4507 塩野義薬 2019-09-02 15:00:00
抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ(R)の第III相臨床試験(国内予防投与試験)における良好な結果について [pdf]
2019 年 9 月 2 日
各 位
会 社 名 塩 野 義 製 薬 株 式 会 社
代表者名 代表取締役社長 手 代 木 功
(コード番号 4507 東証第一部)
問合せ先 広 報 部 長 京 川 吉 正
TEL (06)6209-7885
抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®の
第 III 相臨床試験(国内予防投与試験)における良好な結果について
-インフルエンザウイルス感染症の発症割合を 86%減少-
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」
または「当社」 )は、インフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果の検証を目的としたゾフルー
ザ ® ( 一 般 名 : バ ロ キ サ ビ ル マ ル ボ キ シ ル ) の 第 III 相 臨 床 試 験 ( 国 内 予 防 投 与 試 験 :
BLOCKSTONE 試験)の結果を、2019 年 8 月 28 日~9 月 1 日にシンガポールで開催された
Options X for the Control of Influenza(OPTIONS X)において発表しましたので、その概要を
お知らせいたします。本試験結果の速報は、2019 年 6 月 4 日 1 にお知らせしたとおりです。
本試験の主要評価項目は、 「インフルエンザウイルス感染症患者(以下、初発患者)のいる家族
または共同生活者(以下、被験者)に被験薬を投与したときの投与後 10 日の間にインフルエンザ
ウイルスに感染し、発熱かつ呼吸器症状を発現した被験者の割合」です。インフルエンザウイル
スに感染し、発熱かつ呼吸器症状を発現した被験者の割合は、ゾフルーザ投与群で 1.9%(7/374
例)、プラセボ投与群で 13.6%(51/375 例)であり、ゾフルーザの投与により、インフルエンザ
ウイルス感染症の発症割合はプラセボ群に対し 86%減少しました (p<0.0001) また、
。 サブグルー
プ解析により、下記の結果が得られました。
・ インフルエンザウイルスの亜型別に解析した結果、A/H1N1pdm 型及び A/H3 型の両方に
おいて、ゾフルーザはプラセボに対し発症抑制効果を示しました(A/HIN1pdm 型:1.1%
[2/176 例] vs 10.6% [19/180 例] p=0.0023、A/H3 型:2.8% [5/181 例] vs 17.5% [32/183
例] p<0.0001) 。
・ 重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつ被験者において、ゾフルーザはプラ
セ ボ に 対 し 有 意 な 発 症 抑 制 効 果 を 示 し ま し た ( 2.2% [1/46 例 ] vs 15.4% [8/52 例 ]
p=0.0435) 。
・ 12 歳未満の小児において、ゾフルーザはプラセボに対し発症抑制効果を示しました (4.2%
[3/71 例] vs 15.5% [21/124 例] p=0.0339)。
・ ワクチン接種の有無に関わらず、ゾフルーザはプラセボに対し発症抑制効果を示しました
(ワクチン接種有り:2.3% [3/131 例] vs 16.9% [21/124 例] p=0.0009、ワクチン接種無
し:1.6% [4/243 例] vs 12.0% [30/251 例] p=0.0002)。
また、主な副次評価項目について、下記の結果が得られました。
・ インフルエンザウイルスに感染し、発熱または呼吸器症状を発現した被験者の割合は、ゾ
フルーザ投与群で 5.3%(20/374 例)、プラセボ投与群で 22.4%(84/375 例)であり、ゾ
フルーザの投与により、インフルエンザウイルス感染症の発症割合はプラセボ群に対し
76%減少しました(p<0.0001)
1 / 4
・ 有害事象の発現率はゾフルーザ投与群とプラセボ投与群でそれぞれ 22.2%と 20.5%でし
た。また、ゾフルーザ投与群において重篤な有害事象の発現は認められませんでした。
本薬の開発および販売は現在、Roche グループとの提携下で進めており、日本と台湾における
本薬の販売は塩野義製薬が、それ以外の国における本薬の販売は Roche グループが行います。本
薬は日本で製造販売承認を取得し、 成人および小児における A 型および B 型インフルエンザウイ
ルス感染症を対象に製品名ゾフルーザとして販売されております 2。米国では、12 歳以上の合併
症のない急性のインフルエンザウイルス感染症治療を適応として製品名 XOFLUZATM として発
売されております 3。このたびの国内予防投与試験の結果は、 ゾフルーザが 1 回の経口投与でイン
フルエンザウイルス感染症の治療だけでなく、予防においても効果を発揮することを示すもので
す。今後、本試験結果をもとに、当社は本薬の予防適応追加に向けて準備を進めてまいります。
塩野義製薬は「創薬型製薬企業として社会とともに成長し続ける」ことを経営目標として掲げ
た中期経営計画 SGS2020 の中で、
「世界を感染症の脅威から守る」ことを当社が取り組むべき社
会課題の一つにあげております。人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を、世界中の患者
さまのもとにいち早くお届けできるよう努力してまいります。また、引き続き本薬の有効性、安
全性に関するデータの収集と解析に鋭意取り組み、適正使用に向けた情報提供活動に努めてまい
ります。
なお、本件が 2020 年 3 月期連結業績に与える影響は軽微です。
以 上
2 / 4
【ゾフルーザ®(バロキサビル マルボキシル)について】
塩野義製薬が創製したゾフルーザは、既存の薬剤とは異なる新しい作用機序であるキャップ依
存性エンドヌクレアーゼ阻害作用によりインフルエンザウイルスの増殖を抑制します。既存の薬
剤とは異なり、本薬は 1 回の経口投与で効果を発揮します。ゾフルーザは前臨床試験において、
オセルタミビルに耐性を示すウイルスおよび、鳥インフルエンザウイルス(H7N9, H5N1)を含
むインフルエンザウイルスに抗ウイルス効果を示しました 4, 5。
本薬は 2019 年 8 月 28 日に、成人および 12 歳以上の小児の急性 A 型、B 型インフルエンザウ
イルス感染症を適応症として、台湾食品薬物管理局(TFDA)に承認されました 6。
