4507 塩野義薬 2021-09-28 19:40:00
Shionogi R&D Day 2021 [pdf]
Shionogi R&D Day 2021
2021年9月29日
塩野義製薬株式会社
アジェンダ
1. シオノギのR&D
– COVID-19関連事業の進捗 医薬研究本部長 木山 竜一
医薬開発本部長 岩﨑 利信
– 研究開発の進捗
> 研究領域 木山 竜一
> 開発領域 岩﨑 利信
2. 本日の総括 代表取締役社長 手代木 功
3. 質疑応答
2
アジェンダ
1. シオノギのR&D
– COVID-19関連事業の進捗 医薬研究本部長 木山 竜一
医薬開発本部長 岩﨑 利信
– 研究開発の進捗
> 研究領域 木山 竜一
> 開発領域 岩﨑 利信
2. 本日の総括 代表取締役社長 手代木 功
3. 質疑応答
3
COVID-19関連事業の進捗
COVID-19の早期終息に向けたシオノギの取り組み
流行予測 予防 診断 治療 重症化抑制
• 抗原検査kit
• ウイルスの侵入と発生の • 遺伝子組換えタンパクワ • 新規抗ウイルス薬 • 重症化抑制薬
• 重症化予測のためのTh2
傾向を早期に検出する クチン(S-268019)の (S-217622)の開発 asapiprantに関する外
ケモカインTARC* kit
下水疫学調査サービス 開発 • 開発候補ペプチドの創製 部連携
• 新規迅速診断法
喫緊の課題である医療体制逼迫へのソリューションを提供
* TARC(thymus and activation-regulated chemokine)
リンパ球の一つであるTh2細胞を炎症部位に遊走させるケモカイン群の一つ 5
S-217622
COVID-19治療薬
COVID-19経口抗ウイルス薬の必要性
• COVID-19をインフルエンザ同様の認識にするためには以下が必要
診断薬
ワクチン
治療薬 抗ウイルス薬(特に、外来使用可能な経口薬)
• 現時点までの治療薬
レムデシビル(抗ウイルス薬:点滴静注)
COVID-19抗体(カクテル等:点滴静注)
重症化対応(デキサメタゾン等)
特に感染拡大期における医療現場の負担は大きく、
経口の抗ウイルス薬のニーズは高い
7
コロナ治療薬研究を通した強みの再認識
「ウイルス研究」および「低分子
COVID-19創薬に集中する 北海道大学など
化合物デザイン」のノウハウを
大胆なリソースシフトとスピード 外部パートナーとの連携による
活かしたシオノギ独自の
を意識した意思決定 異なる強みの融合
「創薬プラットフォーム」
• SARS-CoV-2特異的な化合物として、トップクラスの創薬スピードで臨床入り
– リスクをとって必要とされる試験を複数並行して実施することで、異次元のスピードを実現
• SARS-CoV-2特異的な化合物の創製に向けて、立ち上げから約9ヶ月(SAR*開始から約4ヶ月)で
S-217622を含む開発候補品を発見
– 従来の創薬の考え方は、「薬になる確率は2万5000分の1、創薬開始から開発候補品まででも5年はかかる」
• S-217622の発見から約4か月で臨床試験開始
テビケイ、ゾフルーザを創出した低分子創薬の強みとその必要性を再認識
8
* Structure activity relationship:構造と抗ウイルス活性の相関
S-217622:3C-Like protease
Neutralizing Antibodies
casirivimab/imdevimab (REGEN-COV)
bamlanivimab/etesevimab
sotrovimab(VIR-7831)
開発候補ペプチド
Protease Inhibitors
PF-07321332
PF-00835231
S-217622
RdRp Inhibitors
Remdesivir
Molunupiravir
AT-527
nsp 1-16
9
S-217622:創薬標的としての3CL-protease
各種コロナウイルスのX線構造の重ね合わせ*
3CL-protease選定の理由
• コロナウイルス属に高く保存されている
• 活性中心のアミノ酸はヒトプロテアーゼとの相同性が低
く、安全性懸念が少ない
• X線複合体構造がすでに明らかとなっており*、構造情
SARS-CoV (2BX4) 報を活用した迅速な創薬展開が可能
SARS-CoV-2 (6Y2E)
MERS-CoV (5C3N)
• 多様なウイルスプロテアーゼ標的での創薬経験
• スパイクタンパク(Sタンパク質)と比較して、薬剤による
SARS-CoV-2のアミノ 変異ではない自然変異が入りにくい(P.12で詳細)
酸配列に対する相同性
• SARS-CoV: >95%
• MERS-CoV: >60%
新たな変異ウイルスや次のコロナパンデミック
にも対応できる創薬標的
* Protein Data Bank
10
S-217622:変異株に対する抗ウイルス効果
サル由来細胞を用いた評価
主要変異部位
ウイルス株 EC50 (μM)
Sタンパク質 3CL-protease
武漢株 0.37 - -
α株 0.31/0.46/0.33 N501Y, D614G -
(QHN001/QHN002/QK002)
β株 0.40
K417N, E484K, N501Y,
K90R*
(TY8-612) D614G
γ株 0.50/0.43
K417T, E484K, N501Y,
-
(TY7-501/TY7-503) D614G
δ株 0.41 L452R, T478K, D614G -
(TY11-927-P1)
社会的に問題となっているδ株を含め、幅広い株に対して活性を示す
11
* K90R変異酵素を用いた阻害評価によって薬効への影響がないことを確認
SARS-CoV-2の突然変異
SARS-CoV-2の細胞侵入・増殖過程 Sタンパク質の自然突然変異
宿主細胞への接着・侵入に用いることから、新たな変異は
細胞外
感染力を上げたり、新たな宿主への感染機会を拡げたり
Sタンパク質
する可能性がある
ウイルスの生き残り戦略として、薬剤の有無に関係なく、
細胞内 選択圧がかかることにより次々と突然変異を繰り返している
酵素阻害剤の薬剤耐性変異
ウイルス増殖に必要な酵素は、変異によって負の影響
(基質結合能の低下など)をもたらすため、遺伝的
多様性が低い
酵素阻害剤による選択圧を掻い潜って選択される
3CL-Pro 薬剤耐性株は、酵素活性の低下によって増殖性や
病原性が低下する場合が多い
δ株のように宿主選択圧で生まれたウイルス株と、
酵素の阻害によって生じる薬剤耐性株とは、
明確に区別して認識されるべき
TOP SECRET 12
S-217622:マウスでの薬効評価
マウス 肺内ウイルス力価
投与 7 Vehicle
感染 (2日間)
ウイルス力価 (log10TCID50/mL)
感染後日数
1 2 3 (day) 6
低
**
若齢マウス 5
***
n=5
ウイルス力価測定
***
4 用量
治療条件:感染24時間後から治療を開始
***
***
投与経路:経口投与
3
*** 高
2 ***
検出限界
体内でウイルスが増殖している感染48~72時間 1
において、S-217622の用量依存的な
1 2 3
ウイルス減少効果を確認 Days post-infection
** P<0.001, *** P<0.0001
vs vehicle (Dunnett's method)
13
S-217622:マウスでの薬効評価
感染 投与(5日間) 治療条件:感染24時間後から治療を開始
投与経路:経口投与
老齢マウス 3 4 5 6 7
0 1 2
n=4
感染後日数 (day)
体重変動 生存率
(day) (day)
S-217622を投与することで重症化を抑制する効果が期待される
14
S-217622:国内Phase 1試験 速報
• 安全性
– 大きな問題となる事象は認められていない
• 薬物動態
– 有効性ターゲット濃度を上回る血中薬物濃度が得られている
– 食事の影響を評価したが、有効性・安全性にかかわる食事の影響は認められていない
• 忍容性を確認するとともに、現時点で安全性に大きな問題は見られず
• 予定通りPhase 2/3 試験を開始
15
S-217622:国内臨床試験スケジュール・供給準備
2021年 2022年
7~9月 10~12月 1~3月
国内 Phase 2/3 試験
国内 Phase 1試験 軽症+無症候
申請準備
国内供給準備完了
国内Phase 2/3 試験 治験薬製造 商用生産
