4507 塩野義薬 2019-09-02 15:00:00
抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ(R)の第III相臨床試験(グローバル小児試験)における良好な結果について [pdf]
2019 年 9 月 2 日
各 位
会 社 名 塩 野 義 製 薬 株 式 会 社
代表者名 代表取締役社長 手 代 木 功
(コード番号 4507 東証第一部)
問合せ先 広 報 部 長 京 川 吉 正
TEL (06)6209-7885
抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®の
第 III 相臨床試験(グローバル小児試験)における良好な結果について
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」
または「当社」 )は、ゾフルーザ®(バロキサビル マルボキシル)につきまして、1 歳以上 12 歳
未満の小児インフルエンザ患者を対象としたグローバル第 III 相臨床試験 (MINISTONE-2 試験)
の結果が、2019 年 8 月 28 日~9 月 1 日にシンガポールで開催された Options X for the Control
of Influenza(OPTIONS X)にて Roche グループより発表されましましたので、その概要をお知
らせいたします。
本試験の主要評価項目は、投与 29 日目までに有害事象(重篤な有害事象を含む)を示した被験
者の割合でした。1 つ以上の有害事象を示した被験者の割合は、ゾフルーザ投与群で 46.1%、オ
セルタミビル投与群で 53.4%であり、ゾフルーザは主要評価項目について、小児における有効か
つ安全な抗インフルエンザウイルス薬であるオセルタミビルと同様の成績を示しました。また、
本試験で示された小児における安全性プロファイルに、これまでに実施された成人および青少年
における試験結果との矛盾はありませんでした。
さらに、副次評価項目としてゾフルーザの有効性をオセルタミビルと比較した結果、下記の結
果が得られました。
・ インフルエンザ罹病期間(インフルエンザ症状が消失するまでの時間)の中央値は、ゾフ
ルーザ投与群で 138.1 時間、オセルタミビル投与群で 150.0 時間であり、両群で同程度で
した。
・ 体内からのウイルス排出期間の中央値は、ゾフルーザ投与群で 24.2 時間、オセルタミビル
投与群で 75.8 時間であり、ゾフルーザはオセルタミビルと比較しウイルス排出期間を 2 日
間以上短縮しました。
本試験結果は、2019 年 9 月 1 日に OPTIONS X にて Roche グループより発表されています
(Abstract #11756)
。
本薬の開発および販売は現在、Roche グループとの提携下で進めており、日本と台湾における
本薬の販売は塩野義製薬が、それ以外の国における本薬の販売は Roche グループが行います。本
薬は日本で製造販売承認を取得し、成人および小児における A 型および B 型インフルエンザウイ
ルス感染症を対象に製品名ゾフルーザとして販売されております 1。米国では、12 歳以上の合併
症のない急性のインフルエンザウイルス感染症治療を適応として製品名 XOFLUZATM として発
売されております 2。
塩野義製薬は「創薬型製薬企業として社会とともに成長し続ける」ことを経営目標として掲げ
た中期経営計画 SGS2020 の中で、
「世界を感染症の脅威から守る」ことを当社が取り組むべき社
会課題の一つにあげております。人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を、世界中の患者
さまのもとにいち早くお届けできるよう努力してまいります。また、引き続き本薬の有効性、安
1 / 3
全性に関するデータの収集と解析に鋭意取り組み、適正使用に向けた情報提供活動に努めてまい
ります。
なお、本件が 2020 年 3 月期連結業績に与える影響は軽微です。
以 上
【ゾフルーザ®(一般名: バロキサビル マルボキシル)について】
塩野義製薬が創製したゾフルーザは、既存の薬剤とは異なる新しい作用機序であるキャップ依
存性エンドヌクレアーゼ阻害作用によりインフルエンザウイルスの増殖を抑制します。既存の薬
剤とは異なり、本薬は 1 回の経口投与で効果を発揮します。ゾフルーザは前臨床試験において、
オセルタミビルに耐性を示すウイルスおよび、鳥インフルエンザウイルス(H7N9, H5N1)を含
むインフルエンザウイルスに抗ウイルス効果を示しました 3, 4。
本薬は 2019 年 8 月 28 日に、成人および 12 歳以上の小児の急性 A 型、B 型インフルエンザウ
イルス感染症を適応症として、台湾食品薬物管理局(TFDA)に承認されました 5。
米国では、 「重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつ 12 歳以上の患者のインフル
エンザウイルス感染症治療」を適応とした新薬承認追加申請が米国食品医薬品局(FDA)より受
理されており、FDA の審査終了目標日(PDUFA date)は 2019 年 11 月 4 日です 6。詳細は
XOFLUZA ホームページをご覧ください。
Roche グループは、小児またはインフルエンザ症状が重篤化した入院患者を対象としたグロー
バル第 III 相臨床試験を実施中です。また今後、本薬のインフルエンザウイルス伝播抑制効果に
ついて検証する予定です。
