9503 関西電力 2020-03-14 18:00:00
電気事業法第106条第3項に基づく報告について [pdf]

                                             2020 年 3 月 14 日


各   位
                               会 社 名 関西電力株式会社
                               代 表 者 名 取締役社長 森本 孝
                               (コード:9503 東証第一部)
                               問 合 せ 先 経理部長 坂田 道哉
                               T E L 06-6441-8821



             電気事業法第 106 条第 3 項に基づく報告について




                                                2020年3月14日
経済産業大臣
 梶山 弘志 殿
                                           関西電力株式会社
                                            取締役社長 森本 孝



             電気事業法第106条第3項に基づく報告について



 電気事業法第106条第3項に基づき、当社の役職員が福井県高浜町の元助役から多額の金品を受領し
ていたという事案に関して、事実関係、原因究明を行った結果、他の類似の事案の有無について、文書
で報告するよう求められておりました(2019年9月27日)が、下記の通り、報告致します。
 報告にあたっては、第三者委員会を設置(2019年10月9日)し、事実関係及び原因の解明のため、客
観的かつ徹底的な調査を実施致しました。本日、第三者委員会から調査報告書を受領しておりますの
で、添付の通り、報告致します。
                           記


以下の報告は、第三者委員会の調査報告書に基づき、当社がその理解により、取り纏めたものです。


1.当社の役職員が福井県高浜町の元助役から多額の金品を受領していたという事案に関する事実関
係
(1)金品受領
    ①発電事業関係(*1)
     ・原子力事業本部等の役職員合計75名(*2)が、森山氏及び森山氏と一定の関係を有すると認め
      られた企業(以下、本件取引先等という)から、総額約3億6000万円相当(*2)の金品を受領。
     ・金品受領は、1987年の森山氏の高浜町助役退任直後から始まり、1990年代、2000年代、2010
      年代と満遍なく認められた。
     ・受領者は、原子力部門の重要な役職者を中心としつつ、工事発注に関係のある部署の役職員
      等多岐にわたる。
     ・東日本大震災以降、原子力発電所の新規制基準対応等から、原子力発電所における工事発注
      の増加と時期を同じくして、金品を受領した役職員数や受領する金品の額も大きく増加。
     ・1回当たりの受領額は数万円~数十万円程度であった者が多いが、原子力事業本部の一部の
      幹部については、500万円や1000万円といった高額の金品を受領することもあり、総額も数
      千万円から1億円強と極めて高額の金品を受け取っていた。
     ・森山氏らから金品を受領した役職員の多くは、受領した金品と同額相当の品物を購入し、そ
      れを森山氏に贈ることで金品相当額を返却していた。
     ・頻度は多くはないが、本件取引先等から直接金品が提供されることもあり、当該企業がその
      原資の拠出者であったと認められる。
     ・森山氏が金品提供者の場合も、森山氏は本件取引先等の一部から、報酬等の名目で多額の金
      銭を受領しており、これら報酬等が原資の一部となっていたと評価する方が実態に合うと考
      えられる。
     ・森山氏による金品提供の意図・目的は、その見返りとして、自分の要求に応じて自分の関係す
      る企業への工事等の発注をさせ、そのことによって、本件取引先等から経済的利益を得ると
      いう構造、仕組みを維持することが主たる目的であったと認められる。
     (*1)
        発電事業関係には、原子力事業本部に加え、本件問題に関わりの深い京都支社、当社子会
        社を含む。
     (*2)
        一般送配電事業関係記載の受領者5名、受領額480万円を含む。


    ②一般送配電事業関係
     ・電力システム技術センター(2003年6月の組織改正以前は中央送変電建設事務所)の役職員合
      計5名が、森山氏から、総額480万円相当の金品を受領。
     ・1990年代後半に中央送変電建設事務所の幹部が、役員を通じて、森山氏から挨拶をしたいと
      の申し入れを受けて面談し、森山氏の合図を受けた同席の本件取引先等の役員から50万円分
      の金品を受領した。
     ・以降、中央送変電建設事務所の幹部が、就任挨拶、工事の概要説明等のため、森山氏と面談し
      た際、数十万円~100万円程度の金品を受領することがあった。
 ③小売電気事業関係
  ・森山氏及び本件取引先等からの社会的儀礼の範囲を超える継続的な金品受領は認められなか
   った。


