9503 関西電力 2020-03-30 13:20:00
電気事業法に基づく業務改善計画の提出について [pdf]

                                       2020 年 3 月 30 日


各   位
                             会 社 名 関西電力株式会社
                             代 表 者 名 取締役社長 森本 孝
                             (コード:9503 東証第一部)
                             問 合 せ 先 経理部長 坂田 道哉
                             T E L 06-6441-8821


            電気事業法に基づく業務改善計画の提出について



当社は、本年3月16日※、経済産業大臣から電気事業法に基づく業務改善命令を受領しました。
当社としては、本命令を真摯に受け止め、本年3月14日に設置した経営刷新本部において、再発
防止対策を取りまとめ、業務の改善計画を本年3月末までに提出するとともに、必要な取組みについ
て株主総会の開催などにより速やかに決定および実行し、その状況について本年6月末までに報告い
たします。
                             [2020年3月16日お知らせ済み]

※業務改善命令の発出手続きに瑕疵があり、同一内容の命令が3月29日付で改めて発出されました。

当社は、本日、電気事業法に基づく業務改善計画を経済産業大臣に提出しました。


本計画は、業務改善命令に対して、第三者委員会からの再発防止にかかる提言を踏まえて、具体的
な施策の方向性と今後のスケジュール等を取りまとめたものです。


今後は、具体的な施策を決定のうえ確実に実行するとともに、実施状況をフォローし、全く新しい
関西電力を創生していくとの不退転の決意で、さらなる経営の改革・刷新に取り組みながら、信頼回
復に全社一丸となって全力を尽くしてまいります。


                                                以 上


添付資料:電気事業法に基づく業務改善計画
                                            2020 年 3 月 30 日
経済産業大臣
 梶山 弘志 殿
                                        関西電力株式会社
                                         取締役社長 森本 孝




                   業務改善計画の提出について


 電気事業法第27条第1項及び第27条の29において準用する同項の規定に基づく、当社の役職員
が、福井県高浜町の元助役から多額の金品を受領していたこと等に関する業務改善命令(2020 年 3 月 29
日)に対し、再発防止に向けた業務改善計画を別紙の通り策定いたしました。
「電気事業という公益事業を担う事業者であって、社会との信頼関係を築いた上で事業を進めていくべ
き電力会社として不適切な行為」との業務改善命令の指摘を真摯に受け止め、新たな経営体制のもとで本
改善計画を着実に実行してまいります。


                                                     以   上




                          1
                                                          別紙


                          業務改善計画


はじめに
  当社は、今般の事案により、お客さまや社会のみなさまからの信頼を裏切り、多大なご迷惑をおかけ
 しました。お客さまに選ばれ、社会から必要とされる企業であるために、失った信頼を再び賜ることが
 できるよう、再発防止に向けた具体的方策を以下の通り策定いたしました。当社は、全力をあげて、速
 やかに本改善計画を実行してまいります。


A.再発防止のための具体的方策


 1.今回の処分を踏まえた役職員の責任の所在の明確化
   今回の業務改善命令の指摘を真摯に受け止め、今後、再発防止に責任をもって取り組むにあたり、
  第三者委員会の調査報告内容に基づき、以下のとおり責任の所在を明確にします。


  (1)経営責任(3 月 14 日付)                             <計11名>


   ① 辞任
       代表取締役社長の岩根茂樹、元代表取締役会長で相談役の森詳介、前代表取締役会長で嘱託の
    八木誠、および元代表取締役副社長執行役員で嘱託の豊松秀己が辞任。
       また、元常務取締役 1 名が、同日付で子会社嘱託を辞任。


   ② 報酬の返上
       代表取締役副社長執行役員      土井 義宏    月額の20% (3ヶ月)
       代表取締役副社長執行役員      森本   孝   月額の20% (3ヶ月)
       代表取締役副社長執行役員      彌園 豊一    月額の20% (3ヶ月)
       代表取締役副社長執行役員      稲田 浩二    月額の20% (3ヶ月)
       代表取締役副社長執行役員      松村 孝夫    月額の20% (3ヶ月)
       取締役常務執行役員         島本 恭次    月額の20% (3ヶ月)


