9632 スバル興 2019-04-11 15:00:00
当社子会社元役員による不正行為にかかる特別調査委員会からの調査報告書の受領について [pdf]
2019 年4月 11 日
各 位
会社名 ス バ ル 興 業 株 式 会 社
代表者名 代 表 取 締 役 社 長 永 田 泉 治
(コード:9632 東証第1部)
問合せ先 専務取締役管理本部長 松 丸 光 成
(TEL 03-3213-2861)
当社子会社元役員による不正行為にかかる
特別調査委員会からの調査報告書の受領について
当社は、2019 年3月 22 日に適時開示いたしました「当社子会社元役員による不正行為にかかる
特別調査委員会の設置について」に記載しましたとおり、当社連結子会社の元代表取締役により売
掛金が着服されていた疑いが生じたため、当社と利害関係を有しない外部の専門家である弁護士お
よび公認会計士から構成される特別調査委員会を設置し、当該事案について、調査を進めてまいり
ました。
この度、特別調査委員会より「調査報告書」を受領いたしましたので、その概要と今後の対応方
針について、下記のとおりお知らせいたします。
当社は、今回の事態を招いたことを真摯に受け止め、改めて深くお詫び申し上げますとともに、
特別調査委員会の調査結果および再発防止策の提言につき充分に分析、検討のうえ、その内容を経
営に反映してまいります。 当社は、株主、投資家をはじめとするステークホルダーの皆様からの信
頼回復向けて全力を尽くしてまいる所存でございますので、引き続きご支援賜りたくお願い申しあ
げます。
記
1.特別調査委員会の調査結果
特別調査委員会からの調査結果につきましては、別添の「調査報告書(株式会社協立道路サー
ビスにおける不正行為に関して)」をご覧ください。
なお、当該報告書につきましては、個人のプライバシー、機密情報保護および今後の刑事告
訴手続き等の観点から、部分的な非開示措置・匿名化を施しております。
2.2019 年1月期の業績の修正
当社は、調査結果を踏まえ、当社子会社元役員による不正行為は過年度の連結財務諸表に重
要な影響を与えていないと判断したため、直近の連結財務諸表に影響額を反映することといた
しました。
この度の訂正に伴う業績への影響額の概要は、次のとおりです。
連結損益計算書の営業費用は、当社子会社元役員が下請け業者からキックバックによる着服
が発覚しとことにより、その対価である1千5百万円を費用の戻入れを行い、営業利益は1千
5百万円の増加となりました。また、下請け代金の売掛金の着服額1憶7千万円および未認識
であった他社からの借入金等が3千万円発覚したこと等により、その回収不能額を貸倒引当金
の追加計上等により営業外費用が2億1千9百万円増加となり、経常利益、税金等調整前当期
純利益に与える影響額は2億3百万円の減少、法人税、住民税及び事業税の増加7百万円、法
人税等調整額(貸方)1百万円の増加により、親会社株主に帰属する当期純利益に与える影響
額は2億1千万円の減少となりました。
(訂正内容) 単位:百万円
3/14 発表額 4/11 訂正 差額 備考
売上高 25,164 25,164 - 訂正なし
営業利益 3,047 3,062 +15
経常利益 3,087 2,883 △203
親会社株主に帰属
2,030 1,820 △210
する当期純利益
なお、上記の内容による 2020 年 1 月期の業績に与える影響は軽微であるため、2019 年3月
14 日に開示いたしました連結業績予想の変更はありません。
3.今後のスケジュール
当社は特別調査員会の調査結果を受けて、2019 年3月 14 日に開示いたしました 2019 年1月
期の決算短信について訂正を行うことといたし、
本日別途開示いたします。
また、 105 期
第 (2019
年1月期)有価証券報告書の提出につきましては、法定期限内の提出を目指しておりますが、
提出期限の延長申請が必要となった場合は速やかに公表いたします。
4.再発防止に向けた取り組み
当社は、特別調査委員会が認定した事実と原因分析に基づいた再発防止策の提言を真摯に受
け止め、再発防止策を早急に策定のうえ実行してまいります。なお、具体的な再発防止策は、
まとまり次第、速やかに公表いたします。
当社の株主様をはじめ関係者の皆様に、多大なるご迷惑とご心配をおかけしますことを深くお詫
び申しあげます。
今後、役職員が一丸となって信頼の回復に努めて参りますので、何卒、ご理解とご支援を賜りま
すようお願い申しあげます。
以 上
スバル興業株式会社 御中
2019 年 4 月 11 日
調 査 報 告 書
(株式会社協立道路サービスにおける不正行為に関して)
特 別 調 査 委 員 会
委員長 平 尾 覚
委 員 勝 部 純
委 員 駒 井 昌 宏
第1 本件調査の概要 ························································ 5
1 本件調査の経緯 ···················································· 5
2 本件調査の目的 ···················································· 5
3 本件調査の体制 ···················································· 5
第2 本件調査の方法 ························································ 6
1 関係資料の精査 ···················································· 6
2 データレビュー ···················································· 6
(1) 対象者の選定 ················································· 6
(2) 対象メールデータ ············································· 6
(3) データレビューの結果 ········································· 6
3 ヒアリング調査 ···················································· 7
4 取引先に対する債権残高確認 ········································ 7
第3 調査の結果判明した事実 ················································ 7
1 協立道路の概要等 ·················································· 7
(1) 沿革等 ······················································· 7
(2) 協立道路の主な業務内容 ······································· 8
(3) 協立道路における業務の流れ ··································· 8
ア 案件の受注 ··············································· 8
イ 案件の進捗管理 ··········································· 8
ウ 請求手続 ················································· 9
エ 売上の計上 ·············································· 10
オ 代金の受領・入金管理 ···································· 11
カ 下請代金の支払 ·········································· 11
2 本件横領について ················································· 12
(1) 本件横領の態様 ·············································· 12
(2) 下請代金等の着服 ············································ 12
ア 具体的な方法 ············································ 12
イ 隠蔽工作 ················································ 13
ウ その他の方法による下請代金の着服等 ······················ 14
(3) 下請事業者からのキックバックの受領 ·························· 15
(4) 協立道路名義による借入 ······································ 15
2
(5) その他の不正行為 ············································ 17
(6) 本件横領による着服額 ········································ 17
ア 下請代金等の着服額 ······································ 17
イ キックバックによる着服額 ································ 18
ウ 協立道路名義による借入の残高 ···························· 18
エ その他の不正行為について ································ 19
(7) 共犯者の有無 ················································ 19
3 本件横領によって得た金員の使途 ··································· 19
4 本件横領の開始時期及び開始経緯 ··································· 20
5 本件横領について認識していた者及びスバル興業の認識 ··············· 20
6 協立道路におけるその他の不正行為の有無 ··························· 21
7 スバル興業による協立道路の管理の実態 ····························· 21
