4582 J-シンバイオ製薬 2021-08-17 12:00:00
抗ウイルス薬ブリンシドフォビル注射剤 第2相臨床試験における第1例目(FPI)の投与を開始 [pdf]

                                              2021年8月17日
各位

                     会 社 名 シ ン バ イ オ 製 薬 株 式 会 社
                     代 表 者 名 代表取締役社長兼 CEO 吉 田 文 紀
                                      (コード番号:4582)
                     問 合 せ 先 管理本部 IR 室(TEL.03-5472-1125)


             抗ウイルス薬ブリンシドフォビル注射剤
         第Ⅱ相臨床試験における第1例目(FPI)の投与を開始

  シンバイオ製薬株式会社(本社:東京都、以下「シンバイオ」        )は、この度、現在、実
施中の小児を対象としたアデノウイルス感染症(以下「AdV感染症」         )に対する抗ウイル
ス薬ブリンシドフォビル注射剤(brincidofovir、以下「BCV IV」)の国際共同第Ⅱ相臨床
試験(以下「本試験」)において2021年8月16日(米国太平洋標準時)FPI(First Patient
In)を達成したことをお知らせします。

 本試験は、現在、有効な治療方法がないため医療ニーズが極めて高い小児の播種性AdV
感染症及び免疫不全状態でのAdV感染症(注1)を対象に、安全性、忍容性及び有効性等を評
価し、次試験のための推奨用量を決定します。現在、この国際共同第Ⅱ相臨床試験を実施
中であり、米国において、第1例目の患者にBCV IVが投与されました。

 吉田文紀社長兼CEOは「造血幹細胞移植及び臓器移植後の小児のAdv感染症は、現在有
効な治療方法がないため新薬が切望されている空白の治療領域です。国際共同第Ⅱ相臨床
試験のFPIは、当社の事業のグローバル化に向けての大きな第一歩です。」と語っていま
す。

 BCV IVの特徴であるdsDNAウイルス(注2)に対する幅広いスペクトラムと高い抗ウイル
ス活性は造血幹細胞移植及び臓器移植後のウイルスの再活性化による感染症、並びに免疫
不全状態でのウイルス感染症の予防及び治療に有効と考えています。小児の播種性AdV感
染症については、時に致命的な経過を辿り、現在世界的に有効な治療薬がないことから医
療ニーズが極めて高く、可及的速やかに開発を進める必要性があるものと考えておりま
す。本試験により得られた有効性と安全性に関する知見に基づき、造血幹細胞移植後のみ
ならず、腎臓移植等の臓器移植後のウイルス感染領域へと対象領域の拡大の可能性を追求
することで、BCV IVの事業価値の最大化を図ってまいります。

 なお、本件が2021年12月期業績に与える影響はありません。
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【注記】
(注1)造血幹細胞移植と感染症
造血幹細胞移植は、白血病や悪性リンパ腫など、多くの血液がん治療で、抗がん剤治療や
放射線治療だけでは治せない場合に、完治を目的に行うもので、ドナーから提供された、
あるいは事前に保存しておいた患者さん自身の造血幹細胞を移植する。造血幹細胞移植の
前には、ドナーからの新たな幹細胞を拒絶しないように、大量の化学療法と、全身放射線
照射で、がん細胞を死滅させるが、同時に患者さん自身の免疫力も失われてしまう。次に
点滴により、造血幹細胞移植を行うが、移植した造血幹細胞が患者さんの骨髄で血液を作
り出すには2週間から4週間程度の期間が必要である。移植後、免疫力が十分回復するに
は、長い時間がかかるが、特に移植直後は免疫力が著しく低下しているため、様々な感染
症にかかりやすい状態となっており、予防投与できれば合併症も減り生存率も高くなる。
造血幹細胞移植後の様々な感染症は未だ有効な治療法が確立されていない「空白の治療領
域」であり、医療現場においては、長年にわたり有効性と安全性を兼ね備えた治療方法が
切望されている。


(注2)ds DNAウイルス(二本鎖DNAウイルス)
サイトメガロウイルス(CMV) 、アデノウイルス(AdV)   、ヒトヘルペスウィルス6型
(HHV-6)、単純ヘルペスウィルス-1型又は2型(HSV-1/2)
                                 、BKウイルス(BKV)、水痘
帯状疱疹ウイルス(VZV) 、ヒトパピローマウイルス(HPV)    、JCウィルス、天然痘ウイ
ルスなど、ヘルペスウイルス科、アデノウイルス科、ポリオーマウイルス科、パピローマ
ウイルス科、ポックスウイルス科を含む。

