4507 塩野義薬 2020-03-06 11:30:00
Tetra Therapeutics社との新たな契約の締結について- 認知機能改善薬候補BPN14770に関する戦略的提携のさらなる強化 - [pdf]

                                                   2020 年 3 月 6 日
 各   位
                               会 社 名   塩 野 義 製 薬 株 式 会 社
                               代表者名    代表取締役社長      手 代 木      功
                                 (コード番号 4507 東証第一部)
                               問合せ先 広 報 部 長 京 川 吉 正
                                       TEL (06)6209-7885

           Tetra Therapeutics 社との新たな契約の締結について
     - 認知機能改善薬候補 BPN14770 に関する戦略的提携のさらなる強化 -


 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製
薬」または「当社」    )は、2018 年 12 月に Tetra Therapeutics(本社:米国ミシガン州、CEO:
Mark Gurney、以下「Tetra 社」
                      )との間で戦略的提携を結び、認知機能改善薬の候補品
BPN14770 の研究開発を推進してまいりましたが 1、この度、その提携を一層強化するため、新
たな出資契約および合併契約を Tetra 社との間で締結しましたので、お知らせいたします。

 Tetra 社が創製した BPN14770 は、記憶形成に関わる Phosphodiesterase 4D(PDE4D)を
標的とするネガティブアロステリックモジュレーターであり、これまで開発されてきた PDE4D
阻害薬で見られる嘔気等の副作用を回避しつつ、認知機能を改善することが期待されています。
BPN14770 は、非臨床試験において、アルツハイマー型認知症や脆弱 X 症候群の動物モデルで
の認知機能障害への改善効果が確認されており、臨床での認知機能低下を伴う様々な疾患に対す
る効果が期待されています。
 現在、Tetra 社によりアルツハイマー型認知症(Alzheimer’s Disease: AD)並びに脆弱 X 症
候群患者を対象とした Phase II 試験が米国で実施されていますが、AD を対象とした Phase II
試験(PICASSO AD 2)は当初の予定よりも早期に患者登録が完了し、2020 年 3 月中には結果
速報が得られる見込みです。

 これまでに得られている臨床および非臨床試験結果より、本薬は AD 患者をはじめとする認知
機能障害に対して高い効果を有する可能性とともに、ネガティブアロステリックモジュレーター
という特徴から、これまで開発されてきた PDE4D 阻害薬に見られる嘔気等の副作用懸念が小さ
いと当社では考えており、本薬に大きな期待を寄せています。また、Tetra 社の有する中枢神経
系の創薬ノウハウの当社研究開発への活用も期待しております。そこで、PICASSO AD の結果
速報取得前のタイミングであっても、Tetra 社との戦略的提携をさらに強化することに意義があ
ると考え、Tetra 社への出資比率を 50%まで引き上げる出資契約とともに、条件を満たした場合
には子会社化する合併契約を Tetra 社と新たに締結いたしました。

 塩野義製薬は、「創薬型製薬企業として社会とともに成長し続ける」ことを経営目標として掲
げた中期経営計画 SGS2020 の中で、「個人が生き生きとした社会創り」を当社が取り組むべき
社会課題の一つにあげております。当社は、Tetra 社とのさらなる提携強化を通じて、両社の強
みを最大化し、アンメットメディカルニーズの高い認知機能障害に対する画期的な治療薬を、世
界中の患者さまにいち早くお届けできるよう、引き続き努力してまいります。

 なお、本件が 2020 年 3 月期連結業績に与える影響は軽微です。
                                                           以   上


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【BPN14770 について】
     BPN14770 は、記憶形成に関わる Phosphodiesterase 4D(PDE4D)を標的とするネガティ
ブアロステリックモジュレーターです。PDE4D は、細胞内セカンドメッセンジャーである環状
ヌクレオチド cAMP を分解する酵素であり、BPN14770 は、神経細胞内のシグナル伝達系を制
御することで、認知機能を向上させることが示唆されています。
     BPN14770 は、非臨床試験において、脆弱 X 症候群における神経結合の成熟を促進するとと
もに、アルツハイマー病において障害される神経結合を保護することが示されています。
     現在 Tetra 社は、米国において軽度アルツハイマー型認知症を対象にした Phase II 試験、お
よび FDA よりオーファン指定を受けた脆弱 X 症候群患者を対象に Phase II 試験を実施中で
す。


【脆弱 X 症候群について】
     脆弱 X 症候群は、FMR1 遺伝子と呼ばれる遺伝子の異常により、幼少期から知能の障害など
が見られる疾患です。人種によらず男性では約 7,000 人に1人、女性では約 11,000 人に 1 人と
推定されています 3。有効で安全性の高い治療薬はなく、大きなアンメットメディカルニーズが
残されています。


【Tetra 社について】
     Tetra 社は、脆弱 X 症候群、アルツハイマー病、外傷性脳損傷、その他の脳疾患で苦しむ患者
さまに対する治療薬を開発するバイオテクノロジー関連の研究開発型企業です。タンパク構造を
ベースにしたドラッグデザインを行い、Phosphodiesterase 4(PDE4)に対する新規メカニズム
のネガティブアロステリックモジュレーターを探索しています。本社は米国ミシガン州にありま
す。詳細は Tetra 社のホームページをご覧ください。


参考:
1.    2018 年 12 月 19 日 プレスリリース
      新規認知機能改善薬の開発候補品 BPN14770 の導入に関する Tetra Discovery Partners 社
      とのライセンス契約および出資契約の締結について
2.    https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03817684
3.    Hunter J. Am J Med Genet 2014 Jul;164A(7):1648-58.




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