2397 DNAチップ研 2021-05-21 16:00:00
疾病診断用プログラム「EGFRリキッド遺伝子解析ソフトウェア」の保険収載のお知らせ [pdf]

                                              2021 年 5 月 21 日


                          東京都港区海岸1-15-1スズエベイディアム5階
                          株 式 会 社 D N A チ ッ プ 研 究 所
                          代 表 取 締 役 社 長        的 場     亮
                             (コード番号 : 2397 東証第2部)
                             問合せ先   : 総務部       大 塚  勉
                             電話番号   : 03-5777-1700(代表)




     疾病診断用プログラム「EGFR リキッド遺伝子解析ソフトウェア」の
               保険収載のお知らせ


【概要】
  株式会社DNAチップ研究所(代表取締役社長:的場亮)は、2021 年 5 月 21 日に「EGFR リキッ
ド遺伝子解析ソフトウェア」の一部機能(未固定組織を検体とする検査)について保険収載されたこ
とをお知らせいたします。「EGFR リキッド遺伝子解析ソフトウェア」は、癌組織又は血漿から抽出し
た DNA 中の EGFR 遺伝子変異(エクソン 19 欠失および L858R)を検出し、EGFR チロシンキナー
ゼ阻害剤*1(ゲフィチニブ、エルロチニブ塩酸塩又はアファチニブマレイン酸塩)の非小細胞肺癌
患者への適応を判定するための補助に用いる疾病診断用プログラムで、コンパニオン診断*2 として
昨年 7 月に製造販売承認を取得しました。本品は、奈良先端科学技術大学院大学と大阪国際が
んセンターの研究成果をもとに開発したものです。

 肺癌の種類の一つである非小細胞肺癌*3 では、遺伝子変異の種類によってがんの特徴が異なる
ことが知られており、その遺伝子の種類に特異的に作用する薬剤開発が進められてきました。とく
に日本人では、非小細胞肺癌の中で、EGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異が 5 割程度見ら
れるという報告があり、遺伝子検査を行うことは非常に重要です。本品は、この EGFR 遺伝子変異
検査(EGFR リキッド検査)に用います。

 EGFR リキッド検査は、未固定組織あるいは血漿(血液)を対象検体としますが、未固定組織検査
について、この度保険収載されました。血液検査につきましては、追って保険収載される見込みで
す。

 DNAチップ研究所では、次世代シークエンス*4 技術による遺伝子パネル検査*5 の開発に取り組
んでおり、次の課題として肺癌パネル検査(肺癌の複数のドライバー遺伝子に対するがん遺伝子
パネル検査)の医療機器製造販売承認および保険収載を目指しています。このパネル検査の臨
床実装と EGFR リキッド検査の相乗効果で診断事業の売上を伸ばし、2023 年度の黒字化を目指し
ていきます。

 最先端の遺伝子解析技術で医療現場のニーズに応えることで、患者様の治療機会の改善や
QOL の向上に貢献できるよう努めてまいります。

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検査概要
販売名:EGFR リキッド遺伝子解析ソフトウェア
一般的名称:体細胞遺伝子変異解析プログラム(抗悪性腫瘍薬適応判定用)
承認番号:30200BZX00249000
対象国:日本
対象検体:非小細胞肺癌患者の癌組織(手術検体、生検)又は血漿
対象遺伝子変異:EGFR エクソン 19 欠失、L858R
コンパニオン診断対象薬剤:ゲフィチニブ、エルロチニブ塩酸塩、アファチニブマレイン酸塩
保険適用日:2021 年 5 月 21 日
検査料:2,500 点(組織)
 ※血漿検査については未定。
販売開始日:2021 年 6 月 1 日(予定)




