4507 塩野義薬 2020-11-27 15:00:00
抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザの日本におけるインフルエンザウイルス感染症予防に関する効能・効果追加承認について [pdf]

                                        2020 年 11 月 27 日
 各   位
                          会 社 名   塩 野 義 製 薬 株 式 会 社
                          代表者名    代表取締役社長   手 代 木     功
                            (コード番号 4507 東証第一部)
                          問合せ先 広 報 部 長 京 川 吉 正
                                  TEL (06)6209-7885

          抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®の
日本におけるインフルエンザウイルス感染症予防に関する効能・効果追加承認について

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」     )
は、抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®のインフルエンザウイルス感染症予防に関する日本
における効能・効果追加申請が承認されたことをお知らせいたします。本薬の効能・効果追加申
請は、国内第 III 相臨床試験(BLOCKSTONE1)の結果にもとづいて行われています 2。

 インフルエンザウイルス感染症の予防については、ワクチン接種が広く知られておりますが、
流行するインフルエンザウイルスの型はシーズンによって異なることから、ワクチン接種だけで
は、ウイルス感染や発症、重症化を完全に抑えることは困難です。そのため、インフルエンザウ
イルス感染症を発症している患者さまの同居者のうち、代謝性疾患(糖尿病など) 、慢性肺疾患な
どの基礎疾患を有する患者さまや、65 歳以上の高齢者の方など、インフルエンザウイルス感染症
罹患時に重症化のリスクが高いと判断される方 3 では、抗インフルエンザウイルス薬の曝露後予
防投与*(以下、予防投与)は、インフルエンザウイルス感染症予防の重要な選択肢となります。
特に、病院内や高齢者施設内などでは、ワクチン接種や感染予防対策の徹底に加え、抗インフル
エンザウイルス薬の予防投与を早期から積極的に行うことが推奨されています 4。
 * 曝露後予防投与:
   インフルエンザウイルス感染者との接触などウイルスに感染した可能性が生じた際に、発症前に治療薬を投
   与することで感染症の発症を防ぐ治療行為


 今冬において、インフルエンザウイルス感染症と新型コロナウイルス感染症の同時流行が懸念
されています。感染予防対策として、飛沫感染対策、手指衛生などの感染予防対策に加え、イン
フルエンザウイルス感染症に関しては、ワクチン接種が強く推奨されており、インフルエンザウ
イルス感染症予防の重要性が高まっています 5。このたびの効能・効果追加により、抗インフルエ
ンザウイルス薬の予防投与にゾフルーザの 1 回経口投与が新たな選択肢として加わることで、本
薬がインフルエンザウイルス感染症の治療だけでなく、予防においても貢献することが期待され
ます。

 塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」
を特定し、治療薬の研究・開発だけにとどまらず、啓発・予防・診断ならびに重症化抑制といっ
た感染症のトータルケアに対する取り組みを進めております。引き続き本薬の有効性、安全性に
関するデータの収集と解析に鋭意取り組み、適正使用に向けた情報提供活動に努めてまいります。

 なお、本件が 2021 年 3 月期連結業績に与える影響は軽微です。
                                                  以   上

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製品概要
 製品名    ゾフルーザ®錠10mg・20mg・顆粒2%分包
効能・効果   ゾフルーザ錠20㎎・顆粒2%分包
        A型又はB型インフルエンザウイルス感染症およびその予防
        ゾフルーザ錠10㎎
        A型又はB型インフルエンザウイルス感染症
用法・用量   通常、以下の用量を単回経口投与する

        1. 治療
        成人および12歳以上の小児
              体重                   用量
            80kg以上          20㎎錠 4錠または顆粒 8包
                        (バロキサビル マルボキシルとして80㎎)
            80kg未満          20㎎錠 2錠または顆粒 4包
                        (バロキサビル マルボキシルとして40㎎)

        12 歳未満の小児
               体重                   用量
             40kg以上         20mg錠 2錠または顆粒 4包
                        (バロキサビル マルボキシルとして40mg)
         20kg以上40kg未満       20mg錠 1錠または顆粒 2包
                        (バロキサビル マルボキシルとして20mg)
         10kg以上20kg未満            10mg錠 1錠
                        (バロキサビル マルボキシルとして10mg)

        2. 予防
        成人および12歳以上の小児
              体重                   用量
            80kg以上          20㎎錠 4錠または顆粒 8包
                        (バロキサビル マルボキシルとして80㎎)
            80kg未満          20㎎錠 2錠または顆粒 4包
                        (バロキサビル マルボキシルとして40㎎)

        12歳未満の小児
              体重                    用量
            40kg以上          20mg錠 2錠または顆粒 4包
                        (バロキサビル マルボキシルとして40mg)
         20kg以上40kg未満       20mg錠 1錠または顆粒 2包
                        (バロキサビル マルボキシルとして20mg)




