9503 関西電力 2021-09-14 15:00:00
送電線に近接する樹木の保安伐採業務における不適切な処理の判明について [pdf]

                                       2021 年 9 月 14 日


 各   位
                           会 社 名 関西電力株式会社
                           代 表 者 名 代表執行役社長 森本 孝
                           (コード:9503 東証第一部)
                           問 合 せ 先 経理部長 上西 隆弘
                           T E L 050-7105-9084


     送電線に近接する樹木の保安伐採業務における不適切な処理の判明について


関西電力株式会社(以下、関西電力)のグループ会社である関西電力送配電株式会社(以下、関西
電力送配電)の大阪南電力本部において、送電線に近接する樹木の保安伐採業務※で、不適切な処理
をしていたことが判明しました。


 ※法令(電気設備技術基準)に基づき、送電線と樹木の離隔を保持するため、樹木所有者(地権者)に承諾を
 得た上で協力会社に伐採業務を委託するとともに、地権者に補償費を支払っている。


 本件は、他部門の担当者が、2021年6月、別の業務で地権者と交渉を行った際に、同年4月に
実施された保安伐採業務の処理について不審に思ったことを端緒に調査を進めた結果、以下の不適切
処理が判明したものです。
 保安伐採業務の交渉担当者は、地権者と保安伐採の交渉を行った際に、社内基準の補償額では地権
者の承諾を得られなかったことから、実際には伐採していない樹木も含めた補償額を支払っていまし
た。また、伐採を実施する委託先(株式会社かんでんエンジニアリング)には、伐採していない樹木
を伐採したとの虚偽の報告をするよう指示し、過大な委託費を支払っていました。


 上記を受け、大阪南電力本部において、同年6月~8月にわたって、過去10年分の調査(関西電
力送配電の社員が交渉した全585件の書類調査、関係者32名へのヒアリング)を行ったところ、
同様の不適切な処理6件(上記を含む)を確認しました。


 本件については、昨日までに関西電力送配電および関西電力のコンプライアンス委員会へ報告し、
本日経済産業省へ報告しました。


 今回の事態について、重く受け止めており、心からお詫び申し上げます。


今後、関西電力のコンプライアンス委員会が主体となり、客観的かつ徹底的な調査、原因究明を
実施します。関西電力グループとして、本調査に全面的に協力するとともに再発防止に全力を尽く
してまいります。
                                                 以 上
別紙:本件に関する経緯および調査結果等
 本件に関する経緯および調査結果等(1/3)                     別紙     1


1.保安伐採業務の概要
○架空送電線路付近の樹木は法令に基づき、送電線か
 ら一定の離隔※を保持する必要があります。
○このため、送電線に近接する樹木は、その生長を考慮し
 ながら、樹木所有者(地権者)に承諾を得たうえで、
 伐採を行っています。
   ※ 法令(電気設備技術基準)に基づく送電線と樹木との離隔
        77kV : 2.24m
       275kV : 3.98m
       500kV : 5.30m
                                  保安伐採イメージ(作業後)



2.不適切な処理が判明した経緯
○2021年4月に大阪南電力本部管内において委託先である株式会社かんでんエンジニアリ
 ング(以下、かんでんエンジニアリング)が保安伐採を実施しました。
○同年6月に同場所において電線張替工事を実施するため他部門の担当者が地権者と伐採交
 渉を実施した際に、4月に行われた保安伐採の内容について不審な点があったことから、調査を
 行ったところ、不適切な処理が行われていることが判明しました。
 本件に関する経緯および調査結果等(2/3)                                       2

3.大阪南電力本部による調査結果
大阪南電力本部において、2021年6月~8月にわたって、同電力本部および各電力所の
役職者が相互に過去10年分の書類調査(関西電力送配電の社員が交渉した全585
件)および当該業務に関わっていた関係者(32名)へのヒアリング調査を実施した結果、本
件を含む合計6件の不適切な処理を確認しました。 また、このうち1件(不適切処理が判明
した前項記載の件)については、不適切処理の報告を受けた上司が是正に向けた対応を取らな
かったことも確認しました。具体的内容は以下のとおりです。
                不適切処理①                  不適切処理②
       ・実際には伐採作業をしていない樹木を伐採し     ・伐採作業の実態がないにも関わらず、関西電
内 容     たことにして、補償費および委託費を支払って     力送配電の直営工事で樹木伐採をしたこと
        いた。                       にして、補償費を支払っていた。
       A :実際に伐採した範囲                :補償対象範囲(初回のみ伐採)
       B :未施工範囲




            A            B
イメージ


                                 ・初回は委託工事により実際に伐採し、社内基準
       ・実際にはAしか伐採していないが、A+Bの補償    に基づく補償費を支払った。
        費、委託費を支払った。              ・2回目以降は、現地に樹木がなかったが、直営
                                  工事により伐採したことにして、補償費を支払った。
 本件に関する経緯および調査結果等(3/3)                             3

3.大阪南電力本部による調査結果(続き)
                                       不適切処理金額
           件 数          時 期
                                      補償費   委託費
  不適切処理①   4件      2017年5月~2021年5月   254万円 371万円
  不適切処理②   2件      2017年2月~2021年6月   376万円   -
                 合 計                 630万円 371万円

4.再発防止の方向性
再発防止の方向性の検討については、今後の調査結果を踏まえる必要があると考えていますが、
現時点において、社長メッセージの発信、各職場での対話活動等を通じたコンプライアンス意識の
さらなる醸成・徹底、健全で風通しの良い職場風土づくり等にすみやかに取り組みます。


5.今後の予定
        関西電力コンプライアンス委員会による調査
 調査体制
         委員長 中村 直人弁護士(中村・角田・松本法律事務所)他
        (1)本件に関する調査、原因究明、再発防止対策の提言
        (2)関西電力送配電における同種事例に関する調査
 調査事項
        (3)その他同種事例に関する調査
        ※具体的な調査範囲については、関西電力のコンプライアンス委員会が決定