(1) スバル興業による協立道路の管理の概要 ························ 21
(2) スバル興業関西支社の従業員の取締役としての派遣 ·············· 22
(3) スバル興業関西支社による協立道路の売掛金等の管理 ············ 23
(4) 内部監査の実施 ·············································· 23
(5) 他の子会社に対する管理態様との相違点 ························ 24
8 東宝によるスバル興業の管理の実態 ································· 25
(1) 役員の派遣 ·················································· 25
(2) 業績管理 ···················································· 25
ア 月次の業績管理 ·········································· 25
イ 四半期決算ごとの業績報告 ································ 26
(3) グループ会議への参加 ········································ 26
9 スバル興業及び他の連結子会社における本件横領と同様・類似の不正
行為の有無······················································· 26
第4 本件横領が発生した原因・背景 ········································· 27
1 元社長による協立道路の私物化 ····································· 27
2 協立道路における牽制機能の無効化 ································· 27
3 スバル興業における元社長に対する不十分な監視・監督 ··············· 27
(1) スバル興業からの派遣取締役らによる監視・監督が不十分であっ
たこと ······················································ 28
3
(2) スバル興業関西支社の対応が不十分であったこと ················ 28
(3) スバル興業内部監査室による協立道路に対する内部監査が不十分
であったこと ················································ 29
4 スバル興業における協立道路の安易な特別視 ························· 29
第5 再発防止策 ··························································· 30
1 牽制機能の強化 ··················································· 30
(1) 協立道路における業務分掌の見直し・業務プロセスのルール化····· 30
ア 業務分掌の見直し ········································ 30
イ 業務プロセスのルール化 ·································· 30
(2) スバル興業における検証手続の見直し ·························· 31
2 コンプライアンス教育 ············································· 31
3 スバル興業における子会社管理態勢の強化 ··························· 32
4
第 1 本件調査の概要
1 本件調査の経緯
スバル興業株式会社(以下「スバル興業」という。)の 100%子会社である株式会社協立道
路サービス(以下「協立道路」という。)において、複数の取引先に対する売掛金(道路清掃
業務にかかる下請代金)の回収が遅延していたことから、スバル興業が協立道路に指示
し、回収に向けた準備を進めさせていたところ、2019 年 3 月 13 日、当時の協立道路の代
表取締役社長(以下「元社長」という。)が、スバル興業の顧問弁護士に対して、実際には、
元社長が、これらの下請代金について各取引先から支払を受け、着服していた旨を申告し
た。その後のスバル興業による事実確認の結果、協立道路において 2019 年 2 月 28 日現在
において未回収となっている売掛金のうち、元社長による代金着服の結果、未回収扱いと
なっている金額が少なくとも約 1 億 4,000 万円程度存在する可能性があることが判明し
た。
2019 年 3 月 22 日、スバル興業は、当特別調査委員会(以下「当委員会」という。)を設置
し、当委員会に対して、元社長による代金着服に関する事実関係の解明等を目的とする調
査(以下「本件調査」という。)を行うことを依頼した。
2 本件調査の目的
本件調査の目的は以下の事項に関する調査及び検討を行うことである。
① 元社長による代金着服に関する事実関係の解明
② 上記代金着服の具体的手法並びに 2019 年 1 月期及びその過去 5 年度における年度別
の着服金額の把握
③ 協立道路における上記代金着服以外の不正行為(実在取引の未計上、売上の架空計
上、水増請求・キックバック要求等)の有無の確認
④ スバル興業及びその他の連結子会社における上記代金着服と同様・類似の不正行為の
有無の確認
⑤ 上記①~④の事実調査の結果判明した事実における原因・背景事情の分析
⑥ 上記⑤の分析を踏まえた再発防止策の提言
3 本件調査の体制
当委員会は、スバル興業及び協立道路と利害関係を有しない、委員長の平尾覚(西村あ
さひ法律事務所 パートナー・弁護士)、委員の勝部純(西村あさひ法律事務所 パート
ナー・弁護士)及び委員の駒井昌宏(PwC ビジネスアシュアランス合同会社 パートナー・
5
公認会計士)から構成される。また、当委員会は、西村あさひ法律事務所及び PwC アドバ
イザリー合同会社を調査の補助者として起用した。
第 2 本件調査の方法
当委員会は、上記第 1 の 2 記載の目的に必要と考えられる範囲で、以下の方法により本
件調査を実施した。
1 関係資料の精査
当委員会は、協立道路の帳簿書類、証憑類等、元社長個人の銀行口座の取引明細1、その
他上記代金着服の金額把握に関係する資料等を収集し、その内容を精査・検証した。
2 データレビュー
当委員会は、以下のとおり、元社長が業務上用いていたノート PC 上に保存されていた
メールデータ(メール本文及びその添付ファイル。以下同じ。)についてデータレビューを
実施した。
(1) 対象者の選定
元社長をデータレビューの対象者として選定した。
(2) 対象メールデータ
元社長が業務上用いていたノート PC に現存する全てのメールデータ(2013 年 7 月 11 日
~2019 年 3 月 19 日までの期間のメールデータ)2,163 件のうち、広告メール及びその添付
ファイル 1,402 件を除いた、761 件全件についてレビューを実施した。
(3) データレビューの結果
当委員会がレビューを行った 761 件のデータのうち、Hot ドキュメント2と判断された
1
2016 年 1 月 1 日~2019 年 3 月 20 日の期間の取引明細について銀行から開示を受けた。
2
本報告書において、Hot ドキュメントとは、①元社長が取引先からの支払代金を着服していたこと
を裏付ける内容のドキュメント、②その他、実在取引の未計上、架空の売上計上、不正なキック
バックの取得等、元社長によるその他の不正行為を示唆する内容のドキュメントである。
6
データはなく、Relevant ドキュメント3と判断されたデータは 100 件であった。当委員会
は、かかる Relevant ドキュメントについて検討し、代金着服、実在取引の未計上、架空
の売上計上、不正なキックバックの取得等と関連しない内容のものであることを確認し
た。
3 ヒアリング調査
当委員会は、2019 年 3 月 21 日から同年 4 月 4 日にかけて、元社長並びに協立道路、ス
バル興業、スバル興業の親会社である東宝株式会社(以下「東宝」という。)の関係者合計 11
名に対してヒアリング調査を実施した。
4 取引先に対する債権残高確認
過去に協立道路の滞留債権4の存在が疑われた取引先については、元社長がかかる取引先
から下請代金を回収して着服していた可能性があるものの、後述する本件回収偽装等の結
果、元社長の過去の累計着服金額は、2019 年 1 月末時点において滞留債権のある取引先の
滞留債権残高に収斂していると考えられる。そこで、当委員会は、2019 年 1 月末時点にお
いて滞留債権のある取引先5を対象として、協立道路の当該取引先に対する 2019 年 1 月末
時点の債権残高確認を行った。
第 3 調査の結果判明した事実
1 協立道路の概要等
(1) 沿革等
協立道路は、1983 年 5 月 30 日に、スバル興業の完全子会社として設立され、元社長の
父親が設立した株式会社協立商店(以下「協立商店」という。)から、同社が従前から取り
扱っていた、甲市等が管理する道路の路面清掃等の維持管理業務を引き継いだ。
元社長は、1994 年に協立道路の取締役に就任し、2000 年に同社代表取締役社長に就任
した。
3
本報告書において、Relevant ドキュメントとは、上記脚注 2 記載の①及び②に何らか関連する可能
性のある内容のドキュメントである。
4
滞留債権の考え方につき下記第 3 の 2(6)ア参照。
5
但し、債権残高が客観証拠上明らかであるものを除いた。
7
(2) 協立道路の主な業務内容
協立道路は、主に、甲市等が管理する道路及び橋梁等の保全補修工事(以下「工事業務」
という。)、並びに道路の路面清掃、側溝清掃及び除草作業などの清掃業務(以下「清掃業
務」という。)を請け負っている。
工事業務は、協立道路が、甲市等から、元請事業者として工事業務を受注した上で、下
請事業者に対して補修工事等を発注する案件が多い。道路管理のパトロールを行う案件
や、交通事故によって道路が破損した場合に、協立道路が事故の当事者から個別に依頼を
受けて道路の事故復旧工事を受注する案件もある。
清掃業務は、協立道路が、甲市等から清掃業務を受注して、同社従業員が当該清掃業務
を行ったり、下請事業者に対して清掃業務を発注する案件のほか、甲市等から清掃業務を
