9909 J-愛光電気 2021-08-06 17:00:00
MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ [pdf]

                                                          2021 年8月6日

各位




                                               会社名    愛光電気株式会社

                                               代表者名   代表取締役社長    近藤    保

                                                      (コード番号    9909)

                                               問合せ先    常務取締役    武井    勝義

                                               (TEL.0465-37-2121)




                      MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ




 当社は、2021 年8月6日開催の取締役会において、下記のとおり、いわゆるマネジメント・バイアウ

ト(MBO)(注)の一環として行われるAKコーポレーション株式会社(以下「公開買付者」といいま

す。)による当社の発行済普通株式(以下「当社株式」といいます。)に対する公開買付け(以下「本公開

買付け」といいます。)に賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの

応募を推奨することを決議いたしましたので、お知らせいたします。

 なお、当該取締役会決議は、本公開買付け及びその後の一連の手続により当社株式が上場廃止となる予

定であることを前提として行われたものです。



(注)「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、一般に、買収対象会社の経営陣が、買収資金の全部

  又は一部を出資して、買収対象会社の事業の継続を前提として買収対象会社の株式を取得する取引を

  いいます。



                                      記



1.公開買付者の概要

(1)   名                称   AKコーポレーション株式会社

(2)   所       在        地   神奈川県小田原市西大友 205 番地2

(3)   代表者の役職・氏名            代表取締役      近藤   保

(4)   事   業       内    容   当社の株券等の取得及び所有

(5)   資       本        金   10,000 円

(6)   設   立   年   月    日   2021 年7月7日

(7)   大株主及び持株比率            近藤   保                                    100%
(8)     当社と公開買付者の関係

                        公開買付者と当社の間には、記載すべき資本関係はありません。な

        資   本   関   係   お、公開買付者の代表取締役である近藤保氏は、当社株式 108,280

                        株(注1)(所有割合(注2)12.38%)を所有しております。

                        当社の代表取締役社長である近藤保氏は、公開買付者の代表取締
        人   的   関   係
                        役を兼務しております。

        取   引   関   係   該当事項はありません。

        関 連 当 事 者 へ の   公開買付者は、当社の代表取締役社長である近藤保氏が議決権の

        該   当   状   況   全部を所有しており、当社の関連当事者に該当します。

(注1)近藤保氏は、当社の役員持株会を通じた持分として 1,346 株(小数点以下を切捨て)に相当する

   当社株式を間接的に所有しておりますが、上記近藤保氏の所有株式数(108,280 株)には、近藤保氏

   が当該役員持株会を通じた持分として間接的に所有している当社株式 1,346 株は含まれておりませ

   ん。

(注2)
   「所有割合」とは、当社が 2021 年7月 27 日に公表した「2022 年3月期第1四半期決算短信〔日本

   基準〕(非連結)(以下「当社決算短信」といいます。
           」                )に記載された 2021 年6月 20 日現在の発行

   済株式総数(882,200 株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(7,496 株)を控除した株式

   数(874,704 株)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合

   の記載について同じとします。



2.買付け等の価格

 普通株式1株につき、金 2,360 円



3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由

(1)意見の内容
  当社は、2021 年8月6日開催の取締役会において、下記「
                              (2)意見の根拠及び理由」に記載の根拠及

 び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買

 付けへの応募を推奨することを決議いたしました。

  なお、上記取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反

 を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④           当社における利害関

 係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方

 法により決議されております。



(2)意見の根拠及び理由

  本「
   (2)意見の根拠及び理由」の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から

 受けた説明に基づいております。




                               2
①    本公開買付けの概要

     公開買付者は、本日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)の開設

    する市場である東京証券取引所 JASDAQ スタンダード市場(以下「JASDAQ 市場」といいます。
                                                     )に上場

    している当社株式の取得及び所有等を目的として、当社の代表取締役社長かつ第2位の株主である近

    藤保氏により、2021 年7月7日付で設立された株式会社であるとのことです。本日現在において、公

    開買付者の発行済株式は、公開買付者の代表取締役を務める近藤保氏が全て所有しているとのことで

    す。また、本日現在、公開買付者は当社株式を所有していないとのことです。

     なお、公開買付者の代表取締役を務める近藤保氏が所有する当社株式数(以下「所有株式数」とい

    います。)は、108,280 株(所有割合:12.38%)であるとのことです。



     今般、公開買付者は、当社株式の全部(但し、当社が所有する自己株式及び近藤保氏が所有する本

    不応募株式(以下に定義します。)を除きます。)を取得することにより、当社株式を非公開化するた

    めの取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することとしたとのこと

    です。

     本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、近藤保氏は本取引後も継続し

    て当社の経営にあたることを予定しているとのことです。なお、公開買付者と当社のその他の取締役

    及び監査役との間には、本公開買付け後の役員就任について特段の合意はないとのことです。



     本公開買付けの実施にあたり、公開買付者は、当社の筆頭株主であり、当社の取引先持株会である

    愛光電気共栄会(所有株式数:168,800 株、所有割合:19.30%)
                                       (以下「共栄会」といいます。)との

    間で、共栄会の理事会の承認を経た上で、2021 年8月6日付で、共栄会会員全員(但し、本共栄会応

    募契約(以下に定義します。)締結後、共栄会の本公開買付けへの応募前に、共栄会から退会した会員

    (以下「退会者」といいます。
                 )は除きます。以下同じです。
                              )から、共栄会として本公開買付けへ応

    募することについて賛同を得られること、及び本公開買付けに応募するために必要な共栄会の規約変

    更手続を実施することについて同意を得られることを応募の条件として、共栄会会員が共栄会を通じ

    て所有する当社株式の全て(但し、退会者の所有する当社株式は除きます。
                                     )について本公開買付けに

    応募する旨の契約(以下「本共栄会応募契約」といいます。)を締結しているとのことです。また、公

    開買付者は、当社の第6位の株主である光昭株式会社(所有株式数:31,800 株、所有割合:3.64%)

    (以下「光昭」といいます。、株式会社フジデン(所有株式数:10,000 株、所有割合:1.14%)
                 )                                  (以

    下「フジデン」といいます。、ネグロス電工株式会社(所有株式数:5,500 株、所有割合 0.63%)
                 )                                   (以

    下「ネグロス電工」といいます。 及びミツワ電機株式会社
                   )           (所有株式数:4,800 株、所有割合:0.55%)

    (以下「ミツワ電機」といい、光昭、フジデン及びネグロス電工と総称して「本応募合意株主」とい

    います。)それぞれとの間で、2021 年8月6日付で、本応募合意株主がそれぞれ所有する当社株式の

    全て(所有株式数の合計:52,100 株、所有割合の合計:5.96%)について本公開買付けに応募する旨

    の契約(以下「本応募契約」といいます。)を締結しているとのことです。さらに、公開買付者は、当

    社の第2位の株主である近藤保氏(所有株式数:108,280 株、所有割合:12.38%)との間で、2021 年


                             3
8月6日付で、その所有する当社株式の全て(以下「本不応募株式」といいます。)について本公開買

付けに応募しない旨を口頭により合意(以下「本不応募合意」といいます。)しているとのことです。

 本共栄会応募契約、本応募契約及び本不応募合意の詳細につきましては、下記「4.本公開買付け

に係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。



 本公開買付けにおいて、公開買付者は、買付予定数の下限を 474,920 株(所有割合:54.29%)に設

定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定

数の下限(474,920 株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。

なお、買付予定数の下限は、当社の議決権数(当社決算短信に記載された 2021 年6月 20 日現在の当

社の発行済株式総数(882,200 株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(7,496 株)を控除し

た株式数(874,704 株)に係る議決権数である 8,747 個に3分の2を乗じた数(5,832 個、小数点以下

を切り上げ)に 100 を乗じた数から本不応募株式(108,280 株)を控除した株式数(474,920 株)を設

定しているとのことです。かかる買付予定数の下限を設定したのは、本公開買付けにおいては、当社

を非公開化することを目的としているところ、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわ

ゆる二段階買収に関する事項)」に記載する株式併合の手続を実施する際には、会社法(平成 17 年法

律第 86 号。その後の改正を含みます。以下同じです。
                          )第 309 条第2項に規定する株主総会における

特別決議が要件とされることから、本取引の実施を着実に遂行すべく、本公開買付け後に公開買付者

及び近藤保氏が当社の総議決権数の3分の2以上の議決権を保有することとなるようにするためで

あるとのことです。買付予定数の下限である 474,920 株(所有割合:54.29%)は、当社決算短信に記

載された 2021 年6月 20 日現在の当社の発行済株式総数(882,200 株)から、同日現在の当社が所有

する自己株式数(7,496 株)、本不応募株式の数(108,280 株)、近藤保氏が当社の役員持株会を通じて

間接的に所有する当社株式の数(1,346 株)及び近藤保氏以外の特別関係者である近藤智子氏の所有

株式数(1,000 株)の合計(118,122 株)を控除した株式数(764,078 株)の過半数に相当する株式数

(382,040 株、所有割合:43.68%。)に近藤保氏が当社の役員持株会を通じて間接的に所有する当社

株式の数(1,346 株)及び近藤保氏以外の特別関係者である近藤智子氏の所有株式数(1,000 株)を加

算した株式数を上回るものとなるとのことです。



 他方、本公開買付けは当社株式を非公開化することを目的としておりますので、買付予定数の上限

は設けておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等

を行うとのことです。

 本公開買付けにより、公開買付者が当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募

株式を除きます。 を取得できなかった場合には、
        )              下記 (4)
                         「   本公開買付け後の組織再編等の方針(い

わゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者は、当社に対し、本公開買付け成立後

に、公開買付者が当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募株式を除きます。)を

取得し、当社の株主を近藤保氏及び公開買付者のみとする、当社の株式を非公開化するための手続(以

下「本スクイーズアウト手続」といいます。)の実施を要請する予定とのことです。また、公開買付者


                          4
    は、最終的に公開買付者が当社の唯一の株主となることを予定しており、かかる目的を達成する手段

    として、本スクイーズアウト手続の完了後、公開買付者を株式交換完全親会社とし、当社を株式交換

    完全子会社とする株式交換を実施することを予定しているとのことです。当該手続に関する具体的な

    日程等の詳細については未定とのことです。

     公開買付者は、本公開買付けに係る決済に要する資金を、株式会社横浜銀行(以下「横浜銀行」と

    いいます。)からの 21 億円を限度とした借入れ(以下「本銀行融資」といいます。
                                           )により賄うことを

    予定しており、本公開買付けの成立等を条件として、本公開買付けに係る決済の開始日の前営業日ま

    でに本銀行融資を受けることを予定しているとのことです。本銀行融資に係る融資条件の詳細は、横

    浜銀行と別途協議の上、本銀行融資に係る融資契約において定めることとされているとのことですが、

    本銀行融資に係る融資契約では、公開買付者が本取引により取得する当社株式が担保に供されるほか、

    本スクイーズアウト手続を通じて当社の株主が近藤保氏及び公開買付者のみとなった後は、当社の一

    定の資産等が担保に供される予定とのことです。



②   本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経

    営方針



(a) 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程

      当社は、1953 年 11 月に、創業者近藤久三が電気材料・器具の販売を行うことを目的として田中

     商店を創業し、1954 年 10 月に、商号を合資会社田中商店に変更した後、1959 年 10 月に家庭電気

     製品の販売を目的として当社が設立されました。1961 年4月に、当社が合資会社田中商店の業務を

     引き継ぎ電気製品・電気材料の卸売業を兼営し、1970 年6月に、当社が田中商店を吸収合併した後

     は電設資材卸売業者として流通商社の役割を果たしてまいりました。当社株式につきましては、

     1991 年 10 月に店頭売買銘柄として、社団法人日本証券業協会(以下「日本証券業協会」といいま

     す。)に当社株式を登録し、2004 年 12 月に、日本証券業協会への店頭登録を取消し株式会社ジャス

     ダック証券取引所に株式を上場し、その後、2013 年7月に、東京証券取引所と株式会社大阪証券取

     引所との現物市場の統合に伴い、東京証券取引所 JASDAQ 市場に当社株式を上場しております。

      本日現在において、当社は、電気機器電設資材の総合商社として、社会への貢献・企業の永続・

     社員の幸せの三つを調和させ、お客様・仕入先・当社の三者が共に生成発展する三位一体の使命感

     経営を実践し続けることを経営理念に掲げており、現在は関東・静岡県東部を地盤に 16 営業所を

     構え、10 万品目を超える電設資材を取り扱い多様な得意先のニーズに応えることで事業を拡大さ

     せております。なお、当社は照明器具・電線等、電気機器電設資材の販売を主たる事業とする単一

     セグメントとなっております。

      当社の主な仕入先は、国内有数の電気機器メーカーを始め、照明器具や配電盤に特化した専業メ

     ーカーや電線メーカー等合計で 300 社を超えており、密接な取引関係を構築しております。主な取

     扱い商材は、照明器具、トランス・コンデンサーを始めとする高圧機器、業務用・家庭用空調機器、

     電力用(高圧ケーブルから低圧ケーブルまで)から通信用(光ファイバーケーブル・LAN ケーブル・


                             5
火報ケーブルなど)まで多種多様な用途や使用環境に合わせた各種ケーブル類、工場・業務施設向

け受変電設備や分電盤等、官民や取引先の大小を問わず建物内の電気設備を安全に使用し、快適な

住空間を提供する電気機器全般を取り扱っています。特に、近年は LED 照明の普及の波も追い風と

なり、省エネ関連の商材の営業活動を積極的に推進しております。

 また、当社は創業 60 周年を機に、2014 年3月期から 2023 年3月期までを対象期間とする 10 ヶ

年のビジョン(以下「AIKO NEW WING PLAN-Ⅱ」といいます。)を策定し、
                                          『電気の総合商社』とし

て時代を先取りする企業を目指すことをメインテーマに、現状の重点課題に対する具体的な戦術・

施策を講じております。基本方針としては、①既存のビジネスモデルを再定義し、将来拡大が見込

まれる潜在的な需要や、現在見過ごされている新市場を先取りしてビジネスに繋げて行く先駆け的

な企業の実現を目指すこと、②将来性があると判断される企業や新商材に対して、先入観(固定概

念)に捉われずに、取扱いの是非を協議、もしくは取引を検討し、ビジネスチャンスに繋げていく

こと、③創業時に立ち返り、
            「多くの仕入先と多くの得意先」を得て、中立性を維持することで自

主独立による三位一体の使命感経営を推進していくことを目指しております。

 一方で、当社の代表取締役社長である近藤保氏は、当社は、その属する電設資材卸売業界の成長

が鈍化した影響もあり、今後飛躍的に成長することは見込みづらくなっており、当社を取り巻く事

業環境は、オリンピック・パラリンピック関連の競技関連施設、インバウンド需要の拡大を視野に

入れたホテル等の宿泊施設や都内の高層マンションの建設ラッシュが続いた以前のような需要の

急速な拡大は期待できず、また、建設技術者の人手不足や価格競争の激化を懸念していたとのこと

です。具体的には、国内の住宅投資については、2019 年 10 月に消費税率の引き上げに際して駆け

込み需要が発生し、一時的に新設住宅着工戸数は増加したものの、今後長期的には、少子高齢化に

よる人口減少等を要因に新設住宅着工戸数は減少傾向にて推移するものと想定され、2030 年度の

新設住宅着工戸数は、2018 年度と比較して7割ほどに減少するとの試算もございます(注1)。加

えて、近藤保氏は、当社においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、2020 年4月か

ら 2021 年2月までの 11 ヶ月間における新設住宅着工戸数は、前年比 8.7%減と一戸建てを中心に

いまだ回復の足取りが遅い状況となっていると考えているとのことです(注2)。

 また、建設投資全体の投資額も減少傾向にあり、1992 年度の 84 兆円をピークに、2010 年度には

1992 年度の半分程度まで減少しており、その後、東日本大震災からの復興等により回復傾向となっ

ているものの、2020 年に発生した新型コロナウイルス感染症の影響もあり、2020 年度の建設投資

は、前年度比 3.4%減の 63 兆 1,600 億円となる見通しとなっているとのことです(注3)
                                                。

 (注1) 出典:株式会社野村総合研究所 (2019 年度版)2030 年の住宅市場と課題

 (注2) 出典:国土交通省    建築着工統計調査報告(令和3年2月分)住宅着工統計

 (注3) 出典:国土交通省総合政策局建設経済統計調査室        令和2年度(2020 年度)建設投資

     見通し



 上記のような現状認識を踏まえ、当社では、AIKO NEW WING PLAN-Ⅱに基づき以下のような継続

的な取組みを推進しております。


                        6
 (i)     プロフェッショナルとして質の高いサービスを提供し、信頼関係を構築

 電気工事士等の専門資格の取得を義務付ける等、プロフェッショナルとして質の高いサービスを

 提供し個々の占有率を高めることで、価格面だけでは得られない信頼関係の構築を推進し収益確

 保を目指す。



 (ii)    提案営業の推進・販売チャネルの拡大(拡販・省エネ商材の提案)

 LED 照明器具の品質向上による、高効率 LED 素子の普及浸透により LED 照明の新規導入や既存設

 備の更新による受注の獲得や、新規開拓先に対しても拡販商材や省エネ商材等を提案する。



 (iii)   新たな販売ネットワークを構築

 直販事業においては、新商材・省エネ商材をベースに広域に営業を展開し新たな市場の獲得を目

 指す。特定メーカーとのアライアンスをもって、それに関わる工事業者との協業体制を強化し、

 新たな販売ネットワークを構築する。



 (iv)    徹底したローコストオペレーションの推進

 営業活動に伴う各種の関連業務は内部統制上の有効性・効率性を意識して実施する。また業務効

 率を上げるために業務プロセスの抜本的な改革・改善や、基幹システム(IT)を最大限に活用し

 て、ローコストオペレーションを推進する。



 近藤保氏は、2020 年 11 月に、当社における上記の施策の継続的な実施及び各年度の重点戦略に

取組むだけでは、急速に変化する市場環境、既存の価値観の変化には対応できないと強い危機感を

感じていたとのことです。近藤保氏は、同時期に、以下に記載のとおり、当社における上記(i)乃

至(ⅳ)の各施策の実施状況を踏まえると、当社において更なる対策が必要と考えていたとのこと

です。



 「(i)プロフェッショナルとして質の高いサービスを提供し、信頼関係を構築」について、当社

では、これまで第一種電気工事士や1級電気工事施工管理技士等の高い専門性を有するプロフェッ

ショナル人財による特定の製品群に偏らない営業活動を推進することで、新型コロナウイルス感染

症の影響により高まってきた、消費者・得意先の家電や住宅設備など住環境に対するニーズに柔軟

に対応してまいりました。また、2016 年8月には特定建設業許可(電気工事)を取得し、家庭用の

太陽光発電システムの施工を含めた一括受注体制の整備、家庭用リチウムイオン蓄電システムの施

工販売、再生可能エネルギーの管理・運営関連会社への発電設備の設計協力及び技術指導、さらに

は商用電力網への高圧連携を要する太陽光発電システムにおける受変電設備の受注・販売等、得意

先の省エネ・環境関連投資へのニーズに合わせ領域を拡大させております。一方で、特定建設業許

可(電気工事)はその許認可を維持するために、第一種電気工事士や1級電気工事施工管理技士の


                          7
資格保有者を一定数確保する必要があります。そのため当社は、従業員の電気工事士等の資格保有

者数向上に努めていますが、従業員の定年退職者数が増加しているため、当該電気工事等の有資格

者の減少が見込まれています。当社は、かかる状況の中、プロフェッショナル人財の確保が急務と

認識しております。

 近藤保氏は、これまで当社では得意先や仕入先とのコミュニケーションを密にして生産性の向上

を図り、一人当たり売上高は増加傾向にあるものの、今後新規得意先の開拓や領域の拡大を推進し

ていくためには機動的な要員の配置・出店戦略に加え、第一種電気工事士や1級電気工事施工管理

技士等のセールスエンジニアを始めとする専門知識を有する人財の新規採用や増員、教育及びキャ

リアアップの支援といった抜本的な人事戦略等、各種施策を早期に実施する必要があると考えてい

るとのことです。



 「(ii)提案営業の推進・販売チャネルの拡大(拡販・省エネ商材の提案)
                                   」について、当社では、

