4507 塩野義薬 2019-08-29 11:30:00
抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ錠20mg」の台湾における製造販売承認取得について [pdf]
2019 年 8 月 29 日
各 位
会 社 名 塩 野 義 製 薬 株 式 会 社
代表者名 代表取締役社長 手 代 木 功
(コード番号 4507 東証第一部)
問合せ先 広 報 部 長 京 川 吉 正
TEL (06)6209-7885
抗インフルエンザウイルス薬「紓伏效®(ゾフルーザ®)錠 20mg」の
台湾における製造販売承認取得について
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」
または「当社」 )は、台湾食品薬物管理局(以下、「TFDA」 )に新薬承認申請していた紓伏效®(日
本における製品名:ゾフルーザ®)について、2019 年 8 月 28 日付で、
「成人および 12 歳以上の小
児の急性 A 型、B 型インフルエンザウイルス感染症を適応症」として承認を取得しましたので、
お知らせいたします。
ゾフルーザ®は、 既存の薬剤とは異なる作用機序であるキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害
作用でインフルエンザウイルスの増殖を抑制します。台湾における本薬の承認については、重症
化および合併症を起こしやすいリスク要因を持たない健常のインフルエンザ患者を対象とした日
本国内第 II 相臨床試験およびグローバル第 III 相臨床試験(CAPSTONE-1)、重症化および合併
症を起こしやすいリスク要因をもつインフルエンザ患者を対象としたグローバル第 III 相臨床試
験(CAPSTONE-2)における良好な有効性および安全性の結果に基づき行われております。承認
取得後、 台湾では、 塩野義製薬の台湾子会社である、 台湾塩野義製薬股份有限公司 (台湾塩野義)
が本薬の販売を行います。本薬の作用機序や 1 回の経口投与で治療が完結する利便性、ならびに
本薬に対して感受性が低下した PA/I38 アミノ酸変異株に関して現在までに得られている情報に
加えて、 引き続き実施する安全性情報の収集とその調査結果を医療機関へ正確に提供することで、
本薬が新たな治療選択肢として、台湾の患者さまの治療に貢献することが期待されます。
現在、本薬の開発および販売は Roche グループとの提携下で進めており、日本と台湾におけ
る販売は塩野義製薬が、それ以外の国における販売は Roche グループが行います。本薬は日本
で製造販売承認を取得し、成人および小児における A 型および B 型インフルエンザウイルス感
染症を対象に、製品名ゾフルーザ®として販売しております。米国では、12 歳以上の合併症のな
い急性のインフルエンザウイルス感染症治療を適応として、製品名 XOFLUZATM として販売さ
れています 2。
塩野義製薬は「創薬型製薬企業として社会とともに成長し続ける」ことを経営目標として掲げ
た中期経営計画 SGS2020 の中で、
「世界を感染症の脅威から守る」ことを当社が取り組むべき社
会課題の一つにあげております。人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を、世界中の患者
さまのもとにいち早くお届けできるよう、引き続き努力してまいります。
なお、本件が 2020 年 3 月期連結業績に与える影響は軽微です。
以上
1/4
【ゾフルーザ®について】
塩野義製薬が創製したゾフルーザ®は、既存の薬剤とは異なる新しい作用機序であるキャップ
依存性エンドヌクレアーゼ阻害作用によりインフルエンザウイルスの増殖を抑制します。既存の
薬剤とは異なり、本薬は 1 回の経口投与で効果を発揮します。ゾフルーザ®は前臨床試験におい
て、オセルタミビルに耐性を示すウイルス、ならびに鳥インフルエンザウイルス(H7N9,
H5N1)を含むインフルエンザウイルスに対して抗ウイルス効果を示しました 3, 4。
米国では、 「重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつ 12 歳以上の患者のインフルエ
ンザウイルス感染症治療」を適応とした新薬承認追加申請が米国食品医薬品局(FDA)より受理
されており、FDA の審査終了目標日(PDUFA date)は 2019 年 11 月 4 日です 5。詳細は
XOFLUZA ホームページをご覧ください。
Roche グループは、小児を対象としたグローバル第 III 相臨床試験、またはインフルエンザ症
状が重篤化した入院患者を対象としたグローバル第 III 相臨床試験を実施中です。今後、本薬の
インフルエンザウイルス伝播抑制効果についても検証する予定です。
本薬は、臨床試験にて確認された本薬に対して感受性が低下した PA/I38 アミノ酸変異株に関
するデータも含め、各国規制当局による審査を受け、日米を含め複数の国で承認されておりま
す。塩野義製薬では引き続きあらゆる面から同変異株に関するデータを集積し、当局にデータを
提供すると共に、学会や科学論文等を通じて最新の知見を医療関係者の皆様に提供してまいりま
す。
【CAPSTONE-1 試験について】
