9513 Jパワー 2021-04-30 17:00:00
J-POWER 中期経営計画の策定について [pdf]

                                      2021 年 4 月 30 日
各 位


                  電源開発株式会社
                  代表取締役社長 社長執行役員 渡部 肇史
                  (コード番号:9513 東証第一部)
                  問合せ先:広報部広報室 課長 常岡 信玄
                  (電話:03-3546-2211)




        J-POWER 中期経営計画の策定について




  標記につきまして、別紙のとおり策定しましたので、お知らせします。




                                               以 上
J-POWER 中期経営計画
2021-2023年度




              2021年4月30日   電源開発株式会社
  はじめに        中期経営計画        Actions   経営目標・株主還元       Appendix



未来を見据えた価値創造への挑戦

・ J-POWERは人々の求めるエネルギーを不断に提供し、日本と世界の持続可能な発展に貢献することをミッションとし、
  これまで水力、火力、風力、地熱による発電および送変電事業1に取り組んできました。ミッションの達成のために、
  2021年2月にJ-POWER “BLUE MISSION 2050”を発表し、2050年に向けて発電事業のカーボンニュートラルの実現に
  挑んでいき、そのマイルストーンとして2030年のCO2排出量を40%削減2する目標を掲げました。

・ BLUE MISSION 2050に基づくカーボンニュートラルへの挑戦の一歩として、2021~2023年度の3ヵ年の取組みを新た
  な中期経営計画として策定しました3。
  新中期経営計画では、これまでに培った総合的な技術⼒・開発力をもとに創意工夫を重ね、カーボンニュートラル実現
  に向けて多方面からアプローチしていきます。国内外でのCO2フリー電源開発の加速化、既存資産のアップサイクル、
  新たな領域への挑戦の三つを組み合わせて、カーボンニュートラル実現に取り組むなかで企業価値の向上を目指します。

・ 電力安定供給やレジリエンス強化の要請に応えつつこうした取組みを進めていくために、それを支える強固な事業基盤
  の構築を図っていきます。収益力と資産効率の向上に注力するとともに、ESG経営を推進してサステイナブルな成長を
  実現し、その成果を全てのステークホルダーと共に分かち合い、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。



                                                                 代表取締役社長
                                                                 社長執行役員




 ※ 本資料では、“J-POWER”はJ-POWERグループを指します。
 1 送電事業者の中立性確保の観点から、送変電事業は100%子会社である電源開発送変電ネットワーク株式会社(以下「J-POWER送変電」)が担っています。
 2 J-POWER国内発電事業CO2排出量(2017-2019年度3ヵ年平均実績比)。
 3 これに伴い、2015~2025年度中期経営計画( 2015年7月31日公表)は、新中期経営計画に置換えることとしました。旧中期経営計画では、前半の2015~2020年度において   1
   国内外での電力供給力の増強や気候変動問題対応の技術開発等で所期の成果を上げ、また、電力小売事業や国内外での洋上風力開発など新たな取組みも開始しています。
佐久間発電所 静岡県浜松市




                中期経営計画   2021-2023年度




                                       2
 はじめに          中期経営計画           Actions       経営目標・株主還元   Appendix


中期経営計画の目指すところ
 2050年カーボンニュートラル実現へのトランジションに挑んでいくなかで、企業価値の向上を目指していきます。
 そうした2021-2023年度の取組みについて、中期経営計画として取りまとめました。


                                      2021-2023                           2030           2050

 長期的な方向性
                                                                                         BLUE
  1
      カーボンニュートラルへの
                                          CO2フリーのエネルギーを不断に提供し、持続可能な社会を実現                MISSION
      トランジション                                    技術と経験をもとに創意工夫を重ね、グローバルに成長



 アクション・プラン                                                           CO2排出量削減
                                                                                 *
                                                                          -40%
  2                              加速化
      段階的に                            アップサイクル                    グローバルな        着実な
      多方面からのアプローチ                         新領域への挑戦
                                                                再エネ開発の加速     大間原子力推進
                                                                 水素発電への      電力ネットワーク
                                                                  移行開始         増強
                                                                     CO2フリー水素の
 事業基盤の強化                                                              製造・供給 等


  3                                   ESG経営推進
      今後の取組みを支える                      収益力・資産効率向上
      事業基盤の構築                         海外事業基盤の拡大



                                                                                                  3
 * J-POWER国内発電事業CO2排出量(2017-2019年度3ヵ年平均実績比)
   はじめに        中期経営計画         Actions       経営目標・株主還元   Appendix