BCP 対策と省エネを兼ねた投資需要が急拡大している状況をとらえ、高付加価値の LED 照明、蓄電

池やエネルギー管理システム(BEMS・HEMS)・自家発電機等を AIKO NEW WING PLAN-Ⅱ策定後から主

力の提案商材として取り扱っております。また、 車普及に伴う充電ステーション等インフラ投資
                      EV

への深耕営業を推進していく体制の強化や、SDGs をビジネスチャンスととらえた戦略の構築等将

来展望のある課題に取組んでおります。加えて、日本政府も 2020 年にカーボンニュートラル(脱

炭素社会の実現を目指すこと)を宣言したことで、今後脱炭素化により電力への転換が推進される

ことが見込まれる等持続的な市場成長の余地が期待されます。しかしながら、近藤保氏は、競争環

境が激化している中で、当社が目標とする神奈川県や静岡県における地域売上 No.1 となるだけで

はなく、既存得意先との関係性を維持しながら新規得意先の開拓を増やしていくためには、これま

で以上に新市場・新商材の探求、時代の潮流に合わせた研究活動・設備投資・ノウハウ獲得の柔軟

かつ機動的な意思決定を推進していくことが求められると考えているとのことです。



 「(iii)新たな販売ネットワークを構築」について、当社では、省エネ商材を中心に広域に営業

を展開することで、鉄道各社・コンビニエンスストア・オフィスビル・商業施設等新規得意先の開

拓を実施して、販売ネットワークを構築してきました。また、当社は、神奈川県小田原市の本社だ

けではなく、静岡県の伊豆半島・神奈川県内及び東京都内に倉庫機能をもった営業拠点を有してお

り、これらの物流体制と情報網を最大限に活用してきました。具体的には、東京都を中心とする首

都圏の元請企業から神奈川県や静岡県の伊豆半島近隣に案件が発生した場合において、物流対応は

もとより地場の施工業者の紹介等のマッチングにも貢献してきました。しかしながら、近藤保氏は、

今後顧客のニーズにきめ細やかに対応していくためには、特定メーカーとのアライアンスをもって

協業を推進するだけではなく、当社独自のブランド製品を開発し、顧客へ提案していくことも必要

だと考えているとのことです。また、近藤保氏は、これらの取組みを実施することで、短期的には

利益水準の著しい低下をもたらすリスクはありますが、中長期的には新規得意先の開拓が期待でき

るだけにとどまらず、当社の売上高営業利益率改善にも寄与すると考えているとのことです。


                          8
 「(iv)徹底したローコストオペレーションの推進」について、当社では、一人当たりの生産性を

向上させるため、 技術を最大限活用して様々な業務プロセスの改善を実施してきました。
        IT                               具体的

には、社内外に対する情報共有のため WEB 会議の活用促進やそのための環境整備、及び IT 化によ

る作業工数削減など業務効率の向上を通じたローコストオペレーションの推進等を実施して、経営

体質の強化を図ってきました。ただ一方、近藤保氏は、新型コロナウイルス感染症により急速にデ

ジタル化が進行する市場環境において、更なる大型投資が不可欠と考えているとのことです。具体

的には、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を活用した電設卸業務の効率化、得意先への

新規サービス提供や AI・データ分析による効率的な提案活動等を機動的に実施していくことを検

討しているとのことです。近藤保氏は、これらの取組みは短期的には財務面及びキャッシュ・フロ

ーのマイナス要因になることが想定されますが、中長期的には収益の増加及びコスト削減に寄与し、

当社の成長に資するものと考えているとのことです。



 また、近藤保氏は、上記に加えて、AIKO NEW WING PLAN-Ⅱの経営戦略で掲げております「付加

価値の創出を目的とした関連協力企業への事業投資(M&A、アライアンス含む)」について、今後の

電設資材卸売業界の動向等を注視しながら、先入観に捉われず、特に積極的な M&A などを通じて事

業の多角化を図っていき、サービスラインナップの拡充や提供サービスの品質を向上させる必要が

あると考えているとのことです。しかしながら、当社はこれまで国内の同業他社や異業種を対象と

した買収実績がなく、M&A で他社を受け入れる人員の整備やノウハウを蓄積する体制も構築されて

いません。M&A という手法の性質上、短期的な利益確保を維持しながら推進していくことは容易で

はございませんが、今後先行投資を実施して体制を構築し、柔軟かつ機動的に検討していきながら

実績を積み上げていく必要があると考えているとのことです。



 近藤保氏は、上記の施策を推進していくことで、中長期的に見れば当社の企業価値向上が期待さ

れるものの、直ちに当社の業績に貢献できるものではなく、相当の時間と戦略的投資を含む各種先

行投資が必要となること、各先行投資や M&A に付随するのれん償却費等が伴う可能性がある各取組

みの性質等を考慮すると、短期的には当社の収益を大きく悪化させる要因ともなりうるため、上場

を維持しながら当該施策を実施した場合には、資本市場からの十分な評価を得ることができず、当

社の株式価値が大きく毀損する可能性があることから、2021 年4月上旬、各取組みを実行するにあ

たり、当社株式を非公開化する必要があると考えたとのことです。

 さらに、近年のコーポレートガバナンスコードの改訂、資本市場に対する規制の強化等により、

金融商品取引法上の有価証券報告書等の継続的な開示に要する費用や監査費用等の株式の上場を

維持するために必要なコストは増加しており、今後、株式の上場を維持することは、当社の経営上

の負担となるものと考えているとのことです。また、当社は電設資材卸売業界において、一定のブ

ランド力や取引先に対する信用力を既に確保していると自負していることから、株式の上場を維持

する必要性も相対的に見て低下しているものと考えているとのことです。


                       9
 近藤保氏は、当社が今後も株式の上場を維持することによるメリット及びデメリット等について

慎重に検討していく過程において、当社株式の上場を維持することの意義を見出しにくい状況にあ

ることを勘案し、同 2021 年4月上旬、当社を非公開化することが必要との認識に至ったとのこと

です。近藤保氏は、当社を非公開化することで、短期的な収益にとらわれることなく、抜本的な事

業戦略を実行し、中長期的な観点から強固な事業基盤の確立を迅速に取組めるようになるため、

「(i)プロフェッショナルとして質の高いサービスを提供し、信頼関係を構築」することについて

は、当社において機動的な人事戦略を講じることで、セールスエンジニアを始めとする専門人財の

確保と既存の従業員のスキルアップが可能となり、
                      「(ii)提案営業の推進・販売チャネルの拡大(拡

販・省エネ商材の提案)」をすることについては、当社における決断と行動のスピードを上げ、新

市場・新製品に関する知見を獲得することで、新規得意先の開拓を一層促進することが可能となり、

「(iii)新たな販売ネットワークを構築」することについては、大規模な投資や他社との協業によ

り当社独自の製品・ブランドを確立することが可能となり、「(iv)徹底したローコストオペレーシ

ョンの推進」をすることについては、DX(デジタル・トランスフォーメーション)への大型投資を

実施することで社内外の効率的な事業運営を促進することが可能となり、時代の趨勢に合わせた経

営体制を構築できると考えたとのことです。また、近藤保氏は、上場会社である当社において求め

られる短期的な利益確保を維持しながらでは、上記施策の効果実現に必要な投資額及び投資期間を

確保することが困難であり、これらを実現させるためにも、当社の非公開化が必要と考えたとのこ

とです。

 以上を踏まえ、近藤保氏は、2021 年4月上旬から、当社の非公開化について具体的な検討を開始

し、リーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業を、ファ

イナンシャル・アドバイザーとして株式会社 SBI 証券をそれぞれ選任したとのことです。近藤保氏

は、2021 年5月上旬、前述の施策を推進していくためには、当社を非公開化した上で、当社の代表

取締役を 23 年間務め、当社の競争力・収益力を強めてきた近藤保氏自身が継続して経営を行うこ

と、また、当社の経営陣と株主が一体となって柔軟かつ機動的な経営体制を構築することが当社の

成長にとって必要であると考え、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法により当社を非公開

化することが、当社の株主の皆様に対して発生するおそれがある株価の下落等の悪影響を回避し、

かつ中長期的に持続可能な成長を達成するべく、柔軟かつ機動的な経営戦略を迅速かつ果敢に実践

するために最も有効な手段であるという結論に至り、近藤保氏が代表取締役を務め、かつその株式

を 100%所有する公開買付者を、本公開買付けにおいて買付け等を行う主体とすることにしたとの

ことです。また、近藤保氏は、マネジメント・バイアウト(MBO)以外の手法により、当社を非

公開化することは、近藤保氏が継続して経営を担えなくなる可能性があり、また、当社の経営陣と

当社の株主の判断が異なることで、柔軟かつ機動的な経営判断ができない可能性もあると考え、当

社の非公開化の手法として望ましくないと考えたとのことです。

 近藤保氏は、2021 年5月 11 日、当社に、本取引の実施に向けた協議・交渉の申し入れを行った

とのことです。その後、近藤保氏は 2021 年6月上旬に当社から、特別委員会を設置し、本取引の

実施に向けた協議・交渉に応じる旨の連絡を受けたとのことです。これを受け、近藤保氏は、本公


                     10
開買付価格を含む本取引の諸条件等の検討を進めてきたとのことです。2021 年6月 23 日、本特別

委員会(以下に定義します。
            )の第3回会合にて本取引に関するインタビューが実施され、近藤保

氏は回答者として出席いたしました。2021 年7月7日、公開買付者は、当社に対して、本公開買付

価格を1株当たり 2,050 円とし、本取引後に公開買付者及び近藤保氏が当社株式を 100%取得する

マネジメント・バイアウト(MBO)を正式に提案する旨の提案書(以下「本提案書」といいます。)

