4507 塩野義薬 2019-10-18 15:00:00
抗インフルエンザウイルス薬XOFLUZA(TM)の米国における適応追加承認について [pdf]

                                                      2019 年 10 月 18 日
  各 位
                                 会 社 名     塩 野 義 製 薬 株 式 会 社
                                 代表者名      代表取締役社長       手 代 木      功
                                   (コード番号 4507 東証第一部)
                                 問合せ先 広 報 部 長 京 川 吉 正
                                         TEL (06)6209-7885

  抗インフルエンザウイルス薬 XOFLUZATM の米国における適応追加承認について
-合併症を併発するリスクが高い患者のインフルエンザウイルス感染症治療を適応として-

  塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」
 または「当社」)は、XOFLUZATM(一般名: バロキサビル マルボキシル)について、         「合併症を
 併発するリスクが高い 12 歳以上の患者の発症後 48 時間以内の急性のインフルエンザウイルス感
 染症治療」を追加適応として、米国食品医薬品局(FDA)より承認されましたので、お知らせい
 たします。本新薬承認追加申請は、グローバル第 III 相臨床試験(CAPSTONE-2)の結果をもと
 に行われ、FDA の審査終了目標日(PDUFA date)は 2019 年 11 月 4 日でした 1。

  米国疾病予防管理センター(The Centers for Disease Control and Prevention、以下 CDC)
 は、合併症を併発しやすいリスク要因をもつインフルエンザウイルス感染患者の、抗インフルエ
 ンザウイルス薬による早期の治療を推奨しています 2。         高齢の患者さまや、         肺疾患や代謝性疾患な
 どの基礎疾患をもつ患者さまでは特に、インフルエンザ症状の重篤化により入院や死亡などの深
 刻な事態に至る場合があります。これまで、このようなリスク要因をもつ患者さまへの適応を取
 得した薬剤はなく、本薬が初めて承認を取得した薬剤となります。当社は、本薬がこれらの患者
 さまにとってより良い治療選択肢になると考えております。

  本薬の開発および販売は現在、Roche グループとの提携下で進めており、日本と台湾における
 本薬の販売は塩野義製薬が、それ以外の国では Roche グループが行います。米国では、
                                           「12 歳以
 上の合併症のない発症後 48 時間以内の急性のインフルエンザウイルス感染症治療」を適応とし
 て 2018 年 10 月 25 日に承認されました 3。

  塩野義製薬は「創薬型製薬企業として社会とともに成長し続ける」ことを経営目標として掲げ
 た中期経営計画 SGS2020 の中で、
                    「世界を感染症の脅威から守る」ことを当社が取り組むべき社
 会課題の一つにあげております。人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を、世界中の患者
 さまのもとにいち早くお届けできるよう努力してまいります。また、引き続き本薬の有効性、安
 全性に関するデータの収集と解析に鋭意取り組み、適正使用に向けた情報提供活動に努めてまい
 ります。

  なお、本件が 2020 年 3 月期連結業績に与える影響は軽微です。

                                                                以   上




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【XOFLUZA について】
 塩野義製薬が創製した XOFLUZA は、既存の薬剤とは異なる新しい作用機序であるキャップ
依存性エンドヌクレアーゼ阻害作用によりインフルエンザウイルスの増殖を抑制します。既存の
薬剤とは異なり、本薬は 1 回の経口投与で効果を発揮します。ゾフルーザは前臨床試験におい
て、オセルタミビルに耐性を示すウイルスおよび、鳥インフルエンザウイルス(H7N9, H5N1)
を含むインフルエンザウイルスに抗ウイルス効果を示しました 4, 5。
 本薬は、臨床試験にて確認された本薬に対し感受性が低下した PA/I38 アミノ酸変異株につい
てのデータも含め、各国規制当局による審査を受け、日米を含め複数の国で承認されておりま
す。本薬は日本で製造販売承認を取得し、成人および小児における A 型および B 型インフルエ
ンザウイルス感染症を対象に製品名ゾフルーザとして販売されております 6。本薬は 2019 年 8
月 28 日に、成人および 12 歳以上の小児の急性 A 型、B 型インフルエンザウイルス感染症を適
応症として、台湾食品薬物管理局(TFDA)に承認されました 7。米国における詳細は
XOFLUZA ホームページを、PA/I38 アミノ酸変異株についてはこれまでのリリース(リリース
①、リリース②)をご覧ください 8, 9。塩野義製薬では引き続きあらゆる面から同変異株に関す
るデータを集積し、当局にデータを提供すると共に、学会や科学論文等を通じて最新の知見を医
療関係者の皆様に提供してまいります。
 Roche グループは、1 歳未満の小児またはインフルエンザ症状が重篤化した入院患者を対象と
したグローバル第 III 相臨床試験、また本薬のインフルエンザウイルス伝播抑制効果について検
証するためのグローバル第 III 相臨床試験を実施中です。また、当社は本薬のインフルエンザウ
イルス感染症の発症予防効果について検証し、第 III 相臨床試験において主要評価項目を達成し
ております 10。

