4582 J-シンバイオ製薬 2020-11-10 15:30:00
2020年12月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結) [pdf]

                 2020年12月期             第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
                                                            2020年11月10日
上 場 会 社 名   シンバイオ製薬株式会社                   上場取引所                         東
コ ー ド 番 号   4582                URL https://www.symbiopharma.com/
代   表   者 (役職名) 代表取締役社長兼CEO (氏名) 吉田 文紀
問合せ先責任者 (役職名) 執行役員兼CFO       (氏名) 福島 隆章              (TEL) 03-5472-1125
四半期報告書提出予定日      2020年11月11日 配当支払開始予定日               ―
四半期決算補足説明資料作成の有無        :無
四半期決算説明会開催の有無           :無
 
                                                                                             (百万円未満切捨て)
1.2020年12月期第3四半期の業績(2020年1月1日~2020年9月30日)
(1)経営成績(累計)                            (%表示は、対前年同四半期増減率)
                            売上高                        営業利益            経常利益                      四半期純利益
                            百万円            %           百万円        %     百万円              %           百万円     %
    2020年12月期第3四半期          2,332      16.2         △3,142 -          △3,220          -          △2,694     -
    2019年12月期第3四半期          2,008     △33.8         △3,536 -          △3,641          -          △3,640     -
 
                                                   潜在株式調整後
                            1株当たり
                                                     1株当たり
                           四半期純利益
                                                    四半期純利益
                                       円   銭                  円   銭
  2020年12月期第3四半期       △84.59      -
  2019年12月期第3四半期      △161.33      -
 
(注1)当社は、2019年7月1日付で普通株式4株につき1株の割合で株式併合を行っております。前事業年度の期首
        に当該株式併合が行われたと仮定して、「1株当たり四半期純利益」を算定しております。
(注2)潜在株式調整後1株当たり四半期純利益は、潜在株式は存在するものの1株当たり四半期純損失であるため記
 
        載しておりません。
(2)財政状態
                            総資産                        純資産            自己資本比率
                                       百万円                     百万円                       %
 2020年12月期第3四半期          6,232                                4,995                    70.6
 2019年12月期               5,273                                4,400                    71.7
(参考) 自己資本 2020年12月期第3四半期      4,397百万円                         2019年12月期           3,779百万円
 
 
 

2.配当の状況
                                                       年間配当金

                     第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                             期末              合計
                             円    銭            円   銭          円   銭        円   銭             円   銭
  2019年12月期        -     0.00                                     -        0.00              0.00
  2020年12月期        -     0.00                                     -
  2020年12月期(予想)                                                            0.00              0.00
(注) 直近に公表されている配当予想からの修正の有無 : 無
 
 
 

3.2020年12月期の業績予想(2020年1月1日~2020年12月31日)

                                                                                 (%表示は、対前期増減率)
                                                                                       1株当たり
                     売上高               営業利益                   経常利益             当期純利益
                                                                                       当期純利益
                     百万円      %            百万円         %       百万円    %            百万円           %         円 銭
     通期      3,043 7.2 △4,592 -                              △4,656   -        △3,796            -     △116.13
(注) 直近に公表されている業績予想からの修正の有無 : 無
 
※       注記事項
(1)四半期財務諸表の作成に特有の会計処理の適用                     :無
 

 

(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
  ① 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更                       :無
     ②    ①以外の会計方針の変更                        :無
     ③    会計上の見積りの変更                         :無
     ④    修正再表示                              :無
 

 

(3)発行済株式数(普通株式)
  ① 期末発行済株式数(自己株式を含む)          2020年12月期3Q   35,198,331株    2019年12月期     26,437,681株

    ②     期末自己株式数              2020年12月期3Q        26,543株   2019年12月期        22,593株

    ③     期中平均株式数(四半期累計)       2020年12月期3Q   31,850,674株    2019年12月期3Q   22,565,488株
 
(注)当社は、2019年7月1日付で普通株式4株につき1株の割合で株式併合を行っております。前事業年度の期首に
   当該株式併合が行われたと仮定して、「期末発行済株式数」、「期末自己株式数」及び「期中平均株式数」を算
   定しております。
 

    ※    四半期決算短信は公認会計士又は監査法人の四半期レビューの対象外です
    ※    業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
        本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判
        断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。業績予想の
        前提となる条件及び業績予想のご利用にあたっての注意事項等については、添付資料5ページ「1.当四半期決算
        に関する定性的情報(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明」をご覧ください。
                     シンバイオ製薬株式会社(4582) 2020年12月期 第3四半期決算短信




