9503 関西電力 2020-10-13 17:45:00
電気事業法に基づく業務改善計画の実行状況の報告について [pdf]
2020 年 10 月 13 日
各 位
会 社 名 関西電力株式会社
代 表 者 名 代表執行役社長 森本 孝
(コード:9503 東証第一部)
問 合 せ 先 経理部長 坂田 道哉
T E L 06-6441-8821
電気事業法に基づく業務改善計画の実行状況の報告について
当社は、本年3月、経済産業大臣から電気事業法に基づく業務改善命令を受領しました。
その後、再発防止対策を取りまとめた業務改善計画を同年3月30日に提出し、業務改善計画に基づ
く再発防止に向けた具体的施策の決定およびその実行状況を6月29日に経済産業大臣に報告しました。
[2020年3月16日、30日、6月29日お知らせ済み]
当社は、本日、改めて業務改善計画に基づく再発防止に向けた具体的施策の決定およびその実行状況
を経済産業大臣に報告しました。
今後も取組みを確実に実行するとともに、外部の客観的な視点を踏まえ実行状況を検証し、必要に応
じて改善策を加えるなど、引き続き、新たな関西電力の創生に向け、全力で取り組んでまいります。
以 上
添付資料:業務改善計画に係る具体的施策の決定・実行状況の報告について
2020 年 10 月 13 日
経済産業大臣
梶山 弘志 殿
関西電力株式会社
執行役社長 森本 孝
関西電力送配電株式会社
取締役社長 土井 義宏
業務改善計画に係る具体的施策の決定・実行状況の報告について
本年 3 月 30 日提出の業務改善計画に基づく、再発防止に向けた具体的施策の決定およびその実行の状
況について、別紙のとおり報告いたします。
以 上
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別紙
業務改善計画に係る具体的施策の決定・実行状況
A.再発防止のための具体的方策
以下、特に記載のあるものを除き、
1、6については、関西電力株式会社(以下、関西電力という)および関西電力送配電株式会社(以
下、関西電力送配電という)、
2、3、4については、関西電力、
5については、関西電力送配電 を対象とした内容です。
1.今回の処分を踏まえた役職員の責任の所在の明確化
業務改善命令の指摘を真摯に受け止め、再発防止に責任をもって取り組むにあたり、第三者委員会
の調査報告内容に基づき、以下のとおり責任の所在を明確にしました。
(1)経営責任(3 月 14 日付)
① 辞任
業務改善計画に記載のとおり、代表取締役社長の岩根茂樹、元代表取締役会長で相談役の森
詳介、前代表取締役会長で嘱託の八木誠、および元代表取締役副社長執行役員で嘱託の豊松秀己
が辞任済みです。
また、元常務取締役 1 名が、同日付で子会社嘱託を辞任済みです。
② 報酬の返上
業務改善計画に記載のとおり、以下実施済みです。
代表取締役副社長執行役員 土井 義宏 月額の20% (3ヶ月)
代表取締役副社長執行役員 森本 孝 月額の20% (3ヶ月)
代表取締役副社長執行役員 彌園 豊一 月額の20% (3ヶ月)
代表取締役副社長執行役員 稲田 浩二 月額の20% (3ヶ月)
代表取締役副社長執行役員 松村 孝夫 月額の20% (3ヶ月)
取締役常務執行役員 島本 恭次 月額の20% (3ヶ月)
(2)新社長の就任(3 月 14 日付)
業務改善計画に記載のとおり、森本孝が代表取締役社長に就任しています。
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(3)主な行為態様別の責任(3 月 30 日付)
① 金品受領および事前発注約束等
a.辞任
業務改善計画に記載のとおり、前代表取締役副社長執行役員で嘱託の森中郁雄、および前
常務執行役員で嘱託の右城望、鈴木聡、大塚茂樹が、それぞれ 3 月 30 日をもって辞任済みで
す。
b.報酬の返上
業務改善計画に記載のとおり、以下実施済みです。
常務執行役員 福田 隆 月額の50%(6ヶ月)
執行役員 2 名 月額の10%(3ヶ月)~月額の10%(1ヶ月)
c.その他
業務改善計画に記載のとおり、理事・従業員 4 名について、上記に準じて実施済みです。
d.当社退任・退職済みの元役員・従業員に対する要請
業務改善計画に記載のとおり、元役員(執行役員以上)12 名、元理事・従業員 37 名について、
相当額の報酬の自主返納の要請を行い、順次返納を受けています。
e.子会社役員等の責任
業務改善計画に記載のとおり、金品受領行為等の責任の所在を明確化するよう、業務改善計
画提出後速やかに子会社等に対する厳正な指導を実施しました。
(なお、第三者委員会の調査
報告書では、子会社等のみで金品を受領したとされる者は 11 名。
)
② 社内調査、事後対応、退任役員に対する報酬
a.報酬の返上
業務改善計画に記載のとおり、以下実施済みです。
執行役員 月山 將 [前・総務室担当常務] 月額の50% (3ヶ月)
常務執行役員 廣田 禎秀 [社内調査委員] 月額の20% (3ヶ月)
b.当社退任済みの元役員に対する要請
業務改善計画に記載のとおり、以下の者に対し、相当額の報酬の自主返納を要請し、返納
が完了しています。
前副社長 1 名 [前・取締役、社内調査委員] 月額の50% (3ヶ月)
③ その他
業務改善計画に記載のとおり、コンプライアンスおよび工事発注・契約業務を所管する常務
執行役員について、以下の報酬返上を実施済みです。
