9842 アークランド 2020-06-09 15:55:00
株式会社LIXILビバ株式(証券コード:3564)に対する公開買付けの開始及び資金の借入れに関するお知らせ [pdf]

                                             2020 年6月9日
 各   位
                         会 社 名   アークランドサカモト株式会社
                         代表者名    代表取締役会長(CEO) 坂本 勝司
                                 (コード番号 9842 東証第一部)
                         問合せ先    取締役管理本部長      志田 光明
                                 (TEL. 0256-33-6000)



         株式会社LIXILビバ株式(証券コード 3564)に対する
           公開買付けの開始及び資金の借入れに関するお知らせ


 アークランドサカモト株式会社(以下「公開買付者」といいます。)は、本日開催の取締役会におい
て、株式会社LIXILビバ(コード番号 3564、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」
といいます。)市場第一部上場、以下「対象者」といいます。)の普通株式(以下「対象者株式」とい
います。)を金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号。その後の改正を含みます。以下「法」といいま
す。)による公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により取得することを決定いたしまし
たので、下記のとおりお知らせいたします。
 また、公開買付者は、同取締役会において、本取引(以下に定義されます。)に要する資金の確保の
ため、資金の借入れを行うことを決定いたしました。

                          記

Ⅰ 本公開買付けについて
1 買付け等の目的等
(1) 本公開買付けの概要
  公開買付者は、2020 年6月9日開催の取締役会において、東京証券取引所市場第一部に上場している
対象者株式の全て(ただし、公開買付者が所有する対象者株式、対象者の親会社である株式会社LIX
ILグループ(所有株式数:23,367,300 株、所有割合(注1):53.22%、以下「LIXILグループ」
といいます。)が所有する本不応募株式(以下に定義されます。)及び対象者が所有する自己株式を除
きます。)を取得することにより、対象者を完全子会社化することを目的として、対象者株式が上場廃
止となることを前提とした一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを
実施することを決定いたしました。本日現在、公開買付者は、対象者株式 585,000 株(所有割合:1.33%)
を所有しております。
  本取引は、①本公開買付け、及び、本公開買付けが成立した場合であって、公開買付者が本公開買付
けにおいて、対象者株式の全て(ただし、公開買付者が所有する対象者株式、LIXILグループが所
有する本不応募株式(以下に定義されます。)及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得で
きなかった場合に対象者が行う株式併合(以下「本株式併合」といいます。)を通じて、対象者の株主
をLIXILグループ及び公開買付者のみとすること、②下記③に定義する対象者自己株式取得を実行
するための資金及び分配可能額を確保することを目的として、(i)公開買付者が対象者に対し、対象者自
己株式取得(以下に定義されます。)に係る対価に充てる資金を提供すること(以下「本資金提供」と
いいます。)、及び(ii)対象者において、会社法第 447 条第1項及び第 448 条第1項に基づく対象者の資
本金、資本準備金及び利益剰余金の額の減少((注2)以下「本減資等」といいます。)を行うこと、
並びに③本公開買付けの成立及び本株式併合の効力発生を条件として対象者によって実施されるLIX
ILグループが所有する本不応募株式(以下に定義されます。)の自己株式取得(以下「対象者自己株式



                         ―1―
取得」といいます。) からそれぞれ構成され、最終的に、公開買付者が対象者を完全子会社化すること
を企図しております。なお、本株式併合の詳細につきましては下記「(4)本公開買付け後の組織再編等
の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」を、本資金提供、本減資等及び対象者自己株式取得の詳
細につきましては下記「Ⅲ.本公開買付けの実施後」の「②本資金提供及び本減資等(2020 年 10 月頃
(予定))」及び「③対象者自己株式取得(2020 年 11 月頃(予定))」を、それぞれご参照ください。
 本公開買付けに際し、公開買付者は、2020 年6月9日付で、LIXILグループとの間で①LIXI
Lグループが所有する対象者株式 23,367,300 株(所有割合: 53.22%、以下「本不応募株式」といいま
す。)の全てについて本公開買付けに応募しないこと、②本不応募株式については、本株式併合の効力発
生後に対象者自己株式取得に応じて対象者に売却することを含めた、本取引に係る諸条件について合意
し、かかる諸条件について定めた合意書 (以下「本合意書」といいます。)を締結しております。また、
公開買付者は、2020 年6月9日付で、対象者及びLIXILグループとの間で、本公開買付けが成立し
たことを条件に、対象者が、本株式併合、本減資等及び対象者自己株式取得を実施することを含めた、
本取引に係る諸条件について合意し、かかる諸条件について定めた覚書(以下「本覚書」といいます。)
を締結しております。更に、公開買付者は、2020 年6月9日付で、対象者との間で本公開買付けが成立
した場合の両社間の業務提携について定めた資本業務提携契約書(以下「本資本業務提携契約書」とい
います。)を締結しております。なお、本合意書、本覚書及び本資本業務提携契約書の詳細につきまし
ては下記「(6) 本公開買付けに関する重要な合意」の「① 本合意書」、同「② 本覚書」及び同「③ 本
資本業務提携契約書」をそれぞれご参照ください。
 本公開買付けにおいては、公開買付者は、対象者の完全子会社化を企図しているため買付予定数の下
限(注3)を 5,319,700 株(所有割合:12.12%)としており、本公開買付けに応募された株券等(以下
「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限に満たない場合には、公開買付者は、応
募株券等の全部の買付け等を行いません。一方、本公開買付けにおいては、買付予定数の上限を設定し
ておりませんので、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(5,319,700 株)以上の場合は、公開買付
者は、応募株券等の全部の買付け等を行います。

(注1) 「所有割合」とは、対象者が 2020 年5月 11 日に公表した「2020 年3月期決算短信〔日本基
    準〕(非連結)」(以下「対象者決算短信」といいます。)に記載された 2020 年3月 31 日現在の
    発行済株式総数 44,720,000 株から、2020 年3月 31 日現在の対象者が所有する自己株式数
    (812,007 株)を控除した株式数(43,907,993 株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入)
    をいいます。以下、所有割合の記載において同じとします。
(注2) 本減資等においては、対象者の資本金、資本準備金及び利益剰余金の額を減少し、その他資本
    剰余金又はその他利益剰余金へ振り替える予定です。
(注3) 本公開買付けにおける買付予定数の下限(5,319,700 株、所有割合:12.12%)は、対象者決算
    短信に記載された 2020 年3月 31 日現在の発行済株式総数 44,720,000 株から、2020 年3月 31 日
    現在の対象者が所有する自己株式数(812,007 株)を控除した株式数(43,907,993 株)に係る議決
    権の数(439,079 個)の3分の2(292,720 個)(小数点以下切上げ)に、対象者の単元株式数で
    ある 100 株を乗じた数(29,272,000 株)から、2020 年3月 31 日現在の公開買付者が所有する対象
    者株式数 585,000 株及びLIXILグループが所有する本不応募株式 23,367,300 株を控除した株
    式数に設定しております。

 公開買付者は、本公開買付けに係る決済に要する資金を、本公開買付けの成立等を条件とする株式会
社三井住友銀行(以下「三井住友銀行」といいます。)からの融資(以下「本決済資金融資」といいま
す。)により賄うことを予定しております。

 また、公開買付者は、下記「(4) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する
事項)」に記載のとおり、本公開買付けにおいて、対象者株式の全て(ただし、公開買付者が所有する
対象者株式、LIXILグループが所有する本不応募株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)
を取得できなかった場合には、対象者に対し、本取引の一環として本株式併合の実施を要請する予定で



                              ―2―
すが、本株式併合により生じる端数の合計額に相当する対象者株式の取得にかかる資金については、三
井住友銀行からの融資(以下「端数買取資金融資」といいます。)により賄うことを予定しております。
 加えて、対象者自己株式取得に関して、公開買付者は対象者に対して本資金提供を行うことを予定し
ておりますが、本資金提供にかかる資金については、三井住友銀行からの融資(以下「本資金提供資金
融資」といいます。)により賄うことを予定しております。

 上記の本決済資金融資、端数買取資金融資及び本資金提供資金融資の詳細は、三井住友銀行と別途協
議の上、当該融資に係る融資契約において定めることとされておりますが、当該融資に係る融資契約で
は、本公開買付けに係る公開買付届出書の添付書類である融資証明書に記載されている貸付実行条件及
び一定の財務制限条項等の同種の融資契約に通常定められる契約条件が規定される予定であり、公開買
付者が本公開買付けにより取得する対象者株式が担保に供されることを予定しております。
 なお、本取引を図で表示すると大要以下のとおりとなります。

Ⅰ.本公開買付けの実施前
  2020 年3月 31 日時点において、公開買付者が対象者株式 585,000 株(所有割合: 1.33%)、LIXI
Lグループが 23,367,300 株(所有割合: 53.22%)、少数株主が残りの 19,955,693 株(所有割合:
45.45%)を所有。


  LIXILグループ           少数株主               公開買付者


      53.22%           45.45%             1.33%
               対象者



Ⅱ.本公開買付け(2020 年6月 10 日~7月 21 日(予定))
 公開買付者は、対象者株式の全て(ただし、公開買付者が所有する対象者株式、LIXILグループ
が所有する本不応募株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を対象に本公開買付けを実施。
(対象者株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)は 2,600 円。)


  LIXILグループ           少数株主               公開買付者

                                本公開買付け
      53.22%

               対象者



Ⅲ.本公開買付けの実施後
  ① 本株式併合(2020 年 10 月頃(予定))
     公開買付者は、本公開買付けにおいて、対象者株式の全て(ただし、公開買付者が所有する
    対象者株式、LIXILグループが所有する本不応募株式及び対象者が所有する自己株式を除
    きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、対象者に対して本株式併合
    の手続きの実行を要請し、対象者の株主を公開買付者及びLIXILグループのみとするため
    の一連の手続きを実施。




                                ―3―
 LIXILグループ             少数株主               公開買付者

                               本株式併合により
                               スクイーズアウト

               対象者




  ② 本資金提供及び本減資等(2020 年 10 月頃(予定))
     対象者株式が上場廃止となり、本株式併合の効力発生後に、下記③の対象者自己株式取得に
    必要となる資金を確保するために、公開買付者は対象者への貸付けにより本資金提供を実施し
    (ただし、対象者の分配可能額が不足する場合には、一部を対象者に対する貸付けの代わりに、
    公開買付者のみを引受人とする第三者割当増資にて提供する可能性があります。)、対象者は
    下記③の対象者自己株式取得に必要となる分配可能額を確保するために本減資等(資本金、資
    本準備金及び利益準備金の額を減少し、その他資本剰余金又はその他利益剰余金へ振り替え)
    を実施。


   LIXILグループ                               公開買付者
                              本資金提供



                         対象者

                       本減資等


  ③ 対象者自己株式取得(2020 年 11 月頃(予定))
     対象者は、上記②の本資金提供及び本減資等により確保された資金及び分配可能額を活用し
    て、LIXILグループが所有する本不応募株式を取得する対象者自己株式取得を実施(対象
    者自己株式取得価格(下記「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決
    定の過程並びに本公開買付け及び本取引後の経営方針」の「②公開買付者と対象者及びLIX
    ILグループとの協議、公開買付者による意思決定の過程」で定義されます)は 2,423 円。