• 国内臨床試験計画および国内治療薬供給計画
– 国内Phase 2/3 試験で無症候・軽症患者を対象として症状改善/発症率低下および
抗ウイルス効果のデータを収集
– 2021年内に国内申請準備
国内開発を優先し、患者数が多く治療ニーズが高い無症候・軽症患者さまが
簡便に服薬することができる治療薬を可能な限り早期に国内に提供
16
S-217622: 国内Phase 2/3 試験 概要
S-217622のSARS-CoV-2感染者対象Phase
試験タイトル
2/3 試験
• SARS-CoV-2陽性
対象 無症候あるいは軽症のSARS-CoV-2感染患者
• 軽症/無症状
多施設共同、無作為化、二重盲検、 Phase
治験デザイン
プラセボ対照、並行群間比較試験 2a試験 Phase 2b/3試験
投与群 高用量群、低用量群、プラセボ Day28
高用量群、1日1回 5日間 ▼
Phase 2a試験:ウイルス力価のベースライン Day28
からの変化量 低用量群、1日1回 5日間 ▼
主要評価項目 Phase 2b/3試験: Day28
軽症 症状回復までの時間 プラセボ群、1日1回 5日間 ▼
無症候 症状発症割合
用法用量 1日1回、5日間 経口投与(錠剤)
症例数* Phase 2b/3試験合計 約2,100例
* 症例数は変更の可能性あり
17
S-217622:グローバル開発計画
グローバルにおけるCOVID-19の状況
• 高い重症化率、入院率、死亡率
• 軽症~中等症患者の治療薬である既存の抗体は高額かつ注射
• 簡便な経口治療薬で医療環境を改善・重症化を抑えることの社会的意義が大きい
• グローバルのCOVID-19治療薬ニーズを満たすグローバルPhase 3試験計画中
– 先行する他剤と同様の治験実施計画を想定*
– 2021年3Q(10~12月)よりFDAおよびEMAと協議を開始予定
• 各国規制当局との協議を開始、グローバルPhase 3試験実施を加速
• グローバルで経口治療薬の早期供給を目指す
* 主要評価項目:死亡率・入院率
18
S-268019
COVID-19ワクチン
S-268019:国産ワクチンの実用化に向けた取り組み
2020年12月 国内Phase 1/2試験を実施
本試験は、AMED の課題番号JP21nf0101626の支援を受けています
2020年12月から コホートA
コホートAを開始
治験デザイン 無作為化、二重盲検 コホートB
対象 日本人健康成人男女 (20-64歳) 順次安全性を確認しながら コホートC
主要目的 2回接種時 安全性、忍容性 コホートD
コホートFまで接種
有害事象/副反応/重篤な有害事象/特定 コホートE
主要評価項目 有害事象の発生頻度、バイタルサイン、臨床
コホートF
検査、心電図
副次評価項目 中和抗体価、抗SタンパクIgG抗体価 コホートFまでの接種における安全性 コホートG
と免疫原性を盲検下で確認し コホートH
各コホート10例
被験者数
(実薬8例、プラセボ2例) コホートG~Iへ移行 コホートI
• SARS*、MERS*2の研究成果からTh1>Th2型のバランスの重要性を考慮し、VDE*3/ADE*4が起こりにくく、臨
床での投与実績がある旧アジュバントを選択
• 幅広い用量で臨床試験を実施し、高い安全性と細胞性免疫の一定の誘導を確認したものの、中和抗体価
は十分に高まらず
* SARS:Severe Acute Respiratory Syndrome、重症急性呼吸器症候群 *2 MERS:Middle East Respiratory Syndrome 、中東呼吸器症候群
*3 VDE:Vaccine induced Disease Enhancement、ワクチン関連疾患増悪 *4 ADE:Antibody-Dependent Enhancement、抗体依存性感染増強 20
S-268019:新製剤への変更
サル免疫原性試験:中和抗体価Day29/36 サル免疫原性試験デザイン 中和抗体価測定
(D1) (D8) (D15) (D22) (D29) (D36)
0w 1w 2w 3w 4w 5w
新製剤
カニクイサル ワクチン接種 ワクチン接種
5120 N=4/群
1280
中和抗体価
中和抗体価
箱内の横線は中央値、
320 箱は四分位範囲、ヒゲ
は95%信頼区間を示す
• 新たなアジュバントと抗原との組合せにより、回
80 復者血清と同程度以上の中和抗体価を確認
20 • 新製剤によるPhase 1/2試験の投薬を8月に
5 開始
• Phase 3試験として、中和活性の比較による検
0w
4w
5w
新製剤 回復患者
臨床相当量 血清の推定値* 証を規制当局と協議中
(4例/群) (59例)
本試験は、AMED の課題番号JP21nf0101626の支援を受けています
21
S-268019:新製剤によるPhase 1/2 試験概要
2021年8月 アジュバントを変更し、新製剤にてPhase 1/2試験を開始
試験デザイン 無作為化、二重盲検
対象被験者 日本人健康成人男女 (20-64歳)
主要目的 安全性、忍容性
副次目的 免疫原性(中和抗体価、IgG抗体価、細胞性免疫)
有害事象/副反応/重篤な有害事象/特定有害事象の発生頻度、バイタルサイン、
主要評価項目
臨床検査、心電図結果
目標被験者数 3群60例(実薬:24例×2群、プラセボ:12例)
投与経路、回数 筋注、2回 (Day1およびDay22)
投与量 抗原5µg、抗原10µg、プラセボ
実施期間 2021年8月~2022年9月
本試験は、AMED の課題番号JP21nf0101626の支援を受けています
22
S-268019:新製剤によるPhase 1/2試験
9/24 全被験者60例のDay36観察完了
Day1 Day22 Day36 Day50 Day113 Day204 Day295 Day386
1回目接種 2回目接種 接種完了 接種完了
2週後 4週後
:投与 :フォローVisit
重篤有害事象や中止に至る有害事象は発現しておらず
10月下旬より国内Phase 2/3試験へ移行予定
本試験は、AMED の課題番号JP21nf0101626の支援を受けています
23
S-268019:今後の開発スケジュール
年内の最終段階試験開始と年度内供給を目指す
2020CY 2021CY 2022CY 2023CY
旧製剤
Phase 1/2試験(6群、60例)
追加パート(3群、30例) Phase 2/3 試験
コホートA:成人Naïve,既感染者,
既ワクチン接種者
コホートB:高齢者Naïve
新製剤 新製剤Phase 1/2試験(3群、60例)
Phase 2/3 試験(安全性・免疫原性評価)
Phase 3試験(実薬対照中和抗体価比較試験)
ブースター試験(国内外での試験を計画中)
:グローバル試験
Phase 3試験(プラセボ対照発症予防試験)
商用製剤第1ロット製造完了
旧製剤・新製剤Phase1/2試験は、AMED の課題番号JP21nf0101626の支援を受けています
24
アジェンダ
1. シオノギのR&D
– COVID-19関連事業の進捗 医薬研究本部長 木山 竜一
医薬開発本部長 岩﨑 利信
– 研究開発の進捗
> 研究領域 木山 竜一
> 開発領域 岩﨑 利信
2. 本日の総括 代表取締役社長 手代木 功
3. 質疑応答
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研究領域
COVID-19の終息に向けた取り組み
PDPSを駆使したCOVID-19治療薬候補の創製
これまで培ってきたPDPS*創薬力をコロナ創薬へ展開
2017年 2017年~ 2020年~
PDPS技術 対象疾患・標的に応じたヒットペプチド
スクリーニングノウハウの蓄積
ライセンス 取得手法の進化
COVID-19
ヒットペプチドを仕上げるSAR**力の 治療薬
低分子創薬エンジンのペプチドへの拡張
進化、高速化
標的タンパク:S protein*** 創薬課題:
細胞
• 変異ウイルスに対するブロードかつ強力な薬効
ACE2
• 感染初期の外来患者さまに使っていただける利便性
SARS-CoV-2
創薬課題を見据えPDPS創薬を推進
戦略的かつ網羅的な 迅速
PDPSスクリーニング SAR
ウイルス
S protein S protein 極めて良質なHIT 治療薬候補創出
積み重ねた経験とノウハウを駆使し、北海道大学やAMEDとの連携を
活かして迅速に開発候補ペプチドを取得
