9505 北陸電力 2019-10-16 15:00:00
七尾大田火力発電所2号機タービン翼および敦賀火力発電所2号機ボイラー管損傷の原因と対策について [pdf]

                                               2019 年 10 月 16 日
各 位
                  会 社 名   北陸電力株式会社
                  代表者名    代表取締役社長        社長執行役員      金井    豊
                          (コード:9505 東証一部)
                  問合せ先    火力部火力業務チーム統括(課長)
                                                    草開    博則
                          (TEL 076-441-2511)


七尾大田火力発電所2号機タービン翼および敦賀火力発電所2号機ボイラー管損傷の
              原因と対策について
              原因と対策について


 当社は、7月9日、七尾大田火力発電所2号機(定格出力:70 万 kW)において、タービン
軸受振動の上昇により運転を停止し、その後の点検で、A低圧タービン第 15 段翼の3枚に損
傷を確認しました。
        (7月 31 日「七尾大田火力発電所2号機運転停止に関する業績への影響
額の見通しについて」にて開示済み)
 このたび、原因究明および再発防止を行い、昨日(10 月 15 日)、電気事業法に基づき「電
気関係事故報告」を中部近畿産業保安監督部北陸産業保安監督署(以下、「監督署」)に提出
しました。
 ■損傷原因
  ・A低圧タービン第 15 段翼において「腐食因子による金属疲労限度の低下」と「レーシ
      ングワイヤ拘束による翼の振動応力増加」が複合したことにより、翼が損傷
 ■再発防止
  ・低圧タービン第 15 段翼の全数 568 枚(142 枚×4箇所)をレーシングワイヤのない新
      型翼に取替


 なお、運転再開は、10 月 17 日の予定であり、その後、タービン調整運転等の試運転を進
め、設備の健全性確認を行います。



 また、敦賀火力発電所2号機(定格出力:70 万 kW)は、ボイラーで蒸気漏洩の可能性があ
ったため、9月 16 日から運転を停止しています。
 敦賀火力発電所2号機についても、原因究明および再発防止を行い、昨日(10 月 15 日)
                                            、
電気事業法に基づき「電気関係事故報告」を監督署に提出しました。
 ■損傷原因
  ・ボイラー内で局所的な高温環境下にあったボイラー管の強度が低下し、損傷発生
      (破断、変形)
  ・最初のボイラー管の破断、変形により、その漏洩蒸気を起因とした減肉破口、変形が
   別のボイラー管に発生。それとともに周囲の複数のボイラー管にも、接触による変形
   および漏洩蒸気による減肉が発生
 ■再発防止
  ・ボイラー内で局所的な高温環境が生じる可能性のある類似箇所の検査を行い、予防保
   全も含めたボイラー管 87 本を取替


 なお、運転再開は、11 月末の予定です。


今後の需給状況については、他の火力発電所や水力発電所の運転等により、当面は一定の
予備力は確保できる見通しであり、電力の供給に支障はないと考えておりますが、引き続き
電力の安定供給に万全を期してまいります。
 また、今後の詳細な需給状況については、当社ホームページ「でんき予報」等でお知らせ
してまいります。


今回の両火力発電所の運転停止による当社業績への影響については、現在算定中であり、
具体的な金額が分かり次第、速やかにお知らせいたします。


地元の皆さまをはじめ関係の方々にはご心配・ご迷惑をおかけし、お詫び申し上げます。


別紙1:七尾大田火力発電所2号機タービン翼損傷の原因と対策

別紙2:敦賀火力発電所2号機ボイラー管損傷の原因と対策



                                      以   上
                                                                                                                         別紙1


                                 七尾大田火力発電所2号機タービン翼損傷の
                                 七尾大田火力発電所2号機タービン翼損傷の原因と対策


1.タービン翼損傷の原因
  タービン翼                                                                                                         蒸気
         2018年9月A低圧タービン第16段(発電機側)翼飛散
                                                          B低圧タービン                      A低圧タービン

    低圧タービン下部の復水器※1内にある管が損傷し、海水が漏洩。
    海水に含まれる腐食因子※2が翼や復水器等のタービン内部に混入            発電機側                                                        高中圧タービン      タービン前方側

                                                       第15段              第16段
                                                                                第15段                     2019年2月復旧時の対応
            復旧作業として洗浄を実施したが、                   海水                                                  海水
          腐食因子が翼やタービン内部にわずかに残存                                                                                取替
                                                                                                              手入れ補修
                                                                                                              圧力プレート
                (運転再開 2019年2月)                                           復水器

                                                                                図1   タービン概略図
                       運転中の蒸気流によりレーシング
                       ワイヤ※3穴の狭小部に腐食因子が
     腐食因子による          付着し、スケール※4生成(図2参照)                                                                 レーシングワイヤ      第15段翼
    金属疲労限度の低下                                                                                              遠心力
 (金属疲労に対する耐力の低下)                                                                     第15段翼
                      レーシングワイヤが拘束され、本来の
                      制振力が低下し、翼の振動応力が増加


  「腐食因子による金属疲労限度の低下」と「レーシングワイヤ拘束による
                                                     レーシング                                       レーシング    狭小部にスケール生成
    翼の振動応力増加」が複合したことにより、き裂発生環境がそろう                              タービン軸
                                                      ワイヤ                                         ワイヤ     (レーシングワイヤ拘束)


      A低圧タービン第15段(タービン前方側)の翼にき裂が発生
                                                                    図2    レーシングワイヤ構造と狭小部のスケール生成

             金属疲労によりき裂が進展し、
        A低圧タービン第15段(タービン前方側)の翼が折損
                                                      2.再発防止

      2019年7月高速回転しているタービン軸のバランスが崩れ、                      第15段翼の全数(142枚×4箇所)をレーシングワイヤのない新型翼に取替
                タービン軸受振動が上昇
                                7月31日お知らせ済み
※1 低圧タービンから出た蒸気を海水で冷却し、水に戻す設備                         3.運転再開
※2 主にナトリウムと塩素
※3 翼の振動低減を目的に、翼4~5枚を一群として中央部を周方向につなぐワイヤ                  10月17日(予定)
※4 サビ等の不純物
                                                                                                                          以    上
                                                            別紙2

         敦賀火力発電所2号機ボイラー管損傷の原因と対策
         敦賀火力発電所2号機ボイラー管損傷の原因と対策
1.ボイラー管損傷状況




                  ②                         損傷状況(破断)
              ①




                             A

                             B

       ボイラー




                         最初の破断箇所
                                            損傷状況(変形)
                         破断、破口箇所


2.ボイラー管損傷の原因
  ボイラー内で局所的な高温環境下にあったボイラー管(A)の材料強度が低下し、損傷発生(破断、 変形)




    漏洩蒸気を起因とした減肉破口、変形が           接触による変形および漏洩蒸気による減肉が
       別のボイラー管(B)に発生                周囲の複数のボイラー管に発生


3.再発防止
  ボイラー内で局所的な高温環境が生じる可能性のある類似箇所の検査を行い、予防保全も含めた
 ボイラー管87本を取替
    ボイラー管の取替本数                           (本)
                                   ①    ②     小計    合計
         損傷管(破断,破口,減肉,変形)          24   1      25
     取替管                                               87
         予防保全                      62   0      62

4.運転再開
  11月末(予定)
                                                            以  上