受注した民間事業者から、協立道路が下請事業者として清掃業務を受注し、同社従業員が
当該清掃業務に従事する案件もある。
協立道路内では、同社取締役兼営業課長(以下「営業課長」という。)等が主に工事業務を
担当しているが、事故復旧工事は元社長に直接連絡が入るため、主に元社長が担当してい
る。清掃業務は、元社長及び同社営業課係長(以下「営業課係長」という。)が主に担当して
いる。
(3) 協立道路における業務の流れ
ア 案件の受注
工事業務及び清掃業務のいずれにおいても、協立道路が元請事業者となる場合には、協
立道路は、甲市等の地方公共団体が行う競争入札に参加し、落札できた案件を受注する。
清掃業務について協立道路が下請事業者となる場合には、協立道路は、甲市等の地方公
共団体の清掃業務に関する案件を受注した元請事業者からの依頼を受けて清掃業務を受注
する。元請事業者からの依頼の連絡は、元社長に来る場合もあれば、営業担当者に来る場
合もある。
事故復旧工事については、甲市の管理する道路において事故が発生し、復旧工事が必要
となった場合、日常的に甲市の管理する道路の維持管理業務を行っている事業者として、
元社長等が、事故の当事者から復旧工事の依頼を受けて受注する。
イ 案件の進捗管理
工事業務を受注すると、営業課長などの工事業務の営業担当者は、元請事業者として、
8
当該工事の進行計画などを取りまとめた工事台帳を作成し、下請事業者や資材の手配を行
う。そして、工事に着工すると、協立道路の従業員を現場代理人として派遣し、工事の進
捗状況を管理する。なお、道路管理パトロールについては、協立道路の従業員が直接パト
ロールに従事するため、過去の実務を踏襲しながら、協立道路の従業員を、どの期間、何
名従事させる必要があるかを決定する。
清掃業務を受注すると、営業課係長などの清掃業務の営業担当者が、清掃ルートや期間
を確認して、協立道路の従業員を、当該案件にどの期間、何名従事させる必要があるかを
決定する。
その後、営業課係長が、協立道路が受注している各案件の必要人数や作業期間を踏まえ
て、翌月の各日においてどの案件に何名を派遣するかをまとめた「作業工程表」を作成す
る。営業課係長は、作業工程表の内容につき、元社長や営業担当者らの了解を得た上で、
各日につき、誰がどの案件を担当するかを割り振った「出面表」を作成し、案件に従事する
従業員への作業指示を出している。各従業員は、指示された案件に従事した後、業務内容
を「作業日報」として事業所に報告し、事業所が各従業員の作業日報の内容を事業所全体と
して取りまとめて、協立道路本社に報告している。
また、清掃業務の場合、発注者である甲市等の地方公共団体に対して、日々の清掃業務
の成果物として、清掃車の運行状況や作業状況に係る報告書(以下、提出書類をまとめて
「作業報告」という。)を提出する必要がある。そのため、協立道路では、直接清掃業務を
受注した案件か、下請事業者として受注した案件かを問わず、作業前、作業中及び作業後
の路面の状況等を写真撮影し、作業報告を作成している。作業報告は、協立道路営業課に
おいて事務手続を行っている担当者(以下「営業課 A 氏」という。)が、撮影された写真を用
いて作成している。協立道路が清掃業務を受注し、下請事業者に清掃業務を発注する場合
には、下請事業者に対して写真撮影を指示したり、作業報告そのものの作成を指示して、
提出を受けている。
ウ 請求手続
清掃業務において、発注者と協立道路との間で、月々代金を請求することとされた案件
については、協立道路は、毎月、作業報告と請求書を作成して発注者に提出し、代金を請
求している。請求書は、各案件の営業担当者の指示の下、営業課において事務手続を行っ
ている担当者(以下「営業課 B 氏」という。)が作成している。
月々代金を請求することとされた案件以外については、発注者と協立道路との間で、工
事や清掃が完了した後に代金を請求することになっており、その場合には、案件の期間の
長短にかかわらず、業務完了後に、当該案件を担当する営業担当者の指示の下、営業課 B
氏が請求書を作成する。
清掃業務においては、上記イ記載のとおり作業報告を作成して請求書とあわせて提出す
9
るため、営業担当者が、甲市等の発注者に請求書と作業報告とをまとめて持参し、提出し
ている。協立道路が下請事業者として清掃業務を受注した場合には、予め元請事業者が甲
市等の発注者に作業報告を提出する必要があるため、協立道路から元請事業者への請求書
の提出に先行して、作業報告だけを提出する場合もある。
また、協立道路が下請事業者として清掃業務等を受注した場合、元社長が元請事業者の
担当者と直接交渉して、値引きなどの金額交渉を行った上で最終的な金額を決定すること
とされていた。そのため、元請事業者に対する請求書については、たとえ営業課係長が担
当する清掃業務の案件であったとしても、元社長からの指示を受けて営業課 B 氏が作成し
ていた。
甲市等の地方公共団体の発注者に対する請求については、受注時の契約によって単価等
が決まっており、営業課係長が窓口となり、請求書等を発注者に提出していたのに対し
て、民間の元請事業者に対する請求については、最終的な支払金額を元社長が元請事業者
と交渉して決めていたため、元社長が窓口となり、請求書等を元請事業者に持参し、提出
していた。
営業課 B 氏は、請求書を発行する都度、請求書を発行した月、契約先、案件名、請求金
額、及び入金がなされた日付等を記録し一覧化している書類(以下「請求一覧表」という。)
を作成していた。また、営業課 B 氏は、発行した請求書一式の控えを、協立道路の経理事
務を行っているスバル興業関西支社総務部係長(以下「スバル興業関西支社 C 氏」という。)
に提出していた。
エ 売上の計上
協立道路では、発注者や元請事業者に対して月々代金を請求することになっている案件
については、各月における実際の請求金額を協立道路の売上として計上している。
一方、案件完了後に代金を請求することになっている案件については、各月に、当該月
に生じた費用に鑑みて、当該月の出来高を算出し、出来高相当分を協立道路の売上として
計上している。
実際の経理事務は、スバル興業関西支社 C 氏が行っており、スバル興業関西支社 C 氏
は、毎月、協立道路から送付される、協立道路の月々の売上(出来高)などがまとめられた
資料を通じて、協立道路の売上を管理している。具体的には、スバル興業関西支社 C 氏
は、スバル興業において毎月 10 日に実施される所長会議に合わせて、その前日頃に、毎
月の協立道路の売上(出来高)が記載された計上表を、営業課 B 氏からメールで受領してい
る。
10
オ 代金の受領・入金管理
協立道路では、工事業務については、同社の銀行口座に振込入金を受けて代金を受領し
ている。清掃業務についても、原則として、協立道路の銀行口座に振込入金を受けて代金
を受領することとなっていたが、下記 2(2)イ(ア)記載のとおり、元社長が担当していた元
請事業者からの受注案件については、元社長が元請事業者から売掛金を回収した旨説明
し、現金をスバル興業関西支社に持参することがあった。
協立道路の銀行口座は、スバル興業関西支社 C 氏が通帳を保有して管理しており、スバ
ル興業関西支社 C 氏は、毎日、当該口座の記帳を行い、入金状況を確認している。スバル
興業関西支社 C 氏は毎朝、銀行に赴いて通帳への記帳を行っている。
スバル興業関西支社 C 氏は、協立道路における売掛金の管理のために、取引先ごとに請
求内容と入金状況をまとめた資料を作成している。スバル興業関西支社 C 氏は、協立道路
が請求書を発行した後、協立道路から請求書の控えの送付を受けて、当該請求書の控えに
記載された金額を当該資料に記載し、また、入金があった際は入金額及び入金日を当該資
料に記載して管理している。入金が、どの案件と紐付いているか分からない場合には、ス
バル興業関西支社 C 氏は、営業課 B 氏に電話などで問合せを行うこともある。
スバル興業関西支社 C 氏は、請求書発行日から 4 か月6を超えても入金されない売掛金に
ついては、滞留していると判断して協立道路に対して状況を確認するようにしている。
なお、協立道路では同社の銀行口座の通帳を保管していないものの、振込入金がなされ
ると、銀行からの音声電話によって振込名義人及び振込金額についての連絡を受けるた
め、主に営業課 A 氏又は営業課 B 氏が当該音声電話結果を都度記録することによって、代
金の受領を記録している。営業課 A 氏や営業課 B 氏は、請求していた代金が入金されたこ
とを確認すると、請求一覧表の右側に、支払を受けた日付を記入している。
カ 下請代金の支払
協立道路が外注作業を下請事業者に発注した場合、下請事業者から請求書を受領する
と、まず、協立道路において請求書の内容と作業報告の内容が整合していることを確認す
る。整合性については、多くの場合は元社長が最終確認を行っていた。
協立道路の銀行口座は、スバル興業関西支社が管理しているため、下請代金の支払手続
はスバル興業関西支社が行う。協立道路では、請求書の内容が作業報告と整合しているこ
とを確認すると、当該請求書をスバル興業関西支社に回付し、スバル興業関西支社から下
6
スバル興業関西支社 C 氏によれば、4 か月という期間については、過去にスバル興業の内部監査に
おいて協立道路における売掛金の滞留が問題になった際、4 か月という期間で滞留か否かの基準と
することとなったとのことである。
11
請事業者に対して、振込入金の方法により、下請代金が支払われる。
2 本件横領について
(1) 本件横領の態様
本件調査の結果、元社長による横領の主な態様として、①元請事業者から支払われた下
請代金等の着服に加え、②下請事業者に協立道路に対する下請代金を水増し請求させた上
での、当該水増し分についてのキックバックの受領、③協立道路名義による借入という 3
つの類型が認められた(以下、これらの元社長による横領行為を総称して「本件横領」とい
う。)。
(2) 下請代金等の着服
ア 具体的な方法
元社長は、協立道路が清掃業務において下請事業者として受注した案件のうち、一部の
下請代金を、現金や小切手で受領し、着服していた。元社長は、特に、取引先である D 社
(以下「D 社」という。)や E 社(以下「E 社」という。)といった、長年に亘って取引関係のあ
る元請事業者からは、長期間に亘って下請代金を現金等で受領し、着服していた。
D 社や E 社以外にも、元社長は、協立道路が下請事業者として受注した案件において、
下請代金の請求書を発行する段階で、元請事業者に対して、他の下請事業者への支払など