   LIXILグループ                               公開買付者
                     対象者自己株式取得



                         対象者




 対象者が 2020 年6月9日に公表した「アークランドサカモト株式会社による当社株式に対する公開買
付けに関する意見表明のお知らせ」(以下「対象者プレスリリース」といいます。)によれば、対象者
は、公開買付者、対象者及びLIXILグループから独立した第三者算定機関であるフロンティア・マ
ネジメント株式会社(以下「フロンティア・マネジメント」といいます。)から取得した株式価値算定
書の内容、公開買付者、対象者及びLIXILグループから独立したリーガル・アドバイザーとして選
任した法律事務所である西村あさひ法律事務所から得た法的助言を参照し、公開買付者及びLIXIL
グループとの間で実施した複数回に亘る協議の内容その他の関連資料を踏まえ、公開買付者、対象者及



                               ―4―
びLIXILグループから独立性を有する特別委員会から取得した答申書の内容を最大限に尊重しなが
ら、本取引に関する諸条件について慎重に審議及び検討を行い、本公開買付けにより対象者の少数株主
に適正な価格で対象者株式を売却できる機会を提供することが、現時点における株主の利益を配慮した
上での最善の選択であり、既存株主利益の最大化と今後の対象者の更なる成長及び企業価値の向上に資
するとの結論に至るとともに、 2,600 円という本公開買付価格は、妥当なものであり、本公開買付けは
対象者の株主の皆様に対して合理的な株式売却の機会を提供するものであると判断し、2020 年6月9日
付けの対象者取締役会決議によりて、対象者の意見として、本公開買付けに賛同の意見を表明するとと
もに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決定をしたとのこと
です。
 上記対象者取締役会決議の詳細及び決議の方法については、対象者プレスリリース、下記「(2) 本公
開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け及び本取引後の
経営方針」の「③対象者における意思決定の過程及び理由」、及び下記「(3)本公開買付価格の公正性を
担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措
置」の「⑤対象者における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む)の承認」をご参照くだ
さい。

(2) 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け及び本
    取引後の経営方針
  公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買
付後の経営方針は、以下のとおりです。なお、以下の記載のうち対象者に関する記述は、対象者が公表
した情報、対象者プレスリリース及び対象者から受けた説明に基づくものです。

  ① 本公開買付けの背景等
      公開買付者は、1970 年7月、利器工匠具を中心とした金物類の卸売を目的として株式会社坂
    本産業として設立されました。1978 年5月にホームセンター1号店を現在の新潟市西区に開店
    し、1986 年 10 月に田辺金属株式会社より営業資産の一部を買受け、1987 年 12 月には株式会社
    武蔵を吸収合併し、商号をアークランドサカモト株式会社に変更いたしました。1993 年3月に
    は現アークランドサービスホールディングス株式会社を設立し、同年7月に外食事業部を譲渡
    し分社いたしました。その後、2003 年2月に東京証券取引所市場第二部に上場し、2004 年2月
    には東京証券取引所市場第一部に指定されました。2006 年9月には、株式会社ホンダ産業が保
    有する「JOYFUL-2新潟店」(現アークオアシス新潟店)の営業を譲受けました。また、2008
    年2月に子会社の宮元屋ムサシ株式会社、2011 年2月に子会社のランドジャパン株式会社をそ
    れぞれ吸収合併いたしました。2019 年9月には、株式会社ヴァーテックスよりフィットネス事
    業を会社分割により承継いたしました。
     公開買付者は、本日現在、子会社 14 社及び関連会社6社(うち、持分法適用会社5社)を有
    し、グループ(以下「公開買付者グループ」といいます。)全体で、一般消費者・プロ(業者)
    向けに住生活関連用品、家庭用品、食品等を販売する小売事業、DIY 関連用品を主力に全国及び
    グループのホームセンターに販売する卸売事業、とんかつ専門店「かつや」等の飲食店を経営
    する外食事業及びパワーセンターにおける不動産事業を行っており、「ホームセンタームサ
    シ」、「スーパーセンタームサシ」、「ムサシプロ」、「ニコペット」、アート&クラフトの
    専門店「アークオアシス」及び食品専門店「ムサシ食品館」等を展開しております。
     公開買付者グループは、「人づくりこそ企業づくり 関わりあうすべての人たちと 夢と幸
    せのわかちあい」を経営理念として、品質を第一に商品を選択し、お客様にできる限り低価格
    で提供できるように努めております。また、小売部門においては店舗規模及び地域特性を生か
    した品揃えとより一層の顧客サービスにより「お客様に圧倒的に支持される店舗づくり」を第
    一とし、同時に「楽しくなければ売場ではない」という考え方のもと、お客様が「わくわく」



                         ―5―
される店舗づくりに取組んでおります。
 また、上記ビジョンの実現に向けて、下記の経営戦略に取組んでいます。
  (i) 収益基盤の確立
   ・専門店事業の推進による差別化とホームセンター既存店舗の活性化及び人口密集エリア
      への出店拡大
   ・外食事業では既存店の客数拡大・新規客層の獲得のための取組み強化及び最適な立地の
      追求と創出
  (ii) M&A戦略
   ・「住」及び飲食業を中心とする「食」関連の積極的かつ主体的なM&Aによる業容の拡
      大
  (iii) 社員育成
   ・成長を牽引できる一騎当千の社員を育成
 公開買付者は、かねてより、日本のホームセンター業界の競争環境の厳しさを強く認識して
おります。2000 年以降、ホームセンター市場は成熟期に入り、市場の成長は横ばいの状態が続
いている一方で、ホームセンターの店舗数は増加し続けており(日本 DIY・ホームセンター協会
の推計では、2000 年度から 2019 年度にかけて、年間総売上高は3兆 7,500 億円から3兆 9,890
億円、店舗数は 3,730 店から 4,810 店に推移)、店舗間の競争は厳しさを増し、近年は新規出店
での売上成長は難しい状況になっております。また業界全体で面積当たりの売上が減少の一途
を辿っており、既存店による売上成長も容易でない状況となっております。更にホームセンタ
ーは商材の差別化が容易ではないため価格競争に陥りやすく、近年は GMS(総合スーパー)、ド
ラッグストア、ディスカウントストア、100 円ショップ、低価格帯のインテリア・家具専門店な
ど他業態との競合も激しくなっており、特に直近では Amazon を始めとする EC(電子商取引)サ
イトの台頭もホームセンター業界にとって脅威となっております。各社が今後も単独で、独自
の経営戦略で継続的な成長を実現していく難易度は上がってきており、実際にホームセンター
業界においては統合・再編も進行しております。このような市場環境の中、公開買付者として
も、既存の経営資源のみを活用した継続的な成長、企業価値の向上を今後も実現していく難易
度は高いものと考えております。

 一方、対象者プレスリリースによれば、対象者は、本日現在、「日本の生活文化にあった真
のホームセンター業態を創る」という方針のもと、ホームセンター事業及びデベロッパー事業
を営んでいるとのことです。
 ホームセンター事業は、ホームセンター「SVH」(スーパービバホーム)を中心に全国へ展開
しており、「SVH」(スーパービバホーム)は資材館、生活館、ビバペッツ、ガーデンセンター
で構成され、建築業界のプロフェッショナルから一般消費者まで、住まいのリフォームや、よ
り豊かなライフスタイルの実現を支援しているとのことです。
 デベロッパー事業は、ショッピングモール「ビバモール」を中心に、店舗テナント顧客に対
して、不動産賃貸及び付帯するサービス事業を行っているとのことです。食品スーパー、レス
トラン、生活雑貨店、衣料専門店、サービスなど生活密着型のテナントを誘致しており、暮ら
しの豊かさと楽しさを提供する魅力あるショッピングセンター作りに努めているとのことです。
 対象者は、2001 年3月にトステムビバ株式会社(以下「旧トステムビバ」といいます。)よ
り営業譲渡にて全事業を承継し、現在に至っているとのことです。旧トステムビバは、1977 年
4月にトーヨーサッシ株式会社(1992 年7月にトステム株式会社に商号変更)の子会社として
ビバホーム株式会社の商号で設立されホームセンター事業を開始、1987 年2月に東京証券取引
所市場第二部へ株式上場、1989 年8月に東京証券取引所市場第一部へ指定、1992 年6月にトス
テムビバ株式会社に商号変更、2001 年3月に対象者に営業譲渡した後、トステムグループとI
NAXグループとの経営統合(2001 年 10 月)にむけたトステムグループの企業再編により 2001
年4月にトステム株式会社に吸収合併され、上場廃止となったとのことです。対象者は、1993



                       ―6―
  年6月に旧トステムビバの子会社として、トップ商事株式会社の商号で設立され、2000 年 12 月
  にビバホーム株式会社に商号変更、2001 年3月に旧トステムビバより営業譲渡にて全事業を承
  継し、2001 年4月にはトステムビバ株式会社に、2011 年4月には株式会社LIXILビバに商
  号変更し、現在に至っているとのことです。また、対象者は、2017 年4月に東京証券取引所市
  場第一部に株式上場しております。上場に至った経緯としては、ホームセンター事業のシェア
  拡大、トップクラスを目指す成長環境として、意思決定の機動性を確保し、透明性のある独立
  した経営体制を推進することを企図したものとのことです。東京証券取引所市場第一部に株式
  上場した後、対象者は、親会社である LIXIL グループの企業グループにおいて流通・小売事業を
  担い、ホームセンター事業のシェア拡大に努めてきたとのことです。対象者は、LIXIL グループ
  との間で、商品仕入の取引を行っているものの、対象者の仕入総額に対する割合は 3.39%と僅少
  であり、事業上は親会社からの独立性が確保されているとのことです。
    我が国の経済は、米中貿易摩擦、英国の EU 離脱問題等の不安定な国際情勢の中、政府による
  経済対策や金融政策を背景に緩やかな回復基調にあったものの、消費税率引上げ後の消費者マ
  インドの冷え込みなどにより、景気は大幅に下押しされている厳しい状況にあるとのことです。
  特に、足元での新型コロナウイルス感染症による世界各国への影響拡大やその長期化に伴い、
  日本においても緊急事態宣言の発令や外出自粛要請が消費支出の急激な縮減と雇用不安を誘発
  しており、リーマンショックを超える規模の景気後退リスクが懸念される状況とのことです。
    また、対象者が属する小売業界及びホームセンター市場は、新型コロナウイルス感染症の影
  響等の短期的な環境悪化に加えて、人口減少社会の到来、消費者のライフスタイル多様化、イ
  ンターネット販売の拡大、AI や自動運転等の先進テクノロジー技術の発達などによって経営課
  題が複雑化するとともに、企業は変化対応力が求められる状況とのことです。
    そのような事業環境下で、日本のホームセンター市場規模は 2000 年以降に横ばいの成熟期に
  入った一方、全国のホームセンター店舗数は緩やかな増加基調が続いており、店舗間の競争は
  厳しさを増している状況になっているとのことです。
    加えて、近年の建築コストの上昇はホームセンターの出店戦略の環境悪化に拍車をかけてい
  る状況とのことです。
    対象者は、主力の関東エリアを中心に北海道から九州まで店舗を全国展開し、出店している
  ほとんどの地域において競合のホームセンター他社をはじめ、日用品や住まい関連用品を扱う
  GMS(総合スーパー)、スーパーマーケット、ドラッグストアやその他の専門店が多数存在して
  おり、競争環境も激化傾向にあるとのことです。
    また、対象者が取り扱う PB(プライベートブランド)商品については、直接取引を含めてア
  ジアを中心とした海外取引先から調達しており、為替変動や海運市況に伴う仕入原価の上昇リ
  スクが存在すると共に、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響による国際物流網の混乱など
  も予測されるとのことです。
    このような外部環境に加えて、ホームセンター業界では合従連衡など企業再編による競争も
  激化しており、対象者単独で競争力を高めていく難易度は上昇しているとのことです。以上を
  背景に、対象者の持続的な収益拡大と事業価値の向上の実現に向けて、事業基盤の拡大や生産
  性改善によって収益力を高めていくことが喫緊の経営課題となっているとのことです。また、
  新型コロナウイルス感染症の拡大による影響については、対象者は店舗営業時間の短縮、大型
  連休における全店舗の休業及びデベロッパー事業におけるテナント賃料の減額等を実施してお
  りますが、今後の影響については新型コロナウイルス感染症の流行がいつまで続くのかなど不
  確定要因も多いため、現段階では不透明とのことです。

