4582 J-シンバイオ製薬 2020-08-05 15:30:00
2020年12月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(非連結) [pdf]

                 2020年12月期              第2四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)
                                                           2020年8月5日
上 場 会 社 名   シンバイオ製薬株式会社                  上場取引所                         東
コ ー ド 番 号   4582               URL https://www.symbiopharma.com/
代   表   者 (役職名) 代表取締役社長兼CEO (氏名) 吉田 文紀
問合せ先責任者 (役職名) 執行役員兼CFO      (氏名) 福島 隆章              (TEL) 03-5472-1125
四半期報告書提出予定日      2020年8月6日  配当支払開始予定日               ―
四半期決算補足説明資料作成の有無       :無
四半期決算説明会開催の有無          :有
 
                                                                                            (百万円未満切捨て)
1.2020年12月期第2四半期の業績(2020年1月1日~2020年6月30日)
(1)経営成績(累計)                            (%表示は、対前年同四半期増減率)
                            売上高                        営業利益            経常利益                     四半期純利益
                            百万円            %           百万円        %     百万円         %               百万円        %
    2020年12月期第2四半期          1,360     △32.1         △1,839 -          △1,883        -           △1,884         -
    2019年12月期第2四半期          2,004       4.0         △2,015 -          △2,069        -           △2,069         -
 
                                                   潜在株式調整後
                            1株当たり
                                                     1株当たり
                           四半期純利益
                                                    四半期純利益
                                       円   銭                  円   銭
  2020年12月期第2四半期       △62.47      -
  2019年12月期第2四半期       △95.58      -
 
(注1)当社は、2019年7月1日付で普通株式4株につき1株の割合で株式併合を行っております。前事業年度の期首
        に当該株式併合が行われたと仮定して、「1株当たり四半期利益」を算定しております。
(注2)潜在株式調整後1株当たり四半期純利益は、潜在株式は存在するものの1株当たり四半期純損失であるため記
 
        載しておりません。
(2)財政状態
                            総資産                        純資産            自己資本比率
                                       百万円                    百万円                       %
 2020年12月期第2四半期           6,585                           5,792                    78.9
 2019年12月期                5,273                           4,400                    71.7
(参考) 自己資本    2020年12月期第2四半期                      5,192百万円     2019年12月期            3,779百万円
 

 
 

2.配当の状況
                                                       年間配当金

                     第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                             期末            合計
                             円    銭            円   銭          円   銭       円   銭             円   銭
  2019年12月期        -     0.00                                     -        0.00             0.00
  2020年12月期        -     0.00
  2020年12月期(予想)                                                   -        0.00             0.00
(注) 直近に公表されている配当予想からの修正の有無 : 無
 
 
 

3.2020年12月期の業績予想(2020年1月1日~2020年12月31日)

                                                                                 (%表示は、対前期増減率)
                                                                                       1株当たり
                     売上高                営業利益                  経常利益             当期純利益
                                                                                       当期純利益
                     百万円      %            百万円         %       百万円    %           百万円           %            円 銭
     通期      3,404 20.0 △5,090 -                             △5,134   -       △4,803            -         △146.98
(注) 直近に公表されている業績予想からの修正の有無 : 無
 
※       注記事項
(1)四半期財務諸表の作成に特有の会計処理の適用                     :無
 

 

(2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
  ① 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更                       :無
     ②    ①以外の会計方針の変更                        :無
     ③    会計上の見積りの変更                         :無
     ④    修正再表示                              :無
 

 

(3)発行済株式数(普通株式)
  ① 期末発行済株式数(自己株式を含む)          2020年12月期2Q   35,181,381株    2019年12月期     26,437,681株

    ②     期末自己株式数              2020年12月期2Q        24,993株   2019年12月期        22,593株

    ③     期中平均株式数(四半期累計)       2020年12月期2Q   30,176,512株    2019年12月期2Q   21,655,982株
 
(注)当社は、2019年7月1日付で普通株式4株につき1株の割合で株式併合を行っております。前事業年度の期首に
   当該株式併合が行われたと仮定して、「期末発行済株式数」、「期末自己株式数」及び「期中平均株式数」を算
   定しております。
 

