4507 塩野義薬 2020-05-26 13:00:00
米国Tetra社の完全子会社化に関するお知らせ [pdf]
2020 年 5 月 26 日
各 位
会 社 名 塩 野 義 製 薬 株 式 会 社
代表者名 代表取締役社長 手 代 木 功
(コード番号 4507 東証第一部)
問合せ先 広 報 部 長 京 川 吉 正
TEL (06)6209-7885
米国 Tetra 社の完全子会社化に関するお知らせ
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製
薬」または「当社」 )は、2020 年 5 月 25 日開催の取締役会において、以下の通り、Tetra
Therapeutics(以下「Tetra 社」
)の全株式を取得し、完全子会社化することを決議しましたの
で、お知らせいたします。
1. 本子会社化の目的
当社は、中期経営計画における重要課題として「個人が生き生きとした社会創り」を掲げ、精
神・中枢神経系疾患への取り組みを進めております。Tetra 社は、脆弱 X 症候群(Fragile X
Syndrome: FXS)
、アルツハイマー型認知症(Alzheimer’s Disease: AD)、外傷性脳損傷、その
他の脳疾患で苦しむ患者さまに対する治療薬を開発するバイオテクノロジー関連の研究開発型企
業です。当社は 2018 年 12 月に認知機能改善薬候補 BPN14770 のライセンスならびに出資契約
を Tetra 社と締結し、日本、韓国、台湾における独占的開発・製造・販売権を獲得するととも
に、同化合物の研究開発を協力して推進してまいりました 1。米国においては、Tetra 社が FXS
患者と AD 患者を対象とした Phase II 試験 2を実施し、後者がこのたび完了致しました。また、
2020 年 3 月には、両社の提携をさらに強化すべく、一定の条件を満たした場合に当社が Tetra
社を完全子会社化する合併契約を締結しておりました 3。
本 Phase II 試験は、BPN14770 を 10mg または 25mg、早期 AD 患者に対して 1 日 2 回、13
週間経口投与し、有効性と安全性をプラセボ群と比較した二重盲検、無作為化、並行群間比較試
験です。主要評価項目として、治療 13 週後における Repeatable Battery for the Assessment of
Neurological Status-Delayed Memory Index(RBANS- DMI)スコアのベースラインからの変
化量を評価しました。
本試験結果では、BPN14770 10mg および 25mg 投与群は、プラセボ投与群との比較におい
て、いずれも主要評価項目である RBANS-DMI スコアの有意な改善は示しませんでしたが、部
分集団解析を行った結果、25mg 投与群の臨床的認知症重症度判定尺度(Clinical Dementia
Rating Sum of Boxes:CDR-SB)のベースラインスコアが中央値以上の患者集団において、投
与 13 週目の CDR-SB スコアの有意な改善(p=0.0295)を示したことから、本薬の AD および
他の適応(例 開発進行中の FXS)における開発を継続する意義があると判断しました。安全性
に関しては、本試験においても、特に臨床上問題となる有害事象は認められませんでした。さら
に、Tetra 社の有する中枢神経系の創薬ノウハウの当社研究開発への活用も期待できることか
ら、Tetra 社の全株式を取得し、同社を完全子会社化することにいたしました。Tetra 社の子会
社化の結果、当社は BPN14770 および Tetra 社が現在保有する全化合物のグローバルにおける
権利を獲得することになります。
1/2
2. Tetra 社の概要
1. 名 称 Tetra Therapeutics Inc.(正式名称:Tetra Discovery Partners Inc.)
2. 本 社 所 在 地 米国ミシガン州
3. 代表者の役職・氏名 CEO:Mark Gurney
4. 事 業 内 容 医薬品の研究・開発
5. 設 立 年 2011 年
3. 完全子会社化の日程
2020 年 5 月 26 日
4. 今後の見通し
Tetra 社の完全子会社化が当期の連結業績に与える影響は現時点では軽微と考えております
が、今後、状況の変化により、業績に与える影響を認識した時点で速やかに公表いたします。
以 上
【BPN14770 について】
BPN14770 は、記憶形成に関わる Phosphodiesterase 4D を標的とした新規の選択的ネガティ
ブアロステリックモジュレーターです。BPN14770 のユニークな作用機序は、FXS や認知症、
学習/発達障害、統合失調症等の中枢神経疾患で低下している認知機能を向上させる可能性が示
唆されています。
BPN14770 は、非臨床試験において、FXS における神経結合の成熟化を促進するとともに、
AD において障害される神経結合を保護することが示されています。
現在 Tetra 社は、米国において FDA よりオーファン指定を受けた FXS を対象にした Phase
II 試験を実施中です。
【Tetra 社について】
Tetra 社は、FXS、AD、外傷性脳損傷、その他の脳疾患で苦しむ患者さまに対する治療薬を
開発するバイオテクノロジー関連の研究開発型企業です。タンパク構造をベースにしたドラッグ
デザインを行い、記憶形成や学習だけでなく神経炎症や外傷性脳損傷においても重要な役割を担
う Phosphodiesterase 4 に対する新規メカニズムのネガティブアロステリックモジュレーターを
探索しています。本社は米国ミシガン州にあります。詳細は Tetra 社のホームページ をご覧く
ださい。
参考:
1. 2018 年 12 月 19 日 プレスリリース
新規認知機能改善薬の開発候補品 BPN14770 の導入に関する Tetra Discovery Partners 社
とのライセンス契約および出資契約の締結について
2. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03817684
3. 2020 年 3 月 6 日 プレスリリース
Tetra Therapeutics 社との新たな契約の締結について-認知機能改善薬候補 BPN14770 に
関する戦略的提携のさらなる強化-
2/2