4507 塩野義薬 2019-11-15 15:00:00
FETROJA(R)(cefiderocol)の米国における新薬承認について [pdf]
2019 年 11 月 15 日
各 位
会 社 名 塩 野 義 製 薬 株 式 会 社
代表者名 代表取締役社長 手 代 木 功
(コード番号 4507 東証第一部)
問合せ先 広 報 部 長 京 川 吉 正
TEL (06)6209-7885
FETROJA®(cefiderocol)の米国における新薬承認について
-複雑尿路感染症に罹患し、他の治療薬が効かないもしくは効きにくいことが想定される
成人患者の治療を適応として-
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」
)
は、米国食品医薬品局(FDA)に新薬承認申請していた FETROJA®(一般名:cefiderocol)につ
いて、2019 年 11 月 14 日(米国東部時間)付で、
「他の治療選択肢が無いもしくは限られた 18 歳
以上の患者における、グラム陰性菌による腎盂炎を含む複雑尿路感染症治療」を適応として承認
を取得しましたのでお知らせいたします。グラム陰性菌のカルバペネム系抗菌薬への耐性獲得に
は主に 3 つの機序が関連しますが、FETROJA はそれらの影響を受けずに抗菌力を発揮する初の
ラクタム系抗菌薬です。
このたびの承認は、
主検証試験である複雑尿路感染症を対象とした国際共同試験(APEKS-cUTI)
と、副次試験であるカルバペネム耐性菌感染症を対象とした国際共同試験(CREDIBLE-CR)の
結果をもとに判断されました。
APEKS-cUTI 試験において FETROJA は、主要評価項目である投与終了時から約 7 日後の臨
床効果および細菌学的効果の複合有効率について、対照薬であるイミペネム/シラスタチン
(IPM/CS)に対する非劣性を示すと共に、優越性も示しました。また、FETROJA 群の有害事象
の発生率は重篤なものも含め IPM/CS 群より低く、FETROJA に対する良好な忍容性が確認され
ました。本試験の詳細はこちらのリリース 1 をご覧ください。
CREDIBLE-CR 試験は非盲検で実施され、FETROJA 群では FETROJA 単剤投与の割合が
82.5%であったのに対し、既存薬による最善の治療群では 2 または 3 剤による併用療法が 81.9%
であり、その多くにコリスチンを含んでいました。FETROJA は、主要評価項目である投与終了
時から 7 日後の臨床効果および細菌学的効果について、既存薬による最善の治療法と同程度の効
果を示しました。また、副次評価項目である投与開始 28 日後の全死因死亡率は、FETROJA 群で
24.8%(25/101 例)
、既存薬による最善の治療群で 18.4%(9/49 例)でした。FETROJA 群で死
亡率が高くなった原因は特定されていませんが、患者の死因の多くは感染症の悪化、合併症の併
発、基礎疾患によるものでした。なお、試験の責任医師、データ安全性モニタリング委員会、な
らびに死因裁定委員会からは、FETROJA の投与と死亡の関連性はないと判断されています。
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FETROJA は QIDP*に指定されており、米国での発売は 2020 年初めを予定しています。
* QIDP (Qualified infectious disease product):指定を受けることで優先審査の対象になるとともに、米国
市場における独占期間が 5 年間延長されます
グラム陰性菌による複雑尿路感染症の死亡率の高さは医療における課題となっており、当社は
FETROJA が重篤な感染症に対する有望な治療選択肢になると考えております。当社は「創薬型
製薬企業として社会とともに成長し続ける」ことを経営目標として掲げた中期経営計画
SGS2020 の中で、「世界を感染症の脅威から守る」ことを取り組むべき社会課題の一つにあげて
おります。人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を、世界中の患者さまのもとにいち早く
お届けできるよう、引き続き努力してまいります。
なお、本件が 2020 年 3 月期連結業績に与える影響は軽微です。
以 上
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【FETROJA®(cefiderocol)について】
FETROJAは、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して抗菌活性を発揮する
新規のシデロフォアセファロスポリン抗菌薬です。FETROJAは細菌のカルバペネムへの耐性獲
得に関連する3つの主な機序(ポーリンチャネルの変異による膜透過性低下、ラクタマーゼによ
る不活化、排出ポンプの過剰産生)による影響を受けずに抗菌力を発揮します。鉄と結合する独
自の構造を有することにより、細菌が養分である鉄を取り込むために利用する鉄トランスポー
ターを介し、細菌内に能動的に運ばれます2。その結果、FETROJAは細菌のペリプラズム内に
効率よく取り込まれ、細胞壁合成を効率的に阻害します2。またFETROJAは、ESBLs、
AmpC、セリン型及びメタロ型カルバペネマーゼなどの問題となっているβラクタマーゼを産生
する細菌に対してもin vitro活性を示します2。グローバルで実施した感受性サーベイランス試験*
において、FETROJAはカルバペネム系抗菌薬に耐性を示す緑膿菌、アシネトバクター・バウマ
ニ、ステノトロホモナス・マルトフィリアおよび腸内細菌科細菌を含むグラム陰性菌に対し、in
vitro下で広い抗菌スペクトルを示しました3。これに対して、FETROJAはグラム陽性菌および
嫌気性菌に対してのin vitro活性は強くありません。
当社は、欧州における製造販売承認も申請しており、2019年3月に受理されております4。
* サーベイランス試験 :医療機関より入手した臨床分離菌の薬剤感受性を調査する試験
【グラム陰性菌感染症について】
カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ、ステノトロホモナ
ス・マルトフィリアおよび腸内細菌科細菌を含むグラム陰性菌への有効な治療法は、重大なアン
メットメディカルニーズです 3, 5-8。多剤耐性グラム陰性菌が増加していることから、治療が困難
になっており、これらの感染による致死率も増加しています 9。米国では、年間少なくとも 280
万人が薬剤耐性菌に感染し、そのうち少なくとも 3 万 5 千人が死亡することが報告されています
10。また、欧州では、年間約 2 万 5 千人が多剤耐性菌への感染により死亡することが報告されて
います 11。カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す緑膿菌、アシネトバクター・バウマニおよび腸内
細菌科細菌を含むグラム陰性菌に対する新たな抗菌薬の研究開発は、世界保健機関および米国疾
病予防管理センターにより、最優先事項と考えられています 5, 10。
参考:
1. 2017 年 10 月 26 日リリース
新規シデロフォアセファロスポリン抗菌薬セフィデロコルの臨床試験結果
The Lancet Infectious Diseases 誌での掲載について
2. FETROJA® (cefiderocol) prescribing information. Florham Park, N.J. Shionogi Inc.:
November 2019.
3. M Hackel, M Tsuji, Y Yamano, et al. In Vitro Activity of the Siderophore Cephalosporin,
Cefiderocol, Against a Recent Collection of Clinically Relevant Gram-Negative Bacilli
from North America and Europe, Including Carbapenem Non-Susceptible Isolates: The
SIDERO-WT-2014 Study. Antimicrobial Agents Chemotherapy. 2017;61(9):e00093-17.
https://doi.org/10.1128/AAC.00093-17.
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4. 2019 年 4 月 1 日開示
新規注射用シデロフォアセファロスポリン抗菌薬セフィデロコルの欧州における製造販売承
認申請受理および Accelerated Assessment の指定について
5. World Health Organization. Global priority list of antibiotic-resistant bacteria to guide
research, discovery, and development of new antibiotics. February 27, 2017. Retrieved
from https://www.who.int/medicines/publications/global-priority-list-antibiotic-resistant-
bacteria/en/.
6. Diene SM, Rolain JM. Carbapenemase genes and genetic platforms in gram-negative
bacilli: Enterobacteriaceae, Pseudomonas and Acinetobacter species. Clin Microbiol
Infect 2014; 20:831−38.
7. Livermore DM. Current epidemiology and growing resistance of gram-negative
pathogens. Korean J Intern Med 2012; 27:128−42.
8. Brooke JS. Stenotrophomonas maltophilia: an emerging global opportunistic pathogen.
Clin Microbiol Rev 2012; 25:2−41.
9. Tangden T, Giske CG. Global dissemination of extensively drug-resistant
carbapenemase-producing Enterobacteriaceae: clinical perspectives on detection,
treatment and infection control. J Intern Med 2015; 277:501−12.
10. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Antibiotic Resistance Threats in the United
States 2019, Atlanta, GA: U.S. Department of Health and Human Services, CDC; 2019. Retrieved
from https://www.cdc.gov/drugresistance/pdf/threats-report/2019-ar-threats-report-508.pdf
11. European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC). Technical Report: the
bacterial challenge: time to react. 2009.
https://ecdc.europa.eu/sites/portal/files/media/en/publications/Publications/0909_TER_Th
e_Bacterial_Challenge_Time_to_React.pdf
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