4507 塩野義薬 2021-01-26 15:00:00
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化抑制を目指したBioAge社とのライセンス契約の締結について [pdf]

                                                2021 年 1 月 26 日
 各 位
                             会 社 名   塩 野 義 製 薬 株 式 会 社
                             代表者名    代表取締役社長      手 代 木     功
                               (コード番号 4507 東証第一部)
                             問合せ先 広 報 部 長 京 川 吉 正
                                     TEL (06)6209-7885


       新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化抑制を目指した
            BioAge 社とのライセンス契約の締結について


 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」
      )は、この度、BioAge Labs, Inc.(本社:米国カリフォルニア州、CEO:Kristen
または「当社」
Fortney, Ph.D.、以下「BioAge 社」)との間におきまして、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)
による感染症(COVID-19)の重症化抑制を対象とした S-555739(Prostaglandin D2 DP1 受容
体拮抗薬、BioAge 社コード:BGE-175、以下「本化合物」
                                )の導出に関する契約を締結しました
ので、お知らせいたします。


 本化合物は、当社が創製した DP1 受容体拮抗薬であり、アレルギー性鼻炎に対する適応取得を
目指して開発を進めておりました。これまで当社が実施してきた複数の非臨床および 2,400 例以
上を対象とした臨床試験において、DP1 受容体への高い親和性および選択性 1 に加え、良好な忍
容性、安全性が確認されています。


 加齢による免疫機能の低下は、感染症に対する罹患率ならびに死亡率を高める大きなリスク因
子となります 2。そのため免疫機能を亢進させることで、COVID-19 を含む種々の感染症の重症化
抑制に繋がる可能性が示唆されています。
 この度、BioAge 社が実施した独自の AI オミクス解析から、加齢に伴う免疫機能低下を改善す
る創薬ターゲットとして DP1 受容体が同定されています。  アイオワ大学で実施された SARS
                             また、
コロナウイルス(SARS-CoV)を感染させた加齢マウスモデルに、既存の DP1 受容体拮抗薬を投
与した試験では、マウスの死亡率の改善とともに、肺内のウイルス量の有意な低下が報告されて
います 3。これらを踏まえて、本化合物のドラッグリポジショニングによる高齢者の免疫亢進薬と
しての開発期待から、本契約の締結に至りました。


 この度の契約締結により、BioAge 社は本化合物の COVID-19 の重症化抑制に関する米国、欧
州での独占的開発・販売権を獲得します。さらに、他の疾患への適応追加に対する独占的交渉権
が付与されます。当社は、本契約の締結に伴う一時金、今後の開発進展に応じたマイルストン、
ならびに製品上市後の販売額に応じたロイヤリティーを BioAge 社から受領します。
                                         BioAge 社は、
2021 年上期に、COVID-19 患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験の開始を計画しています。




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 塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」
を特定し、治療薬の研究・開発だけにとどまらず、啓発・予防・診断ならびに重症化抑制といっ
た感染症のトータルケアに対する取り組みを進めております。感染症薬のリーディングカンパ
ニーとして、新型コロナウイルス感染症の早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するた
めに、新規の治療薬、ワクチン等の開発に加えて既存の化合物の価値を最大化し、より多くの患
者さまにヘルスケアソリューションを提供できるよう、外部パートナーとの連携を含めた取り組
みを強化してまいります。


 なお、本件が 2021 年 3 月期の業績に与える影響は軽微です。


                                                                                          以上


【BioAge 社について】
 BioAge 社は、加齢や老化に関連する疾患を治療するための医薬品を開発しているバイオテク
ノロジー企業です。同社は、AI による人間の寿命に影響を及ぼす分子経路のマッピングを主導
しており、過去 45 年以上にわたって推定 6000 人分の健常者を追跡調査したデータを有し、病
歴・死亡歴と血液サンプルを用いた AI によるオミクス解析(生体を構成しているさまざまな分
子を網羅的に調べていくこと)から、加齢に関連するターゲット候補の同定と、創薬展開を実施
しております。


 参考
 1.   Takahashi G, Asanuma F, Suzuki N. Effect of the potent and selective DP1 receptor
      antagonist, asapiprant (S-555739), in animal models of allergic rhinitis and allergic
      asthma. Eur J Pharmacol. 2015;765:15-23
 2.   Boraschi D, Aguado M. T. Dutel C. et al. The Gracefully Aging Immune System.
      2013;5(185):1-9
 3.   Zhao J, Zhao J, Legge K, et al. Age-related increases in PGD2 expression impair
      respiratory DC migration, resulting in diminished T cell responses upon respiratory
      virus infection in mice. The Journal of Clinical Investigation. 2011;121(12):4921-4930




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