4507 塩野義薬 2019-10-30 15:00:00
株式会社UMNファーマ株券等(証券コード:4585)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ [pdf]
2019 年 10 月 30 日
各 位
会 社 名 塩 野 義 製 薬 株 式 会 社
代表者名 代 表 取 締 役社 長 手 代 木 功
(コード番号 4507 東証第一部)
問合せ先 広 報 部 長 京 川 吉 正
TEL (06)6209−7885
株式会社 UMN ファーマ株券等(証券コード:4585)に対する公開買付けの開始に関する
お知らせ
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「公開買付者」
といいます。 は、
) 2019 年 10 月 30 日開催の取締役会において、以下のとおり、株式会社 UMN ファー
マ(本社:秋田県秋田市御所野湯本、代表取締役会長兼社長:平野 達義、以下「対象者」とい
います。)の普通株式(以下「対象者株式」といいます。)および本新株予約権(「本新株予約権」
および各新株予約権の名称については、下記「2.買付け等の概要」の「(3)買付け等の価格」
において定義します。)を公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により取得すること
を決議いたしましたので、お知らせいたします。
1.買付け等の目的等
(1)本公開買付けの概要
公開買付者は、本日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。
)の
開設する市場であるマザーズ市場に上場している対象者株式を 5,500,000 株(所有割合(注1):
31.08%)所有しております。株式取得の経過としまして、公開買付者は、2017 年 11 月 16 日に、
第三者割当(以下「2017 年第三者割当」といいます。)により対象者株式 600,000 株および第1
回無担保転換社債型新株予約権付社債 49 個(当該発行による潜在株式数 4,900,000 株)を引き受
け、その後、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債に係る新株予約権を全て行使したことか
ら、本日現在、対象者株式 5,500,000 株(所有割合:31.08%)を所有しております。
(注1)「所有割合」とは、対象者が 2019 年 10 月 30 日に公表した「2019 年 12 月期第3四半
期決算短信〔日本基準〕(非連結)(以下「対象者決算短信」といいます。
」 )に記載さ
れた 2019 年9月 30 日現在の対象者の発行済株式総数(15,296,500 株)に、2019 年
10 月3日に公開買付者がその所有する第1回無担保転換社債型新株予約権付社債に係
る新株予約権を行使したことにより交付された株式数(2,400,000 株)を加えた本日
現在の対象者の発行済株式総数(17,696,500 株。以下「本日現在の対象者の発行済株
式総数」といいます。)から、対象者決算短信に記載された 2019 年9月 30 日現在対象
者が所有する自己株式数(50 株)を控除した株式数(17,696,450 株)に対する対象者
株式の割合(小数点以下第三位を四捨五入。以下所有割合の計算に際して同じとしま
す。)をいいます。
1
今般、公開買付者は、2019 年 10 月 30 日開催の取締役会において、対象者株式(本新株予約権
の行使により交付される対象者株式を含み、公開買付者が所有する対象者株式および対象者が所
有する自己株式を除きます。)および本新株予約権の全てを取得し、対象者を公開買付者の完全子
会社とすることを目的とする取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを
実施することを決定いたしました。
本公開買付けにおいて、公開買付者は、買付予定数の下限を 6,322,000 株(所有割合:35.72%)
に設定しており、本公開買付けに応じて応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の
総数が買付予定数の下限(6,322,000 株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を
行いません。他方、本公開買付けは対象者を完全子会社化することを目的としておりますので、
買付予定数の上限は設けておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限以上の場合は、応募株
券等の全部の買付け等を行います。なお、買付予定数の下限(6,322,000 株)は、本日現在の対
象者の発行済株式総数(17,696,500 株)に、2019 年9月 30 日現在の第 21 回新株予約権を除く本
新株予約権の目的となる対象者株式数(36,500 株)を加え、対象者決算短信に記載された 2019
年9月 30 日現在対象者が所有する自己株式数(50 株)を控除した株式数(17,732,950 株)に係
る議決権の数(177,329 個)に3分の2を乗じた数(118,220 個、小数点以下を切り上げ)から、
公開買付者が本日現在所有する対象者株式数(5,500,000 株)に係る議決権の数(55,000 個)を
控除した議決権の数(63,220 個)に相当する対象者株式数(6,322,000 株)としており、いわゆ
る「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)(本日現在の対象者の発行済
」
株式総数(17,696,500 株)に、2019 年9月 30 日現在の第 21 回新株予約権を除く本新株予約権の
目的となる対象者株式数(36,500 株)を加え、対象者決算短信に記載された 2019 年9月 30 日現
在対象者が所有する自己株式数(50 株) 公開買付者が本日現在所有する対象者株式数
、 (5,500,000
株)を控除した株式数(12,232,950 株)に係る議決権の数(122,329 個)の過半数に相当する数
(61,165 個)に相当する対象者株式数(6,116,500 株))を上回るものとなります。
対象者が 2019 年 10 月 30 日付で公表した「塩野義製薬株式会社による当社株券等に対する公開
買付けに関する意見表明のお知らせ」(以下「対象者プレスリリース」といいます。)によれば、
対象者は 2019 年 10 月 30 日開催の取締役会において、本公開買付けに関して賛同の意見を表明す
るとともに、対象者の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨すること、本新株予約権
の保有者(以下「本新株予約権者」といいます。)の皆様のうち、第 21 回新株予約権に係る本新
株予約権者の皆様については、第 21 回新株予約権の買付け等の価格が、本公開買付けにおける対
象者株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)540 円と当該新株
予約権の対象者株式1株当たりの行使価額との差額に当該各新株予約権の1個の目的となる対象
者株式の数を乗じた金額に決定されていることから、本公開買付けに応募することを推奨し、他
方、第 21 回新株予約権に係る本新株予約権者を除く本新株予約権者の皆様については、買付け等
の価格が1円とされていることから、当該新株予約権に関して本公開買付けに応募するか否かに
ついては、当該新株予約権に係る新株予約権者の皆様のご判断に委ねることを決議したとのこと
です。詳細については、下記「(5)本公開買付価格の公正性を担保するための措置および利益相
反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤対象者におけ
る利害関係を有しない取締役全員の承認および利害関係を有しない監査役全員の異議のない旨の
意見」をご参照ください。
2
また、本公開買付けにおいて公開買付者が対象者株式(本新株予約権の行使により交付される
対象者株式を含み、公開買付者が所有する対象者株式および対象者が所有する自己株式を除きま
す。)および本新株予約権の全てを取得できなかった場合には、下記「(4)本公開買付け後の組
織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者は、対象者の
株主を公開買付者のみとするための一連の手続を実施することを予定しております。
(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的および意思決定の過程、ならびに本公
開買付け後の経営方針
①本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的および意思決定の過程
公開買付者は、1878 年3月に初代塩野義三郎薬種問屋を創業しました。1919 年6月に株式会社
に変更し(当時の商号は株式会社塩野義商店)、1943 年7月に塩野義製薬株式会社と改称し、1949
年5月に東京証券取引所、株式会社大阪証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。
)に株
式上場しました。東京証券取引所と大阪証券取引所の統合等に伴い、現在は東京証券取引所市場
第一部に株式上場しております。公開買付者は、
「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬
を提供する」という基本方針のもと、患者様やそのご家族の方々の QOL(Quality of Life:生活
の質)を向上していただくために、皆様にとってより一層満足度の高い医薬品をお届けすること
をミッションとして、医療用医薬品を中心に、一般用医薬品や診断薬の研究開発、製造、販売活
動を行っております。2014 年4月に、2020 年に向けた成長戦略となる中期経営計画「Shionogi
Growth Strategy 2020(SGS2020)」をスタートさせ、2016 年 10 月には、さらなる高みを目指す
ために、これを更新しました。更新した SGS2020 においては、
「創薬型製薬企業として社会ととも
に成長し続ける」ことをビジョンとして掲げ、
「感染症」と「疼痛・神経」を2大コア疾患領域と
定め、社会課題の解決に向けて取り組んでまいりました。感染症領域では、強みである低分子創
薬(分子量が数十から数百程度の医薬品の創製)を技術基盤としてこれまで、多剤耐性グラム陰
性菌感染症(複数の薬剤に対する耐性を併せ持つグラム陰性菌による感染症)治療薬候補セフィ
デロコルの開発推進、
「テビケイ」「トリーメク」をはじめとする HIV フランチャイズ(HIV 製品
、
群)の拡充を進めるとともに、2018 年3月期には新規抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ」
を発売しました。今後は、予防、診断、治療のための感染症パイプライン(感染症の医薬品候補
化合物群)
(注1)をさらに充実していく中で、新たな創薬基盤を拡大していくことを目指してお
ります。
(注1) パイプライン」
「 とは、新薬として開発している医薬品候補化合物群のことをいいます。
一方、対象者は、2004 年4月に未充足医療ニーズ(Unmet Medical Needs=UMN)(注2)を満た
す新規医療用医薬品の研究開発および製造販売を目的とする会社として設立されたとのことです。
対象者は「次世代バイオ医薬品自社開発事業」および「バイオ医薬品等受託製造事業」の2事業
を中心に展開しているとのことであり、
「次世代バイオ医薬品自社開発事業」とは、対象者がこれ
までに開発してきたバイオ医療品プラットフォーム(バイオ医薬品創製に関する標準化された技
術体系)の各種知見・ノウハウ・技術を活用したバイオ医療品・開発を行う事業であり、
「バイオ
医薬品等受託製造事業」とは、バイオ医薬品開発プロセスのうち、バイオ医薬品の CMC(注3)
開発・工業化検討に特化した初期開発段階にあるバイオ医薬品等原薬の受託製造、原薬製造工程
プロセス開発受託、工程規格試験等の各種品質管理に関する分析試験の規格化の業務受託、生産
拡大を目的とする工業化検討業務受託等を行う事業であるとのことです。
3
(注2)
「未充足医療ニーズ(Unmet Medical Needs=UMN)」とは、有効な治療法、医薬品がなく、
未だに満たされない医療上のニーズのことをいいます。
(注3)「CMC」とは、Chemistry,Manufacturing and Control の略称であり、原薬の製造法お
よび製剤化の研究、原薬および製剤の品質を評価する分析法研究などの医薬品製造お
