9787 イオンディライ 2019-07-22 15:00:00
当社連結子会社 株式会社カジタクの不正会計処理問題に対する再発防止策について [pdf]

                                                   2019 年7月 22 日
各 位
                   会   社       名   イオンディライト株式会社
                                   代表取締役社長
                   代 表 者 名                           濵田     和成
                                   兼社長執行役員
                                    (コ ー ド 番号 9787 東 証第 一 部 )
                                   取締役兼常務執行役員
                   お問合せ先           グループ戦略・デジタ        四方     基之
                                   ルソリューション統括
                                              (TEL.03-6840-5712)




当社連結子会社 株式会社カジタクの不正会計処理問題に対する再発防止策について



 当社は、当社連結子会社である株式会社カジタク(以下、
                          「カジタク」)における会計処理
問題の判明を受け、2019 年 4 月 11 日に当社と利害関係を有しない外部の専門家によって構
成される特別調査委員会を設置し、事態の全容把握とその根本的な原因の解明、当社連結財
務諸表への影響額の確定等に努めてまいりました。2019 年 6 月 27 日に当社は、特別調査委
員会より調査報告書(※)を受領し、かかる調査によってカジタクが過去複数年にわたり、
不正な会計処理を行っていたことが判明いたしました。
 当社は、特別調査委員会からの再発防止策の提言を踏まえ、下記のとおり、グループガバ
ナンス体制の強化および再発防止策の実行計画を決議しましたので、お知らせいたします。
 今後、当社は、グループガバナンスの強化と再発防止策の徹底により、グループ経営体制
をより強固なものとし、今一度、イオンディライトグループとしての成長戦略を加速させる
ことで、株主をはじめとしたステークホルダーの皆さまからの信頼回復に努めてまいります。
※特別調査委員会による調査報告書については、2019年6月28日付「特別調査委員会の調査報告
書開示および今後の対応に関するお知らせ」をご参照ください。


                           記


1.不正会計処理問題に関する根本原因について
 特別調査委員会からの調査報告書では、不正会計処理問題に関する根本原因について、カ
ジタクにおける根本原因と当社子会社管理における根本原因として、主に以下の項目を指摘
されております。


(1)カジタクにおける根本原因
①家事支援事業の業績低迷、予算必達、営業優位の企業風土
②誤った財務情報に基づく経営及び部門別損益管理の欠如
③コンプライアンス体制・意識の欠如、自浄作用の不全
④取締役の担当の兼務
⑤的確かつ明確な業務手順の不存在


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(2)当社子会社管理における根本原因
①グループガバナンスシステムの不備
②予算実績管理偏重の子会社管理
③子会社リスク・コンプライアンスに対する管理機能の不十分性


2.特別調査委員会からの再発防止策の提言
 上述1.を踏まえて、特別調査委員会からは、
                     「カジタクの再発防止策の提言」と「当社子
会社管理に関する改善点」として、以下の提言を受領しました。
(1)カジタクにおける再発防止策の提言
①経営陣の刷新、取締役の増員
②企業風土改革、コンプライアンス意識の改革
③管理本部(特に経理部門)の増強
④コンプライアンス体制の整備、組織改革
⑤業務手順および業務フローの明文化ならびにその遵守の徹底


(2)当社子会社管理に関する改善点の提言
①当社役員の意識改革
②予算実績管理偏重の子会社管理体制の見直し
③子会社コンプライアンス体制整備等の担当部署・担当役員の明確化
④コンプライアンス部、関係会社管理部、経営監査部の拡充
⑤子会社への常勤役員・スタッフの派遣


3.グループガバナンス体制の強化と再発防止策の実行
 当社は、上述2.の特別調査委員会からの提言を踏まえ、以下に記載の、
                                 「グループガバナ
ンス体制の強化」と「再発防止策」を実施してまいります。


