
疫系とともに攻撃し、破壊するようデザインされています。
(注3) 腫瘍特異性T細胞輸注療法とは、がん患者さん自身の腫瘍特異的T細胞(がん細胞を特異的に認識するT細
胞)に、体外で人工的にがん特異性を付与し、細胞を増幅した後に患者さんに投与する療法です。
(注4) キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法は、腫瘍特異性T細胞輸注療法の中でも、腫瘍細胞上の膜抗原を
認識する抗体の抗原結合部位とT細胞受容体の細胞内ドメインを組み合わせたキメラ抗原受容体(chimeric
antigen receptor; CAR)をコードする遺伝子をT細胞に導入して増幅・輸注する療法です。CARの標的としてB細
胞上に発現するCD19を用いた臨床試験では、B細胞性腫瘍患者にCD19指向性CAR導入T細胞が投与され、著明な臨
床効果が得られています。
(注5) キムリア®点滴静注(一般名チサゲンレクルユーセル:販売元ノバルティスファーマ株式会社):国内で
初めて承認されたキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法で、再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ
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芽球性白血病(B-ALL)および再発又は難治性のCD19陽性のDLBCLを適応症として2019年3月に製造販売承認を
取得し、2019年5月に薬価収載されました。
(注6) ポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え):シアトルジェネティクス社のADC技術を使用してロシュ社が
開発した、ヒト化抗CD79bモノクローナル抗体とチューブリン重合阻害剤をリンカーで結合させた、ファースト
インクラスの抗CD79b抗体薬物複合体(ADC: antibody-drug conjugate)です。CD79bタンパクは、多くのB細胞
で特異的に発現しており、新たな治療法を開発する上で有望なターゲットになり得ます。ポラツズマブ ベドチ
ン(遺伝子組換え)は正常細胞への影響を抑えつつCD79bに結合し、送達された化学療法剤によりB細胞を破壊
すると考えられます。
(注7) RTD製剤及びRI投与は、従来のFD製剤とは異なり既に液化された製剤です。RTD製剤(Ready To Dilute)
は調剤作業を大幅に低減し、急速静注であるRI投与(Rapid Infusion)により点滴時間を従来の1時間から大
幅に短縮することにより、FD製剤に比べ患者さんの負担を大幅に軽減し、医療従事者に大きな付加価値を提供
することが可能になります。
[抗がん剤SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:リゴセルチブナトリウム)]
リゴセルチブ注射剤については、導入元であるオンコノバ・セラピューティクス社(本社:米国ペンシルベ
ニア州、以下「オンコノバ社」)が、現在の標準治療である低メチル化剤による治療において効果が得られな
い、治療後に再発した、または低メチル化剤に不耐容性を示した高リスク骨髄異形成症候群(高リスクMDS)に
おける全生存期間を主要評価項目として、全世界から20ヶ国以上が参加している国際共同第Ⅲ相臨床試験
(INSPIRE試験)を実施しておりますが、2020年8月に医師選択療法との比較において主要評価項目を達成しな
かったことを発表しました。当社は日本における臨床開発を担当しており、INSPIRE試験の追加解析から得られ
た知見を今後のリゴセルチブ注射剤の開発に活用するための検討を進めてまいります。
リゴセルチブ経口剤については、オンコノバ社が米国にて実施の、初回治療の高リスクMDSを目標効能とする
第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(アザシチジン(注8)併用)において、リゴセルチブ経口剤とアザシチジンを併用した際の
有効性および安全性が示唆されています。当社は、単剤により高用量の安全性及び日本人での忍容性を確認す
るために2017年6月に国内第Ⅰ相臨床試験を開始し、2019年6月に症例登録を完了しております。
トレアキシン®及びリゴセルチブに関して、東京大学医科学研究所や群馬大学との共同研究等を通じて、両化
合物あるいは他の既存薬との併用により新たな有用性を見出すとともに新規適応症の探索を行い、事業価値の
最大化に努めます。
(注8) アザシチジン(ビダーザ®:販売元日本新薬株式会社):2011年にMDSに対する第Ⅲ相臨床試験において、
初めて生存期間の延長が認められたことから承認された低メチル化剤(注射用)で、現在、造血幹細胞移植が