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【解説】


1. 背景と目的
 抗悪性腫瘍剤である上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)は、EGFR 遺
伝子に活性化変異(エクソン 19 欠失、L858R など)がある非小細胞肺癌患者にのみ効果がありま
す。このため、EGFR 遺伝子変異検査は進行性の肺癌治療に必須であり、医療現場で薬剤を選択
し、投与するために不可欠なコンパニオン診断となっています。
 EGFR 遺伝子の変異は活性化変異だけではありません。EGFR-TKI の投与を続けていくと、当
初は薬が効いてもがん細胞がその薬に対して耐性を持つようになり、最初に投与した薬が効かなく
なってしまうことがあります。その場合、薬に対する耐性を持ったがん細胞の約半数は EGFR の別
の変異(T790M 耐性変異等)を持つようになることがわかっています。薬剤耐性が発生した場合、
再発巣や転移巣の生検は非常に困難を極めます。そのため、病態モニタリングや耐性変異用
EGFR-TKI 選択を目的とした生検に代わる検査、血液を用いた遺伝子変異検査(リキッドバイオプ
シー*6 検査)へのニーズが高まっています。
 EGFR 遺伝子検査を低侵襲性の血液検査で代替できれば、この領域の実地臨床に大きな進歩
をもたらすことになります。がん患者の血液中には、がん細胞から遊離した DNA(血中腫瘍 DNA*7;
circulating tumor DNA;ctDNA)が存在します。しかし、ctDNA は極微量しか含まれていないため、
既存の手法に基づく遺伝子変異の検出は非常に困難で、微量変異を検出する技術の開発が必
須でした。


2.研究開発と医療機器製造販売承認までの経緯
 次世代シークエンシング技術(NGS)は遺伝情報を解析する高度な技術で、個人の全ゲノム配列
(全遺伝情報)でさえも低コストで得ることができます。この技術を用いて、肺癌患者血液中の
EGFR 遺伝子断片のみを多数(実際には1万分子以上)解析して変異を探索すれば、変異が低頻
度でも検出することが可能です。従来の検査技術では 5%程度の変異がないと検出できませんが、
NGS を使えば、0.01%の変異でも検出できます。奈良先端科学技術大学院大学の加藤菊也客員
教授―当時大阪府立成人病センター (現大阪国際がんセンター) 研究所長―は 2013 年にこの
検出技術を開発しました。
 新しい技術を開発したとしても、実際に使えるかどうかは肺癌患者で確認を行わなければわかり
ません。加藤菊也客員教授と大阪国際がんセンターの今村文生元副院長(当時大阪府立成人病
センター呼吸器内科主任部長)は 288 名の肺癌患者について従来の検査法(肺癌組織の生検)と
新しい技術(血液を使用)を比較し、「十分実地臨床で使用可能」な成績を得ることができました。こ
の試験は 2013 年から 2015 年にかけて行われました。また 2018 年には大阪国際がんセンター呼
吸器外科(岡見次郎主任部長、東山聖彦副院長)の 156 検体による比較試験を追加、確認をして
います。
以上の研究成果を踏まえ、上記検出技術について厚生労働省に医療機器製造販売承認申請を


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行い、2020 年 7 月 31 日に承認されました。


3. 医療機器製造販売承認から保険収載までの経緯
 EGFR リキッド検査は、感度の非常に高い次世代シークエンス技術を用いた検査手法であり、よ
り多くの患者さんにお薬を届けることができるベネフィットの観点から、高い保険点数を目指して厚
生労働省と協議を重ねてきましたが、検査手法の異なる現行検査と同じ 2,500 点での保険適用と
なりました。次世代シークエンス技術は従来法に比べて高コストな検査手法であることから、やむを
得ず高い価格設定での検査開始を予定しています。このため、長期計画では当初想定よりも検査
提供数で伸び悩むことを想定しています。


4.今後の展開
 DNAチップ研究所は今後も肺癌診療におけるリキッドバイオプシー検査の浸透とコンパニオン
診断に適したがん遺伝子パネル検査を医療現場に提供することを目的に活動を続けてまいります。
 日本の肺癌診療ではリキッドバイオプシー検査がまだ十分浸透しておらず、非侵襲的なリキッド
バイオプシー検査を普及させるための啓蒙活動に時間を要すると考えています。引き続き、適用
拡大・臨床有用性データの追加による検査価値の向上、ガイドライン化等による普及活動により、
EGFR リキッドの改良を続けてまいります。
 また、肺癌の実地臨床で使われている遺伝子パネル検査には、コンパニオン診断用として ALK、
ROS1、BRAF、MET、NTRK などの遺伝子が搭載されています。これらの遺伝子に対しても EGFR-
TKI 同様、分子標的薬が複数販売されており、それぞれの遺伝子の変異検出が薬剤選択の条件
になっています。しかしながら、従来の遺伝子パネル検査を日本の肺癌医療現場で使用するには
問題があります。日本では米国と異なり気管支鏡による生検が中心であるため、採取するがん組織
の量が少なく、変異検出感度が重要になります。既存の遺伝子パネル技術では検出感度が不十
分であり、高感度に遺伝子変異を検出することができません。高感度な検出ができなければ検査
結果が偽陰性となり、肺癌患者に対する薬剤投与が遅れることになるため、検査としての役目が果
たせなくなります。
 これらの問題を解決するために弊社は奈良先端科学技術大学院大学、大阪国際がんセンター
と共同で、肺癌に特化した高感度のがん遺伝子パネル検査(仮称:肺がんコンパクトパネル)を開発
中です。従来のパネル検査は、多数の遺伝子を一括処理して解析するために価格が高く、感度が
得られにくい点が問題になっていましたが、肺がんコンパクトパネルは遺伝子の種類を絞り込むこ
とにより、低コストと高感度を実現しています。
 DNAチップ研究所は、今後も遺伝子解析(DNA、RNA)を中心とした診断技術を通じて、世界の
ヘルスケア分野に貢献できるよう、様々な病気の判定や、薬剤効果判定、さらには予防医療等の
技術開発に努めてまいります。
 なお、本年度の業績への影響は織り込み済みです。



