9984 ソフトバンクグループ 2020-05-18 15:00:00
2020年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結) [pdf]

                          2020年3月期  決算短信〔IFRS〕(連結)
                                                                    2020年5月18日
上場会社名     ソフトバンクグループ株式会社                              上場取引所  東
コード番号     9984  URL  https://group.softbank/
代表者       (役職名) 代表取締役会長 兼 社長            (氏名)孫 正義
問合せ先責任者 (役職名) 常務執行役員                    (氏名)君和田 和子    TEL  03-6889-2290
定時株主総会開催予定日     2020年6月25日              配当支払開始予定日 2020年6月26日
有価証券報告書提出予定日 2020年6月25日
決算補足説明資料作成の有無:有  
決算説明会開催の有無      :有  
                                                            (百万円未満四捨五入)
1.2020年3月期の連結業績(2019年4月1日~2020年3月31日)
 (1)連結経営成績                                                (%表示は対前期増減率)
                                                                                                    親会社の所有者に                 当期包括利益
                売上高                  営業利益              税引前利益                     当期利益
                                                                                                    帰属する当期利益                  合計額
               百万円        %          百万円       %      百万円          %             百万円          %        百万円             %        百万円        %
 2020年3月期   6,185,093    1.5 △1,364,633        -      35,492 △97.9            △800,760        -     △961,576           - △1,290,339        -
 2019年3月期   6,093,548     -     2,073,636      - 1,682,673         -          1,454,618     17.5    1,411,199      35.8     1,502,295    13.0

              基本的1株当たり                  希薄化後                  親会社所有者帰属持分                           資産合計                      売上高
                当期利益                  1株当たり当期利益                 当期利益率                             税引前利益率                    営業利益率
                              円 銭                    円 銭                             %                            %                        %
 2020年3月期                △478.50                   △485.33                       △14.2                           0.1                    △22.1
 2019年3月期                  634.08                   628.27                         22.0                          5.0                     34.0
(参考)持分法による投資損益                   2020年3月期             638,717百万円                 2019年3月期               320,101百万円
(注1)売上高、営業利益および税引前利益は継続事業のみの金額を表示しています。なお、対応する2019年3月期についても同様に組み替え
    て表示しているため、売上高、営業利益および税引前利益の対前年同期増減率は記載していません。非継続事業の詳細は決算短信(添
    付資料)65ページ「4.連結財務諸表及び注記(6)連結財務諸表注記2.非継続事業」をご参照ください。
(注2)当社は、2019年6月28日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っています。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行わ
    れたと仮定し、「基本的1株当たり当期利益」および「希薄化後1株当たり当期利益」を算定しています。

 (2)連結財政状態
                                                                親会社の所有者に                          親会社所有者                   1株当たり親会社
                  資産合計                      資本合計
                                                                 帰属する持分                           帰属持分比率                    所有者帰属持分
                           百万円                      百万円               百万円                                         %               円 銭
 2020年3月期               37,257,292              7,372,917                     5,913,613                         15.9               2,619.32
 2019年3月期               36,096,476              9,009,204                     7,621,481                         21.1               3,380.33
(注1)「1株当たり親会社所有者帰属持分」に使用する親会社所有者帰属持分は、「親会社の所有者に帰属する持分」から当社普通株主に帰
    属しない金額を控除し、算定しています。
(注2)当社は、2019年6月28日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っています。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行わ
    れたと仮定し、「1株当たり親会社所有者帰属持分」を算定しています。

 (3)連結キャッシュ・フローの状況
                 営業活動による                        投資活動による                            財務活動による                             現金及び現金同等物
                キャッシュ・フロー                      キャッシュ・フロー                          キャッシュ・フロー                               期末残高
                                  百万円                            百万円                                  百万円                            百万円
 2020年3月期                      1,117,879                     △4,286,921                            2,920,863                      3,369,015
 2019年3月期                      1,171,864                     △2,908,016                            2,202,291                      3,858,518

2.配当の状況
                                               年間配当金                                                                           親会社所有者
                                                                                                   配当金総額           配当性向
                                                                                                                               帰属持分配当
                第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末                              期末                合計              (合計)           (連結)
                                                                                                                                率(連結)
                        円 銭           円 銭            円 銭            円 銭                   円 銭          百万円                  %        %
2019年3月期                  -           22.00            -            22.00                 44.00        47,166              3.5      0.8
2020年3月期                  -           22.00            -            22.00                 44.00        91,063               -       1.5
2021年3月期(予想)               -               -            -                 -                 -                               -
(注1)当社は、定款において期末日及び第2四半期末日を配当基準日と定めていますが、現時点において2021年3月期の配当予想額は未定で
    す。
(注2)当社は、2019年6月28日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っています。2019年3月期については当該株式分割前の実
    績の配当金の額を記載しています。
※ 注記事項
 (1)期中における重要な子会社の異動(連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動):無
    新規  -社  (社名)、除外  -社  (社名)
         (注)海外所在の子会社は、その本国の会社の計算に関する法令または慣行により単体の財務書類を作成する必要がある場合に限り単
            体の財務書類を作成し、企業内容等の開示に関する内閣府令(以下「開示府令」)第19条第10項第1号から第3号までの該当性
            を判断しています。一方、単体の財務書類を作成していない、または連結決算日時点で単体の財務書類を作成していない海外子
            会社の資本金の額および純資産額を算出することはできないため、当該会社については、開示府令第19条第10項第1号のみによ
            り特定関係の有無を判断しています。
            開示府令第19条第10項第1号の該当性は、ソフトバンクグループ(株)に対する仕入高及び支払配当の総額のソフトバンクグ
            ループ(株)の営業収益の総額に占める割合で判定しています。
            ファンド形態の子会社は、当該ファンドに適用のある計算に関する法令又は慣行に則り作成されたファンドの財務書類上の純
            資産額により、開示府令第19条第10項第2号の該当性を判断しています。

    (2)会計方針の変更・会計上の見積りの変更
      ① IFRSにより要求される会計方針の変更:有
      ② ①以外の会計方針の変更        :無
      ③ 会計上の見積りの変更         :有
       (注)詳細は、決算短信(添付資料)46ページ「3.サマリー情報(注記事項)に関する事項(1)会計方針の変更、(2)会計上の見
          積りの変更」をご参照ください。

    (3)発行済株式数(普通株式)
      ①  期末発行済株式数(自己株式を含む)                        2020年3月期         2,089,814,330株   2019年3月期        2,201,320,730株
      ②  期末自己株式数                                  2020年3月期           21,818,471株    2019年3月期           93,653,848株
      ③  期中平均株式数                                  2020年3月期         2,074,225,377株   2019年3月期        2,175,122,586株
       (注)当社は、2019年6月28日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っています。前連結会計年度の期首に当該株式分割が
          行われたと仮定し、「期末発行済株式数」、「期末自己株式数」および「期中平均株式数」を算定しています。

(参考)個別業績の概要
1.2020年3月期の個別業績(2019年4月1日~2020年3月31日)
 (1)個別経営成績                                                                                 (%表示は対前期増減率)
                    営業収益                      営業利益                       経常利益                    当期純利益
                    百万円             %         百万円            %          百万円           %           百万円            %
2020年3月期           101,542       △95.1        50,039      △97.5      △135,045         -        △964,714          -
2019年3月期         2,070,057          -      2,017,359         -       1,728,503        -        1,977,693      866.3

                   1株当たり                    潜在株式調整後
                   当期純利益                  1株当たり当期純利益
                      円 銭            円 銭
 2020年3月期           △465.10             -
 2019年3月期            909.23         907.63
(注1)当社は、2019年6月28日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っています。前会計年度の期首に当該株式分割が行われた
      と仮定し、「1株当たり当期純利益」および「潜在株式調整後1株当たり当期純利益」を算定しています。
(注2)当事業年度の潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、1株当たり当期純損失であるため記載していません。

 (2)個別財政状態
                     総資産                       純資産                     自己資本比率                  1株当たり純資産
                                 百万円                      百万円                         %                       円 銭
2020年3月期                     15,199,663                4,153,205                    27.2                   2,000.51
2019年3月期                     15,057,029                5,440,301                    36.0                   2,574.19
(参考)自己資本      2020年3月期   4,137,052百万円   2019年3月期 5,425,534百万円
(注)当社は、2019年6月28日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っています。前会計年度の期首に当該株式分割が行われたと
   仮定し、「1株当たり純資産」を算定しています。

    (3)個別業績の前期実績値との差異
        2020年3月期の営業収益、営業利益、経常利益および当期純利益が2019年3月期と比較して減少した要因は、主に「関係会社受取配当
       金」が、2019年3月期と比較して1,968,668百万円減少したことによるものです。
       (注)個別業績における財務数値については、日本基準に基づいています。

※    決算短信は公認会計士又は監査法人の監査の対象外です
※    業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
     本資料に記載されている将来に関する記述は、当社が現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実
    際には様々な要因により大きく異なる可能性があります。
     当社は、2020年5月18日に報道機関および機関投資家や金融機関の皆様を対象とした決算説明会を開催予定です。決算説明会については、
    当社ウェブサイト(https://group.softbank/corp/irinfo/presentations/)などにおいて日本語および英語でライブ中継する予定です。
     また同日、「決算データシート」を同サイトに掲載する予定です。
                                                                            ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




(添付資料)
                                                        添付資料の目次


1.当期決算の経営成績等の概況 ........................................................................................ p. 3
   (1)経営成績の概況 ..................................................................................................... p. 3
       a. 連結経営成績の概況 ............................................................................................... p. 5
       b. セグメントの業績概況 .......................................................................................... p.14
            (a) ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンド事業 ......... p.15
            (b) ソフトバンク事業 ........................................................................................ p.21
            (c) アーム事業 ................................................................................................... p.23
            (d) ブライトスター事業 ..................................................................................... p.28
             (e) その他 .......................................................................................................... p.28
   (2)財政状態の概況 .................................................................................................... p.29
   (3)キャッシュ・フローの概況 ................................................................................... p.39
   (4)今後の見通し ........................................................................................................ p.44


2.会計基準の選択に関する基本的な考え方........................................................................ p.45


3.サマリー情報(注記事項)に関する事項...................................................................... p.46
   (1)会計方針の変更 .................................................................................................... p.46
   (2)会計上の見積りの変更 .......................................................................................... p.46


4.連結財務諸表及び主な注記........................................................................................... p.47
   (1)連結財政状態計算書 ............................................................................................. p.49
   (2)連結損益計算書及び連結包括利益計算書 .............................................................. p.51
   (3)連結持分変動計算書 ............................................................................................. p.54
   (4)連結キャッシュ・フロー計算書 ............................................................................ p.56
   (5)継続企業の前提に関する注記 ............................................................................... p.58
   (6)連結財務諸表注記 ................................................................................................. p.58