○添付資料の目次



    1.当四半期決算に関する定性的情報 ……………………………………………………………………… 2

     (1)経営成績に関する説明 ……………………………………………………………………………… 2

     (2)財政状態に関する説明 ……………………………………………………………………………… 5

     (3)業績予想などの将来予測情報に関する説明 ……………………………………………………… 5

    2.四半期財務諸表及び主な注記 …………………………………………………………………………… 6

     (1)四半期貸借対照表 …………………………………………………………………………………… 6

     (2)四半期損益計算書 …………………………………………………………………………………… 8

        第3四半期累計期間 ………………………………………………………………………………… 8

     (3)四半期財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………… 9

       (継続企業の前提に関する注記) …………………………………………………………………… 9

       (四半期損益計算書関係) …………………………………………………………………………… 9

       (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) …………………………………………… 9

       (重要な後発事象) …………………………………………………………………………………… 9
 




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1.当四半期決算に関する定性的情報
(1)経営成績に関する説明
   当第3四半期累計期間における当社事業の進捗状況は以下のとおりです。


 ① 国内事業
  [自社販売体制の構築について]
    当社は、販売委託先であるエーザイ株式会社(以下「エーザイ」という)との事業提携契約の2020年12月満
   了にともない、2021年1月より自社によるトレアキシン®販売体制へ移行、2021年度の事業の収益化と持続的な
   収益の拡大を図ることで、今後の当社の事業展開を盤石なものとします。
     当第3四半期においては、自社による販売に向けてエーザイとの間で営業の承継作業を開始しました。当社
   は、計画通り医薬情報担当者51名を全国に配置するとともに、「ヘマトロジー・エキスパート」6名を各地域に
   設置し、地域のニーズをくみ上げることで地域のニーズに合致したきめ細かい提案を企画し、より高い生産性
   をもつ営業組織体制を確立しました。
    また、全国流通体制を確立すべく、9月7日には株式会社スズケン(以下「スズケングループ」という)及
   び東邦薬品株式会社(東邦ホールディングス株式会社の連結子会社、以下「共創未来グループ」という)との
   間で医薬品売買に関する取引基本契約の締結を完了し、エーザイとの事業提携契約の満了後スズケングループ
   と共創未来グループの2社を総代理店として取引を行います。全国物流体制の構築につきましては、株式会社
   エス・ディ・コラボとの取引を開始し、東日本と西日本の2拠点に物流センターを配置します。これによって、
   自社による販売体制の構築は完了し、来期の事業黒字化に向けて着実に進展しております。

  [製品の安定供給について]
    当社は現在、トレアキシン®の凍結乾燥注射剤をアステラス製薬株式会社の連結子会社であるアステラスドイ
   ッチランド社(以下「アステラスドイツ」という)から輸入し、販売委託先であるエーザイを通じて国内販売
   をしております。当第3四半期においては、輸入した複数のバッチの二次包装と品質検査及びエーザイへの出
   荷を計画通りに実行し、その結果、当上半期に前年同期と比べてトレアキシン®の在庫レベルは極めて低い状態
   で推移していましたが、現在は回復しつつあります。当社はアステラスドイツと協力し、引き続き安定した製
   品供給の維持に努めてまいります。