多方面からのアプローチ
  J-POWERは、これまで国内外で実績を積み上げ、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築してきました。
  これまで培った総合的な技術⼒・開発力により、多方面からカーボンニュートラルの実現に向け取り組んでいきます。

   バランスの取れた事業ポートフォリオ                                プロジェクト・技術開発実績

   ⽔⼒、⽕⼒、⾵⼒、地熱といった発電設備および送変電設備*を有し、バ                               グローバルな再生可能エネルギー開発
  ランスの取れたポートフォリオを構成するとともに、燃料調達から設備の立地、                              J-POWERは、半世紀以上にわたり海外事業を展開してきました。
  建設、運転、保守に至る総合技術⼒を有しています。                                         この事業基盤や培った技術力・開発力を活かして、太陽光や風力等
   また、国内での実績をもとに、海外でも半世紀以上にわたりコンサルティング                             の再生可能エネルギーの新規開発にも積極的に取り組んでいます。
  事業、発電事業に取り組んでいます。
                                                                   風力事業の国内トップランナー
                 海外水力等 2.2%                                         J-POWERは風力発電にいち早く取り組んできました。2021年3
                                                                   月末現在で、国内23地点に計540,060kW(持分ベース、国内第
  海外計 26.2%
                                                                   2位)を保有しており、さらなる規模拡大を進めています。

   海外ガス火力                        水力 34.5%
    20.5%
                                                                   CO2フリーの原子力
                                                                    J-POWERは、CO2フリーでありながら安定して大きな電力を生み
                  J-POWER                                          出すことのできる電源として、大間原子力発電所計画を安全を大前
                   運転中の                                            提に推進しています。
海外石炭火力
  3.6%           発電設備内訳
                                                                   石炭からの水素製造の研究開発
ガス火力 0.9%
                 2021年3月末時点                                         J-POWERの長年にわたる石炭ガス化やCO2分離・回収の研究開
                    持分出力                                           発の成果により、石炭からの水素製造が可能となりました。CO2有効
                                                                   利用・貯留の研究を進め、水素のCO2フリー化も目指していきます。
                                 風力 2.2%
                                地熱 0.1%                            再生可能エネルギー拡大に貢献する送変電設備*
                                                                    J-POWER送変電では海底直流ケーブル、周波数変換所等の再
            石炭火力 36.2%
                                                                   生可能エネルギー普及に重要な電力ネットワーク設備を保有しており、
                                                                   建設・保守の高い技術と実績を有しています。

                                                                                                    4
  * 送変電事業はJ-POWER送変電が担当
    はじめに          中期経営計画              Actions        経営目標・株主還元           Appendix


ロードマップ
※    本ロードマップは政策等条件、産業発展の進度を前提条件として随時更新、詳細化します。また前提条件の変更に伴い、内容の見直しを図ります


                                                             -40%                                      0
                                                                   *1
                                                                                              実質排出
                                                            -1,900万トン                        カーボンニュートラルの実現
                         CO2削減目標                J-POWER国内発電事業CO2排出量                  J-POWER国内発電事業CO2排出量

                                                  2020                  2030           2040                  2050



                  再生可能エネルギー              グローバルに
                                                                               さらなる新規開発、既設地点のアップサイクル
                  (水力・風力・地熱)             1,500MW規模新規開発
    CO2フリー
    電源の拡大
                  原子力                              大間原子力発電所建設・運転開始


                                                         老朽化したものから順次フェードアウトと
                  国内石炭火力
                                                            低炭素化の取組み (バイオマス混焼の拡大、アンモニア混焼の導入等)

    電源の                                  国内での
                  水素発電                                     アップサイクル (既存資産へのガス化炉追加)                    CO2フリー水素発電
    ゼロエミッション化                             実証試験

                  燃料製造                   海外での
                                                           他産業での利活用
                  (CO2フリー水素)              実証試験


                  安定化                              水力、J-POWER GENESIS*2、分散型エネルギーサービスの拡大
    電力
    ネットワーク
                                                  新佐久間周波数変換所等
                  増強*3                                                   電力ネットワーク増強への貢献
                                                  増強完了



                                                                                                                    5
    *1 2017-2019年度3ヵ年平均実績比   *2 Appendix参照   *3 電力ネットワークの増強はJ-POWER送変電の取組み
 はじめに          中期経営計画                     Actions          経営目標・株主還元    Appendix


中期経営計画2021-2023年度
 カーボンニュートラルへのトランジションには、2050年という未来に向けて多様な可能性の追求が求められます。
 これまでの取組みの加速化、アップサイクル、新たな領域への挑戦により、多方面からのアプローチを実現します。