* PDPS: Peptide Discovery Platform System ** SAR: Structure-Activity Relationship *** Int. J. Mol. Sci. 2021, 22(3), 992
本研究は、AMED の課題番号JP20fk0108509の支援を受けています 27
開発候補ペプチドの非臨床薬効
開発候補ペプチドは、各変異株に対して幅広く強い抗ウイルス効果を示した
サル由来細胞を用いた評価 マウス肺感染モデルを用いた評価
感染 投与 測定 治療条件:感染24時間後から治療を開始
投与経路:経鼻投与
ウイルス株 EC50 (nM) 若齢マウス
n=5 0 1 2
感染後日数
8
ウイルス力価 log10 (TCID50/ml)
武漢株 4.2 7
6
α株 8.5 5
β株 2.2
4
3
γ株 6.4 2
検出限界
1
δ株 7.8 0
Vehicle 0.15
低 0.5
(用量) 1.5
高
vehicle 開発候補ペプチド
単日投与で、速やかなウイルス排除による症状改善効果が期待できる
本研究は、AMED の課題番号JP20fk0108509の支援を受けています
28
開発候補ペプチドの非臨床薬効
開発候補ペプチドは、老齢感染モデルの体重減少や生存率を回復させた
感染 投与
治療条件:感染24時間後から治療を開始
老齢マウス 投与経路:経鼻投与
0 1 2 3 4 5 6 7 感染後日数
n=5 (day)
110
体重変動 120
生存率
Body weight change (%)
105
100
Survival Rate (%)
100
80
95
90 1.5 mpk, bid
ペプチド(高用量) 60 1.5 mpk, bid
ペプチド(高用量)
85 vehicle vehicle
vehicle
40
80
20
75
70 0
0 1 2 3 4 5 6 7 (day) 0 1 2 3 4 5 6 7 (day)
重症化リスクの高い患者に対しても、単日投与で重症化抑制効果が期待できる
本研究は、AMED の課題番号JP20fk0108509の支援を受けています
29
COVID-19治療薬の位置づけ*
Asapiprant
(S-555739)
COVID-19の重症度と 無症状/発症前 軽症 中等症Ⅰ 中等症Ⅱ 重症
治療の考え方
想定される病態 ウイルス増殖
炎症
抗ウイルス薬
有効性が期待される
治療 抗体治療 抗炎症治療
抗体カクテル療法 デキサメタゾン、バリシチニブ
S-217622(経口)、開発候補ペプチド
重症化を抑制するアセットを拡充し、健全な医療体制に戻すことが我々の使命
* 一般社団法人日本感染症学会 「COVID-19 に対する薬物治療の考え方第8 版」より
30
今後のワクチンに関する取り組みの方向性
【現状の課題】
変異株にも対応した安心・安全なワクチンのタイムリーな供給
2022年度臨床入り
S-268019で培ったノウハウや外部連携を活かして 感染予防能やウイルスに
対する広域性の獲得、
経鼻ワクチンへと展開 利便性向上
プラットフォーム構築
ヒト免疫データから真に有効かつ安全な 新たなパンデミックへの
ユニバーサル抗原のデザインにチャレンジ 備えを整備
安心・安全な組み換えタンパクワクチンを市場に提供し、
感染症の脅威から人々を解放
31
感染症領域のバイオマーカーの取り組み
• 2021年7月より「バイオマーカー研究開発部」を医薬研究本部傘下とし、組織体制を変更
• 医薬の研究段階から医薬品の適正使用、付加価値の向上、ターゲット領域の診断環境
の整備等に必要なバイオマーカー/診断薬の開発をさらに促進
COVID-19に対するバイオマーカー研究開発部としての取り組み
自社ワクチンの有効性 病原体検査 重症化予測
評価指標の確立 医療ニーズに対応した検査 早期の重症化リスク判断
抗体価に関するエビデンス取得 • 高感度抗原検査薬(ルミラ) • HISCL® TARC に よ る 治 療 薬
と情報提供 • 簡易迅速検査等 投与対象者の選別
32
HISCL® TARC*臨床性能試験結果
TARC測定値によるコロナ患者の重症化**リスクの判定 発症初期患者におけるTARCによる陽性判定と重症化との関係
●重症化しなかった患者
●重症化した患者
入院時に採血したTARC濃度がカットオフ値
(95.0 pg/mL)以下となった症例を陽性
TARC (pg/mL)
重症化リスクが低い患者 重症度
重症(呼吸不全を伴 軽症(中等症Ⅰ以
う中等症Ⅱ以上)群 下)群
陽 94.7%
6.8%
カットオフ値 (95 pg/mL) 性 (感度)
TARC
重症化リスクが高い患者 陰 93.2%
5.3%
入院時の血清中TARC濃度 性 (特異度)
• 重症化した患者(19例)の発症日からTARC測定までの日数:平均6.3日(1~10日)
• 重症化しなかった患者(59例)の発症日からTARC測定までの日数:平均7.7日(0~28日)
• 臨床研究期間:2020年1月~5月
製品化に至るまでのデータ取得だけでなく、発売後の実臨床での使用状況を迅速
かつ的確にフィードバックすることで、製品の価値最大化につなげる取り組みを継続
* TARC(thymus and activation-regulated chemokine): リンパ球の一つであるTh2細胞を炎症部位に遊走させるケモカイン群の一つ
** 重症化:呼吸不全を伴う中等症Ⅱ以上 33
下水疫学の社会実装への取り組み
高感度な北大-シオノギ法(仮)の開発に成功し、検査体制を構築
• 2021年6月より、SARS-CoV-2の下水疫学調査サービスを開始
• 新型コロナウイルス感染症対策分科会提言にて言及*
• 同法は国交省管轄である、 SARS-CoV-2に関する調査検討委員会の下水サーベイランスに活用**
• 複数自治体と契約を締結し、サービスを拡大
• 東京2020オリンピック・パラリンピック選手村で下水疫学調査を実施
• 島津製作所と双方の強みを活かした業務提携を協議中
サービスの流れ
採水場所 下水サンプル 塩野義 測定データ 自治体・企業
1日 4営業日以内
分析・データの
可視化
高感度な評価系により、感染者数が比較的少ない地域においても
SARS-CoV-2の蔓延状況を捕捉することが期待される
* https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin/bunkakai/dai4/ict_teigen.pdf
** 報道発表資料:下水処理場における流入下水のSARS-CoV-2 RNA 濃度を公表 - 国土交通省 (mlit.go.jp) 34
新たなパンデミックの到来に備えて
2002年~ 2013年~ 2019年~ 20xx年~
SARS MERS COVID-19 新たな
感染者数: 8,069人 感染者数: 2,056人 感染者数: 2億人以上* パンデミック
動物由来の新型ベータコロナウイルス属およびインフルエンザウイルスによる
呼吸器感染症パンデミックの発生を想定
COVID-19への取り組みで培ったノウハウ・技術を、新たなパンデミックに対して
迅速に適応できるプラットフォームとして整備
情報整備 アセット整備 パートナリング
感染症研究ノウハウのデータベース化 幅広いウイルスに対応できる化合物 複数のモダリティに対応可能な研究
創薬ターゲットの適切な選定 ライブラリーの構築 ネットワークの構築
社内研究スキルのデータ化と的確な ウイルス・菌株ライブラリーの充実 外部アセットの活用によるリソース確保
リソースオペレーション 各種疾患に対する評価モデルの作成
* WHO報告 2021年9月15日時点
35
研究領域
S-648414, S-365598
HIV感染症
世界のHIV創薬の動向
2028年以降のHIV市場への経口GE品の浸透を見据え、各社はより利便性の高い
長時間作用型薬剤へのシフトを明確化
• GileadとMerckによる業務提携 (2021年3月)
– 長時間作用型治療薬の共同開発に関する提携を発表
• GSKがintegrase-based long acting regimenの推進に向けたビジョンを発表
(2021年6月)
• 治験に参加した患者からの高い要望
S-648414
– 患者ニーズに応える期間の持続が可能な長時間作用型製剤化が困難 → 開発中止
37
超長時間作用型薬剤へのシフト
• S-365598
– 第3世代インテグラーゼ阻害剤
– 単回投与で3ヶ月以上持続する超長時間作用型薬剤
– 変異ウイルスを含む、優れた抗HIV活性