  [抗がん剤 SyB L-0501(凍結乾燥注射剤) / SyB L-1701(RTD製剤) / SyB L-1702(RI製剤)(一般名:ベン
 ダムスチン塩酸塩、製品名:トレアキシン®)]
      未治療(初回治療)の低悪性度非ホジキンリンパ腫(低悪性度NHL)(注1)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)
   (2016年12月に製造販売承認を取得)、再発・難治性の低悪性度NHL及びMCL(2010年10月に製造販売承認を取
   得)、慢性リンパ性白血病(CLL)(2016年8月に製造販売承認を取得)を適応症として悪性リンパ腫領域にお
   いては幅広く使われております。2018年7月に日本血液学会が発行した造血器腫瘍診療ガイドラインにトレア
   キシン®とリツキシマブの併用療法(BR療法)が新たに収載され、既承認のすべての適応症において、標準的治
   療の選択肢として推奨されることになりました。これにより名実ともにトレアキシン®が悪性リンパ腫における
   標準療法として位置づけられています。
     また、低悪性度NHLの代表的な組織型であるCD20陽性の濾胞性リンパ腫(FL)に対して、リツキシマブのみな
   らず新規の抗CD20抗体製剤との併用に係わる一部変更の承認取得(2018年7月)により、オビヌツズマブ(注2)と
   の併用療法が治療選択肢として提供されていることに加え、腫瘍特異性T細胞輸注療法(注3)の前処置に関する一部
   変更の承認取得(2019年3月)により、国内初のキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法(注4)「キムリア®点滴静
   注」(注5)の前処置としてトレアキシン®の使用が可能となっており、再生医療等製品の前処置としての使用方法の
   広がりによって悪性リンパ腫における標準療法としてのトレアキシン®の位置づけはより強固なものとなってい
   ます。
     既に承認を取得した適応症に続き、再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(r/r DLBCL)を対象と
   するBR療法による第Ⅲ相臨床試験については、試験成績の主要評価項目である奏効率において期待奏効率を上
   回る良好な結果が得られたことを基に、2020年5月に製造販売承認事項に係わる一部変更承認申請を行ってお
   ります。さらに、トレアキシンとリツキシマブを併用投与した時の生存時間データ(全生存期間、無増悪生存
   期間など)を評価することは、本剤のDLBCL治療における位置付けに重要なデータとなるため、全生存期間を主
   要評価項目とする追跡調査試験を実施中です。また、中外製薬株式会社(以下「中外製薬」という)が、r/r
   DLBCLを対象としたポラツズマブ ベドチン(注6)とBR療法との併用について2020年6月に製造販売承認申請を行っ
   たことを受けて、2020年7月に当社はトレアキシン®とポラツズマブ ベドチン、リツキシマブとの併用療法に
   対する製造販売承認事項に係わる一部変更承認申請を行いました。当社及び中外製薬の申請について双方とも
   承認取得後、ポラツヅマブ ベドチンが薬価収載され次第、ポラツズマブ ベドチンとBR療法との併用において
   トレアキシン®の使用が可能となります。本追加適応症については、現在有効な治療方法がないため、救援化学


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                           シンバイオ製薬株式会社(4582) 2020年12月期 第3四半期決算短信


  療法として複数の抗がん剤を組み合わせた多剤併用療法が使われておりますが、高い有効性と安全性が期待で
  きる新たな治療薬の開発が切望されております。またBR療法につきましては、既に欧米において再発・難治性
  DLBCLの患者さんの治療に使われており、日本においても早期に使えるよう患者団体及び関係学会から厚生労働
  省に対して要望書が出ておりました。承認後、速やかに多くの患者さんの治療選択肢として浸透することを期
  待しております。
    2017年9月にイーグル・ファーマシューティカルズ社(本社:米国ニュージャージー州)との間で日本にお
  ける独占的ライセンス契約を締結したトレアキシン®液剤(RTD製剤及びRI製剤(注7))については、RTD製剤は2020
  年9月18日に製造販売に関する承認を取得し、2021年1月より販売を開始する予定です。RI製剤につきましては
  2018年11月に安全性の確認を主目的とした治験を開始して以来、目標症例数の登録後の2020年9月にすべての
  被験者の観察期間が完了(LPLV: Last Patient Last Visit)しております。当治験終了後に早期に承認申請を
  行い、2022年下半期の承認が期待されます。本製剤は、投与時間が、従来の凍結乾燥注射剤及びRTD製剤の60分
  に対して10分間と大幅に短縮されるため患者さんと医療従事者の負担を大幅に低減することが可能となること
  から大きな付加価値を提供することができます。更には、液剤の製剤ライセンスによる複数の特許保護を通じ
  てトレアキシン®の製品寿命を2031年まで延長し、当社事業の成長基盤をより強固なものとすることが可能とな
  ります。

(注1) 非ホジキンリンパ腫とは、白血球の中のリンパ球ががん化した悪性腫瘍である悪性リンパ腫のうち、ホジ
    キンリンパ腫以外の総称です。日本人の悪性リンパ腫では、大半を非ホジキンリンパ腫が占めています。