よび品質を支える統合的な研究のことをいいます。
公開買付者と対象者は、2017 年 10 月 31 日に資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」
といい、当該契約に基づく資本業務提携を以下「本資本業務提携」といいます。
)を締結し、良好
な関係を継続してまいりました。業務提携においては、対象者の感染症予防ワクチンに関する各
種知見・ノウハウ・技術を用いて、共同でヒト用感染症予防ワクチンをはじめとするヒト用医薬
品の研究・開発・申請・販売を実現することで、両社の企業価値向上を目指しております。また、
資本提携においては、双方による業務提携への中長期的、戦略的なコミットメントをより強固に
することを目的として、公開買付者が業務提携の遂行に必要な研究開発資金および対象者の事業
維持のための運転資金の資金支援をすべく、上記「(1)本公開買付けの概要」に記載のとおり、
対象者は公開買付者に対して対象者株式および第1回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行
しております。
具体的には、本資本業務提携は、第1フェーズ(注4)および第2フェーズ(注5)の2段階
で構成されており、第1フェーズの 2019 年中の達成を目的として、対象者の感染症予防ワクチン
に関する各種知見・ノウハウ・技術を用いて、ヒト用感染症予防ワクチンをはじめとする創薬に
関する基盤技術整備と開発候補品の基礎的研究を推進しております。同時に公開買付者は、資本
提携として 2017 年第三者割当により、対象者株式 600,000 株および第1回無担保転換社債型新株
予約権付社債 49 個(当該発行による潜在株式数 4,900,000 株)を引き受けました。その後、公開
買付者は、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債に係る新株予約権を、それぞれ 2018 年 10
月 31 日と 2019 年 10 月3日に行使し、対象者株式をそれぞれ 2,500,000 株と 2,400,000 株取得い
たしました。本日現在、公開買付者は対象者株式を 5,500,000 株(所有割合:31.08%)所有して
おり、資本面においてもより強固な協力関係を維持しております。
(注4)
「第1フェーズ」とは、ヒト用感染症予防ワクチンをはじめとする創薬に関する基盤技
術整備と開発候補品の基礎的研究を推進することをいいます。
(注5)
「第2フェーズ」とは、ヒト用感染症予防ワクチンに係る開発候補品における技術の応
用を図り、研究、開発、製造、販売等の活動を推進することをいいます。第1フェー
ズにおいて一定の成果が得られたと両社が判断した時点より、第2フェーズへの移行
について協議することになっていたことから、2019 年7月下旬より、開発候補品から
開発品を選定し非臨床試験以降の本格開発・事業化を行うことを目的とした協議を開
始しております。
また、公開買付者は、第1フェーズ期間中において、業務提携開始日より2年間にわたり、半
年毎に定めた一定のマイルストーン(注6)条件の達成状況を確認した後、各マイルストーン
フィーを支払う定めとしております。公開買付者は、対象者がこれまでに計3回のマイルストー
ン条件を達成したことを確認し、それぞれに係るマイルストーンフィーを対象者に支払っており
ます。さらに公開買付者は、2019 年 10 月1日付で対象者が第4回のマイルストーン条件を達成
したことを確認しており、本資本業務提携は一定の成果を挙げながら進捗しているものと認識し
ております。
4
(注6)「マイルストーン」とは提携契約に基づき段階的に設定された達成指標をいいます。
以上のように、公開買付者と対象者は、本資本業務提携における研究開発活動の進展を通じて、
良好な関係を構築してまいりました。このような良好な関係の下で、第1フェーズで掲げた基盤
技術整備に関して当初の目的を概ね達成するに至っております。対象者とともに確立した基盤技
術は、本資本業務提携の目的であるヒト用感染症予防ワクチンをはじめとするバイオ医薬品の原
薬となるタンパクを製造する、遺伝子組換え技術を活用した技術プラットフォームであります。
また、開発候補品の基礎的研究においても、開発候補品の一つについて非臨床試験にて一定の効
果を確認するなど、開発品の選定に向けて、順調に進展しております。第1フェーズにおいて一
定の成果が得られたと両社が判断した時点より、第2フェーズへの移行について協議することに
なっていたことから、2019 年7月下旬より、開発候補品から開発品を選定し非臨床試験以降の本
格開発・事業化を行うことを目的とした協議を開始いたしました。
近年、医療費および薬剤費の抑制、超高齢社会における健康寿命延伸へのニーズや革新的な医
薬品の創出ハードルの高まり、ヘルスケアビジネスの多様化など、医薬品業界を取り巻く状況は
激しく変化しており、公開買付者および対象者は、よりグローバルな目線でこれらの変化に柔軟
に対応していくことが一層重要になっていると認識しております。
このような経営環境の中にあって、公開買付者は、感染症領域においては、いまだ治療法が確
立していない新興・再興感染症(過去にはみられなかった新興感染症(エボラ出血熱など)や、
一旦は封じ込めたかにみえたものの再び流行をみせている再興感染症(結核など))に対する新薬
を生み出すこと、薬剤の適正使用を推進することにより、新たな耐性菌・ウイルスの発生を防ぎ
つつ、患者様を治療すること、さらには予防から治療までの医療ニーズに対応することにより、
感染症で苦しまない世界を実現することが求められていると認識しております。この取り組みの
一環として、対象者との提携を発展させ、ワクチン事業参入に必要な新たな創薬基盤を獲得した
いと考えております。
一方、対象者も上記のような環境変化に対応すべく、より高い有効性および効率的な生産が可
能な付加価値の高い「次世代ロジカルワクチン」の創製を目指す「次世代バイオ医薬品自社開発
事業」ならびに安定的な収益確保実現を目指す「バイオ医薬品等受託製造事業」の2事業を中心
に取り組んでいるとのことです。しかしながら、対象者におきましては、2018 年 12 月期決算に
おいて当期純損失7億 28 百万円、営業キャッシュ・フローは5億 78 百万円のマイナスとなって
いるとのことです。2019 年 10 月3日に公開買付者が第1回無担保転換社債型新株予約権付社債
に係る新株予約権の全部を行使したことにより、2019 年 12 月末時点の対象者の財務状態につい
ては債務超過にならない見通しですが、公開買付者は、対象者においては継続企業の前提に重要
な疑義を生じさせるような事象または状況の存在が継続しており、当該状況下ではパイプライン
の承認取得・販売開始の早期実現に向けた積極的な研究開発活動が安定的に継続できないものと
認識しております。公開買付者は、各国における医療保険財政の悪化に伴う費用対効果の追求と、
医薬品に対する価格圧力の高まり、後発医薬品の急速な普及など、市場の環境が厳しさを増す中、
上述の目まぐるしい環境変化に対応しグローバルでの新薬開発競争を勝ち抜き、中長期的な成長
を実現するためには、公開買付者の注力領域である感染症領域のさらなる発展が不可欠であると
考えております。公開買付者は、本取引の実施を契機として、本資本業務提携で進めてきた開発
候補品の研究開発を促進することにより、ワクチン事業に本格的に参入するための新たな創薬基
5
盤を獲得し、日本および世界における公衆衛生の向上に貢献することを目指したいと考えており
ます。また公開買付者は、対象者においても、ヒト用感染症予防ワクチンをはじめとする「次世
代ロジカルワクチン」事業を継続的に発展させていく体制を迅速に構築し、パイプラインの承認
取得・販売開始の早期実現および収益体制の強化を行う必要があると認識しております。公開買
付者および対象者は、本資本業務提携に係る基盤技術整備および開発候補品の基礎的研究が順調
に進展していたことから、ヒト用感染症予防ワクチンに係る開発候補品における技術の応用を図
り、研究、開発、製造、販売等の活動を推進することを目的とする第2フェーズへの移行に向け
て、2019 年7月下旬より検討を開始し、独占的ライセンス契約その他の形態による協業に関する
契約について協議を進めました。公開買付者は、これまでも研究開発費用や感染症領域における
人材・技術・ノウハウなどの経営資源を提供してまいりましたが、現在の所有割合では、対象者
に共有することのできる経営資源が本資本業務提携契約に基づく範囲に限定されている点に、協
業推進上の課題を感じておりました。その中で、公開買付者は、開発候補品ごとの業務提携では
なく、対象者が有するワクチンに関連する全てのアセットを獲得し事業化を進めていくことで、
従来に比して積極的かつ柔軟に公開買付者の経営資源を投入することを検討でき、本事業におけ
る迅速な意思決定が可能となると考えました。公開買付者は、公開買付者と対象者が研究開発体
制および製造・販売体制を統合し、事業の活性化および効率化を図ることが不可欠であると考え、
2019 年8月上旬に対象者に対して本取引に関する提案を実施しました。
公開買付者は、本取引後の具体的な施策、事業シナジーとして、以下を想定しております。
(ⅰ)本取引により、公開買付者および対象者が感染症領域において独自に有する知見・技術・
資材・ノウハウ等が統合され、それらの多様性および深度が増すことにより、相互補完
の効果が期待できます。また、これらの利用機会を最大化することにより、研究開発品
の製品価値最大化および研究開発の成功確率を増大させることに繋がることが期待でき
ます。
(ⅱ)本取引により、対象者は公開買付者より当該事業に係る研究開発費等の必要なリソース
を獲得し、研究開発スピードの促進が可能になります。加えて、生産的かつ効率的な研
究開発活動を行うことにより、対象者の中長期的なキャッシュ・フローの生成およびバ
ランス・シートの健全化が期待できます。
(ⅲ)本取引により、対象者は、公開買付者のネットワークやパートナリング戦略に関するノ
ウハウを活用し、また対象者の知名度向上に伴う優秀な従業員確保により、新たな事業
機会の創出ならびに事業拡大を行う機会がさらに増加することが期待できます。
公開買付者は、上記の施策およびシナジーを実現するにあたって、機動的な経営体制のもとで
大胆かつ柔軟な意思決定を迅速に下していくことが重要であると考えております。また、対象者
の現在の財務状況に鑑みると、株式の上場を維持するために必要なコスト(株主総会の運営や株
主名簿管理人への事務委託に係る費用および金融商品取引法上の有価証券報告書等の継続開示に
係る費用)が対象者の経営上の負担になる可能性も否定できないと考えております。加えて、公
開買付者は、これまでも研究開発費用や感染症領域における人材・技術・ノウハウなどの経営資
源を提供してまいりましたが、現在の所有割合では、対象者に共有することのできる経営資源は
本資本業務提携契約に基づく範囲に限定されております。一方で、公開買付者は、対象者を完全
子会社とした場合には、従来に比して積極的かつ柔軟に経営資源を投入することが可能となりま
6
す。以上のことから、公開買付者は、すべての課題に対処する最良の施策として、本取引を通じ
た対象者の完全子会社化が必要であると考えております。
対象者においては、2019 年8月上旬、公開買付者よりかかる提案を受け、対象者および公開買
付者から独立した第三者算定機関としてのファイナンシャル・アドバイザーとして SMBC 日興証券
株式会社(以下「SMBC 日興証券」といいます。、リーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・
)
毛利・友常法律事務所をそれぞれ選任し、さらに、2019 年9月 20 日、本取引に関する提案を検
討するための対象者取締役会の諮問機関として特別委員会を設置したとのことです。
(委員の構成
その他具体的な諮問事項等については、下記「(5)本公開買付価格の公正性を担保するための措
置および利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」 「③
の
対象者における独立した特別委員会の設置および答申書の取得」をご参照ください。。上記体制
)
の下で、対象者は、SMBC 日興証券から取得した対象者株式の株式価値算定書の内容およびリーガ
ル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた法的助言を踏まえつつ、
特別委員会から提出された答申書の内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の一
連の手続および本取引に関する諸条件について、対象者の企業価値向上の観点から慎重に協議お
よび検討を行ったとのことです。対象者は、公開買付者が想定する事業シナジーに加え、公開買