サルを用いた持続性評価結果* 変異ウイルスに対する評価結果**
投与経路: 皮下注射
0
1 1
2 32 4 3 5 4 6 5 7 6
(月)
患者ニーズに応える超長時間レジメンによる治療が可能なポテンシャルをもつ化合物を創製
* QA未実施の探索研究
** QA未実施 38
S-365598導出に関するViiV社との契約締結
超長時間作用型薬剤となる第3世代インテグラーゼ阻害剤S-365598の
導出に関するViiV社とのライセンス契約を締結(2021年9月28日発表)
S-365598 • 本契約により下記を受領予定
HIVと共に生きる人々の – 契約一時金:£20M
QOLのさらなる改善
Cabotegravir – 開発マイルストン:£15M
世界初の
– ロイヤリティー:既存のインテグラーゼ阻害剤
長時間作用型
と同一条件
Dolutegravir 2023年までに
レジメン
Ph1試験開始予定 • 研究開発費用の一部負担
世界中で
1,700万人が – 年間負担額に上限あり
服用
• ViiV社と連携し、HIV治療に対する革新的なアプローチをさらに進展
• 根治を目指した創薬への挑戦を継続
39
研究領域
S-309309
肥満
抗肥満薬のアンメットニーズと求められる製品像
多い肥満有病者数 :日米欧で2億人以上
低い薬物治療率 :0.4~2.3%
安全性懸念 効果不足 経済負担
• 中枢を介する副作用 • 持続する強い薬効 • 低い保険償還率
(CVリスク、不安感、めまい、 (8-10%/年の体重減 (約7割がout of pocket)
不眠、知覚異常) 少)が求められており、臨 • GLP-1製剤は約$40/日の
• GLP-1製剤の消化管症状 床満足度は低い 高薬価
求められる抗肥満薬のプロファイル
• 高い安全性 :万人が安心して継続して服用可能
• 持続する強い薬効:10%/年の体重減少
• 低い経済負担 :Affordableな薬価、保険償還
41
S-309309:非臨床で得られた知見
TG:トリアシルグリセロール
食事中脂質 DAG:ジアシルグリセロール
MAG:モノアシルグリセロール
• 小腸上皮細胞の中性脂肪再合成に TG
関わる酵素 MGAT2* を強力に阻害
• 既存薬にはない新規の作用機序により
抗肥満作用を発揮 (右図)
MAG
TGの吸収抑制 (energy量の低下) MGAT2
DAG
摂食抑制
エネルギー消費亢進
TG S-309309
• 強い体重増加抑制作用
既存薬よりも強い作用を発揮
新規GLP-1製剤 (Semaglutide) との
食欲調節因子**の分泌増加 エネルギー
併用による薬効上乗せ効果
を介した摂食抑制 消費亢進
• 非臨床安全性試験 (GLP) での毒性の
懸念なし
体重減少
*Monoacylglycerol acyltransferase 2 ** GLP-1, PYYなど
42
S-309309:体重と内臓脂肪および摂食量に対する効果
3.0 Vehicle
Vehicle
0 1 2 3 4 (週)
S-309309_low dose
S-309309_low dose
組織重量(g)
食餌誘導性肥満 S-309309を4週間反復経口投与 2.0 * * S-309309_high dose
S-309309_high dose
マウス
(60% kcal/fat) 1.0 *
*
vehicle
Vehicle
5.0 0.0
S-309309_low dose
S-309309_low dose
4.0 S-309309_high dose
S-309309_high dose
副睾丸脂肪 後腹膜脂肪
Epididymal fat Retroperitoneal 腸間膜脂肪
Mesenteric fat
体重変化量(g)
20.0 fat
3.0
累積摂餌量(g)
* * * * *
2.0
15.0 *
*
1.0 10.0
*
0.0 5.0
-1.0 0 10 20 30
0.0
-2.0 投与期間 (日) 1週目
1W 2週目
2W 3週目
3W 4週目
4W
n=7, each, mean±SE, *P<0.05 vs. Vehicle
S-309309は摂餌量低下に伴い、体重および内臓脂肪重量**が低下
43
** 副睾丸脂肪、後腹膜脂肪、腸間膜脂肪
S-309309:エネルギー消費亢進に関する効果
0 1 2 3 6 (週) 0 3 (日)
食餌誘導性肥満 摂餌量を揃えた条件で、
マウス S-309309を反復経口投与 エネルギー
(60% kcal/fat)
消費量測定
1 0.18 Vehicle
Vehicle
活動時間帯 (夜間)のエネルギー
S-309309
S-309309
消費量 (kcal/kg/min)
0.16
体重変化量(g)
0 * * エネルギー消費
0 7 14 21 28 35 42 ** *
0.14 ** * * *
-1
* 0.12
0.10
-2
-2 0 2 4 6 8 10 12 14
投与期間 (日) n=16, mean±SE,
*P < 0.05 vs Vehicle 時間 n=31~33, mean±SE,
*P < 0.05 vs Vehicle
S-309309は摂餌量を揃えた条件でも体重低下作用を示した
44
S-309309が目指す姿
抗肥満薬の薬効/安全性
高い
S-309309 【既存薬の課題点】
10%以上 経口剤
Saxenda Wegovy
8-9% 15%
• 中枢を介する副作用(CVリスク、
安全性
不安感、めまい、不眠、知覚異常)
Contrave
• 薬効不足
5-6%
Phentermine GLP-1注射剤
3%
Qsymia • 高薬価($40/日)
7-11% • 高頻度の消化管症状(副作用
低い 回避のため、メンテナンス用量まで
5% 8%* 10% 15%
最大4ヶ月間の漸増投与が必要)
体重減少効果 (ベースライン比/年)
S-309309:肥満治療における第一選択薬
• 安全性懸念が低く、低分子薬で最も強いクラスの薬効(10%/年の体重減少)
• GLP-1製剤に比べて安価で、長期服用に適するaffordableな価格
45
* FDAガイドラインの1stベンチマーク(プラセボ比5%体重減少/年)
アジェンダ
1. シオノギのR&D
– COVID-19関連事業の進捗 医薬研究本部長 木山 竜一
医薬開発本部長 岩﨑 利信
– 研究開発の進捗
> 研究領域 木山 竜一
> 開発領域 岩﨑 利信
2. 本日の総括 代表取締役社長 手代木 功
3. 質疑応答
46
注力パイプラインで実現したい世界
既存品目とのシナジーに
S-531011
新しいメカニズムにより よりがん治療パラダイムを
依存症など幅広い精神 変える
S-874713 レダセムチド
疾患を改善 [S-005151]
再生医療の
認知機能改善作用によ 疾患治療の パラダイムを変える
る、アルツハイマー治療の
新たな選択肢 BPN14770 パラダイムを sivopixant
[S-600918]
変える 多くの疾患にパラダイム
チェンジを起こす
幅広い疾患で免疫療法 Game Changer
の有効性を向上させる
プラットフォーム 精神・神経疾患の新たな
S-540956 S-637880
キーメカニズムへの作用
zuranolone
うつ病治療の既成概念を
[S-812217]
変える有効性
アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する製品・サービスを創出
47
開発領域
S-600918 [sivopixant]
難治性慢性咳嗽
睡眠時無呼吸症候群
Sivopixant:難治性慢性咳嗽
• Phase 2b用量設定試験概要
対象患者 難治性慢性咳嗽患者
有効性(咳回数・ QoL等)、安全性、
COVID-19の影響を最小限に抑え、
評価項目
薬物動態 2020年12月に予定通り
主要評価項目 24時間における1時間あたりの咳回数 最終被験者の観察完了を達成
二重盲検、多施設共同、プラセボ対照、
試験デザイン
並行群間比較試験 Sivopixant 300mg
スクリーニング
実施地域 日本、米国、欧州 Sivopixant 150mg
同意 無作為化 事後
目標症例数 372 例 取得 割付
Sivopixant 50mg 検査
投与方法・
1日1回、4週間 プラセボ
投与期間
49
Sivopixant 難治性慢性咳嗽:主要評価項目
• 24時間における1時間あたりの咳回数(FAS:Full Analysis Set)
ベースラインからの減少率 (%)