(注2) オビヌツズマブ(ガザイバ®:販売元 中外製薬):非ホジキンリンパ腫の治療薬として国内外の治療ガイ
    ドラインで推奨されているリツキシマブと同様、幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタンパク質で
    あるCD20に結合する、糖鎖改変型タイプⅡ抗CD20モノクローナル抗体で、標的となるB細胞を直接、および
    体内の免疫系とともに攻撃し、破壊するようデザインされています。

(注3) 腫瘍特異性T細胞輸注療法とは、がん患者さん自身の腫瘍特異的T細胞(がん細胞を特異的に認識するT細
    胞)に、体外で人工的にがん特異性を付与し、細胞を増幅した後に患者さんに投与する療法です。

(注4) キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法は、腫瘍特異性T細胞輸注療法の中でも、腫瘍細胞上の膜抗原を認
    識する抗体の抗原結合部位とT細胞受容体の細胞内ドメインを組み合わせたキメラ抗原受容体(chimeric
    antigen receptor; CAR)をコードする遺伝子をT細胞に導入して増幅・輸注する療法です。CARの標的として
    B細胞上に発現するCD19を用いた臨床試験では、B細胞性腫瘍患者にCD19指向性CAR導入T細胞が投与され、著
    明な臨床効果が得られています。

(注5) キムリア®点滴静注(一般名 チサゲンレクルユーセル:販売元 ノバルティスファーマ株式会社):国内
    で初めて承認されたキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法で、再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リ
    ンパ芽球性白血病(B-ALL)および再発又は難治性のCD19陽性のDLBCLを適応症として2019年3月に製造販売
    承認を取得し、2019年5月に薬価収載されました。

(注6) ポラツズマブ ベドチン:シアトルジェネティクス社のADC技術を使用してロシュ社が開発した、ヒト化抗
    CD79bモノクローナル抗体とチューブリン重合阻害剤をリンカーで結合させた、ファーストインクラスの抗
    CD79b抗体薬物複合体(ADC: antibody-drug conjugate)です。 CD79bタンパクは、多くのB細胞で特異的に
    発現しており、新たな治療法を開発する上で有望なターゲットになり得ます。ポラツズマブ ベドチンは正
    常細胞への影響を抑えつつCD79bに結合し、送達された化学療法剤によりB細胞を破壊すると考えられます。

(注7) RTD製剤及びRI製剤は、従来の凍結乾燥注射剤(FD)とは異なり既に液化された製剤です。RTD製剤(Ready
    To Dilute)は調剤作業を大幅に低減し、さらに急速静注であるRI製剤(Rapid Infusion)により点滴時間
    を従来の60分間から10分間に短縮することにより、FD製剤に比べ患者さんの負担を大幅に軽減し、さらには
    医療従事者に大きな付加価値を提供することが可能になります。

 [抗がん剤 SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:Rigosertib Sodium<リゴセルチブナトリ
ウム>)]
    リゴセルチブ注射剤については、導入元であるオンコノバ・セラピューティクス社(本社:米国ペンシルベ
  ニア州、以下「オンコノバ社」という)が、現在の標準治療である低メチル化剤による治療において効果が得
  られない、治療後に再発した、または低メチル化剤に不耐容性を示した高リスク骨髄異形成症候群(高リスク
  MDS)における全生存期間を主要評価項目として、全世界から20ヶ国以上が参加している国際共同第Ⅲ相臨床試
  験(INSPIRE試験)を実施しておりますが、2020年8月に医師選択療法との比較において主要評価項目を達成し
  なかったことを発表しました。当社は日本における臨床開発を担当しており、INSPIRE試験のゲノム解析から得
  られた知見を今後のリゴセルチブの開発に活用するための検討を進めてまいります。



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                         シンバイオ製薬株式会社(4582) 2020年12月期 第3四半期決算短信


  リゴセルチブ経口剤については、オンコノバ社が米国にて実施の、初回治療の高リスクMDSを目標効能とする
 第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(アザシチジン(注8)併用)において、リゴセルチブ経口剤とアザシチジンを併用した際の有
 効性および安全性が示唆されています。当社はリゴセルチブ経口剤の初回治療の高リスクMDSを目標効能とし
 て、単剤により高用量の安全性及び日本人での忍容性を確認するために2017年6月に国内第Ⅰ相臨床試験を開
 始し、2019年6月に症例登録を完了しております。