常務執行役員 西澤 伸浩 [調達本部長] 月額の10% (3ヶ月)
常務執行役員 岡田 達志 [総務室担当] 月額の10% (3ヶ月)
常務執行役員 水田 仁 [原子力事業本部長代理] 月額の10% (3ヶ月)
常務執行役員 多田 隆司 [土木建築室担当] 月額の10% (3ヶ月)
3
(4)嘱託等報酬の件
業務改善計画に記載のとおり、修正申告に係る追加納税分の補填趣旨や過去の経営不振時の
役員報酬カットに対する補填が認められた、18 名の退任役員に対する嘱託等報酬の総額約 2.6
億円について自主返還を要請し、全額の返還が完了しています。
なお、本件については、8月17日にコンプライアンス委員会から「本件に類似する事案が他
に存在したとは認められない」との調査結果の報告を受け、公表しました。
(5)監査役の報酬返上
業務改善計画に記載のとおり、監査役より、以下の報酬返上を実施済み、また自主返納が完
了している旨の報告を受けています。
常任監査役 八嶋 康博 月額の50% (3ヶ月)
常任監査役 樋口 幸茂 月額の30% (3ヶ月)
常任監査役 杉本 康 [2019 年 6 月就任] 月額の20% (3ヶ月)
前監査役 1 名 [2019 年 6 月退任]に対する自主返納要請 月額の10% (3ヶ月)
2.健全かつ適切な業務運営に取り組むための法令等遵守体制の抜本的な強化並びに法令等遵守を重
視する健全な組織風土の醸成
今般の事案においては、役員自ら社会的儀礼の範囲を超える金品を受領していました。原子力事業
本部の幹部を経験した役員は、少なくとも自らが受領していた範囲では、法令や社会規範に照らし、
許されざる状況であることは十分理解できたはずであり、組織として対応策を検討し実行する決断
をすべきところ、長年、個人に対応を任せるという不適切な判断を行ってきたとの第三者委員会の指
摘を踏まえ、法令等遵守(以下、
「コンプライアンス」という。 体制の抜本的な強化を図っています。
)
また、コンプライアンスよりも事業活動が優先されてしまう、ユーザーや社会一般の視点が欠落し
てしまうという内向きの企業体質が、今般の事案の根本的問題であるとの指摘を踏まえ、このような
企業体質を是正し、コンプライアンスを重視する健全な組織風土の醸成に取り組んでいます。
(1)外部人材を活用したコンプライアンス体制の再構築
① 「コンプライアンス委員会」「コンプライアンス推進室」の新設
、
a.「コンプライアンス委員会」の新設
コンプライアンスに係る監督機能を強化するために、社長等執行から独立した「コンプ
ライアンス委員会」を、取締役会直下の委員会として新設しました(4月28日)。
委員会は、当社グループのコンプライアンス推進に係る指導、助言、監督を担うととも
に、コンプライアンス推進に係る基本方針や、役員に関する問題事象の対処方針など、特
に重要なものについて、審議、承認します。また、社長等執行に対して必要に応じ直接指
導、助言、監督するとともに、取締役会に定期的に報告を行います。
委員長は社外委員とし、過半数を社外委員で構成しています。社外委員は、コンプライ
アンスや企業倫理等に精通し、豊富な実務経験・知見を有する方から人選を行いました。
4
社内委員は、関西電力および関西電力送配電において委員会の決定内容を着実に実行し
ていくため、それぞれの社長を選任しました。なお、コンプライアンス推進室担当役員は、
委員会の運営を担う幹事を務めます。
(委員一覧)
委員長 : 中村 直人 弁護士
社外委員 : 松山 遙 弁護士
中谷 常二 近畿大学教授
社内委員 : 関西電力株式会社 執行役社長 森本 孝
関西電力送配電株式会社 取締役社長 土井 義宏
委員会は、5月18日、6月12日に、コンプライアンスの体制強化と意識の醸成・徹
底に向けた今後の取組み事項・進め方、コンプライアンス推進に係る基本方針の見直しの
方向性、業務改善計画の進捗状況等について審議を行い、承認しました。7月22日に、
子会社における金品受取りの新たな事実の判明に伴う追加調査に関して指導・助言を行
いました。その後、8月17日に、役員退任後の嘱託等の報酬に関する調査報告書につい
て、10月6日に、子会社における金品受取りの新たな事実を踏まえた追加調査の結果に
ついて、また、10月12日に、原子力部門におけるコンプライアンスの取組み状況、業
務改善計画の進捗状況等について審議を行い、承認しました。
社長を含む社内委員の直接行為が関係する問題事象について、当該社内委員は審議の
場から退席することを社内規定に明記しました(4月28日)。
なお、委員会は本改善計画について、今般の事案に係る再発防止策の審議・調整を担う
経営刷新本部(本部長:社長、設置期間:3月14日~6月29日)から、6月12日に
報告を受け、実施や検討の状況等を検証し、次の通り指導・助言を行いました。また、そ
の旨を6月25日の取締役会に報告しました。
『・ 業務改善計画に掲げた具体的な対策を、着実に実行していると評価
・ これまでの価値観の抜本的な見直しを、全役職員の内面にまでしっかり浸透させ
ることは、長い時間がかかる。全員が一致して同じ課題意識と当事者意識を持ち続
け、新しい価値観を確固たるものにしていくために、不断の努力が必要
・ 今後、個別具体的な改革を実行しながら、より良い会社とは何か、誇りの持てる良
い仕事とは何か、という根本的な問いを常に持ち続けることが必要。そのために、今
後も息の長い活動をしていくべき 』
その後、7月以降の業務改善計画の進捗状況について、経営企画室を担当する役員から
