4582 J-シンバイオ製薬 2021-05-13 15:30:00
2021年12月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結) [pdf]

              2021年12月期                第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
                                                           2021年5月13日
上 場 会 社 名   シンバイオ製薬株式会社                  上場取引所                         東
コ ー ド 番 号   4582               URL https://www.symbiopharma.com/
代   表   者 (役職名) 代表取締役社長兼CEO (氏名) 吉田 文紀
問合せ先責任者 (役職名) 執行役員兼CFO      (氏名) 福島 隆章              (TEL) 03-5472-1125
四半期報告書提出予定日      2021年5月14日 配当支払開始予定日               ―
四半期決算補足説明資料作成の有無       :無
四半期決算説明会開催の有無          :無
 
                                                                                            (百万円未満切捨て)
1.2021年12月期第1四半期の業績(2021年1月1日~2021年3月31日)
(1)経営成績(累計)                            (%表示は、対前年同四半期増減率)
                      売上高                       営業利益                  経常利益                     四半期純利益
                     百万円               %           百万円        %       百万円              %           百万円      %
2021年12月期第1四半期       1,420         157.6         △210         -       △208             -        △209       -
2020年12月期第1四半期         551        △65.8          △961         -       △991             -        △992       -
 

                                            潜在株式調整後
                    1株当たり
                                              1株当たり
                   四半期純利益
                                             四半期純利益
                                   円   銭                  円   銭
 2021年12月期第1四半期     △5.49       -
 2020年12月期第1四半期    △35.84       -
 
(注)潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載してお
 
   りません。
(2)財政状態
                      総資産                          純資産               自己資本比率
                                   百万円                    百万円                          %
2021年12月期第1四半期         5,440                              4,439                       70.7
2020年12月期              6,274                              4,657                       64.3
 (参考) 自己資本 2021年12月期第1四半期                      3,844百万円           2020年12月期            4,037百万円


2.配当の状況
                                                    年間配当金

                 第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                                期末                合計
                          円   銭            円   銭          円   銭           円   銭            円   銭
  2020年12月期        -     0.00                                 -           0.00              0.00
  2021年12月期        -
  2021年12月期(予想)          0.00                                 -           0.00              0.00
(注) 直近に公表されている配当予想からの修正の有無 : 無



3.2021年12月期の業績予想(2021年1月1日~2021年12月31日)

                                                                                 (%表示は、対前期増減率)
                                                                                       1株当たり
                    売上高                    営業利益            経常利益               当期純利益
                                                                                       当期純利益
                  百万円             %    百万円           %    百万円         %       百万円          %             円 銭
      通期          9,151       206.4    1,361        -     1,350      -        1,149        -             30.08
(注)直近に公表されている業績予想からの修正の有無 : 無
※       注記事項
(1)四半期財務諸表の作成に特有の会計処理の適用                     :無
 


 

(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
     ①    会計基準等の改正に伴う会計方針の変更                 :無
     ②    ①以外の会計方針の変更                        :有
     ③    会計上の見積りの変更                         :無
     ④    修正再表示                              :無
 

 

(3)発行済株式数(普通株式)
    ①     期末発行済株式数(自己株式を含む)    2021年12月期1Q   38,258,331株    2020年12月期     38,202,956株

    ②     期末自己株式数              2021年12月期1Q        62,968株   2020年12月期        30,143株

    ③     期中平均株式数(四半期累計)       2021年12月期1Q   38,183,022株    2020年12月期1Q   27,683,335株
 

 

    ※    四半期決算短信は公認会計士又は監査法人の四半期レビューの対象外です
    ※    業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
        本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判
        断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。業績予想の
        前提となる条件及び業績予想のご利用にあたっての注意事項等については、添付資料5ページ「1.当四半期決算
        に関する定性的情報(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明」をご覧ください。
     
                     シンバイオ製薬株式会社(4582) 2021年12月期 第1四半期決算短信




○添付資料の目次



    1.当四半期決算に関する定性的情報 ………………………………………………………………………2

     (1)経営成績に関する説明 ………………………………………………………………………………2

     (2)財政状態に関する説明 ………………………………………………………………………………5

     (3)業績予想などの将来予測情報に関する説明 ………………………………………………………5

    2.四半期財務諸表及び主な注記 ……………………………………………………………………………6

     (1)四半期貸借対照表 ……………………………………………………………………………………6

     (2)四半期損益計算書 ……………………………………………………………………………………8

        第1四半期累計期間 …………………………………………………………………………………8

     (3)四半期財務諸表に関する注記事項 …………………………………………………………………9

       (継続企業の前提に関する注記) ……………………………………………………………………9

       (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) ……………………………………………9

       (会計方針の変更) ……………………………………………………………………………………9

       (表示方法の変更) ……………………………………………………………………………………9

       (重要な後発事象) ……………………………………………………………………………………10
 




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                            シンバイオ製薬株式会社(4582) 2021年12月期 第1四半期決算短信