のために至急現金が必要であるなどとして、現金等で下請代金を支払ってもらえるよう交
渉し、交渉に応じた元請事業者に対しては、元社長が自ら訪問して下請代金を現金等で受
領し、着服していた。元社長は、現金等で支払を行った元請事業者に対して、宛名や金額
を手書きで記入した領収書を交付していた。
また、元社長は、協立道路が事故復旧工事を請け負った場合においても同様に、工事代
金を着服していた。具体的には、事故の当事者から、工事代金の一部について現金や元社
長個人の銀行口座に入金させる方法にて支払を受け、着服したり、保険会社に対して、事
故復旧工事に対する自動車保険金の支払先が、協立道路から元社長個人の銀行口座に変更
になった旨連絡し、元社長個人の銀行口座に保険金を入金させて、着服していた。
12
イ 隠蔽工作
(ア) 代金支払を装った振込
上記ア記載の方法によって、現金等で支払われた下請代金を着服した場合、取引先は既
に請求された代金を現金にて支払ったにもかかわらず、協立道路においては、当該売掛金
の回収が滞った状況となっていた。
上記 1(3)オ記載のとおり、スバル興業関西支社では、請求書を発行してから長期間回収
されない売掛金は、滞留債権として協立道路に確認することとしており、遅くとも 2013
年には、元社長は、スバル興業関西支社 C 氏から、D 社等からの支払が滞っていることに
ついて繰り返し指摘を受けていた。元社長は、スバル興業関西支社 C 氏からの指摘に対し
て、D 社等は、協立道路が長年お世話になっている取引先であるなどといった理由を挙げ
ながら、元社長が対応するので任せてもらいたいなどと述べて追及を避けていた。スバル
興業関西支社 C 氏は、元社長の説明をスバル興業関西支社内で共有、了解を得た上で、元
社長に対応を任せていた。
元社長は、スバル興業関西支社 C 氏に対して、自らが回収すると説明する一方、売掛金
が長期滞留して、下請代金等の着服が発覚することを避けるため、着服した下請代金等を
用いて、過去の売掛金に対する支払がなされたように装っていた(以下「本件回収偽装」と
いう。)。
具体的には、協立道路内で請求書を発行する都度記載される請求一覧表を見て、元社長
の着服行為が原因で売掛金の回収が長期間滞っていることとされている案件を確認し、当
該案件の請求金額に見合う金額を、ATM を使って元社長個人の銀行口座から協立道路の銀
行口座に振り込み、その際の振込名義を、D 社等の取引先名義として、取引先から代金が
支払われたように装った。本件回収偽装のために協立道路へ振り込む金額が、ATM の振込
金額の上限を超えるような場合には、元社長個人の銀行口座を 2 つ用いることによって上
限金額以上の振込を行ったり、現金をそのままスバル興業関西支社に持ち込み、「現金に
よって支払を受けた」などと説明していた。
なお、スバル興業関西支社 C 氏は、元社長に対して、取引先には現金ではなく振込に
よって支払ってもらうよう繰り返し依頼していたが、元社長は、「なんとか現金で回収し
てきた」などと、振込を待っていては支払ってもらえないかのように説明していた。
(イ) 取引先と通じた債権残高の偽装
その後も、協立道路における売掛金の滞留が継続していたため、2016 年から 2017 年に
かけて、スバル興業関西支社では、協立道路において多額の売掛金が未回収となっている
ことを問題視し、長期滞留している売掛金を取りまとめ、取引先に対して債権確認を求め
13
るなどの対応を取ることとした。スバル興業関西支社は、協立道路をして、スバル興業の
顧問弁護士を通じて、D 社等 4 社に対して売掛金の支払を求める旨通知させた。また、そ
の後、スバル興業関西支社は、協立道路をして、少なくとも上記 4 社のうち 1 社を除く 3
社から、債務承認及び支払を約束する旨の書面を協立道路に対して提出させた7。
元社長は、スバル興業関西支社から、滞留している売掛金に関して、スバル興業から D
社等に債務の確認や支払を求めることを聞き、D 社等が既に下請代金を支払ったことをス
バル興業に伝えると、下請代金等の着服の事実が発覚してしまうと考えた。そこで元社長
は、予め D 社等に連絡した上で、「(D 社に)残高がないことは分かっている。自分が責任を
持って払うので、任せてもらいたい」などと説明し、債務を承認する旨の書面に署名させ
た。
ウ その他の方法による下請代金の着服等
上記ア及びイ記載のとおり、元社長は、現金等で支払われた下請代金を着服していた
が、売掛金の滞留額が増加し、スバル興業関西支社によって問題視されるに至った。
そこで、元社長は、2017 年頃から、請求書の発行(すなわち売掛金としての認識)を遅ら
せる一方、元請事業者から下請代金を受領して着服することも行っていた。協立道路は、
毎年、E 社から河川の除草作業を同一金額(364 万 4,460 円)で受注し、除草作業を行って
いた。元社長は、2017 年及び 2018 年の除草作業の一部について、除草作業後も E 社との
間で請求金額が未確定であるなどとして、営業課 B 氏に請求書の作成を指示しなかった一
方で、E 社に対しては、除草作業を行ったとして作業報告を提出して下請代金の支払を請
求し、現金にて受領し、これを着服していた8。
また、2018 年 8 月頃、元社長は、スバル興業関西支社から、D 社に対する多額の売掛金
が長期に亘って滞留しているため、D 社との取引を中止するよう指示を受けた。元社長
は、同年 8 月以降も、引き続き D 社からの清掃業務を受注しながら、スバル興業関西支社
に、D 社との取引が継続していることが発覚しないよう、D 社から受託した清掃業務の一
部を下請事業者である F 社(以下「F 社」という。)に委託しつつ、社内では、当該清掃業務
を、協立道路が F 社から受注した清掃業務であるとして、F 社向けの売上として計上し
た。一方で、D 社に対しては、従前同様に協立道路が清掃業務を行ったとして、下請代金
7
残り 1 社からかかる書面の提出がなされたか否かについては、証拠上確認できなかった。
8
協立道路としては請求書を発行していないものの、E 社は、例年同様の作業を協立道路に発注して
いることから、作業報告を提出すれば、請求書を要することなく元社長に代金を支払っていた。な
お、これらの除草作業は、現に協立道路において実施しており、社内では売上(出来高)としては計
上されていたが、請求書を発行していないため、売掛金としては管理されていなかった。
14
を請求し、現金にて支払を受けていた9。なお、上記に関して協立道路から F 社に対する下
請代金の支払は行われていない。
また、元社長は、協立道路が元請事業者である G 社(以下「G 社」という。)から受注した
池の改修工事の下請業務において、工事項目の追加変更によって下請代金の増額が 90 万
円程度見込まれた際、協立道路と G 社との間の契約金額を増額修正しない一方で、増額分
も含めて下請代金を現金で受領した。
さらに、2019 年 2 月頃、元社長は、H 協同組合(以下「H 協同組合」という。)から建物の
清掃業務の引き合いを受け、下請事業者の I 社(以下「I 社」という。)に当該清掃作業を発
注して実施しながら、協立道路として工番の発行等の受注処理を行わず、一方で、H 協同
組合に対しては元社長個人の銀行口座に清掃業務代金を支払うように指示して入金させ、
清掃代金約 24 万円を着服した。なお、当該清掃業務にかかる I 社に対する下請代金は、
別の清掃業務の原価として計上した。
(3) 下請事業者からのキックバックの受領
元社長は、協立道路が下請事業者として業務を発注していた J 社(以下「J 社」という。)
の代表者に依頼し、毎月、同社から協立道路に対して発行される請求書において、正規の
業務に加えて、14 万 7,000 円の架空の業務10を 2 件分記載させ、協立道路が J 社に当該業
務を発注したように装い、J 社に対して当該金額を上乗せした下請代金を支払う一方、上
記 2 件分相当額の 29 万円 4,000 円について J 社の代表者から元社長個人の銀行口座へ入
金させ、キックバックを受けていた11。
(4) 協立道路名義による借入
元社長は、本件回収偽装の原資や遊興費に充てるため、長年付き合いのあった K 社(以
下「K 社」という。)及び L 社(以下「L 社」という。)の代表者である M 氏(以下「M 氏」とい
う。)に頼んで、2016 年 12 月 21 日、借主を協立道路、連帯保証人を元社長とする借用証
に協立道路の社印(従業員が契約書等の押印に用いる使用印)及び元社長の個人印を押印
し、L 社から 600 万円(うち 100 万円は手数料)を協立道路名義で借り入れた12。
9
D 社は、毎年、同様の清掃業務を協立道路に発注していることから、作業報告を提出すれば、請求
書を要することなく元社長に代金を支払っていた。
10
「ジェット、モービル、給水、人夫」という名目の業務であった。
11
スバル興業関西支社に現存する最も古い J 社からの請求書である 2007 年 2 月 20 日付けの請求書に
おいて上記名目の同金額の業務の記載があり、遅くともこの頃には元社長が J 社からキックバック
を受領していたと推測される。
12
上記 600 万円の借入は 2018 年 12 月 5 日に完済された。
15
また、同時期に、元社長は、M 氏の知人である N 氏(以下「N 氏」という。)を M 氏から紹
介してもらい、上記同様の借用証を作成して、N 氏から 1,200 万円(うち 200 万円は手数
料)を協立道路名義で借り入れた13。
さらに、元社長は、2019 年 1 月 21 日、再度同様の借用証を作成して、K 社から 550 万
円(うち 50 万円は手数料)を協立道路名義で借り入れた。
これに加えて、元社長の銀行口座の取引履歴の精査の結果、繰り返し、元社長の銀行口
座に K 社から振込が行われ、また、元社長の銀行口座から M 氏の口座に振込が行われてい
たところ、元社長及び M 氏によれば、元社長は、K 社(M 氏)から都度借り入れ、都度返済
を行ってきたとのことである。M 氏としては、これらの貸付についても借主は協立道路で
あると認識しているとのことであり、2019 年 1 月末現在において協立道路の K 社からの借
入残高は 635 万円(元社長が上記借用証を作成して 2019 年 1 月 21 日に借り入れた 550 万
円及び同月 31 日に元社長の銀行口座への振込入金により借り入れた 85 万円の合計額)と
認識しているとのことである。
また、元社長の銀行口座の取引履歴の精査の結果、2019 年 1 月 10 日以降、元社長の銀