10月12日に報告を受け、実施や検討の状況等を検証し、その旨を10月13日の取締
役会に報告しました。
b.「コンプライアンス推進室」の新設
コンプライアンスに係る推進機能を強化するために、
「コンプライアンス推進室」を総
務室から独立した組織として新設しました(4月10日)。同室は、法的知見を有するス
タッフの他、企画、人事労務、技術系部門等、多様な職歴を有するメンバーで構成してい
5
ます。
c.「コンプライアンス委員会」と「コンプライアンス推進室」との連携
当社グループのコンプライアンスに係る諸事象について、コンプライアンス推進室が
コンプライアンス委員会に報告し、その指導、助言、監督を受けることを、社内規定に明
記しました(4月28日)
。
コンプライアンス推進室を担当する役員は、定期的に、コンプライアンスの推進状況を
コンプライアンス委員長に報告し、指導、助言、監督を受けることを、社内規定に明記し
(4月28日)、委員会新設以降、5月21日、6月19日、6月23日、8月21日、
9月16日に報告を行いました。
② 問題事象発生時の報告体制の整備
問題事象が発生した部署は、コンプライアンス推進室に速やかに報告すること、同室
は、コンプライアンス上、適切に当該事象に対処するとともに、コンプライアンス委員会
へ報告し、指導、助言、監督を受けることを、社内規定に明記しました(4月28日)。
指名委員会等設置会社へ移行(後述4(1)
)し、監査委員会が管下スタッフを直接指
揮して監査を行い、コンプライアンス委員会の監督とあわせ、複眼的に監督、監査できる
体制としました。
【 内部通報・相談の仕組みの充実 】
役員、従業員および社外の関係者からの内部通報・相談の仕組みについて、
次の点を社内規定に明記し、充実を図りました(6月29日)。
・必要に応じ専門弁護士が対応し、弁護士自らの判断でコンプライアンス委員
会あるいは監査委員会に対処を求め、実効的措置を講じることができるこ
と
・コンプライアンス上問題となる事象に係る、役員の報告義務および報告先
(コンプライアンス委員会および取締役会議長)を明確にしたこと
・同事象に係る、従業員の上司への報告義務、窓口の活用慫慂
「コンプライアンス相談窓口」について、秘密保持や通報者・相談者に不利益
がないことを、役員からのメッセージを通じて繰り返し周知、徹底するなど、
その適切な活用に向けて取り組んでいます。 1 回コンプライアンス委員会開
(第
催を受けた社長メッセージ(5月19日)
、窓口活用慫慂にかかる役員メッセー
ジ(6月30日))
(2)コンプライアンス意識の醸成・徹底
① 役員の率先実行、役員および従業員の行動規範の確立
「業績や事業活動をコンプライアンスに優先させることは断じてあってはならない」と肝
に銘じ、時代の要請する社会規範とは何かを常に「ユーザー目線」で考え、行動するととも
に、いかなる社内慣行やルール、組織・体制等であっても、ためらうことなく、改めるべき
6
を改めること、また、誠実で透明性の高い開かれた事業活動を行うことに全力を尽くすこと
等を、すべてのステークホルダーのみなさまに誓った社長宣誓を、社内規定として制定し、
公表しました(3月30日)。
役員は、従業員とのコミュニケーションの機会等を通じて、社長宣誓の意味を自らの言葉
で伝え浸透を図る(4月以降、TV会議システムを活用した従業員とのコミュニケーション
を51回実施し、意見交換の内容を社内で共有)とともに、社長宣誓を意識した行動を実践
しています。
社長宣誓の趣旨や贈答・接待の厳正化について、関西電力グループCSR行動憲章に明記
し、役員および従業員が遵守する行動規範として明確にしました(3月30日)
。
② コンプライアンス推進に係る基本方針等の網羅的な見直し
・ 「ユーザー目線」でのコンプライアンス意識を醸成するため、コンプライアンス推進に係
る基本方針や社内規定について、コンプライアンス委員会の指導、助言、監督を受け、
「グ
ループの従業員一人ひとりまで浸透し、実践できる、分かり易さ」
「諸規定等におけるコン
プライアンスの位置づけ」を整理すべき事項とし、コンプライアンスに関する規範(憲章)
新設の要否も含め、必要な見直しを行っていくこと(方向性)を決定しました(6月22日)
。
「贈答および接待の取扱いに関する規程」
(2019 年 12 月制定)についても、現在定めの
ない「当社が贈答・接待する場合」のルール化の方向性を決定しました(6月22日)。
役員の人事処分について、指名委員会および報酬委員会における審議を経て、取締役会で
決定することを、社内規定に明記しました(6月25日)。
③ コンプライアンス等に係るトレーニング、研修の強化
企業経営の刷新に向け、役員が自らを磨き格別に高い行動規範を堅持するため、トレー
ニングの強化を図っています。まず、役員が社外の有識者と定期的に(四半期に1度程度)
議論する場を設けることとし、昨年12月に危機管理広報(講師:リスクコンサルティング
専門家)、今年2月に不祥事の原因メカニズム(講師:企業不祥事を専門とする大学教授)
をテーマに実施しています。以降は、新型コロナウイルスの状況(緊急事態宣言や、県をま
たぐ移動の自粛など)を踏まえ実施を見合わせていましたが、9月に再開し、金品受取り問
題の発生メカニズム(講師:企業不祥事を専門とする大学教授)をテーマに実施しました。
また、役員就任時の研修については、役員就任にあたっての心得や法的責任等に関する研
修を、7月以降、実施しています。