プラセボ調整後
N 変化率 p値
(4週時点)
Placebo 102 ― ―
50 mg 100 13.17% 0.3532
150 mg 102 - 1.77% 0.8935
300 mg 96 - 12.47% 0.3241
Week
いずれの投与量においても、プラセボに対する統計学的有意性は示せず、
主要評価項目は未達
50
Sivopixant 難治性慢性咳嗽:副次評価項目
• 咳重症度VAS* 、咳特異的QoL質問票(300mg群)
咳重症度VAS レスター咳質問票(LCQ** )
Change from baseline (point)
Change from baseline (mm)
Improve
p=0.0433
p=0.0056
p=0.0173
Improve p=0.1473
Week Week
Sivopixant 300mg投与群では
複数の副次評価項目において効果の傾向を確認
51
* VAS:Visual Analogue Scale ** LCQ : Leicester Cough Questionnaire
Sivopixant 難治性慢性咳嗽:副次評価項目
• 安全性、味覚関連有害事象(安全性解析対象集団)
• Sivopixant 1ヶ月投与における良好な
味覚関連有害事象発現率 忍容性を確認
いずれの用量においても、有害事象による
33.0% 中止率は5%未満
• 一方で、用量依存的な味覚関連有害事象
(%)
の発現率増加が認められた
13.6%
2.9% 2.0%
52
Sivopixant 難治性慢性咳嗽:今後の予定
プラセボ調整後変化率(24時間における1時間あたりの咳回数 )
(4週時点) 次相試験に向けて
FAS サブグループ解析*
• 至適用量の決定
プラセボ調整後変化率 (%)
• プラセボ効果のコントロール
• 競合品との差別化
-12.47%
-22.85%
*ベースライン時点で10回/hr以上の咳回数を有する患者(FASの88%の例数に相当)
事後解析結果も考慮し、用量設定の妥当性、第3相試験のデザイン等について
各極の規制当局と相談を行い、2021年度中の治験届提出を目指す
53
Sivopixant:睡眠時無呼吸症候群
• Proof of concept(PoC)試験の概要
中等度~重度睡眠時無呼吸症候群患者
対象患者 (無呼吸、低呼吸指数 (AHI) が15以上50
スクリーニング 後観察
未満) 第1期 休薬期 第2期
期 期
7日間投与 7日間投与
1~4週間
プラセボ対照、他施設共同、無作為二重盲 (夜間入院:8泊9日) (夜間入院:8泊9日)
試験デザイン
検クロスオバー比較法
同 無
Sivopixant Sivopixant
意 作
有効性評価 無呼吸・低呼吸指数(AHI)のベースライ 取 為 プラセボ プラセボ
項目 ンからの変化量等 得 化
Sivopixant 300 mg、プラセボ 7日間反復 投与前PSG Day 7 PSG 投与前PSG Day 7 PSG
投与量・方法
投与(1日1回就寝前、経口) スクリーニング
終夜睡眠ポリグラフ検査
(PSG)
症例数 33例
54
Sivopixant:睡眠時無呼吸症候群(PoC試験結果)
• 主要評価項目:無呼吸、低呼吸指数(AHIのベースラインからの変化量)
-2.85 -1.94 BMI別 重症度(AHI)別
● Sivopixant
● Placebo
ターゲット:AHI: 10以上の減少
25 < BMI BMI ≤ 25 15≤AHI<30 30 ≤ AHI
S-600918 Placebo (肥満) (非肥満) (中等度) (重度)
(n=19) (n=13) (n=17) (n=15)
(n=31) (n=31)
中等度~重度の睡眠時無呼吸患者に対して
安全性上の懸念となる事象はなし
臨床的意義のある有効性を見出せず
55
Sivopixant:睡眠時無呼吸症候群での今後の方針
• SivopixantのSAS(中等度~重度)全般を対象とした開発は断念
• SASの表現型を簡便に分類する方法を探索(背景因子の抽出を含む)し、表現型毎
の治療法・治療薬を研究・開発する(Precision Medicine)
⇒ 国内でのPhase 2試験を実施した経験を活かし、研究・開発にチャレンジ
睡眠時無呼吸のエンドタイプ診断
エンドタイプ毎の治療(CPAP治療との併用も)
上気道径の解剖学的拡大 上気道拡張筋の活性化 覚醒閾値の改善 呼吸調節(ループゲイン)
体重減少、など セロトニン作動薬、 睡眠薬(ベンゾジアゼピン、 酸素、炭酸脱水素酵素、
ノルアドレナリン作動薬、 GABA作動薬)、 P2X3受容体、など
抗ムスカリン薬、など 抗うつ薬、など
L Tranto-Montemurro et al., J Clin Med. 2019より参照
Targeting Endotypic Traits with Medications for the Pharmacological Treatment of Obstructive Sleep Apnea. 56
開発領域
S-005151 [redasemtide]
• 栄養障害型表皮水疱症: 医師主導治験完了、表皮水疱症患者に対する有効性を確認、
追加臨床試験開始準備中
• 急性期脳梗塞: Phase 2試験 実施中、患者組み入れ完了
• 慢性肝疾患: 医師主導Phase 2試験実施中
• 変形性膝関節症: 医師主導Phase 2試験実施中
• 心筋症: 医師主導治験準備中
Redasemtide:栄養障害型表皮水疱症
• 表皮水疱症臨床試験概要 医師主導治験概要
対象 栄養障害型表皮水疱症患者、9例 (投薬例)
全身における水疱、びらん・潰瘍の合計面積のベース
主要評価項目
全被験者が投与後52週目に至るまでの有効性 ラインからの変化率
評価を追跡調査試験としてシオノギが実施 静脈内点滴投与、10回/4週間
用法用量 [投与1週目:4日間、投与2~4週目:2日間/週 (3
~4日に1回)]
医師主導治験 追跡調査 (シオノギ)
静脈内投与 (10回/4週間)
-8週 -4週 0週 4週 8週 12週 16週 20週 24週 28週 52週
表皮水疱症
患者 (9例)
ベースライン評価 有効性評価 (全身における水疱、びらん・潰瘍 等) 有効性維持の評価
58
Redasemtide:全身病変面積 (cm2) 有効7例の推移
著効例 著効例 著効例
01-003 01-004 01-005 01-006
著効例
01-007 01-008 02-001
• 本剤の投与をうけた9例中7例で有効性を確認
• 有効7例のうち、著効4例の臨床経過写真を次頁に記載
59
Redasemtide:著効4例の臨床経過
肘*難治性瘢痕の著明改善 (症例 01-004) 背部難治性瘢痕の著明改善 (症例 01-005)
投与開始日 投与終了24週後 投与開始日 投与終了24週後
瘢痕局面上に 長期間続く瘢痕、びらん、痂疲が
瘢痕局面上に びらん、痂疲 著明改善
瘢痕病変が消
水疱、びらん 失、水疱、びら
んも略消失
下腿難治性潰瘍の著明改善 (症例 01-006) 下腿難治性瘢痕の著明改善 (症例 01-008)
投与開始日 投与終了24週後 投与開始日 投与開始75週後**
瘢痕局面上に
瘢痕の軽快、 炎症性瘢痕
難治性潰瘍 瘢痕の著明改善、
難治性潰瘍の 上に
(長年閉鎖せ 潰瘍も消失
著明上皮化 皮膚潰瘍
ず)
* 日常的に外力が加わるため特に難治とされる部位 ** 第120回 日本皮膚科学会総会 教育講演 玉井教授発表資料
60
Redasemtide:栄養障害型表皮水疱症
• 追加臨床試験 (案)
• 申請準備状況
– 規制当局との協議結果 対象 栄養障害型表皮水疱症患者
> 医師主導治験の結果は、著効 主要評価項目 難治性潰瘍の閉鎖
例も認められるが、申請にはさら
静脈内点滴投与、10回/4週間
なる有効例の積み上げが必要 [投与1週目:4日間、
用法用量
投与2~4週目:2日間/週 (3~4日に1
回)]
医師主導治験の結果の再現性を確認するために
追加臨床試験を実施予定
61
Redasemtide:急性期脳梗塞
脳
梗 Redasemtide
塞 血栓溶解療法 機械的血栓回収療法 • 発症後4.5~24時間までの治療で効果が期待
発 • 再開通率が低い • 血管を傷つけるリスクがある • 非臨床試験にて、梗塞巣の進展抑制を確認
症 • 適応時間が短い • 専門医でなければ施術できない • 神経症状の改善
4.5時間 8時間 24時間 発症からの