行口座から F 社代表者である O 氏(以下「O 氏」という。)の銀行口座に 1 回当たり 40~50 万
円の金額の振込入金が複数回行われていたところ、元社長及び O 氏によれば、元社長は、
廃棄物の処理費用が必要であるなどといった、協立道路の業務上の必要性を理由に上げ
て、O 氏から都度借り入れ、都度返済を行ってきたとのことである。O 氏としては、これ
らの借入については借主は協立道路であると認識しているとのことであり、2019 年 1 月末
現在において協立道路の O 氏からの借入残高は 840 万円と認識しているとのことである。
なお、元社長は、D 社の社長(以下「P 氏」という。)から 700 万円、E 社の社長である Q 氏
(以下「Q 氏」という。)から 200 万円を個人的にそれぞれ借り入れた旨述べている。この
点、P 氏によれば、これらの借入については借主は協立道路であると認識しており、2019
年 1 月末現在における借入残高は 700 万円と認識しているのことである。また、Q 氏によ
れば、これらの借入については借主は協立道路であると認識しており、2019 年 1 月末現在
における借入残高は 100 万円と認識しているとのことである。もっとも、P 氏が貸付を
行った際に作成された 2017 年 1 月 30 日付けの「借用証」の名義人は、元社長の個人名のみ
記載されており、協立道路の表記はなされていない。また、Q 氏との間では、貸付に際し
て何らの書面も作成されていない。
13
上記 1,200 万円の借入は 2019 年 1 月 10 日に完済された。
16
(5) その他の不正行為
元社長は、協立道路も加盟している R 協会(以下「R 協会」という。)14の銀行口座通帳を、
同協会の事実上の代表者として管理していた。R 協会の会計報告書等の資料上は、現時点
における当該口座の残高が 855 万 6,171 円あるべきところ、現時点における実際の残高は
2,081 円であり、元社長は、差額の 855 万 4,090 円については、元社長が無断で引き出
し、費消した旨述べている。
(6) 本件横領による着服額
ア 下請代金等の着服額
関係書類の精査結果によれば、2019 年 1 月期及びその過去 5 年度の 2014 年 1 月期~
2018 年 1 月期において、元社長が、上記(2)記載の下請代金等の着服によって得た金額
は、概ね下表のとおりと推定される。
<表:下請代金等の推定着服額>
会計年度 金額
2013 年 1 月期以前 約 3,094 万円
2014 年 1 月期 約△655 万円15
2015 年 1 月期 約 1,633 万円
2016 年 1 月期 約 284 万円
2017 年 1 月期 約 1,905 万円
2018 年 1 月期 約 2,910 万円
2019 年 1 月期 約 8,011 万円
合計 約 1 億 7,185 万円
上記推定額は、以下の方法により算出したものである。
本件の下請代金等の着服は、上記 2(2)イ(ア)記載のとおり、本件回収偽装を伴う形で行
われているため、各売掛金に係る着服金額を遡及的に個別に特定することは困難である
14
元社長によれば、R 協会は、甲市等において道路関連事業を行う 13 社で構成され、上記 13 社の代
表者等が集まる懇親会の位置付けであり、団体としての活動はほぼ行っていないとのことである。
15
2014 年 1 月期において下請代金等の着服額がマイナスとなっているため、当該期間において本件回
収偽装の金額が着服額を上回っている可能性がある。
17
が、各年度末時点における「滞留債権16の残高合計」が「本件の下請代金等の累計着服額」を
示していると推定される。
したがって、2013 年 1 月末から 2019 年 1 月末までの各年度末時点における滞留債権リ
ストを作成し、各年度末時点での滞留債権の残高をもってその時点での元社長による下請
代金等の累計着服額とみなし、当該年度の滞留債権残高合計から前年度の滞留債権残高合
計を差引計算することにより、各年度の下請代金等の着服額を推定した。なお、2016 年 2
月 1 日から 2019 年 1 月 31 日までの期間について、①下請代金等の着服と推定される元社
長個人の銀行口座への入金額の合計額と、②本件回収偽装として行われたと推定される、
元社長個人の銀行口座から協立道路への振込額及び元社長がスバル興業関西支社に現金で
持ち込んだ金額の合計額との差額は、上記の 2017 年 1 月期から 2019 年 1 月期までの下請
代金等の推定着服額と概ね整合し、著しい乖離はなかった。
イ キックバックによる着服額
元社長の銀行口座の取引履歴(2016 年 1 月 1 日~2019 年 3 月 20 日)によれば、元社長
は、J 社から、2017 年 1 月期に合計 323 万 4,000 円(29 万 4,000 円×11 回)、2018 年 1 月
期に合計 352 万 8,000 円(29 万 4,000 円×12 回)、2019 年 1 月期に合計 352 万 8,000 円(29
万 4,000 円×12 回)を上記(3)記載のキックバックとして受領しており、ほぼ毎月、月 29
万 4,000 円のキックバックを継続的に受領していたと認められる。
したがって、元社長は、毎月 29 万 4,000 円、年間合計 352 万 8,000 円程度のキック
バックを受領していたと推定される。
ウ 協立道路名義による借入の残高
上記(4)記載のとおり、元社長は協立道路の代表者の立場を利用して取引先等から借入
を行っており、協立道路が債務を負うと評価される可能性の高い借入残高は、2019 年 1 月
末現在において合計 1,475 万円(K 社からの借入残高 635 万円17及び O 氏からの借入残高
16
滞留債権は、過去の通常の回収期間を考慮し、請求から 120 日を経過した債権を対象として集計し
た。但し、調査対象期間の最終年度末である 2019 年 1 月末残高については、120 日を経過していな
い債権についても、元社長へのヒアリング結果、元社長が取引先に発行した領収書控え、元社長個
人の銀行口座の取引明細の査閲、取引先への請求書発行の時期等を考慮し、着服していると推定さ
れる金額は着服金額の集計に含めている。なお、2019 年 1 月期の着服金額の集計には売上が未計上
となっていた 421 万 2,000 円を含んでいる。また、2019 年 1 月末以降の推定される着服額は 495 万
784 円であり、これに対応する下請事業者への支払額は 211 万 4,500 円である。
17
元社長の銀行口座の取引履歴によれば、2019 年 2 月 28 日、K 社から元社長の銀行口座に 96 万円が
振込入金され、また、同年 3 月 1 日、元社長の銀行口座から K 社に対して 50 万円が振込送金されて
おり、現時点において協立道路が債務を負うと評価される可能性の高い借入残高は 681 万円であ
る。
18
840 万円18の合計金額)であると考えられる。もっとも、P 氏及び Q 氏も、協立道路に対す
る債権を認識しており(2019 年 1 月末現在において、P 氏について 700 万円19、Q 氏につい
て 100 万円20)、これらについても、協立道路の債務と評価される可能性はある。
エ その他の不正行為について
また、元社長は、協立道路も加盟している R 協会の事実上の代表者を務めているとこ
ろ、その銀行口座から 855 万 4,090 円を無断で引き出し、費消している。R 協会の事実上
の代表者としての活動が、協立道路の代表取締役としての職務あるいはこれと密接な関連
を有する行為であると認められた場合には、協立道路も、855 万 4,090 円の無断引出しに
ついて、損害賠償責任を負う可能性がある(会社法 350 条)。
(7) 共犯者の有無
データレビュー及びヒアリング調査を含む本件調査の結果、協立道路やスバル興業関西
支社の内部に、元社長による本件横領に協力した者の存在は認められなかった。上記 1(3)
ウ記載のとおり、元請事業者等の民間事業者からの支払に関しては、協立道路では元社長
が 1 人で取引先と交渉を行い、請求金額を決定した上で請求書の発行を指示し、請求書を
元請事業者に提出していたことから、共犯者の存在は不要であったと考えられる。
この点、上記 1(3)オ記載のとおり、協立道路では、営業課 A 氏及び営業課 B 氏が代金の
請求状況を請求一覧表にまとめており、代金の支払を受けた場合には、支払日を記入して
管理していた。もっとも、営業課 A 氏及び営業課 B 氏は、請求一覧表に支払日を記入して
記録するにとどまり、当該請求一覧表の内容をスバル興業関西支社 C 氏と共有したり、協
立道路内でどの請求について支払が遅れているかなどの確認を行ったりはしておらず、本
件横領への関与は認められなかった。
3 本件横領によって得た金員の使途
元社長は、本件横領によって得た利得の一部は、本件回収偽装に用いていたほか、元社
18
元社長の銀行口座の取引履歴によれば、2019 年 3 月 9 日、元社長の銀行口座から O 氏に対して 40
万円が振込送金されており、現時点において協立道路が債務を負うと評価される可能性の高い借入
残高は 800 万円である。
19
P 氏によれば、元社長より、2019 年 2 月 8 日に 60 万円、同年 3 月 11 日に 60 万円の返済を受けたと
のことであり、現時点において協立道路が債務を負うと評価される可能性のある借入残高は 580 万
円である。
20
Q 氏によれば、元社長から返済は受けていないとのことである。
19
長個人による飲食や競馬等に費消したと述べている。
4 本件横領の開始時期及び開始経緯
元社長は、上記 2(2)記載の下請代金等の着服について、1994 年に協立道路の取締役と
なった後、数年経った頃には、元社長が協立道路の取引先と直接交渉するようになってお
り、その中で下請代金を着服することがあったと述べている。また、当初は着服金額も限
られていたものの、着服した金員を、個人的に費消しながら、本件回収偽装にも充てよう
とすると、より多額の金員を必要とするようになり、徐々に着服額も多額になっていった
とも述べている。
このような中で、下請代金等を着服するだけでなく、キックバックや協立道路名義によ
る借入へと手口が拡大していったものと思われる。
5 本件横領について認識していた者及びスバル興業の認識
協立道路やスバル興業関西支社の内部には、本件横領について認識していた者は認めら
れなかった。