  (2)新社長の就任(3 月 14 日付)
       森本孝が代表取締役社長に就任。




                              2
(3)主な行為態様別の責任                               <計78名>
                        (下記①および②の双方に関わった者の責任は、①のみに記載。
                                                    )

 ① 金品受領および事前発注約束等
  a.辞任
    前代表取締役副社長執行役員で嘱託の森中郁雄、および前常務執行役員で嘱託の右城望、鈴
   木聡、大塚茂樹が、それぞれ 3 月 30 日をもって辞任する。
  b.報酬の返上
    常務執行役員      福田 隆   月額の50%(6ヶ月)
    執行役員 2 名           月額の10%(3ヶ月)~月額の10%(1ヶ月)
  c.その他
    理事・従業員 4 名について、上記に準じて取り扱う。
  d.当社退任・退職済みの元役員・従業員に対する要請
   以下の者に対し、相当額の報酬の自主返納を要請する。
    元役員(執行役員以上)12 名 月額の50%(6ヶ月)~月額の10%(1ヶ月)
   また、元理事・従業員 37 名について、上記に準じて取り扱う。
  e.子会社役員等の責任
    子会社等において、金品受領、事前発注約束等があった場合、当該行為の責任の所在を明確
   化するよう、当社から子会社等に対し、厳正に指導する。
                            (なお、第三者委員会の調査報告書
   では、子会社等のみで金品を受領したとされる者は 11 名。)


 ② 社内調査、事後対応、退任役員に対する報酬
  a.報酬の返上
    執行役員       月山   將 [前・総務室担当常務]   月額の50% (3ヶ月)
    常務執行役員     廣田 禎秀 [社内調査委員]       月額の20% (3ヶ月)
  b.当社退任済みの元役員に対する要請
    以下の者に対し、相当額の報酬の自主返納を要請する。
    前副社長 1 名 [前・取締役、社内調査委員]         月額の50% (3ヶ月)


 ③ その他
   コンプライアンスおよび工事発注・契約業務を所管する常務執行役員は、以下のとおり報酬を
  返上する。
    常務執行役員 西澤 伸浩 [調達本部長]            月額の10% (3ヶ月)
    常務執行役員 岡田 達志 [総務室担当]            月額の10% (3ヶ月)
    常務執行役員     水田   仁 [原子力事業本部長代理] 月額の10% (3ヶ月)
    常務執行役員     多田 隆司 [土木建築室担当]      月額の10% (3ヶ月)




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(4)嘱託等報酬の件
   第三者委員会の調査報告書において、退任役員 1 名に対する報酬について、修正申告に係る
  追加納税分の補填趣旨が含まれ正当性は認めがたいとの指摘にあわせて、過去の経営不振時の
  役員報酬カットに対する補填の趣旨も指摘されている。
   これに加えて、過去の経営不振時の役員報酬の削減を考慮したことが、17 名の退任役員につ
  いて認められ、合計 18 名に対する嘱託等報酬の総額は、約 2.6 億円となることを確認した。
   なお、2019 年 10 月に、嘱託等契約は全て終了している。
   今後 18 名に対し、全額の自主返還を要請し、自主返還が受けられなかった分は、当時、嘱託
  等の報酬に関する方針を決定した取締役へ自主的負担を要請する。


(5)監査役の報酬返上                                   <計4名>
   監査役より、以下のとおり報告を受けている。
   常任監査役     八嶋 康博                   月額の50% (3ヶ月)
   常任監査役     樋口 幸茂                   月額の30% (3ヶ月)
   常任監査役     杉本   康 [2019 年 6 月就任]   月額の20% (3ヶ月)
   前監査役 1 名 [2019 年 6 月退任]に対する自主返納要請 月額の10% (3ヶ月)


