4507 塩野義薬 2019-11-25 15:00:00
抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ(R)錠20mg」の台湾における新発売について [pdf]

                                                    2019 年 11 月 25 日
 各 位
                                 会 社 名   塩 野 義 製 薬 株 式 会 社
                                 代表者名    代表取締役社長       手 代 木      功
                                   (コード番号 4507 東証第一部)
                                 問合せ先 広 報 部 長 京 川 吉 正
                                         TEL (06)6209-7885

      抗インフルエンザウイルス薬「紓伏效®(ゾフルーザ®)錠 20mg」の
               台湾における新発売について
 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」
または「当社」  )は、抗インフルエンザウイルス薬「紓伏效®(ゾフルーザ®)錠 20mg」
                                            (一般名:
バロキサビル マルボキシル、日本での製品名:ゾフルーザ®)   」につきまして、台湾において「成
人および 12 歳以上の小児の急性 A 型、 型インフルエンザウイルス感染症治療」
                      B                  を適応として、
本日新発売したことをお知らせいたします。

 ゾフルーザ®は、塩野義製薬が創製したキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬です。台湾食
品薬物管理局(TFDA)より 2019 年 8 月 28 日付けで承認を取得しました 1。本薬の台湾におけ
る販売は、当社の台湾子会社である台湾塩野義製薬股份有限公司(台湾塩野義)が行います。

 本薬の開発および販売は、現在 Roche グループとの提携下で進めており、日本と台湾における
販売は塩野義製薬が、それ以外の国では Roche グループが行います。本薬は日本で承認され、製
品名ゾフルーザ®として販売されています 2。米国では、              「12 歳以上の合併症のない急性のインフ
ルエンザウイルス感染症治療」を適応として、2018 年 10 月 25 日に本薬は承認され 3、米国疾病
予防管理センター(CDC: Centers for Disease Control and Prevention)のガイドラインにおい
て、12 歳以上の合併症のない発症後 48 時間以内の急性インフルエンザウイルス感染患者に対す
る治療薬として推奨されています 4。
 また、合併症を併発しやすいリスク要因をもつ 12 歳以上のインフルエンザ患者を対象とした
グローバル第 III 相臨床試験(CAPSTONE-2)5 における有効性および安全性の結果をもとに、
米国食品医薬品局(FDA)に新薬承認追加申請を実施し、2019 年 10 月 16 日に、抗インフルエ
ンザ薬として初めて、   「合併症を併発するリスクが高い 12 歳以上の患者の発症後 48 時間以内の
急性のインフルエンザウイルス感染症治療」の追加適応を承認されています 6。

 塩野義製薬は「創薬型製薬企業として社会とともに成長し続ける」ことを経営目標として掲げ
た中期経営計画 SGS2020 の中で、
                   「世界を感染症の脅威から守る」ことを当社が取り組むべき社
会課題の一つにあげております。人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を、世界中の患者
さまのもとにいち早くお届けできるよう努力してまいります。また、引き続き本薬の有効性、安
全性に関するデータの収集と解析に鋭意取り組み、適正使用に向けた情報提供活動に努めてまい
ります。

 なお、本件が 2020 年 3 月期連結業績に与える影響は軽微です。

                                                              以   上


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【ゾフルーザ®について】
 塩野義製薬が創製したゾフルーザ®は、   既存の薬剤とは異なる新しい作用機序であるキャップ依
存性エンドヌクレアーゼ阻害作用によりインフルエンザウイルスの増殖を抑制します。既存の薬
剤とは異なり、本薬は 1 回の経口投与で治療が完結します。ゾフルーザ®は前臨床試験において、
オセルタミビルに耐性を示すウイルスおよび、鳥インフルエンザウイルス(H7N9, H5N1)を含
むインフルエンザウイルスに抗ウイルス効果を示しました 7, 8。
 本薬は、  臨床試験にて確認された本薬に対し感受性が低下した PA/I38 アミノ酸変異株について
のデータも含め、各国規制当局による審査を受け、日米を含め複数の国で承認されております。
米国における詳細は XOFLUZA ホームページを、PA/I38 アミノ酸変異株についてはこれまでの
リリース(リリース①、リリース②)をご覧ください 9, 10。塩野義製薬では引き続きあらゆる面か
ら同変異株に関するデータを集積し、当局にデータを提供すると共に、学会や科学論文等を通じ
て最新の知見を医療関係者の皆様に提供してまいります。
 Roche グループは、1 歳未満の小児またはインフルエンザ症状が重篤化した入院患者を対象と
したグローバル第 III 相臨床試験、また本薬のインフルエンザウイルス伝播抑制効果について検
証するためのグローバル第 III 相臨床試験を実施中です。  また、 当社は本薬のインフルエンザウイ
ルス感染症の発症予防効果について検証し、第 III 相臨床試験において主要評価項目を達成して
おります 11。