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                                                     ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




本添付資料における社名または略称
 本添付資料において、文脈上別異に解される場合または別段の記載がある場合を除き、以下の
社名または略称は以下の意味を有します。
社名または略称                         意味
ソフトバンクグループ㈱                     ソフトバンクグループ㈱(単体)
当社                              ソフトバンクグループ㈱および子会社
※以下の略称の意味は、それぞれの会社の傘下に子会社がある場合、それらを含みます。
ソフトバンク・ビジョン・ファンド SoftBank Vision Fund L.P.お よ び 代 替 の 投 資 ビ ー ク ル
デルタ・ファンド                        SB Delta Fund (Jersey) L.P.
SBIA                            SB Investment Advisers (UK) Limited
スプリント                           Sprint Corporation
アーム                             Arm Limited
アリババ                            Alibaba Group Holding Limited
WeWork                          The We Company
当第1四半期                          2019 年6月 30 日に終了した3カ月間
当第2四半期                          2019 年9月 30 日に終了した3カ月間
当第3四半期                          2019 年 12 月 31 日に終了した3カ月間
当第4四半期                          2020 年3月 31 日に終了した3カ月間
当期                              2020 年3月 31 日に終了した1年間
前期                              2019 年3月 31 日に終了した1年間



為替換算レート
期中平均レート
                                 2019 年3月期                                   2020 年3月期

         第1四半期 第2四半期 第3四半期 第4四半期 第1四半期 第2四半期 第3四半期 第4四半期
1米ドル 108.71 円   111.55 円   112.83 円   110.46 円   110.00 円   107.70 円   108.98 円   109.22 円



期末日レート
                                       2019 年                                      2020 年
                                      3月 31 日                                     3月 31 日
1米ドル                                  110.99 円                                    108.83 円
1英ポンド                                 144.98 円                                    133.32 円

IFRS 第 16 号の適用について
当第1四半期から IFRS 第 16 号「リース」を適用しています。IFRS 第 16 号の適用に当たって
は、本基準の適用開始による累積的影響額を適用開始日(2019 年4月1日)の利益剰余金期首残
高の修正として認識しており、前期の情報は修正再表示していません。また、無形資産のリース取
引に対しては IFRS 第 16 号を適用していません。詳細は「4.連結財務諸表及び主な注記(6)
連結財務諸表注記 1.重要な会計方針」をご参照ください。



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                                    ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




IFRS 第 16 号適用による主な影響:
連結財政状態計算書
  適用開始日に、資産合計が 1,336,695 百万円、負債合計が 1,324,055 百万円、資本合計が 12,640
百万円、それぞれ増加しました。主に、従来賃借処理していたオペレーティング・リースを使用権
資産とリース負債として計上したことによるものです。

連結損益計算書
 適用開始日に使用権資産とリース負債として計上したオペレーティング・リースに係る費用に
ついては、従来の賃借料ではなく、減価償却費と支払利息として計上しています。



1. 当期決算の経営成績等の概況
(1)経営成績の概況(2020 年3月 31 日に終了した1年間)


  1. 業績ハイライト
     営業損失 1.4 兆円(前期比 3.4 兆円悪化)
    - ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンドからの営業損失が 1.9 兆
      円:このうちソフトバンク・ビジョン・ファンドが当期末において保有する投資の未実
      現評価損失(純額)1.9 兆円。 Uber、WeWork およびその関係会社3社 1 の公正価値
      が減少したほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴い当第4四半期にその他の
      投資先の公正価値の合計も大幅減少
    - ソフトバンク事業の営業利益は前期比 7.4%増と好調


     親会社所有者に帰属する純損失 9,616 億円(前期比 2.4 兆円悪化)
    - 持分法による投資利益 6,387 億円:アリババによる Ant Financial 株式取得に伴う利益
      2,772 億円を含む
    - 持分変動利益 3,398 億円:アリババの香港上場時の新株発行などに伴い計上
    - アリババ株式先渡売買契約決済益 1 兆 2,185 億円:繰延税金資産取崩しによる法人所得
      税への影響額 3,618 億円*を加味した利益影響額は 8,568 億円
    - ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンドにおける外部投資家持
      分の増減額 5,409 億円
    - 財務費用 3,009 億円*
    - 当社 100%子会社から WeWork への投資関係で合計 7,208 億円*の損失を計上(FVTPL
      の金融商品から生じる損失や損失評価引当金繰入額などとして計上)
                                              (*:費用の当期計上額)
  2. 事業ハイライト
     2020 年3月 13 日、上限 5,000 億円の自己株式取得を決定
     2020 年3月 23 日、自己株式取得と負債削減のために最大 4.5 兆円の資産の売却または
     資金化に関する方針を決定
     当期末以降の 2020 年4月1日、スプリントが T モバイルと合併完了
    - 合併後の新 T モバイルは持分法適用関連会社に
    - 当期からスプリント事業を売却目的保有に分類された処分グループへ分類




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                                    ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




最大 4.5 兆円の資産の売却または資金化の方針決定について
当社は 2020 年3月 23 日、取締役会において、自己株式取得と負債削減のために最大 4.5 兆円の
当社保有資産の売却または資金化に関する方針を決定しました。売却または資金化で得られた資
金のうち最大2兆円を自己株式取得に、残額を負債の償還、社債の買入れ、現預金残高に振り向け
ます。これらの取引は4四半期にわたって行われます。当該自己株式取得プログラムは、当社が
2020 年3月 13 日に発表した 5,000 億円のプログラムに追加して行われるものです。
当社は、今回のプログラムを通じ、自己株式取得とあわせて行う社債買入れを含む負債の大幅削
減によってバランスシートをさらに強化し、信用格付けの向上を目指しています。


スプリントと T モバイルの合併完了について
当社米国子会社であるスプリントと T-Mobile US, Inc.(以下「T モバイル」)の全ての対価を株
式とする合併による取引(以下「本取引」)が、2020 年4月1日(米国東部時間)、完了しました。
同日から、スプリントは当社の子会社ではなくなり、統合後の新会社である T-Mobile US, Inc. 以
                                                   (
下「新 T モバイル」)が、株式の約 24%(完全希薄化ベース)を当社が保有する持分法適用関連会
社となりました。
2020 年3月 31 日時点において、当社は、本取引の完了の可能性が非常に高いと判断したため、
当期の連結損益計算書におけるスプリントの純損益は、継続事業と区分して「非継続事業からの
純損益」として表示し、前期における同社の純損益についても遡及修正が行われ、「非継続事業か
らの純損益」として表示しています。また、スプリントの資産および負債は、当期の連結財政状態
計算書において、売却目的保有に分類された資産および負債として表示されています。
また当社は、本取引の完了に伴い、2021 年3月期第1四半期の連結損益計算書において、取得し
た新 T モバイル株式 304,606,050 株と一定の条件を満たした際に取得する 48,751,557 株の 2020
年4月1日時点の公正価値合計と、当社におけるスプリントの連結簿価との差額を支配喪失利益
として「非継続事業からの純損益」に計上する見込みです。


新型コロナウイルスの感染拡大の影響について
 近時、世界各国で新型コロナウイルスの感染が広がる中、多くの国が都市封鎖や外出制限、出
入国制限を実施しており、こうした動きは人・モノの流れを停滞させ、世界経済に大きな影を落
としています。2020 年4月には、国際通貨基金(IMF)が 2020 年の世界経済の成長率見通しを
前年比 3.0%減に引き下げました。こうした中、世界の株式相場は 2020 年2月ごろから急落し、
各国の金融当局が矢継ぎ早に対策を打ち出したにもかかわらず、その後も不安定な動きに歯止め
はかかっていません。
 新型コロナウイルスの感染拡大は収束の時期がなお見えず、当社の事業や業績に与える中期的
な影響を具体的に見通すことが困難な状況が続いています。ただ、足元ではすでにソフトバン
ク・ビジョン・ファンドを中心とする投資事業に悪影響が出ており、中でもソフトバンク・ビ
ジョン・ファンドは当第4四半期に投資先の公正価値の減少に伴い 1.1 兆円の投資損失を計上し
ました。感染拡大の収束が遅れれば、来期も投資事業は先行きの不透明感が拭えない状況が長引
くと見込んでいます。
 ソフトバンク㈱においては、現段階では通信事業への影響は軽微と見込んでいます。Zホール
ディングス㈱においては、イーコマースの利用が増加すると見込まれる一方で、広告出稿や宿
泊・飲食予約サービスの利用が減少すると見込んでいます。
 アームにおいては、コンシューマー・エレクトロニクスの出荷が減少すればテクノロジー・ロ
イヤルティー収入に、またライセンシーが新規ライセンス契約締結を延期すればテクノロジー・
ライセンス収入にそれぞれ影響が及ぶ可能性があると見込んでいます。



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                                      ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




a. 連結経営成績の概況
                                                          (単位:百万円)
                        3月 31 日に終了した1年間
                          2019 年        2020 年          増減     増減率
継続事業
売上高                      6,093,548    6,185,093       91,545     1.5% A
 営業利益(ソフトバンク・ビジョン・
  ファンド等 SBIA の運営するファン
  ドからの営業利益を除く)            816,995       566,712    △250,283    △30.6% B
 ソフトバンク・ビジョン・ファンド等
  SBIA の運営するファンドからの営業
  利益                     1,256,641   △1,931,345   △3,187,986       ― C
営業利益                     2,073,636   △1,364,633   △3,438,269       ―
 財務費用                    △341,937     △300,948        40,989   △12.0% D
 持分法による投資損益               320,101       638,717      318,616    99.5% E
 持分変動利益                    44,068       339,842      295,774   671.2% F
 為替差損益                     10,894      △11,107      △22,001        ―
 デリバティブ関連損益               158,423      △71,811     △230,234        ― G
 アリババ株式先渡売買契約決済益                 ―    1,218,527    1,218,527       ― H
 FVTPL の金融商品から生じる損益
 (注1)                      36,832     △668,463     △705,295        ― I
 ソフトバンク・ビジョン・ファンド等
  SBIA の運営するファンドにおける
  外部投資家持分の増減額(注2)        △586,152       540,930    1,127,082       ―
 その他の営業外損益               △33,192      △285,562     △252,370    760.4% J
税引前利益                    1,682,673       35,492   △1,647,181   △97.9%
 法人所得税                   △237,023     △797,697     △560,674    236.5% K
継続事業からの純利益               1,445,650    △762,205    △2,207,855       ―
非継続事業
非継続事業からの純利益                 8,968      △38,555      △47,523        ― L
純利益                      1,454,618    △800,760    △2,255,378       ―
親会社の所有者に帰属する純利益          1,411,199    △961,576    △2,372,775       ―