難しいMDS患者に対する第一選択薬として使用されています。MDSは一種の前白血病であり、その病態にはDNAの
過剰なメチル化による癌抑制遺伝子の発現の低下が大きく関係していると考えられています。アザシチジンな
どの低メチル化剤はDNAのメチル化を阻害する作用により癌抑制遺伝子の発現を回復させ白血病への進行を抑え
ると考えられています。
[抗ウイルス薬SyB V-1901(一般名:Brincidofovir)]
当社は2019年9月にキメリックス・インク社(本社:米国ノースカロライナ州、以下「キメリックス社」)
との間で抗ウイルス薬ブリンシドフォビルの注射剤及び経口剤(SyB V-1901、以下各々「BCV IV」及び「BCV
Oral」)(注9)に関しての独占的グローバルライセンス契約を締結し、天然痘疾患を除くすべての疾患を対象と
したBCVの世界全域における開発・販売に加えて製造を含む独占的権利をキメリックス社から取得しておりま
す。
「空白の治療領域」でアンメット・メディカル・ニーズの高い造血幹細胞移植後のアデノウイルス(AdV)感
染症を対象に、日本・アメリカ・ヨーロッパを中心としたBCV IVのグローバル開発を優先的に進めることを決
定、2021年3月に、主に小児対象(成人も含む)のアデノウイルス(AdV)感染症を対象とする第Ⅱ相臨床試験
を開始するため、米国食品医薬品局(FDA)にInvestigational New Drug(IND) Application(治験許可申請)
を行いました。本開発プログラムについては、2021年4月に、米国食品医薬品局からファスト・トラック
(Fast track)指定を受けており、2021年8月16日(米国時間)には第1例目(FPI: First Patient In)の投与
を開始しました。
アデノウイルス(AdV)感染症を対象とする試験により得られた有効性と安全性に関する知見に基づき、造血
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幹細胞移植後の各種dsDNAウイルス(注10)感染症に対する効果を検討し、抗マルチウイルス感染症へ対象領域を
拡大し、更には腎臓移植を含む臓器移植分野等の対象領域拡大の可能性を追求することで、市場の拡大とBCVの
事業価値の最大化を目指してまいります。本剤は既にキメリックス社による欧米における臨床試験においてBCV
Oralが高活性の抗ウイルス効果を示し、また広域のスペクトラムを有することが確認されており、各種dsDNAウ
イルスに対する幅広い抗ウイルス活性は、BCV IVに関しても造血幹細胞移植後の各種ウイルス感染症の予防及
び治療に対する有効性と安全性が期待されます。
キメリックス社は、2020年12月、米国食品医薬品局が天然痘の医学的防衛策としてBCV Oralの新薬申請
(NDA)の提出を受理したことを発表しておりましたが、2021年6月にFDAから承認を取得しました。また、シ
ンガポール国立がんセンターやカリフォルニア大学サンフランシスコ校脳神経外科脳腫瘍センターとの共同研
究等を通じて、新規適応症の探索を行い、事業価値の最大化に努めます。
(注9) ブリンシドフォビル(BCV)は、シドフォビル(CDV、欧米では既承認・販売の抗ウイルス薬、本邦は未
承認)に脂肪鎖(ヘキサデシルオキシプロピル:HDP)が結合した構造となっており、速やかに脂質二重膜へ取
り込まれ効率よく細胞内へ移行した後、細胞内ホスフォリパーゼによる代謝によって脂肪鎖が切り離され、生
成された活性化体(CDV-PP:CDV diphosphate)が細胞内で長時間保持される結果、抗ウイルス活性が飛躍的に
向上した化合物です。また、HDP結合により、OAT-1トランスポーターによる腎尿細管上皮細胞への蓄積が生じ
ないことに加え、CDVが血中に遊離するレベルは低いため、CDVの根本的問題であった腎毒性を回避できます。
(注10) dsDNAウイルス(二本鎖DNAウイルス): サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス(AdV)、ヒ
トヘルペスウイルス6型(HHV-6)、単純ヘルペスウイルス-1型又は2型(HSV-1/2)、BKウイルス(BKV)、水痘
帯状疱疹ウイルス(VZV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、JCウイルス、天然痘ウイルスなど、ヘルペスウ
イルス科、アデノウイルス科、ポリオーマウイルス科、パピローマウイルス科、ポックスウイルス科を含む。
② 海外事業
抗ウイルス薬ブリンシドフォビルのグローバル開発計画を加速し商業化を実現するため、100%出資の米国子
会社シンバイオファーマUSA(SymBio Pharma USA, Inc. 社長:吉田文紀)が、2021年10月11日付で副社長、
プロジェクトマネジメント及びクリニカルオペレーションズの責任者としてキャロリン・ヤナビッチ(Dr.