を当社に提出したとのことです。なお、本提案書では、近藤保氏は、新たに設立するSPC(公開

買付者)を通じて当社株式を買付け、本公開買付け成立後に株式併合等のスクイーズアウト手続を

通じて、公開買付者及び近藤保氏が当社株式を 100%取得すること、及び、本公開買付けにおける

買付予定数の下限について、本公開買付け成立後に公開買付者及び近藤保氏が当社の議決権数の3

分の2以上を所有することになるように設定することを予定している旨を提示したとのことです。

また、本提案書では、近藤保氏は、本スクイーズアウト手続後のスキームに関する提案は実施しな

かったとのことです。そして、本提案書の提出後、公開買付者は、下記「③         当社が本公開買付け

に賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2021 年7月 12 日、当社より、過

去のマネジメント・バイアウト(MBO)の類似事案におけるプレミアム水準や当社において実施

中の株価算定の内容を踏まえると少数株主にとって妥当な価格とは認められないとして、本公開買

付価格の増額の要請を受けたため、本公開買付価格の再検討を行い、当社に対して、2021 年7月 14

日、本公開買付価格を1株当たり 2,150 円とする旨の再提案を行ったとのことです。その後、2021

年7月 16 日、当社より、2021 年7月 14 日に提案した価格では、過去のマネジメント・バイアウト

(MBO)の類似事案におけるプレミアム水準や当社において実施中の株価算定の内容を踏まえる

と、未だ少数株主にとって妥当な価格には至っていないとして、本公開買付価格を 2,500 円とする

よう要請いたしました。公開買付者は、当社の財務状況や過去のマネジメント・バイアウト(MB

O)事例におけるプレミアム水準等を総合的に考慮して本公開買付価格の再検討を行い、当社に対

して、2021 年7月 19 日、本公開買付価格を1株当たり 2,250 円とする旨の再提案を行ったとのこ

とです。その後、2021 年7月 20 日、当社より、2021 年7月 19 日に提案した価格では、過去のマ

ネジメント・バイアウト(MBO)の類似事案におけるプレミアム水準や当社において実施中の株

価算定の内容に加え、当社株式の非公開化による上場維持コスト削減等のシナジー効果が当社の株

式価値に与える影響の大きさ等を踏まえると、未だ少数株主にとって妥当な価格には至っていない

として、本公開買付価格を 2,500 円とするよう再度要請いたしました。公開買付者は、当社の財務

状況や過去のマネジメント・バイアウト(MBO)事例におけるプレミアム水準に加えて、当社の

株価動向等を総合的に考慮し、当社に対して、2021 年7月 26 日、本公開買付価格を1株当たり

2,350 円とする旨の再提案を行ったとのことです。その後、2021 年7月 27 日、当社より、2021 年

7月 26 日に提案した価格は、当社において実施中の株価算定との関係においては少数株主にとっ

て妥当といい得る余地もあり得るものの、直近の株価の上昇等に鑑みると、本公開買付けの成立の

確実性について疑問なしとも言い切れず、本公開買付価格を 2,450 円とするよう要請いたしまし

た。公開買付者は、2021 年7月 31 日、当社に対して、本公開買付価格 2,350 円は、当社の株主の

皆様に対して合理的な株式の売却の機会を提供しており、本公開買付けの成立の蓋然性も高いと考


                        11
えていることから、本公開買付価格を 2,350 円で再度検討いただくよう要請したとのことです。そ

の後、2021 年8月2日、当社より、2021 年7月 31 日に提案した価格は、当社において実施中の株

価算定との関係においては少数株主にとって妥当といい得る余地もあり得るものの、直近の株価の

上昇等に鑑みると、本公開買付けの成立の確実性について疑問なしとも言い切れず、本公開買付価

格を 2,400 円とするよう要請いたしました。公開買付者は、当社の財務状況や過去のマネジメン

ト・バイアウト(MBO)事例におけるプレミアム水準に加えて、当社の株価動向等を総合的に考

慮し、当社に対して、2021 年8月4日、本公開買付価格を1株当たり 2,360 円とする旨の再提案を

行ったところ、2021 年8月4日、当社から当該提案を受諾する旨の回答を得たとのことです。以上

のとおり、公開買付者は、当社との間で、複数回に亘り協議・交渉を続けてきたとのことです。か

かる協議・交渉の結果を踏まえ、公開買付者は、過去5年に行われた本公開買付けと同種のマネジ

メント・バイアウト(MBO)事例におけるプレミアムが付された実例(公表日の前営業日を基準

日として、同日までの過去1ヶ月間、同過去3ヶ月間及び同過去6ヶ月間の終値単純平均値におけ

るそれぞれのプレミアム率の中央値が約 30%から約 40%)を参考としつつ、当社株式の直近の市

場株価や過去1ヶ月間、過去3ヶ月間及び過去6ヶ月間の平均株価の動向を総合的に勘案し、さら

に、本公開買付けに対する応募の見通し、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否及び当

社との協議・交渉の結果等を踏まえ、最終的に 2021 年8月4日に本公開買付価格を 2,360 円とす

ることを決定したとのことです。また、公開買付者は、本スクイーズアウト手続後のスキームを検

討する過程において、当社の株主が複数存在するよりも単独の株主のみが存在する方が今後のM&

Aなどの当社の各施策を機動的に実行できることや、近藤保氏が当社の唯一の株主となった場合、

近藤保氏が所有する当社株式が将来的に相続等により分散され、当社の安定的な事業運営に支障を

来すおそれがあることを踏まえ、当社の今後の運営を考えた場合には、最終的に公開買付者のみを

当社の唯一の株主とすることが望ましいと考えるに至ったとのことです。なお、公開買付者のみが

当社の唯一の株主となった場合であっても、近藤保氏の相続等により、近藤保氏が所有する公開買

付者の発行する株式が分散する可能性は存在します。しかし、法人である公開買付者が当社の株主

であれば、仮に近藤保氏個人に相続等が発生した場合であっても、公開買付者の経営陣の判断によ

って当社株式の議決権を統一的に行使しうることから、近藤保氏が所有する当社又は公開買付者の

発行する株式の分散によって当社に生じる悪影響は、法人である公開買付者のみが当社の株主とな

る場合の方が、自然人である近藤保氏のみが当社の株主となる場合に比して、間接的かつ限定的で

あると判断したとのことです。そして、公開買付者のみを唯一の株主とするにあたっては、(i)近

藤保氏が所有する当社株式を公開買付者に譲渡する方法(本公開買付けに応募する方法も含みま

す。、(ii)公開買付者を株式交換完全親会社とし、当社を株式交換完全子会社とする株式交換を実
  )

施する方法が考えられるところ、(i)を選択した場合は、公開買付者において株式を取得するため

の追加の資金負担が発生し、更なる借入金が必要となることから、(ii)の株式交換を実施する方法

が望ましいと考えるに至ったとのことです。なお、(ii)のスキームを選択するデメリットとしては、

株式交換の実施に伴う追加的な時間的及び手続的負担が想定されますが、公開買付者の株主は近藤

保氏のみであり、本スクイーズアウト手続後における当社の株主は公開買付者及び近藤保氏のみと


                       12
     なることを踏まえれば、株式交換完全親会社及び株式交換完全子会社の双方において、株主総会決

     議をはじめとする会社法上必要な手続の履践によって生じる時間的及び手続的負担は軽微であり、

     (ii)のスキームを選択する上記メリットがデメリットを上回るものと判断したとのことです。

      スキームの検討自体は 2021 年5月上旬から開始していたものの、株式交換を利用するスキーム

     の検討を本格的に開始したのは 2021 年7月上旬からであり、本提案書を当社に提出した後も継続

     的にスキームの検討を行っていたことから、公開買付者は、2021 年7月 16 日、当社に対して、最

     終的に公開買付者が当社の唯一の株主となることを予定しており、かかる目的を達成する手段とし

     て、本スクイーズアウト手続の完了後、公開買付者を株式交換完全親会社とし、当社を株式交換完

     全子会社とする株式交換を実施することを予定している旨を提示したとのことです。その後、2021

     年7月下旬、当社より、当社の意思決定の機動性を最大限確保すべく、本取引により当社の株主を

     公開買付者及び近藤保氏のみとし、その後に公開買付者を株式交換完全親会社とし、当社を株式交

     換完全子会社とする株式交換を実施することは非公開化取引の方法として不合理ではないと考え

     ている旨の連絡を受けたとのことです。



(b) 本公開買付け後の経営方針

      本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、近藤保氏は、本公開買付け

     終了後も継続して当社の代表取締役社長として経営にあたることを予定しており、上記「(a) 公

     開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の経営

     を推進する予定とのことです。なお、公開買付者と当社のその他の取締役及び監査役との間では、

     本公開買付け後の役員就任について何らの合意も行っておりません。本公開買付け実施後の当社の

     役員構成を含む経営体制の詳細については、本公開買付けの成立後、当社と協議しながら決定して

     いく予定とのことですが、原則として現在の経営体制を維持することを予定しているとのことです。

      また、公開買付者は、最終的に公開買付者が当社の唯一の株主となることを予定しており、かか

     る目的を達成する手段として、本スクイーズアウト手続の完了後、公開買付者を株式交換完全親会

     社とし、当社を株式交換完全子会社とする株式交換を実施することを予定しているとのことです。

     当該手続に関する具体的な日程等の詳細については未定とのことです。



③   当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由

     当社は、近藤保氏より、2021 年5月 11 日、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法による当

    社株式の非公開化の実現の可能性について検討したい旨の意向を受け、下記「
                                      (6)本公開買付価格の