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【用語解説】
*1 EGFR(上皮成長因子受容体)チロシンキナーゼ阻害剤(Epidermal Growth Factor Receptor
Tyrosine Kinase Inhibitor; EGFR-TKI):
      進行性非小細胞肺癌の治療に広く使われている薬剤。ゲフィニチブ(商品名:イレッサ)、エ
   ルロチニブ塩酸塩(同:タルセバ)、アファチニブマレイン酸塩(同:ジオトリフ)、オシメルチニブ
   メシル酸塩(同:タグリッソ)、ダコミチニブ水和物(同:ビジンプロ)などがある。この薬の治療効果
   は、EGFR 遺伝子に特定の変異(エクソン 19 欠失、L858R など)がある場合に限られるため、こ
   れらの変異の検出は薬剤選択の条件とされている。日本では、進行性非小細胞肺癌における
   EGFR 変異陽性の比率は 50%以上であり、これらの肺癌患者に対して年間 5 万件以上の
   EGFR 遺伝子検査が実施されている。


*2 コンパニオン診断:
      EGFR-TKI に対応する EGFR 遺伝子検査のように、特定の薬剤を投与するためにあらかじ
   め行う遺伝子変異を検出する検査。


*3 非小細胞肺癌:
      最も多い肺癌のタイプで、全肺癌の 90%以上を占める。肺癌には非小細胞肺癌以外に小
   細胞肺癌や大細胞肺癌がある。


*4 次世代シークエンス・次世代シークエンサー( Next Generation Sequencing / Sequencer;
NGS):
      遺伝情報を解析する高度な技術で、個人の全ゲノム配列(全遺伝情報)でも低コストで得る
   ことが可能(現在一人当たり 10 万円)。EGFR リキッドでは全ゲノムを一回解析するかわりに、
   EGFR 遺伝子のみを 1 万分子以上解析して変異を探索するため、目的の遺伝子変異が低頻
   度でも検出できる高感度な検査を実現している。


*5 遺伝子パネル検査:
      多数の遺伝子の変異を次世代シークエンサーで同時検出する検査。使用用途はコンパニ
   オン診断とゲノムプロファイリングに大別され、ゲノムプロファイリングは標準治療の効かなくな
   った患者の治療方針決定の補助に用いられる。


*6 リキッドバイオプシー:
      がん患者の血液中にはがん細胞から放出された遊離 DNA があり、高感度な検出技術を用
   いれば、この遊離 DNA を用いて遺伝子検査をすることが可能。血液を用いたがん遺伝子検査
   はリキッドバイオプシー(体液を用いた生検)とよばれ、生検の侵襲を回避できるほか、がんの
   早期発見にも役立つ可能性があるため、現在世界中で盛んに開発が行われている。


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*7 血中腫瘍 DNA、循環腫瘍 DNA(Circulating Tumor DNA):
      がん患者の血液中に存在する腫瘍細胞から放出された遊離 DNA(cell-free DNA; cfDNA)。




<本件に関する問い合わせ先>
株式会社DNAチップ研究所
E-mail: info@dna-chip.co.jp
東京都港区海岸 1-15-1 スズエベイディアム 5 階
電話番号:03-5777-1700
FAX 番号:03-5777-1702
HP: http://www.dna-chip.co.jp/
                                                        以上




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