② 公開買付者と対象者及びLIXILグループとの協議、公開買付者による意思決定の過程
   上記のような状況の中、公開買付者は、対象者とは同業として、2013 年から対象者に対する
  園芸用品の卸売りを開始し、現在に至るまで取引を継続し、取引金額も 2014 年2月期の 52 百万



                      ―7―
円から 2020 年2月期には 287 百万円に拡大するなど長年の取引関係があり、2017 年4月に対象
者が東京証券取引所市場第一部に上場した際には、対象者との間で継続的な取引関係を維持す
ることを目的として、対象者の株式を 15,000 株取得いたしました。公開買付者は、こうした継
続的な関係の中で、かねてより対象者との提携について魅力を感じており、2019 年 10 月上旬か
ら、今後の長期的な経営戦略について検討を開始したことを契機として、企業価値向上に資す
る中長期的な戦略的選択肢の一つとして、対象者の完全子会社化を含めた子会社化の可能性に
ついて検討を開始いたしました。かかる検討を踏まえ、公開買付者は、現状及び将来予想され
るホームセンターの事業環境下において、更なる成長の実現及び企業価値の向上を図るには、
公開買付者と対象者が資本面、事業面で提携することが合理的な戦略であり、またより多くの
シナジーを出していくためには、対象者の完全子会社化による迅速かつ機動的な統合が必要で
あり、また業界が向かう方向にも合致すると考えるに至りました。そこで、公開買付者は、
2019 年 11 月下旬に、LIXILグループに対して、対象者の完全子会社化に係る初期的提案書
を提出し、対象者に対する強い関心を示すとともに、検討を依頼いたしました。なお、公開買
付者は、LIXILグループとの間で、LIXILグループの連結子会社である株式会社LI
XILから住設関連商品を、株式会社LIXILトータルサービスからリフォーム用品を仕入
れる等の取引関係がありますが、資本関係や人的関係はありません。それに対して、LIXI
Lグループからは、対象者株式の売却を戦略的選択肢の一つとして検討し、実際の売却プロセ
スを開始させる際には公開買付者を候補の1社として検討する旨の回答を受領いたしました。
  その後、公開買付者は、2020 年1月下旬に、LIXILグループより、複数の買手候補先に
対して売却プロセスの開始と第一次入札プロセスへの参加の打診を開始した際に買手候補先の
一つとして打診をうけ、第一次入札プロセスに参加することといたしました。公開買付者は、
公開買付者、対象者及びLIXILグループから独立したファイナンシャル・アドバイザーと
してグリーンヒル・ジャパン株式会社(以下「グリーンヒル」といいます。)を、公開買付者、
対象者及びLIXILグループから独立したリーガル・アドバイザーとして高井&パートナー
ズ法律事務所をそれぞれ選任し、対象者及びLIXILグループより開示を受けた情報や公開
情報に基づき分析及び検討を開始し、かかる検討の結果、公開買付者と対象者が資本面、事業
面で提携することにより多くのシナジーが見込まれ、厳しさを増すホームセンター業界におい
て両社がより一層の成長を実現することが可能になり、それを実現するうえでは対象者を完全
子会社化し、迅速かつ機動的に統合を進めていくことが必要と考え、2020 年2月下旬に第一次
意向表明書を提出いたしました。なお、第一次入札プロセスにおいて、LIXILグループよ
り、LIXILグループの所有する対象者株式の全ての売却を前提として、当該売却の確実性
及びLIXILグループにとっての経済価値の最大化を目的とする手法として、(i)公開買付者
が所有する対象者株式、LIXILグループが所有する本不応募株式及び対象者が所有する自
己株式を除く対象者株式の全てについて、本公開買付け及びその後の本株式併合を通じて取得
し、(ii)LIXILグループが所有する対象者株式については、本公開買付け及び本株式併合
を経て上場廃止となった後に対象者自己株式取得を通じて取得する段階的買収のスキーム(以
下「本件スキーム」といいます。)をLIXILグループが希望するスキームとして提示を受
け、原則として本件スキームを前提とした提案の要請を受けました。公開買付者としては、上
記のとおり対象者を完全子会社化とするスキームを前向きに検討していたところ、本件スキー
ムは完全子会社化を目的としていること、また、LIXILグループがその所有する対象者株
式を本公開買付けに応募するスキーム(以下「代替スキーム」といいます。)と比較して、本
公開買付価格が代替スキームにおける公開買付価格と同額であれば、少数株主が支払いを受け
ることとなる金額及びその支払時期は同一であること、代替スキームと比較して本件スキーム
において追加的に必要となる(ii)の段階にかかる諸手続きについても、LIXILグループ、
対象者及び公開買付者にてそれぞれ適法な手続きを経ることで実現可能であること、更に、公
開買付者にとっては(ii)の段階を経るために完全子会社化の完了が遅れるものの、対象者を完



                     ―8―
全子会社化するためにはLIXILグループによる対象者株式の譲渡が必須であり、LIXI
Lグループの希望に沿うことで取引実現の可能性を高めることが重要と考えたことなどから、
LIXILグループが希望する本件スキームを前提として第一次意向表明書を提出いたしまし
た(なお、対象者における本件スキームに関する検討過程については、下記「③対象者におけ
る意思決定の過程及び理由」をご参照ください。)。
 その後、公開買付者は、2020 年3月上旬に、LIXILグループより第二次入札プロセスへ
の参加が認められる旨の通知を受け、第二次入札プロセスに参加することとなりました。公開
買付者は、第二次入札プロセスにおいて、2020 年3月中旬から 2020 年4月下旬まで、約6週間
にわたって対象者に対する事業、財務・税務及び法務等に関するデュー・ディリジェンスや対
象者経営陣との面談を実施し、それらの過程で取得した情報を踏まえて、本取引の意義、買収
ストラクチャー、本取引の実現可能性、買収後のガバナンスや経営方針について、更なる分析
及び検討を進めてまいりました。
 当該検討の結果、公開買付者は、取り組みの詳細は今後検討を進めていくものの、対象者を
完全子会社化することにより、両社の出店地域を補完し合う関係となり日本全国をカバーする
店舗網の構築、規模の拡大及び共同仕入れによる原価低減、PB(プライベートブランド)商品
の共同開発やクロスセル、物流・店舗開発に関する協力等のシナジー創出が、機動的かつ積極
的に可能となり、両社の中長期的な企業価値の向上を目指すことが可能になり、一方で、既に
対象者はLIXILグループから独立した運営がなされており、対象者がLIXILグループ
の子会社ではなくなることによるディスシナジーは特に想定されないと考えるに至りました。
なお、2020 年4月に政府対策本部長により新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言が
発令されたことを含め、新型コロナウイルス感染症による影響についても検討を行いましたが、
新型コロナウイルス感染症による経済全体への悪影響や対象者の事業環境及び業績への一時的
な悪影響が生じる可能性はあり得るものの、公開買付者としては、本取引は、中長期的な企業
価値の向上を目的とするものであることから、かかる観点から上記の結論を左右する要因には
ならないものと考えました。このような検討の結果等を踏まえ、公開買付者は、2020 年4月下
旬に、LIXILグループに対して、対象者株式の株式価値総額を約 1,100 億円とし、本公開買
付価格を 2,505 円、対象者によるLIXILグループ所有の対象者株式取得の価格(株式併合
前1株当たり。以下「対象者自己株式取得価格」といいます。)を 2,505 円とすることを含む
最終意向表明書を提出いたしました。なお、第二次入札プロセスにおいても第一次入札プロセ
スと同様、LIXILグループより本件スキームを原則とする提案の要請を受け、公開買付者
としても第一次意向表明書と同様の理由から、本件スキームを前提として最終意向表明書を提
出いたしました。
 なお、対象者は、かかる公開買付者の提案について、下記「③対象者における意思決定の過
程及び理由」に記載のとおり、株式価値総額、本取引実施後の事業戦略の方向性、シナジー効
果・ディスシナジー効果、従業員の処遇及びガバナンス体制等に加えて本取引実施後における
経営方針等の観点を総合的に検討を行った結果、公開買付者の提案が最善であり、既存株主利
益の最大化と今後の対象者の更なる成長及び企業価値の向上に資するとの結論に至り、公開買
付者との間で協議及び交渉を行うこととしたとのことです。
 最終意向表明書の提出以降も、公開買付者は、対象者及びLIXILグループとの間で、本
件スキームの詳細や本公開買付価格及び対象者自己株式取得価格をはじめとする本公開買付け
の諸条件についての検討、協議及び交渉を重ねてまいりました。
 具体的には、公開買付者及びLIXILグループは、2020 年5月上旬、対象者の設置した特
別委員会から、対象者自己株式取得における対象者株式の売却についてLIXILグループに
法人税法(昭和 40 年法律第 34 号。その後の改正を含みます。以下「法人税法」といいます。)
に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることが見込まれることを踏まえ、最終意向
表明書における提案内容よりも対象者の少数株主の利益を増大化させることを目的として、対