付者が長年にわたり蓄積してきた開発、製造、薬事、商業化に関する知見、ノウハウ、ネットワー
クを最大限活用し、対象者の自社開発パイプライン以外の新たな開発パイプラインに対する研究
開発機会を獲得することが期待できるのみならず、基盤技術を活用して、将来的には感染症以外
の予防ワクチン分野や治療ワクチン分野への参入機会を得ることにより、さらなる事業拡大が期
待できるものと考えているとのことです。
対象者は、今後のさらなる事業拡大を実現するためには、下記「(5)本公開買付価格の公正性
を担保するための措置および利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保す
るための措置」の「②対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に
記載のとおり、相当規模の先行投資資金が必要になると見込んでおり、完全子会社化によって公
開買付者の資産等を活用することが必要と考えているとのことです。対象者は、それらの検討を
踏まえ、2019 年8月下旬以降、公開買付者との間で協議を重ねた結果、2019 年 10 月1日、本取
引により対象者が公開買付者の完全子会社となることが、対象者の企業価値の一層の向上が見込
まれる最善の選択肢であるとの結論に至ったとのことです。
以上のように、公開買付者および対象者は、両社の提携関係をさらに強化し、上記施策を迅速
に実行することが、両社の企業価値の最大化に繋がると考えており、そのためには、対象者を公
開買付者の完全子会社とすることが最良の選択であるとの考えで 2019 年 10 月1日に一致したこ
とから、公開買付者は 2019 年 10 月 30 日開催の取締役会において、公開買付者による対象者の完
全子会社化を目的とした本公開買付けを実施することを決議いたしました。
②本公開買付け後の経営方針
公開買付者は、本公開買付けの成立後には、上記「①本公開買付けの実施を決定するに至った
背景、目的および意思決定の過程」に記載のとおり、対象者における研究開発の促進などの施策
を実行することにつき、対象者と改めて協議を行った上で、対象者の企業価値向上に資する施策
を講じて参りたいと考えております。
7
今後の対象者の役員体制につきましては、本日現在において未定ではありますが、今後対象者
と協議の上、上記諸施策の実行や経営基盤のさらなる強化に向けた最適な体制の構築を検討して
いく予定です。また、本公開買付け成立後の対象者の従業員の雇用に関しては、原則として引き
続き同水準の処遇にて雇用を継続することを予定しております。
(3)本公開買付けに関する重要な合意
該当事項はありません。
(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
公開買付者は、上記「(1)本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにおいて公開
買付者が対象者株式(本新株予約権の行使により交付される対象者株式を含み、公開買付者が所
有する対象者株式および対象者が所有する自己株式を除きます。 および本新株予約権の全てを取
)
得できなかった場合には、本公開買付け成立後、以下の方法により、公開買付者が対象者株式(本
新株予約権の行使により交付される対象者株式を含み、公開買付者が所有する対象者株式および
対象者が所有する自己株式を除きます。 および本新株予約権の全てを取得するための一連の手続
)
を実施することを予定しています。
公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者の所有する対象者の議決権の合計数が
対象者の総株主の議決権の数の 90%以上となった場合には、本公開買付けの決済完了後速やかに、
会社法(平成 17 年法律第 86 号。その後の改正を含みます。以下同じとします。)第 179 条に基づ
き、対象者の株主(公開買付者および対象者を除きます。 の全員
) (以下「売渡株主」といいます。)
に対し、その所有する対象者株式の全部を売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいま
す。)するとともに、併せて、本新株予約権者の全員(以下「売渡新株予約権者」といいます。)
に対し、その有する本新株予約権の全部を売り渡すことを請求(以下「新株予約権売渡請求」と
いい、株式売渡請求と併せて「株式等売渡請求」と総称します。)する予定です。株式売渡請求に
おいては、対象者株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対し
て交付することを定める予定であり、また、新株予約権売渡請求においては、本新株予約権1個
当たりの対価として、本公開買付けにおける当該本新株予約権1個当たりの買付け等の価格(以
下「本新株予約権買付価格」といいます。)と同額の金銭を対象者の売渡新株予約権者に対して交
付することを定める予定です。この場合、公開買付者は、その旨を対象者に通知し、対象者に対
して株式等売渡請求の承認を求めます。対象者が取締役会の決議により当該株式等売渡請求を承
認した場合には、関係法令の定める手続に従い、売渡株主および売渡新株予約権者の個別の承諾
を要することなく、公開買付者は、当該株式等売渡請求において定めた取得日をもって、①売渡
株主からその所有する対象者株式の全部および②売渡新株予約権者が所有する本新株予約権の全
部を取得します。なお、対象者プレスリリースによれば、対象者は、公開買付者より当該株式等
売渡請求がなされた場合には、対象者の取締役会にてかかる株式等売渡請求を承認する予定との
ことです。
他方で、本公開買付けの成立により公開買付者が所有する議決権の合計数が対象者の総株主の
議決権の数の 90%以上に至らなかった場合には、公開買付者は、対象者株式の併合を行うこと(以
下「株式併合」といいます。)および株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止す
る旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」とい
8
います。)の開催を対象者に要請する予定です。対象者は、公開買付者からかかる要請を受けた場
合には、かかる要請に応じる予定とのことです。なお、公開買付者は、本臨時株主総会において
上記各議案に賛成する予定です。本臨時株主総会において株式併合の議案についてご承認をいた
だいた場合には、株式併合がその効力を生ずる日において、対象者の株主は、本臨時株主総会に
おいてご承認をいただいた株式併合の割合に応じた数の対象者株式を所有することとなります。
株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、株主に対して、会社
法第 235 条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満た
ない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。)に相当する対象者株式を対象者または
公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計
数に相当する対象者株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかっ
た対象者の株主(公開買付者および対象者を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価
格に当該対象者の株主が所有していた対象者株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上
で、裁判所に対して任意売却許可の申立てが行われる予定です。また、対象者株式の併合の割合
は、本日において未定ですが、公開買付者で、対象者株式の全てを所有することとなるよう、本
公開買付けに応募されなかった対象者の株主(公開買付者を除きます。
)の所有する対象者株式の
数が1株に満たない端数となるように決定される予定です。
なお、株式等売渡請求がなされた場合については、会社法第 179 条の8その他関係法令の定め
に従って、対象者の株主および本新株予約権者は、その有する対象者株式および本新株予約権の
売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められています。また、株式併合が
なされた場合であって、株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるとき
は、会社法第 182 条の4および第 182 条の5その他の関係法令の定めに従い、対象者の株主は、
対象者に対し、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で
買い取ることを請求することができる旨および対象者株式の価格の決定の申立てを行うことがで
きる旨が会社法上定められています。
上記①および②の各手続については、関係法令についての改正、施行、当局の解釈等の状況等
によっては、実施に時間を要し、または実施の方法に変更が生じる可能性があります。ただし、
その場合でも、本公開買付けに応募されなかった対象者の株主(公開買付者および対象者を除き
ます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該対象
者の株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該対象者の株主が所有していた
対象者株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定です。また、本公開買付けに応募さ
れなかった対象者の本新株予約権者に対して金銭を交付する場合には、本公開買付けにおける本
新株予約権買付価格に当該本新株予約権者が所有していた対象者の本新株予約権の数を乗じた価
格と同一になるよう算定する予定です。もっとも、株式等売渡請求に関する売買価格の決定の申
立てまたは株式併合についての株式買取請求に関する価格の決定の申立てがなされた場合におい
て、対象者株式および本新株予約権(株式併合については対象者株式)の売買価格または株式買
取請求に関する価格は、最終的に裁判所が判断することになります。
また、公開買付者は、本公開買付けの成立後、公開買付者の所有する対象者の議決権の合計数
が対象者の総株主の議決権の数の 90%未満である場合で、本公開買付けにおいて本新株予約権の
全てを取得できなかったときには、本公開買付け後の株式併合手続において本新株予約権の全て
を取得できないため、対象者に、本新株予約権の取得、本新株予約権者に対する本新株予約権の
9
放棄の勧奨その他本取引の実行に合理的に必要な手続を実施することを要請し、または実施する
予定です。
なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における対象者の株主の皆様の賛同を勧誘するもので
は一切ありません。また、本公開買付けへの応募または上記の各手続における税務上の取扱いに
ついては、対象者の株主の皆様および本新株予約権者の皆様が自らの責任にて税務専門家にご相
談いただきますようお願いいたします。
(5)本公開買付価格の公正性を担保するための措置および利益相反を回避するための措置等、
本公開買付けの公正性を担保するための措置
本公開買付けは、東京証券取引所の企業行動規範に定める「支配株主との重要な取引等」に該
当する公開買付けではありません。もっとも、公開買付者が本公開買付けを含む本取引を通じて
対象者の完全子会社化を企図していること、ならびに、公開買付者が、本日現在において、対象
者株式 5,500,000 株(所有割合 31.08%)を所有し、対象者の筆頭株主であること等を考慮して、
公開買付者および対象者は、本公開買付けの公正性を担保するための措置および利益相反を回避
するための措置として、以下の措置を実施いたしました。なお、以下の記載のうち、対象者にお
いて実施した措置については、対象者プレスリリースおよび対象者から受けた説明に基づくもの
です。
①公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するにあたり、
公開買付者および対象者から独立した第三者算定機関として、ファイナンシャル・アドバイザー
である野村證券株式会社(以下「野村證券」といいます。
)に対して、対象者株式の株式価値の算
定を依頼いたしました。なお、野村證券は公開買付者および対象者の関連当事者には該当せず、
本公開買付けに関して、重要な利害関係を有しておりません。
公開買付者が野村證券から取得した対象者株式の株式価値に関する株式価値算定書の概要につ