【CAPSTONE-1 試験について】
  CAPSTONE-1 試験は、リスク要因を持たない健常のインフルエンザ患者を対象に行った無作
為化,多施設共同,並行群間,プラセボおよび実薬対照二重盲検比較試験で、計 1,436 人が登録
されました。本試験において XOFLUZA は、インフルエンザ症状の罹病期間をプラセボに対して
有意に短縮し(中央値:XOFLUZA 53.7 時間、プラセボ 80.2 時間、p<0.0001)、オセルタミビル
と変わらない効果を示しました(中央値:XOFLUZA 53.4 時間、オセルタミビル 53.8 時間)             。さ
らに本薬は、良好な忍容性と、プラセボおよびオセルタミビルと比較して低い有害事象の発現率
を示しました(有害事象発現率:XOFLUZA 20.7%、プラセボ 24.6%、オセルタミビル 24.8%)。
  CAPSTONE-1 試験ならびに第 II 相臨床試験の結果は、New England Journal of Medicine の
2018 年 9 月 6 日号に掲載されています 12。

【CAPSTONE-2 試験 5 について】
  CAPSTONE-2 試験は、 合併症を併発しやすいリスク要因をもつ 12 歳以上のインフルエンザ患
者を対象に実施した、多施設共同、無作為化、プラセボおよび実薬対照二重盲検比較の第 III 相臨
床試験です。     本グローバル試験は塩野義製薬が実施いたしました。    2,184 名の被験者が XOFLUZA
40 mg または 80 mg(体重により決定)の 1 回投与群、プラセボ、またはオセルタミビル 75 mg
1 日 2 回 5 日間投与群に無作為に割り当てられました。そのうち、1,163 名(53%)の被験者でイ
ンフルエンザウイルスへの感染が RT-PCR により確認されました      (A/H3N2 型:47.9%、A/H1N1
型:6.9%、B 型:41.6%)。本試験における主なリスク要因は、喘息または肺疾患(39.2%)       、65 歳
以上の高齢者(27.4%)   、内分泌疾患(13.5%)
                            、心疾患(12.7%)、極度の肥満(10.6%)でした。
本試験の主な結果は下記のとおりです。
・ XOFLUZA は、インフルエンザ罹病期間(インフルエンザ症状が回復するまでの時間)をプ
   ラセボに対して有意に短縮しました。     インフルエンザ罹病期間の中央値は、      プラセボ群の 102
   時間に対し、XOFLUZA 群では 73 時間でした(p<0.001)
                                     。
・ このうち B 型インフルエンザ感染患者では、XOFLUZA はインフルエンザ罹病期間をプラセ
   ボに対し有意に短縮しました。インフルエンザ罹病期間の中央値は、プラセボ群の 101 時間
   に対し、XOFLUZA 群では 75 時間でした。




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・ XOFLUZA の投与後に 1%以上の頻度で認められた有害事象は、 (3%) 気管支炎
                                     下痢    、   (3%)、
  吐き気(2%)  、副鼻腔炎(2%)、頭痛(1%)でした。XOFLUZA は良好な忍容性を示し、安
  全性上の新たな懸念はありませんでした。

【台湾塩野義製薬股份有限公司について】
  台湾塩野義製薬股份有限公司は、塩野義製薬の子会社として 1964 年に設立された、医療用
医薬品の研究開発・販売を行う台湾法人です。
                    「患者救命」という経営理念のもと、病に苦し
む患者さまに医薬品をお届けし、一人でも多くの命を救うとともに QOL 向上に貢献できる
よう取り組んでいます。既存の主力製品である抗生物質「フルマリン®」や「フィニバックス
®」、抗インフルエンザウイルス薬「ラピアクタ®」の販売拡大に加え、台湾への新薬投入にも
注力し、当社グループの中長期的な成長に貢献することを目指しています。

【インフルエンザについて】
   インフルエンザの世界的な流行は今なお公衆衛生上の懸念であり、世界的には、インフルエン
ザの流行により年間 300~500 万人が重症化し、65 万人が亡くなると報告されています 13, 14, 15,
16, 17。一般的に、2 歳未満の子供、65 歳以上の高齢者、妊婦および、心疾患、肺疾患、代謝性疾