1.当四半期決算に関する定性的情報
(1)経営成績に関する説明
   当第1四半期累計期間における当社事業の進捗状況は以下のとおりです。


 ① 国内事業
  [自社販売体制の移行、事業拡大について]
     当社は、2020年度において、エーザイ株式会社(以下「エーザイ」)との事業提携契約の満了にともない、
   2020年12月には自社によるトレアキシン®販売体制へ移行し、2021年度の最重要課題である収益化とその後の収
   益の持続的拡大という今後の事業展開を盤石なものとしました。
     地域のニーズをくみ上げることで地域のニーズに合致したきめ細かい提案を企画し、より高い生産性をもつ
   営業組織体制を確立するため、医薬情報担当者を全国に、更には「ヘマトロジー・エキスパート」を各地域に
   配置しております。また、エーザイとの事業提携契約の満了に伴い、全国流通体制を確立するため株式会社ス
   ズケン及び東邦薬品株式会社との間で両者を総代理店とする医薬品売買に関する取引基本契約を締結、全国物
   流体制の構築では、株式会社エス・ディ・コラボとの取引を開始し、東日本と西日本の2拠点に物流センター
   を設置しております。
     当第1四半期においては、2021年1月12日より、2020年9月に製造販売承認を取得したトレアキシン®点滴静
   注液剤[RTD (Ready-To-Dilute)製剤]の販売を開始しました。
     2021年3月23日には、トレアキシン®凍結乾燥注射剤について、再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リン
   パ腫(以下「r/r DLBCL」)を対象としたベンダムスチンとリツキシマブの併用療法(以下「BR療法」)、及び
   ベンダムスチンとリツキシマブ、ポラツズマブ ベドチンとの併用療法(以下「P-BR療法」)の製造販売承認事
   項一部変更承認(一変承認)を取得し、BR療法に関しては直ちに使用が可能となり、P-BR療法については、ポ
   ラツズマブ ベドチンが薬価収載され次第、ポラツズマブ ベドチンとBR療法との併用においてトレアキシン®凍
   結乾燥注射剤の使用が可能となります。
     2021年4月28日には、トレアキシン®RTD製剤について、r/r DLBCLを対象としたBR療法及びP-BR療法の一変承
   認を取得しました。速やかに治療選択肢として浸透することを期待しております。


  [製品の安定供給について]
    当社は、2021年1月よりトレアキシン®RTD製剤の製造販売を開始し、トレアキシン®液剤RTD製剤とトレアキ
   シン®凍結乾燥注射剤の両剤形を販売しております。
    トレアキシン®凍結乾燥注射剤はアステラス製薬株式会社の連結子会社であるアステラスドイッチランド社か
   ら、トレアキシン®RTD製剤はイーグル・ファーマシューティカルズ社(本社:米国ニュージャージー州、以下
   「イーグル社」)から輸入しておりますが、当第1四半期においては、輸入したバッチの二次包装と品質検査
   を計画通りに実行し、その結果、品質的には安定しており、現在の在庫は製品を安定的に供給し得る適正レベ
   ルを維持しております。
    供給面では、トレアキシン®凍結乾燥注射剤からトレアキシン®RTD製剤への切り替えを、2021年末の切替率91
   %を目標に進めてまいります。