Carolyn Yanavich)を選任し、本格的な稼働を開始しました。
③ 新規開発候補品の導入
当社は2019年9月に導入した抗ウイルス薬ブリンシドフォビルのグローバル開発を推進するとともに、従来
からの取り組みである複数のライセンス案件の検討を進め、新規開発候補品のライセンス権利取得に向けた探
索評価の実施を通じて、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業として長期的な事業価値の創造を目指し
てまいります。
④ 経営成績
当第3四半期累計期間の売上高は、5,553,066千円(前年同期比138.1%増)と、エーザイから自社販売に移
行した事等により大幅に増加しましたが、自社販売に移行する2020年12月以前にエーザイが販売したFD製剤の
市中在庫が消化された影響、更には2020年末からの新型コロナ感染拡大による治療の遅延、施設訪問の規制強
化が営業活動の制約となったこと等の悪化要因により、伸び悩みました。一方、第3四半期以降に関しまして
は、高齢者を対象とした新型コロナワクチン接種等新型コロナ対策の進展に伴う治療遅延の解消が徐々に進み、
また3月に承認となったBR療法及びP-BR療法のr/r DLBCLの適応追加、並びに5月に中外製薬のポラツズマブ
ベドチン(遺伝子組換え)が薬価収載されたことによるr/r DLBCLの売上の増加が本格化し、当第2四半期比
680,182千円増収の2,406,458千円となりました。
販売費及び一般管理費は、トレアキシン®及びブリンシドフォビルの臨床試験費用等が発生したこと等により
研究開発費として1,286,152千円(前年同期比26.7%減)、自社販売体制への移行による販売費の増加を含めた
その他の販売費及び一般管理費として2,335,426千円(前年同期比16.8%増)を計上したことから、合計で
3,621,578千円(前年同期比3.5%減)となりました。
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これらの結果、当第3四半期累計期間の営業利益は424,238千円(前年同期は営業損失3,142,396千円)とな
りました。また、受取手数料14,757千円を主とする営業外収益17,456千円を計上した一方、為替差損18,878千
円、支払手数料6,756千円を主とする営業外費用27,254千円を計上したこと等により、経常利益は414,440千円
(前年同期は経常損失3,220,921千円)、四半期純利益は324,855千円(前年同期は四半期純損失2,694,284千
円)となりました。
なお、当社の事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、
セグメント別の記載を省略しています。
(2)財政状態に関する説明
当第3四半期会計期間末における総資産は、売掛金が1,430,976千円、商品及び製品が229,820千円、前払費
用が58,884千円増加した一方、現金及び預金が1,235,085千円、半製品が206,419千円、未収消費税等が314,761
千円、ソフトウエアが30,412千円減少したこと等により、前事業年度末に比べ75,642千円減少し、6,199,065千
円となりました。
負債の部については、未払消費税等が291,539千円、未払法人税等が53,098千円増加した一方、買掛金が
582,656千円、未払金が90,013千円減少したこと等により、前事業年度末に比べ427,726千円減少し、1,189,662
千円となりました。
純資産の部については、資本剰余金が107,706千円、資本金が107,469千円増加した一方、四半期純利益の計
上により利益剰余金が324,855千円増加し、新株予約権が122,935千円減少したこと等により、前事業年度末に
比べ352,084千円増加し、5,009,402千円となりました。
この結果、自己資本比率は72.8%と前事業年度末に比べ8.5ポイント増加しました。
(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明
第3四半期は、売上高が第2四半期対比680,182千円増加し2,406,458千円となったため、トレアキシン®FD製
剤からトレアキシン ®RTD製剤への切り替え遅延の影響はあったものの、営業利益は619,180千円、経常利益は
618,298千円、四半期純利益は530,415千円を達成しました。第3四半期累計期間における、営業利益は424,238
千円、経常利益は414,440千円、四半期純利益324,855千円となりました。第3四半期以降、r/r DLBCLの承認や
中外製薬のポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え)が薬価収載されたことの影響が本格化していることを考慮
すると、一層の収益の伸びが期待されます。なお、2021年12月期の業績予想については現時点で変更はありま
せん。
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シンバイオ製薬株式会社(4582) 2021年12月期 第3四半期決算短信
2.四半期財務諸表及び主な注記
(1)四半期貸借対照表
(単位:千円)
前事業年度 当第3四半期会計期間
(2020年12月31日) (2021年9月30日)
資産の部
流動資産
現金及び預金 3,848,626 2,613,540
売掛金 406,988 1,837,964
商品及び製品 271,550 501,371
半製品 672,891 466,472
前払費用 80,645 139,529
未収消費税等 314,761 -
その他 219,828 206,050
流動資産合計 5,815,292 5,764,929
固定資産
有形固定資産
建物(純額) 42,735 50,801
工具、器具及び備品(純額) 33,966 28,314