    公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保す

    るための措置」に記載のとおり、本公開買付価格の公正性その他本公開買付けを含む本取引の公正性

    を担保すべく、2021 年5月 28 日付で、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として

    トラスティーズ・アドバイザリー株式会社(以下「トラスティーズ」といいます。)を、リーガル・ア

    ドバイザーとして TMI 総合法律事務所を選任するとともに、本取引の提案を検討するための特別委員

    会(以下「本特別委員会」といいます。なお、本特別委員会の委員の構成及び具体的な活動内容等に


                           13
ついては、下記「
       (6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための

措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③       当社における独立した特別委員会の

設置及び意見(答申書)の入手」をご参照ください。)を設置し、本取引に関する提案を検討するため

の体制を整備いたしました。

 その後、当社は、本提案書において示唆された本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が

当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向を踏まえ、本特別委員会により事前

に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における意見、指示、要請等に基づいて、トラスティーズ

及び TMI 総合法律事務所の助言を受けながら、公開買付者との間で複数回に亘る協議・検討を重ねて

まいりました。

 また、本公開買付価格については、当社は、2021 年7月7日に公開買付者から本公開買付価格を1

株当たり 2,050 円とする旨の提案を受けた後、トラスティーズから受けた当社株式の株式価値に係る

試算結果の報告内容及び本特別委員会からの交渉方針に係る意見を踏まえた上で、2021 年7月 12 日

に、公開買付者に対して本公開買付価格の増額を要請しました。その後も当社は、本特別委員会に対

して適時に交渉状況の報告を行い、交渉上重要な局面における本特別委員会からの意見、指示、要請

等に基づいた上で、トラスティーズの助言を受けながら、本公開買付価格について、公開買付者との

間で協議・交渉を行いました。具体的には、当社は、2021 年7月 14 日に公開買付者から本公開買付

価格を1株当たり 2,150 円とする旨の再提案を受けましたが、可能な限り当社の少数株主の利益を確

保する観点から、2021 年7月 16 日に、公開買付者に対して本公開買付価格を 2,500 円とするよう要

請いたしました。当社は、2021 年7月 19 日、公開買付者から、本公開買付価格を1株当たり 2,250

円とする旨の再提案を受けました。その後、2021 年7月 20 日、当社は、2021 年7月 19 日に提案を

受けた価格では、未だ少数株主にとって妥当な価格には至っていないとして、本公開買付価格を 2,500

円とするよう再度要請いたしました。当社は、2021 年7月 26 日、公開買付者から、本公開買付価格

を1株当たり 2,350 円とする旨の再提案を受けました。当社は、2021 年7月 27 日、公開買付者に対

して本公開買付価格を 2,450 円とするよう再度要請いたしました。その後、当社は、2021 年7月 31

日、公開買付者から、本公開買付価格を1株当たり 2,350 円で再度検討いただくよう要請を受けまし

た。当社は、2021 年8月2日、公開買付者に対して本公開買付価格を 2,400 円とするよう再度要請い

たしました。かかる交渉を経て、当社は、2021 年8月4日に公開買付者から本公開買付価格を1株当

たり 2,360 円とする旨の再提案を受けました。当社は、当該提案について、その妥当性を本特別委員

会に確認するほか、2021 年8月5日付でトラスティーズから取得した株式価値算定書(以下「本株式

価値算定書」といいます。)の内容も踏まえて慎重に検討を行いました。このように、当社は、公開買

付者との間で、継続的に本公開買付価格の交渉を行ってまいりました。

 また、当社は、リーガル・アドバイザーである TMI 総合法律事務所から、本取引に関する諸手続を

含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとと

もに、本特別委員会から 2021 年8月5日付で、(i)本取引の目的は正当である、(ii)本取引に係る交

渉経緯は公正である、(iii)本取引の取引条件は妥当である、(iv)上記(i)乃至(iii)を前提とすると、

当社の取締役会が本取引の実施を決定することは当社の少数株主にとって不利益ではない旨の答申


                         14
書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要及び本特別委員会の具体的

な活動内容等については、下記「
              (6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を

回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立し

た特別委員会の設置及び意見(答申書)の入手」をご参照ください。。その上で、当社は、リーガル・
                               )

アドバイザーである TMI 総合法律事務所から受けた法的助言及び第三者算定機関であるトラスティー

ズから取得した本株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容

を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本取引におけ

る本公開買付価格を含む本取引の諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。



 当社の業績を左右する建設関連投資は、2021 年度において政府建設投資、民間住宅投資、民間非住

宅建設投資のいずれについても減少が予想されており、今後の急激な回復又は成長を見込むことはで

きない状況にあると考えられます。また、近年、働き方改革の意識の高まりや建設業界全体の人手不

足に伴う人件費の上昇及び建設資材価格の高止まりなどによって建設総コストが上昇しており、当社

の主要顧客である電気工事業者等からは値下げの要求を受ける一方、仕入先である電気機器メーカー

などからは物流費の上昇を理由に値上げの圧力を受けるなど、当社の収益環境は厳しさを増しており

ます。また、当社は、神奈川県では本店所在地である小田原や箱根、静岡県では伊東、下田、沼津と

いった観光地を商圏としておりますが、これらの地域における観光施設に対する設備投資は新型コロ

ナウイルス感染症の拡大の影響を受けており、設備投資の中止や延期、観光施設の一時閉鎖等が更に

長期化した場合は当社の収益に影響を及ぼすことが予想されます。さらに、地方の人口減少及び高齢

化は歯止めがかからない状況が続いており、地方の建設需要は先細りが見込まれるほか、当社の顧客

である中小規模の工務店の後継者不足の問題も深刻化しており、将来的に顧客が減少することも懸念

されます。当社は、上記「②   本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過

程並びに本公開買付け後の経営方針」の「
                  (a) 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った

背景、目的及び意思決定の過程」に記載の(i)乃至(iv)の施策を継続的に実施してまいりましたが、上

記のような厳しい事業環境を打開するためにはより踏み込んだ施策の実施が急務であると考えるに

至りました。具体的には、大型の DX 投資をはじめとする抜本的な業務改革、物流センターや倉庫付営

業所の新設等の大規模な設備投資、積極的な M&A の実行による事業の多角化等の施策を迅速かつ果敢

に実行することが必要であり、その他上記「②       本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的

及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「
                          (a) 公開買付者が本公開買付けの実施を

決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の(i)乃至(iv)の施策について近藤保氏が企

図している更なる取組みは、当社の中長期的な競争力・収益力の強化につながると考えております。

 しかしながら、上記の各施策の推進は、多額の初期投資や継続的な戦略的投資によるキャッシュ・

フローの悪化、M&A に付随するのれん償却費や PMI コストの増加等により短期的には当社の財務状況

や業績を大きく悪化させる可能性がある一方で、これらの施策が期待される収益を生むかどうかは不

確実であり、資本市場からの十分な評価を得ることができず、当社株式の株価の下落を招く可能性が

あることから、上場を維持したまま各施策を実行する場合、株主の皆様の利益を損なう可能性は否定


                       15
できません。他方でこれらの施策を縮小又は先延ばしにすることは、中長期的には当社の競争力・収

益力を弱めることにつながると考えております。

 以上を踏まえ、当社の株主の皆様に対して発生するおそれがある株価の下落等の悪影響を回避し、

前述の施策を迅速かつ果敢に実行していくためには、当社を非公開化し、所有と経営を一致させるこ

とで柔軟かつ機動的な経営体制を構築することが必要であると考えました。また、近藤保氏は当社の

代表取締役を 23 年間務め、当社の事業内容及び経営課題等を熟知していることを踏まえれば、マネ

ジメント・バイアウト(MBO)の手法により当社を非公開化することには十分な合理性があるとの

結論に至りました。なお、当社は、当社の意思決定の機動性を最大限確保すべく、本取引により当社

の株主を公開買付者及び近藤保氏のみとし、その後に公開買付者を株式交換完全親会社とし、当社を

株式交換完全子会社とする株式交換を実施することは非公開化取引の方法として不合理ではないと

考えております。

 加えて、近年の資本市場に対する規制の強化等により、社外役員の招致や内部統制体制の充実・強

化のための管理人員の増員等に伴うコストをはじめ、上場を維持するために必要なコストは増加して

おり、当社の大きな負担になりつつあります。2022 年に予定されている東京証券取引所の市場区分の

見直しに伴い上場を維持するためのコストは更に増加する可能性がありますが、当社株式を非公開化

し、これらのコストを上記の施策の実行に振り向けることで、当社の中長期の成長を実現することが

できると考えております。なお、当社株式の非公開化により、資本市場からエクイティ・ファイナン

スによる資金調達を行うことができなくなり、また、社会的な信用の向上といったこれまで上場会社

として享受してきたメリットを享受することができなくなります。しかしながら、当社の現在の財務

状況及び昨今の間接金融における低金利環境等を考慮すると、当面の間、エクイティ・ファイナンス

の必要性は高くなく、また、当社のブランド力や社会的な信用は事業活動を通じて獲得・維持されて

いる部分が大きくなっていること、当社の新規採用者の9割以上は当社が事業活動を通じて一定の知

名度を維持している神奈川県の人材が占めていることからすると知名度の低下により優れた人材を

確保することが困難になることも考えにくいことから、今後も継続して当社株式の上場を維持する必

要性は限定的と考えております。



 また、本公開買付価格(2,360 円)が、(a)下記「(3)算定に関する事項」に記載されているトラ

スティーズによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果のレンジの上

限値及び類似公開会社比準法に基づく算定結果のレンジの上限値を上回っており、また、ディスカウ

ンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定結果のレンジの中央

値(2,182 円)を超える金額であること、(b)本公開買付けの公表日の前営業日である 2021 年8月5

日を基準日として、基準日の直近取引成立日である 2021 年8月4日の東京証券取引所 JASDAQ 市場に

おける当社株式の終値 1,855 円に対して 27.22%(小数点第三位を四捨五入。以下、株価に対するプ

レミアム率の計算において同じです。、2021 年8月5日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値 1,748
                 )