上記 2(6)記載のとおり、協立道路では元社長が 1 人で取引先と交渉を行っており、元社
長による本件横領に関与する者はいなかった。
協立道路においては、営業課 A 氏及び営業課 B 氏は請求一覧表を作成・管理しており、
売掛金の滞留状況を把握できる状況にあったものの、請求一覧表は請求と入金を記録する
にとどまり、請求一覧表上、一定期間以上未入金が継続している売掛金を抽出するなど、
売掛金の滞留そのものについての管理には用いられていなかった。その中で、営業課 B 氏
は、D 社等一部の取引先からの支払が滞っている状況は理解していたものの、本件回収偽
装によって、遅れながらも現に支払われていたこともあって、支払が遅延していることに
ついて、元社長の着服行為によるものとは認識していなかった。営業課 A 氏及び営業課 B
氏以外の営業担当者らはいずれも、自身が請求手続を行った案件の支払状況を確認するに
とどまり、本件横領に利用された取引先のように、元社長が請求手続を行っているもの
は、元社長の担当業務であって、自身が口を挟むことはできず、支払状況を把握していな
かった。
スバル興業関西支社においては、スバル興業関西支社 C 氏が売掛金の滞留状況を管理し
ており、4 か月以上滞留した場合には、都度元社長に確認するなどの対応を取るなど、ス
バル興業関西支社内では、協立道路の一部の取引先に対する売掛金が滞留している事実が
把握されていた。もっとも、元社長は、スバル興業関西支社 C 氏らに対して、自ら取引先
に対して支払を督促すると説明しており、本件回収偽装によって遅れながらも現に支払わ
れていたことや、取引先に対して売掛金残高の確認を行った際にも、D 社等から残高を認
20
める旨の回答書面が提出されていることから、スバル興業関西支社 C 氏らは元社長の行動
に疑念を抱くには至らなかった。
なお、上記 2(3)及び(4)記載のキックバック及び協立道路名義による借入についても、
元社長が下請事業者等と直接交渉して行ったものであり、協立道路及びスバル興業関西支
社において、当該行為を認識した者はおらず、認識を窺わせる事情も認められなかった。
6 協立道路におけるその他の不正行為の有無
本件横領は、協立道路が清掃業務の下請事業者となった場合に、元社長が自ら元請事業
者の D 社等と交渉の上、下請代金を現金で受領することなどの方法によって行われており
21
、その利得についても元社長が個人的に費消したものであり、協立道路において組織的
に行われたとの事情は認められなかったところ、元社長による本件横領以外の不正や、協
立道路の他の役職員が実行したと思われる不正行為は認められなかった。
また、本件横領は、主に協立道路が下請事業者として受注した清掃業務について行われ
ていたところ、清掃業務においては、甲市等の地方公共団体に対して、日々の作業を記録
した作業報告を提出する必要があり、協立道路が下請事業者として受注した場合において
も、元請事業者から作業報告の作成と提出が求められていた。元社長が本件横領に利用し
た案件においても、清掃業務を実施した上で作業報告が作成されていることからすれば、
清掃業務において作業実態のない架空の請求といった不正行為は行うことができなかった
と思われる22。
工事業務においては、協立道路は、元請事業者として工事台帳を作成し、進捗状況を厳
密に管理しながら工事を進めており、また、工事業務を委託する下請事業者は、清掃業務
において委託する下請事業者とは異なっている上、本件横領のように、元社長一人に業務
が任せられていたという事情も認められなかった。
7 スバル興業による協立道路の管理の実態
(1) スバル興業による協立道路の管理の概要
スバル興業には、協立道路を含めて 12 社の連結子会社が存在しているところ、12 社の
連結子会社のうち、関西に拠点を置いている京阪道路サービス株式会社、株式会社関西
21
なお、清掃業務及び工事業務ともに、協立道路が元請事業者となる場合は、取引先は甲市等の地方
公共団体であり、元社長が代金を現金で受領して着服することはできない。
22
本件横領に利用されていない取引も含め、2019 年 1 月期の取引を中心に合計 64 件を抽出して検証
を実施した結果、いずれの取引についても作業日報等により作業実態があることを確認している。
21
トーハイ事業及び協立道路の 3 社については、スバル興業関西支社が直接的な管理を行っ
ており、スバル興業本社は直接的な管理は行っていなかった。
スバル興業関西支社は、下記(2)及び(3)記載のとおり、同支社の従業員を協立道路の取
締役及び監査役として派遣し、また、協立道路の経理処理を同支社の従業員に担当させる
などして、協立道路を管理していた。
また、スバル興業本社は、下記(4)記載のとおり、内部監査室による内部監査を実施し
ていた。
(2) スバル興業関西支社の従業員の取締役としての派遣
スバル興業関西支社は、協立道路の取締役として、同支社の従業員の S 氏(以下「スバル
興業関西支社 S 氏」という。)、T 氏(以下「スバル興業関西支社 T 氏」という。)及びスバル
興業関西支社 C 氏を派遣している。さらに、スバル興業関西支社は、協立道路の監査役と
して、同支社の従業員の U 氏を派遣している。また、協立道路の営業課長であり、同社取
締役も務めている営業課長は、スバル興業から協立道路への出向者である。
このとおり、スバル興業関西支社は、協立道路の取締役及び監査役として、スバル興業
関西支社 S 氏、スバル興業関西支社 T 氏及びスバル興業関西支社 C 氏を派遣しているもの
の、これらの派遣取締役は普段はスバル興業関西支社で勤務しており、また、協立道路に
おける取締役会は、年に 1 回、株主総会と同日に開催されるのみであり、事業報告や役員
の改選の報告等がなされるのみであった。
そのため、スバル興業関西支社 S 氏、スバル興業関西支社 T 氏及びスバル興業関西支社
C 氏は、協立道路において、取締役として実質的な職務は執行しておらず、協立道路の事
業を日々監視・監督しているわけではなかった。
また、営業課長は、協立道路において現に業務に従事しているものの、主に工事業務の
営業を担当しており、本件横領に利用された清掃業務については元社長に任せていた。営
業課長は、協立道路の取締役に就任した際、清掃業務も含む各取引先への請求書等の書類
を確認しようとしたが、元社長に拒絶されたと述べている。営業課長は、スバル興業関西
支社に相談し、スバル興業関西支社から元社長に対して、営業課長が書類を確認すること
ができるよう指示を出してもらい、自らも書類確認を行うこととしたものの、数か月後、
再び元社長が営業課長による書類の確認を拒絶するようになると、元社長はスバル興業関
西支社の話を聞く姿勢がないと考え、それ以上スバル興業関西支社に相談することもな
く、元社長の当該対応についての改善を見送り、元社長の職務を監視・監督しなくなって
いた。
22
(3) スバル興業関西支社による協立道路の売掛金等の管理
上記 1(3)エ及びオ記載のとおり、協立道路の経理事務は、スバル興業関西支社総務部係
長を務めるスバル興業関西支社 C 氏が担当していた。
スバル興業関西支社 C 氏が協立道路の経理事務を担当するようになった 2013 年頃か
ら、協立道路の売掛金の回収が滞ることがあり、スバル興業関西支社 C 氏は、元社長に対
して、電話やメールにて、入金が遅れている取引先を伝え、当該取引先の状況や、当該取
引先から入金が遅れている理由等を確認していたが、元社長からの回答は、「うちが大変
な時に助けてもらった業者だから、もう少し(入金を)待ってくれないか。逆の時もあるだ
ろう。」といったものであった。スバル興業関西支社 C 氏は、このような元社長からの回
答内容をスバル興業常務取締役関西支社長(以下「スバル興業関西支社長」という。)等にも
報告していたが、同支社として、取引先に直接状況確認を行うなどといった対応を講じる
という判断には至らなかった。その理由について、スバル興業関西支社長及びスバル興業
関西支社 C 氏は、スバル興業としては、普段は付き合いのない甲市近隣の清掃業者に関わ
ることは避けたいと思っていた旨、及び元社長が取引先の清掃業者と良好な関係を築いて
いたことから、元社長に任せておいた方が、スムーズな回収ができると考えていた旨述べ
ている。
また、上記 1(3)オ記載のとおり、協立道路においては、通常、取引先からの代金の支払
は振込で行われていたにもかかわらず、元社長が時折現金で売掛金を回収したとして、ス
バル興業関西支社 C 氏の下へ持参することがあったことから、スバル興業関西支社 C 氏
は、元社長に対して取引先からの売掛金の回収は現金ではなく振込にて行うよう指摘した
こともあった。元社長による説明は、「取引先に張り付いて現金で集金して受領してい
る。」という内容であったところ、清掃業者における代金の支払の慣例を把握していな
かったスバル興業関西支社 C 氏としては、そのような支払方法もあり得るのだと考え、元
社長の説明内容を疑わなかった。
(4) 内部監査の実施
スバル興業内部監査室は、事業規模が大きい子会社については、スバル興業本社と同等
の深度の内部監査を行う一方、事業規模が小さい子会社については、数年に 1 回程度、必
要な社内規程が整備されているか否かといった点や、日常業務が社内規程に沿って進めら
れているかといった点を監査するに過ぎなかった。また、スバル興業の内部監査室には、
現在、同室長(以下「スバル興業内部監査室長」という。)のみ所属している。
スバル興業は、協立道路を事業規模が小さい子会社と分類しており、スバル興業による
協立道路の内部監査では、協立道路において、スバル興業の社内規程に従って業務を行っ
ているか否かという点の確認や、協立道路に保管されている請求書等のうち、規模が大き
23
い案件の請求書等を監査対象として、作業日報に記載された事項が請求書に反映されてい
るか否かなどといった点の調査が実施されていた。
スバル興業内部監査室長は、2016 年に協立道路の内部監査を実施しており、その際に、
協立道路の取引先に対する売掛金の未回収金額が大きくなっていることを指摘していた。
この指摘に対して、元社長は、今後回収に努める旨述べていたが、その後も未回収金額が
減少しなかったため、スバル興業内部監査室長は、スバル興業関西支社とともに、スバル
興業の顧問弁護士と相談の上、上記 2(2)イ(イ)記載のとおり、同弁護士を通じて取引先に
対して督促の通知を送る等の対応を講じていた。
しかし、スバル興業内部監査室は、売掛金が滞留する理由を深く分析することができ