                    ―9―
象者自己株式取得価格を下げることにより本公開買付価格を高くするよう、要請を受けました。
かかる要請に対し、公開買付者は、特別委員会からの要請の趣旨を理解、賛成し、同年5月中
旬、対象者株式の株式価値総額が変わらない限度であれば、かかる要請を受け入れる旨を表明
いたしました。かかる要請に対しLIXILグループにおいては、同年5月中旬に対象者株式
の株式価値総額約 1,100 億円が変わらないことを前提としてLIXILグループの売却対価を減
額し、同額を対象者の少数株主の売却対価総額の増額に充当することとし、対象者の少数株主
にもLIXILグループと同額の対象者自己株式取得価格で自己株取得に応じる機会が付与さ
れたと仮定した場合と実質的に同等の利益を享受しうるようにするという観点から、みなし配
当の益金不算入規定が適用される法人である少数株主につき、(i)当該価格にて本公開買付けに
応じた場合の税引後手取り額として計算される金額が、(ii)仮にLIXILグループと同額の
対象者自己株式取得価格で自己株取得に応じた場合に得られる手取り金額と同等となる金額を、
LIXILグループのアドバイザーと協議のうえ、独自に試算したとのことです。かかる試算
に基づき、LIXILグループは、本公開買付価格を 2,505 円から 2,590 円へ増額(対象者の少
数株主の売却対価総額で約 500 億円から約 517 億円への増額)し、対象者自己株式取得価格を
2,505 円から 2,430 円へ減額(LIXILグループの売却対価総額で約 585 億円から約 568 億円
への減額)することを特別委員会に提案したとのことです。これに対し、特別委員会は、上記
のとおり対象者自己株式取得における対象者株式の売却についてLIXILグループに法人税
法に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることが見込まれること(なお、特別委員
会の当該判断の基準となった、当該みなし配当の益金不算入規定の適用によりLIXILグル
ープに生じる税務メリットについての特別委員会の考え方については、下記「(3)本公開買付価
格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正
性を担保するための措置」の「④対象者における特別委員会の設置及び意見の入手」をご参照
ください。)、及び、提案された本公開買付価格が第二次入札プロセスにおいて他の候補先の
提案した公開買付価格の最高額に満たないものであったこと(すなわち、公開買付者から提案
された株式価値総額は第二次入札プロセスに参加した他の候補先から提示された株式価値総額
との比較において最も高額であったものの、他の候補先の提案した公開買付価格は、当該他の
候補先の提案に係る株式価値総額が変わらない範囲においてLIXILグループの売却対価が
減額され同額を対象者の少数株主の売却対価総額の増額に充当することにより算定されていた
ため、LIXILグループから提案された本公開買付価格は他の候補先の提案した公開買付価
格に劣後していたこと)から、対象者の少数株主の利益に適切に配慮する観点からは、株式価
値総額における対象者の少数株主への利益の配分が不十分であると判断し、同年5月中旬に、
LIXILグループに対し本公開買付価格を 2,590 円より更に増額することを要請したとのこと
です。LIXILグループは、同年5月中旬、LIXILグループの売却対価を更に減額し、
同額を対象者の少数株主の売却対価総額の増額に充当し本公開買付価格を増額することにより、
対象者の少数株主の利益に適切に配慮することができることに加え、対象者の少数株主の本公
開買付けへの応募株式数の増加が期待され、結果として本取引の実行確実性を高めることがで
き、これによりLIXILグループ及びLIXILグループ株主の利益にも資することから、
「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)条件を設定しないこと等の一
定の条件の下、特別委員会の要請に応えて本公開買付価格を 2,590 円から 2,600 円へ増額(対象
者の少数株主の売却対価総額で約 517 億円から約 519 億円への増額)し、対象者自己株式取得価
格を 2,430 円から 2,423 円へ減額(LIXILグループの売却対価総額で約 568 億円から約 566
億円への減額)とすることを、最終的な譲歩案として特別委員会に提案したとのことです。特
別委員会は、かかる提案を受け、最終的に提示された本公開買付価格が第二次入札プロセスに
おける各候補先の最終意向表明書において提示された本公開買付価格の中で最も高額となった
こと等も勘案し、同年5月下旬、LIXILグループの最終提案を受諾したとのことです。こ
れを受けて、2020 年6月9日付で、公開買付者は、LIXILグループとの間で本合意書、及



                      ― 10 ―
 びLIXILグループと対象者との間で本覚書を締結し、本公開買付価格を 2,600 円、対象者自
 己株式取得価格を 2,423 円とすることで合意に至りました。

③ 対象者における意思決定の過程及び理由
    対象者プレスリリースによれば、2019 年7月下旬、対象者は親会社であるLIXILグルー
  プから、親会社であるLIXILグループにおける生産性と効率性の向上を図るため基幹事業
  への専念と事業間シナジーの推進、将来成長と財務体質の強化を図るための事業ポートフォリ
  オの最適化など、事業運営における様々な変革の一環として、LIXILグループが所有する
  対象者株式の売却を含む対象者の資本政策に関する協議の打診を受け、LIXILグループと
  対象者の資本政策について議論を開始し、株主構成の変更によって、LIXILグループのみ
  ならず少数株主の利益が最大化されると同時に、対象者の企業価値の更なる向上が実現される
  様々な選択肢を、LIXILグループの意向も確認しつつ慎重に検討を行ったとのことです。
  その後、対象者及びLIXILグループは、2019 年 12 月中旬に、株主利益の最大化と対象者の
  今後の更なる成長加速には対象者事業に強い関心を示している複数の候補者を対象とする入札
  手続きの実施が望ましいとの判断に至ったとのことです。なお、検討に際して対象者は、2019
  年 12 月上旬よりフロンティア・マネジメントをファイナンシャル・アドバイザーに、同年 12 月
  中旬より西村あさひ法律事務所をリーガル・アドバイザーに、それぞれ選定したとのことです。
  かかる判断に基づき、LIXILグループは、2020 年1月下旬より、公開買付者を含む複数の
  事業会社及びプライベートエクイティファンドに打診し、第一次入札プロセスを開始し、2020
  年2月下旬、公開買付者を含む複数の候補者が意向表明書を提出したことから、内容について
  慎重に比較検討を行い、対象者と協議の上、第二次入札プロセスへの参加を打診する公開買付
  者を含む候補者を選定したとのことです。その後、2020 年3月上旬より、LIXILグループ
  は、第二次入札プロセスを開始し、候補者による対象者のデュー・ディリジェンスを経て、
  2020 年4月 28 日に、複数の候補者からの最終提案書を受領したとのことです。LIXILグル
  ープは、同年5月中旬、株式価値総額、本取引実施後の事業戦略の方向性、シナジー効果・デ
  ィスシナジー効果、従業員の処遇及びガバナンス体制等を総合的に検討した結果、公開買付者
  が最適な売却先であるとの結論に至り、対象者においても、株式価値総額、本取引実施後の事
  業戦略の方向性、シナジー効果・ディスシナジー効果、従業員の処遇及びガバナンス体制等に
  加えて本取引実施後における経営方針等の観点を総合的に検討を行った結果、公開買付者の提
  案が最善であり、既存株主利益の最大化と今後の対象者の更なる成長及び企業価値の向上に資
  するとの結論に至ったとのことです。より具体的には、対象者は、公開買付者から提示された
  株式価値総額が第二次入札プロセスに参加した各候補者から提示された株式価値総額との比較
  において最も高額であったこと(なお、株式価値総額が最も高額である以上、理論的には、L
  IXILグループの売却対価と少数株主の売却対価総額の割付け次第では、公開買付者に係る
  本公開買付価格が、第二次入札プロセスに参加した各候補者から提示された公開買付価格との
  比較において最も高額となる可能性があること)、本取引実施後における事業戦略が対象者の
  志向する方向性と一致したこと、公開買付者と対象者とのシナジー効果が短期的な効果・中長
  期に及ぶ効果の両面からみて第二次入札プロセスに参加した各候補者との比較において優位な
  ものであったことから最善のものと判断したとのことです(なお、本取引実施後の事業戦略・
  シナジーなどの本取引実行後の経営方針等につきましては、下記「④本公開買付け及び本取引
  実施後の経営方針等」をご参照ください。)。
    かかる検討プロセスにおいては、対象者は、上場企業の当然の責務として、対象者の上場維
  持の可能性についても検討を行ったものの、LIXILグループとしてその希望する本件スキ
  ーム等の確実に全株式を売却可能な手法を用いて対象者株式を完全に売却する意向があったこ
  と等から本件スキームを原則とする入札手続きの実施を受け入れることとし、入札手続きにお
  ける候補者の最終提案が全て本件スキームを前提としたものであったこと、上記のとおり公開



                     ― 11 ―
買付者からの提案は既存株主利益の最大化と今後の対象者の更なる成長及び企業価値の向上に
最も資すると考えられるものであったこと、更に、下記のとおり本公開買付価格が妥当なもの
であったこと等から、本公開買付けにより対象者の少数株主に適正な価格での対象者株式を売
却できる機会を提供することが、現時点における株主の利益を配慮した上での最善の選択であ
るとの結論に至ったとのことです。更に本件スキームは、対象者従業員の処遇や企業構造等に
関しても、特段の変更を生じさせないことから本取引に伴う従業員及び地域社会への影響は無
く、この点においても、配慮すべき事項についての十分な考慮がなされていると判断したとの
ことです。なお、対象者における上場維持の可能性及び対象者の少数株主の利益最大化に関す
る検討については、下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反
を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④対象者におけ
る特別委員会の設置及び意見の入手」をご参照ください。

  また、対象者は、公開買付者及び対象者の支配株主(親会社)であるLIXILグループと
の間で本合意書が、公開買付者、対象者及びLIXILグループとの間で本覚書がそれぞれ
2020 年6月9日付で締結されており、対象者においてLIXILグループが所有する本不応募
株式を取得する対象者自己株式取得を実施することが想定されていること等を踏まえ、対象者
において、本公開買付けの公正性を担保するとともに、本取引に関する意思決定の恣意性を排
除し、対象者の意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、利益相反を回避するため
に、下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するため
の措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、対象者、公開買付
者及びLIXILグループから独立した第三者算定機関であるフロンティア・マネジメントに
対して、対象者の株式価値の評価を依頼し、また、西村あさひ法律事務所に対して、独立した
法律事務所からの助言を依頼したとのことです。更に、本公開買付けの公正性を担保するとと
もに、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、対象者の意思決定過程の公正性、透明性及
び客観性を確保し、利益相反を回避するために対象者、公開買付者及びLIXILグループか
らの独立性を有し、支配株主との間に利害関係を有しない外部の有識者を含む委員によって構
成される特別委員会を 2020 年2月 21 日に設置したとのことです。これらの措置の詳細について
は、下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するため
の措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」をご参照ください。
  そして、対象者は、フロンティア・マネジメントより取得した 2020 年6月8日付株式価値算
定書(以下「本対象者株式価値算定書」といいます。)及び西村あさひ法律事務所から得た法
的助言を踏まえつつ、特別委員会における検討及び特別委員会から提出を受けた 2020 年6月8
日付答申書の内容を最大限尊重しながら、本取引に関する諸条件について企業価値向上の観点
から慎重に検討を行ったとのことです。その結果、対象者は、本公開買付価格について、以下
「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、
本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「②対象者における独立した第三者算定機関
からの株式価値算定書の取得」に記載されているフロンティア・マネジメントによる本対象者
株式価値算定書における対象者株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価平均法及び類似企
業比較法による算定結果のレンジの上限を上回るものであり、ディスカウンテッド・キャッシ
ュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果のレンジの範囲内のものであ
り、対象者プレスリリースの公表日の前営業日である 2020 年6月8日の東京証券取引所市場第
一部における対象者株式の終値 2,506 円に対して 3.75%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、
株価に対するプレミアムの計算において同じとします。)、また、2020 年6月2日から 2020 年
6月8日までの過去1週間の終値単純平均株価 2,531 円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単
純平均株価の計算において同じとします。)に対して 2.73%、2020 年5月 11 日から 2020 年6
月8日までの過去1ヶ月の終値単純平均株価 2,290 円に対して 13.54%、2020 年3月9日から



