4507 塩野義薬 2020-07-10 11:00:00
長期作用型注射剤カボテグラビルの良好なHIV感染予防効果に関するViiV社の発表について-AIDS 2020でHPTN 083試験の最終解析結果を発表- [pdf]

                                                             2020 年 7 月 10 日
 各   位
                                  会 社 名    塩 野 義 製 薬 株 式 会 社
                                  代表者名     代表取締役社長        手 代 木     功
                                    (コード番号 4507 東証第一部)
                                  問合せ先 広 報 部 長 京 川 吉 正
                                          TEL (06)6209-7885


長期作用型注射剤カボテグラビルの良好な HIV 感染予防効果に関する ViiV 社の発表について
  AIDS 2020 で HPTN 083 試験の最終解析結果を発表
  2 か月毎投与により、対照となる 1 日 1 回投与の経口薬を 66%上回る有意な予防効果を確認


  塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」または
「当社」は、) 当社が GlaxoSmithKline plc.および Pfizer Inc.とともに資本参加している ViiV Healthcare
Ltd.(本社:英国ロンドン、Chief Executive Officer:Deborah Waterhouse、以下「ViiV 社」
                                                                   )が、長
期作用型注射剤カボテグラビルの HIV 感染予防効果を検証する第 IIb/III 相臨床試験(HPTN 083 試
験、以下「本試験」    )の最終解析において、中間解析と同様に本剤の良好な予防効果を確認したことを第
23 回国際 AIDS 会議(AIDS 2020)にて発表 ※しましたので、お知らせいたします。

 本試験は、HIV 感染リスクが高い、男性と性交渉を行う男性またはトランスジェンダーの女性を対象
に、HIV に感染した被験者の割合を主要評価項目として、長期作用型注射剤カボテグラビルの 2 か月毎
投与と既存の予防薬であるエムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(FTC/TDF)の 1
日 1 回経口投与を比較した第 IIb/III 相二重盲検比較試験です。中間解析の良好な結果を評価したデー
タ安全性モニタリング委員会(DSMB)の勧告により、本試験は予定より早期に終了しました。

 最終解析の結果の概要は以下の通りです。

    感染予防効果
      試験中に HIV に感染した被験者 52 名のうち、13 名が長期作用型注射剤カボテグラビル群
       (0.41%、95%信頼区間:0.22-0.69%)であり、39 名が対照薬の FTC/TDF 群(1.22%、95%
       信頼区間:0.87-1.67%)でした。

    安全性
      両群ともに忍容性が高く、ほとんどの有害事象は軽度または中等度でした。
      有害事象について、カボテグラビル群では注射部位反応、発熱、および高血圧が、FTC/TDF
       群では嘔気がそれぞれ有意に高く認められました。
      注射部位の痛みまたは圧痛について、カボテグラビル群では 80%の被験者で、プラセボが注
       射される FTC/TDF 群では 31%の被験者で認められました。
      カボテグラビル群における注射部位反応あるいは注射に対する不耐性による中止例は 2.2%
       であり、FTC/TDF 群における注射部位反応による中止例は認められませんでした。

  これらの最終解析結果より、長期作用型注射剤カボテグラビル群は対照薬の FTC/TDF 群に対して有
意な HIV 感染予防効果を示し、主要評価項目を達成いたしました。また、FTC/TDF 群から無作為に抽
出した被験者の 87%でテノホビルの血中濃度が検出されていたことから、経口投与群での服薬率は高
かったと考えられます。経口投与群の服薬率が高かったにもかかわらず、長期作用型カボテグラビルは
FTC/TDF 群に対して HIV 感染予防効果が 66%(95%信頼区間:38-82%)高い結果でした。

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 今後 ViiV 社は、本試験データを基に当局への承認申請を予定しています。長期持続型注射剤カボテ
グラビルによる HIV 感染予防については、HIV 感染リスクの高い女性を対象にした第 III 相臨床試験
(HPTN 084 試験)も実施中であり、現在までに 3,000 人以上の被験者が登録されています。

 塩野義製薬は、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として「感染症の脅威からの解放」を特
定し、HIV 感染症をはじめとする三大感染症への取り組みを推進しております。当社は ViiV 社の株主
として、世界中の皆さまにより良い HIV 感染症の治療および予防の選択肢が提供されることを期待す
るとともに、今後も同社の経営に参画することで、HIV 感染症治療や予防におけるドルテグラビルお
よびカボテグラビルの価値最大化に貢献してまいります。

 なお、本件が 2021 年 3 月期の業績に与える影響は軽微です。

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 ※
     ご参考:ViiV 社リリース



【HPTN 083 について(NCT02720094)
                          】
 HPTN 083 試験は、HIV 感染予防において、FTC/TDF 錠(200mg/300mg)の 1 日 1 回経口投与
と比較して、2 か月毎に投与する長期作用型注射剤カボテグラビルの安全性と有効性を評価するため
にデザインされた第 IIb/III 相二重盲検試験です。各参加者は、盲検化された治験薬を最大 3 年間投
与されます。当該試験は 2016 年 11 月に登録開始されました。HPTN 083 試験は、アルゼンチン、
ブラジル、ペルー、米国、南アフリカ、タイ、ベトナムの施設で、男性と性行為を行う男性またはト
ランスジェンダーの女性、4,566 名を対象に実施されました。
 詳細は、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02720094 をご覧ください。


【HPTN 084 について(NCT03164564)
                          】
 HPTN 084 試験は、HIV 感染予防に対する安全性と有効性を、HIV 感染リスクが高い女性 3,200 名
を対象に、8 週間ごとに投与する長期作用型注射用カボテグラビルと FTC/TDF 錠(200mg/300mg)
の 1 日 1 回経口投与と比較評価するためにデザインされた第 III 相二重盲検比較試験です。HPTN
084 は、2017 年 11 月に登録開始され、ボツワナ、ケニア、マラウイ、南アフリカ、エスワティニ、
ウガンダ、ジンバブエの施設で実施されています。
 詳細は https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03164564 をご覧ください。


【HIV 予防試験ネットワーク(HPTN)について】
 HIV Prevention Trials Network(HPTN)は、HIV 感染と感染拡大を予防するためにデザインされ
た臨床試験の安全性と有効性を評価、検証するための、研究者、倫理学者、コミュニティメンバーお
よび他のパートナーによる世界的な共同臨床試験ネットワークです。National Institutes of Health
(NIH)、National Institute of Mental Health (NIMH)、および National Institute on Drug Abuse
(NIDA)は、HPTN に共同出資しています。HPTN は、19 カ国 85 以上の臨床研究施設と協力し、新
たな HIV 感染予防の戦略を評価しています。HPTN の研究課題は、登録および評価された参加者
161,000 名以上を対象とした進行中または完了した 50 件を超える試験における、主に抗レトロウイル
ス薬(抗レトロウイルス療法および曝露前予防)の使用、および薬物乱用、特に注射薬物使用に対す
る介入、行動リスク低減への介入および構造的介入を含む統合的戦略に焦点を当てています。
 詳細は、hptn.org をご覧ください。



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