(注8) アザシチジン(ビダーザ®:販売元 日本新薬株式会社):2011年にMDSに対する第Ⅲ相臨床試験において、
    初めて生存期間の延長が認められたことから承認された低メチル化剤(注射用)で、現在、造血幹細胞移植
    が難しいMDS患者に対する第一選択薬として使用されています。MDSは一種の前白血病であり、その病態には
    DNAの過剰なメチル化による癌抑制遺伝子の発現の低下が大きく関係していると考えられています。アザシ
    チジンなどの低メチル化剤はDNAのメチル化を阻害する作用により癌抑制遺伝子の発現を回復させ白血病へ
    の進行を抑えると考えられています。

[抗ウイルス薬   SyB V-1901(一般名:Brincidofovir<ブリンシドフォビル>)]
   当社は2019年9月30日にキメリックス・インク社(本社:米国ノースカロライナ州、以下「キメリックス
 社」という)との間で抗ウイルス薬ブリンシドフォビルの注射剤及び経口剤(SyB V-1901、以下各々「BCV
 IV」及び「BCV Oral」という)(注9)に関しての独占的グローバルライセンス契約を締結し、天然痘疾患を除くす
 べての疾患を対象としたBCVの世界全域における開発・販売に加えて製造を含む独占的権利をキメリックス社か
 ら取得しております。
   当社は、2月に開催したグローバルアドバイザリーボードでの検討の結果、「空白の治療領域」でアンメット
 メディカルニーズの高い造血幹細胞移植後のアデノウイルス(AdV)感染症を対象に、日本/アメリカ/ヨーロ
 ッパを中心としたBCV IVのグローバル開発を優先的に進めることを決定しております。そして、当該試験によ
 り得られた有効性と安全性に関する知見に基づき、造血幹細胞移植後の各種DsDNAウィルス感染症に対する効果
 を検討し、抗マルチウイルス感染症へ対象領域を拡大し、更には腎臓移植を含む臓器移植分野等の対象領域拡
 大の可能性を追求することで、市場の拡大とBCVの事業価値の最大化を目指してまいります。現在、来期に開始
 予定の小児のBCV液剤の用量設定の試験開始に向けて、鋭意準備を進めております。
   本剤は既にキメリックス社による欧米における臨床試験においてBCV Oralが高活性の抗ウイルス効果を示し、
 また広域のスペクトラムを有することが確認されており、各種dsDNAウイルス(注10)に対する幅広い抗ウイルス活性
 は、BCV IVに関しても造血幹細胞移植後の各種ウイルス感染症の予防及び治療に対する有効性と安全性が期待
 されます。

(注9) ブリンシドフォビル(BCV)は、シドフォビル(CDV、欧米では既承認・販売の抗ウイルス薬、本邦は未承
   認)に脂肪鎖(ヘキサデシルオキシプロピル:HDP)が結合した構造となっており、速やかに脂質二重膜へ
   取り込まれ効率よく細胞内へ移行した後、細胞内ホスフォリパーゼによる代謝によって脂肪鎖が切り離さ
   れ、生成された活性化体(CDV-PP:CDV diphosphate)が細胞内で長時間保持される結果、抗ウイルス活性が
   飛躍的に向上した化合物です。また、HDP結合により、OAT-1トランスポーターによる腎尿細管上皮細胞への
   蓄積が生じないことに加え、CDVが血中に遊離するレベルは低いため、CDVの根本的問題であった腎毒性を回
   避できます。

(注10) dsDNAウイルス:CMV、AdV、HHV-6、BKウイルス、HSV1/2、VZV、HPV、JCV、天然痘ウイルスなど、ヘルペ
    スウイルス科、アデノウイルス科、ポリオーマウイルス科、パピローマウイルス科、ポックスウイルス科を
    含む。




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  [自己疼痛管理用医薬品 SyB P-1501]
    当社が2015年10月にザ・メディシンズ・カンパニー社(本社:米国ニュージャージー州、以下「MDCO」とい
   う)から導入したSyB P-1501(米国での商品名IONSYS)については、2017年10月11日に、MDCOが本製品に関す
   る事業を欧米市場から撤退することを決定したこと及びライセンス契約に基づくMDCOの履行について十分な保
   証を提供しなかったことに起因する82百万米ドルの損害賠償を求めて当社は国際商業会議所(以下「ICC」とい
   う)の規則に基づく仲裁を申し立てておりました。当社は2020年9月1日に、仲裁廷は、MDCO がライセンス契
   約に基づく履行について十分な保証を提供しなかったという当社の主張を認めず、当社の損害賠償請求を否定
   した一方で、当社が仲裁で回収しようとした弁護士費用及び諸費用の50%に相当する495万米ドルをMDCOが当社
   に支払うよう、判断した旨の最終結果が確定したことを公表しました。