包括利益合計                   1,502,295   △1,290,339   △2,792,634       ―
親会社の所有者に帰属する包括利益        1,440,235 △1,425,587 △2,865,822 ―
(注1)ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンド以外で当社が保有する投資の
     公正価値の変動により発生する損益です。
(注2) ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンドの投資損益から当社英国 100%
     子会社 SBIA に支払われる管理報酬および成功報酬、ソフトバンク・ビジョン・ファンド等
     SBIA の運営するファンドの営業費用ならびにその他の費用を控除した金額を、持分に応じて
     外部投資家に分配した固定分配額および成果分配額の合計 です。詳細は「4.連結財務諸表及
     び主な注記(6)連結財務諸表注記 4.ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営す
     るファンド事業(2)ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドにおける外
     部投資家持分」をご参照ください。




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                                                ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




 以下、主要な科目および特筆すべき科目に関する概要を記載します。


A 売上高
 ソフトバンク事業とアーム事業はいずれも増収となったものの、ブライトスター事業は減収と
なりました。


B 営業利益(ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンドからの営業利益を除く)
 ソフトバンク事業で 63,505 百万円、ブライトスター事業で 18,068 百万円、それぞれのセグメ
ント利益が改善したものの、アーム事業で 176,785 百万円、その他で 159,496 百万円、それぞれ
のセグメント利益が悪化しました。なお、アーム事業の前期のセグメント利益には中国子会社の
合弁事業化に伴い子会社の支配喪失に伴う利益 176,261 百万円が含まれていました。


C ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンドからの営業利益
 Uber Technologies, Inc.(以下「Uber」)や WeWork およびその関係会社3社 1 への投資の公正
価値が減少したほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響などを受けて当第4四半期にその他
の投資先の公正価値の合計も大幅に減少したことに伴い、当期末においてソフトバンク・ビジョ
ン・ファンドが保有する投資の未実現評価損失が 1,869,283 百万円となりました。詳細は「b. セ
グメントの業績概況(a)ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンド事業」
をご参照ください。


 B~C の結果、営業利益は前期比 3,438,269 百万円悪化の 1,364,633 百万円の損失となりました。


D 財務費用
 ソフトバンク㈱の支払利息が 17,313 百万円増加した一方、ソフトバンクグループ㈱の支払利息                                 2

が 51,826 百万円減少しました。これは主に、ソフトバンク㈱の株式上場実現に向けた準備の一環
として、2018 年 8 月にソフトバンク㈱が 1 兆 6,000 億円の借入れを行い、全額をソフトバンクグ
ループ㈱からの借入金の返済に充当するとともに、ソフトバンクグループ㈱はその全額を借入金
の返済に充当したことによるものです。この借入金の期限前返済に伴い借入関連費用 24,051 百万
円を一括償却処理したことも、ソフトバンクグループ㈱の前期の支払利息を押し上げていました。


E 持分法による投資損益
 アリババの持分法投資利益が 321,458 百万円(94.9%)増の 660,141 百万円となりました。アリ
ババは、Ant Small and Micro Financial Services Group Co., Ltd.(以下「Ant Financial」、電子決
済サービス「Alipay」を運営)などとの間で 2014 年に締結した契約(その後の変更を含む)に基
づき、2019 年9月に保有する知的財産の一部を Ant Financial およびその子会社へ譲渡し、その対
価をもって、Ant Financial の新規発行株式(33%の持分)を取得しました。これによりアリババ
は、①Ant Financial およびその子会社への当該知的財産の譲渡益と、②Ant Financial 株式の取得
価額と Ant Financial の時価純資産のアリババ持分との差額(税効果影響控除後)の、合計 716 億
中 国 人 民 元 を 利 益 と し て 認 識 し ま し た 。 こ の 影 響 で 当 社 に お け る ア リ バ バ の持 分 法 投 資 利 益 が
286,473 百万円増加しています。


F 持分変動利益
 2019 年 11 月 26 日、アリババは香港証券取引所に上場し、その後のオーバーアロットメントを
含めて 575 百万株の新株を発行しました。この影響などで当社は持分変動利益 331,870 百万円を



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                                               ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




計上しました。なお、当社および当社 100%子会社の保有株式数(合計 5,390 百万普通株)に変動
はありません。


G デリバティブ関連損益
 以下「WeWork への投資」に記載のとおり、当社は1株当たり 0.01 米ドルで WeWork の優先株
式に転換可能なワラントを保有しています。当該ワラントについて、契約時から当期末までの公
正価値の変動額 76,259 百万円をデリバティブ関連損失として計上しました。なお、前期には、2019
年1月に NVIDIA Corporation 株式に係るカラー取引を決済するまでに発生したデリバティブ関
連利益 177,373 百万円を計上していました。


H アリババ株式先渡売買契約決済益
 ア リ バ バ 株 式 の 一 部 資 金 化 に よ る 資 金 調 達 の 一 環 と し て 、 当 社 100% 子 会 社 の West Raptor
Holdings, LLC が 2016 年6月に Mandatory Exchangeable Trust(以下「Trust」)との間で締結し
たアリババ株式の先渡売買契約について、2019 年6月、当社がアリババの米国預託株式 73 百万
株を Trust へ譲渡し、本契約を決済しました。これに伴い、アリババ株式先渡売買契約決済益を計
上しました。


I FVTPL の金融商品から生じる損益
 当社 100%子会社が保有する WeWork への投資の公正価値の減少により 488,479 百万円の損失
を計上しました。詳細は以下「WeWork への投資」をご参照ください。


J その他の営業外損益
 以下「WeWork への投資」の「(3)クレジットサポートおよび債券の買い受け」に記載されて
いる、(a)当社による金融機関から WeWork への支払保証枠に対するクレジットサポート、および
(c)当社 100%子会社による WeWork の無担保債券の買い受けについて、いずれも予想信用損失が
当初認識額から償却累計額を控除した金額を上回ったため、それぞれ 52,349 百万円、90,210 百万
円の損失評価引当金繰入額を計上しました。
 また、2020 年3月に当社の持分法適用関連会社である OneWeb Global Limited
                                                 (以下「OneWeb」)
が米国連邦破産法 11 条に基づく手続きを申請したため、同社への投資について持分法投資の減損
損失 49,198 百万円を、同社への貸付金について貸倒引当金 65,913 百万円を計上しました。
 詳細は以下「WeWork への投資」および「OneWeb への投融資」をそれぞれご参照ください。


 主に B~J の結果、税引前利益は前期比 1,647,181 百万円(97.9%)減少の 35,492 百万円の利益
となりました。

K 法人所得税
 法人所得税の実際負担税率は日本の法定実効税率の 31.5%を大幅に上回りました。これは、主
に、ソフトバンク㈱やヤフー㈱では法人所得税を計上しているものの、投資事業を行うエンティ
ティーで計上された損失に対して繰延税金資産を認識していないことによるものです。




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                                         ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




L 非継続事業からの純利益
 2019 年4月1日から 2020 年3月 31 日までの期間におけるスプリントの純損失を計上しまし
た。

 主に B~L の結果、親会社の所有者に帰属する純利益は前期比 2,372,775 百万円悪化の 961,576
百万円の損失となりました。

 財務費用の主な内訳およびアリババの持分法投資損益算出における基礎情報は、当社ウェブサイトに
 掲載される「決算データシート」をご参照ください:https://group.softbank/ir/presentations/




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WeWork への投資
 コワーキングスペースビジネス「WeWork」を手がける WeWork に対しては、ソフトバンク・ビ
ジョン・ファンド以外の当社 100%子会社(以下「WeWork への投資」において、WeWork への投資
または WeWork との契約の当事者である当社 100%子会社を総称して「WeWork 投資用 100%子会
社」と呼びます。)が投資を行っているほか、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが同社および同社
の関係会社3社(WeWork Greater China Holding Company B.V(以下「WeWork China」)、WeWork
Asia Holding Company B.V(以下「WeWork Asia」)、WeWork Japan 合同会社(以下「WeWork
Japan」)に投資を行っています。2020 年3月末現在、これらの WeWork への投資の累計額は 103
億米ドル、その帳簿価額は 24 億米ドルです。
 当社評価における WeWork 株式全体の公正価値は、WeWork が 2019 年9月 30 日に株式上場計画
を撤回するとともに事業計画の大幅な見直しを行ったことに加え、当社と同社が 2019 年 10 月 22 日
に合意した以下(1)~(4)の事項の影響もあり、2019 年9月末に 78 億米ドルまで下落しまし
た。WeWork 株式全体の公正価値は、インカム・アプローチ(割引キャッシュ・フロー法)で計算し
た結果、2019 年 12 月末時点で 73 億米ドル、2020 年3月末時点で 29 億米ドルでした。2019 年 12
月末から 2020 年3月末にかけての大幅な下落は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて 、①類似
公開企業の株価下落を考慮し、継続価値(Terminal Value)を算出する際に用いるマルチプルを大幅
に引き下げたこと、および②上場されている WeWork の Senior Unsecured Note の価格変動を考慮
し、割引率を引き上げたことによるものです。
 なお、2019 年 10 月 30 日に WeWork のガバナンスが変更され、同社取締役会を構成する 10 名の
取締役のうち5名の指名権が当社に与えられたことから(うち1名はソフトバンク・ビジョン・ファ
ンドが指名します)、同社は当社の関連会社となりました。


 2019 年 10 月 22 日に当社と WeWork が合意した内容とその進捗は以下のとおりです。( 1)~
(3)は WeWork 投資用 100%子会社に関するものであり、(4)はソフトバンク・ビジョン・ファ
ンドに関するものです。


(1)既存コミットメントの行使価格の引き下げおよび早期支払い
 WeWork 投資用 100%子会社が当初 2020 年4月に払い込みを予定していた 15 億米ドル分の既存コ
ミットメントについて、行使価格を 1 株当たり 110.00 米ドルから 11.60 米ドルに引き下げた上で、
2019 年 10 月 30 日に全額を払い込みました。この投資の前払い金のうち、2億米ドル分は 2019 年 11
月に、残りの 13 億米ドル分は 2020 年4月に、それぞれ WeWork 優先株式に転換済みです。


(2)公開買付け
 WeWork 投資用 100%子会社が、当社以外の株主を対象として 1 株当たり 19.19 米ドルで最大 30
億米ドル分の普通株式および優先株式の公開買付け(以下「本公開買付け」)を開始することで合意
しました。当社は 2019 年 11 月に本公開買付けを開始したものの、当該合意に基づく期限である
2020 年 4 月 1 日までに完了に必要な条件のうち複数が充足されなかったため、当該時点で本公開買
付けを取りやめました。