 一時的
 要因
         新型コロナウイルス感染症影響                                                                 Actions   2021-2023年度

                                     脱炭素化
 世界的                                                                         1. CO2フリー電源の開発加速化
 潮流                  分散化           De-Carbonization   デジタル化
                Decentralization                      Digitalization
                                                                                   ⁃ グローバルな再生可能エネルギー開発の加速化

         安定供給                       経済性                     環境性                    ⁃ 大間原子力計画の着実な推進
          Energy                   Economic               Environment
 不変の
 要請
          security                 efficiency
                                                                             2. 既存資産による新たな価値創造(アップサイクル)
                                   安全   Safety                                     ⁃ GENESIS 松島計画の推進
                                                                                   ⁃ 再生可能エネルギーの価値向上
       企業価値の向上                              事業基盤の強化
                                                                             3. 新たな領域への挑戦
  再生可能エネルギーをはじめとした                   足許の新型コロナウイルス感染症影
                                                                                   ⁃ CO2フリー水素の可能性追求
 CO2フリー電源の開発加速化、アップ                 響により経済情勢が不透明な中、引
                                                                                   ⁃ 分散型エネルギーサービス/イノベーション実装
 サイクルによる経済的かつスピードある                 き続き電力安定供給の要請に応えつ
 既存資産の価値再構築などに取り組                   つ、カーボンニュートラル実現に取組ん
 みつつ、新たな領域の可能性も追求                   でいくために、それを支える強固な事業
                                                                             4. 事業基盤の強化
 することで多方面からカーボンニュートラ                基盤の構築を進めていきます。                                 ⁃ ESG経営の推進、収益力と資産効率の向上
 ルへのトランジションに挑戦し、企業価                                                                ⁃ 海外での事業基盤の拡大
 値の向上を目指していきます。

                                                                                                                6
                       Actions   2021-2023年度




                                               7
せたな大里ウインドファーム 北海道久遠郡
   はじめに        中期経営計画            Actions      経営目標・株主還元          Appendix


Action 1    CO2フリー電源の開発加速化
  優先的な投資配分と人員増強により、グローバルな再生可能エネルギーの新規開発をさらに加速化させていきます。
  大間原子力計画を着実に推進するとともに、広域的な電力ネットワークの増強にも貢献していきます。

             国内再生可能エネルギー                   :陸上風力    :洋上風力       :水力         :地熱


              日本各地で進めている水力、地熱、風力の新規開発により、現在の設備出力9,124MWを早期に10,000MW以上へ拡大します。また、一般
             海域での洋上風力の開発にも注力していきます。
                                                                                                最大約
              運転        23地点     540MW       建設           4地点 110MW         調査           12地点 800MW
              中                              段階                             等                   最大
                                                                                                               3地点   一般海域調査
                        60地点 8,560MW                      5地点    22MW                    1地点     88MW          2地点   開発コンソーシアム組成
  グローバルに                 1地点       23MW                   2地点    17MW                    1地点         -   MW
   加速化
             海外再生可能エネルギー                   :陸上風力    :洋上風力       :水力         :バイオマス       :太陽光


              海外においても、風力・太陽光等の再生可能エネルギーの開発を加速化します。開発初期段階から参画することにより、案件獲得機会の拡大と
             開発者利益の獲得を目指していきます。

              運転       6地点 500MW           9地点     24MW    建設         1地点 214MW           調査             1地点    75MW
              中                                            段階                             等
                       2地点     12MW        8地点     22MW                                                  3地点 213MW

                                                                                     *
             原子力                                                            送変電

              大規模なCO2フリー電源であり、準国産でかつフルMOX燃料                     再生可能         再生可能エネルギーの大量導入を支える電力ネットワークの増
    着実な      の使用により原子燃料サイクルを支える発電所として、気候変動                                  強に貢献する事業機会を追求していきます。また、自然災害の
                                                                エネルギー
    推進       問題の解決と日本のエネルギーセキュリティーに貢献していきます。                                激甚化を踏まえたレジリエンス強化にも取り組んでいきます。
                                                                拡大に貢献
              建設                                                            建設
              段階
                        大間原子力発電所              1,383MW                       段階
                                                                                          新佐久間周波数変換所新設等
                                                                                                                              8
  * 電力ネットワークの増強はJ-POWER送変電の取組み
      はじめに          中期経営計画           Actions       経営目標・株主還元   Appendix