 ② 海外事業
    SyB L-0501については、韓国、台湾、シンガポールにおいても販売されており、当社の製品売上は計画通り
   に推移しました。

 ③ 新規開発候補品の導入
    当社は2019年9月に導入した抗ウイルス薬ブリンシドフォビルのグローバル開発計画の推進に当面は注力す
   るものの、従来からの取り組みである常時複数のライセンス案件の検討と新薬開発候補品のライセンス権利取
   得に向けた探索評価の継続的な実施を通じて、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業として長期的な事
   業価値の創造を目指してまいります。

 ④ 経営成績
    以上の結果、当第3四半期累計期間の売上高は、トレアキシン®の製品販売等により、2,332,601千円となり、
   売上高全体で前年同期比16.2%増加となりました。
    一方、販売費及び一般管理費は、トレアキシン®の注射剤及びリゴセルチブの注射剤の臨床試験費用が発生し
   たこと等により、研究開発費として1,744,885千円(前年同期比11.5%減)を、自社販売体制の構築のための事
   前投資を含め、その他の販売費及び一般管理費として2,008,272千円(前年同期比5.6%減)を計上したことか
   ら、合計で3,753,157千円(前年同期比8.4%減)となりました。
    これらの結果、当第3四半期累計期間の営業損失は3,142,396千円(前年同期は営業損失3,536,352千円)と
   なりました。また、為替差損55,648千円、株式交付費23,203千円を主とする営業外費用81,103千円を計上した
   こと等により、経常損失は3,220,921千円(前年同期は経常損失3,641,904千円)となり、受取和解金525,145千
   円を計上したものの四半期純損失は2,694,284千円(前年同期は四半期純損失3,640,556千円)となりました。
    なお、当社の事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、
   セグメント別の記載を省略しています。

(2)財政状態に関する説明
    当第3四半期会計期間末における総資産は、売掛金が296,167千円、ソフトウエア仮勘定が94,791千円、未収
   消費税等が79,114千円、立替金が41,791千円、建設仮勘定が17,248千円減少した一方、現金及び預金が816,692
   千円、商品及び製品が360,803千円、ソフトウエアが163,142千円、工具、器具及び備品が17,227千円、前払費
   用が13,012千円、敷金及び保証金が10,275千円増加したこと等により、前事業年度末に比べ958,114千円増加
   し、6,232,069千円となりました。
    負債の部については、未払法人税等が55,541千円減少した一方、未払金が394,286千円、買掛金が20,583千円
   増加したこと等により、前事業年度末に比べ362,656千円増加し、1,236,495千円となりました。
    純資産の部については、四半期純損失の計上により利益剰余金が2,694,284千円、新株予約権が23,082千円減
   少した一方、資本剰余金が1,658,022千円、資本金が1,655,936千円増加したこと等により、前事業年度末に比
   べ595,458千円増加し、4,995,574千円となりました。
    この結果、自己資本比率は70.6%と前事業年度末に比べ1.1ポイント減少しました。


(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明
    2020年9月17日に修正しました2020年12月期の業績予想については、現時点で変更はありません。




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2.四半期財務諸表及び主な注記
(1)四半期貸借対照表
                                                       (単位:千円)
                              前事業年度             当第3四半期会計期間
                           (2019年12月31日)         (2020年9月30日)
資産の部
 流動資産
   現金及び預金                           3,910,830            4,727,522
   売掛金                                549,275              253,107
   商品及び製品                                  -               360,803
   前払費用                                94,002              107,014
   立替金                                 41,791                   -
   未収消費税等                             275,324              196,210
   その他                                 16,267              124,884
   流動資産合計                           4,887,491            5,769,542
 固定資産
   有形固定資産
     建物(純額)                            34,734               32,193
     工具、器具及び備品(純額)                     19,242               36,470
     建設仮勘定                             21,513                4,265
     有形固定資産合計                          75,491               72,929
   無形固定資産
     ソフトウエア                            94,974              258,116
     ソフトウエア仮勘定                        145,551               50,759
     無形固定資産合計                         240,525              308,876
   投資その他の資産
     子会社株式                                  0                    0
     敷金及び保証金                           70,446               80,722
     投資その他の資産合計                        70,446               80,722
   固定資産合計                             386,463              462,527
 資産合計                               5,273,955            6,232,069
負債の部
 流動負債
   買掛金                                120,913              141,496
   未払金                                639,482            1,033,769
   未払法人税等                              87,756               32,214
   その他                                 24,066               27,081
   流動負債合計                             872,219            1,234,562
 固定負債
   退職給付引当金                              1,619                1,933
   固定負債合計                               1,619                1,933
 負債合計                                 873,838            1,236,495