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【BLOCKSTONE 試験 1 について】
 BLOCKSTONE 試験は、インフルエンザウイルス感染症患者(初発患者)の同居家族または
共同生活者を対象に実施した、多施設共同、無作為化、プラセボ対照二重盲検比較の第 III 相臨
床試験です。本試験は 750 例を対象に、日本で塩野義製薬が実施いたしました。被験者はゾフ
ルーザの 1 回投与群、またはプラセボ投与群に無作為に割り当てられました。ゾフルーザの投与
量は、12 歳以上では体重に応じて 40mg または 80mg を 1 回投与、12 歳未満では体重に基づき
投与量が設定されました。本試験の主要評価項目は投与後 10 日間における、インフルエンザウ
イルスに感染し、発熱かつ呼吸器症状を有する被験者の割合です。ゾフルーザの 1 回経口投与に
よるインフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果が認められ、インフルエンザウイルスに感染
し、発熱かつ呼吸器症状を発現した被験者の割合は、ゾフルーザ投与群で 1.9%、プラセボ投与
群で 13.6%でした(p<0.0001)。また、ゾフルーザ投与群において重篤な有害事象の発現は認め
られませんでした。BLOCKSTONE 試験の結果は、New England Journal of Medicine の 2020
年 7 月 8 日号に掲載されております 1。

【ゾフルーザ®について】
 塩野義製薬が創製したゾフルーザは、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害作用によりイン
フルエンザウイルスの増殖を抑制します。本薬は 1 回の経口投与で治療が完結します。ゾフルー
ザは非臨床試験において、オセルタミビルに耐性を示すウイルスおよび、鳥インフルエンザウイ
ルス(H7N9, H5N1)を含むインフルエンザウイルスに抗ウイルス効果を示しました 6, 7。
 本薬の開発および販売は、Roche グループとの提携下で進めており、日本と台湾における販売
は塩野義製薬が、それ以外の国では Roche グループが行っており、日米を含め複数の国でイン
フルエンザウイルス感染症治療薬として承認されています。また、インフルエンザ感染症の予防
適応としては、2020 年 11 月 23 日に、米国において「12 歳以上のインフルエンザウイルス感染
曝露後予防」を適応として FDA から追加適応承認を取得しています 8。欧州では、2020 年 11
月 12 日に、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)より、     「12 歳以上の合併症の
ないインフルエンザウイルス感染症治療」および「12 歳以上のインフルエンザウイルス感染曝
露後予防」を適応症として、ゾフルーザの承認を推奨する肯定的な見解が発表されています 9。
 Roche グループは、1 歳未満の小児を対象としたグローバル第 III 相臨床試験(miniSTONE-1
試験)  、さらに本薬のインフルエンザウイルス伝播抑制効果について検証するためのグローバル
第 III 相臨床試験(CENTERSTONE 試験)を実施中です。また、当社は、日本国内第 III 相臨
床試験(BLOCKSTONE)における良好な有効性および安全性の結果をもとに、2020 年 3 月 31
日に台湾において成人および 12 歳以上の小児におけるインフルエンザウイルス感染曝露後予防
に関する新薬承認追加申請を実施しております 10。

参考:
1. Hideyuki Ikematsu, MD et al. Baloxavir Marboxil for Prophylaxis against Influenza in
   Household Contacts. N Engl J Med 2020 Jul 8
   https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1915341
2. プレスリリース: 2019 年 10 月 16 日
   抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ®のインフルエンザウイルス感染症予防に関する日
   本における効能・効果追加申請について
3. 米国疾病予防管理センター(CDC)インフルエンザ合併症のハイリスク患者の定義
     CDC website, People at High Risk For Flu Complications
4.   日本感染症学会提言 2012「インフルエンザ病院内感染対策の考え方について(高齢者施設
     を含めて)    」
     http://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=24

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5.   一般社団法人日本感染症学会提言 今冬のインフルエンザと COVID-19 に備えて
     http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/2008_teigen_influenza_covid19.pdf
6.   T. Noshi et al. In vitro Characterization of Baloxavir Acid, a First-in-Class Cap-
     dependent Endonuclease Inhibitor of the Influenza Virus Polymerase PA Subunit.
     Antiviral Research 2018;160:109-117
7.   K. Taniguchi et al. Inhibition of avian-origin influenza A(H7N9) virus by the novel cap-
     dependent endonuclease inhibitor baloxavir marboxil. Scientific Reports volume 9,
     Article number: 3466 (2019)
8.   プレスリリース: 2020 年 11 月 24 日
     抗インフルエンザウイルス薬 XOFLUZA®の米国における適応追加承認について-12 歳以上
     のインフルエンザウイルス感染曝露後予防を適応として-
9.  Xofluza: Pending EC decision | European Medicines Agency
    https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/summaries-opinion/xofluza
10. プレスリリース: 2020 年 3 月 31 日
    抗インフルエンザウイルス薬「紓伏效®(ゾフルーザ®)                        」のインフルエンザウイルス感染症
    予防に関する台湾における新薬承認追加申請について




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