(1)グループガバナンス体制の強化(図表①ご参照)
 従来の当社グループガバナンス体制の課題は、全社事業ポートフォリオに占める当社の割
合が売上構成比で 80%以上と大きいことに起因し、当社単体に対するコーポレートガバナン
スに力点が置かれ、子会社へのグループガバナンス機能が不十分であったことにあります。
この課題を解決するためには、個社別の成長戦略やそれに伴うリソースの再配分、またグル
ープ全社に関わる内部統制システムといった、グループガバナンス機能の更なる拡充が必要
であると考えております。
 今般の特別調査委員会からの提言を受け、今一度、イオンディライトグループ全体の成長
戦略を加速させるとともに、グループガバナンス体制を強化させるため、
                                「グループガバナン
ス3つの柱(①個社別の成長戦略、②予算実績管理、③内部統制システム)
                                 」を構築してまい
ります。
 具体的には、既に導入している予算実績管理に加え、個社別の成長戦略について、国内は
関係会社管理部、国外は国際部が担う体制とします。関係会社管理部、国際部はグループ各
社とともに、個社別の成長戦略を策定し、それを実行するためのリソースの再配分を行って
まいります。また、新たな機能としてグループコンプライアンス本部を新設(執行役員を配
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置)し、グループ各社の内部統制システムに横串を刺すことで、新たなグループガバナンス
体制を構築してまいります。なお、これらと併せて全社的な組織設計を見直し、関連する職
務分掌についても整合を図ってまいります。
 加えて、これらグループガバナンス3つの柱が組織的に機能しているかを当社取締役会、
ならびに権限移譲を受けた国内グループ経営会議および海外グループ経営会議がモニタリン
グするとともに、各社リソースの再配分を決議し、これら全体の有効性を監査役会およびグ
ループ経営監査部が監査する体制とします。またこれとは別に、弁護士、会計士などの専門
家を加えた再発防止委員会を設け、グループガバナンスおよび、後述する再発防止策が機能
しているか否かのモニタリングを四半期単位で実施してまいります。
 当社グループの全体戦略については、従来通りグループ戦略本部が担い、中長期的な成長
戦略の遂行に向けた全社リソースの再配分を行うことで、グループとしての成長を推進して
いく体制へと変革してまいります。




 (図表①)新たなイオンディライトのグループガバナンス体制概念図




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(2)再発防止策(図表②ご参照)
 当社は、上述2.に記載の特別調査委員会からの再発防止策の提言各条に対して、以下に記
載の基本方針に則り、再発防止策を実行してまいります。

①カジタクにおける再発防止策
【提言①】経営陣の刷新、取締役の増員
【基本方針①】経営陣の刷新、新社長によるコンプライアンス重視のメッセージ発信
【実行計画①】カジタクの代表取締役社長については、既に当社派遣の取締役に交代すると
ともに、管理本部長・コンプライアンス監理者も当社派遣の取締役が管掌する体制へと変更
しています。その他、新たな取締役2名を選任し、同社経営陣については既に刷新済みです。
また、新社長自ら法令等遵守のメッセージを社内外に継続的に発信しております。今後も、
当面の間は、管理本部やコンプライアンスを担当する常勤の取締役を当社から派遣し続け、
取締役の事業部門と管理部門との兼任を回避して相互に監視し得る体制を確立し、カジタク
のコンプライアンス体制を維持、改善する努力を継続してまいります。

【提言②】企業風土改革、コンプライアンス意識の改革
【基本方針②】企業風土改革、コンプライアンス意識の改革
【実行計画②】業務内容に即した業務手順やマニュアルを、現場の従業員、当社、専門家等
の意見を聞きながら策定し、その遵守を徹底するとともに、各部署においてリスクとなり得
る情報や要素を抽出し、これを経営陣で共有して部署横断的に対策を講じ、継続的に見直し
を図る仕組みを構築してまいります。さらに、今般の不正行為を含む自社および他社の具体
的な不祥事案を取り上げた全社員向けの研修を定期的に計画し、実施してまいります。

【提言③】管理本部(特に経理部門)の増強
【基本方針③】財務、経理、主計業務の信頼性確保、業務の見える化
【実行計画③】カジタクを含めて、当社グループ各社における財務諸表の信頼性確保と、財
務経理業務の見える化を目的に、グループ各社の財務経理主計業務のシェアード化を実施し
てまいります。