    ※    四半期決算短信は公認会計士又は監査法人の四半期レビューの対象外です
    ※    業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
        本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判
        断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。業績予想の
        前提となる条件及び業績予想のご利用にあたっての注意事項等については、添付資料5ページ「1.当四半期決算
        に関する定性的情報(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明」をご覧ください。
     
                     シンバイオ製薬株式会社(4582) 2020年12月期 第2四半期決算短信




○添付資料の目次



    1.当四半期決算に関する定性的情報 ……………………………………………………………………… 2

     (1)経営成績に関する説明 ……………………………………………………………………………… 2

     (2)財政状態に関する説明 ……………………………………………………………………………… 5

     (3)業績予想などの将来予測情報に関する説明 ……………………………………………………… 5

    2.四半期財務諸表及び主な注記 …………………………………………………………………………… 6

     (1)四半期貸借対照表 …………………………………………………………………………………… 6

     (2)四半期損益計算書 …………………………………………………………………………………… 8

        第2四半期累計期間 ………………………………………………………………………………… 8

     (3)四半期キャッシュ・フロー計算書 ………………………………………………………………… 9

     (4)四半期財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………… 10

       (継続企業の前提に関する注記) …………………………………………………………………… 10

       (四半期損益計算書関係) …………………………………………………………………………… 10

       (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) …………………………………………… 10

       (重要な後発事象) …………………………………………………………………………………… 10
 




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                            シンバイオ製薬株式会社(4582) 2020年12月期 第2四半期決算短信


1.当四半期決算に関する定性的情報
(1)経営成績に関する説明
   当第2四半期累計期間における当社事業の進捗状況は以下のとおりです。


 ① 国内事業
  [自社販売体制の構築について]
    当社は、販売委託先であるエーザイ株式会社(以下「エーザイ」という)との事業提携契約が2020年12月に
   満了となることから、2021年1月よりトレアキシン®の国内販売について自社による販売体制へ移行すること
   で、2021年度の収益化とその後の収益の持続的拡大を達成し、今後の事業展開を盤石なものとします。
    当第2四半期においては、自社販売体制における全国営業組織の構築を計画通り完了しました。全国営業組
   織の中核と位置づけているトレアキシンマネージャー及びリージョナルセールスマネージャーの追加採用と研
   修を予定通り完了し、当社が目指すより高度の専門性と豊富な経験に裏付けられた高い生産性をもつハイパフ
   ォーマンスの営業組織の構築は順調に進捗しております。2020年度上半期中の全国営業組織の構築完了に向け
   た総仕上げの段階へと大きく前進しました。また、前期より引き続き、東西物流センターを軸とする流通及び
   物流機能の整備に加えてERP等情報システムを含めた社内インフラの整備についても、総仕上げの段階へと着実
   に前進しております。

  [製品の不良品問題について]
    当社は現在、トレアキシン®の凍結乾燥注射剤をアステラス製薬株式会社の連結子会社であるアステラスドイ
   ッチランド社(以下「アステラスドイツ」という)から輸入しております。国内販売向けに2019年度に輸入し
   た一部のバッチに異物の混入及び外観不良の問題が起こり、その割合が両社間で締結した供給契約で定めた基
   準を著しく超えていたことを受けて、今後同様の品質問題を繰り返さないようアステラスドイツに対して厳重
   に抗議するとともに、供給元としての責務を果たすようCAPA(是正措置、予防措置)の設置を含めて強く
   要請してまいりました。しかしながら当上半期においても、アステラスドイツからの輸入した複数のバッチに
   おいて高い不良品率と不安定な納期は継続しており改善が見られません。そのために供給問題は継続している
   ため、当第2四半期のトレアキシン®の在庫レベルは前年同期と比べて依然として低い状態であり、その結果、
   当第2四半期の売上高は前年同期を下回りました。第3四半期においてはトレアキシン®の在庫レベルを可及的
   速やかに回復すべく、不良品率の低下と供給の安定化に向けた協議と要求事項に対する進捗管理を継続いたし
   ます。