                     ― 12 ―
  2020 年6月8日までの過去3ヶ月の終値単純平均株価 1,974 円に対して 31.71%、2019 年 12 月
  9日から 2020 年6月8日までの過去6ヶ月の終値単純平均株価 2,034 円に対して 27.83%のプ
  レミアムを加えたものであるところ、近時の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機とす
  る株価変動の影響が少ない期間を含む 2019 年 12 月9日から 2020 年6月8日までの過去6ヶ月
  の終値単純平均株価に対しても合理的なプレミアムが付された価格であるものと考えられ、ま
  た、一部情報配信会社により、LIXILグループによる対象者株式の売却可能性に関する情
  報配信がなされたことを踏まえ、当該情報配信がなされた 2019 年8月1日の東京証券取引所市
  場第一部における対象者株式の終値 1,358 円に対して 91.46%、また、2019 年7月 26 日から
  2019 年8月1日までの過去1週間の終値単純平均株価 1,310 円に対して 98.47%、2019 年7月
  2日から 2019 年8月1日までの過去1ヶ月の終値単純平均株価 1,274 円に対して 104.08%、
  2019 年5月7日から 2019 年8月1日までの過去3ヶ月の終値単純平均株価 1,244 円に対して
  109.00%、2019 年2月4日から 2019 年8月1日までの過去6ヶ月の終値単純平均株価 1,330 円
  に対して 95.49%のプレミアムを、一部情報配信会社により、上記「②公開買付者と対象者及び
  LIXILグループとの協議、公開買付者による意思決定の過程」に記載したLIXILグル
  ープによる対象者株式売却プロセスに関する情報配信がなされたことを踏まえ、当該情報配信
  がなされた 2020 年2月3日の東京証券取引所市場第一部における対象者株式の終値 2,110 円に
  対して 23.22%、また、2020 年1月 28 日から 2020 年2月3日までの過去1週間の終値単純平均
  株価 2,199 円に対して 18.24%、2020 年1月6日から 2020 年2月3日までの過去1ヶ月の終値
  単純平均株価 2,045 円に対して 27.14%、2019 年 11 月5日から 2020 年2月3日までの過去3ヶ
  月の終値単純平均株価 1,989 円に対して 30.72%、2019 年8月5日から 2020 年2月3日までの
  過去6ヶ月の終値単純平均株価 1,776 円に対して 46.40%のプレミアムをそれぞれ加えたもので
  あるところ、上記情報配信の影響を受ける前の株価に対しては過去の類似の公開買付事例にお
  けるプレミアム水準と比較しても相当程度プレミアムが付された価格であること、下記「(3)
  本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開
  買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置
  が採られており、対象者の少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、本公開
  買付けの公正性を担保するための措置が採られた上で決定された価格であること等を踏まえて
  総合的に判断すると、本公開買付価格は、妥当なものであり、本公開買付けは対象者の株主の
  皆様に対して合理的な株式売却の機会を提供するものであると判断したとのことです。
    これらを踏まえ、対象者は、2020 年6月9日付けの対象者取締役会決議より、対象者の意見
  として、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公
  開買付けに応募することを推奨する旨の決定をしたとのことです。上記の取締役会決議の詳細
  は、下記「(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するため
  の措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤対象者における利害関係を有
  しない取締役全員(監査等委員を含む)の承認」をご参照ください。

④ 本公開買付け及び本取引実施後の経営方針等
   上記「(1) 本公開買付けの概要」に記載のとおり、公開買付者は、本公開買付けが成立した
  場合、(i)本株式併合を通じて、対象者の株主をLIXILグループ及び公開買付者のみとする
  こと、(ii)対象者自己株式取得を実行するための資金を確保することを目的として、公開買付
  者が対象者に対する貸付けにより本資金提供を実施すること(ただし、対象者の分配可能額が
  不足する場合には、一部を対象者に対する貸付けの代わりに、公開買付者のみを引受人とする
  第三者割当増資にて提供する可能性があります。)、及び対象者が対象者自己株式取得に必要
  となる分配可能額を確保するために本減資等を行うこと、(iii)対象者において、対象者自己株
  式取得を実施することを通じて、2020 年 11 月に最終的に公開買付者が対象者を完全子会社化す
  ることを予定しております。なお、本公開買付けの成立後、対象者は、本資本業務提携契約書



                         ― 13 ―
      に基づく事業運営方針等の協議を公開買付者との間で開始する他は、対象者自己株式取得の実
      施までは、本公開買付けの開始以前に行われていたのと実質的に同一かつ通常の業務の範囲内
      において、引き続きその業務を遂行することを予定しているとのことです。
        本取引の実施後は、対象者の独立した事業運営を維持することを基本としつつ、シナジーが
      出せる部分については、両社で協議の上、速やかに実行に移していきたいと考えております。
      対象者は公開買付者の卸売事業における重要な販売先であり、両社の間には長年の取引関係、
      人的交流があり、お互いのカルチャーや価値観を理解しており、本取引実施後、スムーズに事
      業運営を行っていくことができると考えております。また、本公開買付けが成立した場合、
      2021 年度にホールディングカンパニー制への移行を目指した協議を対象者と行う予定です。な
      お、ホールディングカンパニー制への移行の具体的内容について現時点で決定されている事項
      はありません。
        本取引実施後は、対象者と協議の上で、特に BtoB(法人対法人取引)顧客の開拓、モール事
      業のテナントリーシング・施設管理、EC(電子商取引)事業等のデジタルシフト、PB(プライ
      ベートブランド)を含めた商品開発、店舗・物流倉庫等の不動産運営、物流・配送機能等のロ
      ジスティクス、本部機能の再編、提携クレジットカード・キャッシュレス決済等の金融決済サ
      ービス、社員のエンゲージメント・組織開発施策等の分野で、公開買付者と対象者で協力して
      いきたいと考えております。
        公開買付者より対象者に役員を派遣することを検討しておりますが、現時点では未定です。
        本取引実施後の具体的な事業戦略・シナジーなどの本取引実行後の経営方針等につきまして
      は、公開買付者が本日公表したプレスリリース「資本業務提携契約の締結に関するお知らせ」
      をご参照ください。

(3) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付
    けの公正性を担保するための措置

 公開買付者及び対象者は、公開買付者及び対象者の支配株主(親会社)であるLIXILグループと
の間で本合意書が、公開買付者、対象者及びLIXILグループとの間で本覚書がそれぞれ締結されて
おり、対象者においてLIXILグループが所有する本不応募株式を取得する対象者自己株式取得を実
施することが想定されていること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性を担保するとともに、本取引に
関する意思決定の恣意性を排除し、対象者の意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、利益
相反を回避するため、以下の措置を講じました。


  ①   公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
       公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するにあた
      り、公開買付者、対象者及びLIXILグループから独立した第三者算定機関としてのファイ
      ナンシャル・アドバイザーであるグリーンヒルに対して、対象者の株式価値の算定を依頼いた
      しました。なお、グリーンヒルは公開買付者、対象者及びLIXILグループの関連当事者に
      は該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有しておりません。また、公開買付者
      は、グリーンヒルから本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取
      得しておりません。公開買付者が 2020 年6月9日付でグリーンヒルから取得した対象者の株式
      価値の算定結果に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)の詳細に
      ついては、下記「2買付け等の概要」の「(5)買付け等の価格の算定根拠等」の「①算定の基礎」
      及び同「②算定の経緯」をご参照ください。

  ② 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
     対象者プレスリリースによれば、対象者は、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、



                         ― 14 ―
公開買付者、対象者及びLIXILグループから独立した第三者算定機関であるフロンティ
ア・マネジメントに対して、対象者の株式価値の算定を依頼し、2020 年6月8日付で本対象者
株式価値算定書を取得したとのことです。なお、フロンティア・マネジメントは公開買付者、
対象者及びLIXILグループの関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関し
て、公開買付者、対象者及びLIXILグループとの間で重要な利害関係を有していないとの
ことです。なお、対象者は、フロンティア・マネジメントから本公開買付けの価格の公正性に
関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
 フロンティア・マネジメントは、対象者の株式価値の算定にあたり必要となる情報を収集・
検討するため、対象者の経営陣から事業の現状及び将来の見通し等の情報を取得して説明を受
け、それらの情報を踏まえて、対象者の株式価値の算定を行ったとのことです。フロンティ
ア・マネジメントは、対象者が東京証券取引所市場第一部に上場しており、市場株価が存在す
ることから市場株価平均法を、比較可能な類似上場会社が複数存在し、類似上場会社の市場価
値との比較において株式価値の類推が可能であることから類似企業比較法を、また、将来の事
業活動の状況を評価に反映するためDCF法を採用して、対象者の株式価値を算定したとのこ
とです。
 フロンティア・マネジメントが上記各手法に基づき算定した対象者株式の1株当たりの価値
はそれぞれ以下のとおりとのことです。

  市場株価平均法 1,974 円~2,506 円
  類似企業比較法 1,006 円~2,464 円
  DCF法       2,147 円~3,798 円
  市場株価平均法においては、評価基準日を本公開買付けの公表日の前営業日である 2020 年6
月8日として、東京証券取引所市場第一部における対象者株式の直近1ヶ月間の終値単純平均
値 2,290 円、直近3ヶ月間の終値単純平均値 1,974 円、直近6ヶ月間の終値単純平均値 2,034 円
を基に、対象者株式の1株当たりの価値の範囲を 1,974 円から 2,506 円までと算定しているとの
ことです。なお、市場株価平均法の採用に際しては、複数の期間における終値単純平均株価を
参照することにより短期的な株価変動を平準化し、対象者株式の価値を算定しているとのこと
です。
  類似企業比較法においては、対象者と比較的類似する事業を営む上場企業の市場株価や収益
性を示す財務指標との比較を行い、対象者株式の1株当たりの価値の範囲を 1,006 円から 2,464
円までと算定しているとのことです。
  DCF法では、対象者がフロンティア・マネジメントに提供した対象者の 2021 年3月期から
2025 年3月期までの事業計画、及び一般に公開された情報等の諸要素を考慮した対象者の収益
予想に基づき、2020 年 12 月1日以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一
定の割引率で現在価値に割り引いて対象者の企業価値や株式価値を計算し、対象者株式の1株
当たりの価値の範囲を 2,147 円から 3,798 円までと算定しているとのことです。なお、新型コロ
ナウイルス感染症による影響としては、2020 年4月までは実績値として織り込むとともに、
2020 年5月8日に対象者が公表した、2020 年4月から3か月間においてビバモールを含む全入
店テナント(食品を取り扱う業種及びドラッグストアを除く)の固定賃料を 50%減免する影響
等を織り込んでいるとのことです。他方で、今後の影響については新型コロナウイルス感染症
の流行がいつまで続くのかなど不確定要因も多いこと等から、上記の他は、新型コロナウイル
ス感染症による影響は織り込んでいないとのことです。フロンティア・マネジメントが算定に
用いた事業計画には、前年度比で大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれているとのこ
とです。具体的には 2021 年3月期から 2022 年3月期において、ビバモール等の新規出店等によ
り営業利益は 9,533 百万円から 12,458 百万円、経常利益は 8,847 百万円から 11,772 百万円及び
当期純利益 5,606 百万円から 7,816 百万円と大幅な増益を見込んでいるとのことです。また、当