本薬は、臨床試験にて確認された本薬に対し感受性が低下した PA/I38 アミノ酸変異株につい
てのデータも含め、各国規制当局による審査を受け、日米を含め複数の国で承認されておりま
す。塩野義製薬では引き続きあらゆる面から同変異株に関するデータを集積し、当局にデータを
提供すると共に、学会や科学論文等を通じて最新の知見を医療関係者の皆様に提供してまいりま
す。
【MINISTONE-2 試験について】
MINISTONE-2 試験は、1 歳以上 12 歳未満の小児インフルエンザウイルス感染症患者を対象に
実施した、多施設共同、無作為化、二重盲検比較の第 III 相臨床試験です。本試験は Roche グ
ループが実施しました。本試験に登録された被験者は 5 歳以上 12 歳未満と、1 歳以上 5 歳未満
の 2 つのコホートに割り当てられました。両コホートの被験者は、ゾフルーザ投与群(1 回投
与、投与量:20 kg 未満 2 mg/kg、20 kg 以上 40 mg、1 回投与)とオセルタミビル投与群(1
日 2 回 5 日間投与、投与量は体重により調整)に割り当てられました。本試験の主要評価項目
は、投与 29 日目までに有害事象(重篤な有害事象を含む)を示した被験者の割合であり、副次
評価項目は薬物動態、インフルエンザ罹病期間(熱を含むインフルエンザ症状が消失するまでの
時間)でした。
【インフルエンザについて】
インフルエンザの世界的な流行は今なお公衆衛生上の懸念であり、世界的には、インフルエン
ザの流行により年間 300~500 万人が重症化し、65 万人が亡くなると報告されています 7, 8, 9, 10,
11。
2 / 3
参考:
1. 2018 年 3 月 14 日開示
抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ TM 錠 10mg・20mg」新発売のお知らせ
2. 2018 年 10 月 25 日開示
XOFLUZATM(一般名:バロキサビル マルボキシル)の米国における承認取得について-
合併症のない急性のインフルエンザ感染症治療を適応として-
3. T. Noshi et al. In vitro Characterization of Baloxavir Acid, a First-in-Class Cap-
dependent Endonuclease Inhibitor of the Influenza Virus Polymerase PA Subunit.
Antiviral Research 2018;160:109-117
4. K. Taniguchi et al. Inhibition of avian-origin influenza A(H7N9) virus by the novel cap-
dependent endonuclease inhibitor baloxavir marboxil. Scientific Reports volume 9,
Article number: 3466 (2019)
5. 2019 年 8 月 29 日開示
抗インフルエンザウイルス薬「紓伏效®(ゾフルーザ®)錠 20mg」の台湾における製造販売
承認取得について
6. 2019 年 3 月 6 日開示
抗インフルエンザウイルス薬 XOFLUZATM の米国における新薬承認追加申請受理について
-重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつ患者のインフルエンザウイルス感染
症治療を適応として-
7. http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2017/seasonal-flu/en/ World Health
Organization website, Up to 650 000 people die of respiratory diseases linked to seasonal
flu each year, Accessed December 14, 2017.
8. http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs211/en World Health Organization website,
Influenza (Seasonal), Accessed January 31, 2018.
9. Baxter D. Evaluating the case for trivalent or quadrivalent influenza vaccines. Hum
Vaccin Immunother. 2016; 12(10):2712-2717.
10. https://www.cdc.gov/flu/about/disease/2015-16.htm CDC website, Estimated Influenza
Illnesses, Medical Visits, Hospitalizations, and Deaths Averted by Vaccination in the
United State. Accessed April 19, 2017.
11. Nair H, et al. Global burden of respiratory infections due to seasonal influenza in young
children: a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2011 Dec 3;378(9807):1917-30.
3 / 3