(3)クレジットサポートおよび債券の買い受け
 当社が(a)金融機関による WeWork への 17 億 5 千万米ドルの支払保証枠(レターオブクレジット
フ ァ シ リ テ ィ ー ) に 対 す る ク レ ジ ッ ト サ ポ ー ト を 行 っ た ほ か 、 WeWork 投 資 用 100 % 子 会 社 が
WeWork の発行する(b)最大 11 億米ドルの担保付シニア債券および(c)最大 22 億米ドルの無担保債
券の買い受け、またはアレンジを行うことで合意しました 。
 このうち、当社と金融機関は(a)に関する契約を 2019 年 12 月に締結しました。当該契約において
は、当社は WeWork と連帯して債務を負担しますが、当社が返済を行った場合には WeWork へ求償




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可能となる契約を別途締結しています。また、WeWork 投資用 100%子会社と WeWork は(c)に関す
る契約を 2019 年 12 月に締結しました。2020 年3月末日現在、発行実績はありません。
  (a)と(c)に関する契約の締結により、その対価として当社は 1 株当たり 0.01 米ドルで優先株式に
行使可能なワラントを取得しています。当該ワラントについては、必要な規制当局の承認を 得て、す
でに行使可能な状態ですが、2020 年5月 18 日現在、行使していません。
  なお、(b)については、公開買付けの完了を前提および条件としていたため、公開買付の取りやめ
に伴い、係る債券の買い受けまたはアレンジを行う義務が なくなりました。


(4)WeWork China および WeWork Asia 株式の WeWork 優先株式への交換
  最終契約の締結およびクロージング要件の充足を前提として、ソフトバンク・ビジョン・ファンド
が保有する WeWork China および WeWork Asia の全株式を WeWork の優先株式に交換することで
合意しました。このうち、WeWork Asia 株式を1株当たり 11.60 米ドルで WeWork 優先株式に交換
することは 2020 年4月に完了しました。一方、2020 年3月 31 日現在、ソフトバンク・ビジョン・
ファンドとその他当事者は、WeWork China 株式の WeWork 優先株式への交換について協議を継続
しています。


  2019 年 10 月 22 日の当社と WeWork の合意に基づくこれらの取引(取りやめた公開買付けを除く)
の完了後、当社の WeWork 株式に対する経済的持分比率(完全希薄化後;ソフトバンク・ビジョン・
ファンドの持分を含む)は 50%以上となります。しかし、WeWork の定款の規定および株主間契約に
より、当社は WeWork のいずれの株主総会および取締役会においても議決権の過半数を保有せず同社
を支配できないため、同社は当社の子会社ではありません。また、当社の事実上の代理人として行動
している他の当事者は存在しません。


  WeWork 投資用 100%子会社から WeWork への投資は、普通株式、優先株式および 15 億米ドル
分の支払い済コミットメントから成ります。このほかに、当社はクレジットサポートおよび無担保
債券の買い受けコミットメントの対価として取得した 1 株当たり 0.01 米ドルで優先株式に行使可能
なワラントを保有しています。2019 年 10 月 30 日に WeWork が当社の関連会社となったことから、
普通株式は同日から持分法で処理していますが、優先株式と投資の前払い金、1 株当たり 0.01 米ド
ルで優先株式に行使可能なワラントは公正価値を測定し、その変動を損益として計上しています。
詳細は 11 ページ「WeWork 投資用 100%子会社から WeWork への投資(2020 年3月末現在)」を
ご参照ください。
  上記 (3)
    「   クレジットサポートおよび債券の買い受け」の(a)の金融機関による WeWork への 17.5
億米ドルの支払保証枠に対するクレジットサポートは金融保証契約に該当します。また、(c)の最大
22 億米ドルの無担保債券の買い受けは、市場金利を下回る金利で貸付金を提供するコミットメント
(以下「ローンコミットメント」)に該当します。契約時において、当該金融保証契約およびローン
コミットメントにかかる予想信用損失に対する損失評価引当金を、連結財政状態計算書の「その他
の金融負債(流動)」にそれぞれ 360 百万米ドル(39,107 百万円)、508 百万米ドル(55,088 百万
円)計上しました。2020 年3月 31 日において、金融保証契約およびローンコミットメントの予想
信 用 損 失 が 当 初 認 識 額 か ら 償 却 累 計 額 を 控 除 し た 金 額 を 上 回 っ た た め 、 そ れ ぞ れ 479 百 万 米 ド ル
(52,349 百万円)、826 百万米ドル(90,210 百万円)の損失評価引当金繰入額を計上しました。2020
年3月 31 日において、金融保証契約およびローンコミットメントにかかる損失評価引当金を、連結
財政状態計算書上「その他の金融負債(流動)」にそれぞれ 819 百万米ドル(89,202 百万円)、1,334
百万米ドル(145,133 百万円)計上しています。
  一方、ソフトバンク・ビジョン・ファンドから WeWork および同社の関係会社3社(WeWork China、
WeWork Asia、WeWork Japan)への投資については、普通株式および優先株式のいずれも公正価値
を測定し、その変動を損益として計上しています。2020 年3月末現在、これらの投資の累計額は 43
億米ドル、その公正価値は9億米ドルです。



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WeWork 投資用 100%子会社から WeWork への投資(2020 年3月末現在)

                                                                                                            (単位:百万米ドル)
                                                  連結               連結損益               連結損益計算書計上損益額
                              累計      累計               当期末の
          投資種別                                 財政状態計算書              計算書
                             投資額      損益               帳簿価額                  Q1        Q2        Q3          Q4       当期
                                                 計上科目              計上科目
                                                                  FVTPL の金
                                               投資有価証券             融商品から
                                                                ― 生じる損益                 △769       ―           ―  △417
普通株式                                                              持分法によ                         (注1)        (注1) (注1)
                              4,500   △3,663 持分法で会計               る投資損益                     ―     △29         △11  △40
                                             処理されてい
                                                                  その他の営                         (注2)        (注2) (注2)
                                             る投資
                                                               14 業外損益                      ―     △78         △35 △113
                                                                             内訳
優先株式                                                          823            省略       △2,901          524     △533    △3,075
                                               投資有価証券             FVTPL の金
15 億米ドル分の支払い          転換後
済コミットメント              (注3)     200     △138                    62 融商品から                     ―      △51         △87     △138
                  行使済                                             生じる損益
(行使価格を 110.00         転換前                   その他の金融
米ドル→11.60 米ドル         (注4)    1,300    △894 資産                406                           ―     △331        △563     △894
/株に引き下げた上で
                                               デリバティブ
2019 年 10 月 30 日に 行使前                                                                 (注5)      (注5)
                                               金融負債
行使済)                             ―     ―                    ― デリバティ                    △1,011     1,196         ―         ―
                                                               ブ関連損益
 行使価格 0.01 米ドル/                    (注 6) デリバティブ         (注 6)                                   (注 6)       (注 6)     (注 6)
                  行使前
 株のワラント                          ―  △703 金融資産              165                              ―    △155        △548      △703

合計
                              6,000   △5,398                 1,470                2   △4,681      1,076      △1,777   △5,380

                                            その他の金融                 その他の営                                    (注7) (注7)
金融保証契約に係る負債
                                 ―     △459 負債                 819 業外損益           ―         ―          ―     △459 △459
                                            その他の金融                 その他の営                                    (注8) (注8)
ローンコミットメントに係る負債
                                 ―     △826 負債               1,334 業外損益           ―         ―          ―     △826 △826




                                                        11
                                                                           ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信


(注1)2019 年 10 月 30 日に WeWork が当社の関連会社となったため、同日から 2020 年3月末までの純損失を普通株式持分(希薄化前ベース:2.75%(2020
    年3月末現在)      )に応じて取り込んでいます。
(注2)普通株式の公正価値の大幅な減少に伴う減損損失
(注3)2019 年 11 月に優先株式に転換した2億米ドル分
(注4)必要な規制当局の承認を経て優先株式に転換予定の 13 億米ドル分の投資の前払い金。2020 年4月に優先株式に転換済み。
(注5)WeWork 投資用 100%子会社は、2020 年4月に優先株式に転換されるワラント(15 億米ドルの未実行のコミットメント)を保有していたため、前期末
    から当第2四半期末までの当該ワラントの累計評価損 1,196 百万米ドルを当第2四半期末の要約四半期連結財政状態計算書にデリバティブ金融負債とし
    て計上し、当第2四半期累計期間(2019 年9月 30 日に終了した6カ月間)の要約四半期連結損益計算書にデリバティブ関連損失として計上しました
    が、当該コミットメント実行義務の契約条件を変更の上、2019 年 10 月 30 日に 15 億米ドルを払い込んだことから、当第3四半期末に当該デリバティブ
    金融負債を全額取り崩しました。
(注6)当社はクレジットサポートおよび無担保債券の買い受けコミットメントの対価として 1 株当たり 0.01 米ドルで優先株式に転換可能なワラントを取得して
    おり、契約時に当該ワラントの公正価値 868 百万米ドルを連結財政状態計算書の「デリバティブ金融資産」に計上しました。その後、主に、当社評価に
    おける WeWork 株式全体の公正価値が 78 億米ドル(2019 年9月末)から 73 億米ドル(2019 年 12 月末)、29 億米ドル(2020 年3月末)に下落したた
    め、行使価格 0.01 米ドル/株のワラントに係るデリバティブ関連損失を計上しました。
(注7)金融保証契約に係る負債の損失には規則的な償却に伴う利益 20 百万米ドルと、予想信用損失が当初認識額から償却累計額を控除した金額を上回ったこ
    とに伴う損失評価引当金繰入額 479 百万米ドルが含まれています。
(注8)予想信用損失が当初認識額から償却累計額を控除した金額を上回ったため、損失評価引当金繰入額 を計上しました。




ソフトバンク・ビジョン・ファンドから WeWork への投資(2020 年3月末現在)
                                                                                      (単位:百万米ドル)
                         累計    累計        連結財政状態        当期末の    連結損益計算書           連結損益計算書計上損益額
         投資先     投資種別
                        投資額    損益       計算書計上科目        帳簿価額      計上科目      Q1     Q2  Q3   Q4 当期
                 普通株式                 FVTPL で会計処理され          ソフトバンク・ビ
WeWork                                ているソフトバンク・             ジョン・ファンド
                 優先株式
                         3,000 △2,477 ビジョン・ファンド等         523 等 SBIA の運営す   △32 △3,043     40   △472 △3,507
WeWork の関係会社3社   普通株式                 SBIA の運営するファ           るファンドからの
(合計)             優先株式    1,250  △835 ンドからの投資             415 営業利益          △23    △395   △64   △593 △1,075