ず、結果的に、元社長による下請代金等の着服を発見することができなかった。
(5) 他の子会社に対する管理態様との相違点
協立道路以外のスバル興業の連結子会社 11 社については、スバル興業の役員又は参与23
が、役員に就任している。さらに、そのうちの 8 社については、スバル興業の役員又は参
与が、会長又は社長を務めている。残りの 3 社は、株式会社アイ・エス・エス(以下「ア
イ・エス・エス」という。)及びそのグループ会社 2 社であるが、アイ・エス・エスの取締
役には、スバル興業の代表取締役社長が選任されており、アイ・エス・エスのグループ会
社 2 社の取締役には、スバル興業の代表取締役会長及び取締役道路関連事業本部長(以下
「スバル興業取締役道路関連事業本部長」という。)がそれぞれ選任されている。また、毎
月、アイ・エス・エス及びアイ・エス・エスのグループ会社の役員らが出席する全体会が
月初に開催されているが、スバル興業道路関連事業本部長及びスバル興業の取締役総務部
長が出席し、アイ・エス・エス及びそのグループ会社における事業の状況について監視・
監督を行っている。
このように、スバル興業は、協立道路以外の連結子会社について、会長又は社長にスバ
ル興業の役員又は参与を選任し、スバル興業の役員又は参与が会長又は社長を務めていな
いアイ・エス・エスとそのグループ会社 2 社については、スバル興業の会長又は社長が取
締役を務めるなど、スバル興業が子会社の経営に実質的に関与し、また、スバル興業によ
る子会社の事業に対する監視・監督が十分に行われているといえる状況であった。
これに対して、協立道路については、スバル興業は、上記(2)記載のとおり、役員や参
与ではなく、関西支社の従業員を協立道路の取締役及び監査役として派遣していたのみで
あり、また、協立道路の取締役及び監査役を務める関西支社の従業員は、年に 1 回の取締
役会で報告を受けるほかには、取締役及び監査役としての職務を行っていなかった。その
ため、スバル興業が協立道路の経営に実質的に関与し、また、スバル興業による協立道路
23
スバル興業において執行役員に当たる役職である。
24
の事業に対する監視・監督が十分に行われているといえるような状況ではなかった。
このように、協立道路のみ、他の連結子会社と異なる管理の実態となっていた理由につ
いて、スバル興業の複数の役職員は、協立道路がスバル興業の子会社となった経緯が特殊
であることを挙げている。すなわち、協立道路は元々元社長の父親が興した協立商店とい
う個人商店を前身とするものであったため、スバル興業内では、協立道路の管理について
は元社長親子に任せるという発想があった。また、スバル興業が協立道路を設立し、協立
商店の業務を承継した理由は、甲市等が発注する道路工事案件や路面清掃案件を受注する
ためであったところ、元社長は、甲市等の同業他社と極めて良好な関係を築いていたた
め、スバル興業は、下請事業者の起用や協立道路が他社の下請として案件に関与する上
で、元社長の同業他社との関係性は不可欠であると考えていた。
そのため、スバル興業は、協立道路については、他の子会社と異なり、元社長の自由度
が高い状態でもやむを得ないと安易に考えてしまい、十分な監視・監督を行うことができ
なかったものと認められる。
8 東宝によるスバル興業の管理の実態
東宝では 2006 年 11 月にグループ経営管理規程を制定し、グループ会社の管理体制を整
えているところ、同規程は、子会社が上場会社である場合には適用されないため、東宝
は、上場子会社であるスバル興業については、グループ経営管理規程に基づく管理は実施
していない。
もっとも、グループ経営管理規程 2 条 3 項但書きでは、「本社は、この規程の目的と基
本方針を達成できるよう、上場会社等とグループ経営管理上の連携・協力体制を別に築く
ものとする。」と定められており、東宝は、スバル興業について、下記のとおり管理を実
施している。
(1) 役員の派遣
東宝は、自社の専務取締役 1 名及び取締役 1 名を、スバル興業の取締役として派遣して
いる。
(2) 業績管理
ア 月次の業績管理
東宝の経営企画部は、スバル興業の経理部から、月次で収入・原価・販管費等の報告を
受け、スバル興業の業績を管理している。その際、スバル興業の子会社の業績について
25
は、損益計算書ベースでの報告を受けている。
東宝の経営企画部は、スバル興業の月次の業績を分析し、その結果を東宝の社長に報告
している。
イ 四半期決算ごとの業績報告
東宝は、スバル興業の四半期の決算内容について、①両社の管理部門の役員以下が出席
する面談、並びに②東宝の社長及び専務並びにスバル興業の会長及び社長が出席する面談
において、報告を受けている。
その際、スバル興業の子会社の業績については、損益計算書ベースでの報告を受けてい
る。
(3) グループ会議への参加
東宝グループでは、グループにおける経営方針・経営戦略の周知・徹底及びグループ会
社に共通する重要事項の決定・承認を目的として、年に 1 回程度、グループ社長会が開催
されているが、スバル興業の社長がグループ社長会に参加している。
また、東宝本社とグループ会社間の意思疎通の促進と円滑な業務の遂行を目的として、
グループ会社の実務担当者を対象に、定期的にグループ経理担当者会議及びグループ総務
人事担当者会議を開催しているが、これらの会議にスバル興業の実務担当者が出席してい
る。
さらに、東宝の総務部が主催するリスク担当者会議には、スバル興業の総務部長又は総
務課長がオブザーバーとして出席している。
9 スバル興業及び他の連結子会社における本件横領と同様・類似の不正行為の有無
スバル興業及び協立道路を除くスバル興行の連結子会社 11 社において、他の事業者と
現金取引を行っている部門及び連結子会社は存在せず、滞留債権が存在する部門が一部存
在するものの適切に管理・対応されており、内部統制の状況に懸念がある部門及び連結子
会社も存在せず、また、協立道路を除くスバル興行の連結子会社においては、親会社によ
るモニタリングが行われている。
したがって、スバル興業及び協立道路を除くスバル興業の連結子会社において、本件横
領と同様・類似の不正行為の徴候は認められない。
26
第 4 本件横領が発生した原因・背景
1 元社長による協立道路の私物化
本件横領は、上記第 3 の 2(6)記載のとおり、元社長が 1 人で行った不正行為である。
元社長は、長年に亘り、協立道路の代表者であることを利用して、清掃業務に関する取
引先との請求金額の交渉や請求手続を一手に引き受けることにより、他の役職員の関与を
排除して、下請代金等を着服してきた。一部の下請事業者に対してキックバックを持ちか
けたり、協立道路名義による借入を行ったこと等も含めて、いずれの行為も、元社長が協
立道路の代表者であるという立場を利用して、同社に損害を与えた不正行為であり、元社
長が協立道路を私物化していたと言わざるを得ない。
2 協立道路における牽制機能の無効化
上記 1 記載の元社長による協立道路の私物化が可能となったのは、協立道路内におい
て、元社長により、特定の役職員による不正行為を防ぐための牽制機能が無効化されてい
たことが原因の 1 つであると考えられる。
すなわち、協立道路においては、父親の代から地元の清掃業者との関係を持つ元社長
が、長年に亘って協立道路の代表者を務める中、元社長が 1 人で案件を受注し、売掛金の
回収までの一切を行う「社長案件」が存在しており、このような「社長案件」については、他
の従業員は請求書の印刷等の事務手続的な作業以外には関与することもなく、その内容に
ついて意見を言うことができる状況にもなかった。そして、元社長の判断の適切性を誰も
検証せず、また、元社長が 1 人で請求や売掛金の回収等の対応を行っていることについて
問題意識さえ有しない状態となっていた。また、契約書等が作成されないままに案件を受
注する場合があり、上記第 3 の 2(2)ウ記載のとおり、元社長が、D 社から受注した清掃業
務の一部を F 社向けの売上として計上したり、受注処理を行わずに作業実施し、協立道路
の売上には計上しないこと等も可能となっていた。このように、協立道路においては、
「社長案件」については、元社長 1 人が全てを決定及び実行し、他の従業員は関知し得な
い、言わばブラックボックスとなっており、牽制機能が無効化されていた。
3 スバル興業における元社長に対する不十分な監視・監督
上記 1 記載の元社長による協立道路の私物化を抑止することができていなかった点は、
スバル興業における元社長に対する監視・監督が不十分であったことにも起因すると考え
られる。
27
(1) スバル興業からの派遣取締役らによる監視・監督が不十分であったこと
上記第 3 の 7(2)記載のとおり、親会社であるスバル興業は、同社関西支社従業員を協立
道路の取締役及び監査役として派遣していたものの、これらの者は、年に 1 回の取締役会
において事業報告や役員の改選の報告等を受けるのみであり、取締役としての実質的な職
務は行っておらず、協立道路の取締役・監査役として、元社長を監視・監督するという役
割を果たしていなかった。
また、上記第 3 の 7(2)記載のとおり、営業課長は、スバル興業から協立道路に出向し、
現に協立道路の業務に従事しているとともに取締役も務めており、元社長を監視・監督で
きる立場にはあった。しかし、営業課長は、協立道路の取締役に就任した後、清掃業務も
含む各取引先への請求書等の書類を確認しようとしたが、元社長に拒絶され、一度はスバ
ル興業関西支社から元社長を説得してもらって書類を確認するようになったが、数か月で
再び元社長に拒絶されるようになり、元社長が話を聞く姿勢がないと考えてそれ以上の対
応を取らなかった。
このように、協立道路に対してはスバル興業関西支社から取締役や監査役が派遣されて
はいたものの、実質的な職務を行っていなかったり、又は元社長の圧力を受けてその役割
を放棄してしまうなど、派遣取締役による元社長に対する監視・監督が不十分な状況で
あった。
(2) スバル興業関西支社の対応が不十分であったこと
上記第 3 の 7(3)記載のとおり、協立道路の入出金や売掛金の管理はスバル興業関西支社
が行っており、重要な牽制機能を担っていたところ、スバル興業関西支社 C 氏が、協立道
路の売掛金の回収が滞っていることを認識し、元社長に対して度々指摘していたものの、
元社長から「待って欲しい」との回答を受けると、それ以上の追及を行うことなく元社長に
対応を任せてしまっていた。協立道路が受注する清掃業務の発注元は、甲市等の地方自治
体であり、発注元から元請事業者に対する支払が滞ることは考え難い。それにもかかわら