経過時間
• 急性期脳梗塞のアンメットニーズ
– より時間的制約が緩和された薬剤
• 他の治療法と比較したredasemtideの期待される提供価値
– 一般的な治療法と比較して、より時間的制約の緩和の可能性
– 幹細胞移植を含む従来の再生医療と比較して、品質管理が簡便であり低コストで安定供給できる可能性
一般的な治療法と比較して時間的制約が緩和され、再生医療と比べより安価で安定的に
再生能を誘導できる次世代の医薬品として本剤の開発意義は大きい
62
Redasemtide:急性期脳梗塞 PoC試験 (国内)
急性期脳梗塞患者に対するredasemtideの 1hr以内
4.5-24hr 投与期5日間 (Day 1~5) 追跡期 (Day 6~90)
有効性・安全性の検討
主要目的 脳
(発症から4.5~24時間以内、60歳以上 梗
同 登 Redasemtide群 (75例) 主
意 投 要
85歳未満)
(Day
塞 録 与 評
取 *
発
症
得 90 価
多施設共同、無作為化、プラセボ対照、二 プラセボ群 (75例)
)
治験デザイン
重盲検
t-PA、血管内治療を除く標準治療は併用可
* 割付因子:NIHSS、脳梗塞発症から登録までの時間
Redasemtide (1.5 mg/kg) 群:75例
投与群、症例数
プラセボ群:75例 計150例
コロナ禍においても計画通り最終症例の登録完了(2021年7月)
投与方法、期間 1日1回90分間静脈内投与、5日間
主要評価項目
投与90日後のmodified Rankin Scale 2021年10月最終観察
(mRS**) 2021年3Q(10~12月)に結果速報入手予定
** modified
Rankin Scale:脳卒中または神経障害の他の原因に苦しんでいる人々の日常活動における障害または依存の程度を
測定するために一般的に使用されるスケール 63
Redasemtide:慢性肝疾患 医師主導Phase 2試験
目的 慢性肝疾患患者に対する有効性、安全性の検討
治験デザイン 単一施設、非無作為化、非対照、オープンラベル
Redasemtide
MRエラストグラフィによる肝硬度検査結果が4kPa (実薬のみ)
対象
以上の慢性肝疾患患者、10例
• 1.5 mg/kg (フリー体)、90分間点滴静注
• コホートA:4回投与[1日/週 ×4週間]
投与方法
• コホートB:7回投与 [1週目:4日間連続、1日/週
×3週間] 3ヵ月間の投与前観察期間を設定し、病態が安定
している患者を選択、安全性、有効性は線維化、
観察期間 投与前観察期間:3ヵ月、投与開始後:6ヵ月
炎症・機能改善効果を指標に探索的に検討
実施医療機関 新潟大学 消化器内科
実施中:2021年3月第1例目投与
64
Redasemtide:変形性膝関節症 医師主導Phase 2試験
治験薬投与 追跡
目的 変形性膝関節症に対する有効性、安全性の検討 (4週間) (投与開始52週まで)
同 主
治験デザイン 単一施設、無作為化、プラセボ対照、二重盲検 Redasemtide群 (10例) 要
意 手 登
取 術 録 評
高 位 脛骨骨切り 術 * お よ び 鏡視下マイク ロ フラク 得 価
対象
チャー**を実施した変形性膝関節症患者
プラセボ群 (10例)
*
Redasemtide (1.5 mg/kg) 群:10例 *高位脛骨骨切り術のプレート除去時に関節生検評価
投与群
プラセボ群:10例
症例数
計20例 高位脛骨骨切り術および鏡視下マイクロフラク
チャーを実施した患者を対象に形態学的/関節機
90分間点滴静注
投与方法
8回投与[2日間/週 (3-4日に1回)×4週間] 能評価およびQOLを指標に、プラセボ群と比較する
ことで探索的に有効性・安全性を検討する
観察期間 投与開始後:12ヵ月
実施医療機関 弘前大学 整形外科 実施中:2021年2月第1例目投与
* 高位骨骨切り術:O脚をX脚に矯正することにより荷重が外側にかかるようにし、内側の負担を軽減することにより、膝痛を軽減する手術
** 鏡視下マイクロフラクチャー:軟骨損傷部の母床の軟骨下骨に小さな孔をあけることで、骨髄から幹細胞という関節軟骨に分化する可能性のある細胞の損傷部への流出を促し、損傷部を修復
させる治療法脛
65
開発領域
S-812217 [zuranolone]
うつ病、うつ状態
Zuranolone:国内Phase 2試験 概要
対象 中等症から重症の大うつ病性障害患者 • 既存のうつ病治療のアンメットニーズ
− 治療効果発揮まで長期間の服薬が必要
投与開始2週間後(Day15)のハミルトン − 十分な治療効果が得られない
主要評価項目 うつ病評価尺度17項目版 (HAM-D17) 合 − 長期に渡る薬物治療の継続
計スコアのベースラインからの変化量 − 不眠や不安の症状
多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセ • Zuranoloneに期待される提供価値
治験デザイン
ボ対照、並行群間比較試験 − 即効性 の治療効果
− 強力なうつ症状の改善効果
実施地域 日本 − 休薬後の治療効果持続
− 不眠症状の改善効果
目標症例数 各群80例、合計240例
投与方法・投与
1日1回、2週間
• コロナ禍における、即効性の治療効果や不眠の
期間 改善のニーズの高まり
67
Zuranolone:国内Phase 2試験速報
有効性
投与2日後から
プラセボに対す • 20mg、30mg共に主要評価項目を達成
0
HAM-D合計スコアのベースラインからの変化量
る有意な改善 − HAM-D合計スコアのベースラインからの変化量に
▲ Zuranolone 20 mg (n=85) おいて、20mgおよび30mgにて、Day3 (初回観
-2 ■ Zuranolone 30 mg (n=82)
察) から Day15 (投与終了時)までプラセボに対す
**
〇 Placebo (n=82)
る有意な改善
-4
− 反応率**では、Day8およびDay15においてプラセ
-6 ボに対する有意な改善
* ⇒ 本剤の「即効性」を確認
*
-8 − Day15以降Day57の観察期間において、プラセボ
** との有意差は見られなかったものの、治療効果の
-10 持続傾向を確認
-12 治療期 観察期間 (投与なし) 安全性
1 8 15 22 29 36 43 50 57 • 本剤の安全性を確認
(Day)
− 有害事象はいずれも軽度、あるいは中等度であり、
新たな懸念は見られず
68
* P<0.05 ** HAM-D合計スコアがベースラインから50%以上改善した症例の割合
vs Placebo
Zuranolone:今後の開発戦略
Zuranolone の特徴
• 即効性
– 投与開始2日後から薬効を発揮(既存抗うつ薬は4~6週間要する)
• 持続性
– 治療期間終了後6週間にわたり治療効果の持続が示唆
• 利便性
– 用量調整不要、2週間で投与終了するアドヒアランス
• 安全性
– いずれも軽度・中程度で新たな懸念なし
• 4つの特性を活かした製品ポジショニングを目指す
• 2021年度4Q Phase 3試験開始、2023年度国内申請、2024年度承認
69
開発領域
S-531011
固形がん
S-531011:治療薬コンセプト
癌組織 正常組織
(正常臓器、リンパ節、末梢血)
腫瘍浸潤 CCR8+ 正常組織
CD25+ Anti-CCR8 mAb CD25+
Tregs 局在Tregs
Foxp3+ Foxp3+
Effector T cells
抗腫瘍免疫応答 自己免疫応答
腫瘍浸潤Tregを選択的に除去することで、自己免疫疾患のリスクを低減し、
抗腫瘍免疫を増強することが期待できる
71
S-531011:Phase 1b/2試験 概要
試験名 局所進行又は転移性固形がん患者を対象としたS-531011の単独療法および免疫チェックポイント
阻害薬 (ICI) との併用療法によるPhase 1b/2多施設共同非盲検試験
試験構成 Part A-1:用量漸増・S-531011単剤
Part A-2:用量漸増・ICI併用
Part B :用量拡大・S-531011単剤
Part C :用量拡大・ICI併用
症例数 (最大) Part A-1:24名、Part A-2:18名、Part B、 C:232名
主要評価項目 Part A: 安全性と忍容性
Part B、 C: 抗腫瘍効果* (ORR**など)
副次評価項目 Part A :抗腫瘍効果(ORRなど)、無増悪生存期間(PFS)、および全生存期間(OS)