  [抗がん剤SyB L-0501(凍結乾燥注射剤) / SyB L-1701(RTD製剤) / SyB L-1702(RI製剤)(一般名:ベンダ
  ムスチン塩酸塩またはベンダムスチン塩酸塩水和物、製品名:トレアキシン®)]
    未治療(初回治療)の低悪性度非ホジキンリンパ腫(低悪性度NHL) (注1) 及びマントル細胞リンパ腫(MCL)
   (2016年12月に製造販売承認を取得)、再発・難治性の低悪性度NHL及びMCL(2010年10月に製造販売承認を取
   得)、慢性リンパ性白血病(CLL)(2016年8月に製造販売承認を取得)を適応症として悪性リンパ腫領域にお
   いては幅広く使われております。2018年7月に日本血液学会が発行した造血器腫瘍診療ガイドラインにBR療法
   が新たに収載され、既承認のすべての適応症において、標準的治療の選択肢として推奨されることになりまし
   た。これにより名実ともにトレアキシン®が悪性リンパ腫における標準療法として位置づけられています。
    また、低悪性度NHLの代表的な組織型であるCD20陽性の濾胞性リンパ腫(FL)に対して、リツキシマブのみな
   らず新規の抗CD20抗体製剤との併用に係わる一変承認取得(2018年7月)により、オビヌツズマブ(注2)との併用
   療法が治療選択肢として提供されていることに加え、腫瘍特異性T細胞輸注療法(注3)の前処置に関する一部承認取
   得(2019年3月)により、国内初のキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法(注4)「キムリア®点滴静注」(注5)の前処
   置としてトレアキシン®の使用が可能となっており、再生医療等製品の前処置としての使用方法の広がりによっ
   て悪性リンパ腫における標準療法としてのトレアキシン®の位置づけはより強固なものとなっています。
    既に承認を取得した適応症に続き、r/r DLBCLを対象とするBR療法による第Ⅲ相臨床試験については、2020年
   5月に一変承認申請を行い、2021年3月に承認を取得しました。2021年4月には、トレアキシン®RTD製剤につ
   いて、r/r DLBCLを対象としたBR療法及びP-BR療法の一変承認を取得しました。更に、ベンダムスチン®とリツ
   キシマブを併用投与した時の生存時間データ(全生存期間、無増悪生存期間など)を評価することは、本剤の


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                          シンバイオ製薬株式会社(4582) 2021年12月期 第1四半期決算短信


 DLBCL治療における位置付けに重要なデータとなるため、全生存期間を主要評価項目とする追跡調査試験を実施
 し、試験結果を公表準備中です。また、中外製薬株式会社(以下「中外製薬」)が、r/r DLBCLを対象としたポ
 ラツズマブ ベドチン (注6) とBR療法との併用に対して、2020年6月に製造販売承認申請を行ったことを受けて、
 2020年7月に当社はトレアキシン®とポラツズマブ ベドチン、リツキシマブとの併用療法に対する一変承認申
 請を行い、2021年3月に承認を取得しました。当社及び中外製薬の承認取得により、ポラツヅマブ ベドチンが
 薬価収載され次第、ポラツズマブ ベドチンとBR療法との併用においてトレアキシン®の使用が可能となりま
 す。本追加適応症については、現在有効な治療方法がないため、救援化学療法として複数の抗がん剤を組み合
 わせた多剤併用化学療法が使われておりますが、高い有効性と安全性が期待できる新たな治療薬の開発が切望
 されております。またBR療法につきましては、既に欧米においてr/r DLBCLの患者さんの治療に使われており、
 日本においても早期に使えるよう患者団体及び関係学会から厚生労働省に対して要望書が出ておりました。速
 やかに多くの患者さんの治療選択肢として浸透することを期待しております。
   2017年9月にイーグル社との間で日本における独占的ライセンス契約を締結したトレアキシン®RTD製剤及び
 投与時間を短縮可能とする投与[RI(Rapid Infusion)投与(注7)]については、RTD製剤は2020年9月18日に製造
 販売承認を取得し、2021年1月より販売を開始しました。RI投与につきましては、安全性に関する臨床試験が
 終了し、2021年5月7日に承認申請を完了しました。RTD製剤は、従来の凍結乾燥注射剤に比べて、手動による
 煩雑な溶解作業が不要で、そのために要する時間を短縮することができ、医療従事者の負担を大幅に低減する
 ことが可能となります。また、RI製剤は、投与時間が、従来の凍結乾燥注射剤及びRTD製剤の1時間に対して10
 分間と大幅に短縮されるため患者さんと医療従事者の負担を大幅に低減することが可能となることから大きな
 付加価値を提供することができます。更には、液剤の製剤ライセンスによる複数の特許保護を通じてトレアキ
 シン®の製品寿命を2031年まで延長し、当社事業の成長基盤をより強固なものとすることが可能となります。