                 合計
                         4,250 △3,312                    938               △55 △3,438    △24 △1,065 △4,582




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OneWeb への投融資
 2020 年3月、当社の持分法適用関連会社である 通信衛星ベンチャーの OneWeb が米国連邦破産
法 11 条に基づく手続きを申請しました。同社への投融資に関連して計上した損失は以下の とおり
です。2020 年3月末現在、同社への投融資に関する資産の帳簿価額はゼロです。

                                                      (単位:百万米ドル)
                                                      連結損益計算書
               投融資
  投融資種別                      連結損益計算書計上科目               計上損益額
               累計額
                                                     前期     当期
                        持分法による投資損益                     △34      △67
普通株式
                        その他の営業外損益(持分法投資の減損損
優先株式
                1,000   失)                            △446      △453
                        その他の営業外損益(受取利息)                 22        95
貸付金
                 487    その他の営業外損益(貸倒引当金繰入額)              -      △604
ワラント             426    FVTPL の金融商品から生じる損益              67      △493
OneWeb の株主へ
の貸付金(注)          110    FVTPL の金融商品から生じる損益             △39      △71
合計              2,023                                 △430    △1,593
(注)当社 100%子会社による OneWeb の株主への貸付金。当該株主は、当社 100%子会社からの借入金を
     現金または保有する OneWeb 株式で返済するオプションを保有しています。




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                                         ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




b. セグメントの業績概況
 当社の報告セグメントは、当社の経営資源の配分の決定や業績の評価を行うための区分を基礎
としています。当第1四半期から、ソフトバンク㈱がヤフー㈱を子会社化したことに伴ってセグ
メント管理区分を見直し、 ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンド事業」
           「                                    、
「ソフトバンク事業」 「アーム事業」
          、       、および「ブライトスター事業」の4つを報告セグメントと
しています。なお、当期において、スプリントを売却目的保有に分類された処分グループに分類し
たため、「スプリント事業」を報告セグメントから除いています。
 「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンド事業」においては、「ソフト
バンク・ビジョン・ファンド2」(予定)による初期段階の投資として取り扱われる見込みの投資
を保有する予定の投資ビークルの新設と、当該ビークルによる投資の実行に伴い、当第3四半期
から名称を「ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業」から「ソフトバン
ク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンド事業」に変更し、当該ビークルを同セグメン
トに含めています。なお、当期末現在、デルタ・ファンドが保有する投資はありません。


 報告セグメントの概要は以下のとおりです。

 セグメント名称            主な事業の内容                    主な会社
 報告セグメント
  ソ フ ト バ ン ク ・ ビ ジ ョ ・ソフトバンク・ビジョン・ファンドに SB Investment Advisers (UK)
   ン・ファンド等 SBIA の      よる投資事業              Limited
   運営するファンド事業                            SoftBank Vision Fund L.P.
  ソフトバンク事業         ・日本国内での移動通信サービスの   ソフトバンク㈱
                    提供、携帯端末の販売、ブロードバン Z ホールディングス㈱
                    ドなど固定通信サービスの提供
                   ・インターネット広告やイーコマース
                    サービスの提供
  アーム事業            ・マイクロプロセッサーの IP および         Arm Limited
                    関連テクノロジーのデザイン
                   ・ソフトウエアツールの販売、
                    ソフトウエアサービスの提供
  ブライトスター事業        ・海外での携帯端末の流通事業              Brightstar Corp.
 その他               ・スマートフォン決済事業                PayPay㈱
                   ・オルタナティブ投資の資産運用事業           Fortress Investment Group LLC
                   ・ラテンアメリカにおけるファンド
                    事業
                   ・福岡ソフトバンクホークス関連事業           福岡ソフトバンクホークス㈱

(注)報告セグメントの利益は、以下のように算出されます。
  ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンド事業:
  セグメント利益=ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンドからの投資損益
             -営業費用

  ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンド事業以外:
  セグメント利益=各セグメントの(売上高-営業費用(売上原価+販売費及び一般管理費)
             ±その他の営業損益)

  各セグメントの時系列の主要事業データおよび算出方法、用語の定義については、当社ウェブサイトに
  掲載される「決算データシート」をご参照ください:https://group.softbank/ir/presentations/




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                                           ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




(a) ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンド事業

 1. 投資損失(純額)1.8 兆円の計上により、セグメント損失が 1.9 兆円に
   ソフトバンク・ビジョン・ファンド(注1)
    - 当期末保有する投資の未実現評価損失(純額)1.9 兆円:Uber、WeWork およびその
      関係会社3社 1 の公正価値が減少したほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に
      伴い当第 4 四半期にその他の投資先の公正価値の合計も大幅減少
    - 投資の売却による実現益 583 億円:4銘柄の一部株式および 1 銘柄の全株式を売却


 2. ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資および運営の状況
   当期末現在、88 銘柄を保有(エグジットした銘柄を除く):投資額合計 750 億米ドルに
    対し、公正価値合計 696 億米ドル。エグジットした銘柄を含めた、設立来の累計実現益
    (グロス)は 48 億米ドルに(注2)
   新型コロナウイルスの感染拡大の影響による投資先の業績悪化や手元流動性の低下に備
    え、事業運営の支援や戦略への指導を提供

(注1)
   「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」     (予定)による初期段階の投資として取り扱われる見込みの
    投資を保有する予定の投資ビークルによる投資成果は含みません。
(注2)営業外損益に計上された NVIDIA Corporation 株式に関連する利益(NVIDIA Corporation 株式を対
    象としたカラー取引によるデリバティブ関連利益等)を含みます。累計実現益(グロス)は外部投資
    家持分および税金等の控除前の金額です。



                                                            (単位:百万円)
                            3月 31 日に終了した1年間
                                 2019 年        2020 年         増減     増減率
 ソフトバンク・ビジョン・ファンド等
 SBIA の運営するファンドからの投資
 損益                            1,302,838   △1,844,867   △3,147,705      ―
 営業費用                           △46,197       △86,478     △40,281    87.2%
 セグメント利益                       1,256,641   △1,931,345   △3,187,986      ―

<事業概要>
 当事業の業績には、金融行為規制機構(The Financial Conduct Authority)の認可および規制
を受けた当社の英国 100%子会社 SBIA が運営する、ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよび
その他のファンド(主にデルタ・ファンド)などの投資および事業活動の結果が含まれています。
 ソフトバンク・ビジョン・ファンドは 2017 年に活動を開始しました。同ファンドは、「ユニ
コーン(企業価値が 10 億米ドル以上と推定される非公開企業)」を中心に、AI を活用した成長
可能性の大きな企業に対し大規模な投資を行い、中長期的視点から投資成果を最大化すること
を目指しています。同ファンドの投資期間は 2019 年 9 月 12 日に終了しましたが、存続期間は
原則として 2029 年 11 月 20 日までです。
 ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドにおける分配の性質や、SBIA が
受領する管理報酬および投資の成果に応じて受領する成果報酬の性質の詳細は「4.連結財務諸
表及び主な注記(6)連結財務諸表注記 4.ソフトバンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運
営するファンド事業(2)ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドにおける
外部投資家持分、および(3)SBIA の管理報酬および成功報酬」をご参照ください。



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                                              ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




当事業における主なファンドの概要
2020 年3月 31 日現在
                  ソフトバンク・ビジョン・ファンド              デルタ・ファンド
 主なリミテッド・         SoftBank Vision Fund L.P.     SB Delta Fund (Jersey) L.P.
 パートナーシップ
 出資コミットメン      986 億米ドル(注1)               44 億米ドル(注1)
 ト総額           当社:331 億米ドル(注2)            当社:44 億米ドル
               外部投資家:655 億米ドル(注1)         外部投資家:―(注1)
 ジェネラル・        SVF GP (Jersey) Limited    SB Delta Fund GP (Jersey) Limited
 パートナー         (当社海外 100%子会社)             (当社海外 100%子会社)
 投資期間          2019 年9月 12 日に終了(注3)       2019 年9月 12 日に終了(注3)
 存続期間          2029 年 11 月 20 日まで(原則)     2029 年9月 27 日まで(原則)
(注1)ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドにおける外部投資家の出資コミッ
    トメントは、両ファンドの合計額で定められているため、それぞれのファンドの出資コミッ
    トメント総額およびコミットメント残額は、もう一方のファンドにおける外部投資家の支払
    義務の履行状況により変動します。             当第2四半期において、 Xiaoju Kuaizhi Inc.
                                                               (以下 「DiDi」   )
    への投資についてデルタ・ファンドからソフトバンク・ビジョン・ファンドへの売却が決済
    され、デルタ・ファンドは当該売却収入を同ファンドのリミテッド・パートナーに分配し、
    支払義務履行額の返還を行いました。これに伴い、デルタ・ファンドにおける外部投資家の
    出資コミットメント総額 16 億米ドルはソフトバンク・ビジョン・ファンドの出資コミットメ
    ントとして返上されました。
(注2)ソフトバンク・ビジョン・ファンドへの当社の出資コミットメントは、Arm Limited 株式を
    活用した約 82 億米ドル相当の支払義務履行分(前期末までに全該当株式を拠出済み)のほ
    か、ソフトバンク・ビジョン・ファンドに関連するインセンティブ・スキームへ活用される
    予定の 50 億米ドルを含みます。
(注3)ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資期間は、2022 年 11 月 20 日または累計投資額(リ
    ミテッド・パートナーによる支払義務履行済みかつ投資実行済みの金額と投資のための留保
    額の合計)が出資コミットメント総額の 85%相当に達した後 SBIA がマネージャーとしての
    裁量によって投資期間の終了を決定するまでのいずれか早いほうまでと定められています。
    2019 年9月 12 日、同日までに累計投資額が出資コミットメント総額の 85%相当に達したこ
    とに伴い、  SBIA の決定によりソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資期間が終了しました。
    出資コミットメント総額の残りの 15%相当額は、合弁会社への投資を含む既存投資先への追
    加投資や固定分配、財務関連費用への充当を目的に留保されています。なお、ソフトバンク・
    ビジョン・ファンドの投資期間の終了に伴いデルタ・ファンドの投資期間も 2019 年9月 12
    日に終了しました。




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                                   ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドの資金の状況
2020 年3月 31 日現在
                                                      (単位:十億米ドル)
                                        合計               外部
                                               当社
                                                        投資家
出資コミットメント (A)
 ソフトバンク・ビジョン・ファンド                       98.6   33.1 (注1)   65.5
 デルタ・ファンド                                4.4    4.4          ― (注2)

リミテッド・パートナーによる支払義務履行額合計       3
                                  (B)
 ソフトバンク・ビジョン・ファンド                       78.3   28.6        49.7
 デルタ・ファンド                                3.8    3.8 4        ― (注2)