【提言④】コンプライアンス体制の整備、組織改革
【基本方針④】コンプライアンス体制の構築、社内規定の遵守
【実行計画④】経営陣の刷新に伴い、営業部門と管理部門との牽制関係が本来の機能を持て
るよう、一人の役員による兼任体制を解きました。また、当社よりグループ各社にて、役員
と兼務しないコンプライアンス委員を指名するとともに、当社グループコンプライアンス本
部長のもと、その活動の適正性を評価し、適宜、当該委員の選解任を行います。加えて、当
社グループの内部通報制度を周知徹底するとともに、グループ各社の経営陣からは独立した
形で運用してまいります。

【提言⑤】業務手順および業務フローの明文化ならびにその遵守の徹底
【基本方針⑤】業務手順および業務フローの明文化ならびにその遵守と徹底
【実行計画⑤】業務プロセスを明文化し、業務ごとのマニュアルを策定してまいります。加
えて、カジタクを含むグループ会社に対しては、当社グループ内部統制部が規定・マニュア
ル等の整備状況を確認し、不足があれば整備する体制とします。また、マニュアルに沿った
業務が行われているか否かを確認するため、後述するグループ経営監査部による監査を実施
してまいります。




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②当社子会社管理における再発防止策
【提言①】当社役員の意識改革
【基本方針①】さらなるコンプライアンス体制を推進するための当社役員の意識改革
【実行計画①】当社取締役の意識改革を行い、取締役会のグループ各社への監督機能を強化
します。具体的には、グループ各社の取締役会の実施状況について、当社取締役会に対して
各社担当役員より四半期毎にレビューを行い、その実効性はもとより、個社が抱えている経
営上の課題を明らかにし、グループ全体のリソースの再配分を決議します。
 また、事業年度毎に、グループ各社の取締役会の実効性評価について、当社取締役会の任
意の諮問委員会である評価諮問委員会で評価を実施してまいります。なお、これら取締役会
および取締役の取組みについての監査を当社監査役会にて行う体制とします。


【提言②】予算実績管理偏重の子会社管理体制の見直し
【基本方針②】グループ会社の安定的・持続的な成長を支えるための子会社管理体制の見直し
【実行計画②】
・財務経理業務のシェアード化
 上述((2)-①-③)のとおり、グループ各社の財務諸表の信頼性確保と、財務経理業務
の見える化を目的に、グループ各社の財務経理主計業務のシェアード化を実施します。
・会計監査人または会計参与の設置
 グループ各社を事業規模等で分類し、会計監査人、または公認会計士資格を保有する会計
参与を設置します。
・海外子会社の体制強化
 中国事業では、常駐の監査役を配置し、その配下に内部監査部門を配置することで主要各
社に対して、年間監査計画による監査を行う体制を構築します。なお、中国事業各社には既
に会計監査人を設置済みです。
 また、アセアン事業各社に関しては、各社に内部監査部門を設置し、年間監査計画による
監査を行う体制を構築します。なお、アセアン事業各社には既に会計監査人を設置済みです。
 加えて、中国、アセアン事業ともにコンプライアンス部門および内部通報制度を設置します。
・グループ監査およびリスク管理
 上述の各ガバナンス体制が構築され、機能しているのか、また、グループ各社の対策が適
切か否かを検証するため、年 2 回、当社主催でリスク管理委員会を開催し、グループ各社毎
のリスクシナリオを検証し、更新してまいります。また、それらリスクシナリオに応じて、
当社グループ経営監査部が各社の監査を実施してまいります。
・M&A のデューデリジェンス(※1)チェックおよび PMI(※2)
 M&A を実施した際には、当社取締役会において PMI タスクチームを任命いたします。当
該 PMI タスクチームは、デューデリジェンスで発見された事象に対する改善状況をモニタリ
ングすることに加え、デューデリジェンスで発見できなかった課題を含めて対応します。併
せて該当企業における業務プロセスフローの明文化を実施してまいります。
※1 デューデリジェンス(Due Diligence)…投資を行うにあたって、投資対象となる企業や投資
先の価値やリスクなどを調査すること
※2 PMI(Post Merger Integration)…M&A(企業の合併・買収)成立後、統合効果を最大化す
るために行う統合プロセス。統合の範囲は、経営、業務、意識など多岐にわたる
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【提言③】子会社コンプライアンス体制整備等の担当部署・担当役員の明確化
【基本方針③】グループ会社のコンプライアンス体制の整備
【実行計画③】当社グループコンプライアンス本部長を当社グループ全体のコンプライアン
ス担当役員とし責任を明確化するとともに、従来の当社コンプライアンス部をグループコン
プライアンス部と改称し、新たにグループ各社に任命するコンプライアンス委員と連携し、
各社の経営者、従業員に対するコンプライアンス意識向上に資する活動を強化してまいります。


