4547 キッセイ薬 2020-12-10 16:30:00
GnRHアンタゴニスト「リンザゴリクス」の海外における子宮筋腫を対象とした第3相臨床試験の長期投与及び投与終了後の有効性と安全性の結果について [pdf]
2020 年 12 月 10 日
各 位
長野県松本市芳野19番48号
キッセイ薬 品 工 業 株 式 会 社
(コード番号 4547:東証第1部)
GnRH アンタゴニスト「リンザゴリクス」の海外における子宮筋腫を対象とした
第Ⅲ相臨床試験の長期投与及び投与終了後の有効性と安全性の結果について
キッセイ薬品工業株式会社(本社:長野県松本市、代表取締役会長兼最高経営責任者:神澤陸雄、以下「キッセイ薬品」)
は、キッセイ薬品が創製した GnRH アンタゴニスト「リンザゴリクス(一般名、国内開発番号 KLH-2109、海外開発番号
OBE2109)」について、導出先であるオブシーバ社(ObsEva SA、本社:スイス ジュネーブ、CEO:Brian O'Callaghan)が、
2020 年 12 月 10 日(欧州中央時間)に、子宮筋腫を対象とした 2 つの第Ⅲ相臨床試験(PRIMROSE 1 試験及び
PRIMROSE 2 試験)の結果を公表しましたことを、お知らせいたします。
PRIMROSE 試験は、子宮筋腫の患者さんを対象として、リンザゴリクス 1 日 1 回 100mg または 200mg の単独投与、
あるいは、アドバック療法(ABT)との併用投与における有効性及び安全性について検討した第Ⅲ相臨床試験です。今回公
表されたのは、PRIMROSE 1 試験における投与 52 週時の長期投与試験結果ならびに PRIMROSE 2 試験における 76
週時(投与後観察期間 24 週時)の結果です。
PRIMROSE 試験の主要評価項目は、月経出血量が 80mL 以下かつベースラインから 50%以上減少した症例のレスポ
ンダー率です。PRIMROSE 1 試験の 52 週投与においても、既に発表されている PRIMROSE 2 試験と同様の結果とな
り、両試験の併合解析におけるレスポンダー率は、100mg 単独投与群で 56.4%、200mgABT 併用群で 89.3%と良好な
結果が得られました。また、子宮体積及び筋腫核体積の推移をみると、リンザゴリクス 200mg を単独で 24 週間治療し、
その後 ABT を追加併用した群において、200mg 単独治療期間中の強力な子宮体積及び筋腫核体積の縮小が認められ
ました。この結果は、リンザゴリクスの高用量単独使用が、速やかな子宮体積及び筋腫核体積の縮小が必要な患者さん
に対し、ABT を併用せずに治療する選択肢となり得ることを支持するものとなりました。
PRIMROSE 2 試験では、投与終了 3 ヵ月後でも、リンザゴリクス投与群では投与開始前より痛みのスコアが低い状態
で維持されていました。
PRIMROSE 1 試験における投与 24 週から 52 週の安全性については、24 週までに高頻度に認められた有害事象(発
現率>5%)であるホットフラッシュ、頭痛及び貧血の発現は少なく、24 週を超えて継続投与した際の有害事象発現率はプ
ラセボと同程度でした。また、投与24 週から 52 週の腰椎骨密度については、100mg 単独投与群でプラセボと同程度の減
少にとどめられており、200mgABT 併用群ではより少ない変化となっていました。PRIMROSE 2 試験の 76 週(投与後観
察期間 24 週)時では、100mg 単独投与群、200mgABT 併用群ともに骨密度の回復が認められました。
なお、この PRIMROSE 試験においては、ビタミン D やカルシウム剤などのサプリメントは併用されていません。
オブシーバ社は、これらの臨床試験結果から、リンザゴリクスを、100mg 及び 200mg の単剤、ならびに 200mg と ABT
の併用療法の複数の治療選択肢を提供する唯一の GnRH アンタゴニストとして、欧州においては 2020 年 11 月に承認申
請しており、米国においても 2021 年上半期に承認申請する予定です。
オブシーバ社の公表内容の詳細につきましては、同社のホームページをご覧ください。