2.健全かつ適切な業務運営に取り組むための法令等遵守体制の抜本的な強化並びに法令等遵守を重
視する健全な組織風土の醸成
 本件事案においては、役員が自ら社会的儀礼の範囲を超える金品を受領していた。原子力事業本部
の幹部を経験した役員は、少なくとも自らが受領していた範囲では、法令や社会規範に照らし、許さ
れざる状況であることは十分理解できたはずであり、組織として対応策を検討し実行する決断をす
べきところ、長年、個人に対応を任せるという不適切な判断を行ってきたとの第三者委員会の指摘を
踏まえ、法令等遵守(以下、
            「コンプライアンス」という。 体制の抜本的な強化を図ってまいります。
                         )
 また、コンプライアンスよりも事業活動が優先されてしまう、ユーザーや社会一般の視点が欠落し
てしまうという内向きの企業体質が、本件事案の根本的問題であるとの指摘を踏まえ、このような企
業体質を是正し、コンプライアンスを重視する健全な組織風土の醸成に取り組んでまいります。


(1)外部人材を活用したコンプライアンス体制の再構築(2020 年 6 月末までに、速やかに)
 ① 「コンプライアンス委員会」「コンプライアンス推進室」の新設
                、
   a.「コンプライアンス委員会」の新設
       コンプライアンスに係る監督機能を強化するために、社長等執行から独立した「コンプ
       ライアンス委員会」を、取締役会直下の委員会として新設する。
        委員会は、当社グループのコンプライアンス推進に係る指導、助言、監督を担うととも
       に、コンプライアンス推進に係る基本方針や、役員に関する問題事象の対処方針など、特
       に重要なものについて、審議、承認する。また、社長等執行に対して必要に応じ直接指導、
       助言、監督するとともに、取締役会に定期的に報告を行う。

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      委員長は社外委員とし、過半数を社外委員で構成する。社外委員の人選にあたっては、
      多様な視点を取り入れる。社内委員は、社長とコンプライアンス推進室を担当する役員と
      する。
      委員会は、当面の間、四半期毎の定期開催に加え、特に重大な問題事象発生時には機動
      的に開催する。
      社長を含む社内委員の直接行為が関係する問題事象について、当該社内委員は審議の
      場から退席することを社内規定に明記する等、運営においても社長等執行からの独立性
      を確保する。
      なお、委員会は本改善計画について、実施状況、その実効性を検証し、社長等執行に対
      して指導、助言、監督を行うとともに、取締役会に報告する。


  b.「コンプライアンス推進室」の新設
      コンプライアンスに係る推進機能を強化するために、執行側において、当社グループの
      コンプライアンス推進計画の策定、実施および問題事象への対応を担う「コンプライアン
      ス推進室」を、総務室から独立した組織として新設する。コンプライアンス推進室は、法
      的知見を有するスタッフの他、多様な職歴を有するスタッフで構成する。


  c.「コンプライアンス委員会」と「コンプライアンス推進室」との連携
      当社グループのコンプライアンスに係る諸事象について、コンプライアンス推進室が
      コンプライアンス委員会に報告、付議し、その指導、助言、監督を受けつつ、具体的な実
      施の決定は、社長等執行が担う。
      コンプライアンス推進室を担当する役員は、毎月、コンプライアンスの推進状況をコン
      プライアンス委員長に報告し、指導、助言、監督を受ける。


② 問題事象発生時の報告体制の整備
      問題事象の発生箇所は、コンプライアンス推進室に速やかに報告すること、同室は、社
      会規範等の視点から当該事象に対処するとともに、コンプライアンス委員会へ報告し、指
      導、助言、監督を受けることを、社内規定で明記する。
      指名委員会等設置会社への移行検討(後述4(1)
                             )にあたり、監査委員会が管下スタ
      ッフを直接指揮して監査を行い、コンプライアンス委員会の監督とあわせ、複眼的に監
      督、監査できるよう改める。
        【 内部通報・相談の仕組みの充実 】
             役員、従業員および社外の関係者からの内部通報・相談について、既設の「コ
             ンプライアンス相談窓口」が適切に対応する。さらに、必要に応じ、事象に即
             した分野の専門弁護士が対応することとし、自らの判断でコンプライアンス委
             員会あるいは監査委員会に対処を求め、実効的措置を講じることができる仕組
             みを確立する。
             役員は、違法のみならずコンプライアンスに違反する行為について、報告す