                        ― 15 ―
  該事業計画は、本取引の実行を前提としたものではないとのことです。

③ 対象者における独立した法律事務所からの助言
   対象者プレスリリースによれば、対象者は、対象者取締役会の意思決定の公正性及び適正性
  を担保するために、公開買付者、対象者及びLIXILグループから独立したリーガル・アド
  バイザーとして西村あさひ法律事務所を選任し、本公開買付け及びその後の一連の手続きに対
  する対象者取締役会の意思決定の方法及び過程その他の意思決定にあたっての留意点に関する
  法的助言を受けているとのことです。なお、西村あさひ法律事務所は、公開買付者、対象者及
  びLIXILグループの関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有してい
  ないとのことです。

④ 対象者における特別委員会の設置及び意見の入手
   対象者プレスリリースによれば、対象者取締役会は、本公開買付価格の公正性を担保すると
  ともに、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、対象者の意思決定過程の公正性、透明性
  及び客観性を確保し、利益相反を回避することを目的として、2020 年2月 21 日、対象者におい
  て本取引の是非を検討するに際して、企業価値の向上及び少数株主の利益を図る立場から、そ
  の是非やストラクチャーを含む取引条件の妥当性、手続きの公正性などについて検討及び判断
  を行う任意の合議体として、和田芳幸氏(対象者社外取締役・監査等委員)、宮越極氏(対象
  者社外取締役・監査等委員)、角紀代恵氏(対象者社外取締役・監査等委員)、佐藤明夫氏
  (佐藤総合法律事務所・弁護士)及び佐藤陽一郎氏(太陽グラントソントン税理士法人・税理
  士)の5名から構成される、公開買付者、対象者及びLIXILグループのいずれからも独立
  した特別委員会を設置したとのことです(なお、特別委員会の委員は、設置当初から変更して
  いないとのことです。特別委員会の委員のうち外部の有識者2名に対しては、その職務の対価
  として、答申内容にかかわらず、固定報酬を支払うこととされており、また、対象者の社外取
  締役3名の委員としての職務に応じた報酬の支払いについては、監査等委員である取締役の協
  議によって定めるものとされているが、成功報酬制は採用されていないとのことです。)。
   また、対象者取締役会は、特別委員会に対し、本公開買付けを含む本取引に関して、(ア)本取
  引の目的の正当性・合理性(本取引が対象者の企業価値向上に資するかを含む。)、(イ)本取引
  に係る手続きの公正性、(ウ)本取引の取引条件の公正性・妥当性、(エ)本公開買付けに対して対
  象者取締役会が賛同意見を表明すること及び対象者の株主に対して本公開買付けへの応募を推
  奨することの是非、(オ)本取引を行うこと(本公開買付けに対して対象者取締役会が賛同意見を
  表明すること及び対象者の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含む。)は対
  象者の少数株主にとって不利益ではないか(本取引において選択された手法とその他の手法と
  の比較の観点を含む。)との点(以下「本諮問事項」といいます。)について諮問し、これら
  の点についての答申を対象者に提出することを委託したとのことです。対象者取締役会は、特
  別委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に係る意思決定を行うものとし、特別委員会が本
  取引の取引条件が妥当でないと判断した場合には、本取引に賛同しないことを併せて決議して
  いるとのことです。
   対象者取締役会は、特別委員会に対し、(i)対象者のファイナンシャル・アドバイザー、第三
  者算定機関、リーガル・アドバイザーその他のアドバイザー(以下「アドバイザー等」といい
  ます。)を指名し又は対象者のアドバイザー等を承認(事後承認を含みます。)する権限(な
  お、特別委員会は、対象者のアドバイザー等が高い専門性を有しており、独立性にも問題がな
  いなど、特別委員会として対象者のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができ
  ると判断した場合には、対象者のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができるも
  のとしているとのことです。)、(ii)特別委員会のアドバイザー等を選任する権限、(iii)対象
  者の取締役、従業員その他特別委員会が必要と認める者に特別委員会への出席を要求し、必要



                     ― 16 ―
な情報について説明を求める権限、(iv)必要に応じて、本取引の取引条件等の交渉を行う権限
(特別委員会が、本取引の取引条件等の交渉を直接行わない場合であっても、特別委員会は、
必要に応じて、例えば、交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、重
要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うことなどにより、本取引の取引条件等の交渉過程に
実質的に関与する状況を確保するよう努めるものとし、対象者は当該状況が確保されるよう協
力するものとしているとのことです。)を付与したとのことです。特別委員会は、対象者の第
三者算定機関であり、かつ、ファイナンシャル・アドバイザーであるフロンティア・マネジメ
ント及びリーガル・アドバイザーである西村あさひ法律事務所につき、いずれも独立性及び専
門性に問題がないことから、それぞれ、対象者の第三者算定機関及びファイナンシャル・アド
バイザー、リーガル・アドバイザーとして承認し、特別委員会としても必要に応じて専門的助
言を受けることができることを確認したとのことです。
  特別委員会は、2020 年2月 29 日から 2020 年6月8日までの間に合計 17 回にわたって開催さ
れ、特別委員会の各開催日間においても電子メール等を通じて審議・意思決定等を行う等して、
本諮問事項に関して、慎重に協議及び検討を行ったとのことです。
  具体的には、(a)対象者、フロンティア・マネジメント及び西村あさひ法律事務所から、本取
引の背景・経緯、本取引のストラクチャー及び手続き、事業計画の内容及び作成、第三者算定
機関であるフロンティア・マネジメントの本対象者株式価値算定書の内容及び算定手法等につ
いて説明を受け、これらの点に関する質疑応答を行い、(b)公開買付者と直接面談を行うこと等
を通じて、公開買付者から、本取引によって創出されるシナジー効果を含む本取引の意義・目
的、本取引後の対象者の企業価値向上施策を含む事業運営方針、本取引のストラクチャー、本
公開買付価格を含む取引条件の考え方、資金調達の方法等について説明を受け、これらの点に
関する質疑応答を行い、また、(c)LIXILグループから、入札プロセスの状況、本取引のス
トラクチャー、本公開買付価格を含む取引条件の考え方等について説明を受け、これらの点に
関する検討を行ったほか、(d)対象者、フロンティア・マネジメント及び西村あさひ法律事務所
から、入札プロセスの内容を含む本取引に係る公開買付者、LIXILグループとの間の協
議・交渉の経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、特別委員会を都度開催して方針等
を協議し、最終的な本取引の取引条件の提案を受けるに至るまで、複数回に亘り対象者との間
で協議を行い、対象者に意見する等して、公開買付者及びLIXILグループとの協議・交渉
の過程に直接的又は間接的に関与しているとのことです。とりわけ、特別委員会は、上記「(2)
本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け及
び本取引後の経営方針」の「②公開買付者と対象者及びLIXILグループとの協議、公開買
付者による意思決定の過程」に記載のとおり、公開買付者による最終意向表明書の提出後の 202
0 年5月上旬、対象者自己株式取得における対象者株式の売却についてLIXILグループに法
人税法に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることが見込まれることを踏まえ、当
該最終意向表明書における提案内容よりも対象者の少数株主の利益を増大化させることを目的
として、対象者自己株式取得価格を下げることにより本公開買付価格を高くするよう、公開買
付者及びLIXILグループに対して要請を行ったとのことです。かかる要請に対し、公開買
付者は、特別委員会からの要請の趣旨を理解、賛成し、同年5月中旬、対象者株式の株式価値
総額が変わらない限度であれば、かかる要請を受け入れる旨を表明いたしました。かかる要請
に対しLIXILグループにおいては、同年5月中旬に対象者株式の株式価値総額約 1,100 億円
が変わらないことを前提としてLIXILグループの売却対価を減額し、同額を対象者の少数
株主の売却対価総額の増額に充当することにより本公開買付価格を 2,505 円から 2,590 円へ増額
(対象者の少数株主の売却対価総額で約 500 億円から約 517 億円への増額)し、対象者自己株式
取得価格を 2,505 円から 2,430 円へ減額(LIXILグループの売却対価総額で約 585 億円から
約 568 億円への減額)することを特別委員会に提案したとのことです。これに対し、特別委員会
は、上記のとおり対象者自己株式取得における対象者株式の売却についてLIXILグループ



                      ― 17 ―
 に法人税法に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることが見込まれること(なお、
 特別委員会の当該判断の基準となった、当該みなし配当の益金不算入規定の適用によりLIX
 ILグループに生じる税務メリットについての特別委員会の考え方については、下記「(ウ)
 本取引の取引条件の公正性・妥当性」をご参照ください。)、及び、提案された本公開買付価
 格が第二次入札プロセスにおいて他の候補先の提案した公開買付価格の最高額に満たないもの
 であったこと(すなわち、公開買付者から提案された株式価値総額は第二次入札プロセスに参
 加した他の候補先から提示された株式価値総額との比較において最も高額であったものの、他
 の候補先の提案した公開買付価格は、当該他の候補先の提案に係る株式価値総額が変わらない
 範囲においてLIXILグループの売却対価が減額され同額を対象者の少数株主の売却対価総
 額の増額に充当することにより算定されていため、、LIXILグループから提案された本公
 開買付価格は他の候補先の提案した公開買付価格に劣後していたこと)から、対象者の少数株
 主の利益に適切に配慮する観点からは、株式価値総額における対象者の少数株主への利益の配
 分が不十分であると判断し、同年5月中旬に、LIXILグループに対し本公開買付価格を 2,5
 90 円より更に増額することを要請したとのことです。LIXILグループは、同年5月中旬、
 LIXILグループの売却対価を更に減額し、同額を対象者の少数株主の売却対価総額の増額
 に充当し本公開買付価格を増額することにより、対象者の少数株主の利益に適切に配慮するこ
 とができることに加え、対象者の少数株主の本公開買付けへの応募株式数の増加が期待され、
 結果として本取引の実行確実性を高めることができ、これによりLIXILグループ及びLI
 XILグループ株主の利益にも資することから、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Maj
 ority of Minority)条件を設定しないこと等の一定の条件の下、特別委員会の要請に応えて本
 公開買付価格を 2,590 円から 2,600 円へ増額(対象者の少数株主の売却対価総額で約 517 億円か
 ら約 519 億円への増額)し、対象者自己株式取得価格を 2,430 円から 2,423 円へ減額(LIXI
 Lグループの売却対価総額で約 568 億円から約 566 億円への減額)とすることを最終的な譲歩案
 として特別委員会に提案したとのことです。特別委員会は、かかる提案を受け、最終的に提示
 された本公開買付価格が第二次入札プロセスにおける各候補先の最終意向表明書において提示
 された本公開買付価格の中で最も高額となったこと等も勘案し、同年5月下旬、LIXILグ
 ループの最終提案を受諾したとのことです。これを受けて、2020 年6月9日付で、公開買付者
 は、LIXILグループとの間で本合意書、及びLIXILグループと対象者との間で本覚書
 を締結し、本公開買付価格を 2,600 円、対象者自己株式取得価格を 2,423 円とすることで合意に
 至りました。以上の経緯で、特別委員会は 2020 年6月8日に、対象者取締役会に対し、本諮問
 事項につき大要以下を内容とする答申書(以下「本答申書」といいます。)を提出していると
 のことです。