有形固定資産合計 76,701 79,115
無形固定資産
ソフトウエア 296,005 265,592
ソフトウエア仮勘定 5,836 2,450
無形固定資産合計 301,841 268,042
投資その他の資産
子会社株式 0 0
敷金及び保証金 80,871 86,977
投資その他の資産合計 80,871 86,977
固定資産合計 459,415 434,135
資産合計 6,274,707 6,199,065
負債の部
流動負債
買掛金 665,460 82,803
未払金 645,813 555,800
未払法人税等 81,928 135,026
未払消費税等 - 291,539
その他 222,137 121,946
流動負債合計 1,615,339 1,187,116
固定負債
退職給付引当金 2,050 2,546
固定負債合計 2,050 2,546
負債合計 1,617,389 1,189,662
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(単位:千円)
前事業年度 当第3四半期会計期間
(2020年12月31日) (2021年9月30日)
純資産の部
株主資本
資本金 17,044,943 17,152,413
資本剰余金 17,019,485 17,127,191
利益剰余金 △30,009,713 △29,684,858
自己株式 △17,538 △82,549
株主資本合計 4,037,177 4,512,197
新株予約権 620,140 497,205
純資産合計 4,657,318 5,009,402
負債純資産合計 6,274,707 6,199,065
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(2)四半期損益計算書
(第3四半期累計期間)
(単位:千円)
前第3四半期累計期間 当第3四半期累計期間
(自 2020年1月1日 (自 2021年1月1日
至 2020年9月30日) 至 2021年9月30日)
売上高 2,332,601 5,553,066
売上原価 1,721,840 1,507,249
売上総利益 610,760 4,045,817
販売費及び一般管理費 3,753,157 3,621,578
営業利益又は営業損失(△) △3,142,396 424,238
営業外収益
受取利息 130 50
還付加算金 120 68
保険配当金 2,324 -
受取手数料 - 14,757
その他 2 2,580
営業外収益合計 2,578 17,456
営業外費用
支払手数料 - 6,756
株式交付費 23,203 1,620
為替差損 55,648 18,878
その他 2,251 0
営業外費用合計 81,103 27,254
経常利益又は経常損失(△) △3,220,921 414,440
特別利益
新株予約権戻入益 4,341 198
受取和解金 525,145 -
特別利益合計 529,486 198
税引前四半期純利益又は税引前四半期純損失(△) △2,691,434 414,638
法人税、住民税及び事業税 2,850 89,782
法人税等合計 2,850 89,782
四半期純利益又は四半期純損失(△) △2,694,284 324,855
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(3)四半期財務諸表に関する注記事項
(継続企業の前提に関する注記)
該当事項はありません。
(株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)
当社は、当第3四半期累計期間において、第32回、第33回、第35回、第36回、第37回、第38回、第40回、第41回、
第43回及び第44回新株予約権の一部について、権利行使による新株の発行を行ったことにより、資本金が107,469千円
増加、資本準備金が107,469千円増加し、自己株式の取得により自己株式が65,214千円増加しております。
さらに、単元未満株主の売渡請求による自己株式の処分を行ったことにより、自己株式が203千円減少、その他資本
剰余金が236千円増加しております。
この結果、当第3四半期会計期間末において資本金が17,152,413千円、資本剰余金が17,127,191千円、自己株式が
82,549千円となっております。
(会計方針の変更)
(たな卸資産の評価方法の変更)
たな卸資産の評価方法は、従来、総平均法によっておりましたが、第1四半期会計期間より商品及び製品は先入先
出法、半製品は総平均法によって評価しております。この評価方法の変更は自社販売体制への移行を契機として、た
な卸資産の動きを詳細に把握することが可能となり適正なたな卸資産の評価及び期間損益計算の観点からたな卸資産
の定義及び評価方法について再度検討したことによるものです。
この結果、当社の保有するたな卸資産の動きとより整合させるため商品及び製品は先入先出法、半製品については
総平均法を採用することが、たな卸資産の評価及び期間損益の観点から合理的であり、かつ当社の経営実態をより適
切に反映すると判断しました。
なお、この変更による影響額は軽微であるため、遡及適用は行っておりません。
(表示方法の変更)
(貸借対照表関係)
当社は、自社販売体制への移行を契機として、たな卸資産の動きを詳細に把握することが可能となり適正なたな卸
資産の評価及び期間損益計算の観点から商品及び製品、半製品の定義を見直しております。
この結果、前事業年度末の貸借対照表において、流動資産の「商品及び製品」に表示していた944,442千円は、「半
製品」672,891千円及び「商品及び製品」271,550千円として組み替えております。
(重要な後発事象)
該当事項はありません。
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