  [抗がん剤 SyB L-0501(凍結乾燥注射剤) / SyB L-1701(RTD製剤) / SyB L-1702(RI製剤)(一般名:ベン
 ダムスチン塩酸塩、製品名:トレアキシン®)]
    未治療(初回治療)の低悪性度非ホジキンリンパ腫(低悪性度NHL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)
   (2016年12月に製造販売承認を取得)、再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫(注1)(低悪性度NHL)及びマ
   ントル細胞リンパ腫(MCL)(2010年10月に製造販売承認を取得)、慢性リンパ性白血病(CLL)(2016年8月
   に製造販売承認を取得)を適応症として悪性リンパ腫領域においては幅広く使われております。2018年7月に
   日本血液学会が発行した造血器腫瘍診療ガイドラインにトレアキシン®とリツキシマブの併用療法(BR療法)が
   新たに収載され、既承認のすべての適応症において、標準的治療の選択肢として推奨されることになりまし
   た。これにより名実ともに悪性リンパ腫における標準療法としてトレアキシン®が位置づけられました。
    また、低悪性度NHLの代表的な組織型であるCD20陽性の濾胞性リンパ腫(FL)に対して、リツキシマブのみな
   らず新規の抗CD20抗体製剤との併用に係わる一部変更の承認取得(2018年7月)により、オビヌツズマブ (注2)
   (2018年8月販売開始)との併用療法が治療選択肢として提供されていることに加え、腫瘍特異性T細胞輸注療
   法(注3)の前処置に関する一部変更の承認取得(2019年3月)により、国内初のキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)
   療法(注4)「キムリア®点滴静注」(注5) (2019年5月薬価収載)の前処置としてトレアキシン®の使用が可能となって
   おります。再生医療等製品の前処置としての使用方法の広がりによって悪性リンパ腫における標準療法として
   のトレアキシン®の位置づけはより強固なものとなりました。
    既に承認を取得した適応症に続く4つ目の適応症である再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫
   (r/r DLBCL)のBR療法による第Ⅲ相臨床試験については、試験成績の主要評価項目である奏効率において期待
   奏効率を上回る良好な結果が得られたことを基に、2020年5月に製造販売承認事項に係わる一部変更承認申請
   を行っております。また、中外製薬株式会社(以下「中外」という)が、r/r DLBCLを対象としたポラツズマブ
   ベドチン(注6)とBR療法との併用について2020年6月に製造販売承認申請を行ったことを受けて、2020年7月に当
   社はトレアキシン®とポラツズマブ ベドチン、リツキシマブとの併用療法に対する製造販売承認事項に係わる
   一部変更承認申請を行いました。当社及び中外の申請について双方とも承認取得後、ポラツヅマブ ベドチンが
   薬価収載され次第、ポラツズマブ ベドチンとBR療法との併用においてトレアキシン®の使用が可能となりま
   す。本追加適応症については、現在有効な治療方法がないため、救援化学療法として複数の抗がん剤を組み合


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                           シンバイオ製薬株式会社(4582) 2020年12月期 第2四半期決算短信


  わせた多剤併用療法が使われておりますが、これらは副作用が強いことから、副作用が少なく高い有効性が期
  待できる新たな治療薬の開発が切望されております。またBR療法につきましては、既に欧米において再発・難
  治性DLBCLの患者さんの治療に使われており、日本においても早期に使えるよう患者団体及び関係学会から厚生
  労働省に対して要望書が出ておりました。承認後、速やかに多くの患者さんの治療選択肢として浸透すること
  を期待しております。
   2017年9月にイーグル・ファーマシューティカルズ社(本社:米国ニュージャージー州)との間で日本にお
  ける独占的ライセンス契約を締結したトレアキシン®液剤(RTD製剤及びRI製剤(注7))については、RTD製剤は2019
  年9月に承認申請を完了しており、2021年第1四半期に発売を予定しております。RI製剤につきましては2018
  年11月に安全性の確認を主目的とした治験を開始し、2020年3月に症例の登録が完了しました。当治験終了後
  に早期に承認申請を行った上で2022年下半期の承認を予定しています。本製剤は、投与時間が、従来の凍結乾
  燥注射剤及びRTD製剤の60分に対して投与時間が10分間と大幅に短縮されるため患者さんと医療従事者の負担を
  大幅に低減することが可能となることから大きな付加価値を提供することができます。更には、液剤の製剤ラ
  イセンスによる複数の特許保護を通じてトレアキシン®の製品寿命を2031年まで延長し、当社事業の成長基盤を
  より強固なものとすることが可能となります。