従業員についても、法令遵守意識を醸成・徹底するため、各部署においてコンプライアン
ス推進を担うスタッフ向けの研修や、他企業や公務員倫理研修を参考にした新たな研修を
計画するなど、従前の研修体系をさらに強化していきます。
3.工事の発注・契約に係る業務の適切性及び透明性を確保するための業務運営体制の確立
地元を重視する施策に関するルールが十分でなく、手続きに適切性、透明性が欠如していた、また、
「誤った地元重視」がもたらす弊害についての認識が甘かったとの第三者委員会の指摘を踏まえ、工
7
事の発注・契約等に係るルールを明確化するとともに、その手続きについて、工事等を所管する部門
が自ら審査、次いで、調達部門が契約に係る専門的知見から社内ルールに従い審査、さらに、
「調達
等審査委員会」が外部の専門家の視点で事後審査する仕組みを構築することにより、工事の発注・契
約等に係る業務の適切性、透明性を確保しています。あわせて、寄付金・協力金に係る業務の適切性、
透明性を確保しています。
また、長期的には、こうした取組みを通じて、地域共生の効果が公平に行きわたり、地域の活性化
や地域企業の競争力向上に貢献できるよう努めます。
(1)工事の発注・契約手続き等に係る仕組みの見直し
① 実施権限と契約権限の分離
工事の発注・契約等に係る牽制機能強化のため、事務用品の購入やシステム開発等の高度
に専門性の高い委託業務等を除き、工事等所管部門が有している契約権限を、調達本部に移
管しました(6月25日)
。
② 「調達等審査委員会」の新設
工事の発注・契約手続き等および寄付金・協力金拠出手続きの適切性、透明性確保のため、
外部の専門家が事後審査する「調達等審査委員会」を新設しました(4月28日)。
委員会は、弁護士、公認会計士等有識者からなる複数の社外委員と、コンプライアンス推
進室を担当する役員である社内委員で構成しています。
(委員一覧)
委員長 : 瀧 洋二郎 弁護士
社外委員 : 髙田 篤 公認会計士
石亀 篤司 大阪府立大学教授
社内委員 : 執行役副社長 コンプライアンス推進室担当役員 彌園 豊一
委員会は5月26日、6月19日に、工事の発注・契約等や寄付金・協力金支出の手続き
に関する社内規定の適切性や審査の方法等について審議を行いました。また、7月30日、
10月8日に、個別案件の審査を行いました。
・ 個別案件の審査にあたっては、所管部門は、工事の発注・契約等および寄付金・協力金の
全件を委員会に提出し、委員会は抽出した案件について、社内ルールに基づき業務が適切に
執行されているかの審査を行い、その概要を公開しました。
委員会の審議内容は、コンプライアンス委員会には6月12日、10月12日、取締役会
には6月25日、10月13日に報告を行っています。
(2)工事の発注・契約手続き等に係る不適切な運用の禁止
特定の個人や企業の不当な要求に応じ、工事の発注・契約手続き等を進めるという不適切な運用
を禁止するために、社内規定を制定して以下①~④の4点を明記し(4月24日)、あわせて運用
ルールを整理しました。これらの社内規定は、調達等審査委員会において、その適切性の評価を受
け、新たに制定あるいは見直しを行いました(6月23日)
。
8
① 特定の個人や企業のみを対象とした工事の発注・契約等に係る事前情報提供の禁止
競争発注を形骸化させることがないよう、特定の個人や企業に対してのみ便益を供する
ような、工事の発注・契約等に関する情報の事前提供は行わない。
② 事前発注約束につながる個別の工事の発注・契約等に係る金額の開示の禁止
事前発注約束につながらないよう、個別の工事等あるいは年度ごとの発注予定額に見合
う工事等について、いかなる個人や企業に対しても、事前の金額(予算額、契約予定金額)
の開示は一切行わない。
③ 元請会社の工事の発注・契約等に対する不適切な関与の禁止
特定の個人や企業に対して、間接発注を通じて便益を供するような情報提供を行わない
とともに、元請会社が下請会社を選定するにあたり、当社から特定の個人や企業に対しての
み便益を供するような不適切な関与をしない。
④ 特定の個人や企業に対する合理性のない特命発注の禁止
特定の個人や企業に対してのみ便益を供するような、合理的な理由のない特命発注は行
わない。
また、寄付金・協力金の不透明な拠出を禁止するために、次の⑤の内容を踏まえ、寄付金・協力
金の支出に関する社内規定を制定し、支出の適切性を審査する運用ルールを整理しました(4月
24日、28日)
。これらの社内規定は、調達等審査委員会において適切性の評価を受け、さらに
見直しを行いました(6月23日)
。
⑤ 寄付金・協力金の不透明な拠出の禁止
個人が他用途に利用することが可能な口座への拠出等がされないよう、寄付金・協力金の
支出にあたっては、相手方、資金使途を明確化する。
(3)子会社からの発注の透明性確保
(2)について、子会社に対し、ルールの見直しなど厳正化を依頼し、ルールの整備状況
を調達等審査委員会に報告しました(6月19日)
。
当社が子会社に発注する案件について、調達等審査委員会の委員が審査の対象とした
場合、当該案件に係る子会社からの発注についても、審査対象とすることを社内規定に明
記しました(7月14日)
。次回以降の委員会から審査を開始することにより、グループ
全体で、工事の発注・契約に係る業務の適切性および透明性を確保していくこととしま
す。
(4)不適切な事象が判明した取引先への厳正な対処
第三者委員会の調査により不適切な事象が判明した会社に対して、指名停止を含む厳正な
