2388 J-ウェッジHD 2020-11-16 14:30:00
「令和2年9月期決算発表の延期」に関するお知らせ [pdf]

                                                          令和2年 11 月 16 日
 各     位
                                      会社名    株式会社ウェッジホールディングス
                                      代表者名     代表取締役社長兼 CEO      此下   竜矢
                                      (コード 2388    東証JASDAQ市場)
                                      問合せ先     開示担当              小竹   康博
                                      (TEL   03 - 6225 - 2207)


             「令和2年9月期決算発表の延期」に関するお知らせ

  このたび、当社におきましては、令和2年 10 月 7 日付「シンガポールにおける JTrust Asia Pte.Ltd.に
よる Group Lease Holdings PTE.LTD.に対する民事訴訟の判決について」にて公表しましたとおり、当該民
事訴訟の判決において、当社連結子会社である Group Lease Holdings PTE.LTD(以下、GLH)ほか被告 6 名
に対し、約 7 千万 US ドル及び約 13 万シンガポールドル(日本円で約 74 億円)の支払いが命じられておりま
す。
  当該控訴審判決による債務等につきましては、その内容の評価を実施し、当社グループ連結決算に組み込
むこととなりますが、GLH の決算を一次的に取り込むタイ証券取引市場に上場する Group Lease PCL(以下、
GL)において、2020 年 10 月 6 日以降、当該控訴審判決の結果について GL の連結決算情報への取り込み方法
やその金額の検討を進め、GL の会計監査人である KPMG Phoomchai Audit Ltd(以下、KPMG)に打診し協議を
進めてまいりましたが、2020 年 11 月 6 日に GL から、当該民事訴訟の判決の内容について GL の連結決算に
どのような影響を与えるのか KPMG から評価を得るのに3週間程度の時間を要するとの報告を受けました。
  その報告を受け、当社では、当該民事訴訟の判決には、GLH のローン取引(2020 年 6 月末時点での関連す
るローンの残高は 6,040 百万円となります。           )を偽装し、その利息収入を計上することより GLH(又は GL)の
業績を過大に表示し、JTrust Asia Pte.Ltd.(以下、JTA)による GL への投資を促した等の事実認定(以下、
当該控訴審判決における事実認定)が含まれていることから、GL の連結財務諸表等の報告において重要な虚
偽表示の疑義が識別され、監査法人による追加的な監査手続きを実施する必要が生じたものと認識し、当社
の会計監査人である監査法人アリアとその後の対処につき協議を進めてまいりました。
  当社では、KPMG が実施した GL の連結決算に与える評価結果に対し、日本の会計基準に置きなおした場合
の当社連結財務諸表における当該控訴審判決に伴う 74 億円の支払債務の取り込み方法を検討したうえで適
正な決算短信を作成することをはじめ、当該控訴審判決における事実認定に関連して、当社の過去の有価証
券報告書または四半期報告書等の記載において虚偽表示の有無を再確認し、有価証券報告書または四半期報
告書等の訂正の要否を検討する必要が生じております。
  一方で、監査法人アリアとしても、KPMG の評価結果を分析し、当社が行った上記に記載した連結財務諸表
上(注記情報等も含む)の対処や表示が適正であるか、及び、当社が過年度に公表した有価証券報告書また
は四半期報告書等に虚偽表示が含まれていないのか等を再確認する追加的な監査手続きを行う必要が生じま
したので、当社が、監査法人アリアが会計監査を完了させ、当社が決算短信の公表を行うまでには 1 ヶ月間
の工数が必要となりました。
  つきましては、本日時点で、令和2年9月期の当社連結財務諸表を構成する GL の連結決算数値について、
決算短信の公表期限(2020 年 11 月 16 日)までに確定することができず、GL の会計監査人(KPMG)のレビュ
ーが完了する見込みとなっておりませんので、当社といたしましては、決算短信の公表期限である 2020 年
11 月 16 日までに、GL の連結財務諸表に関して適正であるとの判断をすることができない見込みとなってお
ります。
  この結果、当社の連結財務諸表を構成する上で連結売上高の約 93%(令和元年9月期実績)を占める当社
連結財務諸表の重要な部分について、KPMG 及び監査法人アリアの会計監査が完了できない見通しとなり、決
算発表を延期することといたしましたのでお知らせいたします。