(注1) 非ホジキンリンパ腫とは、白血球の中のリンパ球ががん化した悪性腫瘍である悪性リンパ腫のうち、ホジ
    キンリンパ腫以外の総称です。日本人の悪性リンパ腫では、大半を非ホジキンリンパ腫が占めています。

(注2) オビヌツズマブ(ガザイバ®:販売元 中外製薬株式会社):非ホジキンリンパ腫の治療薬として国内外の
    治療ガイドラインで推奨されているリツキシマブと同様、幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタン
    パク質であるCD20に結合する、糖鎖改変型タイプⅡ抗CD20モノクローナル抗体で、標的となるB細胞を直接、
    および体内の免疫系とともに攻撃し、破壊するようデザインされています。

(注3) 腫瘍特異性T細胞輸注療法とは、がん患者さん自身の腫瘍特異的T細胞(がん細胞を特異的に認識するT細
    胞)に、体外で人工的にがん特異性を付与し、細胞を増幅した後に患者さんに投与する療法です。

(注4) キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法は、腫瘍特異性T細胞輸注療法の中でも、腫瘍細胞上の膜抗原を認
    識する抗体の抗原結合部位とT細胞受容体の細胞内ドメインを組み合わせたキメラ抗原受容体(chimeric
    antigen receptor; CAR)をコードする遺伝子をT細胞に導入して増幅・輸注する療法です。CARの標的として
    B細胞上に発現するCD19を用いた臨床試験では、B細胞性腫瘍患者にCD19指向性CAR導入T細胞が投与され、著
    明な臨床効果が得られています。

(注5) キムリア®点滴静注(一般名 チサゲンレクルユーセル:販売元 ノバルティスファーマ株式会社):国内
    で初めて承認されたキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法で、再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リ
    ンパ芽球性白血病(B-ALL)および再発又は難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
    を適応症として2019年3月に製造販売承認を取得し、2019年5月に薬価収載されました。

(注6) ポラツズマブ ベドチン:シアトルジェネティクス社のADC技術を使用してロシュ社が開発した、ヒト化抗
    CD79bモノクローナル抗体とチューブリン重合阻害剤をリンカーで結合させた、ファーストインクラスの抗
    CD79b抗体薬物複合体(ADC: antibody-drug conjugate)です。 CD79bタンパクは、多くのB細胞で特異的に
    発現しており、新たな治療法を開発する上で有望なターゲットになり得ます。ポラツズマブ ベドチンは正
    常細胞への影響を抑えつつCD79bに結合し、送達された化学療法剤によりB細胞を破壊すると考えられます。

 (注7) RTD製剤及びRI製剤は、従来の凍結乾燥注射剤(FD)とは異なり既に液化された製剤です。RTD製剤
    (Ready To Dilute)は調剤作業を大幅に低減し、さらに急速静注であるRI製剤(Rapid Infusion)により
    点滴時間を従来の60分間から10分間に短縮することにより、FD製剤に比べ患者さんの負担を大幅に軽減し、
    さらには医療従事者に大きな付加価値を提供することが可能になります。

 [抗がん剤 SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:Rigosertib Sodium<リゴセルチブナトリ
ウム>)]
    リゴセルチブ注射剤については、導入元であるオンコノバ・セラピューティクス社(本社:米国ペンシルベ
  ニア州、以下「オンコノバ社」という)が実施している国際共同第Ⅲ相臨床試験(INSPIRE試験)の日本におけ
  る臨床開発を当社が担当しております。本試験は、現在の標準治療である低メチル化剤による治療において効
  果が得られない、治療後に再発した、または低メチル化剤に不耐容性を示した高リスク骨髄異形成症候群(高
  リスクMDS)を対象とし、全世界から20ヶ国以上が参加して実施しており、2020年3月に全世界における目標
  360症例の登録が完了した後、2020年7月に必要生存イベント数(required number of survival events)に到
  達したことをオンコノバ社は発表しました。同発表によれば2020年第3四半期中に主要評価項目の結果が明ら
  かになり、その後、年内に学会で試験結果を発表する予定となっております。この試験の成績を基に、欧米と



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                          シンバイオ製薬株式会社(4582) 2020年12月期 第2四半期決算短信