取引先措置を実施するとともに、コンプライアンス推進体制の再構築や不適切な行為の禁止
等の再発防止策を求めていました(3月30日)。その後各社から提出された再発防止策に
ついて、調達等審査委員会・コンプライアンス委員会での審議・確認を踏まえ、「外部の客
観的な視点を入れたコンプライアンス推進体制の整備」「社長への牽制を発揮できるガバ
、
ナンス体制の構築」等を評価することとしました(6月19日)
。現在、再発防止策の実施
9
状況を確認しており、調達等審査委員会での審議、確認を踏まえ、指名停止解除の是非を判
断します。
今般、不適切な事象が判明した取引先に対して、今後、発注を行う場合には、調達等審査
委員会において、委員がその全件を抽出し審査を行います。
4.上記を確実に実行し、定着を図るための新たな経営管理体制の構築
(1)外部人材を活用した実効的なガバナンス体制の構築
長年にわたり、役員等幹部が、特定の地元有力者との間で、金品受取りや工事の発注・契約等に
係る事前情報提供を行うなど不適切な関係の是正が図られず、また、社内調査について取締役会
への報告がなされないなど、当社のガバナンスは機能不全に陥っていました。その根本原因は内
向きの企業体質にあるとの第三者委員会の指摘を踏まえ、取締役会の監督機能を強化すべく、執
行と監督を明確に分離し、外部の客観的な視点を重視した実効的なガバナンス体制を構築してい
ます。
また、退任役員に対する報酬について、修正申告に係る追加納税分の補填趣旨が含まれ正当性
は認めがたいとの指摘にあわせて、過去の経営不振時の役員報酬カットに対する補填の趣旨も指
摘されました。これらを経営トップが独断で決定したとの指摘も踏まえ、報酬決定プロセスの客
観性を高めています。
① 企業統治形態の見直し
指名委員会等設置会社へ移行しました(6月25日)
。
指名委員会等設置会社への移行を含め、実効的なコーポレートガバナンスに資する考え
方や方針を示した、コーポレートガバナンス・ガイドラインを策定しました(6月25日)
。
② 外部の客観的な視点を重視した監督機能の強化
取締役会および指名委員会、報酬委員会、監査委員会の法定 3 委員会は、それぞれ過半数
の独立社外取締役から構成することに加え、取締役会議長および法定 3 委員会の委員長は
独立社外取締役がそれぞれ担います。
(1)取締役会
議 長 榊󠄀 原 定 征 〔独立社外取締役〕
取締役 沖 原 隆 宗 〔独立社外取締役〕
取締役 小 林 哲 也 〔独立社外取締役〕
取締役 佐々木 茂 夫 〔独立社外取締役〕
取締役 加 賀 有津子 〔独立社外取締役〕
取締役 友 野 宏 〔独立社外取締役〕
取締役 髙 松 和 子 〔独立社外取締役〕
取締役 内 藤 文 雄 〔独立社外取締役〕
取締役 森 本 孝
取締役 彌 園 豊 一
取締役 稲 田 浩 二
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取締役 杉 本 康
取締役 山 地 進
(2)指名委員会
委員長 榊󠄀 原 定 征 〔独立社外取締役〕
委 員 沖 原 隆 宗 〔独立社外取締役〕
委 員 小 林 哲 也 〔独立社外取締役〕
委 員 髙 松 和 子 〔独立社外取締役〕
(3)報酬委員会
委員長 小 林 哲 也 〔独立社外取締役〕
委 員 榊󠄀 原 定 征 〔独立社外取締役〕
委 員 沖 原 隆 宗 〔独立社外取締役〕
委 員 加 賀 有津子 〔独立社外取締役〕
(4)監査委員会
委員長 友 野 宏 〔独立社外取締役〕
委 員 佐々木 茂 夫 〔独立社外取締役〕
委 員 加 賀 有津子 〔独立社外取締役〕
委 員 内 藤 文 雄 〔独立社外取締役〕
委 員 杉 本 康
委 員 山 地 進
役員の人事処分については、指名委員会および報酬委員会における審議を経て、取締役会
で決定し、客観性を確保します。
役員退任後に相談役、顧問、嘱託等を委嘱する場合、その委嘱の必要性ならびに業務内容
および報酬については、指名委員会および報酬委員会における審議を経て、取締役会で決定
し、客観性を確保します。
③ 監査機能の強化
監査委員会の委員長が、コンプライアンスを含め、様々な案件について主体的に調査し、
取締役会に報告する仕組みとし、
「コンプライアンス委員会」とあわせ、社長等執行に対し
て、複眼的に監査、監督できる体制としました。
監査委員会が監査の前提となる情報収集を適時かつ網羅的に行えるようサポートする事
務局として、監査委員会室を設置しました(6月25日)。同室は、事務系、技術系の各部
門の多様な職歴を有するメンバーで構成しています。
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【外部の客観的な視点を重視した実効的なガバナンス体制】
(2)原子力事業本部に対する実効的なガバナンス体制の構築
今般の金品受領行為及び事前発注約束等の大半が原子力事業本部(以下、
「本部」という。
)にお
いてなされ、複数の本部長や歴代の幹部が脈々と引き継ぎ、是正できず、また、本部の美浜町移転
を機に今般の事案が加速したと第三者委員会から指摘されています。さらに、その背景として、技
術的に特殊である、政治・社会問題になりやすい、再稼動等が経営に絶大な影響を与えるという点
においても、本部は当社の中で特殊性を有しており、その特殊性に起因して組織が閉鎖的になり、
正しい意見が実現しづらくなっていたこと、および、そうした組織の閉鎖性を打破できない等、本