  (B)のうちリミテッド・パートナーへの返還額
   (再コール不可)
    ソフトバンク・ビジョン・ファンド 5                  △5.5   △0.9        △4.6
    デルタ・ファンド 6                          △3.5   △3.5          ― (注2)

 コミットメント残額 (C)=(A)-(B)
  ソフトバンク・ビジョン・ファンド                      20.3    4.5        15.8
  デルタ・ファンド                               0.6    0.6          ― (注2)
(注1)ソフトバンク・ビジョン・ファンドへの当社の出資コミットメントは、Arm Limited 株式を
    活用した約 82 億米ドル相当の支払義務履行分(前期末までに全該当株式を拠出済み)のほ
    か、ソフトバンク・ビジョン・ファンドに関連するインセンティブ・スキームへ活用される
    予定の 50 億米ドルを含みます。
(注2)当第2四半期において、  DiDi への投資についてデルタ・ファンドからソフトバンク・ビジョ
    ン・ファンドへの売却が決済され、    デルタ・ファンドは当該売却収入を同ファンドのリミテッ
    ド・パートナーに分配し、支払義務履行額の返還を行いました。これに伴い、デルタ・ファ
    ンドにおける外部投資家の出資コミットメント総額 16 億米ドルはソフトバンク・ビジョン・
    ファンドの出資コミットメントとして返上されました。




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<業績全般>
                                                                         (単位:百万円)
                                  3月 31 日に終了した1年間
                                         2019 年          2020 年          増減        増減率
 ソフトバンク・ビジョン・ファンド等
 SBIA の運営するファンドからの投資
 損益                                 1,302,838         △1,844,867   △3,147,705         ―
   投資の売却による実現損益                         296,531           58,340    △238,191      △80.3%
   投資の未実現評価損益                       1,013,228         △1,917,694   △2,930,922         ―
       当期計上額                        1,378,553         △1,877,682   △3,256,235         ―
       過年度計上額のうち実現損益へ
       の振替額(注)                      △365,325            △40,012       325,313         ―
   投資先からの利息配当収益                              4,522        12,848        8,326     184.1%
   デリバティブ関連損益                                   ―           145           145         ―
   為替換算影響額                              △11,443            1,494       12,937         ―
 営業費用                                   △46,197         △86,478      △40,281       87.2%
 セグメント利益                            1,256,641         △1,931,345   △3,187,986         ―
 財務費用(支払利息)                             △33,141         △22,459        10,682     △32.2%
 為替差損益                                         68           321           253     372.1%
 デリバティブ関連損益                             177,373               ―     △177,373          ―
 外部投資家持分の増減額                        △586,152             540,930    1,127,082         ―
 その他の営業外損益                                   △232          1,067        1,299         ―
 税引前利益                                  814,557       △1,411,486   △2,226,043         ―
(注)当期に4銘柄の一部株式および1銘柄の全株式を売却したことに伴い、これら売却した投資について過年
   度に計上していた未実現評価益 40,012 百万円(純額) 「投資の売却による実現損益」
                                を              に振り替えました。


セグメント利益
 セグメント損失は 1,931,345 百万円(前期は 1,256,641 百万円の利益)となりました。このう
ち 、 ソ フ ト バ ン ク ・ ビ ジ ョ ン ・ フ ァ ン ド が 当 期 末 に 保 有 す る 投 資 88 件 の 未 実 現 評 価 損 益 は
1,869,283 百万円(17,263 百万米ドル)の損失となりました。これは、株価下落に伴い Uber に
ついて 5,179 百万米ドルの損失、WeWork およびその関係会社3社について 4,582 百万米ドル
の損失(詳細は「a. 連結経営成績の概況 「WeWork への投資」」をご参照ください)、当第 4 四
半期の新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴う大幅な公正価値減少などにより、その他の
投資先について合計 7,502 百万米ドルの損失を計上したことによるものです(下表参照)。

(ソフトバンク・ビジョン・ファンドが当期末に保有する投資の未実現評価損益の内訳)
                                                                     (単位:百万米ドル)

                                第1             第2          第3         第4
                               四半期            四半期         四半期        四半期           当期
Uber                          △1,076         △3,536        △162       △405      △5,179
WeWork および関係会社3社                 △55         △3,438         △24     △1,065      △4,582
その他の投資先                         4,877        △1,845      △1,552     △8,982      △7,502
合計                              3,746        △8,819      △1,738    △10,452      △17,263



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  その他の投資先については、当第4四半期に合計 8,982 百万米ドルの評価損失を計上しまし
た。2020 年初頭からの新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、イーコマースやヘルス
ケアなどの事業を営む一部の投資先は堅調な業績となったことにより公正価値が上昇したもの
の、多くの投資先において、各国における経済活動の停滞や外出規制などの影響で事業活動上の
支障が生じキャッシュ・フローの見通しが悪化したことなどにより、公正価値が減少したことに
よ る も の で す 。 と り わ け 、 Consumer セ ク タ ー で 合 計 3,257 百 万 米 ド ル 、 Transportation &
Logistics セクター(Uber を除く)で合計 2,381 百万米ドル、Real Estate & Construction セク
ター(WeWork および関係会社3社を除く)で合計 2,196 百万米ドル、それぞれ公正価値が減少
したため、同減少額を損失として計上しました。


(再掲)ソフトバンク・ビジョン・ファンドが保有する投資の当期の公正価値変動内訳
米ドルベース; 期首帳簿価額(当期に取得した場合は取得価額)と当期末公正価値との比較


 当期の公正価値変動               銘柄数      当期計上した未実現評価損益
 増加                         19                 3,473 百万米ドル
 減少                         50            △20,736 百万米ドル
 変動なし                       19                            ―
 合計                         88            △17,263 百万米ドル


  また、4銘柄の一部株式および1銘柄の全株式を売却したことにより、投資の売却による実現
益 58,340 百万円を計上しました。


  投資先の公正価値は、公開会社の場合は、取引相場価格を用いて測定しています。未公開会社
の場合は、直近の第三者間取引、あるいはマーケット・アプローチやコスト・アプローチまたは
インカム・アプローチを用いて公正価値を測定しています。

公正価値測定の詳細は当社ウェブサイト掲載資料「SoftBank Vision Fund ビジネスモデルと会計処理」を
ご参照ください:
https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2019/investor_20181107_02.pdf



新型コロナウイルスの感染拡大の影響
  新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国における経済活動の停滞や外出規制、株式市場の混
乱は、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先の事業活動および公正価値評価に大きな影響
をもたらしており、この影響は今後も継続することが見込まれます。イーコマースやヘルスケア
などの事業を営む一部の投資先には好影響を与える一方、多くの投資先の事業活動に支障をもた
らし、各社の業績、ひいては当社連結財務諸表において評価される公正価値が悪化する要因となっ
ています。当期末における投資先の公正価値評価は、新型コロナウイルスによる投資先固有の影
響の現時点での見込みや各社の手元流動性、市場および類似企業の状況、上昇した市場ボラティ
リティーなどの要素に基づいて行われています。
  投資先の事業への支援として、SBIA は、投資先企業と緊密に連携しながら、収益の減少や流動
性の低下など、事業環境のさらなる悪化に備えるための支援を行い、新型コロナウイルスの感染
拡大による経済悪化局面における事業への悪影響の低減を図っています。また SBIA は投資先に
対し、手元資金を活用した精緻なキャッシュ・フロー計画を立てることによりコスト構造を最適



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化し、事業の継続と柔軟性を確保するよう促しているほか、現金準備残高および各投資先のセク
ターおよびビジネスモデルに基づく新型コロナウイルスの感染拡大への感応度を評価した上で、
①手元資金の保全、②コスト削減、③事業継続のための応急措置、④短期的な善後策、⑤在宅勤
務に基づくワークスペースのマネジメント、⑥利用可能な政府補助の特定、に関する助言を行っ
ています。SBIA は、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先企業がこの危機を乗り越えるた
めの支援に取り組んでおり、投資先企業の多くが、困難な状況を力強く乗り越えていけるものと
考えています。



ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドの投資の状況
ソフトバンク・ビジョン・ファンド
2020 年3月 31 日現在;売却した投資を除く
                                                   (単位:十億米ドル)
 セクター                         銘柄数        取得価額      公正価値       増減
 Consumer                      15          11.5       12.8     1.3
 Enterprise                     8           2.3        3.4     1.1
 Fintech                       11           4.9        4.8    △0.1
 Frontier Tech                 10          10.8       10.4    △0.4
 Health Tech                   10           2.5        4.8     2.3
 Real Estate & Construction    11           9.9        4.6    △5.3
 Transportation & Logistics    23          33.1       28.8    △4.3
 合計                            88          75.0       69.6    △5.4



当期における新規投資
 当期において、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、合計 156 億米ドルの投資を行いまし
た(既存投資先への追加投資を含みます)。
 このうち、当社からの売却により、ANI Technologies Private Limited(Ola)への投資および
WeWork China への投資を合計 950 百万米ドル(当社が売却を決定した際の公正価値)で取得
しました。なお、これらの投資の当社の当初取得額は合計 696 百万米ドルでした。


ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先の一覧(セクター変更の情報を含む)については、当社ウェブ
サイトに掲載される「決算データシート」をご参照ください:https://group.softbank/ir/presentations/




当社からの売却によりソフトバンク・ビジョン・ファンドが取得する投資
  ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資の中には、同ファンドが直接取得するもののほか、そ
の投資対象に合致する場 合に限り、当社からの売 却により取得するものが あります。当社から売
却されうる投資は、①当社でソフトバンク・ビジョン・ファンドへの紹介を前提として取得し、か
つ、その取得時点でソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資対象に合致していた投資(以下「ブ
リッジ投資」)のほか、 ②それ以外の投資(例え ば、当社による取得時点 ではソフトバンク・ビ
ジョン・ファンドへの紹介を前提としていない、または紹介を前提として取得したものの、その取
得時点でソフトバンク・ ビジョン・ファンドの投 資対象に合致していなか ったため、ソフトバン




                                    20
                                  ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




ク・ビジョン・ファンドへの売却には新たにリミテッド・パートナーによる合意が必要な投資を含
みます。)があります。
 このような投資について、当社は、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資委員会などによる
合意(および必要に応じてリミテッド・パートナーからの合意)や関係規制当局の承認が得られた
時点で、移管が決定されたと認識します。売却は、当社が移管の提案を機関決定した時点の公正価
値を基礎とした価格で行われ、当該価格がファ ンドにとっての取得額となります。また、連結財務
諸表上の表示においては、当該投資は、当社による移管決定の認識を起因として、ソフトバンク・
ビジョン・ファンドによる投資として表示されます。
 なお、期中で移管された投資について、期首帳簿価額(または当期中の取得価額)とソフトバン
ク・ビジョン・ファンドへの売却額との差額は連結損益計算書上の営業外利益に計上される一方、
売却額(ソフトバンク・ビジョン・ファンドにとっての取得額)からの公正価値の変動はソフトバ
ンク・ビジョン・ファンド等 SBIA の運営するファンド事業のセグメン ト利益として計上されま
す。当該移管はグループ内取引のため、当社連結財務諸表上、相殺・消去されています。