いては、下記「2.買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「①算定の基礎」
をご参照ください。なお、公開買付者は、本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・
オピニオン)を取得しておりません。
②対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
対象者プレスリリースによれば、対象者は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、
公開買付者から提示された本公開買付価格に関する対象者における意思決定過程の恣意性を排除
し、本公開買付価格の公正性を担保するために、対象者および公開買付者から独立した第三者算
定機関としてファイナンシャル・アドバイザーである SMBC 日興証券に対し、対象者株式の価値算
定を依頼し、
2019 年 10 月 30 日付で対象者株式の株式価値算定書を取得したとのことです。なお、
SMBC 日興証券は、対象者および公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取
引に関して重要な利害関係を有していないとのことです。
SMBC 日興証券は、対象者の経営陣から事業の現状および将来の事業計画等の開示を受けるとと
もに説明を受け、それらの情報を踏まえて対象者株式の株式価値算定を実施したとのことです。
10
なお、対象者は、SMBC 日興証券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピ
ニオン)を取得していないとのことです。
SMBC 日興証券は、対象者株式が東京証券取引所マザーズ市場に上場しており市場株価が存在す
ることから市場株価法を、将来の事業活動の状況に基づく本源的価値評価を反映するためディス
カウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF 法」といいます。)を用いて対象者株式の価値
算定を行ったとのことです。
SMBC 日興証券が上記各手法に基づき算定した対象者株式の1株当たりの価値の範囲はそれぞれ
以下のとおりとのことです。なお、対象者は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような
事象または状況が存在していることから、継続企業の前提に関する注記を付しているとのことで
す。一方、対象者のビジネスモデルは、自社開発パイプラインである次世代ロジカルワクチンに
ついて、該当する開発パイプラインの権利を提携先に対して供与し、共同で研究・開発・申請・
販売を進める提携スキームを前提としているとのことです。研究開発に必要となる資金等につい
ては先行してキャッシュアウトするものの、提携先との提携スキームにより、販売までに必要と
なる研究開発等の資金について提携先からの借入、もしくは資本市場からの調達で対応すること
を想定していることを踏まえて、SMBC 日興証券は対象者がゴーイングコンサーンであることを算
定の前提としているとのことです。
市場株価法:318 円∼350 円
DCF 法:462 円∼727 円
市場株価法では、2019 年 10 月 29 日を算定基準日として、東京証券取引所マザーズ市場におけ
る対象者株式の直近1ヶ月の終値単純平均値 350 円、直近3ヶ月の終値単純平均値 325 円、直近
6ヶ月の終値単純平均値 318 円を基に、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を 318 円∼350
円までと分析したとのことです。
DCF 法では、対象者が作成した 2019 年 12 月期から 2037 年 12 月期までの財務予測、一般に公
開された情報等の諸要素を前提として、対象者が 2019 年 12 月期以降生み出すと見込まれるフ
リー・キャッシュ・フローおよび継続価値を現在価値に割り引いて対象者の企業価値や株式価値
を分析し、対象者株式の1株当たりの価値を 462 円∼727 円までと分析しているとのことです。
割引率は 8.34%から 10.19%を採用しており、また継続価値の算定にあたっては、永久成長法を
採用し、永久成長率を-0.25%から 0.25%として算定しているとのことです。
なお、SMBC 日興証券が DCF 法による分析に用いた対象者の財務予測は以下の通りとのことです。
本財務予測は、従前から公開買付者と共同で行ってきたヒト用感染症予防ワクチンをはじめとす
る創薬に関する新規基盤技術を用いて、自社開発パイプラインであるアジュバント、製剤/ドラッ
グ・デリバリー技術を組み合わせた複数の次世代ロジカルワクチンについて、対象者より該当す
る開発パイプラインの全世界における独占的な権利を相手方に供与(以下「権利供与者」といい
ます。)し、共同で研究・開発・申請・上市(製品供給)を進める提携スキームを前提としている
とのことです。当該提携においては、権利供与者にて非臨床試験、製剤化工程における CMC 開発、
臨床開発、製造販売承認申請、薬事対応、および上市後のグローバルな製品供給および販売を担
う一方で、対象者にて、該当開発パイプラインの原薬 CMC 開発、治験薬に係る原薬供給、上市後
11
のグローバルな原薬供給を実施するとともに、長期的な成長を実現するための新規開発パイプラ
インの拡充を目的とした基礎的研究を推進することを想定しているとのことです。開発期間は
個々の開発パイプライン、対象開発地域により異なりますが、先行して開発を進める開発パイプ
ラインを最初の対象地域において製造販売承認を取得するまでの期間は、2020 年から 2026 年ま
でと想定しているとのことです。その後、順次対象開発地域を広げる等の開発計画を前提として
いるとのことです。上記開発期間中に対象者の上記役割に係る先行投資資金として、複数開発パ
イプラインの開発および新規開発パイプラインの基礎的研究等に係る研究開発費 20,637 百万円、
設備投資資金 8,526 百万円等、一般管理費と合わせて合計 30,808 百万円を想定しており、相当規
模の先行投資資金が必要となるものと見込んでいるとのことです。なお、当該先行投資資金は、
株式価値算定過程において反映した下記の表(注)に記載する上市成功確率および上市後のマー
ケティングリスク等を加味する前の金額とのことです。
開発期間中は、個々の開発パイプラインの全世界における独占的な権利供与に係る契約一時金
および開発マイルストーンフィー、該当開発パイプラインの原薬に係る CMC 開発の有償受託、お
よび治験原薬の有償供給等による売上計上を見込んでいるとのことです。また、上市後において
は、原薬供給による収益を受領することに加え、一定の製品売上高を超えた場合において権利供
与者より販売マイルストーンフィーを受領することを想定しているとのことです。
また、株式価値算定にあたっては、2027 年 12 月期の販売開始以降、各製品の対象地域におけ
るピークセールスに至るまでの販売計画を十分に反映する必要があると判断したことから、計算
期間を 2037 年 12 月期までとしているとのことです。
なお、以下の財務予測には大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれているとのことです。
具体的には 2027 年 12 月期以降は、権利供与者においてグローバルな製品展開による供給量拡大
によって対象者から権利供与者への原薬販売に係る売上高が増加することを見込んでおり、大幅
な増益となることを想定しているとのことです。加えて、想定している開発期間中である 2020 年
から 2026 年のうち、2020 年 12 月期から 2022 年 12 月期にかけては、権利供与者との共同開発提
携に伴う契約一時金の受領、開発パイプラインの非臨床試験以降の本格開発や開発ステージの進
捗に伴う開発マイルストーンフィーの受領、および CMC 開発の有償受託に伴う収益計上を予定し
ていることから、2020 年 12 月期、2022 年 12 月期は黒字となることが想定されているとのことで
す。その一方で、2022 年 12 月期から 2023 年 12 月期にかけては、原薬商用生産を担う新工場建
設および研究開発費の増加等による大幅な赤字が予想されており、その後の 2023 年 12 月期から
2024 年 12 月期にかけては開発パイプラインの開発ステージの進捗に伴う開発マイルストーン
フィーの受領や治験原薬の有償供給等に伴う収益計上により、赤字の大幅縮小を見込んでいると
のことです。
なお、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点におい
て見積もることが困難であるため、当該財務予測には加味していないとのことです。
また、本公開買付けの対象には本新株予約権も含まれますが、第 21 回新株予約権1個当たりの
買付け等の価格は、本公開買付価格 540 円と第 21 回新株予約権の対象者株式1株当たりの行使価
格 402 円との差額に第 21 回新株予約権の1個の目的となる対象者株式の数である 100 を乗じた金
額に決定されていることから、対象者は、第三者算定機関から算定書および意見書(フェアネス・
オピニオン)を取得していないとのことです。
12
(単位:百万円)
2019 年
2020 年 2021 年 2022 年 2023 年
12 月期(第
12 月期 12 月期 12 月期 12 月期
4四半期)
売上高 50 876 384 539 487
営業利益 △363 238 △141 27 △971
EBITDA △363 238 △141 27 △391
フリー・キャッシュ・フロー △363 165 △141 △2,540 △391
2024 年 2025 年 2026 年 2027 年 2028 年
12 月期 12 月期 12 月期 12 月期 12 月期
売上高 1,199 660 775 1,941 2,062
営業利益 △117 △458 △57 995 704
EBITDA 291 △164 160 1,160 988
フリー・キャッシュ・フロー 291 △164 160 286 739
2029 年 2030 年 2031 年 2032 年 2033 年
12 月期 12 月期 12 月期 12 月期 12 月期
売上高 2,652 3,366 3,337 4,135 4,771
営業利益 1,273 1,995 1,881 2,643 3,267
EBITDA 1,500 2,117 1,976 2,718 3,333
フリー・キャッシュ・フロー 1,111 1,509 1,402 1,912 2,337
2034 年 2035 年 2036 年 2037 年
12 月期 12 月期 12 月期 12 月期
売上高 4,824 5,281 5,339 5,375
営業利益 3,146 3,748 3,780 3,816
EBITDA 3,209 3,790 3,820 3,853
フリー・キャッシュ・フロー 2,250 2,647 2,667 2,689
(注)算定の基礎となる上記財務予測は、公開買付者と共同で推進している開発候補品の基礎
的研究を前提として、その中から、優先的に開発・事業化を目指す複数の開発パイプラインを選
定し、当該開発パイプラインの承認・製造販売等が想定通りに推移した場合の財務予想値に対し
て、個々の開発パイプラインに対し想定される上市成功確率および上市後のマーケティングリス
クをそれぞれ加味することにより算出しているとのことです。上市成功確率および上市後のマー
ケティングリスクについては、これまでの基礎的研究における成果等に加えて、既上市製品や競
合開発品の有無、現在の開発ステージ、製品プロファイルの実現期待度等を総合的に考慮し見積
もっているとのことです。
③対象者における独立した特別委員会の設置および答申書の取得
対象者プレスリリースによれば、対象者は、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、対象
者の意思決定過程の公正性、透明性および客観性を確保することを目的として、2019 年9月 20
日、対象者および公開買付者との間に利害関係を有しない、大手製薬企業において長年経理業務
等に携わってきた舩倉俊明氏(対象者社外監査役)、バイオ分野での研究経験を持つ理学博士であ
り、証券会社にてバイオベンチャーに対する投資業務に豊富な経験を有する小南欽一郎氏(対象
者社外監査役)および社外有識者であり M&A 取引に関する知見が豊富である仁科秀隆氏(弁護士、
中村・角田・松本法律事務所)の3名から構成される特別委員会を設置し(なお、特別委員会の
13
委員は設置当初から変更していないとのことです。また、互選により特別委員会の委員長として、