円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して 35.01%、過

去3ヶ月間の終値単純平均値 1,623 円に対して 45.41%、過去6ヶ月間の終値単純平均値 1,595 円に


                         16
    対して 47.96%のプレミアムが加算されており、合理的なプレミアムが付されていると考えられるこ

    と、(c)下記「
           (6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措

    置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が採ら

    れていること等、少数株主への利益への配慮がなされていると認められること、(d)上記利益相反を

    解消するための措置が採られた上で、当社と公開買付者との間で独立当事者間の取引における協議・

    交渉と同等の協議・交渉が行われた上で決定された価格であること、(e)本特別委員会が、事前に交

    渉方針を確認するとともに、適時にその状況の報告を受け、交渉上重要な局面において意見、指示、

    要請等を行った上で、本公開買付価格について妥当である旨の意見を述べていること等を踏まえ、当

    社取締役会は、
          (ⅰ)本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値が向上すると見込まれるととも

    に、
     (ⅱ)本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当で

    あり、本公開買付けは、株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判

    断いたしました。

     以上より、当社は、2021 年8月6日開催の取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締

    役の全員一致で、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、

    本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。



(3)算定に関する事項

①   算定機関の名称並びに当社及び公開買付者等との関係

     当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価

    格に関する当社の意思決定の過程における公正性を担保するために、公開買付者、近藤保氏、共栄会、

    本応募合意株主及び当社から独立した第三者算定機関であるトラスティーズに対して、当社株式の株

    式価値の算定を依頼し、2021 年8月5日付で本株式価値算定書を取得いたしました。

     なお、トラスティーズは、公開買付者、近藤保氏、共栄会、本応募合意株主及び当社の関連当事者

    には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、本取

    引に係るトラスティーズの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取

    引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、第1回の特

    別委員会において、トラスティーズの独立性及び専門性に問題がないことから、当社の第三者算定機

    関として承認した上で、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを

    確認しております。



②   算定の概要

     トラスティーズは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前

    提の下、当社株式について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証

    券取引所 JASDAQ 市場に上場していることから市場株価法を、当社と比較可能な上場会社が複数存在

    し、類似会社比較による当社株式の株式価値の類推が可能であることから類似公開会社比準法を、当

    社の将来の事業活動の状況を算定に反映させるためにDCF法をそれぞれ算定方法として採用し、当


                          17
 社株式の株式価値の算定を行っております。なお、当社はトラスティーズから本公開買付価格の公正

 性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。

  上記の各手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。



  市場株価法:1,595円~1,855円

  類似公開会社比準法:1,665円~2,300円

  DCF法:1,861円~2,503円



  市場株価法では、2021年8月5日を算定基準日として、基準日の直近取引成立日である2021年8月

 4日の東京証券取引所JASDAQ市場における当社株式の終値1,855円、直近1ヶ月間の終値単純平均値

 1,748円、直近3ヶ月間の終値単純平均値1,623円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値1,595円を基に、

 当社株式の1株当たりの価値の範囲を1,595円から1,855円までと算定しております。

  次に、類似公開会社比準法では、当社と比較的類似する事業を営む類似上場企業として、因幡電機

 産業株式会社、藤井産業株式会社、泉州産業株式会社、トシン・グループ株式会社及び田中商事株式

 会社を選定した上で、企業価値に対するEBITDAの倍率(EV/EBITDA倍率)を用いて、当社の株式価値を

 算定し、その1株当たりの株式価値の範囲を、1,665円から2,300円までと算定しております。

  最後に、DCF法では、当社が作成した2022年3月期から2026年3月期までの5期分の事業計画に

 おける財務予測、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2022年3月期第2四半期以

 降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社

 の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの価値の範囲を1,861円から2,503円までと算

 定しております。割引率は加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost of Capital)と

 し、7.57%から8.77%を採用しております。継続価値の算定にあたっては、永久成長率法を採用し、

 永久成長率法では永久成長率を0.25%から0.75%としております。

  トラスティーズがDCF法の算定の前提とした当社作成の事業計画に基づく財務予測は以下のと

 おりです。また、当該財務予測は、大幅な増減益は見込んでおりません。また、本取引の実行により

 実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難で

 あるため、反映しておりません。



                                                                        (単位:百万円)

           2022年
                         2023年              2024年         2025年          2026年
           3月期
                         3月期                3月期           3月期            3月期
          (9カ月)

売上高            8,129       10,564             10,756        10,949         11,141

営業利益                72           185                234           271            296

EBITDA             100           213                262           295            320

フリー・キャ         ▲378              123                127           149            167


                                       18
ッシュ・フロ

ー



     トラスティーズは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開

    された情報等をそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを

    前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証は行っておりません。また、当社の資産及

    び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。 に関して独自の評価 査定を行っておらず、
                              )         ・

    第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。トラスティーズの算定は、2021年8月5日

    までの上記情報を反映したものです。



(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

    公開買付者は、上記「
             (2)意見の根拠及び理由」の「①     本公開買付けの概要」に記載のとおり、本

 公開買付けにより当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募株式を除きます。)を取

 得することができなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法により本スクイーズアウト手

 続を実施することを予定しているとのことです。

    具体的には、本公開買付けの成立後、公開買付者は、会社法第 180 条に基づき当社株式の併合を行う

 こと(以下「本株式併合」といいます。)及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃

 止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といい

 ます。)を開催することを当社に要請する予定とのことです。なお、公開買付者、公開買付者の代表取締

 役である近藤保氏は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。また、公開買

 付者は、当社の企業価値向上の観点から、本臨時株主総会を可能な限り早期に開催することが望ましい

 と考えており、本公開買付けの決済の開始日と近接する日が本臨時株主総会の基準日となるように、当

 社に対して公開買付期間中に基準日設定公告を行うことを要請する予定であり、本臨時株主総会の開催

 日は、2021 年 11 月下旬を予定しているとのことです。

    本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその

 効力を生ずる日において、当社の株主は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割

 合に応じた数の当社株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満

 たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主に対して、会社法第 235 条及び第 234 条第2項乃

 至第5項のその他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端

 数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じとします。
                                )に相当する当社株式を当社又は

 公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相

 当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の各株

 主(公開買付者、近藤保氏及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株

 主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却

 許可の申立てを行うよう当社に要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本日現在

 において未定ですが、公開買付者及び近藤保氏が当社の発行済株式の全て(但し、当社が所有する自己


                           19
 株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(公開買付

 者、近藤保氏及び当社を除きます。 の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定す
                 )

 るよう当社に対して要請する予定とのことです。当社は、本公開買付けが成立した場合には、公開買付

 者による本公開買付け後の組織再編等の方針に関する要請に応じる予定です。

  本株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、本株式併合がなされ

 た場合であって、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法

 第 182 条の4及び第 182 条の5その他の関係法令の定めに従って、当社の株主は、当社に対してその所

 有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することが

 できる旨及び裁判所に対して当社株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められています。

 上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(公開買付者、近

 藤保氏及び当社を除きます。 の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、
              )                               本株

 式併合に反対する当社の株主は、会社法第 182 条の4及び第 182 条の5その他の関係法令の定めに従っ

 て、価格決定の申立てを行うことが可能となる予定です。

  なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することとなり

 ます。

  上記の手続については、関係法令についての改正、施行、当局の解釈等の状況等によっては、実施の

 方法及び時期に変更が生じる可能性があります。但し、その場合でも、本公開買付けに応募されなかっ

 た当社の各株主(公開買付者、近藤保氏及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方

 法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格

 に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定です。

  上記の本臨時株主総会を開催する場合、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様

 の賛同を勧誘するものでは一切ありません。



  なお、本公開買付けへの応募又は上記の手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様

 において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。

  また、公開買付者は、最終的に公開買付者が当社の唯一の株主となることを予定しており、かかる目

 的を達成する手段として、本スクイーズアウト手続の完了後、公開買付者を株式交換完全親会社とし、

 当社を株式交換完全子会社とする株式交換を実施することを予定しているとのことです。当該手続に関

 する具体的な日程等の詳細については未定とのことです。



(5)上場廃止となる見込み及びその事由

  当社株式は、本日現在、東京証券取引所 JASDAQ 市場に上場されておりますが、公開買付者は本公開買

 付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所

 の上場廃止基準に従い、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公

 開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、上記「(4)本公開

 買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本スクイーズアウト手続が


                         20
実行された場合には東京証券取引所の上場廃止基準に該当し、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止

になります。上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所 JASDAQ 市場において取引することはできません。