Part B、 C :安全性、忍容性
Part A、 B、 C:薬物動態、バイオマーカー検証 (CCR8組織染色、腫瘍遺伝子変異量など)
用法用量 S-531011、ICIを3週間に1回、最大1年間投与
実施国、施設数 Part A:日米 (各3施設)、Part B、 C:北米・アジア・欧州 (計35施設)
* RECIST Ver1.1に基づき評価、** Overall Response Rate
72
開発領域
SDT-001
ADHD患者の不注意症状(小児)
SDT-001:Phase 2試験概要
小児ADHD患者でSDT-001の有効性および安全性を、Shamと比較
目的
経過観察群における情報を収集し、SDT-001の有効性やShamの妥当性を検討
スクリーニング 治療期間 事後観察
-4W Day 0 2W 4W 6W 8W 10W
盲検, 無作為化
SDT-001
治験デザイン 適格性確認 1:1の割り付け
Sham
適格性確認 経過観察群(心理社会的療法を継続)
非盲検, 非無作為化
対象患者 SDT-001/Sham/経過観察群ともに、環境調整を含む心理社会的治療で十分な効果がないと判
断された患者
目標症例数 247例 (SDT-001/Sham群 各106例、 経過観察群35例)
使用方法、期間 1日1回(約25分)を週7日、6週間継続する
評価項目 ・ ADHD RS-IV 不注意スコアの各評価時のベースラインからの変化量
・ TOVA ACSの各評価時のベースラインからの変化量等
74
SDT-001:小児ADHD患者に対する第2相試験の結果
ADHD Rating Scale-IVの不注意スコア ベースラインからの 6週時(Visit 5)
変化量 vs Sham
各評価時のベースラインからの変化量 治療群 Difference of
Mean (SD) LS Mean p-value
[95% CI]
SDT-001 -4.6(4.2) -0.8 [-1.9, 0.3] 0.1750
Sham -3.9(4.2)
経過観察群 -1.7(3.2)
追加解析* 経過観察群に対する効果の推定**
6週時(Visit 5)での群間差
p-value
の推定値と95%信頼区間
治療期間 SDT -2.5 [-3.7, -1.4] <0.0001
Sham -1.7 [-2.9, -0.5] 0.0051
*本試験の経過観察群は、無作為化していない.
**傾向スコアを用いた逆確率重み付け解析(参考値)
• 有効性
- SDT-001はShamに対して、ADHD Rating Scale-IVの不注意スコアならびに多動・衝動スコアや合計スコア、またCGI-I等の臨
床評価指標において、有意差はなかったが変化量は大きかった
- 経過観察群に対して、傾向スコアを用いた解析(参考値)で各種の臨床評価指標で効果を示せる可能性が示唆された
• 安全性 '
− 機器に関連する有害事象は、いずれの事象も「軽度」であり、安全性に問題なし
75
SDT-001:今後の開発戦略
米国 Akili社
• EndeavorRX:自費診療、保険償還により処方
FDA承認 2020年6月15日:適応:8~12歳の小児の不注意優勢型または混合型の注意欠如・多動症
におけるコンピュータを用いて評価された不注意症状の改善
• ADHD(13-17歳)、ADHD(成人)のオープンラベル試験実施中 510(K)申請予定
• COVID-19 brain fogの臨床試験実施中 アカデミア*と共同研究
日本
• ADHDの治療パラダイムを改善
薬物治療の副作用や長期投与を心配される小児ADHD患者さんに、新しい概念の治療法
(デジタル治療アプリ)を提供
• Phase 3試験実施についてPMDAと相談予定
Weill Cornell Medicine, NewYork-Presbyterian Hospital and Vanderbilt University Medical Center
76
*
開発領域
S-770108
特発性肺線維症
S-770108 開発の目的
経口ピルフェニドン (ピレスパ®& Esbriet®)
• 検証試験で有効性確立され*, 2*, 3*,国際的にも特発性肺線維症治療の標準薬の位置付け4*
• 副作用の頻度が高い5*
– 光線過敏症 (14.4%)
– 食欲減退 (27.9%)、悪心 (8.0%)
• 半分以上の患者で副作用により推奨用量 (1800 ㎎) に到達せず5*
• 約20%の患者は有害事象により投与を中止5*
吸入ピルフェニドン (S-770108)
• 肺に直接 (吸入) 投与することで、全身曝露量を大幅低下 (1/50)
• 経口剤での副作用を大幅低減/離脱し、十分な肺での薬剤濃度と高いアドヒアランスで効果を
発揮することを期待
* Eur Respir J. 2010;35(4):821-9, 2* Lancet. 2011;377(9779):1760-9, 3* N Engl J Med. 2014;370(22):2083-92
4* Am J Respir Crit Care Med. 2015;192(2):e3-19. 5* Respir Investig. 2015;53(5):232-41 78
S-770108
• 肺沈着率試験(Phase 1試験)
– ピルフェニドンの肺移行性 (肺での薬剤濃度) を評価することで、Phase 2 (用量反応)
試験を省略し、Phase 3試験へ移行することを目的に2020年度に肺沈着率試験を実
施
– 本試験は健常人で実施したが、予めIPF患者が出せる吸気速度を確認し、それらの吸
気速度で肺移行性を確認*
吸気速度:15 L/min 吸気速度:30 L/min
大部分のIPF患者が出すことのできる 健常人は出すことができるが、
流速 IPF患者では出せない人が多い
いずれの吸気速度でも本剤の肺移行性が
咽喉 確認された
肺
IPF患者において、より高い吸気速度が出
せれば、より多くの薬剤が肺に移行すると考
えられた
代表的なシンチグラフィックイメージ
79
* 健常被験者にターゲットとなる吸気速度が出せるようトレーニングを行った後、その吸気速度でS-770108を吸入し、肺沈着を評価
S-770108:今後の開発戦略
Phase 3試験を新しい吸入デバイスで実施するために、10月より国内Phase 1b試験を開始予定
• IPF患者の新しい吸入デバイス使用時の吸気速度プロファイルを得る (スクリーニング時)
• IPF患者が1日3回15日間吸入投与した時の、安全性、忍容性、PKを確認(長期の投与を想定した場
合でも本剤の吸入が可能か確認)
試験名 特発性肺線維症患者を対象としたS-770108のPhase 1試験 2021CY 2022CY
主要:安全性、忍容性 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q
目的
副次:薬物動態 探索的:吸気パラメータ
試験デザイン オープン 治験準備 (デバイス等)
対象患者、数 特発性肺線維症患者20例 (%FVC 75%未満を8例以上) 治験届
治験薬 S-770108 (6 mg cap を1回2カプセル、1日3回投与) Phase 1b試験
デバイス 新しい吸入デバイス(不具合等の情報も集める) 治験届
投与期間 15±3 日 Phase 3試験
実施期間 2021.10 (治験届) ~ 2022.4 (LPLV) (今後精査)
• デバイス変更を最速で行うため、必要な要件を各地域の規制当局と交渉中
80
開発マイルストン
81
2021年度の開発品:主な進展予定 1/2
カテゴリー パイプライン 適応 マイルストン 達成
日本:申請、承認
日本:Phase 2/3 試験開始 ◎9月
S-217622 COVID-19 治療
日本:Phase 1 試験開始 ◎7月
コロナ関連
グローバル:Phase 3 試験開始
日本:提供開始
S-268019 COVID-19 ワクチン
グローバル:Phase 3 試験開始
S-531011 固形がん 日本・米国:Phase 1b/2 試験開始 ◎8月
S-600918 難治性慢性咳嗽 グローバル:Phase 3 試験開始
S-812217 うつ病・うつ状態 日本:Phase 3 試験開始
S-005151 栄養障害型表皮水疱症 日本:追加試験開始
注力8PJ
アルツハイマー型認知症 日本:Phase 2 試験開始 ◎4月
BPN14770
脆弱X症候群 グローバル:Phase 2 試験開始 ◎8月