URL https://www.obseva.com/press-releases/
なお、本件が、キッセイ薬品の 2021 年 3 月期業績に与える影響は軽微です。
以上
≪ お 問 い 合 わ せ 先 ≫
広 報 部
TEL:0263-25-9523
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≪ご参考≫
リンザゴリクス(KLH-2109)について
リンザゴリクスは、キッセイ薬品が創製した経口投与が可能な GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アンタゴニストで
あり、脳下垂体に存在する GnRH 受容体において GnRH と拮抗し、性腺刺激ホルモンであるゴナドトロピンの分泌を抑
制することで、卵巣におけるエストロゲン産生を低下させます。キッセイ薬品は、2015 年 11 月にオブシーバ社に対し、
日本など一部のアジアを除く全世界における独占的開発・販売権を許諾しました。現在、オブシーバ社は子宮筋腫及び
子宮内膜症を各適応として、第Ⅲ相臨床試験をそれぞれ実施中です。このうち、子宮筋腫については、重度の月経出血
を有する患者さんを対象とした 2 つのプラセボ対照二重盲検比較試験(PRIMROSE 1 試験、PRIMROSE 2 試験)を実
施しています。
子宮筋腫を対象とする第Ⅲ相臨床試験(PRIMROSE 試験)について
PRIMROSE 1 試験及び PRIMROSE 2 試験は、子宮筋腫に伴う重度の月経出血の治療を目的として、リンザゴリク
ス 100mg 及び 200mg を 1 日 1 回単独投与及びアドバック療法(ABT)と併用する 2 つの投与方法による有効性及び
安全性を検討した前向き無作為化並行群間二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相試験です。PRIMROSE 1 試験は 574 人を対
象に米国で実施され、PRIMROSE 2 試験は 535 人を対象に欧米で実施されています。両試験とも、カルシウムまたは
ビタミン D の補給を行わない条件下で、52 週間の治療期間とその後 6 ヵ月間のフォローアップ期間が設定されていま
す。オブシーバ社は 2019 年 12 月に PRIMROSE 2 試験の投与 24 週時の中間解析結果を、2020 年 7 月には
PRIMROSE 1 試験の投与 24 週時の中間解析結果とともに PRIMROSE 2 試験の投与 52 週時の長期投与試験結果
を、それぞれ公表しています。
アドバック療法(ABT)について
薬剤による過度なエストロゲン低下を予防するために外因性にエストロゲンを補充する治療法で、治療効果を維持しつ
つ骨密度低下等の副作用を軽減することができます。PRIMROSE 試験では、1 日用量として estradiol 1mg と
norethindrone acetate 0.5mg を併用投与しています。
米国における子宮筋腫治療について
子宮筋腫は、子宮の筋肉組織に発生する良性腫瘍で、出産年齢の女性に多く見られる疾患です。過多月経や、貧血、疼
痛、骨盤内圧迫感、頻尿などの症状がみられ、生活の質に重大な影響を及ぼします。米国では、長期的な内科的治療は少
なく、結果的に、子宮筋腫に対して毎年約 30 万件の子宮摘出術が行われています。
オブシーバ社(ObsEva SA)について
オブシーバ社は、スイスに本社を置く、NASDAQ 上場(NASDAQ:OBSV)及びスイス証券取引所上場(SIX Swiss
Exchange:OBSN)の臨床開発に特化したバイオ医薬品企業です。女性の健康を損なう、あるいは、周産期における疾患
など産婦人科領域を重点ターゲットとし、戦略的なライセンスインと統制のとれた医薬品開発を通じて、子宮内膜症、子宮
筋腫、切迫早産の治療に焦点を当てた後期臨床パイプラインを構築し、積極的に新薬開発を行っています。
オブシーバ社の詳細については、公式ホームページ(https://www.obseva.com/)をご参照ください。
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