米国では、 「重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつ 12 歳以上の患者のインフル
エンザウイルス感染症治療」を適応とした新薬承認追加申請が米国食品医薬品局(FDA)より受
理されており、FDA の審査終了目標日(PDUFA date)は 2019 年 11 月 4 日です 7。詳細は
XOFLUZA ホームページをご覧ください。
Roche グループは、1 歳未満の小児またはインフルエンザ症状が重篤化した入院患者を対象と
したグローバル第 III 相臨床試験を実施中です。また今後、本薬のインフルエンザウイルス伝播
抑制効果について検証する予定です。
本薬は、臨床試験にて確認された本薬に対し感受性が低下した PA/I38 アミノ酸変異株につい
てのデータも含め、各国規制当局による審査を受け、日米を含め複数の国で承認されておりま
す。塩野義製薬では引き続きあらゆる面から同変異株に関するデータを集積し、当局にデータを
提供すると共に、学会や科学論文等を通じて最新の知見を医療関係者の皆様に提供してまいりま
す。
【BLOCKSTONE 試験について】
BLOCKSTONE 試験は、インフルエンザウイルス感染症患者(初発患者)の同居家族または共
同生活者(被験者)を対象に実施した、多施設共同、無作為化、プラセボ対照二重盲検比較の第
III 相臨床試験です。本試験は 750 例を対象に、日本で塩野義製薬が実施いたしました。被験者は
ゾフルーザの 1 回投与群(投与量は年齢・体重に応じて調整*) 、またはプラセボ投与群に無作為
に割り当てられました。 本試験の主要評価項目は投与後 10 日間における、インフルエンザウイル
スに感染し、発熱かつ呼吸器症状を有する被験者の割合です。また、本試験では PA/I38 アミノ酸
変異株の出現についての探索評価も行いました。
*本試験におけるゾフルーザ®の投与量
1.12 歳以上
体重 投与量
80kg 以上 80mg
80kg 未満 40mg
2.12 歳未満
体重 投与量
40kg 以上 40mg
20kg 以上 40kg 未満 20mg
10kg 以上 20kg 未満 10mg(顆粒剤)
10kg 未満 1mg/kg(顆粒剤)
【インフルエンザについて】
インフルエンザの世界的な流行は今なお公衆衛生上の懸念であり、世界的には、インフルエン
ザの流行により年間 300~500 万人が重症化し、65 万人が亡くなると報告されています 8, 9, 10, 11,
12。
3 / 4
参考:
1. 2018 年 6 月 4 日開示
抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®の第 III 相臨床試験(国内予防投与試験)結果に
ついて(速報)
2. 2018 年 3 月 14 日開示
抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ TM 錠 10mg・20mg」新発売のお知らせ
3. 2018 年 10 月 25 日開示
XOFLUZATM(一般名:バロキサビル マルボキシル)の米国における承認取得について-
合併症のない急性のインフルエンザ感染症治療を適応として-
4. T. Noshi et al. In vitro Characterization of Baloxavir Acid, a First-in-Class Cap-
dependent Endonuclease Inhibitor of the Influenza Virus Polymerase PA Subunit.
Antiviral Research 2018;160:109-117
5. K. Taniguchi et al. Inhibition of avian-origin influenza A(H7N9) virus by the novel cap-
dependent endonuclease inhibitor baloxavir marboxil. Scientific Reports volume 9,
Article number: 3466 (2019)
6. 2018 年 8 月 29 日開示
抗インフルエンザウイルス薬「紓伏效®(ゾフルーザ®)錠 20mg」の台湾における製造販売
承認取得について
7. 2019 年 3 月 6 日開示
抗インフルエンザウイルス薬 XOFLUZATM の米国における新薬承認追加申請受理について
-重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつ患者のインフルエンザウイルス感染
症治療を適応として-
8. http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2017/seasonal-flu/en/ World Health
Organization website, Up to 650 000 people die of respiratory diseases linked to seasonal
flu each year, Accessed December 14, 2017.
9. http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs211/en World Health Organization website,
Influenza (Seasonal), Accessed January 31, 2018.
10. Baxter D. Evaluating the case for trivalent or quadrivalent influenza vaccines. Hum
Vaccin Immunother. 2016; 12(10):2712-2717.
11. https://www.cdc.gov/flu/about/disease/2015-16.htm CDC website, Estimated Influenza
Illnesses, Medical Visits, Hospitalizations, and Deaths Averted by Vaccination in the
United State. Accessed April 19, 2017.
12. Nair H, et al. Global burden of respiratory infections due to seasonal influenza in young
children: a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2011 Dec 3;378(9807):1917-30.
4 / 4