S-540956 感染症、がん 米国:Phase 1 試験開始
S-874713 各種精神疾患 日本:Phase 1 試験開始
82
2021年度の開発品:主な進展予定 2/2
カテゴリー パイプライン 適応 マイルストン 達成
S-309309 肥満症 米国:Phase 1 試験開始
S-770108 特発性肺線維症 日本:Phase 1b 試験開始
SDT-001 ADHD患者における不注意症(小児) 日本:Phase 3 試験開始
その他品目 インフルエンザウイルス感染症
ゾフルーザ®顆粒剤 日本:追加適応承認
(小児、体重20kg未満)
Sー649266
[セフィデロコルトシル
各種感染症 日本:申請
酸塩硫酸塩水和
物]
83
アジェンダ
1. シオノギのR&D
– COVID-19関連事業の進捗 医薬研究本部長 木山 竜一
医薬開発本部長 岩﨑 利信
– 研究開発の進捗
> 研究領域 木山 竜一
> 開発領域 岩﨑 利信
2. 本日の総括 代表取締役社長 手代木 功
3. 質疑応答
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アジェンダ
1. シオノギのR&D
– COVID-19関連事業の進捗 医薬研究本部長 木山 竜一
医薬開発本部長 岩﨑 利信
– 研究開発の進捗
> 研究領域 木山 竜一
> 開発領域 岩﨑 利信
2. 本日の総括 代表取締役社長 手代木 功
3. 質疑応答
85
Appendix
その他の注力8プロジェクト
• 進捗と今後の方針
S-540956 BPN14770
• Phase 1試験準備中 • アルツハイマー型認知症(AD)および脆弱X症候群
– 目的:ワクチンアジュバントとしての安全性と免疫応答性 (FXS)のPhase 2試験を開始
の確認 – AD:4月国内Phase 2試験を開始し、被験者登録中
– 12月にUS INDの予定 – FXS:8月米国Phase 2b試験を開始、Phase 3実施に向けた
• 抗原探索のためのアライアンス活動を実施 FDAとの協議
• Phase 2試験を加速し、早期のPhase 3試験移行を
目指す
S-874713 S-637880
• Phase 1試験準備中 • 神経障害性腰痛を対象としたPhase 2a試験を国内
– 目的:安全性の確認と臨床用量の設定 で実施中
– 2021年度下期中に臨床入り予定 • 多発性硬化症等、他疾患への展開について検討中
• 価値を最大化できる疾患展開について検討中
87
S-309309:既存抗肥満薬との薬効比較
0 1 2 3 4 (週)
食餌誘導性肥満
S-309309、既存薬Aまたは既存薬Bを
マウス
4週間反復投与
(60% kcal/fat)
Vehicle
Vehicle Vehicle
Vehicle
5.0 6.0
S-309309, 3mg/kg b.i.d.
S-309309 MTS-0773817A, 10mg/kg, q.d.
S-309309
4.0 Qsymia, b.i.d.
既存薬A 5.0 Liraglutide, 20ug/kg, q.d.
既存薬B
体重変化量(g)
体重変化量(g)
3.0 4.0 *
*
3.0
2.0
2.0 *#
1.0 *† 1.0
0.0 0.0
0 10 20 0 10 20
-1.0 -1.0
投与期間(日) 投与期間(日)
-2.0 -2.0
n=7, mean±SE, *P<0.05 vs. Vehicle, n=9, mean±SE, *P<0.05 vs. Vehicle,
†P<0.05 vs. 既存薬A #P<0.05 vs. 既存薬B
S-309309は既存抗肥満薬よりも強い体重増加抑制作用を示した
88
S-309309:GLP-1製剤との併用効果
S-309309は、GLP-1製剤との併用で体重増加抑制の上乗せポテンシャルを示した
Vehicle
Vehicle
GLP-1製剤
Semaglutide, 15ug/kg, q.d.
6.0
S-309309+GLP-1製剤
S-309309 + Semaglutide
食餌誘導性肥満 4.0
体重変化量(g)
マウス
(60% kcal/fat) 2.0
0.0
0 1 2 3 4 (週) *
0 10 20 30
-2.0
S-309309、GLP-1製剤または両剤
を4週間反復投与 -4.0 *#
-6.0 投与期間(日)
n=8-9, mean±SE, *P<0.05 vs. Vehicle,
#P<0.05 vs. GLP-1製剤
GLP-1製剤で効果不十分な方にもさらなる治療オプションを提供できる可能性
89
Redasemtide:慢性肝疾患
• CCl4誘発肝硬変モデルに対する効果① 新潟大学消化器内科での研究成果
実験概要
Redasemtide i.v.
CCl4 i.p.
• CCl4曝露期間:12週間 (2回/週)
• 投与期間:4週間 (CCl4曝露8週~12週)
【組織線維化 (Hydroxyprolineの定量)】 • 投与量:3.5 mg/kgを8回投与 (2回/週×4週)
• 評価:CCl4曝露12週目 (最終曝露から3日後)
Control: n=8
血清中肝障害指標 (AST・ALT)、肝機能指標 (ALB・T-Bil) Redasemtide: n=8
図中の数字は平均値を示す
**p<0.01
3.48
686
488
0.14
3.18
**p<0.01 0.10
108 **p<0.01
43
90
Redasemtide:慢性肝疾患
• CCl4誘発肝硬変モデルに対する効果② 新潟大学消化器内科での研究成果
【組織標本】 【肝線維化指標】
HE染色像 SR*染色像 SR染色陽性面積率 HYP量
**p<0.01
7.96
**p<0.01
Control
0.63
4.56
0.37
Control Control
Redasemtide
Redasemtide Redasemtide
Control: n=8, redasemtide: n=8
図中の数字は平均値を示す
Redasemtide投与群では、
Control群と比較して
SR染色陽性面積率を定量
正常な肝臓組織形態を保持
Nojiri S, Tsuchiya A, Tamai K, Terai S et al. Inflamm Regen. 2021 In press
* SR: シリウスレッド染色。コラーゲンの検出に用いる
HYP:Hydroxyproline コラーゲン内に含まれる。含量から組織線維化レベルを把握できる (HYPの増加と肝線維症は相関) 91
Sivopixant:睡眠時無呼吸症候群(PoC試験追加解析)
• 各状態毎の無呼吸・低呼吸指数(AHI)の変化
睡眠ステージ 体位 分類
REM AHI Non-REM AHI 側臥位AHI 仰臥位AHI 閉塞性AHI 中枢性AHI
p = 0.1015 p = 0.9449 p = 0.5451 p = 0.423 p = 0.6628 p = 0.7835
Sivopixant Placebo Sivopixant Placebo Sivopixant Placebo Sivopixant Placebo Sivopixant Placebo Sivopixant Placebo
解析したすべてのAHI指標で有意な変化を見出せなかった
92
オリンピック・パラリンピック選手村での下水疫学調査
オリンピック・パラリンピック選手村での下水疫学調査を行い、感染対策に貢献
• 東京大学、北海道大学、大阪大学および有志研究チームMARCOと共同実施
• 選手村内3地点のマンホールから下水をサンプリングし、北大-シオノギ法(仮)を
用いて、SARS-CoV-2の定量調査およびゲノム解析を実施
• 調査結果
– 陽性者の報告がないエリアの下水からも検出される場合が多くあったが、理由として今回の下水
調査に使用した北大‐シオノギ法(仮)の検出感度が高いことが考えられた
> 一般的に感染性がないとされている既感染者、ウイルス量の少ない不顕性感染者から排出されたウイルスRNA
も検出していたことなどが考えられる
– ゲノム解析によりSARS-CoV-2配列を確認し、変異株が検出された
– 下水*から3日間連続して検出されなかった場合は、概ね人からも検出されなかった
2021年9月28日 東京2020大会における新型コロナウイルス感染症対策のための専門家ラウンドテーブル発表資料
* パッシブサンプリング: 下水中に捕集材を24時間浸漬し、下水をサンプリングする方法によって採水 93