                                記


1.令和2年9月期決算発表の延期を必要とする理由について



                                 1
(1)当該延期を必要とする理由
  ①シンガポールにおける民事訴訟の判決
   J トラスト株式会社(東京証券取引所 市場第 2 部(証券コード:8508))の連結子会社 JTrust Asia
  Pte.Ltd.(以下、JTA)は、2017 年 12 月 26 日、シンガポールの裁判所に、GL の連結子会社 GLH 及びそ
  の他の被告に対し損害賠償を求める訴訟を提起しました。主な訴訟申立ての理由としましては、2017 年
  10 月 16 日付「Group Lease Public Company Limited 株式取引の一時停止について」に記載のある、タ
  イ証券取引委員会が GL の元 CEO を偽計等でタイ法務省特別捜査局に対し調査を進めるよう勧告したこ
  と、及び 2017 年 10 月 19 日にタイ証券取引委員会が、GL に対し財務諸表の訂正を要請したことに起因
  し、GLH と他の被告が共謀し、JTA に GL に対する総額 180 百万 US ドル以上の投資を実行させるため、
  GL の財務諸表を改ざんし、投資家に対して GL が健全な財務状況にあると誤解させ、JTA に対し GL への
  投資を促したということで、最終的には投資額等で総額 230 百万 US ドル(日本円で約 243 億円)の損
  害賠償を求めておりました。
   以降訴訟は進行し、2020 年 2 月 12 日には、JTA の請求をすべて棄却し、JTA に対し GLH をはじめとし
  た被告に生じた訴訟費用の負担の言い渡す第一審の判決が下されましたが、JTA は翌日控訴を行い、再
  び訴訟は継続しておりました。
   その後、2020 年 10 月 6 日に、GLH 及びその他 6 名の被告に対し、JTA の請求の一部(約 7 千万 US ド
  ル及び約 13 万シンガポールドル。日本円で約 74 億円)の支払いが命じられ、残りの請求額である(1
  億3千万 US ドル(日本円で約 137 億円)の転換社債相当額及び、その他請求3千万 US ドル(日本円で
  約 31 億円)については棄却する内容の控訴審判決(以下、当該控訴審判決)が下されました。
   以上の結果、シンガポールの裁判所における本件の審判はすべて終了し、日本円で約 74 億円の訴訟
  関連の債務は確定することとなりました。


 ②GL 会計監査人及び当社会計監査人による当該控訴審判決の対応
   当該控訴審判決に係る債務は、当社の資産規模からも多額(連結総資産の約 16%に相当(令和元年9
  月期実績)
      )でありますので、当社や GL の会計監査に重要な影響を及ぼす内容となります。
   GL といたしましては、当該控訴審判決が確定後速やかに会計監査人である KPMG との協議を進めるべ
  く対応を進めておりましたが、
               当該控訴審判決が GL の連結財務諸表等へ与える影響を検討する上では、
   a)JTA の請求について全面的棄却を命じた初審判決と、JTA に対して約 74 億円の支払いを命じる当
     該控訴審判決で、事実認定に大きな相違が生じていること。
   b) が、
     JTA 当該控訴審判決の GLH のローン取引(2020 年 6 月末時点での関連するローンの残高は 6,040
     百万円となります。)を偽装し、その利息収入を計上することにより GLH(又は GL)の業績を過大
     に表示し、 による GL への投資を促した等の事実認定がなされたシンガポールの裁判で利用した
          JTA
     証拠資料を用いて、
             「GL に騙されて投資をした」と主張しているタイにおける訴訟では、GL が既に
     4回勝訴判決(JTA の請求の棄却)を得ており、これら 4 回のタイの判決では、JTA による「GLH(又
     は GL)の財務諸表の仮装により騙されて投資をさせられた」という主張は明確に否定をされている
     こと。
   C)上記 b)に記載のタイにおける最新の控訴審判決は 2020 年 9 月 29 日に下され、当該シンガポール
     の控訴審判決は 2020 年 10 月 6 日に下されていることから、わずか 8 日間の間にタイとシンガポー
     ルの裁判所で全く相反する事実認定がなされるという事態が生じていること。
   といった、上記 a)から c)に記載するような事実認定の相違が生じていることを踏まえ、適正な財
  務諸表作成する為には、当該シンガポールにおける控訴審判決の事実認定のみの分析を行うだけでは検
  討が足りず、前述したタイでの4度の判決における事実認定との違いを検証する必要も生じますので、
  監査レビューを完了させるのに、より工数がかかることが想定されます。