 同時期に日本での承認申請を行うことを計画しています。



   リゴセルチブ経口剤については、オンコノバ社が米国において初回治療の高リスクMDSを目標効能とする第
 Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(アザシチジン(注8)併用)を完了し、リゴセルチブ経口剤とアザシチジンを併用した際の有効
 性および安全性が示唆されています。当社はリゴセルチブ経口剤の日本人での忍容性及び安全性を確認するた
 めに2017年6月に国内第Ⅰ相臨床試験を開始し、2019年6月に症例登録を完了しました。同試験終了後、オン
 コノバ社が検討している初回治療の高リスクMDSを対象としたアザシチジンとの併用による国際共同試験に参加
 する予定です。本国際共同試験については2019年12月の第61回米国血液学会議(ASH: The American Society
 of Hematology)で発表されたデータを基に未治療高リスクMDSを対象とした第Ⅱ/Ⅲ相アダプティブ臨床試験
 (Phase 2/3 adaptive trial)のデザインを検討中であることをオンコノバ社は2019年12月に発表しておりま
 す。
(注8) アザシチジン(ビダーザ®:販売元 日本新薬株式会社):2011年にMDSに対する第Ⅲ相臨床試験において、
    初めて生存期間の延長が認められたことから承認された低メチル化剤(注射用)で、現在、造血幹細胞移植
    が難しいMDS患者に対する第一選択薬として使用されています。MDSは一種の前白血病であり、その病態には
    DNAの過剰なメチル化による癌抑制遺伝子の発現の低下が大きく関係していると考えられています。アザシ
    チジンなどの低メチル化剤はDNAのメチル化を阻害する作用により癌抑制遺伝子の発現を回復させ白血病へ
    の進行を抑えると考えられています。

[抗ウイルス薬    SyB V-1901(一般名:Brincidofovir<ブリンシドフォビル>)]
   当社は2019年9月30日にキメリックス・インク社(本社:米国ノースカロライナ州、以下「キメリックス
 社」という)との間で抗ウイルス薬ブリンシドフォビルの注射剤及び経口剤(SyB V-1901、以下各々「BCV
 IV」及び「BCV Oral」という)(注9)に関しての独占的グローバルライセンス契約を締結し、天然痘疾患を除くす
 べての疾患を対象としたBCVの世界全域における開発・販売に加えて製造を含む独占的権利をキメリックス社か
 ら取得しました。
   当社はBCVの独占的権利を取得して以来、グローバル開発計画の策定にあたり、国内外の感染症領域の専門家
 の方々と意見交換を重ね、複数の見解を踏まえつつ、科学的・医学的な妥当性とBCVの事業性評価について慎重
 に検討を進めた結果、「空白の治療領域」でアンメットメディカルニーズの高い造血幹細胞移植後のアデノウ
 イルス(AdV)感染症を対象に、日本/アメリカ/ヨーロッパを中心としたBCV IVのグローバル開発を優先的に
 進めることを決定しました。そして、当該試験の進展により得られた有効性と安全性に関する知見に基づき、
 造血幹細胞移植後のマルチウイルス感染症へ対象領域を拡大、更には腎臓移植を含む臓器移植分野等の対象領
 域拡大の可能性を追求することで、市場の拡大、BCVの事業価値の最大化を目指し、高品質の医薬品供給のため
 の一貫体制を備えたグローバルスペシャリティファーマへの転換を進めてまいります。
   本剤は既にキメリックス社による欧米における臨床試験においてBCV Oralが高活性の抗ウイルス効果を示し、
 また広域のスペクトラムを有することが確認されており、各種dsDNAウイルス(注10)に対する幅広い抗ウイルス活性
 は、BCV IVに関しても造血幹細胞移植後の各種ウイルス感染症の予防及び治療に対する有効性と安全性が期待
 されます。

(注9) ブリンシドフォビル(BCV)は、シドフォビル(CDV、欧米では既承認・販売の抗ウイルス薬、本邦は未承
    認)に脂肪鎖(ヘキサデシルオキシプロピル:HDP)が結合した構造となっており、速やかに脂質二重膜へ
    取り込まれ効率よく細胞内へ移行した後、細胞内ホスフォリパーゼによる代謝によって脂肪鎖が切り離さ
    れ、生成された活性化体(CDV-PP:CDV diphosphate)が細胞内で長時間保持される結果、抗ウイルス活性が
    飛躍的に向上した化合物です。また、HDP結合により、OAT-1トランスポーターによる腎尿細管上皮細胞への
    蓄積が生じないことに加え、CDVが血中に遊離するレベルは低いため、CDVの根本的問題であった腎毒性を回
    避できます。