                        5
               る義務を負い、報告先はコンプライアンス委員会および取締役会長とする。
               従業員に対しても、違法のみならずコンプライアンスに違反する行為につい
               て、報告する義務を負うことを社内規定に明記し、相談窓口の利用を促す。
              「コンプライアンス相談窓口」 秘密保護に細心の注意を払って事実調査、
                             は、
               対応を行い、通報者および相談者に不利益がないことを、当社グループの役員
               および従業員に繰り返し周知、徹底するなど、適切に活用できるようにする。


(2)コンプライアンス意識の醸成・徹底
 ① 役員の率先実行、役員および従業員の行動規範の確立
       社長が、
           「安全最優先」と「社会的責任の全う」が当社グループの経営の基軸であること
       を改めて胸に刻み、当社グループが誠実で透明性の高い開かれた事業活動を行うことに全
       力を尽くすことを宣誓する。宣誓において、
                          「業績や事業活動をコンプライアンスに優先さ
       せることは断じてあってはならない」と肝に銘じ、時代の要請する社会規範とは何かを常に
       「ユーザー目線」で考え、行動するとともに、いかなる社内慣行やルール、組織・体制等で
       あっても、ためらうことなく、改めるべきを改めること等を約束する。
                                      (本日実施)
       当社グループの役員は、社長宣誓の内容をグループの隅々まで広く浸透させる役割を担
       うとともに、従業員の範となるよう、その内容を常に意識し、自ら率先して行動する。
                                             (本
       日以降)
       当社グループの役員および従業員が遵守する行動規範として、社長宣誓の趣旨や贈答・接
       待の厳正化について、関西電力グループCSR行動憲章に明記し、それに沿った行動を強く
       促す。
         (2020 年 6 月末までに、速やかに)


 ② コンプライアンス推進に係る基本方針等の網羅的な見直し(2020 年 6 月末目途に整理すべき事
 項の精査・方向性の決定)
       「ユーザー目線」でのコンプライアンス意識を醸成するため、コンプライアンス推進に係
       る基本方針や社内規定について、新設するコンプライアンス委員会の指導、助言、監督を受
       け、網羅的に見直す。
       2019 年 12 月に制定した「贈答および接待の取扱いに関する規程」についても、新体制の
       もと検証を行い、さらに実効的な内容へ見直す。
       役員の人事処分に係るルールを策定し、社内規定に明記する。


 ③ コンプライアンス等に係るトレーニング、研修の強化(一部実施済。2020 年 6 月末までに、速
 やかに)
       企業経営の刷新に向け、まず、役員が自らを磨き格別に高い行動規範を堅持するため、社
       外の有識者と定期的に(四半期に1度程度)議論する場を設ける、役員就任時に専用のカリ
       キュラムを整える等、トレーニングの強化を図る。
       あわせて、従業員についても、従前の研修体系をさらに強化し、当社グループのコンプラ
       イアンス意識の継続的な向上を図る。

                           6
3.工事の発注・契約に係る業務の適切性及び透明性を確保するための業務運営体制の確立
 地元を重視する施策に関するルールが十分でなく、手続きに適切性、透明性が欠如していた、また、
誤った「地元重視」がもたらす弊害についての認識が甘かったとの指摘を踏まえ、工事の発注・契約
等に係るルールを明確化するとともに、その手続きについて、工事等を所管する部門が自ら審査、次
いで、調達部門が契約に係る専門的知見から社内ルールに従い審査、さらに、「調達等審査委員会」
が外部の専門家の視点で事後審査する仕組みを構築することにより、工事の発注・契約等に係る業務
の適切性、透明性を確保してまいります。あわせて、寄付金・協力金に係る業務の適切性、透明性を
確保してまいります。
 また、長期的には、こうした取組みを通じて、地域共生の効果が公平に行きわたり、地域の活性化
や地域企業の競争力向上に貢献できるよう努めてまいります。