                                 2
 現時点におきましては、当該控訴審判決における事実認定につきましては、KPMG からは、その内容の
評価について、監査法人(KPMG)内部で十分な協議をする必要が生じたことから、決算短信の公表期限
内(2020 年 11 月 16 日まで)には監査レビューを終了できない旨、GL を通して報告を受けております。
 一方、当社といたしましても、当社の会計監査人である監査法人アリアとの協議を進めておりますが、
KPMG による GL の連結財務諸表の監査レビューが完了しないことには、GL の連結財務諸表を取り込む当
社の連結財務諸表中の GL の数値は未監査ということとなり、また、当該控訴審判決における事実認定
により、当社の連結財務諸表に重要な虚偽表示が含まれる可能性が生じており、過年度の当社の連結財
務諸表の訂正の要否の検討を終わらせる前には、当然に当社の連結財務諸表は確定できないという状況
になっております。
 監査法人アリアからは、GL の連結決算の情報は、当社の連結売上高の過半(当社の連結売上高の約
93%(令和元年9月期実績))を占め、当社の連結財務諸表を確定する上で不可欠な要素であり、GL の
会計監査を実施している KPMG の監査レビュー報告書を受領し、その内容を評価の上、当社の会計処理
及び、当社の連結財務諸表上に生じた重要な虚偽表示の可能性に対しての検討・対処が、適正であるこ
とを確認できなければ、当社の監査に関する意見は出せないという見解をいただいております。


③GL 及び当社の対応
 GL は、上記の事態を踏まえ、当該控訴審判決に係る債務及び認定された事実等の評価を含めた KPMG
の会計監査業務が進むよう全面的にサポートを開始しております。具体的には、当該裁判に関する弁護
士事務所の意見書の入手を進め、GL 経営陣のみならず、GL の社外取締役からなる監査委員会と KPMG と
の協議等も重ね、その過程で生じる KPMG の要望には可能な限り対応してまいります。
 その結果、GL の 2020 年 12 月期第3四半期決算につきましては、KPMG の当該控訴審判決が GL の監査
に与える影響について評価をするには3週間程度時間を要するとのことですので、その後の連結決算業
務を勘案しますと、現時点におきましては、1ヶ月程度公表の延期(2020 年 12 月 15 日)となる見込み
です。
 GLは、通常の連結決算に係る作業は鋭意進めており、同時に KPMG の当該控訴審判決係る債務及び
認定された事実等の評価のサポートは行っておりますので、GL には適時 KPMG と連絡を取り合って当社
に報告してもらい、本件予定に変更が生じるようなことがありましたら、今後も経過報告としてタイム
リーに報告をさせていただきます。
 なお、KPMG による KPMG の当該控訴審判決が GL の監査に与える影響についての評価が3週間以内にな
されない等によりスケジュールの遅れを認識した場合の対応といたしましては、延期後の決算短信の報
告予定となる 2020 年 12 月 15 日の提出を遵守する為に、当社が、2020 年 11 月 30 日までに収集した情
報を基に、当社自身により当該控訴審判決等の会計処理方法及び、過去の当社の有価証券報告書または
四半期報告書等の訂正の要否を決定し、監査法人アリアから監査意見をもらえるよう対応することで、
延期後の決算短信の報告予定(2020 年 12 月 15 日)までに提出できるよう対応を進めてまいります。
 一方で、当社といたしましては、GL の対応や事態の進捗の把握に関して、当社代表取締役社長兼 CEO
の此下竜矢が、2020 年 9 月 27 日から GL の取締役としてタイ現地に滞在しており、本件について GL の
交渉の担当者の一人として、KPMG との対応に直接参画しておりますので、当社は、都度、此下竜矢氏か
ら事態の進捗のフィードバックを受け、情報の分析や対応につき検討を進めてまいります。また、その
内容は同時に、当社の会計監査人である監査法人アリアと情報共有をし、対処の協議を進めております。
 このような形で進めておりますが、現時点におきましては、当該控訴審判決に係る債務の評価及び GL
(及び当社)連結財務諸表への影響額及び認定事実の評価につきましては、最終的な結論は出ておりま
せん。
 なお、このたびの当該控訴審判決の事実認定につきましては、重要な虚偽表示の識別等に該当するも