Action 1        再生可能エネルギーの展開状況



        水力
        陸上風力
        洋上風力
        地熱
        バイオマス
        太陽光

        300MW以上

        100-300MW
        100MW未満
        運転中
        建設中/建設準備中/
        環境影響評価手続中/調査中等


                    運転中           調査等-建設段階
  水力                 9,060MW              22MW
  風力                      564MW    最大約1,300MW

  地熱                      23MW            17MW
  バイオマス                   12MW                 -

  太陽光                     22MW           213MW
  •   出力は持分出力、出力未定の場合は想定最大持分出力
  •   風力は、上記以外に、日本の一般海域3地点で最大約1,400MWを開発調査中のほか、
      2地点で開発に向けたコンソーシアムを組成(一般海域洋上風力は促進区域指定後に入
      札により実施事業者が決定、他社との共同案件の出力は持分を考慮しない想定最大設
      備出力)
  •   バイオマスは、上記以外に、高砂火力、竹原火力新1号機および松浦火力で混焼中
                                                                          9
      はじめに          中期経営計画           Actions          経営目標・株主還元             Appendix


Action 2        既設火力のアップサイクル ~ GENESIS 松島
   オイルショック後に輸入石炭利用の道を切り拓いた松島地点で、CO2フリー水素発電の第一歩を踏み出します。
   既存資産への新技術適用により、電力安定供給を維持しつつ、経済合理性を持って早期に環境負荷の低減を実現します。

                              GENESIS松島 500MW                                          松島火力発電所(現在) 長崎県西海市


                    ガス化システム                           超臨界微粉炭火力

                         ガス精製設備

                                                ボイラ


 酸素
                         ガスタービン

                                                                  G
 石炭                           G
                                                              蒸気タービン

バイオマス                     排熱回収ボイラ
                                                                                 2021年- 環境影響評価等
             ガス化炉
                                                                       煙突          着工準備     2024年(予定)- 着工
                                           石炭   バイオマス アンモニア

                                                                                             建設工事     2026年度(予定) 運転開始
        GENESIS松島                                                                                           商用運転
             地政学的       メリット維持                                   地政学的
                                                                                                       CCUS*/カーボンリサイクル
             リスク小                                                リスク小
                                                                                                             Ready
              安価な       メリット維持                                    安価な
             発電単価                                                発電単価
           高い                     ガスタービン                         安定した                        J-POWER GENESIS
         出力調整機能                     追設                         ベースロード電源
                                                                                          将来的なCO2フリー水素発電も視野に入れた
         発電効率向上                   ガス化システム
          CO2低減                     付加
                                                        CO2      CO2排出                     カーボンニュートラル実現に向けた取組み
                                                                                                    (詳細はAppendix参照)
                                                                既設松島火力
                                                                                                                         10
   * CCUS:CO2の分離・回収、有効利用および貯留
   はじめに        中期経営計画          Actions          経営目標・株主還元         Appendix


Action 2    再生可能エネルギーのアップサイクル
  J-POWERの再生可能エネルギー開発の歴史は70年に及び、大きなシェアを持つ日本のトップランナーです。
  長年の建設・保守・運転で得られた多くの知見により、再生可能エネルギー資源の価値を最大限に引き出していきます。

               J-POWERの国内シェア         貯水池式水力                                        出力増                      最新の
                                                                                  発電電力量増                   水車・発電機
                                      最新の水車・発電機によるリパワリングに加え、設備高経年
                                                                                    高い            メリット維持
                                     化が進む佐久間等の大規模貯水池式水力でも豊富な水資                    出力調整機能
                                     源を最大限に活用するアップサイクルを検討していきます。                   自然災害への                  地元・関係者と
     J-POWER                          地元や関係者との連携を通じ、激甚化する自然災害へのレ                  レジリエンス強化                   の連携
    国内設備出力         第2位               ジリエンス強化にも努めていきます。
                 8,560MW
                               17%                                                河川維持流量の                   小水力の
                                                                                   有効活用                      開発
    18,324MW                             2025年度目標   発電電力量   3億kWh/年増加 (2017年度比)

                        4,400MW*
                                     大規模揚水                                                            上池貯水を使った
  再生可能                                                                                                機動的な発電
  エネルギー                               大型火力1基にも相当する発電出力を備え、余剰電力の吸
                                                                                           揚水
                                     収と不足電力の供給という両面で大規模蓄電池機能を発揮                                             発電
  9,124MW                            します。再生可能エネルギーの大量導入を支える調整力として、                  ポンプアップ動力による
                                     今後も価値の向上を図っていきます。                                  余剰電力吸収