(注10) dsDNAウイルス:CMV、AdV、HHV-6、BKウイルス、HSV1/2、VZV、HPV、JCV、天然痘ウイルスなど、ヘルペ
    スウイルス科、アデノウイルス科、ポリオーマウイルス科、パピローマウイルス科、ポックスウイルス科を
    含む。




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  [自己疼痛管理用医薬品 SyB P-1501]
    当社が2015年10月にザ・メディシンズ・カンパニー社(本社:米国ニュージャージー州、以下「MDCO」とい
   う)から導入したSyB P-1501(米国での商品名IONSYS)については、2017年10月11日に、MDCOによるライセン
   ス契約の不履行に起因して生じた損害の賠償として82百万米ドルの支払いを求める仲裁を国際商業会議所の規
   定に基づき申し立て、同社が欧米市場で本製品の事業活動の中止・撤退を決定したことに伴い、ライセンス契
   約に基づく義務の履行について十分な保証を当社に対して提供できなかったことはライセンス契約の重大な違
   反である旨仲裁で主張しておりました。2020年8月5日に、仲裁廷は当社が主張した損害賠償請求は認めない
   一方で、仲裁手続きにかかる弁護士費用を含めた諸費用の50%をMDCOが当社に支払う旨の仲裁判断について、
   当社は発表しました。MDCOも反対請求として当社の試験中止に対する損害賠償請求を行っておりましたが、仲
   裁廷はMDCOの反対請求及び関連費用の請求につき一切認めませんでした。なお、上記の諸費用の金額につきま
   しては、現在精査が行われており、最終確定までには最低でも数週間程度を要する見込みです。当社は仲裁廷
   の判断を詳細に精査した上で、当社の2020年12月期の業績予想に対する影響を慎重に検討いたします。

 ② 海外事業
    SyB L-0501については、韓国、台湾、シンガポールにおいても販売されており、当社の製品売上は計画通り
   に推移しました。

 ③ 新規開発候補品の導入
    当社は2019年9月に導入した抗ウイルス薬ブリンシドフォビルのグローバル開発計画の推進に当面は注力す
   るものの、従来からの取り組みである常時複数のライセンス案件の検討と新薬開発候補品のライセンス権利取
   得に向けた探索評価の継続的な実施を通じて、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業として長期的な事
   業価値の創造を目指してまいります。

 ④ 経営成績
    以上の結果、当第2四半期累計期間の売上高は、トレアキシン®の製品販売等により、1,360,648千円となり、
   売上高全体で前年同期比32.1%減少となりました。
    一方、販売費及び一般管理費は、トレアキシン®の注射剤及びリゴセルチブの注射剤、経口剤の臨床試験費用
   が発生したこと等により、研究開発費として833,697千円(前年同期比13.4%減)を、自社販売体制の構築のた
   めの事前投資を含め、その他の販売費及び一般管理費として1,336,143千円(前年同期比15.5%減)を計上した
   ことから、合計で2,169,841千円(前年同期比14.7%減)となりました。
    これらの結果、当第2四半期累計期間の営業損失は1,839,942千円(前年同期は営業損失2,015,102千円)と
   なりました。また、株式交付費22,896千円、為替差損18,985千円を主とする営業外費用43,377千円を計上した
   こと等により、経常損失は1,883,076千円(前年同期は経常損失2,069,366千円)、四半期純損失は1,884,976千
   円(前年同期は四半期純損失2,069,929千円)となりました。
    なお、当社の事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、
   セグメント別の記載を省略しています。