ず、多くの元請事業者からの協立道路に対する支払が滞っているという事実は、異常事態
と言わざるを得ず、スバル興業関西支社としては、元社長に対応を委ねるのではなく、自
ら売掛金の回収が滞っている原因について把握し、その回収を図るべきであった。
この点、上記第 3 の 2(2)イ(イ)記載のとおり、スバル興業関西支社としては、2016 年か
ら 2017 年に一部の取引先に対して、顧問弁護士を通じて督促の通知を送付したり、別途
債務承認も求めたほか、上記第 3 の 2(2)ウ記載のとおり、2018 年 8 月には、協立道路に
対して、売掛金が滞留している D 社との取引を中止するように指示したことからすれば、
一定の対応を講じていたことは認められる。もっとも、その後も、D 社に対する売掛金の
滞留が継続していた事実や、D 社との取引を中止するよう協立道路に指示しつつも、協立
28
道路をして D 社に対して再度売掛金の支払を督促させる等の対応は取っていないこと、E
社等の D 社以外の取引先に対する売掛金も滞留していたにもかかわらず、D 社以外の取引
先との取引を中止するなどの指示は出していないことからすれば、上記対応で十分であっ
たとは言い難い。
また、上記第 3 の 2(2)イ(ア)記載のとおり、スバル興業関西支社においては、元社長
が、現金での回収という特異な方法で取引先から売掛金を回収していることを認識しなが
ら、元社長の説明を鵜呑みにし、取引先に対して直接連絡をとって確認するなどの対応を
講じていないことからすれば、この点においても対応として十分であったとは言い難い。
(3) スバル興業内部監査室による協立道路に対する内部監査が不十分であったこと
上記第 3 の 7(4)記載のとおり、スバル興業においては、スバル興業内部監査室が協立道
路に対する内部監査を実施しており、スバル興業関西支社と同様、売掛金の未回収金額が
大きくなったことを認識しており、2016 年から 2017 年にかけて、スバル興業関西支社と
ともに、協立道路をして、一部の取引先に対して督促の通知を送付させるなどの対応を講
じていた。
もっとも、スバル興業関西支社と同様、スバル興業内部監査室は、当該取引先に対して
督促の通知等を送った後も売掛金が滞留していたにもかかわらず、売掛金滞留の原因を分
析するなどの対応を取らなかった。内部監査において、公共事業の下請作業に関する売掛
金の滞留という異常性を認識し、元社長による下請代金等の着服の発見に繋がる端緒があ
りながら、その原因についての分析が行われなかったという点では、協立道路に対する内
部監査が十分であったとは言い難い。
4 スバル興業における協立道路の安易な特別視
上記 3(2)及び(3)記載のとおり、スバル興業においては、関西支社及び内部監査室が、
協立道路の取引先に対する売掛金が滞留していることを認識しており、元社長に対して指
摘するなど一定の対応は取っていた。しかし、元社長への指摘や、協立道路をして取引先
に対して書面確認を行わせるにとどまり、スバル興業から取引先に対する直接の状況確認
などは行っていなかった。
この点について、スバル興業の関係者は、スバル興業の甲市等における清掃業務の経験
が乏しい中、元社長が、父親の代から地元の清掃業者との良好な関係を築いていたことか
ら、協立道路の業務については元社長を信頼して任せていたと述べる。しかしながら、現
に売掛金の滞留等に気付きながら、その原因の分析を行わず、元社長に対応を任せ続ける
ことは、子会社を管理しなければならないという意識そのものが乏しかったと言わざるを
得ない。協立道路については元社長に任せれば良いという安易な特別視が、子会社管理を
29
不十分にしたと言わざるを得ない。
第 5 再発防止策
1 牽制機能の強化
(1) 協立道路における業務分掌の見直し・業務プロセスのルール化
ア 業務分掌の見直し
上記第 4 の 2 記載のとおり、協立道路においては、元社長 1 人が、案件の受注から、外
注事業者等の手配、顧客に対する請求書の持参、代金回収までの全てを行う「社長案件」が
存在し、言わばブラックボックスとなっており、協立道路内で誰も、「社長案件」におけ
る、顧客に対する請求内容の適切性や、外注事業者からの請求内容の適切性を検証するこ
とができない状態となっていた。
協立道路が営業課と事業所からなる小規模な組織であることを考慮しても、例えば、①
案件を受注してくる営業担当者と、顧客に対して請求手続を行う営業担当者とを別の者と
する、②案件の進捗管理において、現場責任者が日々の作業内容と受注案件との紐付けを
行い、管理職従業員等が当該紐付け内容を確認する、③外注事業者からの請求書につい
て、その内容と実際の作業内容の整合性を現場責任者と管理職従業員等がダブルチェック
する、④作業の進捗状況(作業の完了の有無等)と顧客に対する請求書の発行状況を一元管
理し、現場責任者と請求書発行担当者等で随時確認するなど、一連の業務プロセスに複数
の人間が関与する体制を構築して、牽制機能の強化を図るべきであり、それによって、社
長を含め、特定の役職員の権限濫用による不正行為を防止できる体制を整えるべきであ
る。
イ 業務プロセスのルール化
上記第 4 の 2 記載のとおり、協立道路においては、契約書等の取引における基本的な書
類が作成されない案件の存在が認められたことから、まずは、協立道路が案件を受注する
に際し、作成しなければならない書類を明確化し、安易に例外を認めない体制とする必要
がある。また、現在、協立道路においては、案件受注時及び受注後の管理に関する業務プ
ロセスのルールが存在しないため、作成書類の点及び上記ア記載の業務分掌の見直しの点
も含め、業務プロセスのルール化を行い、明確化を図るべきである。
また、協立道路においては、同社の社印の取扱ルールが定められていないところ、元社
長が社印を用いて協立道路名義による借入を行ったことなどを踏まえ、社印の取扱ルール
30
を定め、社印を冒用することができない体制とすることも必要である。
(2) スバル興業における検証手続の見直し
上記(1)同様、協立道路の入出金を管理するスバル興業関西支社においても、協立道路
におけるいわゆる「社長案件」について、顧客から売掛金の回収が適切に行われているか否
か、外注事業者から受領した請求書が適切であるか否かを検証することができない状態と
なっていた。そこで、スバル興業関西支社についても、協立道路の顧客に対する請求書や
下請事業者から協立道路に対する請求書に加えて、一定の証憑書類も確認して整合性を検
証するなどして、牽制機能を強化するべきである。
以上と並行して、現金等による代金着服の機会そのものをなくすため、顧客からの売掛
金の回収について、現金や小切手等による回収を禁止したり、領収証の発行手続を定める
など、代金回収手続についての社内ルールを定めることが必要である。
2 コンプライアンス教育
協立道路においては、元社長が 1 人で取引先と交渉し、下請代金の回収も行うという運
用となっていることについて、ほとんどの者が問題意識さえ有していなかった。今後、上
記 1 記載のように牽制機能の強化を図ったとしても、協立道路の役職員が、不正の徴候を
認識した場合も従来同様に声を上げなかった場合には、牽制機能を働かせることはできな
い。そこで、協立道路においてコンプライアンス教育を拡充し、役職員 1 人 1 人の意識を
高める必要がある。
この点、スバル興業では、同社グループの役職員の職務執行が法令及び定款に適合する
よう、「スバル興業グループ行動規範」及び「コンプライアンス・リスク管理規程」を定めて
いる。同規程において、「役員及び従業員は、他の役員及び従業員の法令等に反する行為
を黙認してはならない」などと定め、スバル興業の子会社の各役職員も、法令等に違反す
る行為を認識した場合に声を上げることが求められているように、協立道路において、上
場会社であるスバル興業の子会社として、役職員 1 人 1 人が業務の適正を確保する必要が
あることを自覚すべく、改めてこれらの「スバル興業グループ行動規範」や「コンプライア
ンス・リスク管理規程」を周知し、各役職員に対するコンプライアンス教育を行うべきで
ある。
また、上記第 4 の 3(2)記載のとおり、多くの元請事業者からの協立道路に対する支払が
滞っているという異常事態にもかかわらず、スバル興業関西支社として、自ら売掛金の回
収が滞っている原因について把握し、その回収を図るという対応までには至らなかった。
そこで、スバル興業関西支社の各役職員に対しても、改めて上記観点からのコンプライア
ンス教育を行うべきである。
31
3 スバル興業における子会社管理態勢の強化
上記第 4 の 3 記載のとおり、スバル興業における元社長に対する監視・監督が不十分で
あったことは否めない。そして、その背景には、上記第 4 の 4 記載のとおり、協立道路は
元社長に任せれば良いという安易な特別視が生じていたものと考えられる。
スバル興業が事業を展開する中で、協立道路のように、地元に根付いて事業を行ってい
た会社を子会社化した際、オーナー社長にその後も経営を牽引させることは何ら否定され
るものではないが、子会社とした以上は、上場会社であるスバル興業のグループ会社とし
て必要な監視・監督が行われる必要がある。
この点、スバル興業は、既にスバル興業参与兼関西支社営業部長を協立道路の新社長と
して選任しており、改善措置が図られているが、スバル興業による監視・監督を更に強化
するため、今後、他の子会社と同様に、スバル興業役員を兼務役員として協立道路に派遣
することが望ましいと思われる。そして、派遣したスバル興業役員による監視・監督が適
切に機能するよう、定期的に取締役会を開催し、協立道路における主な案件の進捗状況
や、現場において生じている問題点等について、随時情報共有を受け、また、取締役会に
おいて実質的な審議を行うなど、取締役会の機能強化を図る必要がある。
また、売掛金の長期滞留や現金による代金回収のように、不正の徴候が表れた場合に
は、スバル興業関西支社や内部監査室によるモニタリング実務を更に強化して、協立道路
の複数名から事情について説明を受けたり、取引先に対して直接照会するなど、当該状況
が生じている原因に踏み込んだ検証を行う必要がある。そのために、スバル興業関西支社
の経理部門については、必要に応じて人員拡充・専門化を行ったり、スバル興業本社の経
理部門と連携を図ることや、また、スバル興業の内部監査室についても、必要に応じて人
員拡充・専門化を行うことによって、状況に応じた深度ある検証・監査を実施できる体制
を整えることも検討に値する。
以 上
32