(1)工事の発注・契約手続き等に係る仕組みの見直し(2020 年 6 月末までに、速やかに)
 ① 実施権限と契約権限の分離
       工事の発注・契約等に係る牽制機能強化のため、事務用品の購入やシステム開発等の高度
       に専門性の高い委託業務等を除き、工事等所管部門が有している契約権限を、調達部門に移
       管する。


 ② 「調達等審査委員会」の新設
       工事の発注・契約手続き等および寄付金・協力金拠出手続きの適切性、透明性確保のため、
       外部の専門家が事後審査する「調達等審査委員会」を新設する。
       委員会は、弁護士、公認会計士等有識者からなる複数の社外委員と、コンプライアンス推
       進室を担当する役員を含む社内委員で構成し、当面の間、毎月開催する。
       所管部門は、工事の発注・契約等および寄付金・協力金の全件を委員会に提出し、委員会
       は抽出した案件について、社内ルールに基づき業務が適切に執行されているかの審査を行
       う。委員会は、必要に応じ所管部門に対して指導、助言するとともに、審査概要を公開する。
       委員会は、審議内容をコンプライアンス委員会および取締役会に報告し、必要に応じ、そ
       の指導、助言、監督を受ける。


(2)工事の発注・契約手続き等に係る不適切な運用の禁止(2020 年 6 月末までに、速やかに)
  特定の個人や企業の不当な要求に応じ、工事の発注・契約手続き等を進めるという不適切な運用
 を禁止するために、以下の点について、社内ルールの見直しを行い、厳正化を図るとともに、調達
 等審査委員会において、その適切性の評価を受けることとします。
 ① 特定の個人や企業のみを対象とした工事の発注・契約等に係る事前情報提供の禁止
       競争発注を形骸化させることがないよう、特定の個人や企業に対してのみ便益を供する
       ような、工事の発注・契約等に関する情報の事前提供は行わない。


 ② 事前発注約束につながる個別の工事の発注・契約等に係る金額の開示の禁止

                        7
       事前発注約束につながらないよう、個別の工事等あるいは年度ごとの発注予定額に見合
       う工事等について、いかなる個人や企業に対しても、事前の金額(予算額、契約予定金額)
       の開示は一切行わない。


 ③ 元請会社の工事の発注・契約等に対する不適切な関与の禁止
       特定の個人や企業に対して、間接発注を通じて便益を供するような情報提供を行わない
       とともに、元請会社が下請会社を選定するにあたり、当社から特定の個人や企業に対しての
       み便益を供するような不適切な関与をしない。


 ④ 特定の個人や企業に対する合理性のない特命発注の禁止
       特定の個人や企業に対してのみ便益を供するような、合理的な理由のない特命発注は行
       わない。


 ⑤ 寄付金・協力金の不透明な拠出の禁止
       個人が他用途に利用することが可能な口座への拠出等がされないよう、寄付金・協力金の
       支出にあたっては、相手方、資金使途を明確化する。


(3)子会社からの発注の透明性確保(2020 年 6 月末までに、速やかに)
       (2)について、子会社においても、厳正化を図る。
       当社が子会社に発注する案件について、調達等審査委員会の委員が審査の対象とした場
       合、当該案件に係る子会社からの発注についても、審査対象とする。


(4)不適切な事象が判明した取引先への厳正な対処(2020 年 6 月末までに、速やかに)
       第三者委員会の調査により不適切な事象が判明した会社に対して、指名停止を含む厳正
       な取引先措置を実施するとともに、コンプライアンス推進体制の再構築や不適切な行為の
       禁止等の再発防止策を求め、その内容を報告させる。
       今般、不適切な事象が判明した取引先に対して、今後、発注を行う場合には、調達等審査
       委員会において、委員がその全件を抽出し審査を行うことで、透明性を高める。