仁科秀隆氏を選定しているとのことです。特別委員会の委員の報酬は、一定の固定額を上限とし
た金額となっており、成功報酬は採用していないとのことです。、特別委員会に対し、 (ⅰ)本取
)
引の目的は合理的か(本取引が対象者企業価値向上に資するかを含む。、(ⅱ)本取引の条件(本
)
公開買付けにおける買付け等の価格を含む。 の公正性が確保されているか、
) (ⅲ)本取引において、
公正な手続を通じた対象者の株主の利益への十分な配慮がなされているか、(ⅳ)上記(ⅰ)∼(ⅲ)
までのほか、本取引は対象者の少数株主にとって不利益なものではないと考えられるか、ならび
に(v)本公開買付けに関して対象者取締役会が賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主およ
び本新株予約権者それぞれに対して本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議を行うこと
の是非(以下、総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問したとのことです。
特別委員会は、2019 年9月 24 日から同年 10 月 29 日までの間に合計7回開催され、本諮問事
項についての協議および検討を行ったとのことです。具体的には、特別委員会は、対象者または
公開買付者より提出された各検討資料その他必要な情報・資料等の収集および検討を行い、対象
者の代表取締役社長から、本公開買付けを含む本取引の概要、本取引の背景、本取引の意義・目
的、対象者の状況、対象者の事業計画、対象者が意思決定をするに至る経緯・検討状況について
説明を受けるとともに、質疑応答等を行ったとのことです。
また、特別委員会は、公開買付者および公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーである
野村證券から、本公開買付けを含む本取引の概要、本取引の背景、本取引の意義・目的、本取引
後の経営方針、本取引の諸条件等について説明を受けるとともに、質疑応答を行ったとのことで
す。また、特別委員会は、対象者から、公開買付者と対象者との間における本取引に係る協議・
交渉の経緯および内容等につき適時に報告を受けた上で、特別委員会を都度開催して協議し、本
公開買付価格につき、公開買付者から 540 円という最終的な提案を受けるに至るまで、複数回に
わたり、公開買付者に対して公開買付価格の増額を要請すべき旨を対象者に意見するなどして、
公開買付者との交渉過程に関与しているとのことです。さらに、特別委員会は、SMBC 日興証券よ
り、対象者株式の価値評価に関する説明を受け、これらについての質疑応答を行うとともに、対
象者との間で事業計画に関する質疑応答を行ったほか、自ら対象者の事業計画の作成経緯や重要
な前提条件等を確認・検討しているとのことです。SMBC 日興証券およびアンダーソン・毛利・友
常法律事務所から、対象者が特別委員会における議論を参考に公開買付者との間で本公開買付価
格を含む本取引の諸条件について交渉をした内容等について報告を受けているとのことです。ま
た、特別委員会は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から、本取引の手続面における公正性
を担保するための措置ならびに本取引に係る対象者取締役会の意思決定の方法および過程その他
の利益相反を回避するための措置の内容について説明を受けているとのことです。
特別委員会は、かかる手続を経て、本諮問事項について慎重に協議した結果、特別委員会は、
2019 年 10 月 30 日付で、対象者取締役会に対し、本諮問事項につき大要以下を内容とする答申書
を提出したとのことです。
(ⅰ)本取引の目的は合理的か(本取引が対象者企業価値向上に資するかを含む。
)
諮問事項の(ⅰ)は本取引が企業価値の向上の要請を充たしているかの検討を依頼するもので
ある。
14
この点に関して、対象者へのヒアリング等を踏まえると、対象者の今後の事業展開については、
1)現時点で対象者の事業内容が相当程度焦点を絞った形になっていることからすれば、現在進
んでいる研究開発の第2フェーズがスムーズに進捗することが、対象者の企業価値の維持・向上
にとって最も重要であること、2)研究開発には巨額の費用がかかるところ、対象者としては現
時点で継続的に収益を生む製品や権利がないことから、研究開発をスムーズに進捗させるには、
財務基盤の安定化も大きな課題であること、3)対象者の規模からすると、人員が限られている
ことから、事業遂行には物理的な限界があり、人的リソースの充実化も望ましいこと、4)今後
の製品の上市に向けては、海外のパートナリングなども重要になる点がポイントとして挙げられ
る。これら1)から4)のポイントに寄与する方策(M&A を含むがこれに限られない。)を講じる
ことは、一般論としては対象者の企業価値の向上に資するものであると考えることができる。
次に、本取引のメリットについて、特別委員会から対象者に対して説明を求めたところ、(ア)
公開買付者にはこれまで対象者と研究を共同で行ってきた実績があり、対象者の研究開発に関す
る深い理解があること、
(イ)研究開発を進めるに当たって、公開買付者が有する設備を必要に応
じて活用することができること、
(ウ)本取引によって公開買付者の子会社となる結果、研究開発
費用は買付者内部での開発費用の分配の問題となり、外部的な資金調達による必要もなくなるた
め、対象者の資金調達の困難性が大きく改善されること、
(エ)バイオ研究という特殊な分野であ
り、人材の確保が難しい面があるが、公開買付者の完全子会社となることにより、公開買付者の
人材を活用することができること、
(オ)公開買付者には知的財産の管理・活用に関する深い知見
があることから、その活用によって、適切な知的財産の管理・活用が可能となり、円滑な事業遂
行に資することが期待できること、
(カ)公開買付者は大手企業として海外の企業とライセンスに
関する付き合いがあり、対象者単独でのパートナリングを模索するよりも円滑かつ有利な条件で
海外展開することが期待できることが挙げられた。
上記で対象者が本取引のメリットとして挙げた点は、対象者の今後の事業展開のポイントとし
て挙げた上記1)∼4)の事情のうち、
(ア)および(イ)は1)に、
(ウ)は2)に、
(エ)およ
び(オ)は3)に、(カ)は4)にそれぞれ資する点があると認められる。
また、特別委員会は、今後の研究開発のスキームとして、本取引(完全子会社化スキーム)の
ほか、共同開発の継続スキームおよびライセンスアウトスキームの3つが考えられるため、対象
者に対して、各スキームの優劣の説明を求めたところ、完全子会社化スキームが他のスキームと
比べて劣っているのは、短期的売上と中期的売上が上がりにくい点と、株式が流動性を失う点の
みと認められた。ただ、前者は共同開発スキームやライセンスアウトスキームだとマイルストー
ンフィーやライセンスフィーが初期段階で入る一方、完全子会社化スキームでは公開買付者の内
部で研究開発を続けられるからフィーの授受の必要がないということを意味するに過ぎず、最大
の目標である、研究開発のスムーズな進捗には影響しない。また、後者については、特別委員会
の諮問事項の1つとなっているとおり、少数株主の利益に配慮した形で本取引を行うことによっ
て、流動性の喪失の問題を補うことができる。そして、その他の点では完全子会社化スキームが
他のスキームと比べて優れている以上、本取引は、企業価値の向上の観点から、他のスキームと
比較しても優位性を有する取引であると考えられる。
以上のとおり、本取引は、対象者において今後の課題と認識している点のいずれにも資するこ
とが認められること、本取引の実施の理由として挙げられた諸点については、いずれも一見して
不合理なものであるとは認められないこと、相互補完関係の内容やシナジーが見込まれる要素に
15
ついても一定の具体性のある説明がされていること、対象者側の説明と公開買付者側の説明とで
矛盾している点や大きな認識の齟齬がないことからすれば、本取引は、対象者の企業価値向上に
資するものと認められる。また、他の手法を用いるよりも、完全子会社化を経て対象者が公開買
付者グループの中で研究開発を継続することが、目的実現のための手段としても効率的であると
認められることから、本取引が対象者の企業価値向上に資するほか、完全子会社化という手段が
相当であり、かつ、本取引によるデメリットも見当たらない。したがって、本取引の目的は合理
的なものと認められる。
(ⅱ)本取引の条件(本公開買付けにおける買付け等の価格を含む。)の公正性が確保されている
か
諮問事項(ⅱ)は、条件の公正性を実現するための手段である手続の適正性(諮問事項(ⅲ))
が確保されていることを前提に、本取引において条件の公正性・妥当性が確保されているか否か
の検討を依頼するものであるところ、諮問事項(ⅲ)は以下に詳細を述べるとおり、本取引につ
いては、公正な手続を通じて対象者の株主の利益への十分な配慮がなされていると認められる。
公開買付者と対象者との間における本公開買付価格に係る合意は、対象者ファイナンシャル・
アドバイザーの助言を受けながら公正に行われ、一連の交渉経緯については、委員会で毎回(か
つ、委員会の期日間では随時電子メールにて)対象者ファイナンシャル・アドバイザーおよび対
象者から特別委員会に対して詳細な説明が行われたことも踏まえると、対象者と公開買付者との
間において、独立当事者間に相当する客観的かつ整合性のある議論を踏まえた交渉の結果決定さ
れたものであることが推認され、決定プロセスの透明性や公正性を疑わせるような事情は見当た
らなかったものと認められる。
次に、事業計画については、特別委員会においても対象者および公開買付者へのヒアリング等
を含めて、策定のプロセスを子細に検討したが、本取引の可能性が具体化された後で作成された
ものではあるものの、その策定プロセスに、公開買付者の恣意的な圧力が介在した事実は認めら
れない。また、事業計画の内容については、事業計画の前提となるパイプラインとしての決定は
現時点までの研究開発状況を踏まえており、当該パイプラインについての市場性(どの程度の市
場規模が見込まれるか)や成功確率(研究開発が成功裏に終わる確率)についても、恣意的な解
釈は行われておらず、合理的であると考えられる。さらに、海外展開可能性についても、不合理
な予測を行っている事実は認められない。
また、対象者株式価値の算定方法についても、特別委員会は、対象者ファイナンシャル・アド
バイザーに対して委員会においてヒアリングを実施し、対象者株式の株式価値の算定方法および
評価プロセスならびに株式価値算定に関する考察過程について詳細な説明を受け、そのいずれに
ついても不合理な点は見当たらないことを確認し、対象者ファイナンシャル・アドバイザーが作
成した株式価値算定書に準拠できると評価した。そのうえで、本公開買付価格は、対象者ファイ
ナンシャル・アドバイザーが作成した株式価値算定書において、市場株価法により算定された対
象者1株当たり株式価値の上限を超過していること、同じく当該株式価値算定書における DCF 法
の算定結果のレンジの範囲内であること、近時の公開買付けにおけるプレミアムとの関係でも遜
色のないプレミアムが確保されていること、対象者が公開買付者との本資本業務提携を公表する
前の時期(2017 年2月から 10 月まで)における対象者の株価は、研究開発に関する具体的期待
がない状況での対象者に対する投資家の評価を示すものであるが、本公開買付価格は当該期間中
16
の株価の平均値である 325 円を大きく上回り、かつ、その期間における最高値である 525 円も超
えていることから、対象者株式価値を相当程度反映されたものと考えることができ、その価格の
妥当性が否定される水準ではないと評価できる。
次に、本取引の買収の方法や買収対価の種類等の妥当性についても検討すると、現金対価のス
キームを採用することは、統合後に対象者事業を一部門とする公開買付者の株主となるか、また
は他に投資をするかという選択肢を対象者の株主に与えることとなるという意味で合理的である
と考えられる。また、完全子会社化スキームは、対象者の研究開発を続ける手段として、他のス
キームよりも優位性が認められるから、代替取引と比較しても、本取引を実施することの合理性
が認められる。
さらに、本新株予約権について、第 21 回新株予約権については、普通株式の株主と同様の経済
的利益をもたらす価格であると考えることができ、それ以外の本新株予約権については、買付価
格が1円とされていることについてもこの種の案件では通例のことであるため、本件における価
格設定が不合理であるとは認められない。
以上から、本取引の交渉状況やスキーム等の妥当性を前提に、本公開買付価格については、そ
の妥当性が是認できるところであり、また、本取引においては、少数株主が本公開買付けまたは