(2)財政状態に関する説明
    当第2四半期会計期間末における総資産は、売掛金が314,728千円、未収消費税等が139,809千円、立替金が
   27,066千円、建設仮勘定が17,713千円減少した一方、現金及び預金が1,498,867千円、商品及び製品が151,893
   千円、前払費用が43,753千円、ソフトウエア仮勘定が31,522千円、ソフトウエアが23,555千円、工具、器具及
   び備品が19,902千円、敷金及び保証金が10,936千円増加したこと等により、前事業年度末に比べ1,311,441千円
   増加し、6,585,397千円となりました。
    負債の部については、買掛金が72,990千円増加した一方、未払金が155,592千円減少したこと等により、前事
   業年度末に比べ80,888千円減少し、792,949千円となりました。
    純資産の部については、四半期純損失の計上により利益剰余金が1,884,976千円、新株予約権が21,251千円減
   少した一方、資本剰余金が1,650,573千円、資本金が1,648,467千円増加したこと等により、前事業年度末に比
   べ1,392,330千円増加し、5,792,447千円となりました。
    この結果、自己資本比率は78.9%と前事業年度末に比べ7.2ポイント増加しました。


(3)業績予想などの将来予測情報に関する説明
    2020年12月期の業績予想については、現時点で変更はありません。




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2.四半期財務諸表及び主な注記
(1)四半期貸借対照表
                                                       (単位:千円)
                              前事業年度             当第2四半期会計期間
                           (2019年12月31日)         (2020年6月30日)
資産の部
 流動資産
   現金及び預金                           3,910,830            5,409,697
   売掛金                                549,275              234,546
   商品及び製品                                  -               151,893
   前払費用                                94,002              137,755
   立替金                                 41,791               14,725
   未収消費税等                             275,324              135,515
   その他                                 16,267               48,289
   流動資産合計                           4,887,491            6,132,424
 固定資産
   有形固定資産
     建物(純額)                            34,734               33,040
     工具、器具及び備品(純額)                     19,242               39,144
     建設仮勘定                             21,513                3,800
     有形固定資産合計                          75,491               75,985
   無形固定資産
     ソフトウエア                            94,974              118,529
     ソフトウエア仮勘定                        145,551              177,073
     無形固定資産合計                         240,525              295,603
   投資その他の資産
     子会社株式                                  0                    0
     敷金及び保証金                           70,446               81,383
     投資その他の資産合計                        70,446               81,383
   固定資産合計                             386,463              452,972
 資産合計                               5,273,955            6,585,397
負債の部
 流動負債
   買掛金                                120,913              193,903
   未払金                                639,482              483,890
   未払法人税等                              87,756               88,499
   その他                                 24,066               24,860
   流動負債合計                             872,219              791,153
 固定負債
   退職給付引当金                              1,619                1,796
   固定負債合計                               1,619                1,796
 負債合計                                 873,838              792,949




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                                              (単位:千円)
                     前事業年度             当第2四半期会計期間
                  (2019年12月31日)         (2020年6月30日)
純資産の部
 株主資本
   資本金                    14,870,639           16,519,107
   資本剰余金                  14,843,137           16,493,711
   利益剰余金                 △25,919,496          △27,804,473
   自己株式                     △15,077              △15,559
   株主資本合計                  3,779,202            5,192,785
 新株予約権                       620,913              599,661
 純資産合計                     4,400,116            5,792,447
負債純資産合計                    5,273,955            6,585,397




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(2)四半期損益計算書
 (第2四半期累計期間)
                                                   (単位:千円)
                    前第2四半期累計期間            当第2四半期累計期間
                     (自 2019年1月1日          (自 2020年1月1日
                     至 2019年6月30日)         至 2020年6月30日)
売上高                           2,004,976              1,360,648
売上原価                          1,475,575              1,030,749
売上総利益                           529,400                329,898
販売費及び一般管理費                    2,544,503              2,169,841
営業損失(△)                      △2,015,102             △1,839,942
営業外収益
 受取利息                               101                    120
 還付加算金                               76                    120
 受取保険金                            2,736                     -
 その他                                 -                       2
 営業外収益合計                          2,914                    244
営業外費用
 支払手数料                            5,257                  1,495
 株式交付費                            9,282                 22,896
 為替差損                            42,411                 18,985
 その他                                227                     -
 営業外費用合計                         57,178                 43,377
経常損失(△)                      △2,069,366             △1,883,076
新株予約権戻入益                          1,336                     -
特別利益合計                            1,336                     -
税引前四半期純損失(△)                 △2,068,029             △1,883,076
法人税、住民税及び事業税                      1,900                  1,900
法人税等合計                            1,900                  1,900
四半期純損失(△)                    △2,069,929             △1,884,976