4.上記を確実に実行し、定着を図るための新たな経営管理体制の構築
(1)外部人材を活用した実効的なガバナンス体制の構築(2020 年 6 月末目途)
  長年にわたり、役員等幹部が、特定の地元有力者との間で、金品受取りや工事の発注・契約等に
 係る事前情報提供を行うなど不適切な関係の是正が図られず、また、社内調査について取締役会へ
 の報告がなされないなど、当社のガバナンスは機能不全に陥っていました。その根本原因は内向き
 の企業体質にあるとの第三者委員会の指摘を踏まえ、取締役会の監督機能を強化すべく、執行と監
 督を明確に分離し、外部の客観的な視点を重視した実効的なガバナンス体制を構築いたします。
  また、退任役員に対する報酬について、修正申告に係る追加納税分の補填趣旨が含まれ正当性は
 認めがたいとの指摘にあわせて、過去の経営不振時の役員報酬カットに対する補填の趣旨も指摘

                        8
されております。これらを経営トップが独断で決定したとの指摘も踏まえ、報酬決定プロセスの客
観性を高めてまいります。


① 企業統治形態の見直し
      指名委員会等設置会社への移行に向けた検討および準備を開始する。
      本見直しを含め、実効的なコーポレートガバナンスに資する考え方や方針を示した、コー
      ポレートガバナンス・ガイドラインを策定する。


② 外部の客観的な視点を重視した監督機能の強化
      指名委員会、報酬委員会および監査委員会の法定 3 委員会は、それぞれ過半数の社外取
      締役から構成することに加え、取締役会議長を務める取締役会長は社外出身者、法定 3 委
      員会の委員長は社外取締役がそれぞれ担う方向で、準備を開始する。
      役員の人事処分については、指名委員会および報酬委員会における審議を経て、取締役会
      で決定することとし、客観性を確保する方向で検討する。
      役員退任後に相談役、顧問、嘱託等を委嘱する場合、その委嘱の要否および報酬について
      は、指名委員会および報酬委員会における審議を経て、取締役会で決定することとし、客観
      性を確保する方向で検討する。


③ 監査機能の強化
      過半数の社外取締役で構成し、社外取締役が委員長を担う監査委員会が、主体的に監査で
      きる体制に向けた検討および準備を開始する。
      社外取締役である委員長が、コンプライアンスを含め、様々な案件について主体的に調査
      し、取締役会に報告する仕組みとし、
                      「コンプライアンス委員会」とあわせ、社長等執行に
      対して、複眼的な監査、監督が行われるよう、現行の体制を改める。
      監査委員会が監査の前提となる情報収集を適時かつ網羅的に行えるようサポートする事
      務局を設置する。なお、そのスタッフは、多様な職歴を有する者で構成する。


       【
       「外部人材を活用した実効的なガバナンス体制」のイメージ】




                       9
(2)原子力事業本部に対する実効的なガバナンス体制の構築
  本件金品受領行為及び本件事前発注約束等の大半が原子力事業本部(以下、
                                   「本部」という。
                                          )に
 おいてなされ、複数の本部長や歴代の幹部が脈々と引き継ぎ、是正できず、また、本部の美浜町移
 転を機に本件事案が加速したと第三者委員会から指摘されております。さらに、その背景として、
 技術的に特殊である、政治・社会問題になりやすい、再稼動等が経営に絶大な影響を与えるという
 点においても、本部は当社の中で特殊性を有しており、その特殊性に起因して組織が閉鎖的にな
 り、正しい意見が実現しづらくなっていたこと、および、そうした組織の閉鎖性を打破できない等、
 本部に対するガバナンスが不十分であったことも指摘されております。
  それらを踏まえ、
         「外部人材を活用したコンプライアンス機能の強化(前述2(1)」「工事の
                                       )、
 発注・契約に係る業務の適切性及び透明性を確保するための業務運営体制の確立(前述3)」を含
 め、健全なガバナンスの効いた組織、風通しの良い組織になるよう、本部に対する実効的なガバナ
 ンス体制を構築いたします。