                                     最新大型風車へのリパワリング                               発電電力量増
                                      設備の寿命を迎えた風車を最新の大型風車にリパワリングす
                                                                                                             最新の
    23MW                             ることで、風車の本数を減らして環境負荷を低減しつつ、発電                 事業期間延長
                                                                                                            大型風車
                   第2位               電力量の増加を実現します。
                  540MW
                               15%                                                環境負荷低減
                                         苫前ウィンビラ発電所のリパワリング
                                                                                   半永久的           メリット維持
                                         風車出力    1.5MW・1.65MW       4.3MW          エネルギー
                                         風車基数        19基              8基
                                                        発電電力量 約50%増                                                11
  * 揚水機能を併せ持つ貯水池式水力(混合揚水)は含まない
   はじめに                  中期経営計画               Actions              経営目標・株主還元       Appendix


Action 3         新たな領域への挑戦
  カーボンニュートラルへのトランジションやイノベーションによって社会・経済構造の変革が進んでいくなかで、新たな挑戦により
  事業領域の拡大を目指します。

   CO2フリー水素の可能性追求                                                                      J-POWERが担当
                                                                                                              水素液化        液化水素    液化水素
    大量かつ安定的な水素利用を実現するためには、再生可能エネルギーのほか、                                    褐炭         ガス化          水素精製
                                                                                                               ・積荷        海上輸送     受入
   化石燃料からのCO2フリー水素製造が必要です。J-POWERでは、国内外で石炭
   からのCO2フリー水素の可能性を追求していきます。                                                                  豪州                                    日本

    豪州では、褐炭のガス化により製造した水素を日本に輸送するサプライチェーン構                                                                      (年度)
   築の実証試験に参画し、褐炭ガス化と水素精製のプロセスを担当しています。将                                    2019       2020         2021      2022
   来商用化の際には、水素製造の過程で発生するCO2をCCSで貯留し、CO2フリー                                設計・製作・据付・試運転         実証試験
   の水素とする予定です。

                                                                                                            褐炭ガス化炉設備
                                                                                                           写真提供:HySTRA
   分散型エネルギーサービス
    再生可能エネルギーの大量導入が進むと、天候により出力が急激に変動するた
   め、出力変動を補う調整力の重要性が一層高まります。電力小売を通じた需要                                          イノベーションの実装加速化
   家への環境価値の提供に加え、需要家が保有するリソースをデジタル技術でアグ                                          J-POWERのアセット・ノウハウとスタートアップ企業等の技術・アイデアを融合させ、
   リゲートすることにより、調整力の確保・活用に取り組みます。                                                カーボンニュートラルや分散型社会への社会実装を加速し、新たな事業ドメインの
                                                                                獲得に挑みます。
                                                                                   プラント活用                   自律制御
                                      アグリゲータ                                      /運転ノウハウ                   アルゴリズム




                                                                                      「WOTA PLANT」の共同開発                  次世代型住宅プロジェクト
                                                                                    分散型水道事業のDX化による事業拡大                   「OUTPOST」への参画
           分散化               脱炭素化                     DX                                                  分散型社会での事業ドメイン
      Decentralization     De-Carbonization   Digital Transformation                                                                     12
   はじめに            中期経営計画         Actions      経営目標・株主還元         Appendix


Action 4        事業基盤の強化
  電力安定供給やレジリエンス強化の要請に応えつつ、カーボンニュートラルへの取組みを支えていく事業基盤を構築します。
  ESG経営を推進しつつ、収益力と資産効率を向上させていきます。

   ESG経営の推進                                                    収益力の向上
    2021年4月1日より担当役員と総括部署(ESG・経営調査室)を設置し、こ                       デジタルトランスフォーメーションによる業務プロセスの
   れまでのESG経営の取組みをステップアップさせて、サステイナブルな成長の実現を                     変革や設備保守の高度化等をはじめとして、これまで
   図ります。                                                       の発電コスト低減や管理間接部門経費の削減の取
                                                               組みを、さらに加速します。

     Environment
           環境        J-POWER “BLUE MISSION 2050”               CO2排出量削減やCO2フリー電源の拡大など、トラン
                     TCFDに沿った気候変動シナリオの開示                      ジションの取組みを支える収益基盤を強化していきます。

     Social社会        国連グローバルコンパクトへの署名
                     発電所の立地する地域との共生                           資産効率の向上