部に対するガバナンスが不十分であったことも指摘されています。
それらを踏まえ、
「外部人材を活用したコンプライアンス機能の強化(前述2(1)」「工事の
)、
発注・契約に係る業務の適切性及び透明性を確保するための業務運営体制の確立(前述3)」を含
め、健全なガバナンスの効いた組織、風通しの良い組織になるよう、本部に対する実効的なガバナ
ンス体制を構築しています。
① 原子力事業本部に対する牽制と支援の強化
a. コンプライアンスを所管する本部長代理等の設置
コンプライアンスに係る牽制と支援を強化するために、本部に常駐する職位として、コン
プライアンスおよび管理部門を所管する本部長代理を設置し、執行役常務の高西一光が就
任しています(6月25日)。
また、監査委員会スタッフとして、本部に常駐する監査特命役員に岡田達志を任命し、本
部への監査機能の強化を図りました(6月25日)
。
加えて、原子力事業本部のコンプライアンスに係る推進機能を強化するために、
「コンプ
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ライアンス推進グループ」を新設しました(6月25日)
。同グループは、コンプライアン
ス推進室と連携し、原子力事業本部のコンプライアンスを推進します。
b. 主要会議への他部門の役員の参画
事業全般に対する牽制と支援を強化するために、本部における主要な会議(原子力事業本
部運営会議(5月20日、6月18日、7月20日、8月20日、9月24日)等)に、経
営企画、経理、人財・安全部門等他部門の役員が参画しています。
② 風通しの良い組織の創生に向けた取組み
a. 取締役会等の原子力事業本部(美浜町)での開催
本部の役員および従業員と社外を含む他部門の役員との距離的な隔たりを縮めるために、
取締役会、コンプライアンス委員会、原子力安全推進委員会等を、定期的に、美浜町所在の
本部において開催することとしており、9月28日に取締役会、10月12日にコンプライ
アンス委員会を開催しました。
b. 社外を含む役員による、原子力事業本部メンバーとの定期的な対話
組織の閉鎖性を払拭するために、社外役員や他部門の役員が、本部の幅広い層と、定期的
に対話する機会を設けます。これまでに、新型コロナウイルスの影響も踏まえTV会議シス
テムを活用して、社長他による対話を実施しました(6月4日、8日)。また、美浜町所在
の本部において、社外取締役による対話を実施しました(9月28日)。
c. 他部門等との人材交流の推進
将来の原子力事業を担う人材が、
「ユーザー目線」で深く考え、行動し続け、組織の閉鎖
性を払拭することができるよう、原子力事業以外の部門や社外での経験を付与するととも
に、原子力事業以外の人材の受入れをより一層進めています。
原子力事業から、原子力事業以外の部門や社外への異動 62名
原子力事業以外の部門から、原子力事業への異動 72名
〔 3/31~10/13 までの間の、役附社員の異動件数 〕
5.関西電力送配電株式会社における再発防止方策の実施
関西電力送配電においても、2および3の取組みについて、その趣旨に沿った具体的方策を実施し
ています。4(1)については、関西電力が、株主としての権利を有する関係において、適切なガバ
ナンスを実現しています。
2(1)コンプライアンス体制の再構築
① 関西電力送配電の「コンプライアンス委員会」について
関西電力送配電には、4月1日の事業開始以降、コンプライアンスに係る監督機能を果
たすために、社長以下社内委員7名、社外委員(弁護士)1名からなる「コンプライアン
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ス委員会」を設置しています。同委員会は、コンプライアンスに係る基本方針、コンプラ
イアンス活動計画や問題事象の審議等、コンプライアンス推進に係る指導、助言、監督を
担っており、年度毎の定期開催に加え、必要な場合に都度開催します。なお、4月1日以
降、6月5日に開催しています。
社長を含む社内委員の直接行為が関係する問題事象について、当該社内委員は審議の
場から退席することを社内規定に明記しました(6月29日)。
② 問題事象発生時の報告体制の整備
関西電力送配電においては、4月1日の事業開始以降、問題事象が発生した部署はコン
プライアンス委員会事務局である総務部に速やかに報告し、同部はコンプライアンス上、
適切に当該事象に対処するとともに、関西電力送配電のコンプライアンス委員会へ報告
し、指導、助言、監督を受ける仕組みがあります。
これに加え、関西電力送配電におけるコンプライアンス上問題となる事象も対象とす
る関西電力のコンプライアンス委員会、同推進室へ確実に報告がなされるよう、総務部か
ら関西電力コンプライアンス推進室へ報告することを、社内規定に明記しました(6月2
9日)
。
【 内部通報・相談の仕組みの充実 】
役員、従業員および社外の関係者からの内部通報・相談の仕組みについて、次の
点を社内規定に明記し、充実を図りました(6月29日)。
・必要に応じ専門弁護士が対応し、弁護士自らの判断でコンプライアンス委員会
に対処を求め、実効的措置を講じることができること
・コンプライアンス上問題となる事象に係る、役員のコンプライアンス委員会へ
の報告義務
・同事象に係る、従業員の上司への報告義務
「コンプライアンス相談窓口」の適切な活用のため、その秘密保持や通報者・相
談者に不利益がないことを周知し、積極的な利用を慫慂しました(6月16日)