本キャッシュアウト手続のいずれによって対価を得たとしても、本公開買付価格と同額の対価を
得ることが確保されている。したがって、結論として、本取引全体について、条件の公正性が確
保されていると認められる。
(ⅲ)本取引において、公正な手続を通じた対象者の株主の利益への十分な配慮がなされている
か
諮問事項(ⅲ)は本取引において公正な手続を通じた一般株主利益の確保が確保されているか
否かの検討を依頼するものである。この点については、1)対象者の独立社外監査役および独立
した専門家により構成される特別委員会を設置しており、特別委員会については公正担保措置と
して有効に機能していると認められること、2)対象者取締役会において、本公開買付けにつき
利害関係を有する取締役は存在しないと判断されることから、対象者取締役3名全員の一致によ
り決議され、対象者の監査役3名(うち社外監査役2名)全員より、上記決議に異議がない旨の
意見が述べられる予定であり、対象者における意思決定プロセスに公正性に疑義のある点は見当
たらないこと、3)外部の法務アドバイザーからの助言の取得や第三者評価機関からの株式価値
算定書の取得を行う等外部専門家の専門的助言等の取得をしていること、4)買収者が支配株主
である場合には、マーケット・チェックが公正性担保措置として機能する場面は限定的であり、
実施する意義が乏しい場合が多いという指摘がされているところ、本件は、間接的な形であれマー
ケット・チェックを実施するものであり、取引条件の形成過程における対象者の交渉力が強化さ
れ、企業価値を高めつつ一般株主にとってできる限り有利な取引条件で M&A が行われることに資
するものと認められること、5)買付予定数の下限につきマジョリティ・オブ・マイノリティの
考え方が採用されていること、6)対象者がヒト用感染症予防ワクチンをはじめとする創薬に関
する基盤技術整備、ならびに対象者の既存の自社開発パイプラインの一部および新規開発候補
ターゲットで構成される開発候補品の基礎的研究を行っている旨、業務提携の各フェーズで何を
行おうとしているか、また第1フェーズについては基盤技術整備に関して当初の目的を概ね達成
したことや基盤技術の一定の内容について開示がされていること、対象者の 2037 年 12 月期まで
17
の売上高や営業利益の予想という、通常の案件と比べて極めて長期の財務予測が開示されている
ことからすれば、一般の投資家であれば、対象者が実施している研究開発が現在どのくらいの段
階にあるか、それがいつ頃にどのように成果に結びつく予定なのかを一定程度推測することがで
き、定性的および定量的の両方の観点から、対象者の株主に対して、取引条件の妥当性等につい
ての判断に資する重要な判断材料は提供されているものと考えられること、7)本取引のうち
キャッシュアウト手続は、株式等売渡請求方式または株式併合方式を用いるスキームにより実行
するとされていること、およびこの点に関する明示的な開示がなされていること、ならびに、当
該キャッシュアウト手続は本公開買付け終了後速やかに行われることおよび当該キャッシュアウ
ト手続の際に少数株主に対して交付される金銭について、本公開買付価格と同一の価格とするこ
とが予定されている旨が開示されていることからすれば、本取引については、強圧性を排除する
ための対応が行われていると認められることを踏まえると、本取引では、取引条件の形成過程に
おける独立当事者間取引と同視し得る状況の確保および一般株主による十分な情報に基づく適切
な判断の機会の確保という視点のいずれの面から見ても充実した公正性担保措置が採用され、か
つ、実効性をもって運用されていると認められる。
したがって、本取引においては、公正な手続を通じて対象者の株主の利益への十分な配慮がな
されていると認められる。
(ⅳ)上記(ⅰ)∼(ⅲ)までのほか、本取引は対象者の少数株主にとって不利益なものではないと
考えられるか
上記(ⅰ)∼(ⅲ)についていずれも問題があるとは考えられないことを踏まえると、本取引は、
対象者の少数株主にとって不利益なものでないと考えられる。
(ⅴ)本公開買付けに関して対象者取締役会が賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主お
よび本新株予約権者それぞれに対して本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議を行うこ
との是非
上記(ⅰ)∼(ⅲ)についていずれも問題があるとは考えられないことを踏まえると、本公開買付
けの公表の時点で対象者の取締役会が賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主および第 21
回新株予約権の本新株予約権者に対して本公開買付けに応募することを推奨する旨、またそれ以
外の本新株予約権の本新株予約権者に対して、応募するか否かは本新株予約権者の判断に委ねる
旨の決議を行うことは相当であり、少数株主(本新株予約権者を含む。
)にとって不利益なもので
ないと認められる。なお、第 21 回新株予約権以外の本新株予約権の本新株予約権者に対する買付
価格の提案も不合理であるとは認められないが、備忘価格での買付けが提案されている以上、こ
れらの本新株予約権者に対して応募を推奨することは相当でないものと考えられる。
④対象者における独立した法律事務所からの助言
対象者プレスリリースによれば、対象者は、リーガル・アドバイザーとして、アンダーソン・
毛利・友常法律事務所を選定し、同事務所より、本公開買付けを含む本取引の諸手続を含む取締
役会の意思決定の方法・過程等について、法的助言を受けたとのことです。なお、アンダーソン・
毛利・友常法律事務所は、対象者および公開買付者から独立しており、対象者および公開買付者
との間に重要な利害関係を有しないとのことです。
18
⑤対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認および利害関係を有しない監査役全員の
異議のない旨の意見
対象者プレスリリースによれば、対象者は、SMBC 日興証券から取得した対象者株式の株式価値
算定書、特別委員会から提出された 10 月 30 日付答申書、アンダーソン・毛利・友常法律事務所
からの法的助言その他の関連資料を踏まえ、本公開買付けを含む本取引に関する諸条件について、
企業価値向上の観点も含め、慎重に協議および検討を行ったとのことです。対象者は、企業価値
向上の観点からは、公開買付者において、重点領域である感染症領域における研究開発力および
人材・設備等のリソースに、1)公開買付者および対象者が提携第1フェーズで確立したワクチ
ン事業参入に必要となる基盤技術、2)感染症予防を主にターゲットとした「次世代ロジカルワ
クチン」に係る対象者の知見・ノウハウを統合し、ヒト用感染症予防ワクチンの事業化に向けた
研究開発を一体となって推進することで、効率的且つ効果的な開発が可能になると考えていると
のことです。また、対象者においては、予防ワクチン分野における開発パイプラインの拡充・強
化を図ることが可能となり、将来的には予防ワクチン分野における一定のポジショニングを実現
することが可能となると考えているとのことです。さらに、対象者は、公開買付者のグローバル
な事業展開力により、将来における海外展開を通じた製品価値の最大化を図ることが可能となる
と考えているとのことです。加えて、公開買付者の中長期的な戦略的コミットメントの強化によ
り、開発品の非臨床試験以降の本格的な開発を推進するにあたって必要となる研究開発資金、開
発品の事業化ならびにグローバル供給を見据えた新たな商用生産拠点の構築に係る相当規模の設
備投資資金、および対象者の事業維持のための運転資金を安定的に確保することが可能となると
ともに、長期的に財務基盤の安定化を図ることが可能となると考えているとのことです。以上を
踏まえ、対象者は、本取引が対象者の企業価値の一層の向上を見込む最善の選択肢であるとの結
論に至ったとのことです。本公開買付価格については、公開買付者から書面による提案を受領し
た 2019 年 10 月 10 日以降、10 月 28 日までの間、過去の発行者以外の者による関連会社に対する
完全子会社化を目的とした株券等の公開買付けの事例において買付け等の価格決定の際に付与さ
れたプレミアムの実例、特別委員会からの意見や SMBC 日興証券による対象者株式の株式価値の算
定内容、アンダーソン・毛利・友常法律事務所からの助言を受けて慎重に検討の上、公開買付者
との間で、公開買付価格について複数回交渉したとのことです。その結果、合意された本公開買
付価格である1株あたり 540 円は、SMBC 日興証券から取得した本株式価値算定書に提示された対
象者株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果の上限を上回るものであり、
かつ DCF 法に基づく算定結果のレンジ内であること、本公開買付けの公表日の前営業日である
2019 年 10 月 29 日の東京証券取引所における対象者株式の終値 368 円に対して 46.74%(小数点
第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じとします。、2019 年 10 月 29 日から
)
過去1ヶ月間の終値単純平均値 350 円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値について
同じです。)に対して 54.29%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値 325 円に対して 66.15%、同過
去6ヶ月間の終値単純平均値 318 円に対して 69.81%のプレミアムが加算されており、相応のプ
レミアムが付されていると考えられること、その他の本取引に関する諸条件を考慮し、本取引は
対象者の株主の皆様に対して合理的な株式売却の機会を提供するものであると判断したとのこと
です。
19
その結果、対象者は、2019 年 10 月 30 日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見
を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対しては、本公開買付けへの応募を推奨すること、
本新株予約権者の皆様に対しては、本新株予約権のうち、第 21 回新株予約権に係る本新株予約権
者の皆様に対しては、本公開買付けに応募することを推奨し、他方、第 21 回新株予約権に係る本
新株予約権者を除く本新株予約権者が本公開買付けに応募するか否かについては、 21 回新株予
第
約権に係る新株予約権者を除く本新株予約権者の皆様の判断に委ねることを決議したとのことで
す。上記取締役会決議は、対象者の取締役3名全員の一致により決議されているとのことです。
また、上記取締役会には、対象者の監査役3名(うち社外監査役2名)全員より、上記決議に
異議がない旨の意見が述べられているとのことです。
⑥他の買付者からの買付機会を確保するための措置
公開買付者は、公開買付期間について、法令に定められた最短期間が 20 営業日であるところ、
30 営業日としております。公開買付者は、公開買付期間を比較的長期に設定することにより、対
象者の株主および本新株予約権者の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を
確保しつつ、公開買付者以外にも対象者株式の買付け等を行う機会を確保し、もって本公開買付
価格および本新株予約権買付価格の公正性を担保することを企図しております。さらに、公開買
付者は、対象者との間で、対象者が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護
条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が対象者との間で接触等を行うことを制限するような
内容の合意は一切行っておりません。このように、上記公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買
付けの機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。
⑦マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)を達成する買付予定数の下限の
設定
公開買付者は、本公開買付けにおいて、買付予定数の下限を設定しており、応募株券等の総数
が買付予定数の下限(6,322,000 株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行い
ません。他方、本公開買付けにおいて、公開買付者は、買付予定数の上限を設定しておりません