 ① 原子力事業本部に対する牽制と支援の強化
  a. コンプライアンスを所管する本部長代理等の設置(2020 年 6 月末目途)
       コンプライアンスに係る牽制と支援を強化するために、本部に常駐する職位として、コン
       プライアンスおよび管理部門を所管する本部長代理を設置する。
        本部長代理は、コンプライアンス推進状況について、コンプライアンス推進室を担当する
       役員およびコンプライアンス委員会に定期的に、また問題事象発生の際は機動的に報告し、
       その指導、助言、監督を受ける。あわせて、取締役会長に、コンプライアンスに係る職務遂
       行の状況を、定期的また機動的に報告し、指導、監督を受ける。
        さらに、監査委員会スタッフとして、本部に常駐する監査特命役員を任命し、本部への監
       査機能の強化を図る。


  b. 主要会議への他部門の役員の参画(2020 年 6 月末までに、速やかに)
       事業全般に対する牽制と支援を強化するために、本部における主要な会議に、経営企画、
       経理、人財・安全部門等他部門の役員が参画する。


 ② 風通しの良い組織の創生に向けた取組み(2020 年 6 月末までに、速やかに)
  a. 取締役会等の原子力事業本部(美浜町)での開催
       本部の役員および従業員と社外を含む他部門の役員との距離的な隔たりを縮めるために、
       取締役会、コンプライアンス委員会、原子力安全推進委員会等を、定期的に、美浜町所在の
       本部において開催する。


  b. 社外を含む役員による、原子力事業本部メンバーとの定期的な対話
       組織の閉鎖性を払拭するために、会長、社長をはじめ社外を含む他部門の役員が、本部の
       幅広い層と、定期的に対話する機会を設ける。

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       c. 他部門等との人材交流の推進
            将来の原子力事業を担う人材が、
                           「ユーザー目線」で深く考え、行動し続け、組織の閉鎖
            性を払拭することができるよう、原子力事業以外の部門や社外での経験を付与するととも
            に、原子力事業以外の人材の受入れをより一層進め、こうした積極的な人材交流により、原
            子力事業以外を経験した人材が、本部の役員等幹部の過半数を占めることを目指す。


 5.関西電力送配電株式会社における再発防止方策の実施
      本年 4 月に事業を開始する関西電力送配電株式会社においても、2および3の取組みについて、
  その趣旨に沿った具体的方策を実施してまいります。4(1)については、当社が、株主としての権
  利を有する関係において、適切なガバナンスを実現してまいります。


B.再発防止策の実効性を担保する審査、検証
  再発防止策の実施にあたっては、移行を検討している指名委員会等設置会社の取締役会、新設するコ
 ンプライアンス委員会等において、外部人材が中心となって組織的に検証することとし、必要に応じて
 追加的な改善策を策定し、あるいは修正を加え、実施してまいります。
      本改善計画の実施状況は、関西電力送配電株式会社の取組みも含め、経営企画室を担当する役員
      が、新設するコンプライアンス委員会の指導、助言、監督を踏まえ、取締役会に報告する。取締役
      会は、改善策の実効性を確認し、必要に応じて追加的な改善策の策定あるいは修正を指示する。な
      お、コンプライアンス推進室の発足後は、2(1)については、同室を担当する役員が取締役会へ
      の報告を担うこととする。


むすび
  当社は、
     「今回生まれ変わらなければ、明日の関西電力はない」という覚悟と、過去と訣別し全く新
 しい関西電力を創生していくとの不退転の決意で、経営刷新に取り組み、信頼回復に全力を尽くしてま
 いります。
  当社は、本改善計画を速やかに実施するとともに、6 月末までに、具体的施策の決定およびその実行
 の状況について報告してまいる所存ですので、よろしくお願い申し上げます。


                                                 以   上




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