4507 塩野義薬 2019-10-17 10:00:00
Cefiderocolの米国FDA諮問委員会からの承認推奨採択について [pdf]
2019 年 10 月 17 日
各 位
会 社 名 塩 野 義 製 薬 株 式 会 社
代 表 者 代表取締役社長 手 代 木 功
名
(コード番号 4507 東証第一部)
問 合 せ 広 報 部 長 京 川 吉 正
先
TEL (06)6209-7885
Cefiderocol の米国 FDA 諮問委員会からの承認推奨採択について
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」
)
は、米国で審査中の cefiderocol(セフィデロコル)に関して、10 月 16 日に開催された米国食品
医薬品局(FDA)感染症諮問委員会(Antimicrobial Drugs Advisory Committee)が、本剤の「他
の治療選択肢が無いもしくは限られた、腎盂炎を含む複雑尿路感染症治療」の適応について、FDA
承認の推奨を採択(賛成:14、反対:2)したことをお知らせいたします。
FDA からの新薬製造承認は、諮問委員会の承認採択とは独立して判断されますが、審査過程
においてその内容が考慮されます。Cefiderocol は生命を脅かす重篤な感染症に対する治療薬と
なる可能性を評価され、FDA より Qualified Infectious Disease Product (QIDP) に指定されて
います。FDA の審査終了目標日(PDUFA date)は 2019 年 11 月 14 日であり、承認されれば製
品名「FETROJA®」として販売されます。
諮問委員会についての詳細はこちらをご覧ください。
グラム陰性菌による複雑尿路感染症の死亡率の高さは現在も医療における課題となっており、
当社はセフィデロコルが重篤な感染症に対する有望な治療選択肢になると考えております。当社
は「創薬型製薬企業として社会とともに成長し続ける」ことを経営目標として掲げた中期経営計
画 SGS2020 の中で、
「世界を感染症の脅威から守る」ことを取り組むべき社会課題の一つにあ
げております。人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を、世界中の患者さまのもとにいち
早くお届けできるよう、引き続き努力してまいります。
なお、本件が 2020 年 3 月期連結業績に与える影響は軽微です。
以 上
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【Cefiderocolについて】
Cefiderocolは、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して抗菌活性を発揮する
新規のシデロフォアセファロスポリン抗菌薬です。Cefiderocolは細菌のカルバペネムへの耐性獲
得に関連する3つの主な機序(ポーリンチャネルの変異による膜透過性低下、ラクタマーゼによ
る不活性化、排出ポンプの過剰産生)による影響を受けずに抗菌力を発揮します。鉄イオンと結
合する独自の構造を有することにより、細菌が養分である鉄イオンを取り込むために利用する鉄
イオントランスポーターを介し、細菌内に能動的に運ばれます1。また、セリン型及びメタロ型
カルバペネマーゼを含む既知のすべてのラクタマーゼに対し分解されにくい特徴を有します2。
その結果、cefiderocolは細菌のペリプラズム内に効率よく取り込まれ、細胞壁合成を効率的に阻
害します3。グローバルで実施した感受性サーベイランス試験*において、cefiderocolはカルバペ
ネム系抗菌薬に耐性を示す緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ、ステノトロホモナス・マルト
フィリアおよび腸内細菌科細菌を含むグラム陰性菌に対し、in vitro下で広い抗菌スペクトルを
示しました4。これに対して、cefiderocolはグラム陽性菌および嫌気性菌に対してのin vitro活性
は強くありません。
当社は、cefiderocolの新薬承認申請を米国食品医薬品局(FDA)に申請済みです。Cefiderocol
はQIDP**に指定されており、FDAの審査終了目標日(PDUFA date)は2019年11月14日です。
また、欧州における製造販売承認も申請しており、2019年3月に受理されております5。
* サーベイランス試験 :医療機関より入手した臨床分離菌の薬剤感受性を調査する試験
** QIDP:Qualified infectious disease product、指定を受けることで優先審査や、認可後5年間の特許・優先権
期間の延長が認められる等のインセンティブが付与されます
【グラム陰性菌感染症について】
カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ、ステノトロホモナ
ス・マルトフィリアおよび腸内細菌科細菌を含むグラム陰性菌への有効な治療法は、重大なアン
メットメディカルニーズです 4, 6-9。多剤耐性グラム陰性菌が増加していることから、治療が困難
になっており、これらの感染による致死率も増加しています 10。米国では、年間少なくとも 200
万人が薬剤耐性菌に感染し、そのうち少なくとも 2 万 3 千人が死亡することが報告されています
11。また、欧州では、年間約 2 万 5 千人が多剤耐性菌への感染により死亡することが報告されて
います 12。カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す緑膿菌、アシネトバクター・バウマニおよび腸内
細菌科細菌を含むグラム陰性菌に対する新たな抗菌薬の研究開発は、世界保健機関により、最優
先事項と考えられています 6。
参考:
1. Ito A, Nishikawa T., Matsumoto S, et al. Siderophore Cephalosporin Cefiderocol Utilizes
Ferric Iron Transporter Systems for Antibacterial Activity against Pseudomonas
aeruginosa. Antimicrob Agents Chemother. 2016;60(12):7396-7401.
2. Ito-Horiyama T, Ishii Y, Ito A, et al. Stability of Novel Siderophore Cephalosporin S-
649266 against Clinically Relevant Carbapenemases. Antimicrob Agents Chemother.
2016;60(7):4384-4386.
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3. Tillotson GS. Trojan Horse Antibiotics—A Novel Way to Circumvent Gram-Negative
Bacterial Resistance? Infectious Diseases: Research and Treatment. 2016;9:45-52
doi:10.4137/IDRT.S31567.
4. M Hackel, M Tsuji, Y Yamano, et al. In Vitro Activity of the Siderophore Cephalosporin,
Cefiderocol, Against a Recent Collection of Clinically Relevant Gram-Negative Bacilli
from North America and Europe, Including Carbapenem Non-Susceptible Isolates: The
SIDERO-WT-2014 Study. Antimicrobial Agents Chemotherapy. 2017;61(9):e00093-17.
https://doi.org/10.1128/AAC.00093-17.
5. 2019 年 4 月 1 日開示
新規注射用シデロフォアセファロスポリン抗菌薬セフィデロコルの欧州における製造販売承
認申請受理および Accelerated Assessment の指定について
6. World Health Organization. Global priority list of antibiotic-resistant bacteria to guide
research, discovery, and development of new antibiotics. February 27, 2017. Retrieved
from https://www.who.int/medicines/publications/global-priority-list-antibiotic-resistant-
bacteria/en/.
7. Diene SM, Rolain JM. Carbapenemase genes and genetic platforms in gram-negative
bacilli: Enterobacteriaceae, Pseudomonas and Acinetobacter species. Clin Microbiol
Infect 2014; 20:831−38.
8. Livermore DM. Current epidemiology and growing resistance of gram-negative
pathogens. Korean J Intern Med 2012; 27:128−42.
9. Brooke JS. Stenotrophomonas maltophilia: an emerging global opportunistic pathogen.
Clin Microbiol Rev 2012; 25:2−41.
10. Tangden T, Giske CG. Global dissemination of extensively drug-resistant
carbapenemase-producing Enterobacteriaceae: clinical perspectives on detection,
treatment and infection control. J Intern Med 2015; 277:501−12.
11. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Antibiotic Resistance Threats in the
United States 2013. Retrieved from https://www.cdc.gov/drugresistance/pdf/ar-threats-
2013-508.pdf
12. European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC). Technical Report: the
bacterial challenge: time to react. 2009.
https://ecdc.europa.eu/sites/portal/files/media/en/publications/Publications/0909_TER_Th
e_Bacterial_Challenge_Time_to_React.pdf
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