ので、応募株券等の総数が買付予定数の下限以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行い
ます。
な お 、 買 付 予 定 数 の 下 限 で あ る 6,322,000 株 は 、 本 日 現 在 の 対 象 者 の 発 行 済 株 式 総 数
(17,696,500 株)に、2019 年9月 30 日現在の第 21 回新株予約権を除く本新株予約権の目的とな
る対象者株式数(36,500 株)を加え、対象者決算短信に記載された 2019 年9月 30 日現在対象者
が所有する自己株式数(50 株)を控除した株式数(17,732,950 株)に係る議決権の数(177,329
個)に3分の2を乗じた数(118,220 個、小数点以下を切り上げ)から、公開買付者が本日現在
所有する対象者株式数(5,500,000 株)に係る議決権の数(55,000 個)を控除した議決権の数
(63,220 個)に相当する対象者株式数(6,322,000 株)としております。
また、買付予定数の下限は、本日現在の対象者の発行済株式総数(17,696,500 株)に、2019 年
9月 30 日現在の第 21 回新株予約権を除く本新株予約権の目的となる対象者株式数(36,500 株)
を加え、対象者決算短信に記載された 2019 年9月 30 日現在対象者が所有する自己株式数(50 株)、
公開買付者が本日現在所有する対象者株式数(5,500,000 株)を控除した株式数(12,232,950 株)
に係る議決権の数(122,329 個)の過半数に相当する数(61,165 個)に相当する対象者株式数
20
(6,116,500 株、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」に相
当する株式数)を上回るものとなります。
このように、公開買付者は、公開買付者と利害関係を有さない対象者の株主から過半数の賛同
が得られない場合には、本公開買付けを含む本取引を行わないこととし、対象者の株主および本
新株予約権者の意思を重視した買付予定数の下限の設定を行っております。
(6)上場廃止となる見込みおよびその事由
対象者株式は、本日現在、マザーズ市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付
けにおいて買付予定数に上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、対象者株式
は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。
また、本公開買付けの成立時点で当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後、上
記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のと
おり、公開買付者にて、対象者株式の全て(本新株予約権の行使により交付される対象者株式を
含み、公開買付者が所有する対象者株式および対象者が所有する自己株式を除きます。)の取得を
目的とした手続を実施することを予定しておりますので、その場合、対象者株式は東京証券取引
所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。上場廃止後は、対象者株式を
マザーズ市場において取引することはできません。
2.買付け等の概要
(1)対象者の概要
① 名 称
株式会社 UMN ファーマ
② 所 在 地
秋田県秋田市御所野湯本四丁目2番3号
③ 代表者の役職・氏名 代表取締役会長兼社長 平野 達義
④ 事 業 内 容
バイオ医薬品の研究・開発・製造・販売
⑤ 資 本 金
679 百万円(2019 年9月 30 日現在)
⑥ 設 立 年 月 日 2004 年4月 20 日
⑦ 大株主および持株比 塩野義製薬株式会社 20.27%
率 楽天証券株式会社 1.68%
(2019 年6月 30 日現
株式会社SBI証券 1.34%
在) 豊田 雅司 0.80%
大桑 啓嗣 0.65%
日本証券金融株式会社 0.56%
澤田 喜美子 0.48%
野村證券株式会社 0.34%
高梨 博 0.33%
山田 良彦 0.31%
⑧ 上場会社と対象者の関係
公開買付者は、 本日現在、対象者の発行済株式総数 (17,696,500 株)
資 本 関 係 の 31.08%に相当する対象者株式 5,500,000 株(注)を保有してお
ります。
人 的 関 係 該当事項はありません。
公開買付者は、対象者と共同で、創薬に関する基盤技術整備および
取 引 関 係
基礎的研究を進めております。
関 連 当 事 者 へ の 公開買付者は、対象者を関連会社としており、公開買付者の関連当
該 当 状 況 事者に該当します。
21
(注) 上記「1.買付け等の目的等」の「(1)本公開買付けの概要」に記載の通り、公開買付
者は、2019 年 10 月3日にその所有する第1回無担保転換社債型新株予約権付社債に係
る新株予約権の全部を行使することで、対象者株式を 2,400,000 株取得しており、本日
現在、対象者株式を 5,500,000 株(所有割合:31.08%)を所有しております。
(2)日程等
①日程
取 締 役 会 決 議 2019 年 10 月 30 日(水曜日)
2019 年 10 月 31 日(木曜日)
公開買付開始公告日 電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。
(電子公告アドレス http://disclosure.edinet-fsa.go.jp/)
公開買付届出書提出日 2019 年 10 月 31 日(木曜日)
②届出当初の買付け等の期間
2019 年 10 月 31 日(木曜日)から 2019 年 12 月 12 日(木曜日)まで(30 営業日)
③対象者の請求に基づく延長の可能性
該当事項はありません。
(3)買付け等の価格
①普通株式 1株につき金 540 円
②新株予約権
イ)2010 年3月 29 日開催の対象者取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(以下「第
11 回新株予約権」といいます。 行使期間は 2012 年1月 27 日から 2020 年1月 26 日まで)
(
)
1個につき金1円
ロ)2010 年7月 16 日開催の対象者取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(以下「第
13 回新株予約権」といいます。 行使期間は 2012 年1月 27 日から 2020 年1月 26 日まで)
(
)
1個につき金1円
ハ)2010 年8月 13 日開催の対象者取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(以下「第
14 回新株予約権」といいます。 行使期間は 2012 年1月 27 日から 2020 年1月 26 日まで)
(
)
1個につき金1円
ニ)2010 年8月 31 日開催の対象者取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(以下「第
15 回新株予約権」といいます。 行使期間は 2012 年1月 27 日から 2020 年1月 26 日まで)
(
)
1個につき金1円
ホ)2018 年4月 13 日開催の対象者取締役会の決議に基づき発行された新株予約権(以下「第
21 回新株予約権」といいます。 行使期間は 2020 年4月 14 日から 2028 年4月 13 日まで)
(
)
1個につき金 13,800 円
第 11 回新株予約権、第 13 回新株予約権、第 14 回新株予約権、第 15 回新株予約権および第 21
回新株予約権を総称して、以下「本新株予約権」といいます。
(4)買付け等の価格の算定根拠等
①算定の基礎
22
(ⅰ)普通株式
公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者および対象者から独立した第
三者算定機関として、公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券に対して、
対象者株式の株式価値の算定を依頼いたしました。なお、野村證券は公開買付者および対象者の
関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して、重要な利害関係を有しておりま
せん。
野村證券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、市場株価平均法および DCF 法の
各手法を用いて対象者株式の株式価値の算定を行い、公開買付者は野村證券から 2019 年 10 月 29
日に株式価値算定書を取得いたしました。なお、対象者は継続企業の前提に重要な疑義を生じさ
せるような事象または状況が存在していることから、継続企業の前提に関する注記が付されてお
りますが、販売までに必要となる研究開発等の資金について提携先からの借入、もしくは資本市
場からの調達で対応することを想定していることを踏まえて、野村證券は対象者が継続企業体で
あることを算定の前提としております。また、公開買付者は、野村證券から、本公開買付価格の
公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
野村證券により上記各手法に基づいて算定された対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲は
以下のとおりです。
市場株価平均法:318 円∼368 円
DCF 法 :423 円∼667 円
市場株価平均法では、2019 年 10 月 29 日を算定基準日として、対象者株式のマザーズ市場にお
ける 2019 年 10 月 29 日の終値 368 円、2019 年 10 月 29 日から遡る直近5営業日の終値単純平均
値 358 円、直近1ヶ月間の終値単純平均値 350 円、直近3ヶ月間の終値単純平均値 325 円および
直近6ヶ月間の終値単純平均値 318 円を基に、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を 318
円から 368 円までと分析しております。
DCF 法では公開買付者により確認された対象者の 2019 年 12 月期から 2037 年 12 月期までの事
業計画における収益や投資計画、対象者へのマネジメント・インタビュー、直近までの業績の動
向、一般に公開された情報等の諸要素等を前提として、2019 年 12 月期以降に対象者が創出する
と見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて対象者の企
業価値や株式価値を分析し、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を 423 円から 667 円まで
と分析しております。 なお、野村證券が算定の前提とした対象者の事業計画においては、大幅な
増益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には 2027 年 12 月期以降は、原薬販売
に係る売上高が増加することを見込んでおり、大幅な増益となることを想定しております。一方
で、2021 年 12 月期から 2026 年 12 月期にかけては、原薬商用生産を担う新工場建設および研究
開発費の増加等による赤字が予想されております。また、本取引の実行により実現することが期
待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、反
映しておりません。
公開買付者は、野村證券から取得した株式価値算定書の算定結果に加え、2019 年9月中旬から
2019 年 10 月中旬までの期間において実施したデュー・ディリジェンスの結果、2015 年以降の発
行者以外の者による株券等の公開買付けの事例において買付け等の価格決定の際に付与されたプ
23
レミアムの実例、対象者株式の直近6ヶ月間における市場株価の動向、対象者取締役会による本
公開買付けへの賛同の可否および本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、対象
者との協議・交渉の結果等を踏まえて、2019 年 10 月 30 日付で、本公開買付価格を1株当たり 540
円とすることを決定いたしました。
なお、本公開買付価格である1株当たり 540 円は、本公開買付けの実施についての公表日の前
営業日である 2019 年 10 月 29 日の対象者株式のマザーズ市場における終値 368 円に対して 46.74%、