【抗ウイルス薬ブリンシドフォビル(brincidofovir:BCV)概要】
BCVはシドフォビル(cidofovir:CDV、欧米では既承認・販売の抗ウイルス薬、本邦は未
承認)の脂質結合体として新しい作用機序を持ち、CDVと比べて高活性の抗ウイルス効果
の他、優れた安全性を併せ持つことから、広範囲のDNAウイルス感染症(CMV:サイト
メガロウイルス、AdV:アデノウイルス、HV:ヘルペスウイルス、BKV:BKウイルス、
パピローマウイルス及び天然痘ウイルス等)に対して有効な治療方法となり得るものと期
待されている。BCV分子の画期性は、CDVに特定の長さの脂肪鎖を結合することにより細
胞内への取り込み効率を飛躍的に向上させ、細胞内で直接作用する分子に変換され高い抗
ウイルス効果を発揮する。更には、CDVの深刻な副作用である腎毒性を回避できるため使
い易く、今までにない新規の高活性の抗マルチウイルス薬である。
  シンバイオは2019年9月30日付で、Chimerix Inc.(本社:米国ノースカロライナ州、
「キメリックス社」)との間で、BCVに関してのグローバルライセンスの権利取得を目的
としてライセンス契約を締結し、本契約の締結により、キメリックス社は天然痘疾患を除
いたすべての疾患を対象として、BCVの開発・販売・製造を含めた独占的権利を、世界全
域を対象として、シンバイオに対して供与した。シンバイオはBCVの独占的グローバルラ
イセンスを取得することにより、事業のグローバル化を推し進めると同時に高品質の医薬
品供給のための一貫体制を確立し、スペシャルティファーマとして成長することを目指し
ている。グローバル事業の展開については対象疾患の地域特性を生かしたパートナーシッ
プも視野に入れて検討中であり、日本だけでなく臓器移植の市場規模が大きい欧米市場及
び中国市場を含めたアジア地域を睨み、本剤を必要とする患者さんに一日も早く提供でき
るよう、事業価値の最大化を図っている。
当ライセンス契約の締結については2019年10月1日のプレスリリースを参照ください。
https://www.symbiopharma.com/news/20191001.pdf




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【ブリンシドフォビル(brincidofovir:BCV)分子の画期性】
BCVは、シドフォビル(CDV)に脂肪鎖(ヘキサデシルオキシプロピル:HDP)が結合
した構造となっており、速やかに脂質二重膜へ取り込まれ効率よく細胞内へ移行した後、
細胞内ホスフォリパーゼによる代謝によって脂肪鎖が切り離され、生成された活性化体
(CDV-PP:CDV diphosphate)が細胞内で長時間保持される結果、抗ウイルス活性が飛躍
的に向上した化合物である。また、HDP結合により、OAT-1トランスポーターによる腎尿
細管上皮細胞への蓄積が生じないことに加え、CDVが血中に遊離するレベルは低いため、
CDVの根本的問題であった腎毒性を回避できる。




【Chimerix Inc. (キメリックス社)概要】
がんや他の重篤な疾患の患者の命に貢献する革新的な医薬品の開発を行うバイオ医薬品企
業。2021年6月21日、米国食品医薬品局は天然痘に対する適応で同社のTEMBEXA®を承
認しました。同社は他にONC201、dociparstat sodium (DSTAT)の2つの臨床開発が進ん
でいるパイプラインを有します。ONC201については、再発H3 K27M変異グリオーマに対
する承認申請を目的とした臨床試験中であり、2021年後半には独立した中央評価が予定さ
れています。DSTATは、急性骨髄性白血病における一次治療を目的として開発中です。キ
メリックス社の詳細については同社ウェブサイト(https://www.chimerix.com/)をご覧く
ださい。


【当社会社概要】
シンバイオ製薬株式会社は、米国アムジェン社元副社長で、旧アムジェン株式会社の実質
的な創業者である吉田文紀が2005年3月に設立した医薬品企業です。経営理念は「共創・
共生」(共に創り、共に生きる)で表され、患者さんを中心として医師、科学者、行政、
資本提供者を「共創・共生」の経営理念で結び、満たされない医療ニーズに応えてゆくこ
とにより、社会的責任及び経営責任を果たすことを事業目的としています。なお、2016年
5月に米国完全子会社 SymBio Pharma USA, Inc.(本社:米国カリフォルニア州 メンロ
ーパーク、社長:吉田文紀)を設立しました。




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