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  のと認識しておりますが、 「1.
              上記  令和2年9月期決算発表の延期を必要とする理由について」 「
                                             の (1)
  当該延期を必要とする理由」の「②GL 会計監査人及び当社会計監査人による当該控訴審判決の対応」に
  記載のとおり、タイでは4度、当該控訴審判決を否定する判決が下されていることや、また、GLH のロ
  ーン取引(2020 年 6 月末時点での関連するローンの残高は 6,040 百万円となります。 の偽装による GLH
                                                )
  (又は GL)の業績の過大計上等に関する事項については、2017 年 10 月から GL の元 CEO がタイ法務省
  特別捜査局の調査を受け、現時点においても調査中であるという事情に鑑み、シンガポールとタイの裁
  判所間で真逆の事実認定がされていること及び、強制力のある情報・資料収集が可能である公の機関(タ
  イ法務省特別捜査局)においても調査結果がでないことから、当社が独立した第三者委員会を組成し当
  該委員会において問題となっているローン取引の適法性等の判断を行うことは困難であると考え、本件
  事案の解決には第三者委員会の組成を行わないことといたしました。


  ④結論
   当社といたしましては、現時点において、当該控訴審判決に係る債務(約 74 億円)は確定している
  一方で、その債務をどのように GL 及び当社の財務諸表及び注記事項等を表記という形で反映させるか
  GL 及び KPMG 間で確定できておらず、KPMG からは GL の監査レビューには時間を要し、タイ及び日本の
  決算短信の公表期限(2020 年 11 月 16 日)までには間に合わない旨の報告を受けていることから、当社
  が監査法人アリアの監査を完了させ、決算短信の公表に至るまでには1ヶ月を要する見通しとなってお
  ります。
   また、当該控訴審判決において、GLH がローン取引(2020 年 6 月末時点での関連するローンの残高は
  6,040 百万円となります。
                )を偽装し、その利息収入を売上に計上することにより GLH(又は GL)の業績
  を過大に表示し、JTA による GL への投資を促した等の事実認定がなされたことより、当該ローン取引に
  関する勘定科目(営業貸付金、未収利息、連結財務諸表に係る関連当事者取引等の注記等)において、
  監査法人により重要な虚偽表示の識別がなされ、過年度の有価証券報告書または四半期報告書等の訂正
  要否の検討等の追加的な監査手続きを行う必要が生じたものと理解しております。
   これらの事情を踏まえると、当社が決算短信の公表期限である 2020 年 11 月 16 日までに当社連結財
  務諸表を確定し、令和2年9月期の当社連結財務諸表を構成する GL の決算数値及び注記等への表記に
  ついて、適正であると結論づけるのは非常に困難であると考え、当該決算短信発表を延期せざるを得な
  いと判断いたしました。


2.今後の見通し
   当社といたしましては、引き続き GL を通して、鋭意、当該控訴審判決に係る債務(約 74 億円)及び
  当該控訴審判決の事実認定の評価を実施し、重要な虚偽表示の可能性についての検証を進め、これらを
  正確に連結財務諸表に反映させるよう努めてまいります。
   また、当該控訴審判決に関する評価の過程で、過去の有価証券報告書または四半期報告書に訂正の必
  要がある場合が生じた場合には速やかに訂正を行うようにいたします。
   一方、当社は、本件について随時当社の会計監査人である監査法人アリアと協議を行っておりますが、
  監査法人アリアの意見といたしましては、当社と監査法人アリアとの間で独自の検討は行うものの、GL
  や GL の会計監査人である KPMG における現地の評価結果や、その対応を待つというスタンスです。
   なお、令和2年9月期の定時株主総会の議案、報告事項につきましては、決定次第お知らせいたしま
  す。
   株主及び取引先をはじめ関係者の皆様には、多大なご迷惑とご心配をお掛けしますことを深くお詫び
  いたします。
                                                      以   上



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