(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付

    けの公正性を担保するための措置

    公開買付者及び当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当する本

取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買

付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及

び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施

いたしました。

    なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明

 に基づくものです。



①    当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

     当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価

    格に関する当社の意思決定の過程における公正性を担保するために、公開買付者、近藤保氏、共栄会、

    本応募合意株主及び当社から独立した第三者算定機関であるトラスティーズに対して、当社株式の株

    式価値の算定を依頼し、2021 年8月5日付で本株式価値算定書を取得いたしました。

     なお、トラスティーズは、公開買付者、近藤保氏、共栄会、本応募合意株主及び当社の関連当事者

    には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、本取

    引に係るトラスティーズの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取

    引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、第1回の特

    別委員会において、トラスティーズの独立性及び専門性に問題がないことから、当社の第三者算定機

    関として承認した上で、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを

    確認しております。

     本株式価値算定書の概要については、上記「(3)算定に関する事項」をご参照ください。



②    当社における独立した法律事務所からの助言

     当社は、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保す

    るため、公開買付者、近藤保氏、共栄会、本応募合意株主及び当社から独立したリーガル・アドバイ

    ザーとして TMI 総合法律事務所を選任し、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会の意思決

    定の過程、方法その他の本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法

    的助言を受けております。なお、TMI 総合法律事務所は、公開買付者、近藤保氏、共栄会、本応募合

    意株主及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有

    しておりません。また、本取引に係る TMI 総合法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払

    われる時間単位の報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりませ


                            21
    ん。また、本特別委員会は、第1回の特別委員会において、TMI 総合法律事務所の独立性及び専門性

    に問題がないことから、当社のリーガル・アドバイザーとして承認した上で、本特別委員会としても

    必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認しております。



③   当社における独立した特別委員会の設置及び意見(答申書)の入手

     当社は、本取引がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであり、

    当社における本取引の検討において構造的な利益相反状態が生じ得ること等に鑑み、当社の意思決定

    に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、公正性、透明性及び客

    観性を担保するために、2021 年5月 28 日開催の当社取締役会において、公開買付者、近藤保氏、共

    栄会、本応募合意株主及び当社から独立した、外部の有識者を含む委員によって構成される本特別委

    員会(本特別委員会の委員としては、当社の社外取締役である藤田博司氏(公認会計士)、当社の社外

    監査役である関野純一氏及び弁護士である太田大三氏(丸の内総合法律事務所 パートナー)を選定い

    たしました。当社は、当初からこの3名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の

    委員を変更した事実はありません。)を設置いたしました。なお、本特別委員会の委員の互選により、

    当社の社外取締役である藤田博司氏が本特別委員会の委員長に就任しております。また、当社は、公

    開買付者との間の交渉状況について本特別委員会に適時に報告を行うものとし、本特別委員会は、必

    要に応じて、公開買付者との本取引に係る条件交渉について方針を定め、重要な局面で意見を述べ、

    当社に対して要請を行うことができ、また、当社は公開買付者との本取引に係る条件交渉について、

    本特別委員会より受けた意見、指示及び要請を最大限尊重することをあらかじめ決定しております。

    また、本特別委員会の委員の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本

    取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。

     そして、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、(a)本取引の目的の正当性、

    (b)本取引に係る交渉過程の手続の公正性、(c)本取引により当社の少数株主に交付される対価の妥

    当性、(d)上記(a)乃至(c)その他の事項を前提に、当社の取締役会が本取引の実施(本公開買付け

    に係る当社の意見表明を含みます。)を決定することが当社の少数株主にとって不利益であるか否か

    (以下、(a)乃至(d)の事項を「本諮問事項」といいます。)について諮問し、これらの点について答

    申書を当社に提出することを嘱託いたしました。また、併せて、当社取締役会は、本特別委員会に対

    し、(i)本取引に係る調査を行うことができる権限、(ⅱ)当社に対し、
                                     (ア)本特別委員会としての提

    案その他の意見又は質問を公開買付者に伝達すること、及び(イ)本特別委員会自ら公開買付者と協

    議・交渉する機会の設定を要望する権限並びに(ⅲ)当社の費用にて、弁護士、算定機関、公認会計士

    その他のアドバイザーを独自に選任することができる権限等を与えることを決定しております。

     本特別委員会は、2021 年6月2日より 2021 年8月2日までの間に合計8回開催され、本諮問事項

    についての協議及び検討が慎重に行われました。具体的には、本特別委員会は、まず第1回の特別委

    員会において、当社が選任した第三者算定機関及びリーガル・アドバイザーにつき、いずれも独立性

    及び専門性に問題がないことから、それぞれを当社の第三者算定機関及びリーガル・アドバイザーと

    して承認した上で、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認


                           22
いたしました。また、公開買付者との交渉過程への関与方針として、直接の交渉は当社の社内者やア

ドバイザーが当社の窓口として行うこととしつつ、交渉担当者から適時に状況の報告を受け、重要な

局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、取引条件に関する交渉過程に実質的に関与する

ことを確認いたしました。

 その上で、本特別委員会は、当社から、当社の沿革、事業内容及び業績推移、現在の経営課題、本

取引によって見込まれる当社への事業への影響の内容、本取引に替わる施策の可能性を含めての本取

引を前提としない場合の企業継続に関する見通し、並びに当社の事業計画の作成経緯等について説明

を受け、質疑応答を行いました。また、公開買付者から、本取引を提案するに至った理由及び背景、

本取引の目的、本取引によって見込まれるメリット・デメリットその他の影響の内容及び程度、並び

に本取引後の当社の経営方針等について説明を受け、質疑応答を行いました。また、当社の第三者算

定機関であるトラスティーズから、当社株式の株式価値の算定に関する説明を受け、質疑応答を行っ

た上で、当該算定結果の合理性について検討いたしました。また、当社のリーガル・アドバイザーで

ある TMI 総合法律事務所から、特別委員会の意義・役割等を含む本取引の手続面における公正性を担

保するための措置、並びに本取引に係る当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の利益相反を

回避するための措置の内容について助言を受けております。

 また、本特別委員会は、当社から、当社と公開買付者との間における本取引に係る協議・交渉の経

緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、本特別委員会において協議し、本公開買付価格につき、

上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程と

理由」に記載のとおり交渉が行われ、公開買付者から本公開買付価格を1株当たり 2,360 円とする旨

の提案を受けるに至るまで、当社に複数回意見する等して、公開買付者との交渉過程に関与いたしま

した。

 本特別委員会は、以上の経緯の下、本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2021 年

8月5日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出いたしま

した。



 (a)本取引の目的の正当性

      当社の業績を左右する建設関連投資は、2021 年度において減少が予想されており、今後の急

  激な回復又は成長を見込むことはできない状況にあると考えられる。また、近年、人件費の上昇

  及び建設資材価格の高止まりなどによって建設総コストが上昇しており、当社の主要顧客である

  電気工事業者等からは値下げの要求を受ける一方、仕入先からは物流費の上昇を理由に値上げの

  圧力を受けている。また、当社は、小田原、箱根、伊東、下田、沼津といった観光地を商圏とし

  ているところ、これらの地域における観光施設に対する設備投資は新型コロナウイルス感染症の

  拡大の影響を受けており、設備投資の中止や延期、観光施設の一時閉鎖等が更に長期化した場合

  は当社の収益に影響を及ぼすことが予想される。さらに、地方の人口減少及び高齢化により、地

  方の建設需要は先細りが見込まれるほか、中小規模の工務店の後継者不足の問題により、将来的

  に顧客が減少することも懸念されている。


                        23
 このような厳しい事業環境を打開するためには、抜本的な業務改革、物流センターや倉庫付営

業所の新設等の大規模な設備投資、積極的な M&A の実行による事業の多角化等の施策を迅速か

つ果敢に実行することが必要であり、また、非公開化によって(i)機動的な人事戦略を講じるこ

とで、セールスエンジニアを始めとする専門人財の確保と既存の従業員のスキルアップを可能と

すること、(ⅱ)新市場・新製品に関する知見を獲得することで、新規得意先の開拓を一層促進

すること、(ⅲ)大規模な投資や他社との協業により、当社独自の製品・ブランドを確立するこ

と、(iv)DX(デジタル・トランスフォーメーション)への大型投資を実施することで社内外の効

率的な事業運営を促進することは、当社の中長期的な競争力・収益力の強化につながると考えら

れる。

 上記の各施策の推進は、多額の初期投資や継続的な戦略的投資によるキャッシュ・フローの悪

化等により短期的には当社の財務状況や業績を大きく悪化させる可能性がある一方で、これらの

施策が期待される収益を生むかどうかは不確実であり、資本市場からの十分な評価を得ることが

できず、当社株式の株価の下落を招く可能性があることから、上場を維持したまま各施策を実行

する場合、株主の利益を損なう可能性は否定できない。

 以上を踏まえ、当社の株主に対して発生するおそれがある株価の下落等の悪影響を回避し、上

記の各施策を迅速かつ果敢に実行していくためには、当社を非公開化し、所有と経営を一致させ

ることで柔軟かつ機動的な経営体制を構築することが必要であると考えられる。また、近藤保氏

は当社の代表取締役を 23 年間務め、当社の事業内容及び経営課題等を熟知していることを踏ま

えれば、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法により当社を非公開化することには十分な

合理性がある。

 また、当社の意思決定の機動性を最大限確保すべく、本取引により当社の株主を公開買付者及

び近藤保氏のみとし、その後に公開買付者を株式交換完全親会社とし、当社を株式交換完全子会

社とする株式交換を実施することは非公開化取引の方法として不合理ではない。

 加えて、近年の資本市場に対する規制の強化等により、上場を維持するために必要なコストは

増加しており、当社の大きな負担になりつつある。東京証券取引所の市場区分の見直しに伴い上

場を維持するためのコストは更に増加する可能性があるが、当社株式を非公開化し、これらのコ

ストを上記の施策の実行に振り向けることで、当社の中長期の成長を実現することができると考

えられる。また、当社の現在の財務状況及び昨今の間接金融における低金利環境等を考慮すると、

当面の間、エクイティ・ファイナンスの必要性は高くなく、また、当社のブランド力や社会的な

信用は事業活動を通じて獲得・維持されている部分が大きくなっていること、当社の新規採用者

の9割以上は当社が事業活動を通じて一定の知名度を維持している神奈川県の人材が占めてい

ることからすると知名度の低下により優れた人材を確保することが困難になることも考えにく

いことから、今後も継続して当社株式の上場を維持する必要性は限定的と考えられる。

 以上の本公開買付けを含む本取引の目的には、いずれも不合理な点はなく、合理的な検討の結

果と認められることから、本取引は当社の企業価値向上を目的として行われるものといえ、本取

引の目的は正当であると判断するに至った。


                   24
(b)本取引に係る交渉過程の手続の公正性

 (i)当社による検討方法

   当社が本取引について検討するにあたっては、公開買付者、近藤保氏、共栄会、本応募合意

  株主及び当社からそれぞれ独立した第三者算定機関であるトラスティーズ及びリーガル アド
                                         ・