患(例:糖尿病)       、免疫機能不全等の基礎疾患を持つ方は重症化および合併症を起こしやすいハイ
リスク患者に含まれます 18。台湾では毎年、人口の約 14%がインフルエンザまたは関連する肺炎
に罹患し、     治療を要することが報告されています 19。   インフルエンザは 11 月下旬から 3 月にかけ
て流行し、感染、入院、死亡等の健康への影響の度合いは年により異なります。台湾 CDC はイン
フルエンザの発生をモニターし、毎年 10 月から 3 月にかけインフルエンザについてレポート
(Influenza Express)を毎週発行しています。台湾では、外来患者のうち 0.5%は入院が必要とな
り、   そのうち 7%が重篤な合併症を発症し、    そのうち 20%が死亡することが報告されています 20。

参考:
1. 2018 年 8 月 29 日開示
   抗インフルエンザウイルス薬「紓伏效®(ゾフルーザ®)錠 20mg」の台湾における製造販売
   承認取得について
2. 2018 年 3 月 14 日開示
   抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ TM 錠 10mg・20mg」新発売のお知らせ
3. 2018 年 10 月 25 日開示
   「XOFLUZATM(一般名:バロキサビル マルボキシル)の米国における承認取得について
   -合併症のない急性のインフルエンザ感染症治療を適応として-」
4. 米国疾病予防管理センター(CDC)ガイドライン
   CDC website, Influenza Antiviral Medications: Summary for Clinicians.
5. 2018 年 10 月 4 日開示
   バロキサビル マルボキシルの臨床試験結果の学会発表について-IDWeek 2018 にて、重症
   化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつインフルエンザ患者を対象とした第 III 相
   臨床試験(CAPSTONE-2)の良好な結果を発表-
6. 2019 年 10 月 18 日開示
   抗インフルエンザウイルス薬 XOFLUZATM の米国における適応追加承認について-合併症
   を併発するリスクが高い患者のインフルエンザウイルス感染症治療を適応として-
7. T. Noshi et al. In vitro Characterization of Baloxavir Acid, a First-in-Class Cap-
   dependent Endonuclease Inhibitor of the Influenza Virus Polymerase PA Subunit.
   Antiviral Research 2018;160:109-117
8. K. Taniguchi et al. Inhibition of avian-origin influenza A(H7N9) virus by the novel cap-
   dependent endonuclease inhibitor baloxavir marboxil. Scientific Reports volume 9,
   Article number: 3466 (2019)

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9.    2019 年 9 月 2 日開示
      抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®の PA/I38 アミノ酸変異株に関する学会発表につい
      て
10.   2019 年 9 月 2 日開示
      抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®の PA/I38 アミノ酸変異株検出に関する特定使用成
      績調査の学会発表について
11.   2019 年 9 月 2 日開示
      抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®の第 III 相臨床試験(国内予防投与試験)におけ
      る良好な結果について-インフルエンザウイルス感染症の発症割合を 86%減少-
12.   2018 年 9 月 6 日開示
      抗インフルエンザウイルス薬バロキサビル マルボキシル 第 II 相、第 III 相臨床試験結果の
      New England Journal of Medicine 誌掲載について
13.   http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2017/seasonal-flu/en/       World     Health
      Organization website, Up to 650 000 people die of respiratory diseases linked to seasonal
      flu each year, Accessed December 14, 2017.
14.   http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs211/en World Health Organization website,
      Influenza (Seasonal), Accessed January 31, 2018.
15.   Baxter D. Evaluating the case for trivalent or quadrivalent influenza vaccines. Hum
      Vaccin Immunother. 2016; 12(10):2712-2717.
16.   https://www.cdc.gov/flu/about/disease/2015-16.htm CDC website, Estimated Influenza
      Illnesses, Medical Visits, Hospitalizations, and Deaths Averted by Vaccination in the
      United State. Accessed April 19, 2017.
17.   Nair H, et al. Global burden of respiratory infections due to seasonal influenza in young
      children: a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2011 Dec 3;378(9807):1917-30.
18.   https://www.cdc.gov/flu/about/disease/high_risk.htm CDC website, People at High Risk of
      Developing Flu–Related Complications, Accessed January 23, 2018.
19.   http://www.cdc.gov.tw/uploads/files/022dff92-4b8a-40ee-82e0-bf7800b59ce4.pdf       Taiwan
      CDC website, Practical Guideline for Prevention and Control of Seasonal Influenza,
      December 2017.
20.   http://www.cdc.gov.tw/english/info.aspx?treeid=e79c7a9e1e9b1cdf&nowtreeid=e02c24f0d
      acdd729&tid=9BA8ECA515DCAAF5 Taiwan CDC website, Influenza (Flu), Accessed
      November 25, 2014.




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