CAPSTONE-1 試験は、リスク要因を持たない健常のインフルエンザ患者を対象に行った無作
為化,多施設共同,並行群間,プラセボおよび実薬対照二重盲検比較試験で、計 1,436 人が登録
されました。本試験においてバロキサビル マルボキシルは、インフルエンザ症状の罹病期間をプ
ラセボに対して有意に短縮しました(中央値:バロキサビル マルボキシル 53.7 時間、プラセボ
80.2 時間、p<0.0001)。また、ウイルス排出期間(患者体内から感染性を有するインフルエンザウ
イルス粒子が検出されなくなるまでの期間)についても、プラセボおよびオセルタミビルに対し
有意に短縮しました(中央値:バロキサビル マルボキシル 24.0 時間、プラセボ 96.0 時間、オセ
ルタミビル 72.0 時間、p<0.0001)。さらに本薬は、良好な忍容性と、プラセボおよびオセルタミビ
ルと比較して低い有害事象の発現率を示しました(有害事象発現率:バロキサビル マルボキシル
20.7%、プラセボ 24.6%、オセルタミビル 24.8%)。本試験のデザインおよび主な結果は、2017 年
9 月 14 日および 10 月 6 日のリリース文をご参照ください 6, 7。
【CAPSTONE-2 試験について】
CAPSTONE-2 試験は、 重症化および合併症のリスク要因をもつ 12 歳以上のインフルエンザ患
者を対象に、多施設共同、無作為化、プラセボおよび実薬対照二重盲検比較の第 III 相臨床試験で
す。本グローバル試験は塩野義製薬が実施いたしました。2184 名の被験者がバロキサビル マル
ボキシル 40 mg または 80 mg(体重により決定)の 1 回投与群、プラセボ、またはオセルタミ
ビル 75 mg 1 日 2 回 5 日間投与群に無作為に割り当てられました。そのうち、1163 名(53%)の
被験者でインフルエンザウイルスへの感染が RT-PCR により確認されました (A/H3N2 型 47.9%、
:
A/H1N1 型 6.9%、 型 41.6%) 本試験における主なリスク要因は、
: B : 。 喘息または肺疾患 (39.2%) 、
65 歳以上の高齢者(27.4%) 、内分泌疾患(13.5%)
、心疾患(12.7%)、極度の肥満(10.6%)でし
た。本試験の主要評価項目は、インフルエンザ罹病期間(インフルエンザ症状が回復するまでの
時間)であり、主な副次的評価項目は、平熱に回復するまでの時間、ウイルス排出の停止までの
時間、各時点におけるウイルス力価、インフルエンザ関連合併症の発現率でした。本試験のデザ
インおよび主な結果は、2018 年 10 月 4 日のリリース文をご参照ください 8。
2/4
【台湾塩野義製薬股份有限公司について】
台湾塩野義製薬股份有限公司は、塩野義製薬の子会社として 1964 年に設立された、医療
用医薬品の研究開発・製造・販売を行う台湾法人です。
「患者救命」という経営理念のも
と、病に苦しむ患者さまに医薬品をお届けし、一人でも多くの命を救うとともに QOL 向上
に貢献できるよう取り組んでいます。既存の主力製品である抗生物質「フルマリン®」や
「フィニバックス®」
、抗インフルエンザウイルス薬「ラピアクタ®」の販売拡大に加え、台
湾への新薬投入にも注力し、当社グループの中長期的な成長に貢献することを目指していま
す。
【インフルエンザについて】
インフルエンザの世界的な流行は今なお公衆衛生上の懸念であり、世界的には、インフルエ
ンザの流行により年間 300~500 万人が重症化し、65 万人が亡くなると報告されています 9, 10, 11,
12, 13。一般的に、2 歳未満の子供、65 歳以上の高齢者、妊婦および、心疾患、肺疾患、代謝性疾
患(例:糖尿病) 、免疫機能不全等の基礎疾患を持つ方は重症化および合併症を起こしやすいハイ
リスク患者に含まれます 14。台湾では毎年、人口の約 14%がインフルエンザまたは関連する肺炎
に罹患し、 治療を要することが報告されています 15。 インフルエンザは 11 月下旬から 3 月にかけ
て流行し、感染、入院、死亡等の健康への影響の度合いは年により異なります。台湾 CDC はイン
フルエンザの発生をモニターし、毎年 10 月から 3 月にかけインフルエンザについてレポート
(Influenza Express)を毎週発行しています。台湾では、外来患者のうち 0.5%は入院が必要とな
り、 そのうち 7%が重篤な合併症を発症し、 そのうち 20%が死亡することが報告されています 16。
参考:
1. 2018 年 3 月 14 日開示
抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ TM 錠 10mg・20mg」新発売のお知らせ
2. 2018 年 10 月 25 日開示
「XOFLUZATM(一般名:バロキサビル マルボキシル)の米国における承認取得について
-合併症のない急性のインフルエンザ感染症治療を適応として-」
3. T. Noshi et al. In vitro Characterization of Baloxavir Acid, a First-in-Class Cap-
dependent Endonuclease Inhibitor of the Influenza Virus Polymerase PA Subunit.