【提言④】コンプライアンス部、関係会社管理部、経営監査部の拡充
【基本方針④】グループ会社の健全な経営の支援、適切なモニタリング、不正防止の観点か
ら監査を実施するための組織の充実化
【実行計画④】
・グループ会社の取締役、監査役(常勤含む)の選解任
 グループ各社の社長、取締役の選解任については、当社取締役会の任意の諮問委員会であ
る指名・報酬委員会にて協議し、その内容を当社取締役会へ提案する体制とします。また、
グループ各社の監査役については当社監査役会にて協議し、その内容を当社取締役会へ提案
する体制とします。なお、重要子会社については常勤監査役を設置し、グループ各社の経営
が健全に運営されているかをモニタリングする体制とします。
・経営監査機能の強化
 従来の当社経営監査部をグループ経営監査部とし、グループ各社それぞれのビジネスに応
じて抽出したリスクシナリオに沿った監査を実施してまいります。加えて、監査スタッフと
して、業務監査以外に会計やITといった領域にリテラシーを持つ人材を配置することで、監
査機能を強化します。また、将来的には、海外事業各社を対象とした、国際部門専属の監査
チームを編成してまいります。
・内部統制機能の強化
 グループ各社に対する内部統制機能を強化し、個社の業務プロセスフロー作成にあたって
は、当社グループ内部統制部が各社を指導のうえ、作成を支援します。なお、これらのプロ
セスが機能しているか否かについては、当社グループ経営監査部の監査にてチェックを行い、
必要があればその指摘を受けて是正を行い、再度チェックを行う体制とします。
・コンプライアンス機能の強化
 従来の当社コンプライアンス部をグループコンプライアンス部とし、新たにグループ各社
に任命するコンプライアンス委員と連携し、各社の経営者、従業員に対するコンプライアン
ス意識向上に資する活動を強化してまいります。
・グループコンプライアンス・内部統制体制の確立
 上述の経営監査、内部統制、コンプライアンスの各機能をグループ全体で発揮させるため、
グループコンプライアンス本部を新設し、その配下にグループ経営監査部、グループ内部統
制部、グループコンプライアンス部を配置します。
・会計監査人の適正性評価の実施
 会計監査人については監査役会が、その適正性を評価し、必要に応じて変更を含めた対応
を図ることで会計監査体制を強化してまいります。




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【提言⑤】子会社への常勤役員・スタッフの派遣
【基本方針⑤】日常的に業務に携わる常勤の役員やスタッフの派遣、人材交流による不正の
早期発見、組織風土の改善
【実行計画⑤】
・計画に基づく人事異動と人材交流
 グループ各社の社長、管理部門責任者については個社別の状況を勘案し定期的に他社への
異動または担当業務の変更を実施します。また、責任者以外の従業員も当社およびグループ
各社間での人材交流を行い、お互いのビジネスモデルを理解するとともに、相互に意見を言
える組織風土の醸成を図ります。当社は、これらグループ各社の人事情報の管理も行い、計
画に基づく人事異動を行うことで、不正の防止、組織の活性化を図ります。



 (図表②)再発防止策の相関図




                                        以上




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