デルタ・ファンド
 当期末現在、デルタ・ファンドが保有する投資はありません。




(b) ソフトバンク事業(旧ヤフー事業含む)


 1. 通信サービスの顧客基盤が順調に拡大し、増収増益を達成
 2. 2019 年6月、ソフトバンク㈱がヤフー㈱(現 Z ホールディングス㈱)を子会社化
 3. 2019 年 12 月、Z ホールディングス㈱が LINE㈱との経営統合に関する最終契約を締結


                                                 (単位:百万円)
                      3月 31 日に終了した1年間
                       2019 年         2020 年       増減     増減率
売上高                   4,652,116     4,862,484   210,368   4.5%
セグメント利益                859,809       923,314     63,505   7.4%
(注)ソフトバンク㈱によるヤフー㈱の子会社化に伴い、2018 年4月 1 日より、同社の業績をソフトバンク事
   業の一部として遡及して表示しています。


<業績全般>
 コンシューマ向けサービスを中心とする通信事業が牽引し増収増益を達成しました。
「SoftBank」「Y!mobile」「LINE モバイル」の3ブランドを擁するスマートフォンの累計契約
          、         、
数が前期末比 205 万件増の 2,413 万件、光回線サービス「SoftBank 光」の累計契約数が前期末
比 47 万件増の 639 万件となるなど顧客基盤が順調に拡大した結果、コンシューマ向けサービス
の通信サービス売上が伸長し増収となりました。この増収が利益に結び付いた結果、セグメント
利益は増益となりました。
 なお、2019 年 6 月 27 日付でヤフー㈱(現Zホールディングス㈱)はソフトバンク㈱の子会
社となりました。これに伴い、2018 年 4 月 1 日より、同社の業績をソフトバンク事業の一部と
して遡及して表示しています。同事業におけるZホールディングス㈱の営業利益は前期比



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                                  ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




11.8%増加しました。主に㈱ZOZO の子会社化や既存のイーコマース事業、広告事業の増収に
よるものです。


Z ホールディングス㈱による㈱ZOZO の子会社化
 2019 年 11 月 13 日、Zホールディングス㈱は、イーコマース事業の強化を目的に、衣料品通
販サイトを運営する㈱ZOZO の普通株式 152,952,900 株(議決権割合 50.1%)を 400,737 百万
円で取得しました。これに伴い、同日付で㈱ZOZO は当社、ソフトバンク㈱およびZホールディ
ングス㈱の子会社となりました。同日から当期末までの㈱ZOZO の業績をソフトバンク事業に
含めて表示しています。㈱ZOZO の子会社化の詳細は「4.連結財務諸表及び主な注記(6)連
結財務諸表注記 5.企業結合」をご参照ください。


Z ホールディングス㈱と LINE㈱の経営統合
 2019 年 12 月、Zホールディングス㈱と LINE㈱は、日本・アジアから世界をリードする「AI
(人工知能)テックカンパニー」になることを目指して、それぞれの親会社であるソフトバンク
㈱と NAVER Corporation を含む4社間で経営統合(以下「本経営統合」)に関する最終契約を
締結しました。ソフトバンク㈱と NAVER Corporation は、本経営統合を実現するための取引の
一環として、2020 年5~6月に両社が共同して LINE㈱株式を対象に公開買付けを実施します。
本経営統合後の上場統合会社であるZホールディングス㈱は、当社およびソフトバンク㈱の子
会社となる予定です。なお、本経営統合は、競争法、外為法その他法令上必要なクリアランス・
許認可等の取得が完了することを前提としています。


新型コロナウイルスの感染拡大の影響
 ソフトバンク㈱においては、通信サービス契約者は引き続き安定的に推移し、外出自粛の影響
で通信サービス契約者のデータ使用量が増加すると見込んでいるものの、店舗へ来店する顧客
数が減少すると見込んでいます。また、法人顧客からのテレワーク需要が増大すると見込んでい
る一方で、対面販売の機会の減少などによる悪影響も見込んでいます。このほか、Zホールディ
ングス㈱においては、イーコマースの利用が増加すると見込んでいるものの、広告出稿や宿泊・
飲食予約サービスの利用の減少を見込んでいます。



ソフトバンク㈱の業績や営業概況に関する詳細な情報は、同社ウェブサイトをご参照ください:
https://www.softbank.jp/corp/ir/




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                                       ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




(c) アーム事業

 1. 売上高は前期比 2.0%増。セグメント利益は前期の一時益影響により大幅減
  ライセンス収入が前期比 6.4%増(米ドルベース):ライセンシーへの新テクノロジーの納入
   が増収に大きく寄与
  半導体業界の景況悪化の影響を受けるも、ロイヤルティー収入は前期比 1.5%減にとどまる
   (米ドルベース)
  セグメント利益は、中国事業の合弁化に伴い前期に 1,763 億円の一時益を計上した影響に
   より減少


 2. 研究開発強化が徐々に結実
  新テクノロジーのライセンス契約締結は引き続き好調。未発表のプロセッサーのライセンス
   契約を当第4四半期に6件締結
  当第4四半期に次世代アームプロセッサーを含む複数の新テクノロジーの納入を開始し、
   収益の計上を開始


                                                       (単位:百万円)
                      3月 31 日に終了した1年間
                        2019 年         2020 年        増減       増減率
 売上高                    202,699        206,652      3,953      2.0%
 セグメント利益                133,966    △42,819       △176,785        ―
(注)セグメント利益には、アーム買収時に行った取得原価配分により計上した無形資産の償却費が、当期は
   50,544 百万円、前期は 56,535 百万円含まれています。


<事業概要>
 アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、
半導体の IP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っています。当社による買
収後、アームは、技術関連人員を増強し、研究開発への投資を加速しています。技術力の強化に
より、既存市場でのシェア維持・獲得および新規市場の開拓に向けた新技術開発を図っています。


市場の動向とその影響
 アームの業績は半導体市場の動向に強く影響を受けることがあり、アームの事業が関連する
半導体市場の売上高は、2018 年後半から減少し始め、2018 年 11 月から前年同月比マイナス                     7

が続いていましたが、2019 年 10 月には前年同月比 1.0% 7 のプラスに転じました。半導体市場
には回復の兆しが見られるものの、足元で起きている貿易摩擦や特定企業への制裁の影響にさ
らされています。このほか、新型コロナウイルスの感染拡大による影響もあり、来期については、
今後、コンシューマー・エレクトロニクスの出荷数が減少すればロイヤルティ―収入の減少要因
となるほか、半導体企業が売上減少を受けて新規ライセンス契約締結を延期すればライセンス
収入の減少要因となります。しかしながら、現時点で半導体業界全体、またはアームへの悪影響
を見通すことは時期尚早と考えています。
 足元でこうしたリスクは残るものの、今後半導体市場が回復するにつれ、アームは再度成長軌
道に転じるものと見込んでいます。さらに今後テクノロジーの高度化が進むにつれ、アームのテ
クノロジーが活用される機会は長期的に拡大していくと期待しています。




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<業績全般>

売上高(米ドルベース)
アームの売上は主に米ドル建てであるため、本項の売上高は米ドルベースの実績を記載しています。
                                                                      (単位:百万米ドル)
                                           3月 31 日に終了した1年間
                                2019 年                            2020 年

            Q1    Q2    Q3    Q4    合計    Q1    Q2    Q3    Q4       合計     増減    増減率

テクノロジー・
ライセンス収入      85   124   125   213   547   125    87   130   240      582     35   6.4%
テクノロジー・
ロイヤルティ収入    261   285   305   247 1,098   240   254   312   275     1,081   △17 △1.5%
ソフトウエア
およびサービス収入    35    47    56    53   191    53    55    63    64      235     44   23.0%
売上高合計       381   456   486   513 1,836   418   396   505   579     1,898    62   3.4%


 当期の売上高は米ドルベースで前期から 3.4%増加しました。半導体市場減速の影響でテクノ
ロジー・ロイヤルティー収入が減少したものの、ソフトウエアおよびサービス収入とテクノロ
ジー・ライセンス収入が前期を上回りました。


テクノロジー・ライセンス収入
 テクノロジー・ライセンス収入は前期から 6.4%増加しました。これは主に、当期にかけてラ
イセンス契約の締結を進めてきた新テクノロジーの一部を、当第4四半期にライセンシーへ納
入したことによるものです。新テクノロジーの中には、スマートフォン、サーバー、自動車など
のあらゆる最終製品市場に特化した新プロセッサーや、モバイル・コンピューティングや IoT ア
プリケーション向けの AI アクセレレーターの新シリーズなどがあります。アームは、当社によ
る買収直後から、これらの新テクノロジーの開発に取り組んできました。
 新テクノロジーのライセンス契約の締結は、当第1四半期から行ってきましたが、テクノロ
ジーがライセンシーへ納入されるタイミングで、ライセンス収入として計上されます。当第4四
半期に、新テクノロジーの一部がライセンシーへ納入され、同四半期のライセンス収入はアーム
史上最高額となりました。当期アームは、来期以降に納入予定の新テクノロジーのライセンス契
約も順調に締結し、これらは来期以降のライセンス収入の底上げに寄与することが見込まれま
す。また、これらの新テクノロジーの多くは既存テクノロジーよりも機能性に優れていることか
ら、ロイヤルティー単価の上乗せにつながり、今後長期にわたりアームのテクノロジー・ロイヤ
ルティー収入に貢献することが期待されます。



テクノロジー・ロイヤルティー収入
 テクノロジー・ロイヤルティー収入は前期から 1.5%減少しました。これは主に、世界的なス
マートフォン需要の鈍化とチップの出荷減速の影響によるものです。一方、当第4四半期のテク
ノロジー・ロイヤルティー収入は、5G 対応スマートフォンの出荷数増加と市場の回復により、
前年同期から 11.3%増加しました。




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                               ソフトバンクグループ㈱ (9984) 2020年3月期 決算短信




ソフトウエアおよびサービス収入
 ソフトウエアおよびサービス収入は前期比 23.0%増となりました。これは主に 2018 年 8 月
の Treasure Data, Inc.の買収以降にサービスの提供を開始した、アームのデータマネジメント
事業が順調に拡大を続けていることによるものです。