(注1) 非ホジキンリンパ腫とは、白血球の中のリンパ球ががん化した悪性腫瘍である悪性リンパ腫のうち、ホジ
    キンリンパ腫以外の総称です。日本人の悪性リンパ腫では、大半を非ホジキンリンパ腫が占めています。

(注2) オビヌツズマブ(ガザイバ®:販売元中外製薬):非ホジキンリンパ腫の治療薬として国内外の治療ガイド
    ラインで推奨されているリツキシマブと同様、幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタンパク質であ
    るCD20に結合する、糖鎖改変型タイプⅡ抗CD20モノクローナル抗体で、標的となるB細胞を直接、および体
    内の免疫系とともに攻撃し、破壊するようデザインされています。

(注3) 腫瘍特異性T細胞輸注療法とは、がん患者さん自身の腫瘍特異的T細胞(がん細胞を特異的に認識するT細
    胞)に、体外で人工的にがん特異性を付与し、細胞を増幅した後に患者さんに投与する療法です。

(注4) キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法は、腫瘍特異性T細胞輸注療法の中でも、腫瘍細胞上の膜抗原を認
    識する抗体の抗原結合部位とT細胞受容体の細胞内ドメインを組み合わせたキメラ抗原受容体(chimeric
    antigen receptor; CAR)をコードする遺伝子をT細胞に導入して増幅・輸注する療法です。CARの標的として
    B細胞上に発現するCD19を用いた臨床試験では、B細胞性腫瘍患者にCD19指向性CAR導入T細胞が投与され、著
    明な臨床効果が得られています。

(注5) キムリア®点滴静注(一般名チサゲンレクルユーセル:販売元ノバルティスファーマ株式会社):国内で初
    めて承認されたキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法で、再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ
    芽球性白血病(B-ALL)および再発又は難治性のCD19陽性のDLBCLを適応症として2019年3月に製造販売承認
    を取得し、2019年5月に薬価収載されました。

(注6) ポラツズマブ ベドチン:シアトルジェネティクス社のADC技術を使用してロシュ社が開発した、ヒト化抗
    CD79bモノクローナル抗体とチューブリン重合阻害剤をリンカーで結合させた、ファーストインクラスの抗
    CD79b抗体薬物複合体(ADC: antibody-drug conjugate)です。CD79bタンパクは、多くのB細胞で特異的に
    発現しており、新たな治療法を開発する上で有望なターゲットになり得ます。ポラツズマブ ベドチンは正
    常細胞への影響を抑えつつCD79bに結合し、送達された化学療法剤によりB細胞を破壊すると考えられます。

(注7) RTD製剤及びRI製剤は、従来の凍結乾燥注射剤(FD)とは異なり既に液化された製剤です。RTD製剤(Ready
    To Dilute)は調剤作業を大幅に低減し、急速静注であるRI投与(Rapid Infusion)により点滴時間を従来
    の1時間から10分間に短縮することにより、FD製剤に比べ患者さんの負担を大幅に軽減し、医療従事者に大
    きな付加価値を提供することが可能になります。

[抗がん剤SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:リゴセルチブナトリウム)]
  リゴセルチブ注射剤については、導入元であるオンコノバ・セラピューティクス社(本社:米国ペンシルベ
 ニア州、以下「オンコノバ社」)が、現在の標準治療である低メチル化剤による治療において効果が得られな
 い、治療後に再発した、または低メチル化剤に不耐容性を示した高リスク骨髄異形成症候群(高リスクMDS)に



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                            シンバイオ製薬株式会社(4582) 2021年12月期 第1四半期決算短信


 おける全生存期間を主要評価項目として、全世界から20ヶ国以上が参加している国際共同第Ⅲ相臨床試験
 (INSPIRE試験)を実施しておりますが、2020年8月に医師選択療法との比較において主要評価項目を達成しな
 かったことを発表しました。当社は日本における臨床開発を担当しており、INSPIRE試験の追加解析から得られ
 た知見を今後のリゴセルチブの開発に活用するための検討を進めてまいります。
  リゴセルチブ経口剤については、オンコノバ社が米国にて実施の、初回治療の高リスクMDSを目標効能とする
 第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(アザシチジン(注8)併用)において、リゴセルチブ経口剤とアザシチジンを併用した際の有
 効性および安全性が示唆されています。当社は、単剤により高用量の安全性及び日本人での忍容性を確認する
 ために2017年6月に国内第Ⅰ相臨床試験を開始し、2019年6月に症例登録を完了しております。
  トレアキシン及びリゴセルチブに関して、東京大学医科学研究所との共同研究等を通じて、両化合物あるい
 は他の既存薬との併用により新たな有用性を見出すとともに新規適応症の探索を行い、事業価値の最大化に努
 めます。