【CAPSTONE-2 試験について 11】
  CAPSTONE-2 試験は、 合併症を併発しやすいリスク要因をもつ 12 歳以上のインフルエンザ患
者を対象に実施した、多施設共同、無作為化、プラセボおよび実薬対照二重盲検比較の第 III 相臨
床試験です。     本グローバル試験は塩野義製薬が実施いたしました。       2184 名の被験者が XOFLUZA
40 mg または 80 mg(体重により決定)の 1 回投与群、プラセボ、またはオセルタミビル 75 mg
1 日 2 回 5 日間投与群に無作為に割り当てられました。そのうち、1163 名(53%)の被験者でイ
ンフルエンザウイルスへの感染が RT-PCR により確認されました        (A/H3N2 型:47.9%、A/H1N1
型:6.9%、B 型:41.6%)。本試験における主なリスク要因は、喘息または肺疾患(39.2%)         、65 歳
以上の高齢者(27.4%)   、内分泌疾患(13.5%) 、心疾患(12.7%)、極度の肥満(10.6%)でした。
本試験の主な結果は下記のとおりです。
  ・ XOFLUZA は、インフルエンザ罹病期間(インフルエンザ症状が回復するまでの時間)を
      プラセボに対して有意に短縮しました。インフルエンザ罹病期間の中央値は、プラセボ群
      の 102 時間に対し、XOFLUZA 群では 73 時間でした(p<0.001)。
  ・ B 型インフルエンザ感染患者では、XOFLUZA はインフルエンザ罹病期間をプラセボに対
      し有意に短縮しました。インフルエンザ罹病期間の中央値は、プラセボ群の 101 時間に対
      し、XOFLUZA 群では 75 時間でした(p<0.001)
                                    。
  ・ XOFLUZA の投与後に 1%以上の頻度で認められた有害事象は、 (3%)気管支炎
                                             下痢    、      (3%) 、
      吐き気(2%)  、副鼻腔炎(2%) 、頭痛(1%)でした。XOFLUZA は良好な忍容性を示し、
      安全性上の新たな懸念はありませんでした。

【インフルエンザについて】
インフルエンザの世界的な流行は今なお公衆衛生上の懸念であり、世界的には、インフルエンザ
の流行により年間 300~500 万人が重症化し、65 万人が亡くなると報告されています 12, 13, 14, 15,
16。CDC は、2 歳未満の子供、65 歳以上の高齢者、妊婦および、心疾患、肺疾患、代謝性疾患

(例:糖尿病)   、免疫機能不全等の基礎疾患を持つ方は重症化および合併症を起こしやすいハイ
リスク患者と定義しています 2。




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参考:
1. 2019 年 3 月 6 日開示
    抗インフルエンザウイルス薬 XOFLUZATM の米国における新薬承認追加申請受理について
    -重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつ患者のインフルエンザウイルス感染
    症治療を適応として-
2. https://www.cdc.gov/flu/professionals/antivirals/summary-clinicians.htm CDC website, Influenza
    Antiviral Medications: Summary for Clinicians, Accessed December 27, 2018.
3. 2018 年 10 月 25 日開示
    XOFLUZATM(一般名:バロキサビル マルボキシル)の米国における承認取得について-
    合併症のない急性のインフルエンザ感染症治療を適応として-
4. T. Noshi et al. In vitro Characterization of Baloxavir Acid, a First-in-Class Cap-
    dependent Endonuclease Inhibitor of the Influenza Virus Polymerase PA Subunit.
    Antiviral Research 2018;160:109-117
5. K. Taniguchi et al. Inhibition of avian-origin influenza A(H7N9) virus by the novel cap-
    dependent endonuclease inhibitor baloxavir marboxil. Scientific Reports volume 9,
    Article number: 3466 (2019)
6. 2018 年 3 月 14 日開示
    抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ TM 錠 10mg・20mg」新発売のお知らせ
7. 2018 年 8 月 29 日開示
    抗インフルエンザウイルス薬「紓伏效®(ゾフルーザ®)錠 20mg」の台湾における製造販売
    承認取得について
8. 2019 年 9 月 2 日開示
    抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®の PA/I38 アミノ酸変異株に関する学会発表につい
    て
9. 2019 年 9 月 2 日開示
    抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®の PA/I38 アミノ酸変異株検出に関する特定使用成
    績調査の学会発表について
10. 2019 年 9 月 2 日開示
    抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®の第 III 相臨床試験(国内予防投与試験)におけ
    る良好な結果について-インフルエンザウイルス感染症の発症割合を 86%減少-
11. 2018 年 10 月 4 日開示
    バロキサビル マルボキシルの臨床試験結果の学会発表について-IDWeek 2018 にて、重症
    化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつインフルエンザ患者を対象とした第 III 相
    臨床試験(CAPSTONE-2)の良好な結果を発表-
12. http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2017/seasonal-flu/en/         World      Health
    Organization website, Up to 650 000 people die of respiratory diseases linked to seasonal
    flu each year, Accessed December 14, 2017.
13. http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs211/en World Health Organization website,
    Influenza (Seasonal), Accessed January 31, 2018.
14. Baxter D. Evaluating the case for trivalent or quadrivalent influenza vaccines. Hum
    Vaccin Immunother. 2016; 12(10):2712-2717.
15. https://www.cdc.gov/flu/about/disease/2015-16.htm CDC website, Estimated Influenza
    Illnesses, Medical Visits, Hospitalizations, and Deaths Averted by Vaccination in the
    United State. Accessed April 19, 2017.
16. Nair H, et al. Global burden of respiratory infections due to seasonal influenza in young
    children: a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2011 Dec 3;378(9807):1917-30.




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