Antiviral Research 2018;160:109-117
4. K. Taniguchi et al. Inhibition of avian-origin influenza A(H7N9) virus by the novel cap-
dependent endonuclease inhibitor baloxavir marboxil. Scientific Reports volume 9,
Article number: 3466 (2019)
5. 2019 年 3 月 6 日開示
抗インフルエンザウイルス薬 XOFLUZATM の米国における新薬承認追加申請受理について
-重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつ患者のインフルエンザウイルス感染
症治療を適応として-
6. 2017 年 9 月 14 日開示
新規キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬 S-033188 の第Ⅲ相臨床試験結果について-
欧州インフルエンザ科学ワーキンググループ会議(ESWI)にて結果を発表-
7. 2017 年 10 月 6 日開示
新規キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬 S-033188 の学会発表について-米国感染症
学会週間(IDWeek 2017)にて臨床および非臨床試験結果を発表-
8. 2018 年 10 月 4 日開示
バロキサビル マルボキシルの臨床試験結果の学会発表について-IDWeek 2018 にて、重症
化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつインフルエンザ患者を対象とした第 III 相
臨床試験(CAPSTONE-2)の良好な結果を発表-
3/4
9. http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2017/seasonal-flu/en/ World Health
Organization website, Up to 650 000 people die of respiratory diseases linked to seasonal
flu each year, Accessed December 14, 2017.
10. http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs211/en World Health Organization website,
Influenza (Seasonal), Accessed January 31, 2018.
11. Baxter D. Evaluating the case for trivalent or quadrivalent influenza vaccines. Hum
Vaccin Immunother. 2016; 12(10):2712-2717.
12. https://www.cdc.gov/flu/about/disease/2015-16.htm CDC website, Estimated Influenza
Illnesses, Medical Visits, Hospitalizations, and Deaths Averted by Vaccination in the
United State. Accessed April 19, 2017.
13. Nair H, et al. Global burden of respiratory infections due to seasonal influenza in young
children: a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2011 Dec 3;378(9807):1917-30.
14. https://www.cdc.gov/flu/about/disease/high_risk.htm CDC website, People at High Risk of
Developing Flu–Related Complications, Accessed January 23, 2018.
15. http://www.cdc.gov.tw/uploads/files/022dff92-4b8a-40ee-82e0-bf7800b59ce4.pdf Taiwan
CDC website, Practical Guideline for Prevention and Control of Seasonal Influenza,
December 2017.
16. http://www.cdc.gov.tw/english/info.aspx?treeid=e79c7a9e1e9b1cdf&nowtreeid=e02c24f0d
acdd729&tid=9BA8ECA515DCAAF5 Taiwan CDC website, Influenza (Flu), Accessed
November 25, 2014.
4/4