(注8) アザシチジン(ビダーザ®:販売元日本新薬株式会社):2011年にMDSに対する第Ⅲ相臨床試験において、
    初めて生存期間の延長が認められたことから承認された低メチル化剤(注射用)で、現在、造血幹細胞移植
    が難しいMDS患者に対する第一選択薬として使用されています。MDSは一種の前白血病であり、その病態には
    DNAの過剰なメチル化による癌抑制遺伝子の発現の低下が大きく関係していると考えられています。アザシ
    チジンなどの低メチル化剤はDNAのメチル化を阻害する作用により癌抑制遺伝子の発現を回復させ白血病へ
    の進行を抑えると考えられています。

[抗ウイルス薬SyB V-1901(一般名:Brincidofovir)]
   当社は2019年9月30日にキメリックス・インク社(本社:米国ノースカロライナ州、以下「キメリックス
 社」)との間で抗ウイルス薬ブリンシドフォビルの注射剤及び経口剤(SyB V-1901、以下各々「BCV IV」及び
 「BCV Oral」)(注9)に関しての独占的グローバルライセンス契約を締結し、天然痘疾患を除くすべての疾患を対
 象としたBCVの世界全域における開発・販売に加えて製造を含む独占的権利をキメリックス社から取得しており
 ます。
   「空白の治療領域」でアンメット・メディカル・ニーズの高い造血幹細胞移植後のアデノウイルス(AdV)感
 染症を対象に、日本・アメリカ・ヨーロッパを中心としたBCV IVのグローバル開発を優先的に進めることを決
 定、2021年3月に、主に小児対象(成人も含む)のアデノウイルス(AdV)感染症を対象とする第Ⅱ相臨床試験
 を開始するため、米国食品医薬品局(FDA)にInvestigational New Drug(IND) Application(治験許可申請)
 を行いました。本開発プログラムについては、2021年4月に、米国食品医薬品局からファスト・トラック
 (Fast track)指定を受けております。
   アデノウイルス感染症(AdV)を対象とする試験により得られた有効性と安全性に関する知見に基づき、造血
 幹細胞移植後の各種dsDNAウイルス(注10)感染症に対する効果を検討し、抗マルチウイルス感染症へ対象領域を拡
 大し、更には腎臓移植を含む臓器移植分野等の対象領域拡大の可能性を追求することで、市場の拡大とBCVの事
 業価値の最大化を目指してまいります。本剤は既にキメリックス社による欧米における臨床試験においてBCV
 Oralが高活性の抗ウイルス効果を示し、また広域のスペクトラムを有することが確認されており、各種dsDNAウ
 イルスに対する幅広い抗ウイルス活性は、BCV IVに関しても造血幹細胞移植後の各種ウイルス感染症の予防及
 び治療に対する有効性と安全性が期待されます。
   キメリックス社は、2020年12月、米国食品医薬品局が天然痘の医学的防衛策としてBCV Oralの新薬申請
 (NDA)の提出を受理したことを発表しました。FDAは優先審査を認め、処方薬ユーザー・フィー法(PDUFA)に
 基づき、審査終了目標日(PDUFA Date)を2021年7月7日に設定しました。

(注9) ブリンシドフォビル(BCV)は、シドフォビル(CDV、欧米では既承認・販売の抗ウイルス薬、本邦は未承
    認)に脂肪鎖(ヘキサデシルオキシプロピル:HDP)が結合した構造となっており、速やかに脂質二重膜へ
    取り込まれ効率よく細胞内へ移行した後、細胞内ホスフォリパーゼによる代謝によって脂肪鎖が切り離さ
    れ、生成された活性化体(CDV-PP:CDV diphosphate)が細胞内で長時間保持される結果、抗ウイルス活性が
    飛躍的に向上した化合物です。また、HDP結合により、OAT-1トランスポーターによる腎尿細管上皮細胞への
    蓄積が生じないことに加え、CDVが血中に遊離するレベルは低いため、CDVの根本的問題であった腎毒性を回
    避できます。