。
2(2)コンプライアンス意識の醸成・徹底
① 役員の率先実行、役員および従業員の行動規範の確立
役員が、従業員とのコミュニケーションの機会等を通じて、関西電力の社長宣誓の趣旨の
浸透を図っています(関西電力と合同実施の2(2)①とは別に、関西電力送配電として3
1回実施)
。また、社長宣誓の趣旨や贈答・接待の厳正化について、
「関西電力送配電CSR
行動憲章」を制定し、役員および従業員が遵守する行動規範として明確にしました(4月1
日)。
② コンプライアンス推進に係る基本方針等の網羅的な見直し
関西電力における、コンプライアンス推進に係る基本方針や社内規定の見直しの方向性
(6月22日決定)に準じて、社内規定の見直しを検討します。
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関西電力における、
「贈答および接待の取扱いに関する規程」の見直しの方向性(6月2
2日決定)に準じて、ルール化を検討します。
③ コンプライアンス等に係るトレーニング、研修の強化
役員・従業員向けトレーニング・研修については、関西電力において検討し実施する内容
を、関西電力送配電にも展開しています。
3(1)工事の発注・契約手続き等に係る仕組みの見直し
① 実施権限と契約権限の分離
関西電力送配電においては、従来から、工事の実施権限と発注・契約の権限は分離してい
ます。
② 「調達等審査委員会」の対象
関西電力送配電についても、関西電力の「調達等審査委員会」による審査の対象としてい
ます。所管部門は、工事の発注・契約等および寄付金の全件を委員会に提出し、委員会は抽
出した案件について、7月30日、10月8日の委員会において、業務が適切に執行されて
いるか、審査を行い、その概要を公開しました。
3(2)工事の発注・契約手続き等に係る不適切な運用の禁止
特定の個人や企業の不当な要求に応じ、工事の発注・契約手続き等を進めるという不適切な運用
を禁止するために、関西電力送配電においても社内規定を制定して以下①~④の4点を明記し(5
月7日) あわせて運用ルールを整理しました。
、 これらの社内規定は、調達等審査委員会において、
その適切性の評価を受け、新たに制定あるいは見直しを行いました(6月23日)。
① 特定の個人や企業のみを対象とした工事の発注・契約等に係る事前情報提供の禁止
競争発注を形骸化させることがないよう、特定の個人や企業に対してのみ便益を供する
ような、工事の発注・契約等に関する情報の事前提供は行わない。
② 事前発注約束につながる個別の工事の発注・契約等に係る金額の開示の禁止
事前発注約束につながらないよう、個別の工事等あるいは年度ごとの発注予定額に見合
う工事等について、いかなる個人や企業に対しても、事前の金額(予算額、契約予定金額)
の開示は一切行わない。
③ 元請会社の工事の発注・契約等に対する不適切な関与の禁止
特定の個人や企業に対して、間接発注を通じて便益を供するような情報提供を行わない
とともに、元請会社が下請会社を選定するにあたり、関西電力送配電から特定の個人や企業
に対してのみ便益を供するような不適切な関与をしない。
④ 特定の個人や企業に対する合理性のない特命発注の禁止
特定の個人や企業に対してのみ便益を供するような、合理的な理由のない特命発注は行
わない。
また、寄付金の不透明な拠出を禁止するために、次の⑤の内容を踏まえ、寄付金の支出に関する
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社内規定を制定し、支出の適切性を審査する運用ルールを整理しました(5月20日)。社内規定
は、調達等審査委員会において適切性の評価を受け、さらに見直しを行いました(6月23日)。
⑤ 寄付金の不透明な拠出の禁止
個人が他用途に利用することが可能な口座への拠出等がされないよう、寄付金の支出に
あたっては、相手方、資金使途を明確化する。
3(3)子会社からの発注の透明性確保
3(2)について、関西電力送配電の子会社に対し、6月末までにルールの見直しなど厳
正化を依頼し、関西電力において、関西電力送配電分を含めルールの整備状況を調達等審査
委員会に報告しました(6月19日)。
関西電力送配電が子会社に発注する案件について、調達等審査委員会の委員が審査の対
象とした場合、当該案件に係る子会社からの発注についても、次回以降の委員会から審査
を開始することにより、グループ全体で、工事の発注・契約に係る業務の適切性および透明
性を確保していくこととします。
3(4)不適切な事象が判明した取引先への厳正な対処
関西電力において、第三者委員会の調査により不適切な事象が判明した会社に対して、指
名停止を含む厳正な取引先措置を実施するとともに、コンプライアンス推進体制の再構築や
不適切な行為の禁止等の再発防止策を求めていました(3月30日)
。その後各社から提出
された再発防止策について、調達等審査委員会・関西電力コンプライアンス委員会での審
議・確認を踏まえ、
「外部の客観的な視点を入れたコンプライアンス推進体制の整備」「社
、
長への牽制を発揮できるガバナンス体制の構築」等を評価することとしました(6月19
日)。現在、再発防止策の実施状況を確認しており、調達等審査委員会での審議、確認を踏
まえ、指名停止解除の是非を判断します。
今般、不適切な事象が判明した取引先に対して、今後、発注を行う場合には、調達等審査
委員会において、委員がその全件を抽出し審査を行います。
