4507 塩野義薬 2019-06-04 15:00:00
抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ(R)の第III相臨床試験(国内予防投与試験)結果について(速報) [pdf]

                                           2019 年 6 月 4 日
 各 位
                         会 社 名   塩 野 義 製 薬 株 式 会 社
                         代表者名    代表取締役社長    手 代 木      功
                           (コード番号 4507 東証第一部)
                         問合せ先 広 報 部 長 京 川 吉 正
                                 TEL (06)6209-7885

              抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®の
       第 III 相臨床試験(国内予防投与試験)結果について(速報)
-インフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果の検証を目的とした第 III 相臨床試験において
                 主要目的を達成-

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」
または「当社」   )は、インフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果の検証を目的としたゾフルー
ザ®の第 III 相臨床試験(国内予防投与試験:BLOCKSTONE 試験)において、主要目的を達成し

たことをお知らせいたします。

 本試験の主要評価項目は、   「インフルエンザウイルス感染症患者のいる家族、または共同生活者
に被験薬を投与したときの投与後 10 日の間にインフルエンザウイルスに感染し、発熱かつ呼吸
器症状を発現した被験者の割合」であり、この主要評価項目がプラセボに対して有意に低い結果
を示し、ゾフルーザ®の 1 回経口投与によるインフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果が認め
られました。 インフルエンザウイルスに感染し、  発熱かつ呼吸器症状を発現した被験者の割合は、
ゾフルーザ ®投与群で 1.9%、プラセボ投与群で 13.6%でした(p<0.0001)
                                           。一方、有害事象の発
現率はゾフルーザ  ®投与群とプラセボ投与群でそれぞれ 22.2%と 20.5%でした。また、ゾフルー

ザ®投与群において重篤な有害事象の発現は認められませんでした。       本試験の詳細な結果は、  今後、
関連学術論文や学会にて発表する予定です。

 本薬の開発および販売は現在、Roche グループとの提携下で進めており、日本と台湾における
本薬の販売は塩野義製薬が、それ以外の国における本薬の販売は Roche グループが行います。本
薬は日本で製造販売承認を取得し、  成人および小児における A 型および B 型インフルエンザウイ
ルス感染症を対象に製品名ゾフルーザ®として販売されております 1。米国では、12 歳以上の合併
症のない急性のインフルエンザウイルス感染症治療を適応として製品名 XOFLUZATM として発
売されております 2。このたびの国内予防投与試験の結果は、ゾフルーザ®が 1 回の経口投与でイ
ンフルエンザウイルス感染症の治療だけでなく、予防においても効果を発揮することを示すもの
です。今後、本試験結果をもとに、 当社は本薬の予防適応追加に向けて準備を進めてまいります。

 塩野義製薬は「創薬型製薬企業として社会とともに成長し続ける」ことを経営目標として掲げ
た中期経営計画 SGS2020 の中で、
                   「世界を感染症の脅威から守る」ことを当社が取り組むべき社
会課題の一つにあげております。人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を、世界中の患者
さまのもとにいち早くお届けできるよう、引き続き努力してまいります。

 なお、本件が 2020 年 3 月期連結業績に与える影響は軽微です。

                                                   以   上

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【ゾフルーザ®(XOFLUZATM,一般名: baloxavir marboxil)について】
 塩野義製薬が創製したゾフルーザ®は、既存の薬剤とは異なる新しい作用機序であるキャップ
依存性エンドヌクレアーゼ阻害作用によりインフルエンザウイルスの増殖を抑制します。既存の
薬剤とは異なり、本薬は 1 回の経口投与で効果を発揮します。ゾフルーザ®は前臨床試験におい
て、オセルタミビルに耐性を示すウイルスおよび、鳥インフルエンザウイルス(H7N9, H5N1)
を含むインフルエンザウイルスに抗ウイルス効果を示しました 3, 4。
 本薬は 2018 年 6 月 29 日に、12 歳以上の合併症のないインフルエンザウイルス感染症を適応
症として、台湾食品薬物管理局(TFDA)に本薬の新薬承認申請を行っております 5。
 米国では、   「重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつ 12 歳以上の患者のインフル
エンザウイルス感染症治療」を適応とした新薬承認追加申請が米国食品医薬品局(FDA)より受
理されており、FDA の審査終了目標日(PDUFA date)は 2019 年 11 月 4 日です 6。詳細は
XOFLUZA ホームページをご覧ください。
 Roche グループは、小児またはインフルエンザ症状が重篤化した入院患者を対象としたグロー
バル第 III 相臨床試験を実施中です。また今後、本薬のインフルエンザウイルス伝播抑制効果に
ついて検証する予定です。
 本薬は、臨床試験にて確認された本薬に対し感受性が低下した PA/I38 アミノ酸変異株につい
てのデータも含め、各国規制当局による審査を受け、日米を含め 5 カ国で承認されております。
塩野義製薬では引き続きあらゆる面から同変異株に関するデータを集積し、当局にデータを提供
すると共に、学会や科学論文等を通じて最新の知見を医療関係者の皆様に提供してまいります。