(注10) dsDNAウイルス:CMV、AdV、HHV-6、BKウイルス、HSV1/2、VZV、HPV、JCV、天然痘ウイルスなど、ヘルペ
    スウイルス科、アデノウイルス科、ポリオーマウイルス科、パピローマウイルス科、ポックスウイルス科を
    含む。




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                           シンバイオ製薬株式会社(4582) 2021年12月期 第1四半期決算短信


 ② 海外事業
    SyB L-0501については、中国、香港においても販売されており、当社の売上は計画通りに推移しました。


 ③ 新規開発候補品の導入
    当社は2019年9月に導入した抗ウイルス薬ブリンシドフォビルのグローバル開発計画の推進に当面は注力し、
   従来からの取り組みである常時複数のライセンス案件の検討と新薬開発候補品のライセンス権利取得に向けた
   探索評価の継続的な実施を通じて、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業として長期的な事業価値の創
   造を目指してまいります。

 ④ 経営成績
    当第1四半期累計期間の売上高は、1,420,332千円(前年同期比157.6%増)と、エーザイ社から自社販売に
   移行した事等により大幅に増加しました。2020年末からの新型コロナ感染拡大による治療の遅延、施設訪問の
   規制強化が営業活動の制約となったこと等一部に悪化要因があったものの、自社販売に移行する2020年12月以
   前にエーザイ社が販売したトレアキシン®凍結乾燥注射剤の市中在庫が消化された影響を考慮すると、第1四半
   期のトレアキシン®の需要は堅調に推移しました。第2四半期に関しては、当初自販化前に流通した市中在庫消
   化の影響は残るものの、販売全体への影響は軽微であり、3月23日に承認となったr/r DLBCLの適応追加による
   売上増加が見込まれます。
    販売費及び一般管理費は、トレアキシン®の注射剤及びブリンシドフォビル注射剤の臨床試験費用等が発生し
   たこと等により研究開発費として473,245千円(前年同期比8.0%増)を、自社販売体制への移行による販売費
   の増加を含め、その他の販売費及び一般管理費として747,261千円(前年同期比14.7%増)を計上したことか
   ら、合計で1,220,506千円(前年同期比12.0%増)となりました。
    これらの結果、当第1四半期累計期間の営業損失は210,518千円(前年同期は営業損失961,910千円)となり
   ました。また、受取手数料14,757千円を主とする営業外収益14,851千円を計上した一方、為替差損8,687千円、
   支払手数料4,110千円を主とする営業外費用13,240千円を計上したこと等により、経常損失は208,907千円(前
   年同期は経常損失991,220千円)、四半期純損失は209,659千円(前年同期は四半期純損失992,170千円)となり
   ました。
    なお、当社の事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、
   セグメント別の記載を省略しています。


(2)財政状態に関する説明
    当第1四半期会計期間末における総資産は、売掛金が454,761千円、商品及び製品が82,640千円、前払費用が
   47,840千円増加した一方、現金及び預金が914,960千円、未収消費税等が314,761千円、半製品が62,981千円、
   ソフトウエアが12,770千円減少したこと等により、前事業年度末に比べ834,546千円減少し、5,440,160千円と
   なりました。
    負債の部については、買掛金が451,937千円、未払金が166,433千円、未払法人税等が36,269千円減少したこ
   と等により、前事業年度末に比べ617,175千円減少し、1,000,214千円となりました。
    純資産の部については、資本剰余金が25,549千円、資本金が25,425千円増加した一方、四半期純損失の計上
   により利益剰余金が209,659千円減少し、新株予約権が24,565千円減少したこと等により、前事業年度末に比べ
   217,371千円減少し、4,439,946千円となりました。
    この結果、自己資本比率は70.7%と前事業年度末に比べ6.3ポイント増加しました。


(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明
    2021年12月期の業績予想については、r/r DLBCL承認の与える影響等を現在精査中であり、現時点で変更はあ
   りません。