2019 年 10 月 29 日までの直近5営業日の終値単純平均値 358 円に対して 50.84%、2019 年 10 月
29 日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値 350 円に対して 54.29%、2019 年 10 月 29 日までの直
近3ヶ月間の終値単純平均値 325 円に対して 66.15%および 2019 年 10 月 29 日までの直近6ヶ月
間の終値単純平均値 318 円に対して 69.81%のプレミアムを加えた金額となります。
なお、公開買付者は、2017 年 11 月 16 日に行われた 2017 年第三者割当において、対象者株式
600,000 株を1株当たり 298 円(本公開買付価格と比較して 242 円安い価格)で取得しておりま
す。これは、2017 年 11 月 16 に行われた第三者割当における対象者株式の取得価格と本公開買付
価格のそれぞれの価格決定時期の相違により価格決定に当たって考慮した対象者株式の市場株価
が異なる(前者は 2017 年 10 月 30 日のマザーズ市場における対象者株式の終値 298 円であるのに
対して、後者は本日の前営業日である 2019 年 10 月 29 日の対象者株式のマザーズ市場における終
値 368 円となっております。)ことに加え、本公開買付価格は、上記のとおり、本日の前営業日で
ある 2019 年 10 月 29 日の対象者株式のマザーズ市場における終値 368 円に対して 46.74%のプレ
ミアムを加えた金額であるためです。
(ⅱ)本新株予約権
本新株予約権のうち、第 11 回新株予約権、第 13 回新株予約権、第 14 回新株予約権および第
15 回新株予約権については、本日において、当該各新株予約権における対象者株式1株当たりの
行使価額(第 11 回新株予約権:2,200 円、 13 回新株予約権:2,200 円、 14 回新株予約権:2,200
第 第
円、第 15 回新株予約権:2,200 円)が本公開買付価格(540 円)を上回っていることから、公開買付
者は、当該新株予約権に係る買付け等の価格をいずれも1個につき1円と決定いたしました。
他方、本新株予約権のうち、第 21 回新株予約権については、本日現在において、第 21 回新株
予約権における対象者株式1株当たりの行使価額(402 円)が本公開買付価格(540 円)を下回って
います。そこで、公開買付者は、 21 回新株予約権に係る買付け等の価格を、
第 本公開買付価格(540
円)と第 21 回新株予約権の対象者株式1株当たりの行使価額との差額(138 円)に、第 21 回新株予
約権1個の目的となる対象者株式の数である 100 を乗じた金額(13,800 円)と決定いたしました。
なお、本新株予約権はいずれも、譲渡による取得については対象者取締役会の承認を要するも
のとされておりますが、対象者は、2019 年 10 月 30 日開催の取締役会において、新株予約権者が、
その所有する本新株予約権を本公開買付けに応募することにより公開買付者に対して譲渡するこ
とについて、本公開買付けの成立を条件として、包括的に承認することを決議したとのことです。
なお、公開買付者は、本新株予約権買付価格の決定に際し、本公開買付価格を基に算定してい
ることから、第三者算定機関からの算定書等を取得しておりません。
(注)野村證券は、対象者株式の価値算定に際して、公開情報および野村證券に提供された一
切の情報が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性および完
24
全性についての検証は行っておりません。対象者およびその関係会社の資産または負債
(金融派生商品、簿外資産および負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別
の資産および負債の分析および評価を含め、独自に評価、鑑定または査定を行っておら
ず、第三者機関への鑑定または査定の依頼も行っておりません。対象者より提供され公
開買付者により確認された対象者の財務予測(利益計画その他の情報を含みます。
)につ
いては、公開買付者の経営陣により現時点で得られる最善かつ誠実な予測および判断に
基づき合理的に検討または修正されたことを前提としております。野村證券の算定は、
2019 年 10 月 29 日までに野村證券が入手した情報および経済条件を反映したものです。
なお、野村證券の算定は、公開買付者の取締役会が対象者株式の公開買付けに際して、
買付価格を検討するための参考に資することを唯一の目的としております。
②算定の経緯
(ⅰ)本公開買付価格の決定に至る経緯
上記「1.買付け等の目的」の「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的およ
び意思決定の過程、ならびに本公開買付け後の経営方針」に記載のとおり、公開買付者と対象者
は、本資本業務提携に係る基盤技術整備および開発候補品の基礎的研究が順調に進展していたこ
とから、2019 年7月下旬より、開発候補品から開発品を選定し非臨床試験以降の本格開発・事業
化を目的とした協議を開始いたしました。公開買付者は、当該協議の過程において、2019 年8月
上旬、公開買付者より本取引に関する提案を実施しました。対象者は、2019 年8月下旬以降、公
開買付者との間で協議を重ねた結果、2019 年 10 月1日、本取引により対象者が公開買付者の完
全子会社となることが、対象者の企業価値の一層の向上が見込まれる最善の選択肢であるとの結
論に至ったとのことです。
公開買付者は、2019 年 10 月 10 日に、対象者に対して、公開買付価格を 420 円とする旨の提案
を行いました。その後、対象者より本公開買付価格について再考の要請があり、最終提案に至る
まで複数回にわたり、対象者と協議・交渉を重ねてまいりました。かかる協議・交渉の結果を踏
まえ、2019 年 10 月 28 日、本公開買付価格を1株当たり 540 円とする旨の最終提案を実施し、対
象者から当該最終提案を受諾する旨の回答を得ました。公開買付者は、かかる協議を踏まえ、2019
年 10 月 30 日開催の取締役会決議において、対象者の株主を公開買付者のみとすることを目的と
して本公開買付けの実施を決議し、下記の経緯により本公開買付価格を 540 円とすることについ
て決定いたしました。
(a)独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者および対象者から独立した第
三者算定機関として、公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券に対して、
対象者株式の株式価値の算定を依頼いたしました。野村證券は、本公開買付けにおける算定手法
を検討した結果、市場株価平均法および DCF 法の各手法を用いて対象者株式の株式価値の算定を
行い、公開買付者は野村證券から 2019 年 10 月 29 日に株式価値算定書を取得いたしました。なお、
野村證券は公開買付者および対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関
して、重要な利害関係を有しておりません。また、公開買付者は、野村證券から、本公開買付価
格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
25
(b)当該意見の概要
野村證券は、市場株価平均法および DCF 法の各手法を用いて対象者株式の株式価値の算定を
行っており、各手法に基づいて算定された対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のと
おりです。
市場株価平均法:318 円∼368 円
DCF 法 :423 円∼667 円
(c)当該意見を踏まえて本公開買付価格を決定するに至った経緯
公開買付者は、野村證券から取得した株式価値算定書の算定結果に加え、2019 年9月中旬から
2019 年 10 月中旬までの期間において実施したデュー・ディリジェンスの結果、2015 年以降の発
行者以外の者による株券等の公開買付けの事例において買付け等の価格決定の際に付与されたプ
レミアムの実例、対象者株式の直近6ヶ月間における市場株価の動向、対象者取締役会による本
公開買付けへの賛同の可否および本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、対象
者との協議・交渉の結果等を踏まえて、2019 年 10 月 30 日付で、本公開買付価格を1株当たり 540
円とすることを決定いたしました。
(ⅱ)本新株予約権買付価格の決定に至る経緯
上記「算定の基礎」に記載のとおり、本新株予約権のうち、第 11 回新株予約権、第 13 回新株
予約権、第 14 回新株予約権および第 15 回新株予約権については、本日において、当該各新株予
約権における対象者株式1株当たりの行使価額が本公開買付価格(540 円)を上回っていることか
ら、公開買付者は、当該新株予約権に係る買付け等の価格をいずれも1個につき1円と決定し、
第 21 回新株予約権については、本日現在において、第 21 回新株予約権における対象者株式1株
当たりの行使価額(402 円)が本公開買付価格(540 円)を下回っていることから、買付け等の価格を、
本公開買付価格(540 円)と第 21 回新株予約権の対象者株式1株当たりの行使価額との差額(138
円)に、第 21 回新株予約権1個の目的となる対象者株式の数である 100 を乗じた金額(13,800 円)
と決定いたしました。
なお、公開買付者は、本新株予約権買付価格の決定に際し、本公開買付価格を基に算定してい
ることから、第三者算定機関からの算定書等を取得しておりません。
③算定機関との関係
公開買付者のファイナンシャル・アドバイザー(算定機関)である野村證券は、公開買付者お
よび対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しません。
(4)買付予定の株券等の数
買付予定数 買付予定数の下限 買付予定数の上限
12,320,850 株 6,322,000 株 ―株
26
(注1)応募株券等の総数が買付予定数の下限(6,322,000 株)に満たない場合は、応募株券等
の全部の買付けを行いません。応募株券等の総数が買付予定数の下限以上の場合は、応
募株券等の全部の買付けを行います。
(注2)単元未満株式も本公開買付けの対象としております。なお、会社法に従って株主による
単元未満株式買取請求権が行使された場合には、対象者は法令の手続きに従い公開買付
期間中に自己の株式を買い取ることがあります。
(注3)本公開買付けを通じて、対象者が所有する自己株式を取得する予定はありません。
(注4)本公開買付けにおいては、買付予定数の上限を設定しておりませんので、買付予定数は、
本公開買付けにより公開買付者が取得する対象者の株券等の最大数を記載しております。
当該最大数は、本日現在の対象者の発行済株式総数(17,696,500 株)に、2019 年9月
30 日現在の本新株予約権の目的となる対象者株式数(124,400 株)を加え、対象者決算
短信に記載された 2019 年9月 30 日現在対象者が所有する自己株式数(50 株)および公
開買付者が本日現在所有する対象者株式数(5,500,000 株)
を控除した株式数(12,320,850
株)になります。
(注5)公開買付期間末日までに本新株予約権が行使される可能性がありますが、当該行使によ
り発行される対象者の株式についても本公開買付けの対象とします。
(5)買付け等による株券等所有割合の異動
買付け等前における公開買付者の (買付け等前における株券等所有割合
55,000 個
所有株券等に係る議決権の数 30.86%)
買付け等前における特別関係者の (買付け等前における株券等所有割合
259 個
所有株券等に係る議決権の数 0.15%)
買付け等後における公開買付者の (買付け等後における株券等所有割合
178,208 個
所有株券等に係る議決権の数 100.00%)
買付け等後における特別関係者の (買付け等後における株券等所有割合
0個
所有株券等に係る議決権の数 0.00%)
対象者の総株主等の議決権の数 152,913 個
(注1)
「買付け等前における特別関係者の所有株券等に係る議決権の数」は、各特別関係者(た
だし、特別関係者のうち金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号。その後の改正を含み
ます。以下「法」といいます。)第 27 条の2第1項各号における株券等所有割合の計算
において発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令(平成2年
大蔵省令第 38 号。その後の改正