(ア) 本取引の目的の正当性・合理性(本取引が対象者の企業価値向上に資するかを含む。)

  ①米中貿易摩擦、英国の EU 離脱問題等の不安定な国際情勢や、消費税率引上げ後の消費者マ
 インドの冷え込み、とりわけ足元での新型コロナウイルス感染症による世界各国への影響拡大
 やその長期化に伴い、リーマンショックを超える規模の景気後退リスクが懸念される状況にあ
 ること、②このような厳しい事業環境下において、日本のホームセンター市場の規模は、2000
 年以降に横ばいの成熟期に入った一方、全国のホームセンター店舗数は緩やかな増加基調が続
 いており、店舗間の競争が厳しさを増しているほか、近年の建築コストの上昇によりホームセ
 ンター業界における出店戦略の環境が悪化に拍車をかけている状況にあること、③関東エリア
 を中心として全国に店舗を展開している対象者が、ほとんどの地域において競合のホームセン
 ター他社をはじめ、GMS(総合スーパー)、スーパーマーケット、ドラッグストアやその他の他
 の専門店との競争が激化傾向にあるほか、PB(プライベートブランド)商品の仕入原価の上昇
 や新型コロナウイルス感染症の影響による国際物流網の混乱等が予測されていること、④各ホ
 ームセンター事業者が単独で独自の経営戦略により継続的な成長を実現することが困難になっ
 ていることから、ホームセンター業界においては企業再編による競争も激化していることを背



                       ― 18 ―
 景として、対象者の持続的な収益拡大と事業価値の向上の実現に向けて、事業基盤の拡大や生
 産性改善によって収益力を高めていくことが喫緊の経営課題となっていると対象者が認識して
 いることについて、特段不合理な点は認められない。
  本取引によって、公開買付者及び対象者には、(i)エリア戦略の相違による地域補完、(ii)事
 業規模の拡大や共同仕入れによる原価低減、(iii)建築資材関係分野における協力、(iv)PB(プ
 ライベートブランド)商品の開発、クロスセルや物流・店舗開発に関する協力などのシナジー
 が合理的に期待できるといえる。また、上記のような厳しい事業環境下にあっては、対象者が
 単独で事業を運営するよりも、本取引を実施し、上記(2)本公開買付けの実施を決定するに至っ
 た背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け及び本取引後の経営方針」の「④本公開
 買付け及び本取引実施後の経営方針等」に記載の企業価値向上施策を実施する方が対象者の中
 長期的な企業価値の向上に資するという考え方も合理的であると考えられる。
  なお、対象者は、本取引の検討の過程において、上場維持の可能性についても検討を行った
 経緯があるが、(a)上記のとおり、公開買付者及び対象者には本取引によるシナジーの発生や企
 業価値向上施策の実施による中長期的な企業価値の向上が合理的に期待できること、(b)公開買
 付者及び対象者による本取引後の経営方針等を考慮すれば、対象者が上場維持のメリットとし
 て認識していた、上場維持による社会的信用、知名度の維持・向上は本取引によって直ちに失
 われるとはいえないと考えられる上、対象者の企業価値向上施策等の実施にあたって、対象者
 が直接市場からの資金調達を行うことができることが絶対的な必要条件であると認めることも
 できないこと、更に、(c)本取引は、下記「(イ)本取引に係る手続の公正性」に記載のとおり、
 公正な手続きの下、各関係当事者の十分な協議の下に成立するものと認められ、かつ、(d)下記
 「(ウ)本取引の取引条件の公正性・妥当性」に記載のとおり、本取引の取引条件は正当性・
 妥当性が認められることから、本取引が、上場維持を前提とする他の取引スキームと比較して
 も、対象者の企業価値の向上に資するものであり、対象者が、少数株主に適正な価格での対象
 者株式の売却機会を提供することが、現時点における株主の利益を配慮した上での最善の選択
 であるとの結論に至ったことは不合理ではないと考えられる。
  以上のとおり、本取引は、対象者の企業価値の向上に資するものと認められ、その目的は正
 当性・合理性を有するものであると考えられる。

(イ) 本取引に係る手続の公正性

   本取引においては、上記のとおり、①特別委員会が、取引条件の形成過程の初期段階から設
 置され、アドバイザー等の選任・承認権限や買付候補者及びLIXILグループとの交渉権限
 等が付与された上、特別委員会の答申内容について最大限尊重する旨決議がされているところ、
 特別委員会はこれらの権限を行使して、公開買付者及びLIXILグループとの間の取引条件
 に関する交渉過程に実質的に関与したことが認められ、かつ、特別委員会の独立性、専門性・
 属性などの構成、アドバイザーなどの検討体制、報酬面等についても特段の問題は認められな
 いこと、②対象者は、公開買付者、対象者及びLIXILグループから独立したリーガル・ア
 ドバイザーとして西村あさひ法律事務所を選任し、各種のアドバイスを受けていること、③対
 象者は、公開買付者、対象者及びLIXILグループから独立した第三者算定機関であるフロ
 ンティア・マネジメントに対して、対象者の株式価値の算定を依頼し、2020 年6月8日付で本
 対象者株式価値算定書を取得していること、④公開買付者においても、公開買付者、対象者及
 びLIXILグループから独立した第三者算定機関であるグリーンヒルに対して、対象者の株
 式価値の算定を依頼し、2020 年6月9日付で株式価値算定書を取得していること、⑤特別委員
 会がLIXILグループとの協議に実質的に関与した上で、LIXILグループによる入札手
 続きが実施されていること、⑥法令に定められた最短期間である 20 営業日を超える 30 営業日
 に設定されていること、⑦特別委員会に関する情報その他の情報が適切に開示されるものと認
 められること、⑧少数株主に対する強圧性を生じさせないような配慮がなされていること等か
 らすると、本取引に係る手続は公正なものであると考えられる。
   なお、本取引においては、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of
 Minority)条件が設定されていないものの、本取引においては、(i)親会社であるLIXILグ
 ループが対象者株式を 23,367,300 株(所有割合:53.22%)、公開買付者が対象者 585,000 株
 (所有割合 1.33%)を所有しているところ、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定す
 ると、本公開買付けにおける買付予定数の下限が高くなり過ぎ、本公開買付けの成立を不安定



                       ― 19 ―
 にし、応募する少数株主の利益に資さない可能性が認められることに加え、(ii)上記のとおり
 公正性担保措置が講じられていること、(iii)特別委員会の実質的な関与の下、公開買付者及び
 LIXILグループと取引条件について真摯に協議・交渉した結果として、第二次入札プロセ
 スにおける各候補者の最終意向表明書の公開買付価格の中で最も高い価格で最終的な合意がな
 されており、かつ、かかる公開買付価格の交渉の過程において、マジョリティ・オブ・マイノ
 リティ条件の設置の有無についても併せて交渉が行われ、LIXILグループによる最終的な
 譲歩案の提示において、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定しないことが条件とさ
 れていたこと、(iv)下記(ウ)のとおり、本取引に係る取引条件は、公正・妥当であると考え
 られること等に鑑みると、本取引においてマジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定しな
 いことが、直ちに本取引の手続きの公正性を損なわせるものとはいえないと考えられる。

(ウ) 本取引の取引条件の公正性・妥当性

 ①   本取引の取引条件に関する協議・交渉の過程においては、LIXILグループによる入札
     手続が行われており、かつ、公開買付者による最終意向表明書の提出後も、特別委員会の
     要請に基づき、公開買付者及びLIXILグループとの間でLIXILグループにおいて
     生じる税効果を踏まえた協議・交渉が行われ、この結果有意な譲歩を受けた上で最終的に
     本公開買付価格及び対象者自己株式取得価格が合意されているなど、特別委員会の実質的
     な関与の下、企業価値を高めつつ少数株主にとってできる限り有利な取引条件で本取引が
     行われることを目指した合理的な努力が行われる状況が確保されていたものと認められる
     こと、②公開買付者、対象者及びLIXILグループから独立した第三者算定機関である
     フロンティア・マネジメントから取得した本対象者株式価値算定書によれば、対象者株式
     1株当たりの株式価値は、市場株価平均法で 1,974 円から 2,506 円、類似企業比較法で 1,
     006 円から 2,464 円、DCF法で 2,147 円から 3,798 円と算定されているところ、本公開
     買付価格である1株当たり 2,600 円は、本株式価値算定書における対象者株式の株式価値
     の算定結果のうち、市場株価平均法及び類似上場会社比較法による算定結果のレンジの上
     限を上回るものであり、DCF法による算定結果のレンジの範囲内のものであり、かつ、
     フロンティア・マネジメントによる対象者株式価値算定書及び算定に用いた対象者の事業
     計画の内容に関する説明及び質疑応答の結果等からすると、フロンティア・マネジメント
     が対象者株式の価値の算定に当たり採用した手法及び算定の過程並びに株式価値の算定結
     果について、特段不合理と認められる点はないこと(なお、本公開買付価格である1株当
     たり 2,600 円は、DCF 法による対象者の株式価値の算定結果との関係で必ずしも高い水準
     の価格であるということはできないが、本公開買付価格は、LIXIL グループが実施した入
     札手続を経て、かつ、特別委員会の実質的な関与の下、LIXIL グループ及び公開買付者と
     取引条件について真摯に協議・交渉した結果として、第二次入札手続における入札者(し
     かも、LIXIL グループによれば、第二次入札手続に先行して幅広い候補先を招聘した第一
     次入札手続が行われた。)が提示した本公開買付価格の中で最も高い価格で最終的な合意
     がなされていること等を踏まえると、かかる点のみをもって本公開買付価格が公正・妥当
     でないということはできない。)、③本公開買付価格である1株当たり 2,600 円は、(i)
     本公開買付けの公表日の直前営業日(2020 年6月8日)の東京証券取引所市場第一部にお
     ける対象者株式の終値 2,506 円に対して 3.75%、過去1週間(2020 年6月2日から 2020
     年6月8日)の終値単純平均株価 2,531 円に対して 2.73%、過去1ヶ月(2020 年5月 11
     日から 2020 年6月8日)の終値単純平均株価 2,290 円に対して 13.54%、過去3ヶ月(20
     20 年3月9日から 2020 年6月8日)の終値単純平均株価 1,974 円に対して 31.71%、過去
     6ヶ月(2019 年 12 月9日から 2020 年6月8日)の終値単純平均株価 2,034 円に対して 2
     7.83%とのプレミアムを加えたものとなっており、近時の新型コロナウイルス感染症の感
     染拡大を契機とする株価変動の影響が少ない期間を含む 2019 年 12 月9日から 2020 年6月
     8日までの過去6ヶ月の終値単純平均株価に対して合理的なプレミアムが付された価格で