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            シンバイオ製薬株式会社(4582) 2020年12月期 第3四半期決算短信


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                     前事業年度             当第3四半期会計期間
                  (2019年12月31日)         (2020年9月30日)
純資産の部
 株主資本
   資本金                    14,870,639           16,526,575
   資本剰余金                  14,843,137           16,501,160
   利益剰余金                 △25,919,496          △28,613,781
   自己株式                     △15,077              △16,210
   株主資本合計                  3,779,202            4,397,744
 新株予約権                       620,913              597,830
 純資産合計                     4,400,116            4,995,574
負債純資産合計                    5,273,955            6,232,069




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               シンバイオ製薬株式会社(4582) 2020年12月期 第3四半期決算短信


(2)四半期損益計算書
 (第3四半期累計期間)
                                                      (単位:千円)
                    前第3四半期累計期間              当第3四半期累計期間
                     (自 2019年1月1日            (自 2020年1月1日
                     至 2019年9月30日)           至 2020年9月30日)
売上高                             2,008,048               2,332,601
売上原価                         ※  1,445,149            ※  1,721,840
売上総利益                             562,899                 610,760
販売費及び一般管理費                      4,099,251               3,753,157
営業損失(△)                        △3,536,352              △3,142,396
営業外収益
 受取利息                                 201                     130
 還付加算金                                 76                     120
 保険配当金                              1,282                   2,324
 受取保険金                              2,736                      -
 その他                                    0                       2
 営業外収益合計                            4,297                   2,578
営業外費用
 支払手数料                             7,904                      -
 株式交付費                             9,440                  23,203
 為替差損                             92,277                  55,648
 その他                                 227                   2,251
 営業外費用合計                         109,850                  81,103
経常損失(△)                       △3,641,904              △3,220,921
新株予約権戻入益                           4,197                   4,341
受取和解金                                 -                  525,145
特別利益合計                             4,197                 529,486
税引前四半期純損失(△)                  △3,637,706              △2,691,434
法人税、住民税及び事業税                       2,850                   2,850
法人税等合計                             2,850                   2,850
四半期純損失(△)                     △3,640,556              △2,694,284




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 (3)四半期財務諸表に関する注記事項
     (継続企業の前提に関する注記)
  該当事項はありません。


     (四半期損益計算書関係)
 ※    期末たな卸高は収益性の低下に伴う簿価切下後の金額であり、次のたな卸資産評価損が売上原価に含まれており
      ます。

                       前第3四半期累計期間         当第3四半期累計期間
                       (自 2019年1月1日       (自 2020年1月1日
                        至 2019年9月30日)      至 2020年9月30日)

                             187,840 千円           68,838千円
 上記は、トレアキシン®100mgの特定のバッチについて、品質不良により販売不能と判断したため、たな卸資産評価損
を計上したものです。

  (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)
  当社は、当第3四半期累計期間において、第33回、第36回、第37回、第38回、第40回、第41回、第47回及び第50回
 新株予約権の一部について、権利行使による新株の発行を行ったことにより、資本金が1,655,936千円増加、資本準備
 金が1,655,936千円増加し、自己株式の取得により自己株式が4,917千円増加しております。
  また、第33回、第36回及び第38回新株予約権の一部について、権利行使による自己株式の処分を行ったことにより、
 自己株式が3,259千円減少、その他資本剰余金が2,176千円増加しております。
  さらに、単元未満株主の売渡請求による自己株式の処分を行ったことにより、自己株式が525千円減少、その他資本
 剰余金が91千円減少しております。
  この結果、当第3四半期会計期間末において資本金が16,526,575千円、資本剰余金が16,501,160千円、自己株式が
 16,210千円となっております。


     (重要な後発事象)
      該当事項はありません。




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