     Governance
       ガバナンス         指名・報酬委員会の設置                               設備信頼性とバランスをとりつつ更新投資を抑制するとともに、適宜保有資産の
                     役員構成の多様性の確保                              見直し・入替を図ることにより、既存資産の効率向上を図っていきます。
                                                                トランジションに向けた新規投資についても、対象地域や事業分野に応じたハー
                                                               ドルレートでスクリーニングすることにより、リスクと資本コストに応じた収益を確保し
                                                               ていきます。
   人財
    世代を問わず学び続ける風土を醸成し、多様な人財の自律                                 様々な経営課題に挑戦する人財育成
   的な成長を支援することで、様々な経営課題に挑戦する人財を
   育成していきます。                                                 継続的なイノベーションを促進する職場づくり
    柔軟な働き方の実現を通じて個人の多様なニーズに応えるとと
                                                     機動的  事業変化に即応した人財配置     安全確保  安全最優先の職場環境整備
   もに、職場の安全と従業員の健康を十分に確保することで、多
                                                    人財活用  多様な能力を持つ人財の獲得     健康増進  健康経営の推進
   様な人財が意欲的に活躍し、継続的なイノベーションを促進する
   職場づくりに取り組んでいきます。                                 自律的な  OJTと研修の効果的活用      多様な    65歳定年制の導入
                                                    学び継続  自律的キャリア形成支援、      働き方    就労時間柔軟化、在宅勤務
                                                              公募によるチャレンジ推進
                                                                                                      13
   はじめに          中期経営計画                Actions        経営目標・株主還元           Appendix


Action 4     海外での事業基盤の拡大
  海外事業は、発電出力で26%、セグメント利益で40%超*1を占めており、今後も成長が見込まれます。
  建設中の大型プロジェクトを着実に遂行しつつ、新規案件獲得によりさらなる事業基盤の拡大に取り組んでいきます。

   大型プロジェクトの着実な遂行                                                          グリーンフィールド案件獲得への取組み
    インドネシア、英国、米国でそれぞれ建設中の大型プロジェクトを着実                                        今後も、米国や豪州、アジア地域を主なターゲットとし、それぞれの国・
   に遂行することにより、さらなる収益基盤の拡大を図っていきます。                                         地域の開発ニーズに応じて、再生可能エネルギーをはじめとしたグリーン
                                                                           フィールド案件の獲得を目指していきます。
                大型プロジェクト

               トライトン・ノール 洋上風力 857MW
                                                                                                                主なターゲット   米国
                 持分比率25%   2021年運転開始予定                                                    バーチウッド 50MW+190MW
                                                 主なターゲット   アジア地域                               太陽光+ストレージ    持分比率50%




                                                                          大型プロジェクト
                                                                                          *3
                                                                          ジャクソン GTCC 1,200MW
                                                                            持分比率100%       2022年運転開始予定
                                                                                                                             ウォートン 350MW
                                                                                     レフュージオ 400MW                              太陽光   持分比率25%
               大型プロジェクト                                                                   太陽光    持分比率25%
                             *2                                                 (MW)
              セントラルジャワ USC 2,000MW
                                                                               10,000                                            運転開始予定
                 持分比率34%   2021年度運転開始予定
                                                                                7,500


                                                                                5,000
                            キッドストン・ステージ3・ウインド 150MW
                                陸上風力   持分比率50%                                  2,500
     運転中
                                                                                                                                     運転中
     調査等-建設段階
                                                           主なターゲット   豪州               0
                                                                                          2000       2005      2010   2015       2020

                                                                                                                  海外事業持分出力の推移
                                                                                                                                           14
  *1 2018-2020年度3ヵ年平均実績:45.6%     *2 USC:超々臨界圧石炭火力         *3 GTCC:ガスタービンコンバインドサイクル
                           経営目標と株主還元




                                       15
トライトン・ノール洋上風力発電所(建設中) 英国
 はじめに        中期経営計画         Actions       経営目標・株主還元        Appendix


経営目標と株主還元
 カーボンニュートラル実現に向けて、トランジションの取組みを支える収益・財務基盤の強化に取り組みます。
 再生可能エネルギーの開発を加速するとともに、CO2排出量を段階的に削減していきます。

 経営目標


                  2023年度目標                                   2025年度目標               2030年目標

                                                                                                *2
        連結経常利益               連結自己資本比率                      再生可能エネルギー開発            CO2排出量削減

    2023年度                       2023年度                     2025年度まで              2030年まで

                                                                             *1
     900億円以上                       30%以上                   1,500MW以上               -40%以上
                                                                                        2017-2019年度
   2020年度    609億円          2020年度        28.5%                        2017年度比
                                                                                         3ヵ年平均実績比