セグメント利益
 前期においてアーム事業のセグメント利益にはアームの中国子会社が合弁事業化により持分
法適用関連会社となったことに伴い計上した子会社の支配喪失に伴う利益 176,261 百万円が含
まれていたことにより、セグメント利益は減益となりました。
 なお、当期末の従業員数は前期末から 751 人(12.5%)増加しました。アームは今後も、収益
性を考慮しながら研究開発プロジェクト構成や開発拠点を最適化することにより、ROI の最大
化に取り組んでまいります。


<営業概況>
ライセンス
                                                 (単位:件)
                              当第4四半期                当期末
                                 締結分              累計契約数
プロセッサー・ファミリー別内訳
クラシック(Arm7、Arm9、Arm11)              1                  451
Cortex-A                           14                  405
Cortex-R                           ―                   112
Cortex-M                           10                  595
Mali                                9                  204
プロセッサー・ライセンス契約数                    34                 1,767
(注)プロセッサー・ライセンスの累計契約数は 、ロイヤルティー収入の発生が将来的に見込まれる
   ライセンス契約のみを含みます。

 当第4四半期のプロセッサー・ライセンス契約締結数は、未発表の高度な新テクノロジーに対
する 6 件のライセンスを含め、34 件となりました。当第4四半期に締結されたライセンス契約
では、スマートフォン、ネットワーク機器、スポーツ用品に組み込まれる通信チップやセンサー
などの IoT 機器向けの高度なマイクロ・コントローラーなど、広範囲な最終製品市場でアーム
のテクノロジーの使用が予定されています。




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ロイヤルティー・ユニット   8



                   2018 年                                    2019 年
               10~12 月期     1~3 月期     4~6 月期    7~9 月期    10~12 月期
ロイヤルティー・ユニット出荷数
(ライセンシーからの報告に基づく実績ベース)

                   54 億個     48 億個      56 億個     64 億個       60 億個
成長率
(前年同期比)            △6.9%     △9.4%        0.2%      3.2%     11.1%

 2019 年 10~12 月期のロイヤルティー・ユニットの出荷数は 60 億個となり、同期間の半導体
業界のチップ出荷数が前年同期から 0.6%の微増 7 となる中、前年同期から 11.1%増加しました。
一方、 「市場の動向とその影響」
   上記           にて記述のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大により、
来期のロイヤルティー・ユニット出荷数は減少影響を受ける可能性があります。この影響を受け
つつも、アームは引き続き、ターゲットとなる最終製品市場におけるシェアを維持・拡大するこ
とを見込んでいます。




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<技術開発>
 アームは以下を重点投資分野とし、モバイル事業および潜在的成長性の高い事業における
テクノロジーの開発に取り組んでいます。


重点投資分野と主な進捗:
モバイルコンピューティング
オポチュニティー : モバイル端末用メインチップのシェアは既に 95%超
           ロイヤルティー単価が長年にわたり上昇傾向
当第1四半期   : AI や 5G などの新技術への対応を強化した次世代スマートフォン向け
           プロセッサーを発表(2020 年に上市予定)
当第2四半期   : モバイル端末やコンシューマー機器の性能と安全性を向上させる、IP
           開発用のプラットフォーム型新アプローチ「Total Compute」を発表
当第3四半期   : モバイルやゲーム端末など、幅広いコンシューマー機器に AI 対応アプ
           リケーションを搭載可能となる新プロセッサーを発表
インフラ
オポチュニティー : ネットワークインフラ市場シェアが拡大中
           データセンター用サーバー市場シェアも確立途上
当第1四半期   : クラウド分野におけるアームベースサーバーの技術開発加速に向けた、
           Marvell Technology Group Ltd.との戦略的パートナーシップを発表
当第3四半期   : ・Amazon Web Service Inc.が同社 Graviton2 サーバーチップへの
             「Neoverse」第1世代テクノロジーの採用を発表。従来のサーバーと
             比較して、同社の顧客にとって最大 40%のコスト削減が可能
           ・理化学研究所と富士通㈱が共同開発した、アームベースのハイパ
             フォーマンスチップ搭載のスーパーコンピューター富岳が、スーパー
             コンピューターの消費電力性能のランキング Green500 において、
             世界1位を獲得
当第4四半期   : Marvell Technology Group Ltd.と Mellanox Technologies, Ltd.が
            SmartNICs の新シリーズを発表。データーセンターにおける、メイン
            サーバーチップからのあらゆるタスク処理の負荷が軽減
自動車
オポチュニティー : 自動車のスマート化に伴い高度処理能力需要が上昇する中、アームの
           テクノロジーは省電力性で好位置に付け、多くの自動車向けチップ開発
           企業とライセンス契約を締結済み
当第2四半期   : 自動運転車の実用化促進に向けた技術標準化を目指し自動車業界のパー
           トナーと「Autonomous Vehicle Compute Consortium(AVCC)」を設立
IoT
オポチュニティー : IoT の真価発揮に不可欠な安全性や耐久性を追求し、IoT 機器ネット
           ワーク内での安全なデータ管理用テクノロジーを開発
当第1四半期   : Samsung Electronics Co., Ltd.と IoT チップの新製造プロセスのデモを
           実施
当第2四半期   : IoT アプリケーションなどで特定用途へのアーム CPU の最適化が可能
           となる新機能「Arm Custom Instructions」を発表




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当第4四半期             : ・Bayer AG が、アームと Vodafone Group が共同開発したスマートラ
                        ベルの使用を発表。通信接続を活用した IoT で、サプライチェーンに
                        おける商品管理の強化が可能に
                       ・新 CPU と機械学習アクセレレーターを発表。IoT 機器へ AI テクノロ
                        ジーの搭載が可能に


 アームの事業およびテクノロジーに関する詳細な情報は、同社ウェブサイトをご参照ください:
 https://www.arm.com




(d) ブライトスター事業
                                                            (単位:百万円)
                                3月 31 日に終了した1年間
                                 2019 年        2020 年        増減       増減率
売上高                            1,082,669       955,415   △127,254    △11.8%
セグメント利益                         △23,396        △5,328      18,068        ―



(e) その他
                                                            (単位:百万円)
                                 3月 31 日に終了した1年間
                                 2019 年        2020 年        増減       増減率
売上高                             193,742        196,186       2,444     1.3%
セグメント利益                         △90,053      △249,549    △159,496        ―


 日本でスマートフォン決済サービスを手掛ける PayPay㈱が 82,234 百万円の営業損失を計上
しました。主に、ユーザー獲得と利用促進を目的とした大規模なキャンペーンを実施したこと
や、サービス利用可能店舗の拡大に引き続き積極的に取り組んだことによるものです。
 また、ラテンアメリカのファンド事業において、ブラジルレアルなどの投資通貨の価値下落や
投資の公正価値の減少により 62,212 百万円の営業損失を計上しました。


「その他」に含まれる PayPay㈱の業績
                                                             (単位:百万円)
                                 3月 31 日に終了した1年間
                                 2019 年        2020 年        増減       増減率
売上高                                 595          9,159       8,564       ―
営業利益                            △36,559       △82,234     △45,675        ―




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(2)財政状態の概況

  1. 投資の状況
    ソフトバンク・ビジョン・ファンドからの投資の帳簿価額は 6.7 兆円
    (前期末比 4,340 億円減)(注1)
    ソフトバンク・ビジョン・ファンドが新規投資を実行した一方、Uber、WeWork およびそ
    の関係会社3社 1 の公正価値が減少したほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴
    い当第4四半期にその他の投資先の公正価値の合計も大幅減少
    WeWork およびその関係会社への投資の帳簿価額は合計 2,620 億円(前期末比 6,033 億円減)
     - 当社 100%子会社からの投資の帳簿価額は 1,599 億円(前期末比 1,155 億円減)(注2)
     - ソフトバンク・ビジョン・ファンドからの投資の帳簿価額は 1,021 億円
      (前期末比 4,878 億円減)

  2. スプリント事業を当期末に売却目的保有に分類された処分グループに分類し、
    区分表示(注3)
    資産:
       「売却目的保有に分類された資産」として表示
    負債:「売却目的保有に分類された資産に直接関連する負債」として表示
         同社の有利子負債およびリース負債合計 4.7 兆円(当期末時点)を連結有利子負債
         およびリース負債から除外
    資本:「売却目的保有に分類された資産に直接関連するその他の包括利益累計額」
         として表示

 3. 財務活動
     - ソフトバンクグループ㈱の資金調達を行う 100%子会社
      アリババ株式やソフトバンク㈱株式を活用し合計 1.1 兆円を調達
     - ソフトバンク・ビジョン・ファンド
      保有株式の一部を活用した借入れにより 36.5 億米ドルを調達(当第4四半期に元本の
      一部を返済)のほか、投資の資本効率向上などのために設定した借入枠を利用した借入
      れを実施

 (注1)アームは当社の子会社のため、同社への投資はソフトバンク・ビジョン・ファンドからの投資に含ま
      れません。
 (注2)詳細は「(1)経営成績の概況 a. 連結経営成績の概況 「WeWork への投資」」をご参照ください。
 (注3)当期末において区分表示された各科目の 主な種類別の内訳については、 4.連結財務諸表及び主
                                      「
      な注記(6)連結財務諸表注記 2. 非継続事業 」をご参照下さい。


                                                              (単位:百万円)
                                 2019 年       2020 年
                               3月 31 日      3月 31 日           増減      増減率
  資産合計                        36,096,476   37,257,292    1,160,816     3.2%
  負債合計                        27,087,272   29,884,375    2,797,103    10.3%
  資本合計                         9,009,204    7,372,917   △1,636,287   △18.2%

(注)IFRS 第 16 号の適用に伴い、当期首において、資産合計が 1,336,695 百万円、負債合計が 1,324,055 百
   万円、資本合計が 12,640 百万円、それぞれ増加しました。




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(a) 資産
                                                        (単位:百万円)
                                2019 年      2020 年
                               3月 31 日     3月 31 日            増減
  現金及び現金同等物                    3,858,518    3,369,015    △489,503
  営業債権及びその他の債権                 2,339,977    2,072,326    △267,651    A
  その他の金融資産                      203,476      313,487       110,011
  棚卸資産                          365,260      185,097     △180,163    A
  その他の流動資産                      766,556      460,970     △305,586    B
  売却目的保有に分類された資産                224,201     9,236,048    9,011,847   C
  流動資産合計                       7,757,988   15,636,943    7,878,955
  有形固定資産                       4,070,704    1,264,516   △2,806,188   D
  使用権資産                               ―     1,293,692    1,293,692   E
  のれん                          4,321,467    3,998,167    △323,3