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(3)四半期キャッシュ・フロー計算書
                                                         (単位:千円)
                           前第2四半期累計期間           当第2四半期累計期間
                            (自 2019年1月1日         (自 2020年1月1日
                            至 2019年6月30日)        至 2020年6月30日)
営業活動によるキャッシュ・フロー
 税引前四半期純損失(△)                      △2,068,029           △1,883,076
 減価償却費                                 17,911               20,405
 株式報酬費用                                73,787               55,106
 退職給付引当金の増減額(△は減少)                        206                  177
 受取利息                                   △101                 △120
 為替差損益(△は益)                            55,734               20,272
 支払手数料                                  5,257                1,495
 株式交付費                                  9,282               22,896
 新株予約権戻入益                             △1,336                    -
 売上債権の増減額(△は増加)                       400,630              314,728
 たな卸資産の増減額(△は増加)                      533,824            △151,893
 前払費用の増減額(△は増加)                      △56,844              △45,249
 立替金の増減額(△は増加)                          3,311               27,066
 未収消費税等の増減額(△は増加)                      32,008              139,809
 その他の流動資産の増減額(△は増加)                       360             △32,022
 長期前払費用の増減額(△は増加)                       1,225                   -
 仕入債務の増減額(△は減少)                     △717,627                72,990
 未払金の増減額(△は減少)                        603,144            △155,565
 その他の流動負債の増減額(△は減少)                    12,023                1,536
 その他                                      440                  440
 小計                                △1,094,789           △1,591,002
 利息及び配当金の受取額                              101                  121
 法人税等の支払額                             △1,900               △1,900
 営業活動によるキャッシュ・フロー                  △1,096,587           △1,592,780
投資活動によるキャッシュ・フロー
 有形固定資産の取得による支出                      △6,596                △9,955
 無形固定資産の取得による支出                     △109,039              △68,451
 敷金及び保証金の差入による支出                          -               △11,377
 投資活動によるキャッシュ・フロー                   △115,636              △89,785
財務活動によるキャッシュ・フロー
 新株予約権の行使による株式の発行による収入              2,522,051            3,215,468
 新株予約権の発行による収入                             -                10,540
 株式の発行による支出                           △9,282              △20,494
 自己株式の取得による支出                              -               △4,129
 自己株式の処分による収入                              -                   321
 財務活動によるキャッシュ・フロー                   2,512,769            3,201,706
現金及び現金同等物に係る換算差額                     △55,734              △20,272
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)                 1,244,810            1,498,867
現金及び現金同等物の期首残高                      4,821,355            3,910,830
現金及び現金同等物の四半期末残高                    6,066,166            5,409,697




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                          シンバイオ製薬株式会社(4582) 2020年12月期 第2四半期決算短信


 (4)四半期財務諸表に関する注記事項
     (継続企業の前提に関する注記)
  該当事項はありません。


     (四半期損益計算書関係)
 ※    期末たな卸高は収益性の低下に伴う簿価切下後の金額であり、次のたな卸資産評価損が売上原価に含まれており
      ます。

                       前第2四半期累計期間         当第2四半期累計期間
                       (自 2019年1月1日       (自 2020年1月1日
                        至 2019年6月30日)      至 2020年6月30日)

                              187,840千円           68,838千円
 上記は、トレアキシン®100mgの特定のバッチについて、品質不良により販売不能と判断したため、たな卸資産評価損
を計上したものです。

     (株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)
  当社は、当第2四半期累計期間において、第33回、第36回、第37回、第38回、第40回、第41回、第47回及び第50回
 新株予約権の一部について、権利行使による新株の発行を行ったことにより、資本金が1,648,467千円増加、資本準備
 金が1,648,467千円増加し、自己株式の取得により自己株式が4,129千円増加しております。
  また、第33回、第36回及び第38回新株予約権の一部について、権利行使による自己株式の処分を行ったことにより、
 自己株式が3,259千円減少、その他資本剰余金が2,176千円増加しております。
  さらに、単元未満株主の売渡請求による自己株式の処分を行ったことにより、自己株式が387千円減少、その他資本
 剰余金が71千円減少しております。
  この結果、当第2四半期会計期間末において資本金が16,519,107千円、資本剰余金が16,493,711千円、自己株式が
 15,559千円となっております。


     (重要な後発事象)
      該当事項はありません。




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