(2)工事発注
 ①発電事業関係
  ・当社の役職員は、森山氏に対し、個別の工事等や発注予定額に見合う工事等を発注すること
   を約束し、実際に当該約束に従って発注を行っている場合もあった。また、現在または将来の
   工事等に関する情報(案件名や工事概算額等)を伝えていた(以下、
                                 「本件事前発注約束等」
   という)
      。
  ・本件事前発注約束等は、特命発注案件に関して、当社の発注プロセスの適切性や透明性等を
   ゆがめる行為であり、ひいては当社の利益をも損なわせるおそれをはらんでいる。なお、特命
   発注案件の発注金額については、不合理であったとまでは認められるに至らなかった。
  ・競争発注案件に関しては、現在または将来の工事等に関する情報の提供が有利に働き、その
   結果、競争発注が不適切になっていた面がある。また、競争発注が一部で形骸化していた可能
   性がうかがえる。


 ②一般送配電事業関係
  ・当社役職員は、本件事前発注約束等を行うとともに、森山氏の要求に応じ、元請会社から本件
   取引先等に対する発注金額を当初の金額から増額することを約束していた。当該行為は、当
   社の発注プロセスの適切性や透明性等をゆがめる行為であり、ひいては当社の利益をも損な
   わせるおそれをはらんでいる。なお、発注金額については、不合理であったとまでは認められ
   るに至らなかった。


 ③小売電気事業関係
  ・特に問題になる事実は認められなかった。


(3)本件発覚後の対応
 ・国税局の本件取引先等の1社に対する税務調査開始まで、当社が会社として、本件について、組
  織的な対応、論議を行うことはなかった。
 ・2018年2月、金沢国税局による当社役職員に対する事情聴取が行われたことを受けて、当社は社
  内調査の実施を決定し、6月に社内調査委員会を設置、9月に社内調査報告書を作成した。
 ・会長、社長は相談役と相談し、取締役会への報告も社外取締役を含む個別の取締役への報告も
  行わなかった。
 ・金沢国税局への最後の報告が完了してから約2カ月経過後に執行部から監査役への報告が行わ
  れた。
 ・監査役は本件を取締役会に報告しなかった。
 ・本件の公表の要否・適否が取締役会で議論されず、公表が行われなかった。
 ・金品受領者について、情報提供ないし明示的な議論をしないままに、取締役等に選任する議案
  を株主及び取締役に決議させた。
 ・金品受領者の一部は、受領した金品の修正申告を行ったが、会長、社長は相談役と話し合って、
  追加納税負担分の補填を決めた。
2.当社において原因究明を行った結果
(1)金品受領行為及び発注行為に関する原因
 ・本件問題に関わった当社の役職員において、業績や事業活動をコンプライアンスに優先させる
  べきではないという意識を欠いたこと
 ・経営陣が、勇気をもって本件問題と正面から向き合い、是正する決断力を欠いたこと
 ・透明性を欠く誤った「地元重視」が問題行為を正当化していたこと
 ・原子力事業本部が閉鎖的で、同本部に対するガバナンスが不足していたこと


(2)本件問題発覚後の問題点に関する原因
 ・不正・不祥事を直視し、是正していくべきガバナンス機構を構成する機関、所属員が、その責任
  を全うせず、社会や顧客が本件問題をどのように捉えるかという視点を持てなかったこと


(3)当社に蔓延る内向きの企業体質(ユーザー目線の欠落と透明性の軽視)
  ・コンプライアンスよりも事業活動が優先されてしまう、また、ユーザーや社会一般の視点が欠
  落してしまうという内向きの企業体質が、根本的問題であったこと



3.他の類似の事案の有無
  添付した調査報告書の別紙4-1-2-2に記載されている金品受領当時の所属に記載されている所属
 及び子会社以外の当社の他部門(火力事業本部及び水力事業本部を含むがそれに限られない。
                                          )及
 び当社の子会社においては、森山氏及び本件取引先等からの社会的儀礼の範囲を超える継続的な
 金品受領は認められず、また、これと類似するコンプライアンス上問題のある金品受領は認めら
 れなかった。



                                            以 上