  バイザーである TMI 総合法律事務所から助言・意見等を得ながら、当社の企業価値の向上ひい

  ては株主共同の利益の観点から、本公開買付価格をはじめとする本公開買付けの買付条件の妥

  当性及び本取引の一連の手続の公正性といった点について慎重に検討及び協議を行っている。

 (ⅱ)当社による協議・交渉

   当社は、本公開買付価格について、少数株主の利益保護の観点からその公正性を確保するた

  めの実質的な協議・交渉を公開買付者との間で複数回にわたって行っている。

   具体的には、当社は、トラスティーズを通じて、公開買付者からの本公開買付価格の提案に

  対して、複数回にわたり繰り返し価格交渉を実施した。なお、当該協議・交渉にあたっては、

  本特別委員会は、当社から当該協議・交渉の経緯及び内容等について適時に報告を受け、本特

  別委員会を通じて方針等を協議し、意見を述べるなどした上で行うなど、本特別委員会が公開

  買付者との交渉過程に実質的に関与する形で行われている。

   そして、その交渉の結果として、2,360 円という本公開買付価格の決定に至るまでには、当

  社株式1株当たり 2,050 円とする公開買付者の当初の提案より、 円の価格引上げを引き出
                                   310

  している。

 (ⅲ)本取引の交渉過程における特別利害関係人の不関与

   当社を代表して本取引を検討・交渉する取締役には、近藤保氏を含め、本取引に特別な利害

  関係を有する者は含まれておらず、その他、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程で、公開

  買付者その他の本取引に特別な利害関係を有する者が当社側に不当な影響を与えたことを推

  認させる事実は存在しない。

 (iv)本特別委員会の意見等を最大限尊重すること

   当社は、本取引に係る決定を行うに際しては、本特別委員会より受けた意見、指示及び要請

  を最大限尊重することとしている。

 (ⅴ)小括

   以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引に

  係る交渉過程の手続は公正であると判断するに至った。



(c)本取引により当社の少数株主に交付される対価の妥当性

 (i)トラスティーズによる株式価値算定書

   当社が、公開買付者、近藤保氏、共栄会、本応募合意株主及び当社から独立した第三者算定

  機関であるトラスティーズから取得した本株式価値算定書によれば、当社株式の1株当たりの

  株式価値は、市場株価法によると 1,595 円から 1,855 円、
                                   DCF法によると 1,861 円から 2,503


                         25
  円、類似公開会社比準法によると 1,665 円から 2,300 円とされている。

    本公開買付価格は、トラスティーズから取得した株式価値算定書の市場株価法による算定

  結果のレンジの上限値及び類似公開会社比準法に基づく算定結果のレンジの上限値を上回る

  金額であり、また、DCF法に基づく算定結果のレンジの中央値(2,182 円)を超える金額で

  ある。

    そして、本特別委員会は、トラスティーズから株式価値評価に用いられた算定方法等につい

  て詳細な説明を受けるとともに、トラスティーズ及び当社に対して評価手法の選択や算定の

  基礎となる当社の事業計画に基づく財務予測を含む前提条件等に関する質疑応答を行った上

  で検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。

    加えて、本公開買付価格(2,360 円)は、本取引の公表予定日の前営業日(2021 年8月5

  日)の直近取引成立日である 2021 年8月4日の東京証券取引所 JASDAQ 市場における当社株

  式の終値 1,855 円に対して 27.22%、同日までの直近1か月間の終値の単純平均値 1,748 円に

  対して 35.01%、同日までの直近3か月間の終値の単純平均値 1,623 円に対して 45.41%、同

  日までの直近6か月間の終値の単純平均値 1,595 円に対して 47.96%のプレミアムをそれぞ

  れ加えた金額であって、かかるプレミアムの水準は、マネジメント・バイアウト(MBO)の

  一環として行われた公開買付けに係る同種他社事例における平均的なプレミアム水準と比し

  て合理的なプレミアムが付された価格である。

 (ii)交渉過程の手続の公正性

    上記 (b)のとおり、本公開買付けを含む本取引に係る交渉過程の手続は公正であると認め

  られるところ、本公開買付価格は、かかる交渉の結果も踏まえて決定されたものであると認め

  られる。

 (ⅲ)本公開買付後の手続において交付される対価

    本公開買付けに応募しなかった少数株主は、本公開買付けの後に実施される予定の非公開

  化の手続において、最終的に金銭が交付されることになるところ、当該手続において交付され

  る金銭の額については、本公開買付価格に株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と

  同一となるよう算定される予定である旨が、プレスリリース等で明示される予定である。

 (iv)小括

    以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引に

  より当社の少数株主に交付される対価は妥当であると判断するに至った。



(d)上記(a)乃至(c)その他の事項を前提に、当社の取締役会が本取引の実施(本公開買付けに係

  る当社の意見表明を含む。)を決定することが当社の少数株主にとって不利益であるか否か

  上記(a)乃至(c)記載の事項に加えて、(i)公開買付者と当社とは、公開買付者以外の者によ

 る公開買付け等の機会が不当に制限されることがないよう、当社が公開買付者以外の対抗的買収

 提案者と接触することを制限するような合意や公開買付者に対する賛同の意見表明を撤回する

 ことができないような制約を含む合意は一切行っておらず、対抗的な買付けの機会を妨げないこ


                        26
      ととすること、(ii)公開買付者は、本公開買付けの成立後、株式併合及び株式併合の効力発生を

      条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時

      株主総会を開催することを当社に要請することを予定しており、当社の株主に対して株式買取請

      求権又は価格決定請求権が確保されない手法は採用しないこと、(ⅲ)公開買付期間が法令に定

      められた最短期間(20 営業日)よりも長期である 34 営業日に設定される予定であり、当社の株

      主に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について

      対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付価格の適

      正性を担保することを企図していること等を踏まえて、本取引が当社の少数株主に及ぼす影響を

      慎重に検討した結果、当社による本公開買付けへの賛同意見の表明及び当社の株主に対して応募

      推奨することを含め、当社の取締役会が本取引の実施を決定することは当社の少数株主にとって

      不利益ではないと判断するに至った。



④   当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がな

    い旨の意見

     当社は、トラスティーズから取得した本株式価値算定書、TMI 総合法律事務所からの法的助言を踏

    まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む

    本取引の諸条件について、慎重に協議及び検討を行いました。その結果、当社は、上記「(2)意見の

    根拠及び理由」の「③   当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の

    とおり、本取引について、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値が向上すると見込まれる

    とともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当

    であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式の売却の機会を提供するものであ

    ると判断し、2021 年8月6日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役

    (近藤保氏を除く取締役5名)の全員一致で、本公開買付けへ賛同する旨の意見を表明するとともに、

    当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。なお、上記取

    締役会には、当社の監査役3名全員が出席し、いずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の

    意見を述べております。

     なお、当社の取締役のうち、代表取締役社長である近藤保氏は、公開買付者の代表取締役及び唯一

    の株主かつ当社の第2位の株主であり、本公開買付け終了後も継続して当社の経営にあたることを予

    定していることから、本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあり、必ずしも当社の少数株主

    と利害が一致しないため、特別利害関係人として、当該取締役会における審議及び決議には一切参加

    しておらず、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切関与しておりません。



⑤   本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保

     公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が 20 営業日であるところ、34 営業日

    に設定しているとのことです。公開買付期間を比較的長期に設定することにより、当社の株主の皆様

    に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について対抗的


                          27
     買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付価格の適正性を担保

     することを企図しているとのことです。

      また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護

     条項や公開買付者に対する賛同の意見表明を撤回することができないような制約を含む合意等、当該

     対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておりません。こ

     のように、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本

     公開買付けの公正性の担保に配慮しております。



4.本公開買付けに係る重要な合意に関する事項

 ①   本共栄会応募契約

 公開買付者は、2021 年8月6日に、共栄会との間で、共栄会会員全員が共栄会を通じて所有する当社株

式(所有株式数:168,800 株、所有割合:19.30%(但し、退会者が所有する当社株式は除きます。
                                                  )につい

て、共栄会会員全員(但し、退会者は除きます。
                     )から、共栄会として本公開買付けへ応募することに賛同

を得られること、及び本公開買付けに応募するために必要な共栄会の規約変更手続を実施することについ

て同意を得られることを条件に、共栄会が本公開買付けに応募することを共栄会の理事会と合意している

とのことです。

 ②   本応募契約

 公開買付者は、2021 年8月6日に、光昭との間で、その所有する当社株式の全て(所有株式数:31,800

株、所有割合:3.64%)について本公開買付けに応募する旨を合意しているとのことです。

 公開買付者は、2021 年8月6日に、フジデンとの間で、その所有する当社株式の全て(所有株式数 10,000
                                                :

株、所有割合:1.14%)について本公開買付けに応募する旨を合意しているとのことです。

 公開買付者は、2021 年8月6日に、ネグロス電工との間で、その所有する当社株式の全て(所有株式数:

5,500 株、所有割合 0.63%)について本公開買付けに応募する旨を合意しているとのことです。

 公開買付者は、2021 年8月6日に、ミツワ電機との間で、その所有する当社株式の全て(所有株式数:

4,800 株、所有割合:0.55%)について本公開買付けに応募する旨を合意しているとのことです。

 なお、本応募合意株主との間の上記の合意において、本公開買付け開始後における当社株式の応募の前

提条件は存在しないとのことです。

 ③   本不応募合意

 公開買付者は、2021 年8月6日に、近藤保氏との間で、近藤保氏が所有する本不応募株式(所有株式数:

108,280 株、所有割合:12.38%)について、応募しないことを口頭により合意しているとのことです。

 なお、近藤保氏との間の上記の合意において、本公開買付け開始後における当社株式の不応募の前提条

件は存在しないとのことです。



5.公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容

 該当事項はありません。




                          28
6.会社の支配に関する基本方針に係る対応方針

 該当事項はありません。



7.公開買付者に対する質問

 該当事項はありません。



8.公開買付期間の延長請求

 該当事項はありません。



9.今後の見通し

 上記「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「
                              (2)意見の根拠及び理由」の「②       本

公開買付けを実施するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」「
                                           、(4)

本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」及び「
                                    (5)上場廃止となる見

込み及びその事由」をご参照ください。



10.その他

 当社は、2021 年8月6日開催の取締役会において、本公開買付けが成立することを条件に、2021 年7月

27 日に公表した 2022 年3月期の配当予想を修正し、2022 年3月期の期末配当を実施しないことを決議し

ております。また、当社は、20