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2.四半期財務諸表及び主な注記
(1)四半期貸借対照表
                                                       (単位:千円)
                              前事業年度             当第1四半期会計期間
                           (2020年12月31日)         (2021年3月31日)
資産の部
 流動資産
   現金及び預金                           3,848,626            2,933,665
   売掛金                                406,988              861,749
   商品及び製品                             271,550              354,191
   半製品                                672,891              609,909
   前払費用                                80,645              128,485
   未収消費税等                             314,761                   -
   その他                                219,828              114,895
   流動資産合計                           5,815,292            5,002,896
 固定資産
   有形固定資産
     建物(純額)                            42,735               41,931
     工具、器具及び備品(純額)                     33,966               31,517
     有形固定資産合計                          76,701               73,448
   無形固定資産
     ソフトウエア                           296,005              283,234
     ソフトウエア仮勘定                          5,836                   -
     無形固定資産合計                         301,841              283,234
   投資その他の資産
     子会社株式                                  0                    0
     敷金及び保証金                           80,871               80,580
     投資その他の資産合計                        80,871               80,580
   固定資産合計                             459,415              437,263
 資産合計                               6,274,707            5,440,160
負債の部
 流動負債
   買掛金                                665,460              213,523
   未払金                                645,813              479,380
   未払法人税等                              81,928               45,658
   その他                                222,137              259,442
   流動負債合計                           1,615,339              998,004
 固定負債
   退職給付引当金                              2,050                2,210
   固定負債合計                               2,050                2,210
 負債合計                               1,617,389            1,000,214




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                     前事業年度             当第1四半期会計期間
                  (2020年12月31日)         (2021年3月31日)
純資産の部
 株主資本
   資本金                    17,044,943           17,070,368
   資本剰余金                  17,019,485           17,045,034
   利益剰余金                 △30,009,713          △30,219,373
   自己株式                     △17,538              △51,659
   株主資本合計                  4,037,177            3,844,371
 新株予約権                       620,140              595,575
 純資産合計                     4,657,318            4,439,946
負債純資産合計                    6,274,707            5,440,160




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               シンバイオ製薬株式会社(4582) 2021年12月期 第1四半期決算短信


(2)四半期損益計算書
 (第1四半期累計期間)
                                                   (単位:千円)
                    前第1四半期累計期間            当第1四半期累計期間
                     (自 2020年1月1日          (自 2021年1月1日
                     至 2020年3月31日)         至 2021年3月31日)
売上高                             551,369              1,420,332
売上原価                            423,669                410,344
売上総利益                           127,700              1,009,987
販売費及び一般管理費                    1,089,611              1,220,506
営業損失(△)                       △961,910               △210,518
営業外収益
 受取利息                                87                     25
 還付加算金                              120                     68
 受取手数料                               -                  14,757
 その他                                 -                       0
 営業外収益合計                            207                 14,851
営業外費用
 支払手数料                               -                   4,110
 株式交付費                           12,786                    442
 為替差損                            15,983                  8,687
 その他                                747                     -
 営業外費用合計                         29,517                 13,240
経常損失(△)                        △991,220               △208,907
特別利益
 新株予約権戻入益                            -                     198
 特別利益合計                              -                     198
税引前四半期純損失(△)                   △991,220               △208,709
法人税、住民税及び事業税                        950                    950
法人税等合計                              950                    950
四半期純損失(△)                      △992,170               △209,659




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 (3)四半期財務諸表に関する注記事項
    (継続企業の前提に関する注記)
    該当事項はありません。


    (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)
    当社は、当第1四半期累計期間において、第33回、第36回、第38回、第40回、第41回、及び第44回新株予約権の一
 部について、権利行使による新株の発行を行ったことにより、資本金が25,425千円増加、資本準備金が25,425千円増
 加し、自己株式の取得により自己株式が34,266千円増加しております。
    さらに、単元未満株主の売渡請求による自己株式の処分を行ったことにより、自己株式が145千円減少、その他資本
 剰余金が124千円増加しております。
    この結果、当第1四半期会計期間末において資本金が17,070,368千円、資本剰余金が17,045,034千円、自己株式が
 51,659千円となっております。


    (会計方針の変更)
        (たな卸資産の評価方法の変更)
    たな卸資産の評価方法は、従来、総平均法によっておりましたが、当第1四半期会計期間より商品及び製品は先入先
 出法、半製品は総平均法によって評価しております。この評価方法の変更は自社販売体制への移行を契機として、た
 な卸資産の動きを詳細に把握することが可能となり適正なたな卸資産の評価及び期間損益計算の観点からたな卸資産
 の定義及び評価方法について再度検討したことによるものです。
    この結果、当社の保有するたな卸資産の動きとより整合させるため商品及び製品は先入先出法、半製品については
 総平均法を採用することが、たな卸資産の評価及び期間損益の観点から合理的であり、かつ当社の経営実態をより適
 切に反映すると判断しました。
    なお、この変更による影響額は軽微であるため、遡及適用は行っておりません。