4(1)実効的なガバナンス体制の構築
関西電力が、関西電力送配電の100%株主として、役員の選解任等の決定権限を有する
こと、さらに、行為規制の遵守を前提に、必要に応じて株主としての権限を行使することで、
適切なガバナンスを実現します。
関西電力送配電において、監査役監査による取締役の職務執行の妥当性・適正性を確保す
るとともに、関西電力の取締役が、関西電力送配電を含めた子会社の業務の適正を確保する
ための体制を整備します。加えて、社外委員が過半数を占め、社外委員が委員長を務める、
関西電力のコンプライアンス委員会や調達等審査委員会が、5.2(1)②、5.3(1)
②に記載したとおり、関西電力送配電のコンプライアンス推進や工事の発注・契約手続き等
の審査を行います。
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6.その他
(1)子会社における金品受取りの新たな事実
① 内部通報をきっかけとした調査の実施
内部通報窓口への連絡をきっかけに、コンプライアンス委員会の協力を得て、子会社である株
式会社KANSOテクノスを調査し、元役員等の2名の金品受取りの事実を確認しました(7月
22日)。
② ①を踏まえた追加調査
コンプライアンス委員会の指導・助言も踏まえ、独立性を確保した社外の弁護士による追加調
査を実施し、6名(うち3名は故人)の金品受取りの事実を確認しました。また、別の1名につ
いては、前回第三者委員会調査で判明した金額以上の受領が判明しました。調査結果については、
第三者委員会にも報告し確認いただくとともに、コンプライアンス委員会の承認を受け、公表し
ました(10月6日)。調査には一定の限界があるものの、現時点で可能な限りの客観的かつ徹
底的な調査を実施したものと考えています。
③ 責任の所在の明確化
・ 当社退任・退職済みの元役員・従業員に対し、次の通り、相当額の報酬の自主返納を要請し
ました。
元役員(執行役員以上)1名 月額の10%(2ヶ月)
また、元理事・従業員の2名について、上記に準じて取り扱いました。
・ 子会社において、金品受領等の責任の所在を明確化するよう、当社から子会社に対し、厳正
に指導しました。
(子会社において、金品を受領した者3名を含め、責任ありとされる者は7名)
④ 追加調査を踏まえた取組事項
a. 関西電力、関西電力送配電に加え、グループ各社の役員および従業員を対象に、再発防止に
向けて、過去と決別し風土改革やガバナンス改革に総力を挙げて取り組む決意を伝え、関西電
力グループ創生への思いを共有するため、社長メッセージを発信しました(10月7日)
。
b. グループ全体で役員のコンプライアンスに係る意識を抜本的に向上させることを目的に、関
西電力で実施している役員トレーニングを、グループ各社に展開することを検討しています。
c. 関西電力(および関西電力送配電)の発注案件に加え、当社が子会社に発注する案件につい
て、調達等審査委員会の委員が審査の対象とした場合、当該案件に係る子会社からの発注につ
いても、次回以降の委員会から審査を開始することにより、グループ全体で、工事の発注・契
約に係る業務の適切性および透明性を確保していくこととします。
[3の(3)
、5の3(3)
再掲]
B.再発防止策の実効性を担保する審査、検証
再発防止策の実施にあたっては、取締役会や新設したコンプライアンス委員会等において、社外取
締役、社外委員の客観的な視点から組織的に検証することとし、必要に応じて追加的な改善策を策定
し、あるいは修正を加え、実施していきます。
業務改善計画の実施状況は、関西電力送配電株式会社の取組みも含め、関西電力株式会社にお
いて、
17
2(1)を除いては、経営企画室を担当する役員が、
2(1)については、コンプライアンス推進室を担当する役員が、
それぞれ、コンプライアンス委員会(6月12日、10月12日)における指導、助言、監督を
踏まえ取締役会に報告し、取締役会において改善策の実効性を確認しています(6月25日、1
0月13日)。
これらの外部の客観的な視点を重視した組織的な検証により、再発防止策の実効性を担保し
ており、今後も継続的に検証を行っていきます。
なお、業務改善計画の取組み状況の報告にあたっての、独立社外取締役である取締役会長のコ
メントは別添のとおりです。
以 上
18
別 添
業務改善計画の取組状況の報告にあたって
当社は、業務改善計画の策定(2020 年 3 月 30 日)以降、コンプライアンス推
進体制の抜本的な強化や、指名委員会等設置会社への移行等外部の客観的な視点
を重視した実効的なガバナンス体制の構築など、計画に基づく具体的施策を着実
に実行しており、その取組みに手応えを感じているところです。
先般、内部通報をきっかけとして、新設したコンプライアンス委員会の協力や
指導・助言を受けながら客観的かつ徹底的な調査を行った結果、金品受け取りの
新たな事実が判明しました。大変残念なことであり、重く受け止めています(10
月 6 日プレス公表済)が、これは、業務改善計画に基づく新たな仕組みが適切に
機能した結果であると考えています。
今後も、業務改善計画の取組みを真に実効あるものにするため、私は独立した
社外取締役の立場から指導・監督を行い、ガバナンス改革や企業体質の抜本的な
是正等を通じて信頼の回復に努め、経営陣や従業員とともに力を合わせて、新し
い関西電力の創生に全力を尽くしてまいります。
関西電力株式会社
取締役会長 榊󠄀原 定征