                         ― 20 ―
  あるものと考えられること、、また、本公開買付価格は、(ii)一部情報配信会社において
  LIXILグループによる対象者株式売却の可能性が初めて情報配信された 2019 年8月1
  日の終値 1,358 円に対して 91.46%、過去1週間(2019 年7月 26 日から 2019 年8月1日)
  の終値単純平均株価 1,310 円に対して 98.47%、過去1ヶ月(2019 年7月2日から 2019 年
  8月1日)の終値単純平均株価 1,274 円に対して 104.08%、過去3ヶ月(2019 年5月7日
  から 2019 年8月1日)の終値単純平均株価 1,244 円に対して 109.00%、過去6ヶ月(201
  9 年2月4日から 2019 年8月1日)の終値単純平均株価 1,330 円に対して 95.49%のプレ
  ミアムを加えたものとなっていること、更に、(iii)一部情報配信会社においてLIXI
  Lグループによる対象者株式売却プロセスに関する情報配信があった 2020 年2月3日の終
  値 2,110 円に対して 23.22%、過去1週間(2020 年1月 28 日から 2020 年2月3日)の終
  値単純平均株価 2,199 円に対して 18.24%、過去1ヶ月(2020 年1月6日から 2020 年2月
  3日)の終値単純平均株価 2,045 円に対して 27.14%、過去3ヶ月(2019 年 11 月5日から
  2020 年2月3日)の終値 1,989 円に対して 30.72%、過去6ヶ月(2019 年8月5日から 20
  20 年2月3日)の終値単純平均株価 1,776 円に対して 46.40%のプレミアムを加えたもの
  となっていること、そして、(iv)(i)のプレミアムの水準については、過去の類似事例に
  おけるプレミアム水準と比べると必ずしも高い水準とはいえないが、上記(ii)及び(iii)
  の情報配信があったことを考慮すると(とりわけ、(iii)の情報配信の内容からすると、
  対象者の決算発表に近い時期に対象者株式に対する公開買付けが公表される可能性がある
  ことを推察することが合理的に可能であることを考慮すると)上記(i)のプレミアムの計
  算に係る期間の株価は、上記情報配信による期待値等の影響を一定程度受けたものである
  という見方も不合理なものとはいえず(なお、ホームセンター業界の株価は 2020 年3月中
  旬頃から全体として回復傾向にあるが、本公開買付けの公表日の直前営業日(2020 年6月
  8日)の東京証券取引所市場第一部における対象者株式の終値は 2020 年5月1日、同年4
  月1日、同年3月2日、同年2月3日、2019 年7月1日の株価に比べてそれぞれ 36.72%、
  39.14%、22.24%、18.77%、96.24%上昇したのに対し、対象者を除くホームセンター業
  界の主要プレイヤー12 社の株価の平均値は 2020 年5月1日、同年4月1日、同年3月2
  日、同年2月3日、2019 年7月1日の株価に比べてそれぞれ 10.58%、22.38%、16.35%、
  6.46%、7.76%上昇したにとどまっており、上記いずれの基準時で比べても、対象者の株
  価の上昇率がホームセンター業界の株価の上昇率よりも高い。この事実からも、ホームセ
  ンター業界の株価の上昇を考慮しても、対象者の株価は高騰しており、上記情報配信によ
  る期待値等の影響があると考えることが合理的である。)、新型コロナウイルス感染症の
  影響や上記情報配信による高騰前の株価を基準とした(ii)のプレミアムの水準については、
  過去の類似事例におけるプレミアム水準と比較して遜色のないプレミアムが加算されてい
  るといえることから、本公開買付け価格は公正・妥当であると考えられる。

 なお、公開買付者及びLIXILグループとの交渉に際して、特別委員会は、対象者自己株
式取得における対象者株式の売却についてLIXILグループに法人税法に定めるみなし配当
の益金不算入規定が適用されることが見込まれることを踏まえ、対象者の株式評価総額を公開
買付者が最終意向表明書に記載した約 1,100 億円であることを前提として、LIXILグルー
プが本公開買付けに応募して対象者株式を売却する場合と対象者自己株式取得により対象者株
式を売却する場合とで税引き後の手取り金額が等しくなるように本公開買付価格及び対象者自
己株式取得価格を設定する場合における当該本公開買付価格及び対象者自己株式取得価格の概
算額を、様々な仮定条件に基づき一つの考え方として、対象者のアドバイザーと協議のうえ、
独自に試算した。公開買付者による最終的な本公開買付価格である 2,600 円は、上記で試算さ
れた概算額を下回るものであったが、(a)公開買付者の提案する本公開買付価格 2,600 円は、
公開買付者により当初提案された本公開買付価格である 2,505 円と比較すれば、本公開買付価



                       ― 21 ―
 格を 2,505 円から 2,600 円へ増額(対象者の少数株主の売却対価総額で約 500 億円から約 519
 億円への増額)するものであり、少なくとも当該増額分について対象者の少数株主に対してよ
 りメリットのある条件であると考えられること、更に、(b)公開買付者の提案する本公開買付
 価格 2,600 円は、公正性担保措置が講じられた上で、特別委員会の実質的な関与の下、LIX
 ILグループ及び公開買付者と取引条件について真摯に協議・交渉した結果として、第二次入
 札プロセスの入札者(なお、LIXILグループによれば、第二次入札プロセスに先行して幅
 広い候補先を招聘した第一次入札プロセスが行われた。)が提示した本公開買付価格の中で最
 も高い価格として最終的な合意がなされた条件であること、(c)公開買付者の提案する本公開買
 付価格 2,600 円は、上記のとおり、新型コロナウイルス感染症や上記情報配信の影響を受ける
 前の株価との関係では、過去の類似の公開買付事例におけるプレミアム水準と比較しても遜色
 のないプレミアムが加算されていること等から本公開買付価格の公正性・妥当性は確保されて
 いること等に鑑み、特別委員会として、本公開買付けは対象者の少数株主に対して合理的な株
 式売却の機会を提供するものであると判断した。

  また、その他の取引条件について、①本取引においては、本公開買付け後に本株式併合の手
 法による公開買付者及びLIXILグループ以外の株主のスクイーズアウト(以下「本スクイ
 ーズアウト」といいます。)の実施が予定されているところ、本スクイーズアウトのスキーム
 や、本スクイーズアウトに関する開示の想定等を考慮すると仮に本公開買付けに応募しなかっ
 た場合に不利に取り扱われることが予想される状況には陥らないような配慮がなされているこ
 とから、本スクイーズアウトに係る取引条件は、公正かつ妥当であるといえること、②本融資
 に係る融資条件が対象者の財務状況に重大な悪影響を及ぼすおそれは認められないこと、③本
 取引の実行に当たって締結される本覚書及び本資本業務提携契約書には少数株主にとって特段
 不利益となる事項は含まれていないこと等を踏まえると、その他の本取引の取引条件について
 も公正・妥当であると考えられる。

(エ) 本公開買付けに対して対象者取締役会が賛同意見を表明すること及び対象者の株主に対し
    て本公開買付けへの応募を推奨することの是非

  上記(ア)乃至(ウ)のとおり、本取引は対象者の企業価値の向上に資するものであり、本
 取引の目的は正当性・合理性を有すると考えられることから、対象者取締役会が本公開買付け
 に賛同の意見を表明することは妥当であり、また本取引の取引条件は公正・妥当であり、本取
 引に係る手続きは公正であると考えられることから、対象者取締役会が対象者の株主に対して
 本公開買付けへの応募を推奨することも妥当であると考えられる。

(オ) 本取引を行うこと(本公開買付けに対して対象者取締役会が賛同意見を表明すること及び
    対象者の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含む。)は対象者の少数株
    主にとって不利益ではないか(本取引において選択された手法とその他の手法との比較の
    観点を含む。)

  上記(ア)乃至(ウ)のとおり、本取引は上場維持の可能性も検討された上で、本公開買付
 けにより対象者の少数株主に適正な価格での対象者株式を売却できる機会を提供することが、
 現時点における株主の利益を配慮した上での最善の選択であるとの結論に至ったものであり、
 本取引の目的は正当性・合理性を有すると考えられ、また、本取引を行うこと(本公開買付け
 に対して対象者取締役会が賛同意見を表明すること及び対象者の株主に対して本公開買付けへ
 の応募を推奨することを含む。)の取引条件は公正・妥当であり、また本取引に係る手続きは
 公正であると考えられることから、本取引は対象者の少数株主にとって不利益なものではない
 と考えられる。




                       ― 22 ―
  ⑤ 対象者における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む)の承認
     対象者プレスリリースによれば、対象者は、第三者算定機関であるフロンティア・マネジメ
    ントの本対象者株式価値算定書の内容及び西村あさひ法律事務所から受けた法的助言を参照し、
    公開買付者及びLIXILグループとの間で実施した複数回に亘る協議の内容その他の関連資
    料を踏まえ、特別委員会から取得した本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引に関す
    る諸条件について慎重に審議及び検討を行った結果、対象者は、上記「(2)本公開買付けの実施
    を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け及び本取引後の経営方
    針」の「③対象者における意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、対象者の取締役8名の
    うち、審議及び決議に参加した対象者の取締役8名の全員一致で、対象者の意見として、本公
    開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けに応
    募することを推奨する旨の決議をしたとのことです。
     なお、上記取締役会に参加した対象者の取締役のうち飯田毅彦氏は、過去にトーヨーサッシ
    株式会社(その後の商号変更を含みます。現LIXILグループ)及びその子会社(対象者を
    除きます。以下本⑤において同じです。)の従業員の地位にあったものの、同氏は既にLIX
    ILグループ及びその子会社との兼職関係はなく、LIXILグループ及びその子会社から指
    示を受ける立場にはないとのことです。また、対象者は、上記「④対象者における特別委員会
    の設置及び意見の入手」に記載のとおり、2020 年2月 21 日に特別委員会を設置し、公開買付者
    及びLIXILグループとの間の協議・交渉の経緯及び内容等につき特別委員会に適時に報告
    し、複数回に亘り特別委員会と対象者との間で協議を行い、特別委員会の意見を取得しつつ公
    開買付者及びLIXILグループとの協議・交渉を進めており、特別委員会が対象者における
    本取引の検討及び公開買付者及びLIXILグループとの協議・交渉の過程において有効に機
    能しているものと考えているとのことです。そのため、対象者は、過去、LIXILグループ
    及びその子会社の従業員の地位にあった上記の取締役には、対象者取締役会の審議又は決議か
    ら除外されなければ手続きの公正性が害されると考えるべき程の利害関係はないものと判断し
    ているとのことです。

  ⑥ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置
     上記「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公
    開買付け及び本取引後の経営方針」の「② 公開買付者と対象者及びLIXILグループとの
    協議、公開買付者による意思決定の過程」に記載のとおり、対象者及びLIXILグループは
    対象者株式の全ての譲渡を複数の買手候補先に打診することによる入札プロセスを実施してお
    り、一定の競争状態において、他の複数の買付候補者との比較を通じて、対象者及びLIXI
    Lグループにより公開買付者が最終買付候補者として選定された経緯があります。したがって、
    公開買付者以外の者による対象者株式に対する買付け等の機会は既に十分に設けられていたと
    考えておりますが、公開買付