【BLOCKSTONE 試験について】
  BLOCKSTONE 試験は、インフルエンザウイルス感染症患者(初発患者)の同居家族または共
同生活者を対象に実施した、多施設共同、無作為化、プラセボ対照二重盲検比較の第 III 相臨床試
験です。本試験は 750 例を対象に、日本で塩野義製薬が実施いたしました。被験者はゾフルーザ
®の 1 回投与群(投与量は年齢・体重に応じて調整*) 、またはプラセボ投与群に無作為に割り当て
られました。本試験の主要評価項目は投与後 10 日間における、インフルエンザウイルスに感染
し、発熱かつ呼吸器症状を有する被験者の割合です。また、本試験では PA/I38 アミノ酸変異株の
出現についての探索評価も行っております。本試験の詳細な結果は、今後、関連学術論文や学会
にて発表する予定です。
*本試験におけるゾフルーザ®の投与量
1.12 歳以上
 体重       投与量
 80kg 以上  80mg
 80kg 未満  40mg

2.12 歳未満
 体重                投与量
 40kg 以上           40mg
 20kg 以上 40kg 未満   20mg
 10kg 以上 20kg 未満   10mg(顆粒剤)
 10kg 未満           1mg/kg(顆粒剤)

【インフルエンザについて】
  インフルエンザの世界的な流行は今なお公衆衛生上の懸念であり、世界的には、インフルエン
ザの流行により年間 300~500 万人が重症化し、65 万人が亡くなると報告されています 7, 8, 9, 10,
11。




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参考:
1. 2018 年 3 月 14 日開示
    「抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ TM 錠 10mg・20mg」新発売のお知らせ」
2. 2018 年 10 月 25 日開示
    「XOFLUZATM(一般名:バロキサビル マルボキシル)の米国における承認取得について
    -合併症のない急性のインフルエンザ感染症治療を適応として-」
3. T. Noshi et al. In vitro Characterization of Baloxavir Acid, a First-in-Class Cap-
    dependent Endonuclease Inhibitor of the Influenza Virus Polymerase PA Subunit.
    Antiviral Research 2018;160:109-117
4. K. Taniguchi et al. Inhibition of avian-origin influenza A(H7N9) virus by the novel cap-
    dependent endonuclease inhibitor baloxavir marboxil. Scientific Reports volume 9,
    Article number: 3466 (2019)
5. 2018 年 7 月 2 日開示
    「新規インフルエンザ治療薬バロキサビル マルボキシルの台湾における製造販売承認申請
    について」
6. 2019 年 3 月 6 日開示
    抗インフルエンザウイルス薬 XOFLUZATM の米国における新薬承認追加申請受理について
    -重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつ患者のインフルエンザウイルス感染
    症治療を適応として-
7. http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2017/seasonal-flu/en/         World    Health
    Organization website, Up to 650 000 people die of respiratory diseases linked to seasonal
    flu each year, Accessed December 14, 2017.
8. http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs211/en World Health Organization website,
    Influenza (Seasonal), Accessed January 31, 2018.
9. Baxter D. Evaluating the case for trivalent or quadrivalent influenza vaccines. Hum
    Vaccin Immunother. 2016; 12(10):2712-2717.
10. https://www.cdc.gov/flu/about/disease/2015-16.htm CDC website, Estimated Influenza
    Illnesses, Medical Visits, Hospitalizations, and Deaths Averted by Vaccination in the
    United State. Accessed April 19, 2017.
11. Nair H, et al. Global burden of respiratory infections due to seasonal influenza in young
    children: a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2011 Dec 3;378(9807):1917-30.




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