 株主還元の基本的な考え方


 短期的な利益変動要因を除いて連結配当性向30%を目安に、利益水準、業績見通し、財務状況等を踏まえた上で、安定的かつ継
 続的な還元充実に努めてまいります。



                                                                                                      16
 *1 公募となる国内での一般海域における洋上風力は含まない    *2 J-POWER国内発電事業CO2排出量
Appendix




           17
 はじめに         中期経営計画            Actions   経営目標・株主還元   Appendix


電力ネットワーク増強への貢献*
 再生可能エネルギーの大量導入には、電気を消費地まで届ける電力ネットワークの増強が課題となります。
 これまで培った直流送電線・海底ケーブルや周波数変換設備等の幅広い技術と知見を活かして課題解決に貢献します。

 送変電設備

  J-POWER送変電は、各電力会社の事業エリア間を相互に連系する地域間
 連系設備を含めて日本全国に重要な送変電設備を保有・運営しており、日本の
 電力の広域的な運用に貢献しています。

 実績     送電線    総亘長約2,400km       変電所        4箇所
        交直変換所        4箇所         周波数変換所 1箇所
                                                         新佐久間周波数変換所および
                                                         関連送電線増強建替
 今後の重点的取組み

  新佐久間周波数変換所と関連送電線の増強建替を着実に推進し、50Hzの
 東日本と60Hzの西日本の間での電力融通能力の増強期待に応えていきます。
 今後も、電力ネットワークの増強に貢献する事業機会を追求していきます。
  また、設備の高経年化に伴う保守の高度化や、激甚化する自然災害へのレジ
 リエンス強化も喫緊の課題であり、これらへの取組みを通じて電力の安定供給に
 も引き続き貢献していきます。

 建設
 段階
           新佐久間周波数変換所新設等
           - 新佐久間周波数変換所 300MW
           - 佐久間東幹線             約125km
           - 佐久間西幹線             約14km


                                                                         18
 * 電力ネットワークの増強はJ-POWER送変電の取組み
  はじめに            中期経営計画      Actions   経営目標・株主還元          Appendix


J-POWER GENESIS Vision
J-POWERの描くカーボンニュートラル社会におけるエネルギー供給ビジョン

  J-POWER GENESISは、石炭ガス化技術をコアとする新世代のエネルギー転換システムです。
  拡張性の高いシステム構成によって、様々な固形燃料を用い、電気や水素をはじめとした多様なプロダクトを生み出します。


                J-POWER GENESIS

         Gasification ENErgy                ジェネシス【genesis】発生。起源。/ジェネレーター【generator】 発電機。

                   &
                                            /ジェネレーション【generation】 世代。発電。
                                            ギリシャ語のGENE は起源、生むの意味をもつ。英語でGene は遺伝子。
    Sustainable Integrated System
                                            ※J-POWER GENESISとして商標登録出願中


                                                                                                   (年度)

  2000                     2010                     2020                          2030


    2002-2013
    EAGLEプロジェクト
                                        2016-
     2002年度より酸素吹石炭ガス化およびCO2分離・
                                        大崎クールジェンプロジェクト
    回収の実証試験に取り組み、技術を蓄積してきました。                                         2026(予定)-
                                         2016年度よりEAGLEプロジェクト
                                                                      J-POWER GENESIS
                                        を大型化するとともに、CO2部分回
                                        収とより高濃度の水素によるガス                大崎クールジェンプロジェクトで得られた技術をコアとして、カーボン
                                        タービン運転、燃料電池を組み込む              ニュートラル実現に向けて取り組みます。
                                        実証試験を実施しています。                  石炭から生成したガスを水素とCO2に変換する技術およびそこから
                                                                      CO2を分離・回収する技術を組み合わせることで、将来的にはCO2
                                                                      フリーの水素発電も可能になります。



                                                                                                     19
     はじめに        中期経営計画        Actions    経営目標・株主還元         Appendix


J-POWER GENESIS Vision 全体構想
       様々な固形燃料                                                    高いシステム拡張性 (次頁参照)         多様なプロダクト


                          J-POWER GENESISコア技術                                               CO2フリー
                                                                                       G      電気

                                                                                水素発電
       バイオマス
                                                                                            CO2フリー
                                                                                              水素
                                                               CO2フリー水素
 国
 内
        その他                   ガス化炉                                                          化学製品
       固形燃料                                                                          合成

                                                              (アンモニア・液化水素)
                                                      CO2

                                     ガス精製設備                                                  CO2
                                                                                            鉱物化等
                                                                               カーボンリサイクル




 海          石炭                               CO2 H2                    CO2貯留
 外                                        分離・回収設備
 (
 産
 炭
 国     バイオマス   石油残渣
 )                                                                                          CO2フリー
                                                                                              水素