    (表示方法の変更)
        (貸借対照表関係)
    当社は、自社販売体制への移行を契機として、たな卸資産の動きを詳細に把握することが可能となり適正なたな卸
 資産の評価及び期間損益計算の観点から商品及び製品、半製品の定義を見直しております。
    この結果、前事業年度末の貸借対照表において、流動資産の「商品及び製品」に表示していた944,442千円は、「半
 製品」672,891千円及び「商品及び製品」271,550千円として組み替えております。




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  (重要な後発事象)
1.第54回新株予約権(ストックオプション)の発行について
  当社は、2021年3月24日開催の取締役会決議に基づき、当社の取締役5名に対して下記の通りストックオプションと
 しての新株予約権を発行し、2021年4月23日に割り当てられました。

  新株予約権の数               1,630個
  新株予約権の目的となる株式の種類及び数 普通株式       40,750株

  新株予約権の発行価額及び発行価額の総額 発行価額
                      発行価額の総額
                                           29,225円
                                       47,636,750円
                        1株当たりの払込金額 1,169円
  新株予約権の払込金額            なお、新株予約権の割当てを受ける者は、金銭による払込みに代え
                        て、当社に対して有する報酬債権と新株予約権の払込債務とを相殺
                        するものとする。
  新株予約権の行使価額            1株当たりの行使価額          1円

  新株予約権の行使期間            2024年3月25日から
                        2031年3月24日まで
                        (1)新株予約権の割当を受けた者は、権利行使時において、当社又は
                           当社の関係会社の取締役又は従業員の地位を有していなければな
                           らない。ただし、当社又は当社の関係会社の取締役が任期満了に
                           より退任した場合、当社又は当社の関係会社の従業員が定年によ
  新株予約権の行使条件               り退職した場合、当社又は当社の関係会社の取締役又は従業員が
                           当社又は当社の関係会社を円満に退任又は退職したものと取締役
                           会が認めた場合はこの限りではない。
                        (2)その他の条件については、当社と取締役との間で締結する「新株
                           予約権割当契約書」に定めるところによる。
                      新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本
  新株予約権の行使により株式を発行する場 金の額は、会社計算規則第17条に従い算出される資本金等増加限度
  合の株式の発行価額のうちの資本組入額  額の2分の1の金額とし、計算の結果生じる1円未満の端数は、こ
                      れを切り上げるものとする。
  新株予約権の譲渡に関する事項        取締役会の承認を要する。


2.第55回新株予約権(ストックオプション)の発行について
  当社は、2021年3月26日開催の取締役会決議に基づき、当社の従業員134名に対して下記の通りストックオプション
 としての新株予約権を発行し、2021年4月23日に割り当てられました。

  新株予約権の数               4,565個

  新株予約権の目的となる株式の種類及び数 普通株式       114,125株

  新株予約権の発行価額及び発行価額の総額 発行価額
                      発行価額の総額
                                            29,225円
                                       133,412,125円
                        1株当たりの払込金額  1,169円
  新株予約権の払込金額            なお、新株予約権の割当てを受ける者は、金銭による払込みに代え
                        て、当社に対して有する報酬債権と新株予約権の払込債務とを相殺
                        するものとする。
  新株予約権の行使価額            1株当たりの行使価額          1円

  新株予約権の行使期間            2024年3月25日から
                        2031年3月24日まで
                        (1)新株予約権の割当を受けた者は、権利行使時において、当社又は
                           当社の関係会社の取締役又は従業員の地位を有していなければな
                           らない。ただし、当社又は当社の関係会社の取締役が任期満了に
                           より退任した場合、当社又は当社の関係会社の従業員が定年によ
  新株予約権の行使条件               り退職した場合、当社又は当社の関係会社の取締役又は従業員が
                           当社又は当社の関係会社を円満に退任又は退職したものと取締役
                           会が認めた場合はこの限りではない。
                        (2)その他の条件については、当社と従業員との間で締結する「新株
                           予約権割当契約書」に定めるところによる。
                      新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本
  新株予約権の行使により株式を発行する場 金の額は、会社計算規則第17条に従い算出される資本金等増加限度
  合の株式の発行価格のうちの資本組入額  額の2分の1の金額とし、計算の結果生じる1円未満の端数は、こ
                      れを切り上げるものとする。
  新株予約権の譲渡に関する事項        取締役会の承認を要する。




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