                                                               CO2フリー水素
                                              CO2貯留

                                                                                                     20
 はじめに            中期経営計画             Actions     経営目標・株主還元             Appendix


J-POWER GENESISの拡張性
 J-POWER GENESISシステムは拡張性に優れており、大崎クールジェンプロジェクトで培ったコア技術に新技術や既存資
 産を組み合わせ、事業環境の変化に柔軟に対応しつつカーボンニュートラルを実現します。
  石炭   バイオマス

                                        GENESIS松島の                                              1
                 その他固形燃料                                                                            ガス化炉・ガス精製設備
                                         システム構成
                                                              石炭         バイオマス アンモニア                  ガスタービン
                                                                                                     既設微粉炭火力
                                                         G                       G
                                                                                                     バイオマスガス化・混焼
                                                                                        電気             /アンモニア混焼
                                                ガスタービン               既設微粉炭火力


                                                                                                2
                               H2                                                                   ガス化炉・ガス精製設備
   ガス化炉        ガス精製設備                                         石炭         バイオマス アンモニア                CO2分離・回収設備
                                                                                                      水素タービン
                                                         G                       G
                                                                                                     既設微粉炭火力
                                               水素タービン                既設微粉炭火力           CO2フリー        バイオマスガス化・混焼
                                                                                        電気             /アンモニア混焼
 J-POWER GENESIS           CO2
                        分離・回収設備                                                                 3
 コア技術                                                                                               ガス化炉・ガス精製設備

                              CO2                                                                   CO2分離・回収設備
                                                                                                      水素GTCC
                                                                 G
                                                                                                      バイオマスガス化
                                                             *                         CO2フリー
                                                     水素GTCC
                                                                                        電気


                          CO2貯留/
                        カーボンリサイクル
                                                                                                                   21
 * GTCC:ガスタービンコンバインドサイクル
 はじめに           中期経営計画                  Actions        経営目標・株主還元        Appendix


J-POWER GENESISの効果
 段階的に環境負荷を低減し、将来的に石炭とバイオマスの混合ガス化とCO2分離・回収の組合せによりCO2ネガティブエ
 ミッション化するとともに、出力調整機能などの高い運用性・機動性により、再生可能エネルギーの大量導入に貢献します。

  CO2排出量の削減                                                            出力調整機能の向上
  J-POWER GENESISは、システムの拡張により段階的にCO2排出量を削減し、                            既設微粉炭火力が有する蒸気タービンとガス化システムが有するガスタービンを
 環境負荷を低減していきます。                                                        柔軟に運用することで、既設微粉炭火力よりも幅広い負荷帯で運転が可能にな
  光合成を通じて大気中のCO2を固定化したバイオマス燃料を用い、そのバイオマ                                るとともに、高い出力調整機能も備えます。また、水素GTCC*までシステム拡張
 ス燃焼により発生するCO2を分離・回収して地中に貯留すれば、大気中に存在                                  した場合、天然ガス火力を上回る出力調整速度が期待できます。
 するCO2を削減するネガティブエミッションが可能となります。これは固形燃料である                               これにより、出力の安定しない再生可能エネルギーの大量導入に貢献します。
 石炭ゆえに実現するメリットです。

 (前頁システム構成)         1               2                 3
                                                                                     ガスタービンと蒸気タービンによる
  既設微粉炭火力                                                                                   出力調整イメージ
                                                                           出力
                ガスタービン        水素タービン              水素GTCC*

                              CO2分離・回収

                バイオマスガス化・混焼/アンモニア混焼               バイオマスガス化

                         ガスタービン           CO2               CO2
                         追設               分離・回収             分離・回収
                         バイオマス
                         ガス化・混焼等                                                   ガスタービン

                                          バイオマス
                                          ガス化・混焼等
     CO2           CO2                    バイオマス分
                                          CO2分離・回収
                                                                                              蒸気タービン
                                                            バイオマス分
                                    ゼロ                      CO2分離・回収                                    時間
   CO2排出量イメージ                     エミッション
                                                   ネガティブ
                                                   エミッション
                                                                                                             22
 * GTCC:ガスタービンコンバインドサイクル
 はじめに        中期経営計画    Actions     経営目標・株主還元    Appendix


SDGsへの貢献


  J-POWERの
        使命
                                 人々の求めるエネルギーの不断の提供




 ステークホルダーとの            最終         ビジネス    株主・          地域         自然・
                                                            従業員
    価値共有              消費者        パートナー    投資家          社会         環境




  SDGsへの貢献




                                                                        23
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